2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,223 100.0 -398 - -32.6

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、複数の自律移動ロボット(ドローン(※1)やAGV(Automated Guided Vehicle)(※2)などを指す)を遠隔で制御し、統合管理するためのソフトウェアプラットフォーム(※3)であるBlue Earth Platform(以下、BEP)を基軸に、人が実施していた設備の点検、物流等の業務を、ドローンやAGVで代替して実施することにより効率化や安全化、省力化を図ることを目的としたソリューションの提供を行っております。

 BEPとは、センサモジュールとソフトウェア(アプリ、クラウド)で構成された当社開発の統合的なシステム上のプラットフォームのサービス総称です。顧客の課題に対応して、ドローンの機体とセンサ、並びにソフトウェア開発の適切な組み合わせを、BEPの環境下で開発した上でソリューションとして提供していることから、各ソリューション名に「BEP」の名称を冠しております。「BEP」の環境下で、顧客の要望に合わせて、ドローン等の自律移動ロボットの移動・遠隔制御・デバイスとの連携等の「動かす」こと、ドローン等の取得した情報の保存・連携・監視等の「集める」こと、ドローン等の運行管理・挙動の解析等の「管理する」ことを実現しております。

 特に足元では、社会課題として、インフラ老朽化による点検需要の増加が著しく、弊社としても点検ソリューションが主要事業となっております。点検業界においては、人件費高騰に伴う点検コストの増加、一方で危険作業におけるノウハウの属人化や労働力不足が発生しているものと当社は認識しており、それに対して、当社はドローン導入のソリューションを提供することで、業務の安全化、効率化、低コスト化の実現という価値を提供しております。また、併せてドローンパイロットの育成に関する教育ソリューション事業も行っており、ソリューションの提供に加えて点検等に必要なパイロットの提供にも関わっております。その他、ドローン、AGVを利用したソリューションの提供も行っており、将来的には、BEPにドローン、AGVの全てが接続されて、自律した運用を実現することで、スマートで新しいまちづくりの実現を目指して事業を展開しております。

 当社の事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社の主要なサービスの内容を記載いたします。

 

1.事業ドメインの全体像

 当社の事業は、主にドローンを基軸として、点検、教育、物流及びネクスト(新規ソリューション創造)の4つのソリューションを提供しております。2024年度における各ソリューションの売上比率は、点検が46%、教育が23%、物流が26%、ネクストが5%です。

 

(1) 点検ソリューション

 点検ソリューションでは、ドローンを活用しプラント施設の点検を提供する「BEPインスペクション」、ドローンを活用し送電線点検を提供する「BEPライン」、AGVを活用してプラントや製造工場等の自動巡回点検を提供する「BEPサーベイランス」があり、また、それぞれのBEPのソリューションパッケージのソフトウェアサービスでは、撮影した映像や移動ログ、解析データを提供するサービスも含まれます。

 

(2) 教育ソリューション

 教育ソリューションでは、ドローン操縦の基礎教育を提供する「BEPベーシック」、ドローンを活用した様々なソリューションの教育を提供する応用教育、ドローンパイロットに必要な情報を提供するドローン専用飛行支援地図サービス「SORAPASS」等を提供します。

(3) 物流ソリューション

 物流ソリューションでは、物流用ドローンが離発着するドローンポートを製品化した「BEPポート」の実証サービス、Jアラートと連動して、津波注意報以上が発令された際に、ドローンポートからスピーカーやカメラを搭載したドローンが自動的に発進し、上空から自動音声で避難指示を伝達する「津波避難広報ドローンシステム」を提供します。

(4) ネクストソリューション

 ネクストソリューションでは、次なる事業の柱になる新規ソリューションの創造を行っており、様々な実証サービスを提供しています。

 

 当社は、上記各ソリューションについて、BEPを軸としたパッケージを作り顧客にソリューション提供しており、具体的に各ソリューションのBEPパッケージの導入コンサルティング、実証実験から、導入講習、トライアル導入、本格導入、保守メンテナンスを、販売又は継続収益形態(ドローン機体のリース契約又は点検サービスの月額課金形態)によるサービス提供を行っております。

 

以下に、ソリューション提供における当社の顧客獲得から導入の一般的な流れを示します。

 

 

 各業務の項目・概要は次のとおりとなっております。なお、下表については、点検ソリューション、物流ソリューション及びネクストソリューションに該当するものであり、教育ソリューションについては該当しておりません。

サービス項目

期間

サービス内容

・導入コンサルティング

6か月~1年

法人向けにBEPパッケージ導入のコンサルティングを行い、コンサルティングに関する業務委託料を売上として計上しております。委託料は、月額固定金額での契約と一括契約があります。

・実証実験(PoC)

1日~6か月

法人向けにBEPパッケージ導入の実証実験を行い、実証実験に関する業務委託料を売上として計上しております。

・ソリューション開発

6か月~3年

導入コンサルティングや実証実験により活用方針を明確にし、必要に応じて要件定義を実施後、BEPパッケージに新規デバイス(IoTカメラやLiDARなどのセンサ類)の接続やソフトウェアのカスタマイズ開発(顧客専用画面や顧客システムとの連結等の開発)を行い、業務委託料を売上として計上しております。

