2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,179名(単体) 7,507名(連結)
  • 平均年齢
    40.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.8年(単体)
  • 平均年収
    8,054,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    1.9%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

① 人材戦略に関する基本方針

 住友金属鉱山グループは、住友の源流である銅製錬と別子銅山に連なる資源事業を受け継ぎ、現在では資源・製錬・材料の3事業をコアとして、非鉄金属を社会に安定供給しています。長期ビジョンに「世界の非鉄リーダー」を掲げ、卓越した技術と独自のビジネスモデルを磨き、安定収益の確保と社会課題への真摯な対応を両立させるため、SMMグループ経営理念に基づく人材戦略を経営戦略の基盤として位置づけています。資源・製錬事業は開発から操業までの時間軸が長く、高度かつ専門的な知見に基づく長期的な価値創造ビジネスであり、その価値創造の源泉である人材の、専門性の深化と知見の継承を通じて、持続的な競争優位の確立を図ってまいります。

 一方、材料事業は市場・技術変化が速く、競争優位の確立には変革と挑戦、研究開発・製品開発を起点としたイノベーションが不可欠であり、その土台として、多様な人材の活躍と自由闊達な組織風土の構築に取り組んでまいります。

 こうした事業特性を踏まえ、人材戦略の根幹にエンゲージメント強化を据え、長期勤続と継続的成長を前提としつつ、現状維持に留まらない組織の進化を目指しています。若手から管理職層まで各フェーズで必要な能力・専門性を段階的に高めるため、分野ごとに体系的な育成の道筋を整備し、安定と変革の両立により、3事業の持続的成長を支える人材基盤を強化してまいります。

② 給与決定方針

 給与決定に際しては、毎年、人材獲得力や従業員エンゲージメントの維持・向上、また社会情勢等を踏まえて労働組合との春季経済交渉を行い、月例給与のベースアップ及び賞与額を決定してまいりました。なお、より適正な成果配分を行うべく、2026年度より賞与の決定については、前年度の業績に連動して決定することとしております。

 

(月例給与ベースアップ実績)

2024年度

2025年度

2026年度

8.16%

5.94%

5.70%

*上記実績は定期昇給の実績を含みます。また各年度7月改定です。

 

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

資源

414

[49]

製錬

2,862

[50]

材料

2,525

[190]

報告セグメント計

5,801

[289]

その他

598

[101]

本社その他

1,108

[106]

合計

7,507

[496]

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.本社その他として記載している従業員数は、管理部門等に所属している者であります。

 

② 提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

3,179

[238]

40.8

16.8

8,054

1.9

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

資源

238

[39]

製錬

961

[23]

材料

872

[70]

報告セグメント計

2,071

[132]

本社その他(当社)

1,108

[106]

合計

3,179

[238]

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与(税込)は、基準外給与、その他諸手当及び賞与を含めております。

3.本社その他(当社)として記載している従業員数は、管理部門等に所属している者の数であります。

 

③ 労働組合の状況

2026年3月31日現在

 

社内組織

上部組織

店所別組合

住友金属鉱山労働組合総連合会

(略称 住鉱連)

日本基幹産業労働組合連合会

(略称 基幹労連)

住友金属鉱山東京労働組合(市川研究センター、大阪支社、

名古屋支店を含む)

別子労働組合

住友金属鉱山播磨労働組合

住友電子金属労働組合

住友金属鉱山菱刈鉱山労働組合

(注)1.当社の各店所においては上記のとおり組合が結成されており管理職社員を除く全従業員が加入しております。

2.各店所の組合は、それぞれ上部組織の住鉱連及び基幹労連に加入しており、住鉱連は、社内全般にわたる労働条件について、会社と交渉を行います。

3.連結子会社に係る主な労働組合は、日向製錬所労働組合、大口電子労働組合、伸光製作所労働組合、国富労働組合であります。上記労働組合は、それぞれ住鉱連及び基幹労連に加入しており、各店所組合を含む住鉱連の2026年3月31日現在における所属組合員数は3,673名であります。

  なお、労使は相互信頼を基盤に円満な関係を継続しております。

 

④ 管理職社員に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異

 

a. 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性従業員の割合(%)

   (注)1、2

男性の育児休業取得率

     (%)

   (注)3、4

男女の賃金の差異(%)

(注)8、9

全従業員(注)5

従業員

(注)6

臨時従業員(注)7

3.1

113

68.0

69.4

39.4

 

b. 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性従業員の割合(%)

 (注)1、2

男性の育児休業取得率(%)

 (注)3、4

男女の賃金の差異(%)

