事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 6,462 | 100.0 | 528 | 100.0 | 8.2 |
事業内容
3【事業の内容】
当社の事業は、ソフトウエア開発事業の単一セグメントであり、提供しているサービス種別としては「システムインテグレーション」及び「クラウドサービス」の2つのサービスとなりますが、2024年12月期においては、「システムインテグレーション」が当社事業全体の98.6%を占めております。
①システムインテグレーション
生命保険会社、損害保険会社、銀行、信託銀行等の金融業界向けを中心とした業務用情報処理システムの開発を行っております。中でも、生命保険会社及び損害保険会社においては、個人保険商品システム、企業年金システム、共済保険システム、勘定系システム等の開発を手掛け、ニッセイ情報テクノロジー株式会社を筆頭に複数の保険会社におけるシステム開発の実績を有しております。この保険業界向けシステム開発は、2024年12月期におけるシステムインテグレーションの売上高構成比50.6%を占める当社の主要事業領域となっており、既存顧客におけるシステム開発実績を拡大し積み重ねることで保険業界の「業務知識」を蓄積し、同業界における優位性の確立に努めております。業務知識とは、業界における特性や事業環境、業務内容の理解、必要となる許認可といった顧客業界に関する総合的な理解量を表し、この業務知識の多寡が、高品質のシステムを実現することや新たなシステム開発案件を創出すること等に繋がる基本の要素となっており、業務知識の蓄積を強みとした業界特化型戦略をもって事業の拡大を図っております。
また、保険業界向けシステム開発に加えて、物流業界向けシステム、エネルギー産業向けシステム、商社向けシステム、地方公共団体向けシステム、公益機関向けシステム等の開発も全方位型で手掛けており、他業界におきましても業務知識の蓄積を通じてシステム開発領域の拡大を図っております。
システム開発における開発工程を一般的に表しますと、「要件定義 → 基本設計 → 詳細設計 → プログラム製造 → 結合テスト → システムテスト → 運用テスト → 実稼働 → 保守」となります。
このうち、要件定義及び基本設計工程を上流工程と呼び、高品質のシステムを実現するために必要な条件等を顧客要望と照らし合わせて明確にしておくことがシステム開発における要諦となっており、それらを実現するためには、技術的な専門性に加えて、プロジェクト運営力、前述の業務知識、ビジネス的観点での考察力といった力量も求められます。当社は、主要事業領域である保険業界向けシステムの開発に加え、物流業界向けシステム、エネルギー産業向けシステム、商社向けシステム、地方公共団体向けシステム、公益機関向けシステム等の多様なシステム開発実績を積み重ねることにより、上流工程からプログラム製造・テスト工程に至るまでの一貫したシステム開発を実現するノウハウ及び開発経験を通じて培った業務知識を持つ人材を有しており、当該プロジェクトの特性及び顧客要望に応じた開発体制の提供を行っております。
また、開発工程に応じた技術者数の供給調整等も必要となることから、同業の協力会社からも役務の提供を受ける協業体制を構築し事業を推進しており、契約については、ユーザー企業との直接契約によるものと、元請システムインテグレーション企業又はユーザー企業系列のシステム開発企業との契約によるものとが存在しておりますが、元請システムインテグレーション企業又はユーザー企業系列のシステム開発企業との契約によるものが売上高の90%以上を占めております。
②クラウドサービス
当社の製品は、飲食店向け店舗運営支援システム「Order Revolution」、受付業務支援システム「アイウェルコ」及びAI顔認証入退室管理システム「アイウェルコトール」であり、いずれもSaaS型でのサービス提供を行っております。SaaS型とは、インターネットを介してソフトウエアを提供するサービスであり、提供者側(当社側)のサーバーにおいてソフトウエアを稼働する形態とし、機能追加等の更新を機動的に行うことで最新のソフトウエアの提供が可能となっております。販売につきましては、飲食店及びユーザー企業への直接販売によるものと、販売代理店への販売によるものとが存在し、新規導入後はサブスクリプション型(注1)でのサービス提供を行っており、新規導入設置料及び月額利用料により収益を構築しております。
ア.Order Revolution
飲食店における既存のPOSレジ(注2)との連動機能を備え、お客様の来店から精算に至るまでの一連の業務を通貫させて店舗運営支援が可能となるシステムを提供しております。主要構成ハードウエアとしてiPadを採用し、セルフオーダー機能、予約受付機能、POS機能、自動釣銭機との連動によるセルフレジ機能等も備えており、店舗規模や業態に応じた最適な製品提供が可能なシステムとなっております。また、お客様のスマートフォンから直接注文が可能なモバイルオーダーを新たにリリースいたしました。
メニュー登録や各種設定をクラウド上で行う仕様となっているため、売上データの常時把握や統括本部からのグランドメニュー更新の一括配信等により店舗及び店舗網の一元管理が可能となり、飲食店運営の効率化にも寄与するシステムとなっております。
イ.アイウェルコ
顔検知機能及び音声認識機能を主機能として備えた受付業務支援システムを提供しております。内蔵されたWebカメラにより人の顔検知が行われることで、受付業務が自動で開始されます。続いて、画面内の受付担当者アバターから音声による質問が行われ、来訪者の発話した質問への回答音声が画面内にテキストとして表示されます。質問のやり取りが終了すると受付が完了し、同時にオフィス内の任意の端末にチャットツールを通じて受付情報が転送される仕組みとなっており、受付業務の省力化及び非接触化を実現できるシステムとなっております。販売対象先としましては特定の業界や顧客層に限定されるものではありませんが、当社の既存得意先や紹介を受けた先等への提案活動を通じて、販売の拡大を図って参ります。
ウ.アイウェルコトール
