2025年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

ビジネスマッチング事業 リサーチ事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ビジネスマッチング事業 1,048 77.0 -407 - -38.9
リサーチ事業 313 23.0 -51 - -16.2

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、当社及び当社の連結子会社である株式会社リンカーズOI研究所の2社で構成されております。

当社グループでは、「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、企業と企業の出会いのあり方を見直し、従来の産業構造では成し得なかった最適な出会いを提供することで、多くのイノベーションを生み出す産業のしくみを国内外に築き、産業全体の生産性を最大化するための連携のハブとなる企業を目指すために、ものづくり企業のあらゆる探索等の課題に対して、マッチングプラットフォームの運営を中心に課題解決のサービスを提供しております。

当社においては、中核事業であるビジネスマッチング事業として、開発段階におけるニーズ起点のマッチングを手掛ける技術探索サービス「Linkers Sourcing」、シーズ起点のマッチングを手掛ける用途開拓サービス「Linkers Marketing」を中心とした自社運営マッチングサービスと、金融機関向けのビジネスマッチングシステム「Linkers for BANK」、同じく事業会社向けのビジネスマッチングシステム「Linkers for Business」を運営するSaaS型マッチングサービスを提供することで、多様なマッチング機会を創出しております。

また、連結子会社である株式会社リンカーズOI研究所は、研究段階における技術ニーズ・シーズの調査を手掛け、その企業が取り組むべき技術テーマや技術課題の顕在化を行う「Linkers Research」をリサーチ事業として提供しております。

これら一連のサービス提供を通じて、ものづくり企業の研究から開発に至るまでの各プロセスにおける課題解決をワンストップで支援することで、ものづくり企業のイノベーションを促進する価値創出を行っております。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

ビジネスマッチング事業

(1) 自社運営マッチングサービス

a.「Linkers Sourcing」

イ.サービスの内容

「Linkers Sourcing」は、大手企業を中心とした技術課題を抱えた発注企業と、ものづくりに特化した全国の中堅・中小企業等を引き合わせる技術探索サービス(注1)であります。新たなイノベーションや技術を産み出すことで他産業へも波及効果を持つ、日本のGDPの2割前後を占める製造業(注2)を中心としたものづくり企業の活性化を目的としております。

当社が提供するマッチングプラットフォームは、当社が蓄積してきたビジネスマッチングデータを活用したAI(注3)マッチング、受注候補企業の自薦、及び地元企業に密着・支援している産業コーディネーター(注4)からの推薦による、現場の暗黙知情報(注5)を含めた網羅的な受注候補企業の抽出と選定を実現し、ニッチな案件も含めてマッチングを可能(成約率約53.1%(注6) 2022年8月~2024年7月までの平均値)とした、ものづくり系マッチングサービスとなります。

また、「Linkers Sourcing」は、サービスを利用する発注企業との間でのみ、案件探索時に①基本利用料が、面談ないしは成約に至った場合に②成果報酬(面談)、③成果報酬(成約)がそれぞれ収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Sourcing」の具体的な特徴としては、以下が挙げられます。

1. 各地域の企業や研究機関をよく知る産業コーディネーターの紹介による受注候補企業

全国の地方自治体、地域金融機関、中堅・中小企業支援機関、商工会議所、大学などに所属する産業コーディネーターが登録されております。これまでものづくりに知見を有する産業コーディネーターを介して、多数の有力な受注候補企業の獲得がなされており、受注候補企業が保有する独自技術やその特徴等を当社データベースとして活用することで、新商品、新規事業開発などにおける大手企業(発注企業)のニーズを満たすものづくりに特化した有力企業等(受注候補企業)を、網羅的に複数探索することが可能となります。

2. 多様なマッチング手段の提供

当社グループのマッチングプラットフォームには、過去に手掛けた「Linkers Sourcing」の探索によりアカウント登録された受注候補企業の法人情報と、過去のマッチング情報がデータベース化されております。現在も当社が案件探索を行う都度、案件の受注候補となる企業を探し、登録を促すなどしてデータベースの拡充を図っております。