(注)8、9

全従業員

(注)5

従業員

(注)6

臨時従業員

(注)7

住鉱資源開発㈱

0.0

20

65.8

81.5

50.6

㈱日向製錬所

-

40

80.8

80.3

131.5

㈱四阪製錬所(注)10

-

-

-

-

-

住鉱物流㈱

20.0

50

76.5

79.9

51.2

住鉱エナジーマテリアル㈱

-

50

80.4

79.6

-

新居浜電子㈱

0.0

66

71.9

70.8

49.2

大口電子㈱

0.0

60

82.3

81.4

-

住鉱国富電子㈱

0.0

-

79.1

79.3

152.6

㈱SMMプレシジョン

25.0

-

70.2

72.3

-

㈱グラノプト

0.0

-

60.4

61.5

116.6

㈱伸光製作所

3.6

66

77.9

75.3

-

住鉱潤滑剤㈱

0.0

0

74.7

74.0

93.3

ヰゲタハイム㈱

0.0

-

78.8

78.8

-

㈱ジェー・シー・オー

-

-

101.6

98.2

-

日本照射サービス㈱

-

-

77.2

85.0

-

住鉱テクノリサーチ㈱

-

100

81.7

82.2

100.5

住友金属鉱山エンジニアリング㈱

0.0

66

73.1

77.3

59.3

住鉱技術サービス㈱

-

100

64.4

91.3

69.4

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

   2.出向者はすべて出向元の従業員として集計しております。管理職が出向者のみで構成されている場合は、「-」と表記しております。

   3.男性の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76条)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25条)第71条の6第2号における育児休業を取得した者の数を、配偶者が出産した者の数で除した割合を示しています。育児休業は、育児休業及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。また、出向者は、出向元の従業員として集計しておりますが、海外出向者については除いております。

   4.男性の育児休業取得率における「-」は、取得の対象となる従業員がいないことを示しております。

   5.全従業員は、従業員と臨時従業員を含んでおり、出向者は出向元の従業員として集計しておりますが、海外出向者については除いております。

   6.従業員は正規雇用の従業員、臨時従業員は非正規雇用従業員であります。

   7.臨時従業員はパートタイマー及び有期雇用の従業員を含んでおります。

   8.男女の賃金差異については、男性の賃金に対する女性の割合を示しております。同一労働の賃金に差はなく、資格別人数構成の差によるものであります。

   9.男女の賃金差異における「-」は、算出に必要な従業員が在籍していないことを示しております。

   10.㈱四阪製錬所の従業員はすべて提出会社からの出向者であり、報告指標については出向元で集計しております。

 

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において一定の前提に基づいて合理的であると判断したものであり不確実性を内包するため、実際の結果とは異なる可能性があります。なお、本サステナビリティ関連財務開示で報告される数値に影響を与える最も重大な不確実性は、気候変動シナリオ分析により評価された財務的影響であり、詳細については「(2)気候変動②戦略<気候変動シナリオ分析>」をご参照ください。

 

(1)サステナビリティ全般

 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)に記載のとおり、当社グループは1590年より永きにわたり営まれてきた住友の源流事業である鉱山運営、製錬事業を受け継ぐ企業であり、住友の事業精神を企業行動の根本に据えています。住友の事業精神の第1条には、社会的な信用や相互の信頼関係を大切にし、何事も誠意をもって確実に対応することにより、事業の確実な発展を図っていくべきことが定められています。特に鉱山運営においては、天然資源が存在する特定の地域で採掘活動を行うという性質から、操業地域の環境・社会・経済に対して長期にわたり影響を及ぼします。加えて、一般に操業期間が数十年に及ぶため、地域の皆さまをはじめとする多様なステークホルダーとの信頼関係の構築は地域での社会的操業許可ともいえる事業継続の大前提と位置づけております。

 当社グループの経営理念では「地球および社会との共存」を謳っており、また事業精神が示す信頼関係構築、維持の手段を示すとともに、明るく活力ある企業の実現として「人間尊重」を掲げています。「地球および社会との共存」と「人間尊重」を通じて目指すサステナビリティへの取り組み姿勢を定めるために、住友金属鉱山グループサステナビリティ方針を策定し、長期ビジョンの実現に向けて6つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、それぞれの重要課題に対応する「2030年のありたい姿」、KPIと目標を設定し、持続的な成長と社会への貢献に向けて取り組んでいます。

 当社グループは、最大の強みである「ものづくり力」を活かして、カーボンニュートラル社会の実現に必要不可欠な銅やニッケルなどの非鉄金属や材料の安定供給に貢献することによって、長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」の実現を目指します。

 

① ガバナンス

<サステナビリティ委員会>

 当社グループは2008年にCSR委員会を設置し、社会課題の解決に取り組んでまいりました。その後、サステナビリティに関するリスク・機会を経営における重大なリスク・機会と位置づけ、より関係部署と密に連携しながら取り組みを進めることを目的に、2022年にCSR委員会をサステナビリティ委員会に再編しました。サステナビリティ委員会は、委員長を社長とし、副委員長にサステナビリティ担当役員(経営企画部所管執行役員)、委員として各事業本部長、各事業室長、技術本部長、技術本部技術企画部長、工務本部長、工務本部生産技術部長、本社部室長が参加し、サステナビリティ推進部・経営企画部が事務局を務め、年2回以上開催しています。また、会長、社外取締役及び監査役はオブザーバーとして出席しており、多面的な視点を取り入れた運営がなされています。

 2025年度は8回の委員会を開催し、2024年度に改正した重要課題と「2030年のありたい姿」の実現に向けたロードマップの策定とその進捗状況、サステナビリティ関連財務情報開示に向けた取り組みや各種方針の策定・改正等について審議を行いました。

