リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社のリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 ロ.リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 競合について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
ビジネスマッチング事業は、発注者の要望に応じることのできる多数の受注候補者を囲い込みできるか否かを除いては、参入障壁が比較的低いビジネスモデルであります。また、将来の成長が期待される市場であり、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。これまで、先行して事業を推進することで、連携する産業コーディネーターを通じてこれまで有力な受注候補企業を増加させてきたことや、マッチングプラットフォームの法人データベースの構築、及び運用に取り組んできたことが優位性につながっており、実際に競合する状況も限定的となってきております。
しかしながら、今後において十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 自然災害について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
大規模な地震等の自然災害や事故など、当社による予測が不可能かつ突発的事由によって、事業所等が壊滅的な損害を被る可能性があります。このような自然災害に備え、従業員安否確認手段の整備、オフィスでの備蓄食料・生活物資の確保、無停電電源装置の確保等に努めておりますが、想定を超える自然災害が発生する場合は、当社の事業活動が制限され、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社が直接被災しない場合であっても、外注先等の被災により、間接的に損害を被る場合もあります。また、災害等の発生によって、電力等の使用制限による社会インフラ能力の低下、個人消費意欲の低下といった副次的な影響により、発注者や受注者の事業活動の抑制につながる可能性があり、そのような場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症やその他の疫病について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
新型コロナウイルス感染症に対しては、取引先、関係者及び従業員の安全を第一に考え、テレワーク勤務体制の構築、Web会議システム等のツール活用の促進等の感染予防に努めております。
しかしながら、今後新たな感染症・疫病等が発生した場合は、事業遂行上様々な制約を受ける可能性が否めず、その受ける制約は予測が困難であります。また、当社顧客の新規投資への意欲減退等により当社への発注が停滞等するなど、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
① 技術革新への対応について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、競争力の強化のために探索及びマッチング手法の技術の開発・導入に注力する必要があります。そのため、海外を含めたビジネスマッチングに関する情報収集を行うとともに、「LFB」を導入している地域金融機関と共同で新たなビジネスマッチング手法の試行や、ビジネスマッチングに関するセミナーを開催して情報収集を行うなどの取り組みを行っております。
しかしながら、これらの技術への対応が遅れる可能性もあり、その場合には当社の競争力が低下することで、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② システムトラブルについて
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、「Linkers Sourcing」、「Linkers Marketing」及び「LFB」等の主力サービスを、インターネットを介したマッチングプラットフォームとして提供しております。
安定的なサービス運営を行うために、自社でサーバーを保有せず拡張性や可用性に優れた外部提供のクラウドサーバーを利用し、更にはロケーションの異なる2拠点におけるクラウドサーバーを利用してシステムの冗長化を行うことで、災害時のデータ消失に対する備えを行うとともに、データのバックアップ体制の整備や、稼働状況の監視による障害発生時の迅速な復旧対応体制も構築しております。
しかしながら、クラウドサーバー提供元における事故、不正アクセス、その他システム障害やネットワークの切断等予測不能なシステムトラブルが発生し、復旧に時間を要した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 業績の偏重について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:3月、影響度:中)
当社の顧客企業の多くは、決算期が3月であることから、リサーチサービスを中心に当社の主たるサービスの売上高が他の月と比較すると3月に集中する傾向があります。
当社としては業績の平準化を企図し、新規顧客の開拓や納期コントロールに努める方針ではありますが、今後においても3月に偏重した傾向が継続する可能性があります。
(2024年7月期の売上高並びに営業損失)
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
売上高(千円) |
363,168 |
296,341 |
444,497 |
360,534 |
1,464,541 |
営業損失(△)(千円) |
△90,370 |
△69,705 |
△4,729 |
△58,627 |
△223,432 |
④ 海外取引について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社は、「Linkers Trading」における調達支援サービスや「Linkers Sourcing」の海外企業探索等において、海外企業との取引を行う場合があります。海外においては、予測しえない法制の改正や金融情勢に伴う為替変動、政治的混乱などのカントリーリスクが存在することから、サービス開始時には取り扱う商材・サービス単位で法的論点の検証やリスク調査を行うとともに、現地事情に精通した協業パートナーと連携してリスクの最小化を図っております。
しかしながら、こうしたリスクが顕在化した場合には、当社の海外での調達に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の代表取締役社長である前田佳宏は、当社の創業者であり、設立以来当社の経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。当社は特定の人物に依存しない体制を構築するべく、幹部社員の情報共有や権限の委譲によって同氏に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏による当社の業務遂行が困難になった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 人材の確保・育成等について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっておりますが、今後の継続的な事業拡大や事業領域の拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。そのため、多様な採用媒体の確保等による採用体制の強化や、OJT等を通じた育成、人事制度設計・運用等を通じて人材の採用、育成及び定着に努めております。
