2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社では、事業上のリスクに係る事項については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 企業統治の体制の概要 d.リスク・コンプライアンス委員会」に記載のとおり、リスク・コンプライアンス委員会にて把握し、管理する体制・枠組みとしております。

 なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) インターネット広告市場の変化

 当社のプラットフォーム事業におけるサービスは主にメディアレーダー、トラミーで構成され、広告の買い手、広告の売り手、どちらも顧客にできる特徴をもって事業展開しておりますが、主要事業が「広告業(特にインターネット広告)」に限られる為、技術革新や法改正など広告業界動向に大きな影響を及ぼす改革が発生した場合、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 主要SNSのユーザー利用動向やプラットフォーム事業の規制変更等によるリスク

 当社広告商品は、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)、LINE、TikTok等の主要SNSプラットフォーム上でのマーケティング手法を中心としております。利用者が増加傾向にあるSNSプラットフォームは広告媒体としての訴求力が高まることから、各SNSプラットフォームのユーザーの利用動向は重要な指標となるため、当社ではこれらの動向に関する情報収集を行っておりますが、既存のSNSにおけるユーザーの利用動向の変化や、新たなSNSの流行に対して、当社の適切な会員組織化等の対応が遅れた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 また、広告関連の規約・規制等の変更により、従来可能であった広告手法を用いることが出来なくなる可能性があり、当社のマーケティング手法や体制等の対応が遅れた場合や、SNSのセキュリティ面の不備により当該プラットフォームの信頼性に疑義が発生した場合には、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 業界動向に関するリスクについて

 当社は、主にSNSを活用したマーケティング事業を行っております。株式会社電通が発表した「2022年 日本の広告費」によると、2022年のインターネット広告費は30,912億円(前年比114.3%)となり、2兆円を超えた2019年からわずか3年で約1兆円増加しております。今後も同市場は堅調に推移すると予想しておりますが、市場成長が阻害されるような状況が生じた場合、また、インターネット広告市場を含む広告業界においては、景気変動により広告主の広告支出が増減する傾向があるため、国内マクロ経済の動向及び国内主要産業部門における事業環境が変化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 事業経営環境に関するリスクについて

 当社メディアレーダーの主要サービスは、広告業界において法人営業に特化し各種サービスを提供しております。現在は、顧客企業の営業やマーケティング関連への投資マインドの上昇を背景として事業拡大をしておりますが、今後国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の営業やマーケティング関連への投資マインドが減退するような場合には、当社事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 季節変動による業績への影響

 当社のサービスであるトラミーは、毎年3月において取引が集中する傾向があります。これにより、会計年度における各四半期の売上高、営業利益等との間に変動があり、今後も同様の傾向が続く可能性があります。当社では今後、比較的季節変動が少ないメディアレーダーのサービスをさらに普及させることに努め、季節的な変動の与える影響を相対的に小さくすることで、全社ベースの売上高の変動を安定させてまいります。

 

(6) 技術革新への対応について

 当社が属するインターネット業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新しいサービスの導入が頻繁に行われており、あわせて顧客のニーズも非常に変化の激しい業界となっております。そのため常に新しい技術要素に対して情報の収集、蓄積、分析及び習得に取り組んでおります。しかしながら、技術革新において当社が予期しない急激な変化があり、その対応が遅れた場合や新技術に対応するため予定していないシステムへの投資が必要になった場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 検索エンジンからの集客について

 当社のサービスであるメディアレーダーは、GoogleやYahoo! JAPANの検索サイトからの集客が非常に重要であります。検索サイトにおける検索アルゴリズムの大幅な変更が行われ、これまでの検索エンジン最適化(SEO)対策が有効に機能しなかった場合、当社の事業および業績に大きな影響を与える可能性があります。

 当該リスクへの対策として、検索アルゴリズム変更に関する情報の取得、検索キーワードにおける順位変動のモニタリング、サイトのアクセス解析、検索結果の上位サイト分析をもとに検索アルゴリズムの変更に応じたSEO対策を継続してまいります。

 

(8) 法的規制について

 当社は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」とする。)」、「健康増進法」、「個人情報の保護に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「著作権法」、「商標法」、等の規制を受けております。当社では法令や各種ガイドライン等の順守を徹底し事業運営を行っておりますが、万一これらの違反に該当するような事態が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、今後新たな法令の制定、既存法令等の解釈変更がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) クチコミマーケティングの信頼性の低下による業績悪化のリスク

 当社のサービスであるトラミーは、クライアント企業のマーケティングに対しサービスを提供しており、その多様なニーズに応えるため、会員の確保が必要になります。その為、会員に対し、クライアント企業の広告案件の継続的なご紹介やSNSへの投稿に関する法令・ガイドラインの遵守等の有用な情報を提供することにより、親密かつ広範なネットワークを構築しております。また、良質な会員を確保するため、会員審査(投稿内容の審査)の基準を定め、健全な会員組織の運営のための体制を整えております。さらに、「薬機法」第66条第1項及び「健康増進法」第65条第1項では、規制の対象が「何人も」と規定されていることから、当社の広告・投稿審査体制は、顧問弁護士事務所の監修の下、独自開発した広告・投稿審査ツールを利用することにより、網羅的に法令違反の可能性がある投稿を広くピックアップし、ツールからアラートが上がった投稿に対して、社内チェックに加え、必要に応じて弁護士への確認を行っており、当社の広告・投稿審査体制は十分な実行性を確保すべく努めております。しかしながら、様々な要因の変化により会員との信頼関係が低下した場合や、クライアント企業のニーズに合ったユーザーを当社会員として十分に確保できない場合、当社会員が広告審査基準等を遵守しない又は当社の広告案件以外において炎上する等の当社で管理することが困難な事態が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 個人情報の管理に係るリスクについて

