人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,135名(単体)
-
平均年齢39.5歳(単体)
-
平均勤続年数16.7年(単体)
-
平均年収8,714,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、出向者を除いた就業人員数である。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。
(2) 多様性に関する指標
当事業年度の多様性に関する指標は、以下のとおりである。
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出している。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等の取得割合を算出している。
3.賃金は、基本給、超過勤務手当、各種手当、賞与等を含み、退職金、通勤手当等を除く。
4.非正規雇用労働者は、パートタイマーを含み、派遣社員を除く。
5.人的資本や多様性に関する指標や取組については、本報告書「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「人材の育成及び社内環境整備の方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績」に記載している。
(3) 労働組合の状況
当社の労働組合は、東京製鉄労働組合連合会を組織し、日本基幹産業労働組合連合会に加盟している。
なお、2025年3月31日現在の組合には、従業員中962人が加入している。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日現在)において当社が判断したものである。
当社は、顕在化しているサステナビリティ課題に対し、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)について、「気候変動」「資源循環」「安全・環境・品質」「コーポレートガバナンス」の4つを特定している。 当社事業である電炉鋼材の生産・販売を拡大させることは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減や、鉄スクラップの有効利用による再資源化の促進に寄与するものである。当社は、脱炭素社会の実現や循環型社会の構築といった社会からの要請が高い課題に対して、様々なステークホルダーとの協働を通じて積極的に取り組んでいく。
当社のマテリアリティマップ
(1)ガバナンス
当社のサステナビリティ課題に関わるリスク・機会とその対応策は、経営会議など社内執行会議体で審議され、重要課題については、取締役会へ付議・報告される。当社の取締役会は、取締役(監査等委員であるものを除く)2名、監査等委員である取締役3名(内、社外取締役2名)で構成され、そのうち2名は「ESG・安全環境」及び「人事組織」について深い専門性を有している。
気候変動を含む環境課題に関しては、事業全般において、ガバナンスの役割、環境負荷の低減並びに良好な環境確保をはかることを目的とした環境管理を総合的に推進するために、以下の通り環境管理体制を組織化し、環境基本方針に基づき、継続的な改善を推進している。なお、中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会の委員長は代表取締役社長、各工場の環境委員会・カーボンニュートラル推進委員会の委員長は工場長が務めている。
サステナビリティ・ガバナンス
当社の環境管理体制図
気候関連課題を含む環境問題に関するガバナンスの役割
●取締役会・経営会議:取締役会・経営会議には取締役及び執行役員が出席し、中央環境委員会及び全社カーボンニュートラル推進委員会で特定された、気候変動を含む環境課題に関するリスク・機会についての対応を監督し、対応すべきリスク・機会の優先度や、その対応策の適切性の確認、目標の承認などを実施する。また、国内4工場(田原工場、岡山工場、九州工場、宇都宮工場)における具体的な環境マネジメントの施策について最終決定を下す権限を有している。
なお、取締役会は、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するため、取締役会決議に基づき、業務を執行するとともに、業務の執行の状況等につき取締役会に報告を行うこととし、取締役及び執行役員相互の職務執行を監督する体制を整備している。経営会議は、原則毎月開催され、年次・四半期及び月次の各決算につき、予算の進捗状況を把握し、業務の管理を行うとともに、各部門が実施すべき具体的な施策を決定し、業務執行の効率化を図っている。
●代表取締役社長:取締役会・経営会議の議長であり、中央環境委員会及び全社カーボンニュートラル推進委員会の委員長を務める。特定されたリスク・機会のレビュー、策定された長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の実現に向けた短期・中長期目標・アクションプランの進捗状況についての監督を行う。当社の代表取締役社長は、気候変動を含む環境課題の担当者として5年間以上の経験を有するほか、2012年より当社の取締役として企業経営・ESG・財務会計・法務等に関する幅広い知識・スキルを有している。
●中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会:委員長(代表取締役社長)、国内4工場(田原工場、岡山工場、九州工場、宇都宮工場)の工場長及び総務担当役員等で構成される。両委員会において、戦略の前提となるリスク・機会のレビュー、特定されたリスク・機会に基づいて策定した戦略、短期・中長期目標、アクションプランについて議論を行う。また、中央環境委員会は、環境管理に関わる経営方針及び年度計画、社内基準の制定・改廃、監督官庁・関係団体の施策動向、環境調査解析及び措置などについて掌握・審議・推進する任務を負っている。全社カーボンニュートラル推進委員会は、年度のエネルギー使用実績と目標の対比の把握と評価、省エネルギーに関する設備導入・改善の取り組み状況報告、省エネ法(「地球温暖化対策の推進に関する法律」を含む)の定期報告書の審査、法令改正に関する情報確認などについての任務を負っている。
