2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 

本書に記載した当社グループにおける事業概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でおりますが、記載内容及び将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在していること、並びに投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんのでご留意ください。

 

(1) 原材料、製・商品の相場変動リスク

当社グループにおける原材料、製・商品である鉄スクラップや非鉄金属の価格は、鉄鉱石や銅鉱石といった資源価格や金属製品価格等の影響を受けます。

当社グループの原材料、製・商品の仕入価格と販売価格は、基本的には相場に連動いたしますが、相場の急激な変化の影響を受けて、契約内容によっては利益の減少や損失が発生する場合があります。また、同様に製・商品在庫価値についても相場の影響を受ける可能性があります。

1トン当たりの鉄スクラップ価格(東京製鐵田原海上特級価格の平均)の推移は、下表のとおりであります。

 

 鉄スクラップ価格
  単位:円/トン

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

第13期 2021.7~2022.6

49,461

55,070

56,738

60,895

55,520

第14期 2022.7~2023.6

46,532

48,097

52,416

49,357

49,082

第15期 2023.7~2024.6

49,560

50,793

52,308

51,022

50,916

 

(注) 鉄スクラップ価格は、東京製鐵田原海上特級の日々の価格を合計し各四半期会計期間の日数で除して算出しております。

 

(2) 原材料・商品の調達環境リスク

当社グループにおける原材料・商品は、主に工場の生産工程から発生する金属スクラップ及び産業廃棄物や市中発生の老廃屑(解体工事や工場ライン撤去に伴い発生する鉄スクラップや非鉄金属)となり、工場の生産動向、最終製品の消費動向等の影響により発生が減少する可能性があります。こうした原材料・商品の減少は、売買数量、生産設備の稼働率に影響を与え当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業績の変動リスク

当社グループでは、原材料、製・商品の相場変動、為替変動、原材料・商品の増減等、各種要因により業績が大きく変動する可能性があります。
 当社グループの業績は、下表のとおりであります。

第15期(自 2023年7月1日  至 2024年6月30日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

売上高

12,812

24.5

12,976

24.9

12,974

24.8

13,450

25.8

52,214

100

経常利益

523

29.4

481

27.0

329

18.4

448

25.2

1,782

100

 

(注) 比率は、通期に対する四半期の割合であります。

 

(4) 特定の販売先への集中リスク

当社グループの2024年6月期の売上高に占める上位三社である国内及び韓国の鉄鋼メーカーを合わせた売上高比率は27.62%であります。各社とは円滑な取引関係を継続しておりますが、取引先の個別の事情や相手国の事情、法規制や関税率の変化といった理由により、取引条件の悪化や取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 物流リスク

当社グループでは鉄スクラップ等の調達、加工、販売の流通において主に車両及び船舶を利用しております。原油価格や人件費の高騰、需給逼迫等による配車、配船難等により物流コストが上昇する可能性があります。また、船舶会社から傭船し販売する場合、一船当たりの販売量は1,500トンから5,000トン単位となり、売上高は数千万円から1億円以上となります。船舶を利用した販売において、悪天候等の不測の事態により適時に傭船が行えない可能性があります。これらにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制等について

当社グループの事業活動の前提となる事項に係る主要な法規制は以下に記載のとおりであります。

・廃棄物の処理及び清掃に関する法律

・使用済自動車の再資源化等に関する法律

・フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律

・古物営業法

・特定家庭用機器再商品化法

・使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律

・建設業法

・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

・労働安全衛生法

・消防法

・道路交通法

・貨物自動車運送事業法

・外国為替及び外国貿易法

・輸出入取引法

・安全保障貿易管理におけるキャッチオール規制

・計量法

・特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律

・各種環境法令

  等

 

当社グループが事業活動を営むにあたり、事業会社又は役員等が廃棄物処理法等で定める欠格要件等に該当し、事業の停止命令や許認可が取り消されることになった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、その廃棄物の中間処理等で、様々な環境関連法令に対応していますが、異常気象などの不測の事態により廃棄物の飛散、流出などが起きてしまった場合に、賠償責任が発生する可能性があります。

 この他、外国との貿易取引においては、バーゼル法の規制や、その国の許認可を要する場合もあり、大幅な法改正、制度変更があった場合など、既存事業がこれらの規制に抵触してしまう可能性があります。

 

(7) カントリーリスク

当社グループは、海外売上高比率が高く、輸入や三国間貿易を実施しております。また、チリ現地子会社、オランダ支店、ベトナム及びイギリス駐在所等が存在することから、取引先の各国の経済情勢に加え、貿易・通商規制、税制、予期しない法律又は規制の変更並びにそれらの解釈の相違、あるいは政変、戦争、感染症の流行等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 為替変動リスク

