2024年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,465 100.0 -223 - -15.3

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、企業と企業の出会いのあり方を見直し、従来の産業構造では成し得なかった最適な出会いを提供することで、多くのイノベーションを生み出す産業のしくみを国内外に築き、産業全体の生産性を最大化するための連携のハブとなる企業を目指すために、ものづくり企業のあらゆる探索等の課題に対して、マッチングプラットフォームの運営を中心に課題解決のサービスを提供しております。

 「Linkers Research」は、研究段階における技術ニーズ・シーズの調査を手掛け、その企業が取り組むべき技術テーマや技術課題の顕在化を行います。また、「Linkers Sourcing」にて開発段階におけるニーズ起点のマッチングを手掛ける技術探索サービスを提供し、「Linkers Marketing」にてシーズ起点のマッチングを手掛ける用途開拓サービスを提供することで、多様なマッチング機会を創出いたします。

 「Linkers Trading」は、量産段階におけるサプライヤー探索等の調達支援を通じて、発注企業及び受注企業の新たな商流構築を行っております。

 これら一連のサービス提供を通じて、ものづくり企業の研究から開発、そして量産に至るまでの各プロセスにおける課題解決をワンストップで支援することで、ものづくり企業のイノベーションを促進する価値創出を行っております。

 なお、当社はビジネスマッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませんが、当社の提供するサービスの内容と特徴により、「探索・マッチングサービス」、「リサーチサービス」、「その他サービス」に分類し、サービス種別で事業の内容を記載しております。

 

(1)探索・マッチングサービス

① 「Linkers Sourcing」

イ.サービスの内容

 「Linkers Sourcing」は、大手企業を中心とした技術課題を抱えた発注企業と、ものづくりに特化した全国の中堅・中小企業等を引き合わせる技術探索サービス(注1)であります。新たなイノベーションや技術を産み出すことで他産業へも波及効果を持つ、日本のGDPの2割前後を占める製造業(注2)を中心としたものづくり企業の活性化を目的としております。

 当社が提供するマッチングプラットフォームは、当社が蓄積してきたビジネスマッチングデータを活用したAI(注3)マッチング、受注候補企業の自薦、及び地元企業に密着・支援している産業コーディネーター(注4)からの推薦による、現場の暗黙知情報(注5)を含めた網羅的な受注候補企業の抽出と選定を実現し、ニッチな案件も含めてマッチングを可能(成約率約48.8%(注6) 2021年8月~2023年7月までの平均値)とした、ものづくり系マッチングサービスとなります。

 また、「Linkers Sourcing」は、サービスを利用する発注企業との間でのみ、案件探索時に①基本利用料が、面談ないしは成約に至った場合に②成果報酬(面談)、③成果報酬(成約)がそれぞれ収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Sourcing」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 各地域の企業や研究機関をよく知る産業コーディネーターの紹介による受注候補企業

全国の地方自治体、地域金融機関、中堅・中小企業支援機関、商工会議所、大学などに所属する産業コーディネーターが登録されております。これまでものづくりに知見を有する産業コーディネーターを介して、多数の有力な受注候補企業の獲得がなされており、受注候補企業が保有する独自技術やその特徴等を当社データベースとして活用することで、新商品、新規事業開発などにおける大手企業(発注企業)のニーズを満たすものづくりに特化した有力企業等(受注候補企業)を、網羅的に複数探索することが可能となります。

(b) 多様なマッチング手段の提供

当社のマッチングプラットフォームには、過去に手掛けた「Linkers Sourcing」の探索によりアカウント登録された受注候補企業の法人情報と、過去のマッチング情報がデータベース化されております。現在も当社が案件探索を行う都度、案件の受注候補となる企業を探し、登録を促すなどしてデータベースの拡充を図っております。

これにより、当社から配信する探索案件情報に対して、自らエントリーする自薦制度以外にも、当社がこれまでの探索プロセスにてネットワーク化したものづくりの企業を中心とした法人データベースを活用し、AIマッチングにより抽出した受注候補企業や、当社の事務局自らが探索した受注候補企業にエントリーを促すことが可能になります。