・トライアル導入、導入講習

1か月~3か月

本格導入前の試用期間として、一定期間BEPパッケージを提供します。また、法人向けの社員教育プログラムを提供し、特にドローン活用したBEPパッケージの場合は、技術や法律などパイロットの品質を維持向上する内容を提供します。

コンサルティング料もしくは業務委託料を売上として計上しております。

・本格導入

1年契約

(自動更新)

ドローン等の機体、センサモジュール、ソフトウェア(運航計画と移動ログ記録、映像記録等)の販売又は継続収益形態(ドローン機体のリース契約又はソフトウェアの月額課金形態)によるサービスを提供しております。また、付帯して保険や代替機提供、保守メンテナンスサービス等も提供する場合もあります。

販売の場合は、一括して販売個数に応じて売上を計上しております。継続収益形態の場合には、業務委託料、リース料等を売上として毎月計上しております。

・受託運用(ドローンを活用したBEPパッケージのみ)

1日ごと

単日等の期間を定めたスポット対応で、ドローンを保有していない法人にドローン運用サービスを提供し、保有している法人にはパイロット派遣サービスを提供します。

ドローン運用サービスの業務委託料を売上として計上しております。

 

 教育ソリューションについては、主に基礎教育事業と応用教育事業があり、JUIDAと連携した基礎教育事業においては、JUIDAから業務委託を受けたドローン教育関連の業務委託料(ストック型)を売上として計上しており、応用教育事業においては、ドローンに関する講習の業務委託料(フロー型)を売上として計上しております。

 

2.サービス内容

 各ソリューションによる詳細なサービス内容は以下のとおりです。

(1)点検ソリューション

 点検ソリューションは、プラント点検「BEPインスペクション」、送電線点検「BEPライン」及び自動巡回点検「BEPサーベイランス」を提供しております。「BEPインスペクション」は、全国の石油化学プラント、製鉄所、水力・火力発電所、ゴミ処理場等の屋内施設を中心に、現在までに320以上の現場で点検運用サービスを導入し、70台以上のドローン・ソフトウェアを販売しております。「BEPライン」は、東京電力などと開発した送電線検知可能なセンサモジュールとソフトウェアを電力会社向けに販売、提供しております。「BEPサーベイランス」は、火力・水力発電所、鉄道車両等の屋内施設に対し、実証実験とAGV・ソフトウェアのトライアルセットを販売しております。点検ソリューションは、東京電力や九州電力をはじめとした一般電気事業者などに対し実証実験を実施しており、そのうち数社についてはトライアル導入、本格導入へと順次展開していっております。

 

 

 各ソリューションサービスにおけるドローン・AGV等の活用ニーズは以下のとおりとなります。

ソリューションサービス

クライアント

顧客課題

ドローン・AGVによる解決方法

プラント点検

「BEPインスペクション」

電力会社(火力・水力発電所)

石油化学会社

製鉄会社

環境プラント

1)作業員が危険な狭小空間に入る必要があり、危険な点検作業が伴う

2)足場を組む、クレーンを使う等の日単位の膨大な点検作業が必要

3)点検に膨大なコストがかかる

プラント点検のリモート化:

従来は足場を組み、長期間にわたり多額のコストをかけて行ってきた目視点検が、ドローンによる目視点検により、期間短縮及びコスト削減が可能になり、320現場以上で導入実績あり。

1)安全性の向上:死亡事故ゼロ

2)作業効率の向上:足場を組まずに、点検作業可能になり時間短縮

3)コスト削減:点検時の足場やクレーンを設置しないためコスト削減

送電線点検

「BEPライン」

電力会社

(送配電部門)

主な一般電気事業者の送電線は、全国で約10万kmあり、定期点検(1~5年に1回)と緊急時(落雷等)点検が必要不可欠。

1)感電や墜落事故の危険:

送電線点検作業時の事故により、死亡事故なども発生している

2)山間部は立入り困難、送電停止手続きが煩雑である

3)多額の送電線点検コストがかかり、今後老朽化により点検コストの増大が見込まれる

送電設備の点検を自動化:

ドローンに搭載された対象物検知センサにより送電線を自動検知し、一定距離を保って自動飛行・撮影を行い、ドローンによる送電線の自動点検を実現。

1)安全性の向上:点検作業の無人化(死亡事故ゼロ)

2)作業効率の向上:遠隔から近寄らずに点検可能

3)コスト削減:点検を省力化・低コスト化(スマートメンテナンス)

自動巡回点検

「BEPサーベイランス」

電力会社(火力・水力発電所)

鉄道会社

1)発電所などのプラント施設は、多くの施設・機器があり、点検員がそのすべてを常時監視して異常を発見するのは困難

2)点検作業員の高齢化と将来的な人員不足

3)施設老朽化に伴い、異常をできるだけ早期に確認したい

巡回点検を自動化:

