人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,067名(単体) 7,402名(連結)
-
平均年齢40.5歳(単体)
-
平均勤続年数16.7年(単体)
-
平均年収7,901,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
資源 |
402 |
[57] |
製錬 |
2,839 |
[61] |
材料 |
2,505 |
[214] |
報告セグメント計 |
5,746 |
[332] |
その他 |
598 |
[110] |
本社その他 |
1,058 |
[125] |
合計 |
7,402 |
[567] |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.本社その他として記載している従業員数は、管理部門等に所属している者であります。
(2)提出会社の状況
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|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
|
3,067 |
[276] |
40.5 |
16.7 |
7,901 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
資源 |
224 |
[44] |
製錬 |
935 |
[35] |
材料 |
850 |
[72] |
報告セグメント計 |
2,009 |
[151] |
本社その他(当社) |
1,058 |
[125] |
合計 |
3,067 |
[276] |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与(税込)は、基準外給与、その他諸手当及び賞与を含めております。
3.本社その他(当社)として記載している従業員数は、管理部門等に所属している者の数であります。
(3)労働組合の状況
2025年3月31日現在 |
社内組織 |
上部組織 |
|
店所別組合 |
住友金属鉱山労働組合総連合会 (略称 住鉱連) |
日本基幹産業労働組合連合会 (略称 基幹労連) |
住友金属鉱山東京労働組合(市川研究センター、大阪支社、 名古屋支店を含む) |
||
別子労働組合 |
||
住友金属鉱山播磨労働組合 |
||
住友電子金属労働組合 |
||
住友金属鉱山菱刈鉱山労働組合 |
(注)1.当社の各店所においては上記のとおり組合が結成されており管理職社員を除く全従業員が加入しております。
2.各店所の組合は、それぞれ上部組織の住鉱連及び基幹労連に加入しており、住鉱連は、社内全般にわたる労働条件について、会社と交渉を行います。
3.連結子会社に係る主な労働組合は、日向製錬所労働組合、大口電子労働組合、伸光製作所労働組合、国富労働組合であります。上記労働組合は、それぞれ住鉱連及び基幹労連に加入しており、各店所組合を含む住鉱連の2025年3月31日現在における所属組合員数は3,637名であります。
なお、労使は相互信頼を基盤に円満な関係を持続しております。
(4)管理職社員に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性従業員の割合(%) (注)1 |
男性の育児休業取得率 (%) (注)2、3 |
男女の賃金の差異(%) (注)7、8 |
||
全従業員 |
従業員 (注)5 |
臨時従業員 |
||
3.3 |
100.0 |
66.2 |
67.7 |
39.6 |
②連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性従業員の割合(%) (注)1 |
男性の育児休業取得率(%) (注)2、3 |
男女の賃金の差異(%) (注)7、8 |
||
全従業員 |
従業員 (注)5 |
臨時従業員 (注)6 |
|||
住鉱資源開発㈱ |
0.0 |
20.0 |
63.2 |
77.1 |
63.7 |
㈱日向製錬所 |
- |
12.5 |
77.4 |
78.9 |
106.6 |
㈱四阪製錬所(注)9 |
- |
- |
- |
- |
- |
住鉱物流㈱ |
16.7 |
33.3 |
77.8 |
78.0 |
76.8 |
住鉱エナジーマテリアル㈱ |
- |
50.0 |
78.5 |
78.5 |
- |
新居浜電子㈱ |
0.0 |
33.3 |
69.5 |
68.7 |
44.9 |
大口電子㈱ |
0.0 |
60.0 |
