2024年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、以下の項目には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2025年3月27日)現在において判断したものであります。

(1) 内製化比率の上昇

 基板事業においては、液晶ディスプレイ用ガラス素材メーカーあるいはその系列会社も当社と同様の加工(内製加工)を行っており、得意先でもあるガラス素材メーカーがガラス基板加工の内製化比率を高めた場合、当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。

(2) 需給バランスの崩れによる在庫の増加
 液晶ディスプレイ業界では、液晶パネルメーカーの生産量と液晶搭載製品の販売量との間の需給バランスが一時的に崩れる時期があり、その場合、各流通段階で液晶パネルの市況価格が下落するとともに在庫が増加し、当社への発注量が減少する可能性があります。

(3) 材料等の調達リスク

 当社における材料等(研磨剤等)は、レアメタル・レアアースに分類される特殊な部材であります。これらの輸出制限や国際紛争・国際市況における価格高騰、生産状況の大幅変動などにより、生産に必要な数量を確保できなかった場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

(4) 国内外の競合他社との競争状況、主要得意先の購買方針の変更等
 当社グループは、何れの事業におきましても国内外の競合他社と厳しい競争状況にあることから、販売価格の急落や販売数量の大幅減少などにより業績が悪化する可能性があります。また、基板事業においては、販売比率が高い得意先の購買方針の変更は当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。

(5) 自然災害リスク

 当社グループは、地震や台風・洪水等のコントロール不能な大規模自然災害を受け製造中断や輸送不能の事態が長期間にわたった場合、当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。

(6) 資金不足のリスク

 当社は、新規事業であるペロブスカイト太陽電池事業について、2024年8月13日及び2024年9月19日に東北財務局長に提出した有価証券届出書に記載のとおり、設備投資等に必要な資金を行いました。また、2025年3月24日提出した有価証券届出書に記載のとおり、ペロブスカイト太陽電池事業については、当初想定した以上に設備投資金額が増加したため、追加的な設備投資に必要な資金の調達を行う予定です。

 今後、資材調達の遅れ、建築コストの上昇、為替相場の急激な変動、国際的な取引の制約、及びその他の経済環境の悪化により、ペロブスカイト太陽電池事業に関して、さらなる資金調達が必要になる場合があります。その場合、ペロブスカイト太陽電池事業の開始が遅れる可能性があります。

(7) 量産ラインの工事遅延のリスク

 当社は、新規事業であるペロブスカイト太陽電池事業について、当初想定した生産設備等について、すでに国内及び海外のメーカー等に発注し、現在、当社花泉工場に搬入設置が進んでおります。今後、上記(6)の追加設備を含めて、調達遅れ、工事遅延及び資金不足等により、量産ラインの工事が遅延した場合、ペロブスカイト太陽電池事業の開始が遅れる可能性があります。なお、事業開始が遅れる場合は、当該リスク回避のため、ペロブスカイト太陽電池の海外OEM調達も検討いたします。また、当該リスクが顕在化した場合に、当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、判明次第開示いたします。

 

(8) 訴訟の提起について

 当社は、2024年12月11日提出の臨時報告書(本届出書第三部2.臨時報告書の提出 参照)に記載のとおり、東京地方裁判所において下記訴訟を提起されております。当社といたしましては、今後、相手方の主張及びその根拠を精査した上で適切に対応してまいりますが、相手方が請求する違約金等の支払義務はないものと考えており、当社の責任が否定されるよう法的正当性を主張・立証していく所存です。なお、敗訴した場合には、原告請求金額7,100万9,047円及びこれに対する遅延損害金が発生する可能性あります。なお、本件訴訟に関し、今後開示すべき事項が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。

①訴訟の提起があった年月日

2024年10月24日(東京地方裁判所)