これにより、当社から配信する探索案件情報に対して、自らエントリーする自薦制度以外にも、当社がこれまでの探索プロセスにてネットワーク化したものづくりの企業を中心とした法人データベースを活用し、AIマッチングにより抽出した受注候補企業や、当社の事務局自らが探索した受注候補企業にエントリーを促すことが可能になります。

「Linkers Sourcing」の探索を通じて当社に蓄積された知見を掛け合わせることで、複数の探索プロセスを提供することが可能となり、更にはマッチング機会の最大化を図ることが期待できます。

 

「Linkers Sourcing」における候補企業アカウント数の累計の推移は、以下のとおりであります。

(単位:社数)

 

区分

2024年7月期

2025年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

候補企業

アカウント数(※)

登録数

192

126

136

150

102

101

136

83

累計

19,738

19,864

20,000

20,150

20,252

20,353

20,489

20,572

※ 「Linkers Sourcing」でのマッチング候補先の企業数を指します。

 

b.「Linkers Marketing」

イ.サービスの内容

「Linkers Marketing」は、当社独自の企業ネットワークを活用して、当社が提供するマッチングプラットフォームにて、発注企業が保有する技術・製品を必要とする会社との面談機会創出の支援を行う技術・製品の用途開拓サービスとなります。

また、「Linkers Marketing」は、サービスを利用する発注企業との間でのみ、案件探索時に①基本利用料が、面談に至った場合に②成果報酬(面談、最大6社分)がそれぞれ収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

「Linkers Marketing」の具体的な特徴としては、以下が挙げられます。

1. 技術課題を抱えた大手企業との商談機会の創出

「Linkers Marketing」は、「Linkers Sourcing」と同一のマッチングプラットフォームにて提供するサービスとなります。当社は、「Linkers Sourcing」を通じて、これまでに約2,000案件(2025年7月末日現在)の技術パートナー探索を手掛けていることから、「Linkers Sourcing」のマッチングプロセスを通じて培ってきた企業ネットワークは、大手企業から中堅中小企業まで幅広い接点を有しております。

特にものづくりに特化したサービスという背景もあり、当社グループの企業ネットワークは各社の技術部門と接点を有しております。そのため、「Linkers Sourcing」とは対照的に、「Linkers Marketing」を利用する発注企業は、ものづくり分野の大手・中堅企業の技術部門との面談に繋がることが多く、新技術のマーケティングを実現することが可能となります。

2. 顧客との商談を創出

当社グループは、主に「Linkers Sourcing」のサービス利用があり、大手企業の新技術への関心が高い技術者に向けて、継続的に当社から技術シーズ情報配信の案内を行っております。

これにより、情報配信先への登録を促してそのネットワーク化を図ってきており、これまでにその登録企業は600社以上(2025年7月末日現在)に及んでおります。

これらの登録企業に向けて技術シーズ情報を配信することで、受信した技術者を通じて大手企業内での技術情報の共有がなされるケースが多いことから、商談機会の創出が期待できます。

 

「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における探索案件数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

区分

2024年7月期

2025年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

探索件数

(※)

件数

63

46

43

31

22

26

31

21

年間合計

183

100

 

※ 「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」での案件探索の合計となります。

 

 また、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における取引社数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:社数)

 

区分

2024年7月期

2025年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

取引社数

(※1)

登録数

26

11

14

6

9

6

9

4

累計(※2)

670

681

695

701

710

716

725

729

 

※1 「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」での発注実績のある企業数を指します。

※2 取引社数の累計数は、「Linkers Marketing」のマッチング候補先としての規模感を表す参考値として記載しております。

 

(2) SaaS型マッチングシステム

「LFB(Linkers for BANK/Linkers for Business)」

イ.サービスの内容

「LFB」は、「Linkers Sourcing」のマッチングプラットフォームをベースに開発したSaaS型ビジネスマッチングシステム(注7)となります。地域金融機関、及び事業会社が取り扱うビジネスマッチングの案件登録・進捗管理・情報共有を一元管理することで、ビジネスマッチングの効率化を図るとともに、案件情報の全体での共有とマッチングのノウハウ等のナレッジ共有を実現することによるマッチングの成約率向上に特化したサービスであります。金融機関向けには「Linkers for BANK」を、事業会社向けには「Linkers for Business」を提供しております。