80.5 |
79.8 |
73.4 |
住鉱国富電子㈱ |
0.0 |
100.0 |
77.0 |
78.8 |
195.9 |
㈱SMMプレシジョン |
0.0 |
- |
66.8 |
68.2 |
- |
㈱グラノプト |
0.0 |
100.0 |
65.0 |
59.5 |
90.2 |
㈱サイコックス |
0.0 |
- |
44.4 |
- |
77.5 |
㈱伸光製作所 |
3.6 |
66.7 |
79.2 |
75.5 |
- |
住鉱潤滑剤㈱ |
0.0 |
66.7 |
69.9 |
76.7 |
51.4 |
ヰゲタハイム㈱ |
0.0 |
- |
80.2 |
79.3 |
- |
㈱ジェー・シー・オー |
- |
- |
77.3 |
94.8 |
12.3 |
日本照射サービス㈱ |
- |
0.0 |
74.0 |
79.2 |
- |
住鉱テクノリサーチ㈱ |
- |
100.0 |
79.7 |
81.5 |
85.9 |
住友金属鉱山エンジニアリング㈱ |
0.0 |
0.0 |
70.0 |
71.5 |
59.3 |
住鉱技術サービス㈱ |
- |
100.0 |
64.7 |
90.4 |
67.7 |
(注)1.管理職に占める女性従業員の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき、出向者はすべて出向元の従業員として集計しております。管理職が出向者のみで構成されている場合は、「-」と表記しております。
2.男性の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76条)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25条)第71条の6第2号における育児休業を取得した者の数を、配偶者が出産した者の数で除した割合を示しています。育児休業は、育児休業及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。また、出向者は、出向元の従業員として集計しておりますが、海外出向者については除いております。
3.男性の育児休業取得率における「-」は、取得の対象となる従業員がいないことを示しております。
4.全従業員は、従業員と臨時従業員を含んでおり、出向者は出向元の従業員として集計しておりますが、海外出向者については除いております。
5.従業員は正規雇用の従業員、臨時従業員は非正規雇用従業員であります。
6.臨時従業員は定年後の再雇用従業員等の有期雇用者及びパートタイマーを含んでおります。
7.男女の賃金差異における「-」は、算出に必要な従業員が在籍していないこと、または、男性もしくは女性いずれかにおいて年間平均人員数が1人未満であり算定対象外であることを示しております。
8.男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき、男性の賃金に対する女性の割合を示しております。同一労働の賃金に差はなく、資格別人数構成の差によるものであります。
9.株式会社四阪製錬所の従業員はすべて提出会社からの出向者であり、報告指標については出向元で集計しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりです。なお、本項において、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1)サステナビリティ共通
1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)に記載のとおり、当社は1590年より永きにわたり営まれてきた住友の源流事業である鉱山運営、製錬事業を受け継ぐ企業であり、住友の事業精神を企業行動の根本に据えています。住友の事業精神の第1条には、社会的な信用や相互の信頼関係を大切にし、何事も誠意をもって対応することが定められています。特に鉱山運営においては、目的の天然資源が存在する場所で採掘活動を行う必要があり、またその事業は一般に数十年といった長期間にわたることから、操業地域における様々なステークホルダーとの信頼関係の構築・維持が事業継続の大前提であることを示しています。
この住友の事業精神に基づいて定めた当社グループの経営理念では、「地球および社会との共存」を謳っており、事業精神が示す信頼関係構築・維持の手段を示すとともに、明るく活力ある企業の実現として「人間尊重」を掲げています。