従来の発電所点検員が行う巡回を、AGVで代替し、自動巡回点検を実施。各種センサにより、膨大なデータの取得、解析が可能となり、効率化、安全化、省力化、高精度化が実現。

1)巡回・点検の自動化

2)点検効率の向上

3)平時・異常時の遠隔点検

 

 各点検ソリューションにおける詳細は以下のとおりです。

① 「BEPインスペクション」

 当社はFlyability SA(スイスのドローンメーカー。以下「Flyability社」)と国内独占提携しており、衝突に強く屋内で安全に飛行可能なFlyability社の「ELIOS」を使用した屋内の点検ソリューション提供を行っております。ソリューション提供にあたっては導入実証実験又はデモンストレーションを行い、プラント点検の効率化、低コスト化などを検証します。効果を確認後、「ELIOS」の機体を販売又はリース契約、運用サービスとして提供し、3Dモデリングやレポート化が可能な「ELIOS」専用ソフトウェアや保守メンテナンスは継続収益形態によるサービスで提供します。なお、2023年2月より提供開始したBEPを軸として開発した「BLUE SKY」((2)教育ソリューションで後述)は、「ELIOS」の機体に対応し、飛行記録、映像記録のデータ収集、飛行日誌の自動生成、機体情報・バッテリー管理が可能で、現在はJUIDA会員のパイロット向け(個人契約向け)のみに月額課金形態で提供しています。また、機体の販売方法については、顧客への直接販売及び販売代理店を活用した間接販売を行っております。

 

 

② 「BEPライン」

 BEPインスペクション同様に導入実証実験又はデモンストレーションによる効果を確認後、当社が開発した対象物検知センサモジュールを販売又はリース契約、運用サービスとして提供し、センサモジュール専用のソフトウェア(飛行計画と飛行ログ記録、リアルタイム情報、送電線映像記録)・保守メンテナンスを継続課金形態によるサービスで提供しております。販売方法は、顧客への直接販売がメインとなります。

 当社は東京電力グループと共同で、送電線点検用ドローン自動飛行システム「BEPライン」を開発し、東京電力管内の支社及び事務所の送電線の点検業務に「BEPライン」を複数台導入し、実用化に成功しております。開発した「BEPライン」の構成は、対象物検知センサモジュールと飛行計画等が可能なソフトウェアとなります(特許出願中)。

 

 

③ 「BEPサーベイランス」

 発電所や製油所などのプラント工場では、設備の計器の確認やオイル漏れの有無、損害箇所の有無などを定期的に確認する巡回点検が義務付けられています。現状の巡回点検は、人による巡回で行われているため、点検員の高齢化や人員の不足、感応評価による評価基準のバラつきなどが問題になっています。また、設備の老朽化に伴う点検需要の増加もあり、ロボットによる自動化が求められています。

 「BEPサーベイランス」は、それらの課題を解決するために、複数台のAGVを活用した自動巡回ロボットを提供しています。サービス提供にあたっては、BEPライン等と同様に導入実証実験又はデモンストレーションを行い、その効果を確認後、AGVを販売又はリース契約、運用サービスとして提供し、AGV専用のソフトウェア(複数台の遠隔制御・一元管理、カメラ、マイク、センサなど搭載デバイスのデータを一元管理、AI解析、5G通信リアルタイム情報)・保守メンテナンスを継続課金形態によるサービスで提供しております。販売方法は、顧客への直接販売及び販売代理店を活用した間接販売を行っています。

 

 

 各ソリューションサービスの主な顧客は以下のとおりです。

ソリューションサービス

主な顧客名

プラント点検

「BEPインスペクション」

東京電力や九州電力など一般電気事業者、株式会社JERA、出光興産株式会社、ENEOSシステムズ株式会社

送電線点検

「BEPライン」

東京電力ホールディングス株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社

自動巡回点検

「BEPサーベイランス」

東日本旅客鉄道株式会社

 

(2)教育ソリューション

 教育ソリューションは、JUIDAと連携して以下のサービスを提供しております。

① 基礎教育「BEPベーシック」

 日本におけるドローンの新たな産業・市場の創造支援と産業の健全な発展への貢献を目的として、2014年7月に設立された業界団体のJUIDAに設立当初から参画し、設立メンバーとして法人・個人会員管理業務をサポートしてまいりました。JUIDAは27,000を超える会員数を有する団体へと成長し、世界20カ国以上、30以上の機関と基本合意書を締結し、ドローン教育として日本初ドローン関連ISO規格(ISO23665)発行に成功している国内の有力なドローンの業界団体です。当社は、JUIDAと連携して、民間独自のカリキュラムによるドローン教育を提供しており、2022年に施行されたドローンの国家ライセンスがスタートしたことで、JUIDAは国の登録講習機関等監査実施団体となり、国が認定する登録講習機関(ドローンスクール)を監査する立場となり、当社は国の認定する登録講習機関(ドローンスクール)として、今までの民間独自の講習に加え国家ライセンスの講習も提供しております。

