リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を伴うことから実際の結果は異なる可能性があり、また、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。
(1) 事業環境等のリスク
① 人間ドック・健診市場の動向について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社の主要市場である人間ドック・健診市場は、人生100年時代が到来する中、政府及び地方自治体による予防医療推進の取り組みや人々の健康意識の向上に伴い、一定の継続的な成長が見込まれております。
しかしながら、人間ドック・健診の担い手である医療施設の動向や政府・地方自治体における社会保険財政の状況と使用方針等により、人間ドック・健診市場の減退、若しくは市場環境が変化するような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、ヘルスケア領域に限定せずに、行政実務全般に関するDXを推進する新たなサービス展開を開始しております。
② 他社との競合について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
人間ドック・健診関連市場は、企業を中心に従業員の健康管理の一環として需要が高まっており、健診代行機関やクラウドサービスをベースとした健康管理支援システムを提供する企業を中心に新規参入事業者が増加してりおります。
今後、これらの事業者がシステムを活用した人間ドック・健診に関する予約サービス提供業務へ進出してきた場合、競争の激化により当社の市場における競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社はHCPFとDXの両サービスを提供することで参入障壁を高めております。また、医療施設のデジタル化は時間とコストが相応にかかり、費用対効果の点で先行者の後塵を拝すことが見込まれることから、当該事業者との関係では、相互連携による両社の利益追求も合理的な選択肢となることから、発生可能性は低いものと認識しております。
③ 技術トレンドやユーザーニーズの変化について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
ヘルスケア関連の事業領域は、グローバルで潜在的に高い成長可能性が見込まれるため、ベンチャー企業からグローバル展開する大企業までが大小問わず事業を推進し、クラウドを中心に様々なシステムやツールが開発されております。
今後、技術革新等による技術トレンドやユーザーニーズの変化に十分に対応できない場合は、当社サービスの優位性が損なわれ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、最新のテクノロジーの知見やノウハウ、ユーザーニーズの蓄積等により、継続的な開発力の向上を図ってまいります。
④ 外国為替変動について(発生可能性:中、影響度:低、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、Amazon Web Service(AWS)を中心に海外事業者が提供するサービスを利用しておりますが、為替リスクヘッジは特段実施しておりません。そのため、想定以上に為替相場が円安傾向となった場合は、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社における為替リスクのある取引高の割合は低い状況ですが、今後当該割合が高まる場合は、金融機関等とも相談のうえリスクヘッジ手段を用いることも検討してまいります。
(2) 事業運営に関するリスク
① システムトラブルについて(発生可能性:低、影響度:大、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社が提供するサービスは、主にSaaS型のクラウドサービスとして提供しております。したがって、当社事業に関する各種サービスはコンピューターシステム及び通信ネットワークに依存しております。
このため、予期せぬ自然災害や不慮の事故により当社が管理するコンピューターシステムで障害が発生した場合や、想定を超える急激なアクセス増加等の一時的な過負荷やシステム障害によってコンピューターシステムや通信ネットワークが動作不能に陥り、サービスが停止した場合、当社に対する訴訟や損害賠償の実損害や当社に対する信用棄損を通じた無形の損害等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスク低減を図るため、システムの冗長化やサーバーの負荷分散、定期的なバックアップの実施等により、システム障害等のトラブルの発生の防止及び回避を図っております。
② 顧客情報管理について(発生可能性:低、影響度:大、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、受診者や顧客企業の従業員の健診結果データである要配慮個人情報を含む大量の個人情報を保有していることから、個人情報の適切な管理は、極めて重要な責務と認識しております。
このため、万が一事故若しくは自然災害、悪意のある者による意図的な外部攻撃等によって当社の通信・ネットワークセキュリティに障害が発生した場合、又は、関係者等による人為的な事故若しくは悪意による情報の漏洩が発生した場合は、当社の情報管理に多大な支障をきたし、当社に対する訴訟や損害賠償の実損害や当社に対する信用棄損を通じた無形の損害等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスク低減を図るため、個人情報保護法及び関連する法令等に遵守するための体制を整備しております。また、2016年3月にISMS(ISO27001:情報セキュリティマネジメントシステム)の認証、2017年1月にプライバシーマークの認証を取得し、これらの認証に基づいた各種情報セキュリティに関する規程等を定めて、情報の機密性、完全性、可用性の確保に努めるとともに、提供する各サービスについては、定期的に脆弱性診断を実施し、継続的な情報セキュリティレベルの改善及び向上活動を行っております。
これらにより、入室制限及び書類保管等の物理的な対処はもちろん、ランサムウェア攻撃等によるウィルス対策や外部からのアクセス遮断、社内でのアクセス権限設定等のアクセス管理の実施等、細心の注意を払い、情報漏洩防止に取り組んでおります。