また、「LFB」は、導入機関との間でシステムの導入時に①導入支援料が収益として発生するとともに、サービス利用開始から②月額利用料が契約期間に従って継続的に収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

「LFB」の具体的な特徴としては、以下が挙げられます。

1. システムによる業務効率化とコンサルティング支援を組み合わせたハイブリッド型マッチングプラットフォーム

従来、地域金融機関等では行職員にて案件情報が属人的に管理されているなど、情報の非対称性が課題となっておりました。「LFB」を導入することで情報の一元管理が可能となり、より多くの行職員間での情報共有が適切になされます。

行職員間で過去のマッチング事例やノウハウが共有されることから、地域金融機関等の顧客が持つ、売りたい(又は買いたい)商材やサービスを、より多くマッチングする機会を創出することが期待できます。

また、案件や顧客情報を一元管理し、同意書や請求書の処理をオンライン化することで、管理工数の大幅な削減が可能となり、削減分の時間を営業活動に充てられるため、より多くの商談創出が可能になります。

さらに、営業フロー構築、データ分析、ビジネスマッチングセミナー、業種別ソリューション分析など、導入後も成果を出し続けるための多彩な支援メニューを実装していることから、営業担当者のスキル底上げや提案力向上を通じ、機関全体での成果最大化の実現が期待できます。

 

「LFB」導入機関にて創出された商談数(※1)の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

2024年7月期

2025年7月期

 

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

発生商談数

(※2)

20,194

22,592

21,929

26,449

24,740

30,225

28,828

32,586

※1 「Linkers for BANK」導入機関内で発生したビジネスマッチングの商談数であり、「Linkers for BANK」導入により創出されたマッチング案件の推移を示したものであります。

※2 「Linkers for BANK」全導入機関の商談数

 

2. 様々なマッチング手段を用いて多くの商談を創出

「LFB」は、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」を提供している当社のマッチングプラットフォームとシステム連携することが可能であり、全国規模のデータベースを活用したマッチングの実現及び販路開拓案件への対応が可能となります。

また、「Linkers for BANK」を導入している金融機関は、従来、財務データや担保・保証による定量評価での融資が中心でありましたが、本システム導入に伴いビジネスマッチングのノウハウを蓄積することで、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して行う融資、すなわち「事業性評価」を行うことが期待できます。

 

「LFB」の導入機関数累計の推移は、以下のとおりであります。

(単位:機関)

 

2024年7月期

2025年7月期

 

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

導入数(※)

△3

2

1

8

△1

2

2

導入累計(※)

36

38

39

47

47

46

48

50

※ 「Linkers for BANK」及び「Linkers for Business」の導入数

 

3. 広域連携と成果創出の加速

「LFB」は、単一機関内のマッチングを超えて、他の「LFB」利用機関との広域連携により全国規模での案件共有・商談創出を可能にします。これにより、地域内で解決できない課題にも対応可能となり、取引先の販路を全国に拡大することが期待できます。

広域連携を開始した機関では、紹介依頼数や商談数、成約数が増加するなど、着実に成果が拡大しているとともに、利用機関同士による事例共有やユーザー会を通じた情報共有により、継続的な成長が可能となります。

 

(3) その他サービス

a.「TechMesse Academy」

イ.サービスの内容

先端技術の動向や、オープンイノベーション(注8)に関心がある聴講者に向けて、企業が手掛ける知識やノウハウなどを「伝える」「学ぶ」をコンセプトに、企業が保有する技術やサービス、自治体並びに外郭団体等が支援している企業が保有する技術やサービスのプロモーション活動等を支援する集客型のイベント運営サービスとなります。