(a)ドローンスクール管理業務の運営受託

 JUIDAでは、ドローンの運用にあたり、安全性・信頼性を高めていくためには、操縦士や安全運航管理者の養成が何よりも重要と考え、2015年10月よりドローンの操縦士及び安全運航管理者養成スクールの認定制度をスタートし、全国にJUIDA認定スクールを展開しております。

 当社は、JUIDAよりスクール管理業務の一部を委託されており、スクールで提供する教育プログラム作成、講師育成、JUIDA認定資格の発行支援などを行っており、会員数、ドローンスクール数に応じた継続課金形態による運営サービスを提供しております(会員数27,875名、ドローンスクール233校、操縦技能証明証発行32,594名、安全運行管理者証明証発行27,596名(2024年12月末時点)。

 

(b)パイロット管理システムの提供

 パイロットの教育履歴、技能レベル、飛行実績などのデータを適切に管理するため、パイロット管理システム(BEPに連結されたシステム)を開発し、JUIDAに、そのソフトウェアと保守メンテナンスを継続課金形態によるサービスで提供しております。JUIDAの操縦技能証明証又は安全運行管理者証明証の保持者の適正な管理や、依頼したいソリューション案件などがある場合に、具体的なパイロットデータ情報に基づき最適なパイロットを検索し提案することを可能にするシステムとなります。

 

(c)ドローン飛行日誌作成・情報管理サービス「BLUE SKY」

 2022年12月5日の改正航空法施行に伴って義務化されたドローン飛行時の飛行日誌作成や機体情報の管理などを自動化するサービス「ドローン飛行日誌作成・情報管理サービス|BLUE SKY」の提供を、2023年2月より、(b)のパイロット管理システムの会員に向けて開始し、JUIDA会員(個人正会員・個人準会員)には、無料で提供しております。一方、JUIDAには、そのソフトウェアと保守メンテナンスを継続課金形態によるサービスで提供しております。BLUE SKYは、ドローンのフライトログの自動アップロードやデータ分析、航空局指定フォーマットでの飛行日誌の自動生成、機体・バッテリー管理などがパソコンやスマートフォンなどで簡単に管理・作成・出力できるサービスです。当社のデバイス・情報統合プラットフォーム「BEP」と、米国のリアルタイムフライトストリーミングプラットフォーム「AirData UAV」とのシステム連携により提供されるもので、世界中のドローンメーカーのドローンやアプリケーションに対応しています。

 

② 応用教育

 プラント点検や基地局点検など点検サービスの実用化に伴い、ソリューション特化型のドローン教育講習のニーズが各企業で高まっております。当社には、法人向け教育プログラム作成、講師提供、認定資格の提供、パイロット管理システムなど、JUIDAとの連携で培った一貫した教育パッケージがあり、これをベースに顧客ごとに、各ソリューション向けの教育プログラムを作成し、コンサルティング料もしくは講習会の業務受託としてサービス提供しております。作成した教育プログラムを顧客と共に顧客内(支社など)、業界内で導入展開すると共に、JUIDAのプラント点検上級操縦技能証明証のように、JUIDA監修の元で業界内での標準化を図り、導入展開を加速する活動も行っております。現在、林野庁、大手通信キャリア、電力施設メンテナンス会社、石油プラント、製鉄所、ゼネコン等に提供した実績があります。また、2025年より、JUIDAと連携し、株式会社ACSL、イームズロボティクス株式会社、株式会社Liberaware、株式会社プロドローンと共に、日本国内で販売されているドローンの機種ごとの操縦技能及び安全運用スキルをドローンパイロットが保有していることを客観的に評価・証明する「機種別ドローン操縦者技能・運用証明証」(以下、機種別ライセンス)の新設と講習を開始いたします。

 

③ ドローン専用飛行支援地図サービス「SORAPASS」

 ドローン専用飛行支援地図サービス「SORAPASS」を、約5万人以上のSORAPASS会員(アカウント登録者数)に向けて、基本は無料で一部保険等の有料サービス(継続課金形態)を組み合わせたフリーミアムモデルとしてサービス提供しております。SORAPASSは、国内向けのドローンパイロットのプラットフォーム(BEPに連結されたシステム)であり、飛行禁止区域MAP、気象情報の把握や飛行申請サポート、ドローンレンタル(有料)、保険などの申請(有料)、パイロット・機体・飛行実績の管理など、ドローン飛行に必要なサービスを提供しております。

 

 各ソリューションサービスの主な顧客は以下のとおりです。

ソリューションサービス

主な顧客名

基礎教育

「BEPベーシック」

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)

応用教育

(森林教育)

林野庁、日本森林技術協会

 

(3)物流ソリューション

 物流ソリューションは、国土交通省や地方自治体、物流サービスプロバイダに対して、ドローンが離発着するドローンポートシステム「BEPポート」の開発と導入実証実験を、コンサルティング料もしくは実証実験に関する業務受託としてサービス提供しております。東京都江戸川区、江東区、静岡県東伊豆町、高知県香南市、大分県日田市、千葉県一宮町等で実証実験を実施しております。