 当社は、トラミー、メディアレーダーを通じて取得した個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の規定に則って作成したプライバシーポリシーに沿って管理しております。また「個人情報保護規程」、「パスワードポリシー」、「認可ソフトウェア一覧」等の規程を制定しており、さらに2023年2月には一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)による「プライバシーマーク」を取得し、個人情報の漏洩が発生しない仕組みを構築しております。しかし、情報セキュリティに係るリスク等により個人情報が漏洩した場合や個人情報の収集過程で問題が生じた場合、当社の信用の下落等の損害が発生し、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 特定人物への依存について

 当社代表取締役社長である福島範幸は、当社の創業者であり、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしております。当社では同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めており、取締役会や事業運営のための経営会議等における取締役及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 訴訟リスクについて

 当社では、リスク・コンプライアンス規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、会員や取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスクについて

 当社は、当社の取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションを付与しております。本書提出日現在のストック・オプションによる潜在株式総数は72,280株であり、発行済株式総数1,014,160株の7.1%に相当します。これらのストック・オプションが行使された場合、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 

(14) 小規模組織について

 当社は、2023年12月31日現在において、取締役4名、監査役3名、従業員67名と小規模な組織となっており、内部管理体制もこれに応じたものとなっております。当社は、今後の事業規模の拡大に応じて、人員の強化と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 人材の獲得及び育成

 今後当社の事業をさらに拡大し、成長をつづけていくためには優秀な人材の確保と育成が重要課題となっております。当社では人材の確保に向けた情報収集やインターン制度の導入など人材確保に向けた取り組みを講じておりますが、こうした人材の確保が計画通りに進まなかった場合や、育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは重要な人材が社外に流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(16) 情報セキュリティに係るリスクについて

 当社では、「情報システム管理規程」を制定し、コンピューターシステムの瑕疵、実施済みのセキュリティ対策の危殆化、マルウェア・コンピューターウィルス、コンピューターネットワークへの不正侵入、役職員の過誤、自然災害、アクセス増加等の一時的な過負荷等により、重要データの漏洩、コンピュータープログラムの不正改ざん、システムダウン等の防止に向けた仕組みを講じておりますが、当該事象が発生した場合、第三者からの損害賠償請求、信用下落等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 内部管理体制について

 当社は、企業価値の拡大を図る中でコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理論に基づく法令遵守を徹底するにあたり充分な体制を構築していると考えておりますが、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 自然災害等に係るリスクについて

 自然災害・感染症拡大等により物流が停止した場合のほか、広告が自粛されるような事態が生じた場合、当社メディアレーダー、トラミーが影響を受ける可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社事業拠点及びサーバー等の設備については、定期的なバックアップや点検等によりトラブルの事前回避及び防止に努めておりますが、当社の本店所在地である東京都渋谷区において大地震、台風等の自然災害または事故、火災等により、業務の停止、当社設備等の損壊、電力供給の制限等の不測の事態が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 配当政策について

 当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しております。しかしながら、未だ成長フェーズの過程にあることから、事業規模の拡大、競争力の確保及び財務体質の強化に向けた内部留保の充実が将来に向けた株主価値の最大化に資すると考え、これまで配当を実施しておりません。

 今後においても将来への事業規模の拡大に向けた人材や設備に資金を投じながら、財務体質の強化も視野に入れつつ、必要な内部留保を確保していくことを基本方針としており、これらを総合的に勘案しながら株主への利益還元の時期を検討してまいりますが、現時点における配当の実施及び実施時期は未定であります。

 

(20) 新型コロナウイルスに関するリスクについて

 新型コロナウイルス感染症拡大や緊急事態宣言に伴う経済活動の低下は国内外に多大な影響を及ぼしましたが、当社においても、一部のクライアントで見込み顧客獲得の停止、広告の停止、商品開発の遅れに伴うプロモーション時期の遅れ、人流の行動制限による案件の一時停止、延期などの影響が生じました。

 当社は各サービスのオンライン商談体制の構築を行い、店頭購入およびイベント等の行動制限の影響が大きいプロモーションプランを停止、外出を伴わないプランの提案を中心に営業活動をすることで影響を最小化する取り組みを広げております。

 新型コロナウイルス感染症については今後の収束の動向次第では事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しております。しかしながら、未だ成長フェーズの過程にあることから、事業規模の拡大、競争力の確保及び財務体質の強化に向けた内部留保の充実が将来に向けた株主価値の最大化に資すると考え、これまで配当を実施しておりません。

 当事業年度の配当につきましては、事業規模の拡大、競争力の確保及び財務体質の強化に向けた内部留保の充実を目的として、配当を実施しておりません。

 内部留保資金については、将来への事業規模の拡大に向けた人材や設備に資金を投じながら、財務体質の強化も視野に入れつつ、必要な内部留保を確保していくことを基本方針としており、これらを総合的に勘案しながら株主への利益還元の時期を検討してまいります。

 なお、剰余金の配当を行う場合は、期末配当の年1回を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当制度を採用しており、取締役会決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。