「TechMesse Academy」は、セミナー等のイベント支援の完了時に、イベント支援内容に応じて発注企業と契約を締結した契約額に基づいて収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

「Linkers Sourcing」や「Linkers Marketing」の探索等でネットワーク化した、当社が保有するものづくりに知見や興味を有する技術者をデータベースとして活用し、技術やサービスに関するセミナー等のイベントの案内をすることで、広告出稿や展示会出展ではなかなかリーチできない企業のキーマンや、オープンイノベーション又は先端技術に関心のある技術者の集客が可能となります。

 

b.「Linkers Trend Map」

イ.サービスの内容

「Linkers Trend Map」は、数万件に及ぶ論文や特許情報をAIとリサーチャーの知見を活用して分析・可視化することで、研究開発や事業企画に役立つ技術インサイトを提供するサービスとなります。

EV・カーボンニュートラルなどのトレンド把握、競合ベンチマーク、加工技術の調査、新素材の用途探索など、幅広いテーマに対応し、目的に沿った検索式でデータ抽出を行って、独自のカテゴライズ手法で技術動向を明確化します。得られた分析結果は、戦略立案や製品開発の意思決定に活用することが期待できます。

「Linkers Trend Map」は、成果物の検収時に契約額に基づき収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

「Linkers Trend Map」の最大の特徴は、「AIによる大規模分析」と「リサーチャーによるファクト精査・示唆出し」を組み合わせるハイブリッド型手法となります。

AIが見落としがちな関連性や技術トレンドを網羅的に検出し、リサーチャーが目的に即した観点で品質を担保、分析視点は用途・技術・素材など自由に設計でき、数万件に及ぶ文献に対応が可能です。

ステップごとの詳細分析やカスタム調査にも対応し、「Linkers Research」との連携により深掘りも可能となります。

 

リサーチ事業

リサーチサービス

a.「Linkers Research」

イ.サービスの内容

「Linkers Research」は、企業が新規事業やマーケティングを行うにあたって直面する研究パートナーや技術パートナーの探索、新規事業検討、R&D(注9)のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査、及び出資先や提携先検討のための有力企業発掘など、企業が抱える様々な課題、情報の取得困難性に対して、技術専門性のあるリサーチャーが調査結果をまとめたレポート等を提供するサービスとなります。

「Linkers Research」は、成果物の検収時にそれぞれの契約額に基づき収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

「Linkers Research」は、企業の新規事業検討やR&Dのためのテーマ検討の技術ベンチマーク調査など、研究・技術パートナー探索に対するニーズやフォーカスに応じて、以下のようなサービスを提供しております。「Linkers Research」を通じて創出した新規事業のテーマに対して、当社が提供する「Linkers Sourcing」や「Linkers Marketing」を活用することで、更なる深耕が期待できます。

「Linkers Research」においては、各専門分野に精通したリサーチャーと契約を締結してネットワーク化することで、企業からの様々なテーマ設定に対して対応することが可能となります。

また、実際の調査受注時には、リサーチャーネットワークに属する外部のリサーチャーに、単品テーマやフォーカスを絞った企画等の情報収集を委託します。その成果物は、当社内のリサーチャーが専門家視点で重要な技術情報の目利きを行い、統一化された粒度で技術情報を整理する分業体制を構築することで、調査成果物の品質管理と納期等のプロジェクト管理の両立が可能となっております。

 

1. 一般リサーチ

企業が関心のある技術領域に関して、それぞれの調査テーマ・フェーズに適合した情報ソース、調査範囲、対象及び調査項目等の要件を定義して、調査を行っております。

2. マルチクライアントリサーチ

当社グループが独自の視点で選択した特定の時節テーマや先端技術等の調査テーマにおいて、複数の企業に参加を募り、その調査結果を参加企業に限定して提供しております。複数企業に参加いただくことで費用負担を軽減しつつ、多くの調査結果を得ることが可能となります。

3. カスタマイズリサーチ

顧客の課題に合わせて個社別にカスタマイズした調査アウトプットを提供しております。例えば、技術を活用した新規事業を立ち上げる際の市場動向調査、法規制動向調査、技術の競争力の考察など、幅広いテーマに対応しております。

