2026年6月期有価証券報告書より

人的資本

  • 社員数
    71名(単体)
  • 平均年齢
    40.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    10.2年(単体)
  • 平均年収
    5,451,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    4.7%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

当社は、「新しい酒文化を創造する」というパーパス(目的)のもと、従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮し、「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」というミッションを実現できる活力ある組織づくりを目指しております。当社の価値観である「進化」「情熱」「団結力」「本質思考」「誠実」「遊び心」を人事政策にも反映し、以下のとおり人材の育成及び社内環境整備に関する方針を定め、様々な取り組みを推進しております。

 

(1) 人材育成に関する方針

当社の経営基盤の源泉は「人材」であり、人材の多様性の確保及び人材育成を重要課題と認識しております。

 

① 採用方針 国籍、性別、年齢、障がいの有無等にとらわれることなく、多様な人材が活躍できる場を提供することを目指し、新卒・中途・障がい者採用など幅広い層を対象とした採用活動を行っております。経験や能力に加え、当社の理念への共感や高い倫理観、コミュニケーション能力といった人物面を重視した採用を行っております。

 

② 人材教育・育成 従業員一人ひとりの能力開発を支援し、常に成長し続けることができる環境を提供するため、新入社員研修、階層別研修、職種別研修、社外研修など、多様な研修制度を設けております。また、若年層の定着率向上と能力開発を目的としたキャリア形成プログラムや、次世代のリーダー育成を目的としてMBA(経営学修士)プログラムに就学するための社内奨学金制度を創設し、継続的な成長と組織変革を担う人材の強化に取り組んでおります。

 

③ 人材配置と評価制度 年2回実施する人事面談を通じて従業員の希望や適性を把握し、適材適所の人員配置を行っております。特に新卒採用者にはジョブローテーションを実施し、組織全体のチームワーク活性化と個人の能力発揮を促しています。また、公平かつ客観的な人事評価制度と能力給を導入し、従業員の貢献意欲とモチベーションの向上を図っております。会社の利益が従業員の利益と一体となるよう、決算賞与制度等を通じた還元も実施しております。

 

(2) 社内環境整備に関する方針

多様な人材を確保・育成するため、働きやすい労働環境の整備とダイバーシティの推進に積極的に取り組んでおります。

 

① 働き方改革の推進と労働環境の改善

安定した雇用の確保や時代に即した働き方を実現するため、伝統的な杜氏制度を廃止し、データに基づく製造体制の確立や機械の導入による社員主体の酒造りへ転換いたしました。夜間作業の無人化や、ホイスト・パレタイザー等の自動化設備の導入により、従業員の重労働負荷の軽減と安全性の向上を実現しております。また、多様なライフステージに応じた働き方を支援するため、家族の通院付き添いや学級閉鎖による子どもの見守り、孫の行事参加などを目的とした独自の有給休暇制度である「ワークライフサポート休暇」を創設しております。さらに、製造現場における冷房設備の導入など、快適で安全な職場環境の整備にも継続的に取り組んでおります。こうした従業員の健康と働きやすさを追求する取り組みが評価され、2026年3月には「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)」に認定されております。

 

② ダイバーシティの推進

当社は1990年代から外国人や女性の蔵人を採用するなど、多様な人材の活用を推進してまいりました。中長期的な企業価値向上のため、性別や国籍、経験を問わない採用に加え、障がい者雇用や高齢者雇用も積極的に推進しております。また、女性や子育て世代が働きやすい環境づくりとして、女性の産後復帰支援に加え、小学生から大学生のお子様の就学支援として独自の手当支給を実施しております。さらに、男性の育児休業取得を推進させ、従業員全体のワークライフバランスの向上に努めております。

 

 

(2) 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

 

2026年6月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の対前
事業年度増減率(%)

71

(26)

40.8

10.2

5,451

4.74

 

(注)1.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は酒類製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 労働組合の状況

当社において、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象(常時使用する労働者数101人以上の事業主等)に該当しないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社では、持続可能性の観点から企業価値の向上のため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長吉田佳代(戸籍上の氏名:濱渕佳代)がサステナビリティ課題に対する最終責任を有しております。また、取締役会において、サステナビリティに係る当社の在り方、課題の識別を行う目的で、必要に応じて、以下の内容について協議を行っております。

 

・中長期的な視点に立ち、サステナビリティに関する重要課題の特定

・サステナビリティに関する重要課題のリスク

 

当社は2023年6月30日をもって、監査等委員会設置会社に移行しております。監査等委員会は、取締役会の監督責任と権限を有しておりますので、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督機能を有しているものであります。

 

(2) 戦略

当社では、サステナビリティを推進し企業の社会的責任を果たすため、社会課題の解決に向けたテーマを以下の3点から整理し、SDGs(持続可能な開発目標)活動を推進してまいりました。

 

① 「人と働き方」(人材方針)

