リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
また、当社におけるリスクの把握及び管理する体制は、後述の「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバ ナンスの状況等」に記載のとおりであります。
(1)イノベーションへの対応について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が事業を展開するIT業界においては、イノベーションのスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入等が行われております。当社のサービスは、当社の自然言語処理、機械学習、ITシステム開発と当社の独自データを組み合わせることにより、今後も競争力のあるサービスを提供できるように取り組んでおります。当社のサービスは現在、既存顧客等からの紹介等による安定した新規受注を受けており、高い顧客継続率を維持しておりますが、予想以上の急速なイノベーションや代替技術・汎用的な競合商品の出現等により、当社のサービスが十分な競争力や付加価値を確保できない場合等には、新規受注の減少や顧客契約継続率の低下により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制等によるインパクトについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
現在、日本国内においてインターネットに関連する主要な法規制は電気通信事業法となっておりますが、インターネット上の情報流通やEコマースのあり方についても様々な議論がなされている段階であります。当社が営むインターネット関連事業そのものを規制する法令は本書提出日時点において存在しませんが、今後、インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象とする法令等が制定される他、既存の法令等の解釈の変更があった場合、当社の事業が制約され、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)景気動向の変動によるインパクトについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
企業を取り巻く環境や労働人口減少に伴う企業経営の効率化などの動きにより、当社の関連市場は今後急速に拡大すると予測されるものの、その一方で、企業の景気による影響や別の各種新技術に対する投資による影響を受ける可能性があります。また新型コロナウイルス感染症の感染拡大やウクライナ情勢は社会経済に大きな影響を与えており、現時点では終息する見込みが立っておりません。当社の事業を展開する市場への影響が想定を超えて長期化する等、経済情勢の変化に伴い事業環境が悪化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)事業開発の確実性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社のサービスは、商品特性ゆえに幅広い産業に対して提供することが可能であります。今後も引き続き、保安や広告・説明コンテンツの校正校閲やコールセンター市場のみならず、他の産業にも積極的に参入し、新サービス及び新規事業に取り組んでまいります。但しこれにより、システムへの投資や人件費等による追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)採用及び育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、事業の拡大に伴い、自然言語処理、機械学習、ITシステム開発の各々に対応可能なエンジニアやマネージャーの獲得・確保・育成を進めております。更に、大学生を中心とするインターン生に関しても、日進月歩で技術革新が進むAI分野において、最新の知見を有しており、当社の技術を支える重要な存在であることから、継続的な採用・育成を進めております。また、従業員の働きやすさを重視した業務環境の整備(テレワーク等)を積極的に行うことで、人材の外部流出防止にも努めております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず、必要な人材を確保することができない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)システムトラブル等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であり依存していると認識しております。従って、常時データバックアップやセキュリティ強化を実施しているほか、クラウドサービスへシステムを分散配置することで、安定的なシステム運用体制の構築に努めております。しかしながら、予期せぬ自然災害や事故によるインターネット通信網の切断や、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社のサービスが停止する可能性があります。これまで当社において、そのような事象は発生しておりませんが、万が一サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)プロジェクトの採算悪化について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社のプロジェクト型案件は社内標準のマニュアルに基づき想定される工数から見積りを作成し、見積りの顧客提示前に部長・CTO等がレビューを実施する他、案件開始後もプロジェクトマネージャーと部長・CTO等が定期的に進捗を確認することで丁寧にプロジェクトを管理しております。しかしながら、特に大規模案件に関しては見積りの誤りや作業の遅れ等により超過コストが発生する場合がございます。このような事象が発生した場合、プロジェクトの採算悪化や納品遅延等により売上原価の増加や売上計上の遅れが発生して、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)法令遵守に関する体制について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのためコンプライアンス規程を策定するとともに適宜研修を実施し、周知徹底を図っております。また、定期的にコンプライアンス・リスク管理委員会を開催し、当社の運営に関する全社的・総括的なコンプライアンス管理の報告及び対応策検討を実施しております。しかしながら、これらの取り組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の企業価値及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)訴訟、係争について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社では、本書提出日現在において、業績に影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。また、当社は取引の契約締結に際して事前に契約条文の確認を行う等、トラブル等の未然防止に取組んでおります。しかしながら、当社が事業活動を行う中で、顧客等から当社が提供するサービスの不備等により、訴訟や係争が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらが発生した場合は、臨時的な費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社の事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。
(10)知的財産権について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社では、知的財産の取扱いについてまとめた知的財産管理規程を制定し、社内周知しております。また、当社による第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、特許に関する対価(ロイヤリティ)の支払や損害賠償請求等により、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)機密情報について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、一部の案件につき、業務上、顧客の保有する機密情報等を知りうる可能性があります。当社では、顧客と共にセキュリティ体制の強化を図ることはもとより、社内においても情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させるとともに、ネットワークセキュリティ等を強化することで、顧客が保有するデータの徹底的な管理や当社システムのデータ漏洩への対策を進めております。
(12)小規模組織であることに関して(発生可能性:大、発生時期:短期、影響度:中)
当社の持続的な企業価値の構築のため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。当社は小規模な組織であるものの、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するために、現在の規模において最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しておりますが、規模の拡大及びサービスの多様化に応じて適切な内部管理体制や業務執行体制を適切に変化させることができない場合、当社の業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。当社では、今後の業務量の増加及び業務内容の多様化に対応するため、組織規模を適切に把握し、組織体制の見直し、人員の増強及び業務の自動化、効率化によって、内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針であります。
(13)社歴が浅いことに関して(発生可能性:大、発生時期:短期、影響度:中)
当社は2018年7月に設立された社歴の浅い企業となります。当社はIR・広報活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、当社の過年度の経営成績は、決算期変更をしていることや、事業譲受を経て組織体制を大幅に変更していることからも、期間業績比較を行うための十分な分析材料とはならず、このため今後の業績等の将来的な予測における基礎情報としては不十分である可能性があります。
(14)当社株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:中)
当社の株主構成は、事業法人及び当社役職員が中心となっており、本公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末において29.6%となっております。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、役員・事業会社様への一部売出しの要請、新株予約権の行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
当社では、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における自己株式を除く発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は9.6%となっております。これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、既存株主が有する株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(16)配当政策について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。
内部留保の充実により確保された資金については、研究開発実用化に向けた開発投資、人材の採用、新規事業の開発をはじめとした収益基盤の多様化及び強化のための投資に活用する方針であります。
将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の剰余金の配当を期末に行うことを基本としており、その他年1回中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。
配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会であります。