ディープラーニング技術を活用したAI顔認証技術を用いた非接触型のAI顔認証入退室管理システムを提供しております。既設のICカードリーダー等の機器設置環境を利用して設置することが可能であり、顔認証機能による厳格なセキュリティ環境の構築を実現し、入退室記録の管理、IC式IDカードの発行や携帯が不要となる等、業務効率化を実現できるシステムとなっております。
(注)1.サブスクリプション型とは、料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができる形式
のビジネスモデルとなります。当社では、ソフトウエア提供を行うことの対価として、月額利用料をいた
だいております。
2.POSレジとは、POSシステムの一部で、アプリケーションが搭載された店頭のレジの名称です。
また、POSとは、Point of Sale の略称で、日本語では、「販売時点情報管理」と訳し、商品が売れた
際にリアルタイムでデータを照合して決済し、売上額や販売場所等の販売情報を自動的に収集します。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
a.資産の状況
当事業年度末における資産合計は3,730,478千円となり、前事業年度末に比べ347,958千円増加いたしました。主な要因は、売掛金及び契約資産357,975千円、大阪本社及び東京本社の増床に伴う敷金及び保証金113,957千円の増加の一方、現金及び預金139,708千円等の減少によるものであります。
b.負債の状況
当事業年度末における負債合計は1,496,493千円となり、前事業年度末に比べ88,853千円減少いたしました。主な要因は、買掛金54,133千円、繰延税金負債15,557千円の増加の一方、1年内返済予定の長期借入金53,744千円、1年内償還予定の社債50,000千円、長期借入金162,092千円等の減少によるものであります。
c.純資産の状況
当事業年度末における純資産合計は2,233,984千円となり、前事業年度末に比べ436,812千円増加いたしました。これは、利益剰余金394,676千円、その他有価証券評価差額金42,135千円の増加によるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用環境や所得が改善するなかで、各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復が続く一方で、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念等による海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっております。
そのような情勢の下、当社業界におきましては、設備投資の回復及び企業収益の改善等を受け、2023年度比で13.4%増(金融機関及び持株会社等を含む全産業、「第203回全国企業短期経済観測調査-2024年12月-」より)のソフトウエア投資額が見込まれており、IT投資は底堅く堅調に推移するものと期待されます。
システムインテグレーションにつきましては、継続案件を中心として安定的に受注が推移したこと及び新規受注活動の結果による案件の獲得が堅調に推移したことにより、売上高は6,370,149千円(前期比19.2%増)となりました。
クラウドサービスにつきましては、新製品の発売及び販売促進策の推進により、売上高は91,680千円(前期比19.7%増)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は6,461,829千円(同19.2%増)を計上いたしました。一方、ベースアップに伴う人件費の増加、淡路島保養所の完成に伴う租税公課及び減価償却費の増加等により、販売費及び一般管理費は896,396千円(同6.3%増)、営業利益は528,186千円(同7.6%増)となりました。
上記の他、営業外収益27,826千円(同53.5%増)、営業外費用4,932千円(同80.6%減)を計上したことにより、経常利益は551,079千円(同14.0%増)となり、特別利益で固定資産売却益909千円、特別損失で和解金12,952千円を計上した結果、当期純利益は394,676千円(同15.3%増)となりました。
なお、当社はソフトウエア開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて146,297千円増加し、758,979千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は253,242千円(前事業年度は145,010千円の収入)となりました。主な要因は、税引前当期純利益の計上539,037千円、減価償却費63,083千円、売上債権の増加額357,975千円、未払消費税等の増加額104,510千円、法人税等の支払額157,949千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は158,884千円(前事業年度は223,712千円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の預入による支出135,392千円、定期預金の払戻による収入421,399千円、敷金及び保証金の差入による支出114,407千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は265,836千円(前事業年度は308,129千円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入300,000千円、長期借入金の返済による支出515,836千円、社債の償還による支出50,000千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社はシステムの受託開発を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社はソフトウエア開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
