2024年8月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,197 100.0 191 100.0 8.7

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、主にPBXをクラウドで提供する「システムサービス」、公衆回線網から各端末までIP回線を使用して音声通信を提供する「回線サービス」、IP電話等の端末機器を販売する「端末販売」を営んでおり、電話環境の構築に必要なサービスの「ワンストップ・ソリューション」を提供することが可能です。「テレワークの導入」や「オフィスのフリーアドレス化」等の働き方改革、企業の「BCP(*7)対策」が進む中、固定電話を切り口に、固定電話・モバイル端末という垣根を超え、「電話のあり方」そのものを変革する電話のデジタルトランスフォーメーション「電話のDX」を顧客に提供しています。

 

(*7)Business Continuity Planの略で「事業継続計画」と呼ばれます。テロや災害、システム障害など危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し計画しておくことです。

 

当社は、セグメント情報を記載していないため、サービス区分別に記載しております。

 

(1)システムサービス

 当社は、技術革新における大きなパラダイムシフトのひとつであるクラウド技術をPBXに応用し、当社が独自に開発したクラウドPBX「INNOVERA」を顧客に提供しております。これまで社内に設置していたPBXをクラウド上に構築することにより、固定電話の機能をスマートフォンやPC、専用のIP電話等で場所を問わずに利用でき、会社のビジネスフォンを持ち出す感覚で電話を利用することができます。このように「INNOVERA」では、旧来の電話システムの弱点であった場所の制約を無くすことで、「テレワークの導入」や「オフィスのフリーアドレス化」の障害のひとつとなっていた電話の問題を解決することが可能です。

 もう一つの「INNOVERA」の特徴として、過去6ヵ月間分の全通話を自動録音する「全通話録音」、自動応答内容や流す時間を自由設定できる「ガイダンス設定」、その他「通話履歴検索」や「着信拒否」など多種多様な標準機能を備えています。また、用途に応じて、「順番にお繋ぎしますのでお待ちください」などの案内アナウンスでオペレーター数を超えた受電を保留し、順番に対応することが可能な「キューイング」等豊富な追加オプションや、コールセンターなどの架電業務に役立つ機能にも対応しています。

 さらに、突然の出社自粛要請や、地震・災害など企業のBCP対策としても「INNOVERA」は有効です。発着信、内線番号及びIVR(自動音声応答)の設定など電話環境の変更が必要になった場合、従来のPBXでは専門家による現地のローカルネットワーク環境下での変更作業が必要でした。しかし「INNOVERA」はクラウド上にシステムが構築されているため、環境設定などには場所の制約がなく、全てWebブラウザから行うことができ、AIオプションなど機能の追加も現地での作業や工事は不要であります。例えば支店で災害が起こり出社困難になった場合でも、インターネット環境下にある別の場所からPCやスマートフォンのWebブラウザを通して、被災した支店の電話応対が他拠点でできるように発着信設定を変更することも可能です。

 「INNOVERA」はクラウド上にシステムが構築されているため、従来のPBXのように機械的な故障という概念がなく、現地でのメンテナンス作業も不要です。「INNOVERA」は当社が随時メンテナンスや更新を行っているため、ユーザーは常に最新状態の電話環境を利用できます。オプション等の機能追加も物理的な作業や工事が不要なため、必要に応じて随時追加が可能です。

 

 2015年9月のサービス開始後、「INNOVERA」は従業員数10人以下の事務所から従業員数1,000人以上の大企業まで、顧客の規模を問わず幅広く導入されてきました。さらに利便性を向上すべく2020年12月には「INNOVERA PBX2.0」にプラットフォームを一新しました。「INNOVERA PBX2.0」では、ID・パスワードであらゆる端末にログインが可能な「ホットデスク」、パーク保留電話をグループ毎に分けることができる「パークグループ」、一つの電話番号で電話も音声会議も可能な「カンファレンス」などの新機能を搭載しております。

 上記以外にも、オフィスなどで利用されるビジネスフォンの機能と、「Autocall」や「Outbound」、「プレディクティブコール」等、顧客応対に特化したコールセンター用の機能を同一のプラットフォームで使用することが可能です。2023年10月には、電話でのお問い合わせをWebでの案内に誘導することで応対の効率化を図る「SMS送信」機能を追加しております。また、2024年7月には、管理画面上で文字入力することで自然な音声ガイダンスの作成と設定がシームレスにできるようAIによる音声合成機能を追加しております。当社は、「INNOVERA PBX2.0」により、これからの「電話のあり方」や業界の常識を変え、顧客の利便性を向上させ、業務コストの削減や、小規模コールセンターの内製化などにも対応が可能と考えております。