そして、「地球および社会との共存」と「人間尊重」を通じて目指すサステナビリティへの取り組み姿勢を定めたものが住友金属鉱山グループサステナビリティ方針であり、社会の持続的発展への貢献を経営課題として明確に位置付けるとともに、貢献の持続性の担保と貢献度の向上を目的として自社の持続的な成長もあわせて定めています。これは、住友の精神として受け継がれる「自利利他公私一如」(住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)によります。
当社グループは、このサステナビリティ方針の実現に向けて重要課題(マテリアリティ)を特定し、それぞれの重要課題に対応する「2030年のありたい姿」を2020年3月に定めました。
その後、気候変動の状況やDXをはじめとする技術革新などの外部環境の大きな変化を受けて、長期ビジョンである「世界の非鉄リーダー」を実現するために取り組むべき重要課題にも変化が生じてきました。
そこで、2020年の策定から目標年である2030年までの中間地点である2025年度を前に、重要課題と「2030年のありたい姿」の改正を行いました。改正にあたっては、持続可能な社会実現への貢献と企業価値の向上に対する社会的要請の高まりを踏まえ、重要課題を6つに集約しました。また、各重要課題における「2030年のありたい姿」を整理し、それぞれのありたい姿の実現度合いを測定するKPI・目標を設定しました。
(2)ガバナンス及びリスク管理
①サステナビリティ推進体制及びガバナンス
当社グループは、サステナビリティ委員会を中心にサステナビリティ活動を推進しています。サステナビリティ委員会は、委員長を社長とし、副委員長にサステナビリティ担当役員(経営企画部所管執行役員)、委員として各事業本部長、各事業室長、技術本部長、技術本部技術企画部長、工務本部長、工務本部生産技術部長、本社部室長が参加し、サステナビリティ推進部・経営企画部が事務局を務め、年2回以上開催しています。また、会長、社外取締役及び監査役はオブザーバーとして出席しています。
本委員会における主な審議項目は以下のとおりであり、サステナビリティ活動の進捗・各パフォーマンスの評価・次年度の活動計画のレビュー・見直しが行われ、PDCAサイクルを回しています。
・サステナビリティ方針、重要課題、「2030年のありたい姿」の改正
・サステナビリティ活動の年次計画など、サステナビリティ活動に関する重要事項及び「2030年のありたい姿」への到達度を評価するためのKPI・目標の選定・設定
・サステナビリティ活動に関する定期的な評価及び是正措置の発動
・サステナビリティ推進に関する情報提供、情報交換、重要な施策の説明、認識の共有化
・その他、サステナビリティ活動に関する重要な課題
2024年度は本委員会を6回、臨時委員会を4回開催し、重要課題と「2030年のありたい姿」の改正のほか、「住友金属鉱山グループ自然に関する方針」の策定や各種方針の改正等について審議を行いました。
なお、サステナビリティ活動の統制として、取締役会において、サステナビリティ活動の進捗状況報告及びサステナビリティ委員会の報告を都度行っているほか、取締役会においてサステナビリティ推進をテーマにした討議を年1回行っており、2024年度は10月に当社のサステナビリティの取り組み状況について討議を行いました。
②サステナビリティ個別課題の検討組織
2025年3月の重要課題と「2030年のありたい姿」改正に伴って推進体制の見直しを行い、サステナビリティ委員会の下部組織について、サステナビリティ部会、マネジメントシステム分科会、カーボンニュートラル推進委員会、企業価値向上戦略会議、DX推進委員会として整備いたしました。これらの各組織は、重要課題ごとの「2030年のありたい姿」の達成に向けたロードマップを策定し、年間計画に基づいて活動し、KPIによる進捗管理を行っています。
・サステナビリティ部会
重要課題と「2030年のありたい姿」改正に伴い、サステナビリティ部会として、それまでの7つの部会をサーキュラーエコノミー部会、地球環境保全部会、地域社会共存共栄部会、人的資本部会の4つに再編しました。各部会は事業部門及びコーポ―レート部門から参加する部会員によって社内横断的組織を構成しており、重要課題と「2030年のありたい姿」の実現に向けた取り組みの推進及び重要課題と「2030年のありたい姿」の検討・制定など、事業と一体となったサステナビリティ活動を推進しています。
・マネジメントシステム分科会