 当社は、2016年より、国土交通省と共に物流用ドローンポートの開発に着手し、現在、ISO(国際標準化機構)において、TC20/SC16(無人航空機システム)エキスパート、TC20/SC17(空港インフラ)エキスパート、及びvertiport(垂直離着陸用飛行場:ドローンポートと同義)のワーキングドラフト5491のコンビーナ(委員長)を務めております。2023年6月に、150kg以下の物流ドローンにおけるドローンポートの国際標準化(ISO5491発行)に成功し、当社が業界のパイオニアとして推進している事業になります。

 また、当社の「BEPポート|ドローン自動巡回システム」を活用した津波避難広報ドローンシステムは、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動してドローンを自動運航し避難広報を実施するシステムで、設置されたドローンポートからスピーカーやカメラを搭載したドローンが自動的に発進し、上空から自動音声で避難指示を伝達します。これにより、迅速かつ効果的な避難指示・誘導対応が可能となり、地域の安全を強化します。2022年12月より仙台市で運用が開始され、2025年度より千葉県一宮町での運用開始を予定しており、今後も大規模地震による津波警戒地域を中心に導入が進んでいくことを想定しております。

 物流ソリューションにおけるドローンの活用ニーズは以下のとおりとなります。

 

ソリューションサービス

クライアント

顧客課題

ドローンによる解決方法

物流

「BEPポート」

国土交通省、地方自治体、日本規格協会、大手自動車メーカーなど

1)物流業界では、市場規模は堅調に拡大しているものの、慢性的な人手不足に悩まされ、小口配送化により従業員の負担は増大し、人手不足に追い打ちをかけている。

2)道路の交通渋滞解消、災害時の物資(医療)輸送を実現するため、新たな交通又は物流手段となる、空飛ぶクルマ、ドローンを活用したサービスの実用化のニーズがある(空の産業の創出)。

3)炭素排出の無い次世代型のエネルギーシステムを搭載した空飛ぶクルマ、ドローンに注目が集まっている(カーボンニュートラル)。

4)人口密集地、有人地帯の上空で目視外飛行を実現するための制度整備として航空法が改正され(いわゆる「レベル4」)、2022年12月5日以降可能。

空の物流を自動化:

当社では、都市内を飛行する小型ドローンに加え、新たに空飛ぶクルマや高ペイロードドローンが離発着し荷物を降ろす固定式(大型)と可搬式のドローンポートを開発し、固定式ドローンポートはスーパーシティ(※4)への導入を展開し、可搬式ドローンポートは地方自治体や災害避難所への導入を展開。

1)空のインフラが整備されることで、道路の渋滞減少、物流事業者の減少対策、災害物資(医療)輸送、CO2削減など社会課題を解決するとともに、新たな空の産業の創出につながる。

2)わが国で、災害時、平時のドローン物流、空飛ぶクルマによる人の輸送が期待される。また、当社はISO(国際標準化機構)においてTC20/SC17(空港インフラ、垂直離着陸用飛行場)ワーキングの委員長を務めており(ISO5491発行に成功)、世界に日本発のドローンポートを普及し、結果として上記ソリューションも普及する。

津波避難広報ドローンシステム

国土交通省、地方自治体など

南海トラフ地震、関東直下型地震等、今後発生するおそれのある大規模地震とそれに伴う津波発生への防災・減災への対応として、地方自治体等において様々な対策の検討が必要となっている。

Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動してドローンを自動運航し避難広報を実施するシステムを展開。沿岸部の施設屋上に設置されたドローンポートからスピーカーやカメラを搭載したドローンが自動的に発進し、上空から自動音声で避難指示を伝達する。これにより、迅速かつ効果的な避難指示・誘導対応が可能となり、地域の安全を強化できる。

 

固定式ドローンポート

津波避難広報ドローンシステム

 

 

3.当社の強み

(1)屋内点検など、特殊環境下における高い技術力

 当社は、屋内施設のように一般のドローンでは飛行できない非GPS環境(※5)での点検や、屋外においてもGPS(衛星測位システム)のみでは高精度に点検できない特殊環境での点検に強みがあります。例えば、市販のドローンは、屋外でGPSのサポートを受けて自動飛行するのが一般的ですが、屋内等の特殊環境下ではGPSが入らず、自動飛行できない課題がありました。当社では、特殊環境に合わせたセンサを選定し、複数のセンサを組合わせて最適な自己位置を推定する技術(マルチセンサポジショニング:センサフュージョン(※6)のアルゴリズム(※7))に強みがあり、当社のセンサモジュールを市販の一般的なドローンへ搭載することで、非GPS環境下でも自動飛行が実現可能になります。当社のセンサモジュール搭載のドローンは、当社のサーバー・アプリと連動し、遠隔で飛行制御の指示が可能になり、ドローンの撮影データ、飛行ログ等のデータ管理も可能になります。