 

 さらにクラウドPBXである「INNOVERA PBX2.0」は、API(*8)技術を用いて「kintone」、「カイクラ」及び「ネクストSFA」など他社のクラウドサービスと連携することで、電話機能に付加価値を追加した新たなサービスを提供しております。

 

 AI技術を応用したオプションでは、留守番電話に吹き込んだメッセージをそのままチャットツールに送りテキストで内容が確認できる「Speech Posting」や通話録音の内容を文字化して送る「INNOVERA Text」、音声通話からユーザーの感情を分析できる「INNOVERA Emotion」、「音声合成」などの便利なサービスを追加しています。今後は「音声翻訳」、「多言語通訳」など様々なAI技術を応用することにより、「INNOVERA」を更に進化させ、全ての人が言語や障がいの壁を越えて分け隔てなく意思疎通ができる「バリアフリー・コミュニケーション」の実現を目指し、音声コミュニケーションを通じたよりよい社会の構築に貢献してまいります。

 

(*8)Application Programming Interfaceの略で、アプリケーション同士を連携させるために必要となるソフトウェア機能を共有する仕組みを指します。PCに周辺機器をUSBで繋ぐことで機能拡張できるように、ソフトウェアの分野においても、アプリケーションの開発元がそれぞれのAPIを公開することで、異なったアプリケーション間で連携させ、機能拡張することができます。

 

(2)回線サービス

 当社は、アルテリア・ネットワークス株式会社と提携した「IP-Line」などクラウド上の「INNOVERA」に直接収容(接続)可能なIP電話回線サービスを提供しています。通常、電話を開設する際は、屋外から屋内の電話へ物理的な回線を引く必要がありますが、「IP-Line」はクラウド上の「INNOVERA」に直接収容し、インターネットを利用し音声通話を行うため、電話回線の設置は不要です。そのため、現地が災害に見舞われた場合にもインターネットが繋がっていれば電話の利用が可能であり、企業におけるBCP対策としても有効です。

 また、「IP-Line」では、「90秒課金」の料金設定により通話料削減が見込めるほか、IP電話回線でありながら、東京23区や大阪市など全国主要都市の市外局番(0AB~J番号)が利用でき、使用中の電話番号を変えずに、固定電話回線からIP電話回線へ移行できる特徴を持っています。

 また電話回線のほか、NTT東日本、NTT西日本との光コラボレーション事業である当社ブランドの光回線「INNOVERA光」も提供しており、クラウドPBXと各利用端末間のインターネット回線も提供しています。

 

 当社では、外部の企業との協業のひとつの形として、OEM(相手先ブランド)により、クラウドPBXシステムや回線の提供も行っております。

 

(3)端末販売

 当社はインターネット環境下でクラウドPBXと組み合わせて利用可能な、LANケーブルを接続インターフェイスとするSIP電話機を販売している中国Yealink社との間で、日本におけるSIP電話機の総代理店契約を締結し、販売やサポート、日本語ファームウェア(組み込みソフトウェア)の開発と運用を担っております。「INNOVERA」と共に端末を提供するだけでは無く、「INNOVERA」以外の他社製クラウドPBXでも利用できる汎用性を持つため、端末単独での販売も行っております。

 当社は4K表示、1,200万画素カメラや高機能スピーカーも搭載するWeb会議用大型ディスプレイ「MAXHUB」の販売も行っております。「MAXHUB」はプレゼンテーション機能に加え、ホワイトボード機能も有するなど、大画面での会議の効率化に寄与する製品です。また、同商品はオフィスなどのビジネスシーンだけでなく、電子黒板として教育現場への導入も進んでおり、教育のIT化、リモート授業推進の一翼を担っています。

 

 

[事業系統図]

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は、1,208,953千円となり、前事業年度末に比べ46,773千円増加いたしました。その内容は、以下のとおりであります。

 当事業年度末における流動資産は、1,017,750千円となり、前事業年度末に比べ32,505千円増加いたしました。これは主に売掛金が37,539千円、商品が4,670千円増加したものの、現金及び預金が9,477千円減少したことによるものであります。

 当事業年度末における固定資産は、191,202千円となり、前事業年度末に比べ14,268千円増加いたしました。

これは主にソフトウエアが15,756千円、長期前払費用が1,767千円、繰延税金資産が8,013千円増加したものの、工具、器具及び備品が2,335千円、建設仮勘定が3,289千円、無形固定資産のリース資産が1,831千円、ソフトウエア仮勘定が3,565千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は、406,076千円となり、前事業年度末に比べ103,350千円減少いたしました。その内容は、以下のとおりであります。