●環境委員会・カーボンニュートラル推進委員会:本社及び国内4工場(田原工場、岡山工場、九州工場、宇都宮工場)において特定されたリスク・機会に基づいたアクションプランの実施に向けた議論及び実施された施策のフィードバックを行う。本社及び国内4工場にて開催される環境委員会は、拠点毎の環境管理を具体的に推進する任務を負っている。国内4工場にて開催されるカーボンニュートラル推進委員会は、全社カーボンニュートラル推進委員会で策定された取り組み方針に準じた拠点毎の取り組み計画の策定、取り組み計画の進捗確認及び評価、エネルギー使用実績と目標の対比の把握と評価、省エネルギーに関する設備導入・改善の取り組み状況報告、エネルギー管理標準の作成、エネルギーフローの作成などについての任務を負っている。
(2)戦略
日本の2050年カーボンニュートラルを実現するためには、鉄鋼業において、わが国全体のCO2排出量の約14%を占める145百万トンを削減する必要がある。また、増加を続けるわが国の鉄スクラップは、2050年には国内の鋼材需要の大部分を満たす数量に達すると期待される。膨大なCO2排出量の削減、貴重な資源である鉄スクラップの国内での資源循環という社会が直面する二つのテーマに向き合い、2050年の「脱炭素社会」「循環型社会」を実現すべく、電炉トップメーカーとして鉄鋼製品の新分野にチャレンジし続けてきた当社だからこそできる社会への貢献として、長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を策定している。
当社は長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」のもと、「脱炭素社会」「循環型社会」の実現を柱とし、脱炭素・循環型鋼材である電炉鋼材の供給拡大に取り組むことで、日本のCO2排出量の大幅な削減と、貴重な鉄スクラップの国内での更なる有効利用をはかっていく。
なお、当社が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定している「安全・環境・品質」「コーポレートガバナンス」については、投資判断における重要性が低いとの判断から、「戦略」の開示を行っていない。今後の取り組みとしては、近年、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性に関する企業情報の開示必要性が高まっていることから、国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)における自然への依存度・影響度の分析や、自然リスク・機会の特定、対応策の検討などを進め、有価証券報告書での開示充実化をはかっていく。また、「コーポレートガバナンス」については、有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」において詳細な開示を実施している。
長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」
気候関連リスク・機会を踏まえた当社戦略への影響
(3)リスク管理
気候関連リスク・機会の特定・評価については全社の統合リスクマネジメントに組み込まれている。気候関連リスク・機会の評価にあたっては、当社の直接操業及び上下流バリューチェーンに気候変動が及ぼす影響を勘案する必要性が極めて高いことから、これらの短期的、中期的、長期的それぞれのリスク・機会の検討を対象として含めている。当社は、気候問題による経営へのインパクトを重要なリスク・機会として捉えており、その特定・評価に当たっては、いずれも代表取締役社長を最高責任者とする、取締役会及び中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会といった、経営レベルの機関が最終的な判断までのプロセスを担っている。具体的な気候関連リスク・機会の特定プロセスとしては、まず国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)において、それぞれの環境委員会・カーボンニュートラル推進委員会が開催され、自工場におけるバリューチェーンを俯瞰した短期的、中期的、長期的な気候関連リスク・機会についての検討が行われ、四半期に1回以上の頻度で開催される中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会に対して報告される。さらに、中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会において検討された気候関連リスク・機会は、業務執行の最高責任者である代表取締役社長を議長とする取締役会に直接報告され、最終的な全社の気候関連リスク・機会が特定・評価されるプロセスとなっている。こうして特定・評価されたリスク・機会に対しては、それぞれの関連部署にてアクションプランが策定され、中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会にてレビュー・審議され、最終的には取締役会で決議され、各事業部門で実行されている。
・気候関連リスク・機会
気候関連リスク・機会の想定タイムスケジュールは、短期(1~5年)、中期(5~10年)、長期(10~25年)を目安に判断している
シナリオ分析
気候変動による影響は年々拡大しており、企業経営おける大きなリスクと認識している。また、脱炭素社会への移行過程で生じる規制強化や市場ニーズの変化等は企業にとってのリスクになり得ると同時に、新しいビジネス機会を創出させる可能性を含んでいる。TCFD提言では、将来の様々な気温上昇パターンを想定した複数のシナリオを分析し、自社へのリスク・機会を特定・評価し、対応策を検討・公表することを求めている。当社では、この提言を受け、当社の長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の期間である2030年~2050年について、気候変動に関する1.5 ~2℃未満シナリオ、4℃シナリオの分析を実施し、現時点の当社の環境戦略に一定のレジリエンス(強靭性/対応力)があることを確認した。