「Linkers Sourcing」の探索を通じて当社に蓄積された知見を掛け合わせることで、複数の探索プロセスを提供することが可能となり、更にはマッチング機会の最大化を図ることが期待できます。

「Linkers Sourcing」における候補企業アカウント数の累計の推移は、以下のとおりであります。

(単位:社数)

 

区分

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

候補企業

アカウント数(※)

登録数

227

216

219

176

142

163

170

140

192

126

136

150

累計

18,320

18,536

18,755

18,931

19,073

19,236

19,406

19,546

19,738

19,864

20,000

20,150

※ 「Linkers Sourcing」でのマッチング候補先の企業数を指します。

 

また、足元の登録数が漸減傾向にありますが、これは2021年8月より実装したAIマッチング等の活用により、従来よりも効率的な候補企業の抽出が可能になったことによるものであります。

今後の成約率等の維持向上及びクオリティコントロールにおいては、候補企業アカウント数の増加も欠かせないことから、引き続き、案件探索時に一定数の候補企業獲得の確保を行うなどしてデータベースの拡充を図ってまいります。

なお、上述のAIマッチング等が有効に機能するためには、候補企業アカウントの登録情報が常に最新の状態であることが重要となりますが、候補企業の中には登録後から情報のアップデートがない企業が一定数存在いたします。そのため、AIマッチングのレコメンド機能を通じて、「Linkers Sourcing」における進行中の案件概要を候補企業に配信することによる当社との接点頻度の増加、登録情報更新の促進等の取り組みを通じて、登録企業アカウントの情報アップデートを行ってまいります。

 

② 「Linkers Marketing」

イ.サービスの内容

 「Linkers Marketing」は、当社独自の企業ネットワークを活用して、当社が提供するマッチングプラットフォームにて、発注企業が保有する技術・製品を必要とする会社との面談機会創出の支援を行う技術・製品の用途開拓サービスとなります。

 また、「Linkers Marketing」は、サービスを利用する発注企業との間でのみ、案件探索時に①基本利用料が、面談に至った場合に②成果報酬(面談、最大6社分)がそれぞれ収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Marketing」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 技術課題を抱えた大手企業との商談機会の創出

「Linkers Marketing」は、「Linkers Sourcing」と同一のマッチングプラットフォームにて提供するサービスとなります。当社は、「Linkers Sourcing」を通じて、これまでに1,900案件超(2024年7月末日現在)の技術パートナー探索を手掛けていることから、「Linkers Sourcing」のマッチングプロセスを通じて培ってきた企業ネットワークは、大手企業から中堅中小企業まで幅広い接点を有しております。

特にものづくりに特化したサービスという背景もあり、当社の企業ネットワークは各社の技術部門と接点を有しております。そのため、「Linkers Sourcing」とは対照的に、「Linkers Marketing」を利用する発注企業は、ものづくり分野の大手・中堅企業の技術部門との面談に繋がることが多く、新技術のマーケティングを実現することが可能となります。

(b) 顧客との商談を創出

当社は、主に「Linkers Sourcing」のサービス利用があり、大手企業の新技術への関心が高い技術者に向けて、継続的に当社から技術シーズ情報配信の案内を行っております。これにより、情報配信先への登録を促してそのネットワーク化を図ってきており、これまでにその登録企業は450社以上(2024年7月末日現在)に及んでおります。

これらの登録企業に向けて技術シーズ情報を配信することで、受信した技術者を通じて大手企業内での技術情報の共有がなされるケースが多いことから、商談機会の創出が期待できます。

 

「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における探索案件の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

区分

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

探索件数

(※)

件数

55

83

56

40

64

41

62

43

63

46

43

31

年間合計

234

210

183

 

※ 「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」での案件探索の合計となります。

 

 また、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における取引社数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:社数)

 

区分

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

取引社数

(※1)

登録数

22

26

18

9

21

10

10

6

26

11

14

6

累計(※2)