 また、当社は、世界で競争環境の激しいハードウェアメーカーではなく、どのハードウェアデバイス(ドローン、AGV、ロボット等)とも繋がることが可能なソフトウェアの開発と提供を行っております。自社ハードウェアにこだわらず、各顧客の特殊環境下に合わせたドローン及びセンサの選定、チューニング及びソフトウェアの開発を行うことにより、最適なドローンのソリューションを提供することが当社の強みとなっております。

 

(2)パイロット育成ノウハウとネットワーク

 JUIDAや官公庁との連携により、法規制や実業務に即したソリューション特化型カリキュラムの共同開発に加え、全国のパイロットのスキルなど管理するシステムや実運用に向けたノウハウを全国に展開しております。また、全国でトータル10万人以上のパイロットネットワークと繋がり、点検ソリューション等のドローンのソリューション提供時において、同時に数十箇所の複数拠点のドローン運用が同時に可能であることが、当社の強みであり、ドローン教育の事業を有することがユニークな業界内のポジショニングにつながっております。

 また、当社はJUIDAと連携し、改正航空法施工の1年前にドローン安全ガイドラインを策定し、ドローンの国家資格制度が始まる7年前から操縦技能証明・安全運航管理者証明発行を開始する等、常に業界内で先行して行動し、国策の前例となり貢献してきた経緯があります。

 業界をリードする動きができている背景として、当社は、技術、法規制、人材育成の3分野でパートナー連携し、市場を創出する取り組みをしていることが挙げられます。

・技術:インフラ企業と事業課題の共同研究開発を行い、ハードウェアメーカーと連携し、ソリューションを創造しています。

 

・法規制:国と連携しガイドライン作成、国際標準化に向けた取り組みを行い、デジュールスタンダード(※8)の基盤を作っています。

・人材育成:JUIDAと連携し、ドローンパイロットの教育カリキュラムの開発と人材育成を行い、全国に連携可能なパイロットネットワークを作っています。

 

<用語解説>

 本項において使用しております用語の定義については、以下のとおりです。

No.

用語

用語の定義

※1

ドローン

遠隔操縦あるいは自律式の無人航空機一般。

※2

AGV

Automated Guided Vehicleの略称。産業用途で多く使用される自動運転車の一種で人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車。

※3

プラットフォーム

自律移動ロボットを使ったソリューションや製品を開発する際に使用可能な技術要素(ソフトウェアや装置など)を備えたソフトウェア、ハードウェア群を意味する。開発者が自社ソリューションや製品において、自律移動ロボットを使って効率よく開発、提供するために必要な一連の技術要素をパッケージ化したもの。

※4

スーパーシティ

各地域の持つ社会的な課題を最先端のテクノロジーによって解決を図ることを目的とした国家戦略特区。

※5

非GPS環境

橋梁下や室内などのGPS・GNSSデータが取得できない環境。

※6

センサフュージョン

複数の異なるセンサから得られる情報を組み合わせて、より正確な情報や全体的な状況把握をする技術。

※7

アルゴリズム

問題を解決するための手順や計算方法。

※8

デジュールスタンダード

ISОやJISなどの国際標準化機関などによって定められた規格。

 

<事業系統図>

 当社は、ドローン・ロボットにBEPを接続し、システム・運用サービスを提供しております。

 

 

※1 ハードウェアは、一括購入(フロー型)とリースによる月額利用(ストック型)の選択が可能。

※2 ソフトウェアは、月額利用が基本(ストック型)。

※3 運用サービスは、スポット契約が基本(フロー型)。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は1,235,658千円となり、前事業年度末に比べ442,118千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が553,566千円減少、売掛金及び契約資産が75,150千円増加、商品及び製品が21,535千円増加したことによるものであります。

固定資産は107,160千円となり、前事業年度末に比べ143千円減少いたしました。

この結果、総資産は、1,342,818千円となり、前事業年度末に比べ442,261千円減少いたしました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は250,929千円となり、前事業年度末に比べ30,801千円減少いたしました。これは主に未払消費税等が30,215千円減少、前受金が8,064千円減少、買掛金が13,269千円増加したことによるものであります。

固定負債は458,543千円となり、前事業年度末に比べ16,740千円減少いたしました。これは長期借入金が16,740千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は、709,472千円となり、前事業年度末に比べ47,541千円減少いたしました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は633,346千円となり、前事業年度末に比べ394,719千円減少いたしました。これは当期純損失の計上に伴い利益剰余金が394,719千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は47.2%(前事業年度末は57.6%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 当社は、複数の自律移動ロボット(ドローンやAGVなどを指す)を遠隔で制御し、統合管理するためのソフトウェアプラットフォームである Blue Earth Platform®(BEP)を基軸に、人が実施していた設備の点検、物流等の業務を、ドローンやAGVで代替して実施することにより効率化や安全化、省力化を図ることを目的としたソリューションの提供を行っております。