●シナリオ分析プロセス
① 気候関連リスク・機会の抽出:
当社バリューチェーンで考えられる気候変動によるリスク・機会を抽出。
② 重要なリスク・機会の特定:
①で抽出したリスク・機会の中から当社の経営に対する影響が大きいと考えられる項目と関連する要素/指標を設定。
③ シナリオの設定・事業への影響評価:
既存シナリオを参照し、②で特定した重要なリスク・機会及び関連する要素/指標の推移等の情報を整理し、当社が受ける将来的な影響を定量的に評価。「1.5 ~2℃未満シナリオ」及び「4℃シナリオ」を設定し、各シナリオでの想定に対する影響を比較・評価。
④ 当社対応方針・戦略の策定:
③で評価された当社への影響に対し、シナリオ別に当社の対応方針・戦略を検討。
●設定シナリオ
●想定されるシナリオと当社への影響及び対応戦略
①1.5℃~2℃未満シナリオ及び当社への影響
・カーボンプライシングの導入
・燃料価格の動向
・エネルギーミックス
・脱炭素・循環型鋼材の需要
②4℃シナリオ及び当社への影響
・物理リスク(慢性・急性)
●評価結果/今後の方向性
今回のシナリオ分析の結果から、長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を通じて当社が目指すこれからの「あるべき姿」や、その実現に向けて掲げた目標・取組みの方向性は適切であることが確認できた。また、当社の現時点における環境戦略に一定のレジリエンス(強靭性/対応力)があることも明確となった。
(4)指標及び目標
2021年6月、当社は長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の改定を行い、2030年及び2050年の目標を引き上げると共に、2050年のカーボンニュートラル実現を目指している。また、当社は生産量の目標として、2030年粗鋼生産量600万t、2050年粗鋼生産量1,000万tと設定している。中間となる2030 年の予想CO2排出量は約120万tであり、基準年の2013年度比でほぼ横ばいとなっている一方、鋼材1tあたりのCO2排出量は約0.21tCO2と大幅な削減を見込んでいる。さらに、鋼材1tあたりのCO2排出量の多い高炉製品を当社製品が代替することで、2030年に約840万t、2050年に約1,300万tのCO2を社会全体から削減可能と予想している。国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)においては、製造プロセスから排出されるCO2の原単位を毎年1%以上削減するという目標のもと、脱炭素投資の積極的な実施や既存プロセスの見直し、エネルギー効率向上等の取り組みを全社的に推進している。
なお、当社が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定している「安全・環境・品質」「コーポレートガバナンス」については、投資判断における重要性が低いとの判断から、「指標及び目標」の開示は行っていない。今後の取り組みとしては、近年、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性に関する企業情報開示の必要性が高まっていることから、国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)における自然への依存度・影響度の分析や、自然リスク・機会の特定、対応策の検討などを進め、有価証券報告書での開示充実化をはかっていく。また、「コーポレートガバナンス」については、有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」において詳細な開示を実施している。
※2024年度の鋼材1t当たりのCO2排出原単位(スコープ1・2)については、有価証券報告書提出日において集計作業が完了していないため、2023年度の実績を記載している。
指標の定義等
人材の育成及び社内環境整備の方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社は、未来の地球のためのチャレンジとして、「Tokyo Steel EcoVision 2050」を公表し、環境にやさしい電炉鋼材を社会に普及させ、循環型社会の実現と低炭素社会の構築をはかっている。このビジョンを実現するために求める人物像を「3つのC」(Challenge,Communication,Change)に置き替え、採用・人材育成、個人の能力を最大限に生かせる職場づくりを人的資本に関する重要な取り組みと捉え、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を目指していく。
① Challenge
社会に貢献するという強い使命感をもち、困難にも果敢に挑戦することのできる人物。
② Communication
常に公正で誠実な姿勢を大切にし、周囲と強い信頼関係を築きあげ、ものごとを成し遂げられる人物。
③ Change
変化を敏感に察知し、おそれることなく変化に向き合うことで、常に自らの成長を望む人物。
(戦略)
当社は人的資本に関し、下記の取り組みを行っている。
(指標及び目標)
「第1 企業情報 5 従業員の状況(2)」に掲げるとおり、管理職に占める女性従業員の割合が低い水準で推移していることから、女性従業員に占める女性管理職の比率を男性従業員に占める男性管理職の比率と同等の水準とすることを目標設定し、今後女性従業員に占める女性管理職の比率の向上を図るため、社内研修制度の充実をはかり優秀な社員を育成することで、女性管理職比率を高めていく。
なお、2025年3月期現在の男性従業員に占める男性管理職の比率は6%であった。人材育成のなかで能力・適正に応じて管理職に登用することを方針としているため、現時点では具体的な数値目標を設定していないが、今後指標・目標の設定については引き続き検討していく。