544

570

588

597

618

628

638

644

670

681

695

701

 

※1 「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」での発注実績のある企業数を指します。

※2 取引社数の累計数は、「Linkers Marketing」のマッチング候補先としての規模感を表す参考値として記載しております。

 

③ 「LFB(Linkers for BANK/Linkers for Business)」

イ.サービスの内容

 「LFB」は、「Linkers Sourcing」のマッチングプラットフォームをベースに開発したSaaS型ビジネスマッチングシステム(注7)となります。地域金融機関、及び事業会社が取り扱うビジネスマッチングを一元管理することでビジネスマッチングの効率化を図るとともに、案件情報の全体での共有とマッチングのノウハウ等のナレッジ共有を実現することによるマッチングの成約率向上に特化したサービスであります。金融機関向けには「Linkers for BANK」を、事業会社向けには「Linkers for Business」を提供しております。

 また、「LFB」は、導入機関との間でシステムの導入時に①導入支援料が収益として発生するとともに、サービス利用開始から②月額利用料が契約期間に従って継続的に収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「LFB」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 営業支援ツールとビジネスマッチング管理ツールの両面を併せ持つマッチングプラットフォーム

従来、地域金融機関等では行職員にて案件情報が属人的に管理されているなど、情報の非対称性が課題となっておりました。「LFB」を導入することで情報の一元管理が可能となり、より多くの行職員間での情報共有が適切になされます。

行職員間で過去のマッチング事例やノウハウが共有されることから、地域金融機関等の顧客が持つ売りたい(または買いたい)商材やサービスを、より多くマッチングする機会を創出することが期待できます。

また、「LFB」に実装している「ISM(注8)」を活用することで、より導入機関の行職員がマッチングプロセスに介在する機会が創出されます。行職員が取引先の課題のヒアリングから具体的なソリューション提案を行い、案件の内容に適した探索や案件紹介等まで提供することが可能となることから、今まで顕在化が難しかった潜在的なマッチング案件を商談化することが可能となります。

また、導入機関においては、システム上で紹介理由や成約(又は失注)理由などの蓄積ができるとともに、全行職員の間で商談化したマッチング案件の提案状況や提案内容の可視化が可能となり、知見の共有によるマッチング案件の増加が期待できます。

 

「LFB」導入機関にて創出された商談数(※1)の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

 

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

発生商談数

(※2)

9,201

12,343

11,209

14,764

15,122

18,981

18,497

17,849

20,194

22,592

21,929

26,449

※1 「Linkers for BANK」導入機関内で発生したビジネスマッチングの商談数であり、「Linkers for BANK」導入により創出されたマッチング案件の推移を示したものであります。

※2 「Linkers for BANK」全導入機関の商談数

 

(b) 様々なマッチング手段を用いて多くの商談を創出

「LFB」は、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」を提供している当社のマッチングプラットフォームとシステム連携することが可能であり、全国規模のデータベースを活用したマッチングの実現及び販路開拓案件への対応が可能となります。

併せて、「Linkers Sourcing」における発注案件を「LFB」に展開することで、「LFB」導入機関の取引先に対して大手企業からの受注機会を提供することが可能になります。これは、新たなマッチング事業立上げのきっかけになるとともに、「LFB」の導入機関が増加することで、「LFB」導入機関同士でマッチングを行う広域連携サービスを通じて、自機関を超えて商圏の異なる導入機関の取引先も対象としたビジネスマッチングを活性化させることが期待できます。

また、「Linkers for BANK」を導入している金融機関は、従来、財務データや担保・保証による定量評価での融資が中心でありましたが、本システム導入に伴いビジネスマッチングのノウハウを蓄積することで、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して行う融資、すなわち「事業性評価」を行うことが期待できます。

 

「LFB」の導入機関数累計の推移は、以下のとおりであります。

(単位:機関)

 

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

 

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

導入数(※)

3

3

2

2

2

3

5

△3

2

1

8

導入累計(※)