当社グループの貿易取引では、円建のほか外貨建も含めて取引を行っている子会社も存在することから、取引、在庫価値並びに外貨預金残高について為替変動の影響を受けております。

このため外貨取引については、為替予約規程により為替予約等を利用することを規定し運用することで、為替変動リスクの低減に努めております。また、連結財務諸表を作成するにあたって在外子会社の財務諸表を円換算しており、現地通貨における価値に変動がなくても、円換算後の価値が影響を受けます。しかしながら、事業活動において為替変動リスクを完全に排除することは困難でありますので、今後著しい為替変動があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&A戦略及びM&Aシナジーが十分に発揮されないリスク

当社グループでは、事業の拡大を図る手段としてM&Aを実施してまいりました。対象企業については、当該企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するよう努めております。しかしながら、M&Aを行った後に偶発債務や未認識債務が判明する場合等が考えられます。

また、M&Aの対象会社が外部環境の変化等各種の要因により、当初の期待どおりの成果をあげられない可能性もあります。これらの場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 競合リスク

当社グループの事業分野には大きなシェアを持つ全国的な企業が存在せず、地域別に中小企業が多数存在し、それぞれの得意分野・地域を持ち、価格、サービスを競っております。

今後は、法的規制を背景にした環境対応や廃棄物リサイクルへの社会的ニーズの高まりにより、より高度な廃棄物処理と再資源化が求められることから、全国一括受託のためのサービス提供地域の拡大や大規模な設備等を設置できる財務的な体力、ノウハウ、あるいは廃棄物の排出事業者から廃棄物由来のリサイクル品やリユース品を利用する企業までをも巻き込んだ総合的な廃棄物の循環処理サービス体制を構築することが重要になってくると予想しております。

当社グループではこれらの社会的ニーズを取り込んだ事業展開を目指しておりますが、海外企業や異業種からの新規参入や業界再編成といった事業環境の変化によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 有利子負債リスク

2024年6月期末において、当社グループの有利子負債は8,939百万円、総資産に対する割合は26.5%となっております。引き続き財務バランスを総合的に勘案してまいりますが、今後の経済情勢・金融環境の変化・市中金利動向等によって当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 潜在株式による株価変動リスク

当社は、役員の退職慰労金の目的並びに役員と従業員等へのインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。2024年6月末現在における潜在株式数は1,232,400株であり、2024年6月末の発行済株式総数の4.1%に相当いたします。この新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、株式市場で同時期に大量に売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 人材確保・育成に係るリスク

当社グループは、企業価値向上に向けて優秀な人材の確保・育成が不可欠であると考えております。そのためには企業理念と組織イメージ「創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団」に向けて、各個人が組織の目指す高い理念を理解し、自分の力で考え、自らの意志で進み、自らの規範で律するカルチャーをベースとした良い組織風土の醸成、強い企業文化を形成することが重要な経営テーマであると認識しています。その上で内部統制委員会の下部組織である人事労務改革委員会が事業会社と連携し、外部人材の積極的な採用と教育に取り組んでおります。しかしながら、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではなく、適格な人材を十分確保できなかった場合、当社グループの成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 労働災害に係るリスク

当社グループでは、多くの生産設備、重機等を使用して業務を行っており充実した安全管理が不可欠であると認識しております。そのため、内部統制委員会の下部組織として環境安全推進委員会を設置し、従業員への安全教育、危険予知活動といった啓発活動並びにチーム活動等による点検パトロールの継続的な実施を通じ、事故を防止するための安全管理を徹底しております。しかしながら、万一、重大な事故・労働災害等が発生した場合、一時的に復旧費用、補償金等の負担が生じ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 自然災害・火災・事故等のリスク

 当社並びに当社グループの中核企業である株式会社エコネコルの資源リサイクル工場は、静岡県富士宮市の富士山の麓に位置しており、富士山が噴火した場合、火山弾等による社屋や設備の損壊、周辺道路の寸断による孤立化及び電気や水道等の供給停止による操業停止の可能性があります。また、静岡県や愛知県においては南海トラフ巨大地震の発生、全世界的には気候変動に伴う異常気象の発生が懸念されております。当社グループの株式会社NEWSCON、株式会社クロダリサイクル並びに株式会社サイテラスにおいては、船積みヤード(在庫保管基地)を有しておりますので、地震による津波や気候変動に伴う異常気象等による風水害により製・商品在庫においても大きな被害が出る可能性があります。

 また、当社グループの主要生産設備であるシュレッダー(大型破砕機)は、破砕資材からの発火等による爆発や火災のリスクが比較的高い設備であるため、自動消火装置や24時間自動監視システム等のセキュリティ対策を施しておりますが、同主要設備の稼動が火災や重大な事故損傷により長期間停止した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループではこのような自然災害、火災、重大事故、損傷といった非常事態に備え、グループ各社において災害・事故発生時の緊急体制・手順を整備し被害を最小限にとどめる対応を準備しております。しかしながら有事の際の被害状況は想定を超える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 環境汚染等に係るリスク