マネジメントシステム分科会は、当社グループの主要なマネジメントシステムを組織横断的に推進し、経営基盤を強化するために設置しています。重要課題と「2030年のありたい姿」の改正に伴い、従来から設置していたリスクマネジメント分科会、コンプライアンス分科会、品質分科会、「責任ある鉱物調達」分科会に加えて、サプライチェーンマネジメント分科会を設置しました。関連する事業部門及びコーポレート部門の長が参加し、それぞれのテーマに則って方針を策定し、活動の進捗を確認しています。
・カーボンニュートラル推進委員会
当社グループが目指すべきカーボンニュートラル実現に向けた方針とそれに基づくロードマップを明確にして、迅速かつ強力に全社的なカーボンニュートラルの取り組みを推進することを目的として、2022年4月にカーボンニュートラル推進委員会を設置しました。カーボンニュートラルの推進は、サステナビリティ活動の中でも、特に当社が技術力を生かして優先的に対応すべき課題であると考え、サステナビリティ部会とは別にカーボンニュートラル推進委員会を設置しています。委員長はカーボンニュートラル推進担当役員(技術本部所管執行役員)、副委員長は安全環境部所管執行役員、委員は各事業本部長及び関係部門長が担当し、年2回以上開催しています。
・企業価値向上戦略会議
当社グループの持続的な事業成長を実現し、企業価値を向上させることを目的として、企業価値向上戦略会議を設置しています。目的の達成をより確実にするために、下部組織として非鉄リーダー実現部会、全社人材部会、式年改革部会を設置しています。議長を経営企画部所管執行役員とし、各事業本部長及び関係部門長が参加し、年2回以上開催しています。具体的な取り組みとしては、大型プロジェクトのパイプライン管理などを行い、企業価値の向上に向けて各種課題に柔軟に対応し、環境適応を図っています。
・DX推進委員会
当社グループが目指すべき将来像を明確にし、DXの全社的な推進による経営への寄与を最大化することを目的として、DX推進委員会を設置しています。DX推進担当役員(技術本部所管執行役員)を委員長とし、各事業本部長及び関係部門長を委員として、年2回以上開催しています。
③リスク管理
当社グループは、以下の重要課題特定プロセスで示す、サステナビリティに関するリスク及び機会を識別・評価しており、今般の重要課題と「2030年のありたい姿」の改正もこのプロセスに沿って実施しました。この特定された重要課題は、前述の②「サステナビリティ個別課題の検討組織」に従って管理しています。
<重要課題特定及び改正プロセス>
a)「サステナビリティ課題」の抽出
国際金属・鉱業評議会(ICMM)の「10の基本原則」やGlobal Reporting Initiative(GRI)スタンダードなどの国際的なガイドラインや、OECDなどが予想する2030年の状況、及び同じ目標年であるSDGsの目標・ターゲットなどを整理し、89の「サステナビリティ課題」を抽出しました。
b)「サステナビリティ課題」重要性評価による重要課題案の特定
抽出された89の課題について、以下の3つの視点に基づき社会的側面、事業側面の2軸にて評価を実施、両側面に共通して重要度が高い11の課題を重要課題案として特定しました。この評価、特定はサステナビリティ部会、事業部門、当社グループ若手従業員、サステナビリティに関する有識者による議論を経て行われました。
・社会に与えるインパクトの程度
・積極的に取り組まないことで増大するリスク
・積極的に取り組むことで得られる機会
c)重要課題の改正
重要課題と「2030年のありたい姿」を策定した2020年当時と比べて、上記の3つの視点について様々な変化が生じてきたことから、2025年3月に11の重要課題を6つに集約し、以下のとおりそれぞれの「2030年のありたい姿」の改正を行いました。
11の重要課題 |
|
6つの重要課題 |
非鉄金属資源の有効活用 |
非鉄金属の安定供給とサーキュラーエコノミーへの貢献 |
|
気候変動 |
カーボンニュートラル社会への貢献 |
|
重大環境事故 |
地球環境保全 |
|
生物多様性 |
||
従業員の安全・衛生 |
人的資本経営 |
|
多様な人材 |
||
人材の育成と活躍 |
||
ステークホルダーとの対話 |
||
先住民の権利 |
地域社会との共存共栄 |
|
地域社会との共存共栄 |
||
サプライチェーンにおける人権 |
サプライチェーンマネジメント |
d)KPI案の作成
改正した重要課題ごとの「2030年のありたい姿」及びKPI案をサステナビリティ部会及びカーボンニュートラル推進委員会にて検討しました。検討にあたっては、可能な限り定量的で測定可能なKPIを選定し、「2030年のありたい姿」の実現のために実効性のある目標値を設定しました。
e)経営層による議論と取締役会決議