22

25

27

29

31

31

34

39

36

38

39

47

※ 「Linkers for BANK」及び「Linkers for Business」の導入数

 

④ 「Linkers Trading」

イ.サービスの内容

 「Linkers Trading」は、複数のサプライヤーを確保して調達リスクを回避したい、あるいは、安価なサプライヤーを探したいといった課題を持つ企業に向けて、当社が保有する独自のものづくりネットワークを活用した、最適な調達・購買先の探索並びに調達支援等を行うサービスとなります。

 大手企業を中心に、脱炭素などの社会的な要請の高まりや、紛争等の地政学的リスク増大に伴うサプライチェーン再構築などの大きなトレンド変化を背景に、新たな海外のサプライヤー等の探索といった海外ネットワーク構築にも取り組んでいることから、国内外を問わず当社ネットワークを活用した機動的な支援が可能となります。

 なお、「Linkers Trading」は、調達支援のサービス提供内容により契約形態が異なり、取引高に応じた手数料を計上する場合と、製品等の仕入・販売を計上する場合があり、それぞれ納品等の役務完了時に収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Trading」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 海外候補企業とのアクセス提供

発注企業の調達ニーズは、価格競争力や先端技術を有するサプライヤー確保の観点から、国内のサプライヤーのみならず海外候補企業も選択肢となりえます。そのため、当社は現地事情に精通した海外の協業パートナーと連携や協業を行うことで、ASEANを中心に東アジア、インドを含めて最適なサプライヤー探索を行うことが可能となっております。

「Linkers Trading」は、国内だけの探索に限定しないことで、企業の「複数のサプライヤーを確保して調達リスクを回避したい」、「安価なサプライヤーを探したい」、「新規生産拠点のサプライヤーを探したい」といったニーズに対応することが可能となります。

なお、国内製造業における海外からの製造部品等の調達は、サプライチェーンの中で存在感を発揮しており、発注企業の新たな調達先の開拓、複数の生産拠点の確保等の必要性は益々高まると想定しております。海外市場が持つ規模の大きさや、国内と比較した場合の経済成長率の高さなどからも海外企業を通じた調達支援機会が増加するものと考えております。

(b) 他サービスとのクロスセル

「Linkers Trading」の顧客層は、当社が提供する「Linkers Sourcing」の主要顧客である大手企業が想定されます。そのため、発注企業が抱える課題に対するソリューション提案のプロセスにおいて、技術課題探索のニーズに対しては「Linkers Sourcing」を、調達や量産課題のニーズに対しては「Linkers Trading」をそれぞれ提供することが可能となります。そのため、発注企業にとっても効率よく課題解決の手段を獲得することが可能となります。

 

なお、「Linkers Trading」においては、これまで再生アルミニウムの調達支援を中心に手掛けておりましたが、採算性が悪化したことから、当事業年度をもって再生アルミニウムの取り扱いを終了いたしました。今後は、「Linkers Sourcing」の海外探索サービスと連携して、より採算性等を重視した調達支援に取り組む予定としております。

 

(2)リサーチサービス

① 「Linkers Research」

イ.サービスの内容

 「Linkers Research」は、企業が新規事業やマーケティングを行うにあたって直面する研究パートナーや技術パートナーの探索、新規事業検討、R&D(注9)のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査及び出資先や提携先検討のための有力企業発掘など、企業が抱える様々な課題、情報の取得困難性に対して、技術専門性のあるリサーチャーが調査結果をまとめたレポート等を提供するサービスとなります。

 また、「Linkers Research」は、成果物の検収時にそれぞれの契約額に基づき収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Research」は、企業の新規事業検討やR&Dのためのテーマ検討の技術ベンチマーク調査など、研究・技術パートナー探索に対するニーズやフォーカスに応じて、以下のようなサービスを提供しております。「Linkers Research」を通じて創出した新規事業のテーマに対して、「Linkers Sourcing」や「Linkers Marketing」を活用することで、さらなる深耕が期待できます。