ソフトウエア開発事業 |
6,436,093 |
109.7 |
1,310,517 |
85.6 |
合計 |
6,436,093 |
109.7 |
1,310,517 |
85.6 |
(注)準委任契約・派遣契約においては契約単価を基に算出しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はソフトウエア開発事業の単一セグメント
であるため、セグメント別の記載は省略しております。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自2024年1月1日 至2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
ソフトウエア開発事業(千円) |
6,461,829 |
119.2 |
合計(千円) |
6,461,829 |
119.2 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前事業年度 (自2023年1月1日 至2023年12月31日) |
当事業年度 (自2024年1月1日 至2024年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
日本アイ・ビー・エム㈱ |
1,251,139 |
23.1 |
2,057,453 |
31.8 |
ニッセイ情報テクノロジー㈱ |
1,371,952 |
25.3 |
1,242,941 |
19.2 |
SCSK㈱ |
1,167,253 |
21.5 |
1,100,997 |
17.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、その作成におきましては、会計方針の選択及び適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りは、過去の実績等を勘案し合理性をもって判断しておりますが、その不確実性を完全に排除することは困難なため、実際の結果は当該見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表作成における重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
②財政状態の状況に関する分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(売上高、売上原価、売上総利益)
当事業年度において、売上高は6,461,829千円、売上総利益は1,424,582千円となりました。
システムインテグレーションにつきましては、継続案件を中心として安定的に受注が推移したこと及び新規受注活動の結果による案件の獲得が堅調に推移したことにより、売上高は6,370,149千円(前期比19.2%増)となりました。
クラウドサービスにつきましては、新製品の発売及び販売促進策の推進により、売上高は91,680千円(前期比19.7%増)となりました。
売上原価につきましては、プロパー従業員の増加に伴う労務費の増加、受注の増加に伴う外注費の増加により5,037,247千円(同23.2%増)となりました。これにより、売上総利益は1,424,582千円(同6.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
ベースアップに伴う人件費の増加、淡路島保養所の完成に伴う租税公課及び減価償却費の増加等により、販売費及び一般管理費は896,396千円(同6.3%増)、営業利益は528,186千円(同7.6%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、受取配当金及び受取家賃等を計上したことにより27,826千円(同53.5%増)となりました。営業外費用は、支払利息等を計上したことにより4,932千円(同80.6%減)となりました。これにより、経常利益は551,079千円(同14.0%増)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純利益)
特別利益は、固定資産売却益を計上したことにより909千円(同77.3%減)となりました。特別損失は和解金を計上したことにより、12,952千円(同921.3%増)となりました。これにより、税引前当期純利益は539,037千円(同10.9%増)となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税147,381千円(同1.8%増)、法人税等調整額△3,020千円(同232.2%減)を計上したことにより、当期純利益は、394,676千円(同15.3%増)となりました。
④キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金需要のうち主なものは、労務費、経費、外注費、販売費及び一般管理費に係る運転資金であります。営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により充当することに加えて、資金需要の都度、中期的な財務基盤の安定性も勘案した上で、金融機関からの借入金による資金調達も行っております。
⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としましては、営業利益率を主要な経営指標として認識しております。また、システム開発技術者数の稼働に伴い売上高が計上されるという基本的な収益構造があることから、システム開発技術者数及び一人当たり売上高等を経営指標の達成状況を測定する上での主要なKPIとして認識しております。
営業利益率につきましては、2024年12月期において長期プロジェクトの一部工程において想定を上回るコストが発生したことにより8.2%となり、2023年12月期における9.1%に対して低下いたしましたが、モニタリング体制及びリスク管理機能の強化を図り、引き続き営業利益率10%を標榜し継続的な企業価値向上に取り組んでまいります。