2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)医療行政の変更に関するリスク

当社グループの属する業界は、医薬品医療機器等法や医療保険制度などの行政機関の規制の下で事業活動をしております。日本国内の医療を取り巻く環境は少子高齢化に起因する地域医療構想の推進等、引き続き大きな変化が見込まれております。今後、医療行政において予測できない大改革が行われ、その変化に対応できない場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、薬事法制の関連部門が行政機関及び医療制度の動向を定常的にモニタリングし、機動的に対応することでリスクの低減を図ってまいります。

 

(2)製品の安全性に関するリスク

当社グループは、高度な技術を要する医療機器を取り扱うことから、国内外の主要な事業拠点において品質国際基準ISO13485の認証を取得し、徹底した品質管理体制を確保しております。しかしながら、使用時の偶発的な不具合などにより医療事故等が発生した場合には、製造物責任により係争事件等に発展する可能性があるほか、製品の自主回収を行うリスクがあります。賠償責任や製造物責任の保険契約を締結しておりますが、万一保険範囲を大きく超える請求が認められた場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、品質マネジメントシステムのISO規格などに基づき、厳しい品質管理及び品質保証体制を整備しております。製造段階から販売後まで品質のモニタリングを実施し、不具合が発生した場合は迅速に対応する体制の構築を目指してまいります。

 

(3)研究開発の結果に伴う市場変化等に関するリスク

当社グループは、独創的かつ効果的な製品を創出することを目指し、研究開発を行っております。そのため、研究開発投資や設備投資を行うほか、パートナー企業と連携するなど、新製品上市に向けた活動に努めております。

しかしながら、治療法の変化により当初期待していた新製品の有効性が得られない場合や、開発期間の長期化により機会損失が発生した場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、開発マーケティング体制を強化するとともに、開発テーマごとの進捗状況のモニタリングや採算性評価などに努めております。

 

(4)販売価格の変動に関するリスク

当社グループの属する業界は、国内では医療費抑制策の一環として、特定保険医療材料価格の改定が概ね2年毎に実施され、さらに複数の医療機関が参加する共同購買も拡大しており、販売価格の引き下げの影響を受けております。また、中国市場でも医療保険財政の負担を背景に各地方で入札制度が実施されており、国内外において医療機器メーカーに対する価格低下圧力が強まっております。今後、想定を超えた製品価格の下落が生じた場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、生産の自動化・省力化への投資等を実施し原価低減を図るとともに、販売管理費の抑制や高付加価値製品の上市に向けた研究開発等に取組み、販売価格の低下に対応するよう努めてまいります。

 

(5)原材料及び仕入商品の供給停止、価格高騰に関するリスク

当社グループは、カテーテルなど医療機器に関わる原材料や仕入商品について国内外のサプライヤーから供給を受けておりますが、天災や疫病、地政学的な要因などでサプライチェーンに混乱が生じているほか、原油価格の高騰により原材料及び物流コストが上昇しております。今後、さらなるサプライチェーンの影響が生じた場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、原材料や仕入商品の調達ルートを新たに開拓し、安定供給と原価低減に努めてまいります。

 

 

 

(6)生産活動に関するリスク

当社グループは、国内工場及び海外拠点のうち、中国、ベトナムにおいて当社製品の生産を行っておりますが、これらの国で予期せぬ天災、疫病、法改正や政情不安などにより、原材料の調達や製造要員の確保等が困難になった場合は、生産の減少や生産停止となる可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、一つの生産品目を複数の生産拠点が製造できる体制を構築し、複数の供給業者からの調達等により、リスクが顕在化した場合の影響を最小化するとともに、製品の安定供給を目指してまいります。

 

(7)受託生産に関するリスク

当社グループの生産品には、自社ブランド品の他に特定顧客からの受託生産品があります。これらの受託生産品は、委託先の販売動向に左右されることから、販売低迷又は販売中止となった場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、市況の変化や主要取引先の動向などの情報収集を行うとともに、新規受注の獲得に向けた営業活動を強化するなど、売上の急激な変化に対応してまいります。

 