 

「Linkers Research」における調査案件数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

区分

2024年7月期

2025年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

調査件数

(※)

件数

59

80

117

42

44

63

83

38

年間合計

298

228

※ 一般リサーチ、マルチクライアントリサーチ、及びカスタマイズリサーチにおける受注件数の合計となります。

 

b.「Linkers Research Clip」

イ.サービスの内容

「Linkers Research Clip」は、「Linkers Research」にて作成したレポート等を、簡単に社内共有できるサービスであり、調査横断のテキスト検索や、社内の技術情報への興味の可視化など、調査結果を活用することが可能なWebアプリとなります。

2025年7月期より、「Linkers Research Clip」は、「Linkers Research」の付随サービスと位置付け、マーケティングツールに用途を転じたことから、無償での提供に変更しております。

 

ロ.サービスの特徴

「Linkers Research Clip」は、これまでExcelやPDF等のファイルとして提供してきた「Linkers Research」のレポート等を閲覧するためのWebアプリとなります。アプリ内のデータベースに蓄積した技術情報を、複数の条件やフィルタで検索した検索結果をカード形式で表示することで、効率的に各技術情報を把握することが期待でき、また、調査結果の共有を行うことで、調査結果の活用や可視化、調査結果に対する個々人の興味情報のトレンド分析が可能となります。

 

(注)1.発注企業の技術課題を解決できる技術を保有する企業を探索して、マッチングを行うサービスを指しております。

2.令和5年12月25日 内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部『2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計』

3.Artificial Intelligenceの略で、人工的に作られた知能を持つコンピュータシステムやソフトウエアを指しております。

4.当社が提供する探索・マッチングサービスにおいて、受注候補企業等の推薦を行う情報提供者を指しております。

5.個人的な経験や勘などに基づく他人に説明することが難しい知識のことで、経験やノウハウを指しております。

6.発注企業と受注候補企業との間で個別契約等が締結されるなどの成果が発生し、発注企業によりマッチングプラットフォーム上でマッチング成立とされた率を指しております。

7.「Software as a Service」の略であり、クラウドサーバーにある当社が開発したビジネスマッチングシステムを、インターネットを経由して利用できるサービスを指しております。

8.2006年に米国研究者のヘンリー・チェスブロウ氏の著書『Open Innovation:The New Imperative for Creating And Profiting from Technology』にて提唱された概念を指しております。

9.Research and Developmentの略で、自社の事業領域に関する研究や新技術の開発力を高めるために必要な活動を行うことを指しております。

 

[事業系統図]

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、1,363,674千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金912,518千円、売掛金144,063千円、ソフトウエア137,281千円等であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、245,920千円となりました。その主な内訳は、未払金75,746千円、前受金56,909千円、賞与引当金51,924千円、未払費用20,204千円等であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、1,117,754千円となりました。その内訳は、資本金249,165千円、資本剰余金991,040千円、利益剰余金△122,450千円であります。

 この結果、自己資本比率は82.0%となりました。

 

② 経営成績の状況

当社グループは、「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、企業と企業の出会いのあり方を見直し、従来の産業構造では成し得なかった最適な出会いを提供することで、多くのイノベーションを生み出す産業のしくみを国内外に築き、産業全体の生産性を最大化するための連携のハブとなる企業を目指すために、マッチングプラットフォームの運営を中心に事業を展開しております。

サービス内容としては、ニーズ起点のマッチングを手掛ける技術探索サービス「Linkers Sourcing」、シーズ起点のマッチングを手掛ける用途開拓サービス「Linkers Marketing」、SaaS型の金融機関向けマッチングシステム「Linkers for BANK」、及び当該事業会社向けマッチングシステム「Linkers for Business」の提供等による探索・マッチングサービスと、技術ニーズ・シーズの調査を手掛ける「Linkers Research」を中心としたリサーチサービスを主たるサービスとしております。