 また、「Linkers Research」においては、各専門分野に精通した150人超(2024年7月末日現在)のリサーチャーと契約を締結してネットワーク化することで、企業からの様々なテーマ設定に対して対応することが可能となっております。

 また、実際の調査受注時には、リサーチャーネットワークに属する外部のリサーチャーに、単品テーマやフォーカスを絞った企画等の情報収集を委託します。その成果物は、当社内のリサーチャーが専門家視点で重要な技術情報の目利きを行い、統一化された粒度で技術情報を整理する分業体制を構築することで、調査成果物の品質管理と納期等のプロジェクト管理の両立が可能となっております。

 

(a) 一般リサーチ

企業が関心のある技術領域に関して、それぞれの調査テーマ・フェーズに適合した情報ソース、調査範囲、対象及び調査項目等の要件を定義して、調査を行っております。

(b) マルチクライアントリサーチ

当社が独自の視点で選択した特定の時節テーマや先端技術等の調査テーマにおいて、複数の企業に参加を募り、その調査結果を参加企業に限定して提供しております。複数企業に参加いただくことで費用負担を軽減しつつ、多くの調査結果を得ることが可能となります。

(c) カスタマイズリサーチ

顧客の課題に合わせて個社別にカスタマイズした調査アウトプットを提供しております。例えば、技術を活用した新規事業を立ち上げ時の市場動向調査、法規制動向調査、技術の競争力の考察など、幅広いテーマに対応した調査を行っております。

 

「Linkers Research」における調査件数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

区分

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

調査件数

(※)

件数

56

85

167

52

93

142

225

75

59

80

117

42

年間合計

360

535

298

※ (a)一般リサーチ、(b)マルチクライアントリサーチ、及び(c)カスタマイズリサーチにおける受注件数の合計となります。

 

② 「Linkers Research Clip」

イ.サービスの内容

 「Linkers Research Clip」は、「Linkers Research」にて作成したレポート等を、簡単に社内共有できるサービスであり、調査横断のテキスト検索や、社内の技術情報への興味の可視化など、調査結果を活用することが可能なWebアプリとなります。

 また、「Linkers Research Clip」は、サービス利用開始から月額利用料が発生し、契約期間に従って継続的に収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Research Clip」は、これまでExcelやPDF等のファイルとして提供してきた「Linkers Research」のレポート等を閲覧するためのWebアプリであります。アプリ内のデータベースに蓄積した技術情報を、複数の条件やフィルタで検索した検索結果をカード形式で表示することで、効率的に各技術情報を把握することが期待でき、また、調査結果の共有を行うことで、調査結果の活用や可視化、調査結果に対する個々人の興味情報のトレンド分析が可能となります。

 

(3)その他サービス

① 「TechMesse Academy」

イ.サービスの内容

 先端技術の動向や、オープンイノベーション(注10)に関心がある聴講者に向けて、企業が手掛ける知識やノウハウなどを「伝える」「学ぶ」をコンセプトに、企業が保有する技術やサービス、自治体並びに外郭団体等が支援している企業が保有する技術やサービスのプロモーション活動等を支援する集客型のイベント運営サービスとなります。

 「TechMesse Academy」は、セミナー等のイベント支援の完了時に、イベント支援内容に応じて発注企業と契約を締結した契約額に基づいて収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Sourcing」や「Linkers Marketing」の探索等でネットワーク化した、当社が保有するものづくりに知見や興味を有する技術者をデータベースとして活用し、技術やサービスに関するセミナー等のイベントの案内をすることで、広告出稿や展示会出展ではなかなかリーチできない企業のキーマンや、オープンイノベーション又は先端技術に関心のある技術者の集客が可能となります。

 

(注)1.発注企業の技術課題を解決できる技術を保有する企業を探索して、マッチングを行うサービスを指しております。

2.令和5年12月25日 内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部『2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計』