 サステナビリティ委員会における審議結果をはじめとした進捗状況については、その都度取締役会へ報告するとともに委員会で扱った議題のうち必要なものについて取締役会への付議を行うなど、取締役会がサステナビリティ推進活動を監督する体制を構築しています。また、取締役会においてサステナビリティ推進をテーマにした討議を年1回行っており、2025年度は10月に当社グループのサステナビリティとサプライチェーンマネジメントの現状と課題について討議を行いました。

 取締役会は、次頁に示すスキル・マトリックスのとおり、サステナビリティ推進の監督において必要な知識・経験・能力を有した人物によって構成されています。また、取締役及び監査役に対しては有識者による勉強会等を実施し、サステナビリティに関するスキルの研鑽に資する機会の提供を行っております。サステナビリティを経営と一体化した取り組みとするために、2026年度の業績連動報酬からESGに関するKPIの進捗状況を取締役の報酬に反映いたしました。詳細については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。

 

取締役会のスキル・マトリックス

 

 

<サステナビリティ個別課題の検討組織>

 2025年3月に実施した重要課題と「2030年のありたい姿」の改正に伴って推進体制の見直しを行い、2025年4月1日付でサステナビリティ委員会の下部組織のうち、サステナビリティ部会とマネジメントシステム分科会について検討体制の見直しを行いました。サステナビリティ部会においては、それまでの7つの部会を4つに再編し、マネジメントシステム分科会においては新たにサプライチェーンマネジメント分科会を設置いたしました。

 これらの各組織は、重要課題ごとの「2030年のありたい姿」の達成に向けたロードマップを策定し、年間計画に基づいて活動し、KPIによる進捗管理を行っています。各組織の活動状況はサステナビリティ委員会での審議を経て、前述のとおり取締役会へ報告されています。

 

サステナビリティ推進に関する組織図

 

・サステナビリティ部会

 重要課題と「2030年のありたい姿」改正に伴い、それまでの7つの部会をサーキュラーエコノミー部会、地球環境保全部会、地域社会共存共栄部会、人的資本部会の4つに再編しました。各部会は事業部門及びコーポレート部門から参加する部会員によって社内横断的組織を構成しており、重要課題と「2030年のありたい姿」の実現に向けた取り組みの推進及び重要課題と「2030年のありたい姿」の検討・制定など、事業と一体となったサステナビリティ活動を推進しています。

・マネジメントシステム分科会

 マネジメントシステム分科会は、当社グループの主要なマネジメントシステムを組織横断的に推進し、経営基盤を強化するために設置されています。重要課題と「2030年のありたい姿」の改正に伴い、従来から設置していたリスクマネジメント分科会、コンプライアンス分科会、品質分科会、「責任ある鉱物調達」分科会に加えて、サプライチェーンマネジメント分科会を設置しました。関連する事業部門及びコーポレート部門の長が参加し、それぞれのテーマに則って方針を策定し、活動の進捗を確認しています。

 

・カーボンニュートラル推進委員会

 当社グループが目指すべきカーボンニュートラル実現に向けた方針とそれに基づくロードマップを作成し、迅速かつ強力に全社的なカーボンニュートラルの取り組みを推進することを目的として、2022年4月にカーボンニュートラル推進委員会を設置しました。カーボンニュートラルの推進はサステナビリティ活動の中でも、特に当社グループが技術力を生かして優先的に対応すべき課題であると考え、サステナビリティ部会とは別に委員会組織として設置しています。委員長はカーボンニュートラル推進担当役員(技術本部所管執行役員)、副委員長は安全環境部所管執行役員、委員は各事業本部長及び関係部門長が担当し、年2回以上開催しています。

・企業価値向上戦略会議

 当社グループの持続的な事業成長を実現し、企業価値を向上させることを目的として、企業価値向上戦略会議を設置しています。目的の達成をより確実にするために、下部組織として非鉄リーダー実現部会、全社人材部会、式年改革部会を設置しています。議長は経営企画部所管執行役員とし、各事業本部長及び関係部門長が参加し、年2回以上開催しています。具体的な取り組みとしては、大型プロジェクトの進捗管理などを行い、企業価値の向上に向けて各種課題に柔軟に対応し、環境適応を図っています。

・DX推進委員会

 当社グループが目指すべき将来像を明示し、DXの全社的な推進による経営への寄与を最大化することを目的として、DX推進委員会を設置しています。DX推進担当役員(技術本部所管執行役員)を委員長とし、各事業本部長及び関係部門長を委員として、年2回以上開催しています。

② 戦略

当社グループの中計27におけるサステナビリティの主な取り組みは以下のとおりです。

 

中計27の施策

取り組み

経営基盤の維持・強化

サステナビリティマネジメント

カーボンニュートラル

持続的成長を支える資産・技術・人材

人的資本経営

 

・サステナビリティマネジメント

 当社グループは、長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」を実現するために、重要課題別「2030年のありたい姿」を定めております。2020年3月の策定・公表以降、ありたい姿の実現に向け取り組んでまいりましたが、社会情勢・経営環境等の変化を踏まえ2025年3月に重要課題を見直し、併せて「2030年のありたい姿」「KPI・目標」を改正しました。