しかしながら、将来的な事業拡大を踏まえた人員増強の計画に対し、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や、人材流出が進んだ場合には、業務運営及び事業領域の拡大等に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 内部管理体制について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、今後の事業運営及び業容拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、今後、事業規模の拡大に合わせて内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。
しかしながら、事業規模の拡大に必要な内部管理体制の充実・強化に遅れが生じた場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)法的規制に関するリスク
① 法的規制等について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の事業は、「電気通信事業法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」及び「情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)」などの法規制の対象となっており、これらの法規制を遵守した事業運営を行っております。また、今後も法令遵守体制の強化や社内教育などを行っていく方針であります。
しかしながら、今後これらの法令の改正や、当社の行う事業が規制の対象となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 知的財産権について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、事業運営の際に第三者の知的財産権侵害などが起こらないための管理体制を構築しており、社内の弁理士を中心としてその権利を侵害しないように留意するとともに、必要に応じて知的財産権を登録することにより、当社権利の保護にも留意しておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。
このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があります。その際に、加入している保険が適用されない、または損失を担保しきれない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 情報セキュリティ及び個人情報等の漏えいについて
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社では、業務上、個人情報その他機密情報を顧客より受領する場合があります。当社におきましては、2018年3月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)、同年12月にはプライバシーマーク(PMS)の認証規格に適合する証明を取得しており、個人情報を含む情報管理の重要性を周知徹底するべく役職員に対し研修等を行い、情報管理の強化を図っております。また、情報セキュリティについては外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止について、社内の情報システム部を中心にシステム的な対策を講じております。
しかしながら、当社が取り扱う機密情報及び個人情報について、漏えい、改ざん、又は不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求や信用失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)その他
① 税務上の繰越欠損金について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:1年から2年、影響度:中)
2024年7月期末には、当社に税務上の繰越欠損金が存在しており、将来における法人税等の税負担が軽減されることが予想されます。ただし、将来において当該繰越欠損金が解消又は失効した場合は、通常の税率に基づく税負担が生じることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 訴訟、係争について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社では、当事業年度末現在において訴訟、係争は生じておりません。
しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、係争が行われる可能性は否定できず、訴訟や係争が発生した場合、その経過又は結果によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:2年から3年以内、影響度:中)
当社は、業績向上に対する意欲向上を目的として、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社の役員及び従業員に付与しております。2024年7月期末時点で新株予約権の株数は380,100株であり、当社発行済株式数の13,747,000株に対する潜在株式比率は2.76%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。
④ 配当政策について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。
しかしながら、当社は、成長過程にあり内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っておりません。また、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
将来的には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
⑤ 資金使途について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社株式上場時の公募増資による調達資金の使途については、主にサービス拡大に備えたシステム開発への投資、業容拡大のための人材の採用費用に充当する予定であります。
しかしながら、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくため、現時点での資金使途計画以外へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、期待どおりの効果を得られない可能性があります。
⑥ 固定資産の減損について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社はマッチングプラットフォームの提供にあたって、主に自社開発によるソフトウエアを固定資産計上しておりますが、収益性の低下等により当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローが投資額を下回る場合には、当該資産の回収可能性を慎重に検証し、必要に応じて適切に減損処理を行うこととしております。
今後、当社の事業領域の拡大、利便性の向上等を目的とした積極的な投資を実行する可能性がありますが、将来の環境変化等により投資の回収が見込めない場合、減損損失を計上することにより当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。しかしながら、当社は、成長過程にあり内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っておりません。
今後の配当政策の基本方針としては、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境等を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。
内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として有効活用していく予定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は中間配当を取締役会の決議によって実施できる旨を当社定款に定めております。