③ 法令、制度改正に関するリスク(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、人間ドック・健診の予約メディアである「MRSO.jp」上にて、人間ドック・健診を提供する医療施設の紹介及び予約プラン等を掲載しております。このような医療関連メディアの運営を行う上では、医療施設に関する虚偽表示や誇大表示による広告等を禁止するための指針とされる「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(厚生労働省)の規制を受けております。
また、上記の他にも「個人情報保護法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」等の各種法的規制のもと運営を行っております。
このため、将来的に当社事業に関連する分野において、これらの法令等の改正や新たな法律等の制定・施行により事業運営上の制約を受けたり、新たな対応を余儀なくされたりする可能性があります。このような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、規制改定等に関する情報を迅速に把握対応し、これらを遵守すべく、適宜顧問弁護士等とも確認を行い体制整備に努めるとともに、適切な社員教育を行うことで法令遵守体制の整備・強化を図っております。
④ 外部検索エンジンの影響について(発生可能性:中、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社が運営している「MRSO.jp」への集客は検索サイトを経由したものが一定数を占めており、検索エンジンの表示結果に影響を受けております。
このため、外部検索エンジンを運営するプラットフォーム事業者のアルゴリズム(表示順位判定基準)変更等により、当社のSEO対策の有効性が低下し、検索結果が当社にとって優位に働かない状況が生じた場合には、集客効果が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、検索エンジンからの集客を高めるための検索エンジン最適化(SEO対策)を実施し、定期的に広告宣伝効果を測定しつつ最適な広告宣伝を実施するよう努めております。
⑤ WEBメディア内の安全性及び健全性の維持について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、「MRSO.jp」、「人間ドックのミカタ」等、医療施設による人間ドックのプランや自社による人間ドック・健診を中心とした医療記事等を掲載するWEBメディアを運営しております。また、これらのWEBメディア上では、運営者として、医療施設や一般企業からの広告を掲載しております。
このため、ユーザーがこれらの情報に基づき一定の判断をした結果として、何らかの不利益が発生した場合や人為的な要因等により掲載した内容に瑕疵があった場合等において、WEBメディア運営者として当社に何らかの責任が問われることにより、又はWEBメディアに対するユーザー等の支持低下や当社の社会的信頼性の毀損により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、掲載される医療情報・医療記事・広告記事については、社内ガイドライン・掲載基準に従って確認を実施しており、法令違反や公序良俗に反する内容を排除するような体制構築に努めております。
⑥ 外部クラウドサーバーへの依存について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社が提供するクラウドサービスは、安全性、安定性、拡張性及び価格等を総合的に勘案し、Amazon Web Services, Inc.が提供しているクラウドコンピューティングサービス「AWS」を基盤として運営されています。
このため、AWSのデータセンター処理能力が当社の求める処理能力を満たさない場合やAWSに障害が生じた場合には、当社が提供する各種クラウドサービスへのアクセスが中断又は遅延する等、顧客からの信用が損なわれ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同社による経営戦略の変更、又は、利用料改定を含む各種取引条件の変更等が行われた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、AWS以外のサーバー提供事業者の提案等も定期的に収集確認しており、継続的にAWSとの比較検討を行い、AWSの継続利用が困難に陥った場合等の代替事業者への円滑な移行に向けた検討を行ってまいります。
⑦ 知的財産権の侵害等について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、当社提供のサービス名等について商標登録を行っております。当社が使用する知的財産について、現時点においては、第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。
しかしながら、当社事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であるため、意図せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、特許権侵害や商標権侵害を理由とする損賠賠償請求や差止請求、知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、今後の事業活動においても第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害することがないように外部専門家と連携し、適切な管理に努めてまいります。
⑧ 訴訟等について(発生可能性:低、影響度:中、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、コンプライアンス規程を制定し、法令を遵守した事業活動を行うべく、従業員に対しても法令遵守への意識向上を図っております。