<重要課題特定及び改正プロセス>

a)「サステナビリティ課題」の抽出

 国際金属・鉱業評議会(International Council on Mining and Metals:ICMM)の「10の基本原則」やGlobal Reporting Initiative(GRI)スタンダードなどの国際的なガイドライン、OECDなどが予想する2030年の状況、及び同じ目標年であるSDGsの目標・ターゲットなどを整理し、89の「サステナビリティ課題」を抽出しました。

b)「サステナビリティ課題」重要性評価による重要課題案の特定

 抽出された89の課題について、以下の3つの視点に基づき環境・社会への影響の側面と、事業への影響の側面の2軸にて評価を実施、両側面に共通して重要度が高い11の課題を重要課題案として特定しました。この評価、特定はサステナビリティ部会、事業部門、当社グループ若手従業員、サステナビリティに関する有識者による議論を経て行われました。

・環境・社会に与えるインパクトの程度

・積極的に取り組まないことで増大するリスク

・積極的に取り組むことで得られる機会

 

c)重要課題の改正

 重要課題と「2030年のありたい姿」を策定した2020年当時と比べて、上記の3つの視点について様々な変化が生じてきたことから、2025年3月に11の重要課題を6つに集約し「2030年のありたい姿」の改正を行いました。各重要課題の選出の背景と「2030年のありたい姿」に向けた戦略は次表のとおりです。詳細は「統合報告書2025」をご参照ください。

 

d)KPI案の作成

 改正した重要課題ごとの「2030年のありたい姿」及びKPI案をサステナビリティ部会及びカーボンニュートラル推進委員会にて検討しました。検討にあたっては、可能な限り定量的・測定可能であり、各重要課題に関する当社グループの進捗状況を表すことが可能であるKPIを選定しております。目標については、「2030年のありたい姿」の実現のために実効性のあるものを設定しました。

e)経営層による議論と取締役会決議

 重要課題と「2030年のありたい姿」、KPIの各案について、全執行役員及び監査役により議論を行い、最終案についてサステナビリティ委員会における承認を経て、取締役会で決議されました。

・カーボンニュートラル

 2050年のカーボンニュートラルに向けたロードマップを作成して取り組んでいます。詳細は「(2)気候変動」をご参照ください。

・人的資本経営

 持続可能な組織基盤の構築のため、中計27期間における人材マテリアリティを設定し、それぞれの取り組みを行っています。詳細は「(3)人的資本」をご参照ください。

 

③ リスク管理

 当社グループでは、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値を保護する事象及び価値の創造を不確かにする事象のうち、目的に対して「好ましいもの」を機会、「好ましくないもの」をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって機会を最大化するよう目標及び施策などを見直し、リスクを最小化するようプロセスを点検し改善してより確実に「中期経営計画」を達成し、また重要課題に対応することで「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現に取り組んでいます。

 当社グループは、全社でのリスクマネジメントの推進及び監督を行う機関としてリスクマネジメント分科会を設置しています。詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 次頁の表は、重要課題ごとに設定したKPI・目標に対する2025年度の実績です。なお、KPIについて記載のないものは当社グループ全体を対象としています。

 

<重要課題① 非鉄金属の安定供給とサーキュラーエコノミーへの貢献>

KPI

目標(2030年度)

2025年度実績

ニッケル生産量

10万トン/年(ニッケル量)

10.4万トン/年(ニッケル量)

銅権益生産量(当社グループが権益を保有する銅鉱山)

30万トン/年(銅量)

21.7万トン/年(銅量)

リチウムイオン電池リサイクル処理量

1万トン/年

0万トン/年

電池リサイクルプラント建設中(2026年中頃完成予定)

銅リサイクル処理量

14万トン/年(銅量)

9.0万トン/年(銅量)

製鋼煙灰リサイクル処理量(国内グループ会社)

12万トン/年

7.9万トン/年

 

<重要課題② カーボンニュートラル社会への貢献>

KPI

目標(2030年度)

2025年度実績

GHG排出量

《スコープ1,2》2015年度比38%削減(内訳:国内50%、海外24%)

《スコープ3》現状の把握と目標設定:2025年度末

《スコープ1,2》

2015年度比26%削減

(GHG排出量:2,401千t-CO2e※1

《スコープ3》

2030年度の目標値を設定

カテゴリ1(購入した財及びサービス)18%削減(2023年度比)

詳細は後述の(2)気候変動④指標と目標<スコープ3>をご参照ください。

低炭素製錬技術の開発

・ニッケル酸化鉱の水素還元製錬技術の開発

・リチウム直接回収技術の開発

 

・ラボ試験からスケールアップした還元炉による検証を計画通り実施

・吸着剤の耐久性向上の取り組みを計画通り実施

低炭素貢献製品供給によるGHG削減貢献量

170万t-CO2※2

112万t-CO2

低炭素貢献製品の開発と供給

・水素製造触媒材料の開発

 