 BEPとは、センサモジュールとソフトウェア(アプリ、クラウド)で構成された当社開発の統合的なシステム上のプラットフォームのサービス総称です。顧客の課題に対応して、ドローンの機体とセンサ、並びにソフトウェア開発の適切な組み合わせを、BEPの環境下で開発した上でソリューションとして提供していることから、各ソリューション名に「BEP」の名称を冠しております。BEPの環境下で、顧客の要望に合わせて、ドローン等の自律移動ロボットの移動・遠隔制御・デバイスとの連携等の「動かす」こと、ドローン等の取得した情報の保存・連携・監視等の「集める」こと、ドローン等の運行管理・挙動の解析等の「管理する」ことを実現しております。

 現在の当社は、点検、教育、物流及びネクスト(新規ソリューション創造)の4つのソリューションを提供しております。特に足元では、社会課題として、インフラ高経年化による点検需要の増加が著しく、当社としてもドローン等による点検ソリューションが主要事業かつ成長事業との位置づけになっております。点検業界においては、人件費高騰に伴う点検コストの増加、一方で危険作業におけるノウハウの属人化や労働力不足が発生しているものと当社は認識しており、それに対して、当社はドローン等導入のソリューションを提供することで、業務の安全化、効率化、低コスト化の実現という価値を提供しております。

 このような状況の中、当事業年度の経営成績は、売上高1,223,237千円(前期比3.3%減)、営業損失398,416千円(前期は営業損失289,759千円)、経常損失392,019千円(前期は経常損失295,670千円)、当期純損失394,719千円(前期は当期純損失299,270千円)となりました。

 なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。当社の販売実績を4つのソリューション別「点検、教育、物流、ネクスト」に区分した売上高の状況は次のとおりであります。

 

 

 

(単位:千円)

 

ソリューション区分

前事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

点検

617,254

568,398

教育

308,741

280,084

物流

263,823

312,446

ネクスト

74,755

62,307

合計

1,264,574

1,223,237

 

・点検ソリューション

 電力・製鉄関連の施設等へのプラント点検(BEPインスペクション)、自動巡回点検(BEPサーベイランス)の受注件数の増加及び受注単価の向上によりサービスは増収。一方、前期に続く電力会社への送電線点検用ドローン自動飛行システム(BEPライン)の大型導入、ゼネコンへのハードウェア導入(BEPインスペクション)が伸びず、下期よりサブスクを強化して導入は前進したものの販売単価は減少し、点検ソリューションの売上高は568,398千円(前期比7.9%減)と前事業年度に比べ48,855千円の下振れとなりました。

・教育ソリューション

 ドローン飛行日誌作成・情報管理サービス「BLUE SKY」(BEPベーシック)等のパイロット向けサービスは拡大したものの、実務に繋がる教育プログラム構築の遅れ等が影響し、教育ソリューションの売上高は280,084千円(前期比9.3%減)と前事業年度に比べ28,656千円の下振れとなりました。

・物流ソリューション

 中長期の事業成長の観点で戦略的に受託した、「政府研究開発(SBIR※1)のドローンポートシステム開発」、「デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発事業(ドローン航路)」等の国プロ案件により、物流ソリューションの売上高は312,446千円(前期比18.4%増)と前事業年度に比べ48,622千円の上振れとなりました。なお、津波避難広報ドローンシステム(BEPポート)が、仙台市に続き、全国で2か所目となる千葉県一宮町(東京2020オリンピックのサーフィン会場)に導入されることが決定しました。

・ネクストソリューション

 継続プロジェクトの社会実装フェーズへの移行に伴い、ソリューション開発の選別と集中を実施したこと、及びアイロボット社の清掃ロボット「ルンバ」のAPI提供の終了に伴い、「ルンバ」を活用したオフィス清掃サービス(BEPクリーン)のサービス提供が当事業年度第2四半期で終了した影響等により、ネクストソリューションの売上高は62,307千円(前期比16.7%減)と前事業年度に比べ12,447千円の下振れとなりました。

 

 当社は、安定した売上成長の観点では年間取引企業数、及びストック型売上(ドローン等のハードウェアのリースやBEPを軸としたソフトウェア、保守メンテナンス等)の比率を意識し、また、収益性を高めるためには、売上総利益率の高いソフトウェアサービスの売上(=BEPユーザーの利用料)及びBEPユーザー数(法人・個人)を伸ばしていくことが重要であると考えております。

 当事業年度末における2021年以降の累計取引企業数は、建設・土木、製鉄、鉄道業界等における取引企業の拡大が進んだことにより、572社(前期末比150社増)となりました。

 ストック型売上は318,509千円(前期比3.7%増)、売上比率は26.0%(前期比1.7ポイント増)となりました。BEPインスペクション、BEPポートの機体のサブスクや保守メンテナンス、継続的なソフトウェアライセンス利用料の拡大がストック型売上の増加に繋がりました。