重要課題と「2030年のありたい姿」、KPIの各案について、全執行役員及び監査役により議論を行い、最終案についてサステナビリティ委員会における承認を経て、取締役会で決議されました。
(3)戦略
改正された重要課題ごとの「2030年のありたい姿」実現に向けて、以下の方針及び考え方で取り組んでいます。
重要課題① 非鉄金属の安定供給とサーキュラーエコノミーへの貢献
a)2030年のありたい姿
高い技術力で非鉄金属資源を安定的に供給し、サーキュラーエコノミーの構築と維持に貢献する企業
b)方針・考え方
社会の発展に欠かせない非鉄金属をはじめとする資源は有限であり枯渇することが予想されています。また、資源の大量消費と廃棄を前提とした経済活動は地球環境への多大な負荷をかけており、社会全体でのサーキュラーエコノミーへの転換が求められています。当社グループは、事業戦略として生活に欠かせない銅・ニッケルを安定的に供給するため、鉱山権益の獲得や製錬技術の向上に取り組みます。また、サーキュラーエコノミーへの転換に向け特に資源利用に伴う環境影響の低減のため、リサイクル技術の活用に取り組みます。
c)KPI・目標
改正前と改正後のKPI・目標は以下のとおりです。改正にあたっては、当社グループの「ものづくり力」を通じたサーキュラーエコノミーへの貢献を重視してKPI・目標の集約を行いました。
<改正前> |
|
<改正後> |
||
KPI |
目標(2030年度) |
|
KPI |
目標(2030年度) |
鉱山プロジェクトの推進 |
・銅権益生産量30万トン/年の達成と維持に向けJV鉱山の生産体制を強化 ・JV鉱山における鉱山周辺及び深部探鉱の強化、選鉱能力の拡張、IoT・AIを活用した操業改善等による着実な銅生産量の達成 ・ケブラダ・ブランカ銅鉱山Phase2以降のプロジェクト推進 |
|
ニッケル生産量 |
10万トン/年(ニッケル量) |
新規優良銅金資源の獲得 |
オペレーターシップを持つ新規鉱山の開発 |
銅権益生産量 (当社グループが権益を保有する銅鉱山) |
30万トン/年(銅量) |
|
新技術導入による生産性改善 |
菱刈鉱山における坑内外の情報インフラ設備、重機の無人化、リモート化の推進 |
リチウムイオン電池リサイクル処理量 |
年間処理量1万トン/年 |
|
銅リサイクル処理量 |
14万トン/年(銅量) |
|||
Ni鉱プロジェクトの推進と生産性の改善 |
・ニッケル生産量15万トン/年 ・実収率対2018年度比 +2% ・副産物スカンジウムの回収 ・副産物クロマイトの回収 |
製鋼煙灰リサイクル処理量(国内グループ会社) |
12万トン/年 |
|
鉱山や製錬工程で発生する不純物を分離、固定、有用化する技術の開発 |
不純物を固定する技術開発:プロセスの開発と実証 |
|||
未利用非鉄金属資源の有用化技術の開発 |
・既存(海洋資源開発等) ・新規の開発プロジェクトへの貢献 |
|
|
|
難処理資源からの非鉄金属回収 |
高不純物塩湖水からのリチウム回収技術と回収ビジネスへの参画 |
|
|
|
車載二次電池リサイクル技術の実証と事業化 |
・コバルト回収が可能な車載リチウムイオン電池リサイクル技術実証並びに事業化及び規模拡大 ・プレ商業プラントの試運転と操業開始:2026年度 |
|
|
|
自社の強みを活かし社会に貢献する新製品・新事業の創出 |
エネルギー、自動車、情報通信分野での新規機能性材料の研究開発、事業化 |
|
|
|
自社原料保有による有利・安定調達 |
燃料電池用NiOの実証試験を経て事業化 |
|
|
|
有利な自社ニッケル原料の安定調達による低コスト電池材料の販売拡大 |
拡大する電池材料市場で、世界シェアトップクラスを維持 |
|
|
|
※改正後のKPIについて、対象範囲の記載がないものは連結とする。
重要課題② カーボンニュートラル社会への貢献
a)2030年のありたい姿
カーボンニュートラル実現に向けて、温室効果ガス(GHG)排出量削減とともに低炭素貢献技術の開発に積極的に取り組む企業
b)方針・考え方
カーボンニュートラル社会の実現に向けて社会全体での取り組みが必要であり、脱炭素社会に向けた関連リスクの緩和並びに機会の利用が求められています。当社グループは、2023年にカーボンニュートラルに向けたロードマップを見直し公表しています。気候変動の緩和策であるGHG排出量の削減に向け、省エネルギー化や再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大、革新的製錬プロセスのための技術開発に取り組みます。また、社会全体のGHG排出削減に貢献する製品(低炭素貢献製品)・技術の開発による事業機会の創出、競争力強化に取り組みます。