・全固体電池用正極材の開発

・開発体制を整え、顧客候補にサンプル提供を計画通り実施

・材料仕様の検討及び量産を想定した製造プロセスのスケールアップ試験を概ね計画通り実施

※1 2026年3月末時点の数値に基づいた合理的な算定方法による概算値となります。確定値は「ESGデータブック2026」に記載予定です。

※2 今般、低炭素貢献製品のうち近赤外線吸収材料を使用した当社の顧客企業の製品の一部について、外部の専門家のアドバイスを得ながら算定方法の変更を行いました。具体的には、二次データによる算定から顧客企業へのヒアリングで収集した一次データを活用した算定方法とすることで、より正確な削減貢献量の把握を目指しました。この算定方法の変更により、顧客企業の製品単位当たりの近赤外線吸収材料の使用量(以前の算定と同等の効果)が、以前の算定よりも少量であることが判明しました。その結果、当社の近赤外線吸収材料を使用した製品数が以前の算定よりも増加することとなり、社会全体に及ぼすGHG排出に対する削減貢献量が増加しました。これを踏まえて、2030年度の目標値を従来の110万t-CO2から170万t-CO2へ変更いたしました。

 

 

 

<重要課題③ 地球環境保全>

KPI

目標(2030年度)

2025年度実績

自然関連リスクと機会の特定・対応・開示

2026年度末:当社グループ事業の優先地域への対応

2030年度末:重要なバリューチェーンへの対応

当社グループ事業の自然への依存とインパクト、リスクと機会について整理

重大環境事故防止

重大環境事故件数0件

重大環境事故件数0件

尾鉱ダム管理国際産業規格への適合状態の維持

尾鉱ダム管理国際産業規格への適合を確認

 

<重要課題④ 人的資本経営>

KPI

目標(2030年度)

2025年度実績

エンゲージメントサーベイのエンゲージメントスコア(当社+調査対象国内関係会社)

スコア(偏差値):55

スコア(偏差値):48.6

重篤災害件数(協力会社を含めた安全統計対象事業場)

0件

1件

健康リスクのある作業場数

(国内の安全統計対象事業場)

0作業場

5作業場(内訳)第三管理区分:1

        第二管理区分:4

健康経営度調査(単体)

偏差値:62

偏差値:58.2

自己啓発制度活用率(単体)

60%

28.1%

女性管理職比率・人数(連結・単体)

連結 18%、単体 7%(50人)

連結 算定中、単体 3.2%(28人)

男性育児休業取得率(単体)

100%

113%

※ 連結の実績について、詳細は「ESGデータブック2026」に記載予定です。

 

<重要課題⑤ 地域社会との共存共栄>

KPI

目標(2030年度)

2025年度実績

地域住民・先住民との対話

地域の課題解決につながる継続的な対話を実施

地域住民・先住民との対話 237件

社外ステークホルダーからの相談対応

(グリーバンスメカニズム)

適切な運用

苦情3件

地域の社会活動基盤の強化(単体)

地域貢献プログラムの協働企画と参画

算定中

地域の次世代育成への貢献(単体)

奨学金他支援プログラムを実施

算定中

※ 拠出金額及び総受益者数について、詳細は「ESGデータブック2026」に記載予定です。

 

<重要課題⑥ サプライチェーンマネジメント>

KPI

目標(2030年度)

2025年度実績

国際認証に適合した当社グループ製錬所の割合

100%

57%

責任ある鉱物調達におけるデュー・ディリジェンスによる適切な調達先の割合

100%

リスクの特定と取り組みの優先順位付けの実施

サプライチェーン全体におけるESGデュー・ディリジェンスの実施

調達におけるデュー・ディリジェンス実施・結果開示(2026年度末)

サプライチェーンマネジメント体制の構築と方針及び実施計画の策定

※ 責任ある鉱物調達・生産に関するJDDS、Copper Mark Criteriaなどの国際認証。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

 「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス<サステナビリティ個別課題の検討組織>」に記載のとおり、社長を委員長としたサステナビリティ委員会の下部組織としてカーボンニュートラル推進委員会を設置し、気候変動に関する課題への取り組み、KPI及び目標の進捗状況について議論を行っています。

 

② 戦略

 当社グループは2023年にTCFDへ賛同し、今世紀末の世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑えるシナリオと、4℃上昇するシナリオを設定して、気候変動がもたらすリスク及び機会の影響を把握し、必要な取り組みの検討を行っています。気候変動リスク・機会に対する戦略は、3年ごとの中期経営計画の更新の際に見直し、反映されます。

 

<気候変動シナリオ分析>

 

・分析対象

当社及び連結子会社の全事業を対象としております。

・財務的影響度

大:年間100億円以上、中:年間10億円~100億円

・発生時期

中期:~2030年頃、長期:~2050年頃

なお、中期の時間軸は当社グループ「2030年のありたい姿」における目標設定年、長期の時間軸は当社グループ「2050年までのGHG排出量ネットゼロ目標」に対応する形で設定しております。

・参照シナリオ

IEA※1World Energy Outlook(2022年)、IEA Global EV Outlook(2022年)IPCC※21.5℃特別報告書(2018年)

経済産業省 第6次エネルギー基本計画(2021年)、内閣官房他 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略IPCC第6次評価報告書統合報告書(2023年)、IPCC第6次評価報告書第2作業部会報告書(2022年)

※1 IEA:国際エネルギー機関(International Energy Agency)

※2 IPCC:気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)

気候変動シナリオ分析の詳細は当社サステナビリティサイトをご参照ください

 