3.Artificial Intelligenceの略で、人工的に作られた知能を持つコンピュータシステムやソフトウエアを指しております。

4.当社が提供する探索・マッチングサービスにおいて、受注候補企業等の推薦を行う情報提供者を指しております。

5.個人的な経験や勘などに基づく他人に説明することが難しい知識のことで、経験やノウハウを指しております。

6.発注企業と受注候補企業との間で個別契約等が締結されるなどの成果が発生し、発注企業によりマッチングプラットフォーム上でマッチング成立とされた率を指しております。

 

7.「Software as a Service」の略であり、クラウドサーバーにある当社が開発したビジネスマッチングシステムを、インターネットを経由して利用できるサービスを指しております。

8.Issue Solution Matrixの略で、当社が従来、マッチングの知見に基づいて構築した「企業の課題、イシュー」とそれを解決する「製品・サービスによる解決策、ソリューション」の対応表をデータベース化して「LFB」に搭載したものであり、「LFB」システムの中でキーワード検索をすると、同データベースから類似の課題や、課題に対する解決策を把握することができる機能を指しております。

9.Research and Developmentの略で、自社の事業領域に関する研究や新技術の開発力を高めるために必要な活動を行うことを指しております。

10.2006年に米国研究者のヘンリー・チェスブロウ氏の著書『Open Innovation:The New Imperative for Creating And Profiting from Technology』にて提唱された概念を指しております。

 

[事業系統図]

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ237,572千円減少の1,845,589千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少151,923千円、前渡金の減少83,515千円、繰延税金資産の減少74,323千円、ソフトウエアの増加73,386千円等によるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ52,281千円減少の187,820千円となりました。これは主に、未払法人税等の減少24,418千円、借入金の返済による長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の減少28,746千円等によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ185,290千円減少の1,657,768千円となりました。これは、新株予約権の行使及び譲渡制限付株式報酬としての新株発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ7,727千円増加した一方で、当期純損失200,744千円を計上したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は89.8%(前事業年度末は88.5%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 当社は、「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、企業と企業の出会いのあり方を見直し、従来の産業構造では成し得なかった最適な出会いを提供することで、多くのイノベーションを生み出す産業のしくみを国内外に築き、産業全体の生産性を最大化するための連携のハブとなる企業を目指すために、マッチングプラットフォームの運営を中心としたビジネスマッチング事業を展開しております。

 サービス内容としては、ニーズ起点のマッチングを手掛ける技術探索サービス「Linkers Sourcing」、シーズ起点のマッチングを手掛ける用途開拓サービス「Linkers Marketing」、調達支援サービス「Linkers Trading」、SaaS型の金融機関向けマッチングシステム「Linkers for BANK」、及び当該事業会社向けマッチングシステム「Linkers for Business」の提供による探索・マッチングサービスと、技術ニーズ・シーズの調査を手掛ける「Linkers Research」を中心としたリサーチサービスを主たるサービスとしております。

 

 当社が取り組むビジネスマッチング事業は、企業研究費の投下による新技術創出への動向や、製造業を中心とした設備投資意欲の継続、地域金融機関の収益多様化に向けた取り組みなど、オープンイノベーションへの投資領域の拡大に伴い、需要は拡大していくと想定しております。一方で、ウクライナ紛争の長期化による資源価格の高騰や中東地域をめぐる地政学リスクの高まり、また、為替変動による世界的なインフレの進行や金融引き締めにより、景気の下振れリスクが懸念されています。

 このような事業環境の中、探索・マッチングサービスにおいては、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」は、海外探索サービスの立上げ並びにコーディネーターネットワーク構築に、主たる営業リソースを重点的に配置したことから、国内案件の営業活動量が低下した結果、着手案件数については183件(前年同期210件)と減少いたしました。また、サプライヤー探索である「Linkers Trading」は、主にカーボンニュートラルへの取組強化を背景とした再生アルミニウムの調達支援を手掛け、一部の大口需要家の調達が順調に推移したことで、予想を上回って進捗いたしました。金融機関向けマッチングシステム「Linkers for BANK」、並びに事業会社向けマッチングシステム「Linkers for Business」で構成される「LFB」は、累積導入機関数が47機関(前年同期39機関)まで伸長し、ストック収益基盤が拡大いたしました。