c)ガバナンス
気候変動を含むサステナビリティに関する当社グループの重要課題の特定と、重要課題に応じた定量的で測定可能なKPIの設定は、経営層による議論を経て取締役会で決議されます。当社グループの気候変動リスク・機会と戦略に関しては、中期経営計画、年度予算、KPI及び目標などに反映され、取締役会で決議されます。カーボンニュートラル推進委員会で管理、審議された当社グループの気候変動に関する課題への取り組み、KPI及び目標に対するパフォーマンスなどは、社長を委員長とするサステナビリティ委員会でレビューされ、その概要は取締役会で報告されます。
d)戦略
事業、戦略、財務に重大な影響を及ぼす短期・中期・長期の気候変動リスク・機会は、規制、技術、市場の変化、自然災害などの当社グループを取り巻く外部環境において想定されうる様々な気候変動シナリオ(詳細後述)に基づいて抽出され、製品・サービス、研究開発投資、操業、GHG排出緩和策・適応策などの分野の事業、戦略への影響の検討を行います。その結果を踏まえて当社グループの気候変動リスク・機会に対する戦略は、3年ごとの中期経営計画に反映されます。また、これらの戦略は、カーボンニュートラル推進委員会で議論され、サステナビリティ委員会にてレビューされます。
e)リスク管理
シナリオ分析により特定された気候変動リスクは、カーボンニュートラル推進委員会で監視測定し、必要に応じて施策や戦略の見直しを行い、サステナビリティ委員会にてレビューされます。また、気候変動リスクは、当社グループのリスクマネジメントシステム及びリスクマネジメント分科会にて、労働災害、環境汚染、品質不良、法令違反などのその他の個別リスクへの影響を考慮したうえで、管理されています。
f)指標と目標
当社グループでは、2050年までにGHG排出量ネットゼロを目標に掲げています。そして2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップを策定し、2030年度におけるGHG排出量を2015年度比38%以上削減することを中期目標として掲げています。また、当社グループが生産する車載用二次電池材料や近赤外線吸収材料の供給を通じた社会全体のGHG排出量削減への貢献についてもKPIと目標を定め、取り組みを推進しています。
<実績:スコープ1及び2> 単位:千t-CO2e(CO2e:CO2equivalent:二酸化炭素換算)
※2024年度の実績は合理的な算定方法による概算値。確定値は「統合報告書2025」において記載予定。
実績 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
GHG排出量(総量) |
2,823 |
2,556 |
2,358 |
スコープ1 |
1,965 |
1,830 |
1,724 |
スコープ2 |
858 |
726 |
634 |
<実績:スコープ3> 単位:千t-CO2e ※主な対象カテゴリのみ掲載
カテゴリ |
2022年度 |
2023年度 |
算定方法 |
スコープ3排出量合計 |
4,530 |
4,409 |
|
1.購入した製品・サービス |
3,737 |
3,603 |
Σ(主要原材料重量×排出原単位)※1 |
2.資本財 |
518 |
551 |
Σ(設備投資額×排出原単位×1.05)※2 |
3.スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 |
239 |
221 |
Σ(購入電力・燃料の使用量×排出原単位(電力※2、燃料※1)) |
4.輸送、配送(上流) |
26 |
23 |
国内の輸送に係る排出量を「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づいて算定 |
その他 |
10 |
11 |
- |
※1 排出原単位は「国立研究開発法人産業技術総合研究所 IDEAラボLCLデータベースAIST―IDEA Ver.3.4」を使用
※2 排出原単位は「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)」を使用
詳細は当社ウェブサイトに掲載している「サステナビリティレポート2024」P.35をご参照ください。
<気候変動シナリオ分析>
シナ リオ |
|
区 分 |
ドライバー |
ビジネスインパクト |
影響 度 ※1 |
発生 時期 ※2 |
1.5 ℃ |
移 行 リ ス ク |
政 策 ・ 規 制 |
カーボンプライシングの導入(炭素税、排出量取引、化石燃料賦課金、欧州国境炭素調整措置) |