③ リスク管理

 シナリオ分析により特定された気候変動リスクは、カーボンニュートラル推進委員会で監視測定し、必要に応じて施策や戦略の見直しを行い、サステナビリティ委員会にて審議・報告されます。気候変動に関する当社グループのリスク管理は、(1)サステナビリティ全般③リスク管理に記載のとおりです。

 

④ 指標及び目標

<スコープ1、2>

 当社グループでは、2050年までにGHG排出量ネットゼロを目標に掲げています。そして2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップを策定し、2030年度におけるGHG排出量(スコープ1、2)を2015年度比38%以上削減することを中期目標として掲げています。

 

 

当社グループのスコープ1、2に係る排出量の推移は以下のとおりです。

 

スコープ1、2排出量の推移 単位:千t-CO2e(CO2e:CO2equivalent:二酸化炭素換算)

実績

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

GHG排出量(総量)

2,823

2,556

2,356

2,401

 スコープ1

1,965

1,830

1,724

1,757

 スコープ2

858

726

632

644

※2025年度の実績は2026年3月末時点に収集可能な数値に基づいた合理的な算定方法による概算値です。

確定値は「ESGデータブック2026」において記載予定です。

 

 2025年度は省エネ活動や重油からLNGへの燃料転換、電力CO2排出係数の改善等を進めましたが、生産活動の増加等により当社グループ全体のGHG排出量(スコープ1、2)は2,401千t-CO2eとなり、前年比45千t-CO2eの増加となりました。当社グループは、引き続き2030年度の中間目標に向けて、省エネや高効率化の推進、化石燃料の転換、再生可能エネルギーの導入拡大など、既存技術を最大限活用して排出量削減に取り組みます。

 

<スコープ3>

 当社グループのスコープ3排出量の推移は以下のとおりです。スコープ3排出量の詳細は当社ウェブサイトに掲載している「ESGデータブック2025」をご参照ください。

 

スコープ3の排出量の推移                単位:千t-CO2e ※主な対象カテゴリのみ掲載

カテゴリ

2022年度

2023年度

2024年度

算定方法

スコープ3排出量合計

4,530

4,409

4,950

 

1.購入した財及びサービス

3,737

3,603

4,262

Σ(主要原材料重量×排出原単位)※1

2.資本財

518

551

431

Σ(設備投資額×排出原単位×1.05)※2

設備投資額は建設仮勘定、中古品及びグループ内取引を含む

3.スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

239

221

226

Σ(購入電力・燃料の使用量×排出原単位(電力※2、燃料※1))

4.輸送、配送(上流)

26

23

20

国内の輸送に係る排出量を「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づいて算定

その他(5~15)

10

11

11

※1 排出原単位は「国立研究開発法人産業技術総合研究所IDEA Ver.3.5(IPCC2021 without LULUCF AR6)」を使用しています。

※2 排出原単位は環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.5)」を使用しています。

 

 2024年度のスコープ3の排出量合計は4,950千t-CO2eで、前年度より541千t-CO2e増加となりました。要因はカテゴリ2が120千t-CO2e減少したものの、カテゴリ1の排出量が前年度比659千t-CO2eと増加したことによります。

 当社グループは、スコープ3による排出がGHG排出量全体の約7割を占め、そのうちの約半数をカテゴリ1からの排出が占めています。GHG排出量全体の削減には、スコープ3の削減に向けた取り組みが必要であり、その中でも特にカテゴリ1が重要であると認識しております。

 

当社グループの2024年度GHG排出量内訳

 そこで、2025年度にスコープ3の現状把握のために、カテゴリ1の中で最も多くの排出量を占める銅精鉱を現時点で優先的に削減すべき箇所(ホットスポット)として特定し、銅精鉱購入量の約8割に相当するサプライヤにアンケートを実施して一次データを収集し、カテゴリ1の算定精度の向上を図りました。一次データと従来の二次データを併用した新しい算定方法によって、2023年度のカテゴリ1排出量は2,916千t-CO2eとなり、従来の二次データのみを使用した算定方法よりも687千t-CO2e減少し、スコープ3排出量全体も3,722千t-CO2eとなりました。

 

カテゴリ1の算定方法見直しによる変化 単位;千t-CO2e

算定方法

2023年度

2024年度

2025年度

Σ(主要原材料重量×排出原単位(一次データ※1と二次データ※2を併用))

2,916

算定中※3

算定中※3

Σ(主要原材料重量×排出原単位(二次データ※2のみを使用))

3,603

4,262

 

見直しによる変化

△687

 

※1 排出原単位のうち、カテゴリ1の約半数を占める銅精鉱の購入量の約8割について、サプライヤに対してアンケートを実施し、収集した排出原単位を一次データとして使用しています。

※2 国立研究開発法人産業技術総合研究所「IDEA Ver.3.5(IPCC2021 without LULUCF AR6)」を二次データとして使用しています。

※3 2024年度と2025年度の一次データについても新しい算定方法による算定を進めております。詳細は2026年8月に発行予定の「ESGレポート2026」に記載予定です。

 

 当社グループは、カーボンニュートラルの実現を目指して、現時点のホットスポットである銅精鉱を中心とした削減の取り組みを加速するために、2023年度を新たな基準年としたカテゴリ1の削減目標を以下のとおり設定いたしました。