 リサーチサービスにおいては、期初より、将来的な独自拡大を企図した分社化を想定し、部門独自の営業活動を行う体制へと変更を行いましたが、営業人員の採用が遅れたことで想定以上に営業活動が難航したことから、「Linkers Research」の調査件数は298件(前年同期535件)と大きく減少いたしました。

 一方、コスト面については、「Linkers Trading」に係る仕入高の発生、「Linkers Research」に係るリサーチ外注費用の増加、並びにシステム関係費用等が増加いたしました。

 

 以上の結果、当事業年度の売上高は1,464,541千円(前年同期比8.9%減)、営業損失は223,432千円(前年同期は営業利益85,750千円)、経常損失は124,130千円(前年同期は経常利益80,223千円)、当期純損失は200,744千円(前年同期は当期純利益102,170千円)となりました。

 なお、当社はビジネスマッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ151,923千円減少し、1,251,215千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、14,543千円(前事業年度は66,386千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純損失124,130千円、減価償却費70,383千円、前渡金の減少額83,515千円、売上債権の減少額38,547千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、141,251千円(前事業年度は83,737千円の使用)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出141,251千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、25,216千円(前事業年度は223,222千円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出28,746千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入3,530千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をサービス別に示すと次のとおりであります。なお、当社はビジネスマッチング事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当事業年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

探索・マッチングサービス

962,871

98.1

リサーチサービス

408,671

76.8

その他サービス

92,998

98.7

合計

1,464,541

91.1

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

 当事業年度の売上高は、前事業年度に比べて143,226千円減少し、1,464,541千円(前年同期比8.9%減)となりました。これは主に、営業体制の変更による販売力低下により「Linkers Research」が低調に推移したことによるものであります。

 

b.売上原価、売上総利益

 当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べて20,668千円減少し、509,362千円(前年同期比3.9%減)となりました。これは主に、「Linkers Trading」における仕入高の減少等によるものであります。

 この結果、売上総利益は、前事業年度に比べて122,558千円減少し、955,179千円(前年同期比11.4%減)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて186,625千円増加し、1,178,611千円(前年同期比18.8%増)となりました。これは主に、業容拡大に伴う人件費の増加、及びシステム基盤強化のためのシステム関係費用の増加によるものであります。

 この結果、営業損失は223,432千円(前年同期は営業利益85,750千円)となりました。

 

d.営業外損益、経常利益

 当事業年度の営業外損益は、前事業年度に比べて104,829千円増加し、99,302千円の利益(前年同期は5,527千円の損失)となりました。これは主に、補助金収入の計上によるものであります。

 この結果、経常損失は124,130千円(前年同期は経常利益80,223千円)となりました。

 

e.特別損益、当期純利益

 当事業年度の特別損益は、固定資産除却損の計上により0千円の損失となりました。また、繰延税金資産の取崩に伴う法人税等調整額74,323千円を計上した結果、当期純損失は200,744千円(前年同期は当期純利益102,170千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資金需要の主なものは、事業拡大の基盤となる人材拡充の採用費及び人件費、並びにマッチングプラットフォームへのシステム開発に係る設備投資となります。運転資金の調達については、事業活動による営業キャッシュ・フローの獲得を前提とした上で、手元流動性と安定性を目的とし、自己資金で対応する方針ですが、資金繰りが悪化した場合など有事の際のバックアップラインとして取引先金融機関と当座貸越契約を締結しております。なお、2024年7月末における現金及び現金同等物の残高は、1,251,215千円であり、十分な流動性を確保していると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

 なお、当社が財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得の見積額が変動した場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に変化する外部環境に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、顧客ニーズにマッチしたサービスの提供等を通じて、経営成績に重要な影響を与える要因を分散・低減しながら、適切に対応してまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための指標」に記載のとおり、持続的な事業拡大と企業価値向上を重要な経営目標とし、各経営課題に取り組んでおります。