一企業として社会に貢献するためには、まず従業員の幸せと働きがいの実現が不可欠と考えております。

当社の経営基盤の源泉は「人材」であり、海外市場の拡大に向けた国際社会での競争力の強化の側面からも、人材の多様性の確保ならびに人材育成は重要課題と認識しております。

多様な人材を確保・育成するためにはより働きやすい労働環境を整備する必要があります。そのために、当社が行った重要な改革のひとつが杜氏制度の廃止であります。

従来、日本酒は、製造責任者である杜氏と製造担当である蔵人たちが、出稼ぎで日本酒蔵に入り、冬季だけ働くという、いわゆる杜氏制度と呼ばれる方法で製造し、また、宿直を伴う夜間作業を必要としておりましたが、安定した雇用確保や時代に即した働き方を実現するため、分析機器の導入とデータに基づく製造体制の確立、夜間作業を無人化する機械の導入のほか、さまざまな業務の効率化などを推進することで、杜氏制度を廃止し、社員による日本酒製造を行っております。

その他の労働環境の改善としましては、蒸米を持ち上げるためのホイストの導入、完成品を段ボールに詰め込み、また、詰め込んだ段ボールをパレットに積み上げるためのケーサー・パレタイザーの導入などによる重労働負荷の軽減を行っております。当社はこれに留まらず、今後も、自動化設備を積極的に導入し、生産効率を向上させると同時に、労働負荷の軽減、安全性の向上に取り組んでおります。

また、従業員が働きやすく、働きがいのある環境を整備するため、全従業員を対象とした健康診断、予防接種の実施等の健康管理の充実、業績連動を含む賞与の充実を進めてまいりました。

現在の目標としましてはダイバーシティの更なる推進を掲げており、グローバル展開を支える人材の国際化、中長期的な女性管理職の育成と登用を進めてまいります。

 

a. ダイバーシティの推進

当社は1990年代から外国人・女性蔵人を採用するなど、国籍や性別によらず、酒造りへの情熱を持った人材を積極的に採用してきております。中長期的な企業価値の向上のためには、多様な人材がシナジーを生むととらえ、経験・価値観・性別・国籍・年齢など多様な人材について、単なる労働力の枠を超えて、新卒を対象とした採用に加え、即戦力として期待される中途採用を実施しております。

 

なお、当社は常時使用する労働者数が法定基準未満であるため第4「従業員の状況等」における各指標の数値開示は省略しておりますが、中長期的な企業価値向上の観点から女性管理職の育成や男性の育児休業取得を積極的に促進しており、実質的なダイバーシティ推進に継続して取り組んでまいります。

また、障害者雇用・高齢者雇用も推進し、働きやすい職場環境の実現に向けても制度・環境の整備を推進しております。また、女性、子育て世代が働きやすい環境づくりとして、女性の産後復帰支援や児童手当、就学手当等の充実を図っております。

 

b. 人材育成

当社の人材育成の方針としましては、各個人の目標と向上心の醸成のための目標管理制度やキャリアプラン、スキルに応じたコース選択制度を導入するなど、従業員一人一人が働きがいをもって能力を最大限発揮し、平等に成果を評価し、評価に応じ報酬等へ反映させる仕組みを整備しております。

従業員教育制度については、必要なスキル・部門に応じた専門スキルを身につけさせること以外に、職位、職能ごとのステップとキャリア形成を目的とした研修を実施し、継続的な育成に取り組んでおります。

さらに、若年層の定着率の向上、能力開発を目的として、新入社員、30歳未満の若手社員を対象とした、キャリア形成プログラム、リスキリングなどの研修を実施しております。

また、中期的な次世代のリーダー育成を目的として、MBA(経営学修士)プログラムに就学するための社内奨学金制度を創設し、当社の組織変革と継続した発展を担う人材の強化に取り組んでおります。

 

② 「原材料と環境への取り組み」(気候変動対策)

当社は、気候変動を重要リスクと位置付けており、中長期的な視点での検討を進めております。気候変動は、当社が仕入れる農産物原材料(米・果実など)の生産に大きな影響を及ぼし得るものと考えております。当社は、産地における収量及び収量の変化等について中長期的な情報収集と予測を行い、原材料調達に関わるリスクの低減に活かしております。

また、気候変動リスクに対する社会的責任を果たすべく、環境保全への主な取り組みとして以下の活動を実施しています。

 

a. 副産物の有効活用

梅酒を仕込んだ際の副産物である梅の実をペースト状に加工し梅酒にブレンドする再利用も兼ねて商品化した「あらごし梅酒」の販売、日本酒を仕込んだ際の副産物である酒粕を販売するほか、肥料、飼料として活用する等、廃棄物削減のための活動を行っております。