 ソフトウェア売上高は248,021千円(前期比5.3%増)、売上比率は20.3%(前期比1.6ポイント増)、BEPユーザーの累計数は法人が173社(前期比32社増)、個人が106,867人(前期比6,828人増)となりました。点検ソリューション(BEPインスペクション、BEPライン)、BEPポートにおけるソフトウェアの販売、ライセンス利用料の拡大等がソフトウェア売上とBEPユーザー数(法人)の増加に貢献しました。また、「SORAPASS」や「BLUE SKY」(BEPベーシック)への加入者増加等がBEPユーザー数(個人)の増加に寄与しました。

 

(※1)Small Business Innovation Researchの略称。SBIR制度は、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。今回のプロジェクトは、経済産業省が管理、執行するSBIR事業。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ553,566千円減少し、668,505千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は494,231千円(前年同期は320,202千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純損失392,019千円、売上債権の増加額71,850千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は37,469千円(前年同期は30,673千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出37,469千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は21,865千円(前年同期は1,045,643千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出17,580千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりです。なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ドローン関連事業

1,223,237

96.7

 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

一般社団法人日本UAS産業振興協議会

228,835

18.1

228,438

18.7

VFR株式会社

20,338

1.6

173,183

14.2

株式会社レスター

226,808

17.9

41,266

3.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、重要なものについて、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上原価、売上総利益)

 売上高は、戦略的に受託した国プロ案件により物流ソリューションが増加したものの、その他のソリューションが減少したため1,223,237千円(前事業年度比3.3%減)となりました。売上原価は、712,605千円(前事業年度比2.1%増)となりました。

 この結果、当事業年度の売上総利益は510,631千円(前事業年度比9.9%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損失)

 販売費及び一般管理費は、販売及びサービス提供体制強化による人件費の増加などにより909,047千円(前事業年度比6.2%増)となりました。

 この結果、当事業年度の営業損失は398,416千円(前事業年度は営業損失289,759千円)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常損失)

 営業外収益は、前事業年度とほぼ同水準の10,797千円(前事業年度比5.7%増)となりました。営業外費用は、前事業年度に比べ11,729千円減少し、4,400千円(前事業年度比72.7%減)となりました。これは主に上場関連費用が減少したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の経常損失は392,019千円(前事業年度は経常損失295,670千円)となりました。

 

(特別利益、特別損失、税引前当期純損失)

 特別利益は、当事業年度、前事業年度ともに発生しておりません。特別損失は、当事業年度は発生しておりません。

 この結果、当事業年度の税引前当期純損失は392,019千円(前事業年度は税引前当期純損失296,570千円)となりました。

 

(法人税等、当期純損失)

 法人税等については、前事業年度と同額の2,700千円となりました。

 以上により、当事業年度の当期純損失は394,719千円(前事業年度は当期純損失299,270千円)となりました。

 

③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社における主な資金需要は、継続的なサービス提供及び新規サービス開発のための販売・研究開発に関する費用や人件費、人員獲得のための採用費、当社の認知度向上及び潜在顧客獲得のためのPRマーケティング費などであります。これらの資金需要に対しては、自己資金、エクイティファイナンス、及び金融機関からの借入などで調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等については特段方針などはなく、資金需要の額や使途に応じて柔軟に検討を行う予定であります。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、実証実験等のフロー型売上の積上から、ドローン等のハードウェアのリースやBEPを軸としたソフトウェア、保守メンテナンス等のストック型売上を継続的に拡大することで、収益性を高めつつ、安定した売上成長を重視した経営を行っております。なお、安定した売上成長の観点では年間取引企業数及びストック型売上比率を意識し、また収益性を高めるためには、売上総利益率の高いソフトウェアサービスの売上(=BEPユーザーの利用料)及びBEPユーザー数(法人・個人)を伸ばしていくことが、客観的で重要な経営指標(KPI)であると考えております。

 当該指標について、当事業年度における年間取引企業数は150社、ストック型売上比率は26.0%、BEPユーザーの累計数は173社(法人)、106,867人(個人)となり、ソフトウェア売上高は248,021千円となっております。また、売上総利益率は、当事業年度で41.7%となっております。

 

 

KPI

2023年実績

2024年実績

①年間取引企業数

152社

150社

②ストック型売上比率

24.3%

26.0%

③BEPユーザー数(法人)

141社

173社

③BEPユーザー数(個人)

100,039人

106,867人

④BEPユーザー利用料

(ソフトウェア売上高)

235,569千円

248,021千円

 

なお、当社の売上はフロー型売上(新規顧客/既存顧客)とストック型売上によって構成されており、最近3事業年度の売上の内訳は以下のとおりとなっております。

(単位:百万円)

2022年実績

2023年実績

2024年実績

フロー型売上(新規)

183

150

140

フロー型売上(既存)

479

806

763

ストック型売上

245

307

318

 

また、当社はソフトウェア(BEP利用のためのソフトウェアライセンス)、サービス(人的な運用サービス)、ハードウェア(ハードウェアの販売、リース、保守)を提供しており、最近3事業年度の売上の内訳は以下のとおりとなっております。

(単位:百万円)

2022年実績

2023年実績

2024年実績

ソフトウェア売上高

109

235

248

サービス売上高

654

580

676

ハードウェア売上高

145

448

298