(8)訴訟等に関するリスク

当社グループの事業活動には、訴訟、紛争、その他の法的手続きに関するリスクがあります。これらのリスクが顕在化し損害賠償請求や使用差し止め請求等の訴訟が提起された場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、顧問弁護士や知的財産に関する社内専任担当者によるチェック体制を構築しており、リスクの回避を図っております。

 

(9)為替変動に関するリスク

当社グループでは、海外子会社を含む輸出入の一部で外貨建ての取引があり、さらに海外子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のために円換算しております。そのため、金融市場が混乱し大幅な為替変動が生じた場合は、輸出入の取引、連結財務諸表における財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、海外子会社との取引の一部を円建てとするほか、急激な為替変動に備え適切なリスクヘッジ等の検討を行っており、リスクが顕在化した場合は速やかに意思決定出来るように体制構築を目指してまいります。

 

(10)海外展開に関するリスク

当社グループは、中国及びベトナムに事業拠点を置き、製品の生産並びに販売をしております。これらの進出国や地域において、国際紛争、経済情勢の悪化、法規制の変更、疫病、天災等が生じた場合は、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。また、海外子会社における移転価格について税務上のリスクが顕在化した場合には追徴課税が発生し、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、進出国や地域における政治・経済情勢等の定常的な確認を行い、リスクの発見及び対応に努めております。また、移転価格につきましては事業展開国の税務情報を収集し、外部の専門家からの助言を受けながらリスクの低減に努めてまいります。

 

(11)M&A及び業務提携等に関するリスク

当社グループは、企業価値の向上または事業基盤の強化を目的として資本提携や業務提携に取り組んでおります。これらの投資に対し、不測の事態により当初期待していた成果が出せない場合には、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、企業価値の向上等を目的とする資本提携等を行う際は、対象企業の入念な調査と分析を行い、リスクの低減に努めてまいります。

 

 

 

(12)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報などの機密情報を保有しております。そのため、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃等の外部からの不正アクセスが発生した場合は、システム停止による事業の中断や機密情報の流出が生じ、財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、事業全般においてITシステムを活用しており、業務の安定稼働には情報システムのリスクが重要であると認識し、情報セキュリティの強化や不測の事態を想定した対策を行い、必要に応じ外部の専門家からの助言を受けながら、リスクの低減を図っております。

 

(13)疫病や感染症の蔓延及び大規模災害に関するリスク

当社グループはグローバルに事業拠点を展開しておりますが、疫病や感染症の拡大及び大規模災害により、営業面における通常医療への影響、サプライチェーンにおける生産工場の操業停止や原材料の供給停止など、事業活動に多大な影響を受けた場合には財政状態や経営成績に重大な影響をおよぼす可能性があります。

このようなリスクに対応して、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の経験により、従業員の感染防止策及び発生時の対応策を構築いたしました。疫病や感染症が蔓延した場合には、それらの知識と経験を活かし、被害の軽減を図ってまいります。また、大規模災害の発生については、「事業継続計画(BCP)基本方針」の制定や適切な訓練を行うことで、リスクが顕在化した場合の影響の最小化に努めてまいります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は株主の皆様への利益還元を経営の重要施策と位置付け、今後の収益力向上のために内部留保による経営基盤の強化を図りつつ、安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としております。

また、当社は中間と期末の年2回剰余金の配当をおこなうことを基本方針にしており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当金については株主総会、中間配当金については取締役会であります。

このような基本方針に則り、当事業年度につきましては、中間配当金1株当たり17円を実施いたしました。期末配当金につきましては、1株当たり20円として、年間配当金1株当たり37円を実施することを決定しました。

また、次期の配当金につきましては、当社設立50周年を記念しまして1株当たり39円(中間配当金19円(普通配当17円、記念配当2円)、期末配当金20円)の増配を予定しております。

内部留保資金につきましては、中長期的観点から、今後の事業の拡大と発展のために研究開発投資や設備投資などの原資として活用してまいります。

当社は、「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当をおこなうことが出来る。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年8月4日

154

17

取締役会決議

2024年3月28日

182

20

定時株主総会決議