 

新たに設定する削減目標

KPI

GHG排出量

対象範囲

住友金属鉱山グループ

目標(2030年度)

《スコープ3》カテゴリ1(購入した財及びサービス)

18%削減(2023年度比)

ただし、現在計画中の(株)日向製錬所のニッケルマット生産による排出は含まない。この理由は2027年度から(株)日向製錬所において新たにニッケルマットの生産を計画しているが、現時点ではニッケルマット原料のサプライヤが確定しておらず、一次データが把握できないためである。

算定方法

主要原材料重量×排出原単位(一次データと二次データを併用)

 

目標設定の考え方

 目標設定にあたっては、カテゴリ1の中で最も排出量の多い銅精鉱を中心にサプライヤへのアンケートで収集したそれぞれの削減目標と、SBTi(Science Based Targets initiative)等の国際的なイニシアチブを参照しながら、現時点で収集可能な数値に基づいて設定いたしました。

 なお、当社グループは2027年度から新たに株式会社日向製錬所においてニッケルマットの生産を計画しており、現時点の生産予想ではニッケルマット原料によるGHG排出量を加えるとカテゴリ1全体の排出量は増加することが見込まれています。しかし、現時点ではニッケルマット原料のサプライヤが確定しておらず、一次データによる算定が困難であるため、今回の目標には現在計画中の株式会社日向製錬所のニッケルマット生産による排出量の増加は含めておりません。ニッケルマット生産開始後、操業状況を見極めたうえで、2030年度までの可能な限り早い段階で当該ニッケルマット原料サプライヤの一次データを把握し、削減計画に反映することを予定しています。

 

(3)人的資本

① ガバナンス

 当社グループは、経営理念において「人間尊重」を基本とし、その尊厳と価値を認めることを掲げています。そして、「世界の非鉄リーダーを目指す」という長期ビジョンを掲げ、この長期ビジョンの達成と持続可能な社会の実現への貢献、及び企業価値の向上に対する社会的要請の高まりを踏まえ、重要課題の一つとして「人的資本経営」を位置づけています。

 経営戦略と人材戦略の連動を図るため、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス<サステナビリティ個別課題の検討組織>」に記載のとおり、社長を委員長としたサステナビリティ委員会の下部組織として企業価値向上戦略会議の中に全社人材部会を設置しています。運営体制としては、人事部所管執行役員が部会長、人事部長が副部会長を務めております。人材配置の適材適所を推進するとともに、次世代経営層や次期管理者を計画的に育成するなど、人材の育成と活用に関わる全社横断的な人材戦略に係る議論を行っております。

 

② 戦略

 当社グループの重要課題「人的資本経営」では、「2030年のありたい姿」を「多様な人材が集い、成長し活躍できる企業」と設定しております。この「2030年のありたい姿」を実現する上で重要な鍵となるのが、継続的に「挑戦」「変革」「成長」ができる企業風土の実現です。これを実現するためには、従業員一人ひとりの職務と職責に見合った報酬を支給し、一人ひとりの可能性を最大限に引き出していくことの両方が重要であると考えています。

 この戦略を具現化するための一歩として、2023年7月に総合職人事制度(職務等級制度)を導入しました。また、この制度の目的達成のため、キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)を2023年12月に導入しました。本制度は従業員が自律的にキャリアプランを考え、その実現のための機会を提供するもので、従業員の自律的な成長と挑戦を通じた育成を意図しており、制度開始から2025年度末までに本制度を活用した人事異動の実績は合計10件を数えています。

 

(i)人材育成の考え方

 従業員一人ひとりの自律的な成長が、当社グループの持続的な成長につながると考えています。事業環境の変化に対応し新たなビジネスモデルを構築するため、従業員一人ひとりに能力向上の機会を提供し、成長戦略を確実に実行できる人材を育成しています。

 従業員の成長の基本は、育成を意識した適切な配置とともに、日常業務を通じて計画的・継続的に行われる実践的教育OJT(On-the-Job Training)と従業員一人ひとりの自己啓発(OFF-JT)にあると考えています。OJTでは、仕事の知識やスキルを身につけるだけでなく、業務を通じた自律的な成長も促しています。OFF-JTでは、通信教育、外国語講座、MBA関連講座、オンライン学習ツール、e-learning、語学検定試験などの自己啓発の機会を提供し、資格取得の際には祝金を支給するなど従業員の自律的な学びを促進しています。今般の「2030年のありたい姿」の改正では、各種自己啓発講座等の延べ受講率(自己啓発制度活用率)をKPIとして設定し、2030年の目標を60%としました。

 目標管理制度では、従業員一人ひとりがキャリアについて自律的に考え、やりがいを持って仕事に取り組めるよう、中長期的な取り組みやチャレンジングな姿勢を評価するとともに、自己申告制度を含めたキャリア形成支援を積極的に行っています。また、上司と部下の関係性の質を上げ、一人ひとりの能力を引き出すために、1on1ミーティングを定期的に実施しています。

 

 <全社人材育成体系>

 

 