・炭素税負担 ・排出量取引コスト負担 ・化石燃料賦課金による燃料コスト増加 |
大 |
中長期 |
省エネ・脱炭素化規制の強化(欧州バッテリー規則) |
・省エネ・高効率化・電化への設備コスト増加 ・再エネ電力使用による電力コスト増加 ・再エネ電力調達競争激化 |
大 |
中長期 |
|||
サーキュラーエコノミー規制の強化(欧州エコデザイン規制、欧州バッテリー規制) |
・リサイクル原料使用による原料コスト増加 ・リサイクル原料調達競争激化 |
大 |
中長期 |
|||
市 場 |
当社製品の低・脱炭素化への要求の高まり (銅、ニッケル、電池材料等) |
・エネルギー転換によるエネルギーコスト増加 ・低CFP※3化の競争激化(高CFP製品の売上低下) ・既存製品・技術の陳腐化、技術開発コスト増加 |
大 |
中長期 |
||
資源国における過度な資源ナショナリズムの高揚 (銅、ニッケル、リチウム、コバルト等) |
・課税強化、ロイヤルティ引上げによるコスト増加 ・鉱石・中間原料の輸出禁止による原料不足 ・鉱山権益獲得の競争激化 |
大 |
中長期 |
|||
機 会 |
政 策 ・ 規 制 |
電気自動車の普及拡大 |
・バッテリーの電池材料、電池材料に含まれているニッケル・コバルト、ワイヤーハーネスや駆動モーターに使用される銅の販売拡大 |
大 |
中長期 |
|
電化需要拡大、電力系統の増強 |
・送電用電線や変圧器に使用される銅の販売拡大 ・高効率パワー半導体に使用されるSiC(シリコンカーバイド)基板の販売拡大 |
大 |
中長期 |
|||
再エネ主力電源化 |
・風力発電用モーター・変圧器に使用される銅の販売拡大 ・再エネ電力の変動抑制のための蓄電池に使用される電池材料やニッケル・コバルトの販売拡大 |
大 |
中長期 |
|||
市 場 |
デジタル技術活用に向けた電子機器の高性能化 |
・電子機器に使用される高機能性材料の技術開発・販売拡大 |
中 |
中長期 |
||
次世代材料の開発 |
・水素製造触媒や人工光合成触媒、燃料電池材料の開発・新事業拡大 |
中 |
中長期 |
|||
4℃ |
物 理 リ ス ク |
慢 性 |
海水面上昇 |
・暴風雨における高潮・浸水による港湾・後背地(臨海工場等)の機能低下、設備被害の激甚化 ・復旧コストの増加、設備対策コストの増加 |
大 |
長期 |
気温上昇 |
・暑熱職場による熱ストレスによる生産性の低下 ・熱中症の増加 ・設備対策コストの増加 |
中 |
長期 |
|||
急 性 |
100年想定の熱波、豪雨、大型台風、干ばつの異常気象の増加 |
・暴風雨・洪水、土砂災害の激甚化 ・生産設備の毀損、生産停止による事業機会の逸失 ・復旧コストの増加、設備対策コストの増加 |
中 |
中長期 |
||
・テーリングダム越流・決壊の被害に対する多額の損害賠償の請求 ・保険料の上昇 ・復旧コストの増加、設備対策コストの増加 |
大 |
中長期 |
||||
・サプライチェーン途絶による事業中断・操業停止 ・生産停止による事業機会の逸失 |
中 |
中長期 |
※1 影響度 大:年間100億円以上、中:年間10億円~100億円
※2 発生時期 中期:~2030年頃、長期:~2050年頃
※3 CFP(Carbon Footprint of Products):製品単位の排出量
g)KPI・目標
改正前と改正後のKPI・目標は以下のとおりです。改正にあたっては、GHGを多く排出する産業を営む企業として、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みをより推進するために、当社グループの「ものづくり力」を通じた低炭素貢献製品に関するKPI・目標を設定しました。
<改正前> |
|
<改正後> |
||
KPI |
目標(2030年度) |
|
KPI |
目標(2030年度) |
GHG排出量の削減 |
GHG排出量を2015年度比38%以上削減(国内50%以上、海外24%以上)、“2050年までにGHG排出量ネットゼロ”に向けた諸施策を推進する |
|
GHG排出量 |
《スコープ1、2》 2015年度比38%削減 (内訳:国内50%、海外24%) 《スコープ3》 現状の把握と目標設定:2025年度末 |
GHG排出原単位を2013年度比26%以上削減 |
低炭素製錬技術の開発 |
・ニッケル酸化鉱の水素還元製錬技術の開発 ・リチウム直接回収技術の開発 |
||
低炭素貢献製品GHG削減貢献量の拡大:60万t-CO2e以上 |
低炭素貢献製品供給によるGHG削減貢献量 |
110万t-CO2 (ストックベース法で算出) |