 

b. エネルギー使用の効率化

化石燃料の使用削減ならびに二酸化炭素排出量削減に向けて、社内フォークリフトの電動化、営業車のハイブリッド化、高効率ガスボイラーへの更新及びデマンド管理による節電等、エネルギー使用効率化に向けた各種施策を推進しております。

 

c. 資源の有効活用

当社は、持続可能な社会の実現に向け、事業活動における資源の価値を最大化し、廃棄物ゼロを目指す「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の考え方を推進しています。製造現場から排出される原材料の一斗缶や、社内で使用した段ボール、古紙については、貴重な資源として細分化した分別を徹底しています。これらを確実にリサイクルルートへ乗せることで、埋め立てや単純焼却による環境負荷を抑えられるものと考えております。

また、主力商品の容器として、洗浄して繰り返し使用可能な「リユース瓶」を積極的に採用するとともに、物流工程では繰り返し使用できるプラスチック製の通い箱(P箱)を広く活用しています。こうした取り組みにより、使い捨てとなる梱包資材の使用量を抑制し、廃棄物の発生そのものを低減する「リデュース」を実践しています。

 

 

③ 「地域社会との共生」(地域振興)

当社は、創業の地である奈良県において130余年、事業活動を行っております。当社では、事業継続を間接的に支えていただいた地域への感謝の念を込めて、様々な地域貢献活動を実施しております。これは、地元とのコネクションを維持・強化し、地元との共創による価値創造を可能にするなど、社会貢献だけでなく当社の企業価値向上にも資する取り組みであると考えております。

具体的な活動といたしましては、地域社会との関係を強化するため、福祉施設との連携、地域清掃活動、杜氏会との連携、地元企業とのコラボレーション、スポーツ・文化活動への協賛、蔵開きイベントなどの活動を実施しております。

また、次世代の育成のため、小中学生向けの蔵見学・体験プログラムを実施するなど、奈良県が誇る酒文化の継承に取り組んでおります。

さらに、当社が事業活動を行うことが、原材料の地元調達による地産地消の推進、地域雇用の創出、地域産業の活性化への貢献となるものと考えております。

 

(3) リスク管理

当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を経営戦略に直結する重要事項と捉え、以下のプロセスを通じて識別、評価及び管理を行っております。

毎週開催される「部長会」(管理職クラスの会議)において、各部門の責任者が事業運営上の変化や外部環境の動向を報告いたします。具体的には、人的資本(採用・労働環境)、原材料(農産物の調達状況)、地域社会との関係性、及び環境負荷(資源の再利用状況)などの観点から、サステナビリティに関連するものを含め、潜在的なリスクと事業機会を抽出しております。

「部長会」で報告された内容は、常勤取締役及び各部門長で構成される「リスク・コンプライアンス委員会」にて、「発生可能性を識別し活動中の事項」及び「発生前のリスク低減活動」に大別し、検討・集約・統合されます。同委員会では、特定されたリスク及び機会について、発生可能性や事業継続への影響度、財務的インパクト、並びにブランド価値への影響等の多角的な視点から分析いたします。また、判定された重要リスクについては、担当部門において具体的な低減活動や対策を策定し、同委員会がその進捗を継続的にモニタリングいたします。

「リスク・コンプライアンス委員会」での討議・協議内容は定期的に取締役会へ報告され、取締役会は特定されたリスクについての対応状況を確認し、リスク管理の状況をモニタリングしております。取締役会はリスクの状況を踏まえて、必要に応じて速やかに対応すべき課題についての経営判断、指示を行うほか、中長期的な課題について議論を行い、中期経営計画等の戦略立案への反映状況を検討するなどしております。

サステナビリティについては全社的な取り組みでありますが、上記の「部長会」及び「リスク・コンプライアンス委員会」の事務局を管理部が務めていることから、管理部を推進部署としております。

 

(4) 指標及び目標

当社は、上記「(2)戦略」に記載したダイバーシティの推進および人材育成について、本書提出日現在において具体的な数値目標は設定しておりません。 当社事業は一般消費者の生活に密着した商品を扱っており、かつ海外事業の拡大を推進していることから、多様な価値観の受容および人材の多様化(ダイバーシティの推進)は中長期的な企業価値向上に向けた重要課題であると認識しております。この認識のもと、グローバル展開を支える人材の国際化や、中長期的な女性管理職の育成・登用を基本方針として推進しております。

一方で、当社は比較的小規模な組織構成であり、従業員総数が限られていることから、女性役員や女性管理職の比率・人数等の数値指標につきましては、1名の異動や登用により指標が大きく変動する特性を有しております。そのため、形式的な数値目標の設定ではなく、実質的な人材育成や働きやすい職場環境の整備を優先することが妥当であると判断し、現時点では数値目標の設定を見送っております。

 今後は、事業規模の拡大状況や組織構造の変化、並びに各種認定制度等の活用状況に応じ、有効な指標および数値目標の設定について継続的に検討を進めてまいります。