(ii)社内環境整備

 当社では、入社、結婚、出産、育児、介護、治療、そして定年といった様々なライフステージの変化に応じた支援制度を設けており、研修等による情報提供と相談の機会を通じて「安心・安全なワークとライフの提供」に取り組んでいます。

 具体的施策の1つとして、当社事業の立地特性を踏まえ、従業員の生活環境を支援するために、社有の社宅・寮もしくは借上げ社宅・寮を提供しています。また、社宅や寮を選択せず、持ち家や借家住まいを選択する社員については、住宅関連手当を支給し、住環境整備の支援を行っています。また、特定地域への転任に対する費用補助や、持ち家取得の際の引っ越し雑費支給や融資制度など、従業員が安心して働けるよう各種施策を実施しています。

 

・エンゲージメント

 当社グループでは、年1回の従業員意識調査を継続していましたが、2024年度からはエンゲージメントサーベイを導入し、エンゲージメントスコア(会社と従業員の相互理解・相思相愛度合いを数値化し偏差値で表したもの)を測定しています。エンゲージメントが高い状態を「会社・組織と従業員の間において、相互の理解ができており、会社・組織は従業員を大切にし、従業員は会社・組織の発展と活性化に力を注ぐ状態になっていること」と定義しています。2025年度のエンゲージメントスコアは、48.6となりました。

 この結果を踏まえ、グループ全体のスコアを持続的に向上させていくために、それぞれの職場が自律的にアクションプランを策定・実践し、スコアの底上げを図る取り組みと、1on1による上司と部下の関係性の質の向上や自律的なキャリア開発の支援などのスコア絶対値の向上を意図した全社的な取り組みを行っています。

 エンゲージメントサーベイを通じて、データから従業員の意識や意欲、満足度に関する課題を把握し、エンゲージメント向上の取り組みを通じて職場環境を改善することで、当社は持続可能な成長を達成し、社会に貢献していく企業を目指します。

 

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)

 当社グループの持続的な成長には、従業員一人ひとりが持つ視点や考え方は様々であり、多様なメンバーがお互いを認め、信じ、自身の強みを活かしながら、公平な機会のもとで協働する企業風土を築くこと(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I))が必要だと考えています。性別・国籍・年齢といった属性の多様化に加えて、従業員の能力や経験の多様化を進めることで、新しいアイデアを生み出し、柔軟性と競争力を備えた組織を実現し、持続的な成長を目指します。

 当社グループは2024年12月にDE&I宣言を行い、DE&Iの目的・意義を経営のトップメッセージとして公表しました。また、2025年4月より、全ての従業員がDE&Iに取り組み、全社で協創することを目的として、DE&I協創室を設置いたしました。今後もより一層、DE&Iを推進し、ジェンダーバランス、障がい者、外国人、性的マイノリティ(LGBTQ+)など、誰もが働きやすい職場環境構築に努めてまいります。

 特に女性活躍推進については、管理職社員への登用、国内拠点のみならず海外拠点への派遣など、女性の活躍の場を拡大することに取り組んでいます。また、「2030年のありたい姿」では、女性管理職比率・人数をKPIとし、当社単体で女性管理職社員比率を7%、女性管理職社員数を50名以上とすること、当社グループ連結での女性管理職社員比率を18%以上とすることを目標として定めています。これに加え、2030年までに女性役員を4名登用することも目標に設定しました。これらの達成に向けて、定期・キャリア採用における女性採用比率の目標値設定、次世代リーダー育成を目的とした女性社員外部研修への派出、役員と女性管理職社員との懇談会の開催などを実施しています。

 

・健康経営

 当社グループでは、労働安全衛生の観点から、以前より役員・従業員の安全と健康の確保に優先的に取り組んできました。当社グループで働くすべての人がより健康で活き活きと働けるよう、2022年8月に「住友金属鉱山グループ健康経営方針」を制定し、同年10月に中長期的な取り組みと目標を定めた「従業員の健康づくり推進ロードマップ」と単年度ベースでの「健康経営推進計画」を策定しました。これらの計画を踏まえ、住友金属鉱山健康保険組合とも協力し、効果的な心身の健康維持・増進施策を展開しています。

 従業員に対しては、生活習慣病発生リスクと肥満リスク、女性の健康などをテーマとした健康セミナーや、メンタルヘルス研修(セルフケア・ラインケア)を定期的に開催し、健康管理支援システム(スマートフォンアプリ)を活用したウォーキングイベントも実施しています。各種検診・人間ドック・脳ドックについては、費用の全額や一部を補助しており、人間ドック受診時は健康管理休暇(1年につき最大2日)を取得することもできます。また、禁煙施策として、喫煙所の削減や希望者にオンライン禁煙プログラムを提供しています。

 今回の「2030年のありたい姿」の改正として、2024年度からは健康経営度調査による偏差値をKPIとし、定量的に状況を把握し取り組んでいます。2025年度は、専任組織として健康経営推進室を設置し、健康経営トップメッセージの発信、健康経営戦略マップの策定等、各種施策に取り組んでいます。

 

③ リスク管理

 人的資本に関する当社グループのリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載のとおりです。

 

④ 指標及び目標

 「(1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標<重要課題④ 人的資本経営>」及び「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等(1)人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。