当社グループが取り組む事業領域は、企業研究費の投下による新技術創出への動向や、製造業を中心とした設備投資への投資再開、地域金融機関の収益多様化に向けた取り組みなど、オープンイノベーションへの投資領域の拡大に伴い、今後もデジタル技術活用による探索効率化や、マッチング精度向上を通じた国内外の多様な企業間連携の促進により、需要は拡大していくと想定しております。

半導体や脱炭素分野など成長領域への投資は依然として堅調に推移しており、製造業の設備投資再開や地域金融機関の新事業支援も活発化する一方で、ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化に加え、米国におけるトランプ政権の高関税政策など、地政学リスクが国際的なサプライチェーンや貿易環境に不透明感をもたらすとともに、主要国の高金利政策継続や円安、原材料価格の高止まりも企業収益を圧迫し、依然として不透明な状況が続いております。

このような事業環境の中、来期以降の業容拡大に向けた基盤構築強化を最重要課題と位置付けて、様々な施策に取り組んでまいりました。

既存事業においては、顧客目線に立ったサービスクオリティの向上を目的にカスタマーサクセス等のバックオフィス人材の採用強化を推進、フィールドセールス強化に向けて営業人員の採用を拡大するなど、人材採用と育成に取り組みました。

また、既存事業のマッチングプラットフォームの機能強化や、新規プロダクトの開発体制強化など、将来の業容拡大を見据えた投資を継続して実施いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,360,735千円、営業損失は457,988千円、経常損失は428,433千円、親会社株主に帰属する当期純損失は548,214千円となりました。

 

また、当社グループの事業は、従来、ビジネスマッチング事業の単一事業でありましたが、当連結会計年度において、リサーチサービスを分社化し、株式会社リンカーズOI研究所(以下、「OI研究所」)を連結子会社として設立したことに伴い、当連結会計年度より報告セグメントを「ビジネスマッチング事業」の単一事業から、探索・マッチングサービスとその他サービスにて構成される「ビジネスマッチング事業」及びOI研究所が提供する「リサーチ事業」の2区分に変更しております。

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

① ビジネスマッチング事業

「Linkers Sourcing」並びに「Linkers Marketing」は、前期より取り組んでいる海外探索の営業活動については成果が出始めているものの、国内探索については逓減傾向が継続していることから、着手件数は100件となりました。逓減傾向の対策として、期初から営業活動体制の改善プロジェクトを開始し、各種KPIの指標の見直し、プロセス管理の変更等に取り組むとともに、営業体制の見直し、営業人員の増員など、効果の示現にはなお一定の時間を要するものの来期以降の拡大に向けて各種施策に取り組んでおります。

金融機関向けマッチングシステム「Linkers for BANK」、並びに事業会社向けマッチングシステム「Linkers for Business」からなる「LFB」は、期中に導入機関同士の合併等があったものの、新たに5機関(純増では3機関)の新規導入がなされたことから、累計導入機関数は50機関に到達いたしました。月額利用料の拡大など、ストック収益基盤は順調に拡大しております。

なお、「Linkers Trading」においては、前期において主力商材であった再生アルミニウムの取り扱いを終了したことに伴い重要性が低下したことから、記載を省略しております。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,047,585千円、セグメント損失は407,169千円となりました。

 

② リサーチ事業

当連結会計年度において分社化を行い、「Linkers Research」を中心としたリサーチサービスを移管しております。期初から営業人員の確保が進まなかったことなどを受けて受注が低迷したことから、親会社によるフィールドセールスの支援など営業活動の立て直しを図ったものの、折からの生成AIの市場拡大によるリサーチサービスのコモディティ化の影響は否めず、情報収集・要約の内製化や競合の民主化といった当社グループのサービス領域への浸食もあり、「Linkers Research」の調査件数は228件となりました。