現時点においては、当社は係争中の訴訟を有してはおりませんが、事業活動の遂行において、意図しない法令違反や不適正行為、契約を巡る紛争や損害賠償等、第三者からの訴訟その他法的手段の提起等がなされた場合には、金銭的な負担に加え、企業イメージの悪化等、社会的なレピュテーションの低下により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、法令改正等に関する情報を専門誌の購読等を通じて迅速に把握し、対応が必要な場合は、速やかな体制整備に努めてまいります。また、法的手段等の提起がなされた場合には、適宜顧問弁護士等とも協議のうえ適切な対応を図ってまいります。
(3) 経営体制に関するリスク
① 特定人物への依存について(発生可能性:低、影響度:大、顕在化する可能性のある時期:常時)
代表取締役社長である西野恒五郎は、当社の創業者の一人であり、2017年3月以降は代表取締役社長を務めており、当社の経営方針や事業戦略構築、信用力の向上等において重要な役割を果たしております。
このため、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、取締役会等の会議体等を通じて役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に依存しない経営体質の構築を進めてまいります。
② 人材確保と育成について(発生可能性:低、影響度:小、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社グループは従業員数が24名(2024年12月末)と小規模な組織であり、更なる成長のため、優秀な人材確保及び人材育成が不可欠であると認識しております。また、人員拡大とともに内部管理体制の更なる強化を併せて図っていく予定であります。
このため、人員採用計画等が何らかの事情により想定通り進まなかった場合、又は既存人員の人材流出が進んだ場合には、競争力低下やリソース不足により事業が計画通りに進まない可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスク低減を図るため、採用方法の多様化を図り、当社の企業風土にあった人材の登用を進めるとともに、内部管理事項を含む各種研修の実施等により、各人の能力底上げを行ってまいります。
③ 海外子会社について(発生可能性:低、影響度:小、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社グループは、ベトナムにおいて、システムの開発および保守・運用を担う海外子会社を保有しており、親会社は同子会社に一部の開発業務等を委託しております。このため、ベトナムにおける政治・経済・法規制の変更、テロなどの社会的混乱、または労働環境の急激な変化等が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに対して現地従業員を中心とした現地管理体制の強化に努めるとともに、事業環境および経営状況を常時把握しております。また、必要に応じて当社取締役会等においてリスク状況を適宜協議・モニタリングし、安定した業績および健全な財政状態の維持に努めております。
(4) その他リスク
① 配当政策について(発生可能性:中、影響度:小、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現在は事業拡大過程にあり、財務体質の強化に加えて更なる事業成長のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化及び収益力強化のための投資に機動的に充当していくことが株主への最大の利益還元につながるものと考えております。
将来的には、経営成績等を勘案しながら株主への配当還元を検討していく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。
② 当社株式の流動性について(発生可能性:中、影響度:小、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、東京証券取引所グロース市場への上場しておりますが、2024年12月末時点での流通株式比率は27.0%にとどまっております。
このため、株式市況等の要因により流通株式比率が向上しない、あるいは低下する可能性があり、これらの場合には当社株式の市場売買が停滞すること等により当社株式の需給関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、今後は、既存大株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使等による流通株式数の増加に努め、流動性の向上を図ってまいります。
③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:低、影響度:小、顕在化する可能性のある時期:常時)
当社は、役員、従業員及び社外協力者に対して、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権の権利行使の可能性や時期について正確に予測することはできませんが、将来の権利行使時点において当社株式が新たに発行され、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化される可能性があります。
なお、2024年12月末時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は253,370株であり、発行済株式総数 3,552,750株の7.1%に相当しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、財務体質の強化に加えて事業成長のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化及び収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
将来的には、経営成績を勘案しながら株主への配当還元を検討していく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。内部留保資金については、財務体質を考慮しつつ今後の事業拡大のための資金として有効に活用していく所存であります。
なお、剰余金の配当を行う場合は、年1回の12月31日を基準日とした期末配当を基本としており、その他年1回の6月30日を基準日とした中間配当を行うことができる旨及び株主への機動的な利益還元を図る目的から、別途基準日を定めて剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。