 当事業年度末における流動負債は、350,079千円となり、前事業年度末に比べ800千円減少いたしました。これは主に買掛金が13,630千円、未払金が15,445千円、預り金が9,869千円、未払費用が4,066千円増加したものの、1年内償還予定の社債が10,000千円、1年内返済予定の長期借入金が26,818千円、未払法人税等が4,140千円減少したことによるものであります。

 当事業年度末における固定負債は、55,997千円となり、前事業年度末に比べ102,549千円減少いたしました。これは主に長期借入金が101,681千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は、802,876千円となり、前事業年度末に比べ150,124千円増加いたしました。これは主に当期純利益148,199千円により利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要の回復等も相まって、景気は緩やかに回復しております。しかしながら、物価高の進行、人手不足などといった課題や金融資本市場の変動等の影響に加え、中東地域をめぐる情勢等の地政学リスクの高まり、中国経済の先行き懸念、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響などの海外景気の下振れが我が国経済を下押しするリスクとなっていることから、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社では、自社開発のクラウドPBX「INNOVERA」を中心に、様々なIP電話回線、スマートフォンアプリ、ネット回線、固定端末をワンストップで提供することにより、お客様の「電話のDX」の実現に取り組んでおり、更なる収益力の向上を目指し、次のような施策を実施してまいりました。

 「INNOVERA」においては、お客様の利便性を重視したサービスの追求に努めるべく、2024年7月に管理画面上で文字入力することで自然な音声ガイダンスの作成と設定がシームレスにできるようAIによる音声合成機能を追加、オプションサービスとして、2023年10月に電話の自動応答後にSMSを送信する「INNOVERA SMS」の提供を開始いたしました。また、新サービスとして、2024年3月に株式会社エーアイの音声合成技術を「INNOVERA」に活用することにより顧客応対品質の向上と電話業務の効率化を両立させた「Telful(テルフル)powered by INNOVERA」の提供を開始いたしました。加えて、JAPAN AI株式会社と業務提携を行い、生成AIサービスを活用した業務効率化のための新技術・新サービスの開発を開始いたしました。

 販売面におきましては、幅広い顧客層と強固な販売網を持つ大手販売代理店との新たな販売パートナー契約締結により「INNOVERA」の販売網を強化するとともに、2023年12月に自社主催のイベント「INNOVERA Fes 2023 大感謝祭」を開催し、「INNOVERA」の知名度向上を図るなど、新たな顧客創出に努めてまいりました。

 さらに、株式会社大塚商会との協業により「INNOVERA」とiPadを連携することで受付業務の効率化を図るソリューション「iPad受付内線パック」など、当社システムと他社機器を連携した商品を発売するとともに、パソナ・パナソニックビジネスサービス株式会社(現 株式会社パソナ日本総務部)との協業による業務アプリ構築クラウドサービス「kintone」と「INNOVERA」を連携することで電話応対に伴う顧客管理を効率的に行うことができるサービスの提供開始や株式会社ソフツーが提供するクラウド型電話AIサービス「ミライAI」と「INNOVERA」との連携など他社との連携強化にも取り組んでまいりました。当事業年度におけるリカーリング売上高は、前期比8.4%増加の1,745,270千円となっており、「INNOVERA PBX」の月平均解約率(アカウント)は前期の0.90%に対し0.79%、「IP-Line」の月平均解約率(チャネル)は前期の0.94%に対し1.03%となりました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は2,196,897千円(前事業年度比9.4%増)、営業利益は190,748千円(同47.4%増)、経常利益は187,968千円(同48.6%増)となり、法人税、住民税及び事業税は、賃上げ促進税制による税額控除を受けた影響により、当期純利益は148,199千円(同63.6%増)となりました。

 なお、当社は全セグメントの売上高の合計、営業利益の合計に占める音声ソリューション事業の割合が、いずれも90%を超えているため、セグメントごとの経営成績の記載は省略し、サービス区分別の状況を記載しております。当事業年度におけるサービス区分別の状況は、次のとおりであります。

 

(システムサービス)

 システムサービスは、前事業年度に引き続き、顧客のDX需要が堅調であり、新たに販売パートナー契約を締結した大手販売代理店による案件増加など、販売代理店制度「パートナープログラム」も奏功したことから、「INNOVERA」のアカウント数を順調に伸ばしました。その結果、売上高754,110千円(同18.4%増)、売上総利益432,840千円(同14.0%増)となりました。