当社グループでは、産業廃棄物等を扱っており、中間処理過程で騒音、振動、粉塵、排水が発生いたしますが吸音、防振、集塵、水質浄化設備等の環境対策設備を設置し環境汚染を防止しております。しかしながら、不測の事態により流出漏洩等の事態が生じた場合、汚染防止、汚染除去等の環境汚染防止のための改修費及び損害賠償や設備の修復等に多額の支出が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) ITシステムにおけるリスク

当社グループでは、主要ITシステムであるスケールシステム(計量システム)については、各拠点にサーバーを設置しておりバックアップデータをクラウドサーバに保存しています。また、会計、人事、給与、就業、通関書類作成等のサブシステムについては、関東某所のクラウドサーバにて集中管理し総合的な対策を講じている状況にあります。

 しかしながら自然災害等により関東拠点が壊滅的な被害を受けた場合には当社グループの事業が停止することとなりますので、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 新規事業に対するリスク

当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、積極的に新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより先行した設備投資、人件費やその他の経費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業を開始した際には、そのサービス、事業固有のリスク要因が加わると共に、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しています。そのため、内部統制委員会の下部組織としてデジタル化推進委員会を設置し、これらの情報管理に関する規程の整備や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら何らかの理由で紛失、破壊、漏洩等が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や失墜、損害賠償責任の発生等と、社内情報システムへの外部から想定した防御レベルを上回る技術によるサイバー攻撃等により、社内システム停止等が引き起こされる可能性もあります。これらの事態が起きた場合には、適切な対応を行うための費用負担が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (20)固定資産の減損損失リスク

 当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合や時価が著しく下落した場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (21)債権回収リスク

 当社グループの事業活動の中で発生する売掛債権等については与信管理の強化に努めておりますが、取引先の財政状態が悪化し、支払遅延や売掛債権等の回収が行えない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (22)知的財産に関するリスク

当社グループは、焼却灰やASRからの高度な選別技術による金銀滓回収事業や、スクラップ等から再生原料を製造するリマニュファクチャリング事業などを推進しており、その推進の過程で成した発明その他知的財産を保護するために、知的財産権の取得に努めております。当社グループでは、他者の知的財産権を侵害しないように技術開発その他知的財産の創出に努めておりますが、見解の相違等により他者の知的財産権を侵害する可能性があります。一方、他者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。

 

 (23)ダスト処理費に関するリスク

当社グループの資源リサイクルの処理工程において、受け入れた廃棄物等の原料は価値ある資源と当社グループでは再生処理することのできない廃棄物(ダスト)に分かれます。市場環境の悪化によりダストの出荷先である管理型最終処分場、又は焼却処分場において受け入れが制限される場合には、処理費の上昇や、遠隔地の処分場への輸送が必要となり費用が増加する場合があります。また、当社グループ事業場のダストの保管容量の関係から生産量が制限される場合もあり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (24)気候変動に係るリスク

世界各国で脱炭素に向けた取り組みが進められる中、当社グループではTCFD提言に沿ったリスクと機会の特定及び、適切な情報開示に努めております。気候変動による自然災害の増加などの物理的リスクのみならず、炭素税の導入や再生可能エネルギー電力への切り替えに伴う経費の増大なども、脱炭素社会への移行に係るリスク要因となりえます。今後、気候変動課題に関連した様々な分野で新たな規制が導入された場合や、気候変動に伴う市場や情勢の変化があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (25)感染症流行のリスク

感染症等の流行があった場合には、サプライチェーンの停滞や事業環境の悪化により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。感染症の拡大時期や収束の予測は非常に困難と考えられます。移動の制限や就業の規制に伴う生産体制の縮小、直接対面での営業活動の制約などによる事業への影響を最小限にとどめるため、当社グループでは、テレワーク、フレックスタイム制、WEB会議等の活用に取り組んでおります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を重要課題の一つとして認識し、業績に応じた利益配分、経営基盤強化のための内部留保等を総合的に勘案しながら、長期的な視野に立ち、安定的かつ継続的な利益還元を行うことを基本方針といたします。業績連動利益配分の指標として連結配当性向25~35%を目標として実施してまいります。

また、当社の剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本方針としております。当社は「取締役会決議により毎年12月31日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めており、剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会としております。

以上の基本方針を踏まえ、当期の期末配当金につきましては、1株当たり6円の配当を実施することを決定いたしました。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年9月27日

定時株主総会決議

181,263

6