②訴訟を提起した者の名称、住所及び代表者の氏名

イ.名称:EVOLUTION JAPAN証券株式会社

ロ.住所:東京都千代田区紀尾井町4番1号 ニューオータニ ガーデンコート12F

ハ.代表者の氏名:代表取締役 ショーン・ローソン

③訴訟の内容及び損害賠償請求金額

イ.訴訟の内容:2023年8月31日、EVOLUTION JAPAN証券株式会社(以下「EVOLUTION JAPAN証券」といいます。)との間で、MSワラント等の発行による資金調達に関してEVOLUTION JAPAN証券をアレンジャーに任命する契約(以下「本契約」といいます。)を締結しておりました。

その後、当社は、2024年3月1日付「第三者割当による新株式発行及び第三者割当による新株予約権発行に関するお知らせ」及び同年4月10日付「第三者割当による新株式及び第3回新株予約権発行の払込完了に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、同年3月25日から同年4月10日にかけて、新株式及び新株予約権の発行(以下「本新株式等発行」といいます。)を行いました。これに関し、EVOLUTION JAPAN証券は、当社が本新株式等発行を行ったことが本契約の違反に当たるなどとして、当社に対して違約金等の支払いを請求し、これに対し、当社は、本契約は本新株式等発行の時点で既に終了しており、かつ本新株式等発行は本契約の違反事由にも該当しないなどの理由から当社に支払義務はない旨回答したところ、相手方は、上記違約金等の支払を求めて本件訴訟を提起したものです。

ロ.請求金額:7,100万9,047円及びこれに対する遅延損害金

(9) 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループでは、2020年12月期に支援者からのご支援を受け、債務超過を解消し、現在に至るまで経営再建に取り組んでおりますが、当初の再建計画通りには業績回復は進んでおらず、前事業年度において、営業損失407百万円、経常損失399百万円、当期純損失555百万円を計上しました。当連結会計年度においては、営業利益95百万円、経常利益30百万円、親会社株主に帰属する当期純利益31百万円を計上しておりますが、再生フェーズから再成長フェーズへの転換に向けた資金調達等の課題に目途が付くまで引き続き事業再生計画の実施途上にあります。これらの状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループは当該状況を解消し、収益構造の改善を推進するため、以下の諸施策を実施しております。

①財務基盤の改善

 当社グループは、当連結会計年度に第三者割当による新株式の発行、新株予約権の発行及び株式交換等を実施し、財務基盤の改善を進めました。しかし、各種新規事業の立ち上げに伴い、再生フェーズから再成長フェーズへの転換に向けた新たな資金需要が発生しており、これらへ対応するため、新たなエクイティファイナンスも含めた更なる資金調達も検討してまいります。当社は、これらの対応により、財務基盤の更なる改善に取り組んでまいります。

②事業上の改善

イ.売上高の改善

 営業力の強化、新規顧客獲得、技術力の強化、経営資源活用による新規事業の構築等を実施してまいります。

ロ.収益力の改善

 既存技術のブラッシュアップ・経営資源活用による新規案件(切断、研磨技術を活用した精密加工事業の新規市場への参入他)の収益化、原価低減・電力費削減などの全社コスト削減を実施してまいります。

ハ.企業力の向上

 PDCAサイクルの確立、人事システムの運用見直しによる従業員のモチベーションとパフォーマンス向上、計画のモニタリング・プロジェクト管理の強化等を実施してまいります。

 しかし、これらの諸施策は実施途上であり、現時点で継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 なお、当社グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表には反映しておりません。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、長期的な視野に立ち財務体質と経営基盤の強化を図るとともに、株主各位に対する適正な利益還元を経営の基本方針としております。内部留保資金につきましては、研究開発・製品開発などの将来の成長に向けた有効な投資活動に充当し、企業の競争力強化に取り組む考えであります。
 また、当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。当社は事業拡大を通じて社会的価値を創造し、その成果を株主・役職員・社会・会社で分かち合うことにより、各ステークホルダーとの関係を強め、企業価値の持続的な向上を目指すこととし、具体的な目標配当性向を20%と掲げております。
 当社は、「取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として、中間配当をすることができる」旨を定款に定めております。
 なお、第50期の剰余金の配当につきましては、内部留保充実のため、誠に遺憾ながら無配とさせていただきました。