 

(回線サービス)

 0ABJ型IP電話回線サービスは、「INNOVERA」のアカウント増に伴うチャネルの増加、既存顧客の事業拡大や拠点追加等によるチャネルの追加があったことから、「IP-Line」の総チャネル数が増加いたしました。その結果、売上高1,120,210千円(同3.9%増)、売上総利益472,410千円(同2.9%増)となりました。

 

(端末販売)

 端末販売は、Yealink社製端末の販売が好調であったことから、売上高273,865千円(同9.1%増)となり、その他機器の仕入先の見直しにより仕入原価の低減を図ったことから、売上総利益96,486千円(同17.7%増)となりました。

 

(その他)

 その他につきましては、売上高48,711千円(同13.6%増)、売上総利益48,711千円(同13.6%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ22,380千円減少し、463,079千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は165,588千円(前事業年度比11.6%増)となりました。これは主に税引前当期純利益が186,527千円、減価償却費30,719千円、仕入債務の増加額13,630千円による資金の増加があったものの、売上債権の増加額37,539千円、棚卸資産の増加額4,670千円、法人税等の支払額46,242千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は47,637千円(同21.7%減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入30,100千円があったものの、定期預金の預入による支出43,002千円、有形固定資産の取得による支出2,990千円、無形固定資産の取得による支出31,717千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は140,331千円(前事業年度は153,747千円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出128,499千円、社債の償還による支出10,000千円等があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は全セグメントの売上高の合計、営業利益の合計に占める音声ソリューション事業の割合が、いずれも90%を超えているため、セグメント別の記載は省略し、サービス区分別に記載しております。

 

サービス区分の名称

当事業年度

(自2023年9月1日 至2024年8月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

システムサービス

754,110千円

118.4

回線サービス

1,120,210千円

103.9

端末販売

273,865千円

109.1

その他

48,711千円

113.6

合計

2,196,897千円

109.4

(注)最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,196,897千円(前事業年度比9.4%増)となりました。これは主に、各サービスの新規契約の獲得及び新規契約先や既存契約先において追加のアカウント、チャネル契約を獲得したことによるものであります。さらに、当社は主力製品である「INNOVERA」の機能拡充や販売強化を中心とした成長戦略により、更なる収益力の向上に取り組んでおります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は1,146,448千円(同9.7%増)となりました。

 これは主に、システムサービスにおける、販売増加に伴う販売代理店へのインセンティブの支払、サーバーの利用料等及び回線サービスにおけるチャネル数の増加による売上高増加に伴う売上原価の増加によるものです。

 この結果、当事業年度の売上総利益は1,050,449千円(同9.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は859,700千円(同3.1%増)となりました。これは主に、物価上昇への対応や労働力の確保により、人件費が増加したことによるものです。

 この結果、当事業年度の営業利益は190,748千円(同47.4%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は69千円(同99.4%減)となり、これは主に前事業年度に発生した保険解約返戻金の計上がなかったことによるものです。

 また、当事業年度における営業外費用は2,849千円(同81.0%減)となり、これは主に前事業年度に発生した上場関連費用の計上がなかったことによるものです。

 この結果、経常利益は187,968千円(同48.6%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

 当事業年度における特別利益は5,000千円となり、これは受取賠償金の発生によるものです。

 また、当事業年度における特別損失は6,441千円となり、これは主に損害補償金の発生によるものです。

 法人税等調整額を含む法人税等合計38,327千円を計上した結果、当事業年度の当期純利益は148,199千円(同63.6%増)となりました。

 

② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

 当社の財政状態に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。「INNOVERA PBX」の総アカウント数と解約率、「IP-Line」の総チャネル数と解約率、リカーリング売上高比率を重要な経営指標としております。

 総アカウント数、総チャネル数及びリカーリング売上高比率については、パートナープログラムが奏功し、順調に推移しております。解約率については、新型コロナウイルス関連のコールセンターの動向に応じて変動しておりますが、予定どおりに進捗しており、今後も順調に推移するものと認識しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社のキャッシュ・フローの状況分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の主な資金需要としては、音声ソリューション事業におけるシステム関連仕入、回線仕入等、人件費等の営業費用であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入等必要に応じて最適な方法による資金調達にて対応する方針であります。

 資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉に流動性の確保を図っておりますが、より柔軟かつ安定的な流動性の確保を目的として、取引金融機関と総額300,000千円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。