当該事業については、より顧客ニーズの高いカスタマイズ調査へのシフト等、採算性を重視したサービスポートフォリオとすべく、各種施策に取り組んでおります。

以上の結果、当セグメントの売上高は313,149千円、セグメント損失は50,819千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、912,518千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、227,769千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失545,628千円、減損損失117,195千円、減価償却費109,230千円、未払金の増加額26,259千円、前受金の増加額24,586千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、100,930千円となりました。これは、無形固定資産の取得による支出100,930千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、9,996千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出9,996千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループが行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ビジネスマッチング事業

1,047,585

リサーチ事業

313,149

合計

1,360,735

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

2.当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、1,360,735千円となりました。これは主に、自社運営マッチングサービス及びリサーチサービスが低調に推移したことによるものであります。

 

b.売上原価、売上総利益

 当連結会計年度の売上原価は、440,878千円となりました。これは主に、リサーチサービスに係る業務委託料等が減少したことによるものであります。

 この結果、売上総利益は、919,856千円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,377,845千円となりました。これは主に、業容拡大に伴う人件費の増加、及びシステム基盤強化のためのシステム関係費用の増加によるものであります。

 この結果、営業損失は457,988千円となりました。

 

d.営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外損益は、29,555千円の利益となりました。これは主に、補助金収入の計上によるものであります。

 この結果、経常損失は428,433千円となりました。

 

e.特別損益、当期純利益

 当連結会計年度の特別損益は、減損損失の計上により117,195千円の損失となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は548,214千円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資金需要の主なものは、事業拡大の基盤となる人材拡充の採用費及び人件費、並びに新規プロダクト開発及びマッチングプラットフォームへのシステム開発に係る設備投資となります。運転資金の調達については、事業活動による営業キャッシュ・フローの獲得を前提とした上で、手元流動性と安定性を目的とし、自己資金で対応する方針ですが、資金繰りが悪化した場合など有事の際のバックアップラインとして取引先金融機関と当座貸越契約を締結しております。なお、2025年7月末における現金及び現金同等物の残高は、912,518千円であり、十分な流動性を確保していると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、事業に係る固定資産については、主として事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位によって資産のグルーピングを行っております。資産グループごとに減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候があると認められる資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討を行っておりますが、経営環境及び市場環境の変化による収益性の変動等により、翌連結会計年度において他の資産グループも減損損失の認識が必要となる場合があります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に変化する外部環境に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、顧客ニーズにマッチしたサービスの提供等を通じて、経営成績に重要な影響を与える要因を分散・低減しながら、適切に対応してまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための指標」に記載のとおり、持続的な事業拡大と企業価値向上を重要な経営目標とし、各経営課題に取り組んでおります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

 当社グループの事業は、従来、ビジネスマッチング事業の単一事業でありましたが、当連結会計年度において、リサーチサービスを分社化し、株式会社リンカーズOI研究所(以下、「OI研究所」)を連結子会社として設立したことに伴い、当連結会計年度より報告セグメントを「ビジネスマッチング事業」の単一事業から、探索・マッチングサービスとその他サービスにて構成される「ビジネスマッチング事業」及びOI研究所が提供する「リサーチ事業」の2区分に変更しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

合計(注)

 

ビジネス

マッチング事業

リサーチ事業

売上高

 

 

 

外部顧客への売上高

1,047,585

313,149

1,360,735

セグメント間の内部売上高又は振替高

1,047,585

313,149

1,360,735

セグメント損失(△)

△407,169

△50,819

△457,988

セグメント資産

1,291,429

72,245

1,363,674

その他の項目

 

 

 

減価償却費

92,350

16,879

109,230

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

93,309

38,558

131,867

(注)セグメント損失(△)は、連結損益計算書の営業損失と一致しております。

 

 

 

 

【関連情報】

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 

製品およびサービスごとの情報

合計

探索・マッチング

サービス

リサーチサービス

その他サービス

外部顧客への売上高

807,134

361,726

191,875

1,360,735

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

連結損益計算書の売上高の10%以上を占める外部顧客がないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

 

 

 

 

(単位:千円)

 

ビジネス

マッチング事業

リサーチ事業

全社・消去

合計

減損損失

47,485

69,710

117,195

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

該当事項はありません。