||
|
|
|
低炭素貢献製品の開発と供給 |
・水素製造触媒材料の開発 ・全固体電池用正極材料の開発 |
※改正後のKPIについて、対象範囲の記載がないものは連結とする。
重要課題③ 地球環境保全
a)2030年のありたい姿
ネイチャーポジティブな未来へ貢献する企業
b)方針・考え方
生物の絶滅速度が急激に上昇するなど、経済活動によって自然資本・生物多様性が損なわれていることから、自然の損失を抑え、回復させ、地球全体で豊かにすることを目指すことが求められています。当社グループは、資源開発・製錬などの事業活動が自然に依存することを認識したうえで、自然関連リスクと機会を特定し、戦略的に対応を進めるため、2025年4月1日に自然に関する方針を定めました。これにより、事業活動が自然に与えるマイナスインパクトを回避・最小化します。特に、尾鉱ダムや鉱山開発に関する事故など自然の損失につながる重大環境事故を未然に防止することに取り組みます。
c)KPI・目標
改正前と改正後のKPI・目標は以下のとおりです。改正にあたっては、自然への影響が大きい事業を営む企業として、ネイチャーポジティブの姿勢をより明確にいたしました。
<改正前> |
|
<改正後> |
||
KPI |
目標(2030年度) |
KPI |
目標(2030年度) |
|
重大環境事故 ゼロ |
リスク・環境マネジメントシステムの活用による改善の推進 |
自然関連リスクと機会の特定・対応・開示 |
・当社グループ事業の優先地域への対応:2026年度末 ・重要なバリューチェーンへの対応:2030年度末 |
|
自然危険源の増大に対応した設備やインフラの強化・改善 |
重大環境事故防止 |
重大環境事故件数0件 |
||
有害物質排出量低減(対前年) |
・水使用の合理化、大気・水域への有害物資の排出量の低減 ・計画的植林ほか、多様な環境保全・生物多様性保全活動の推進 |
尾鉱ダム管理国際産業規格への適合状態の維持 |
※改正後のKPIについて、対象範囲の記載がないものは連結とする。
重要課題④ 人的資本経営
a)2030年のありたい姿
多様な人材が集い、成長し活躍できる企業
b)人的資本に関する考え方
人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値の向上を目指す人的資本経営が求められています。組織全体の生産性向上や付加価値の創造につながるよう人的資本の価値を最大化することが重要です。当社グループは、自由闊達な風土のもと安全で安心な職場環境を提供します。また従業員の自律的な成長を促すことで一人ひとりが活き活きとその能力を発揮して活躍する企業の実現に向け取り組みます。
c)ガバナンス
経営戦略と人材戦略の連動を図るため、企業価値向上戦略会議の中に全社人材部会を設置し、四半期に1回以上の頻度で継続的に開催しています。運営体制としては、人事部所管執行役員が部会長、人事部長が副部会長となり、ポストに人材を配置する適材適所を推進するとともに、次世代経営層や次期管理者を計画的に育成するなど、人材の育成と活用に関わる全社横断的な人材戦略に係る議論をしています。
d)戦略
重要課題に対する「2030年のありたい姿」を実現するため、絶えず変化し続ける市場環境に適応し、持続可能な成長を遂げる企業へと進化していく必要があると考えています。その重要な鍵となるのが、継続的に「挑戦」「変革」「成長」ができる企業風土の実現です。この実現のためには、従業員一人ひとりの職務と職責に見合った報酬を実現し、一人ひとりの可能性を最大限に引き出していくことが重要であると考えています。
この戦略を具現化するための一歩として、2023年7月に総合職人事制度(職務等級制度)を導入しました。また、この制度の目的達成のため、キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)を2023年12月に導入しました。本制度は従業員が自律的にキャリアプランを考え、その実現のための機会を提供するもので、従業員の自律的な成長と挑戦を通じた育成を意図しており、2024年度は4件の実績がありました。
(i) 人材育成の考え方
従業員一人ひとりの自律的な成長が、当社グループの持続的な成長につながると考えています。事業環境の変化に対応し新たなビジネスモデルを構築するため、従業員一人ひとりに能力向上の機会を提供し、成長戦略を確実に実行できる人材を育成しています。
従業員の成長の基本は、育成を意識した適切な配置とともに、日常業務を通じて計画的・継続的に行われる実践的教育OJT(On-the-Job Training)と従業員一人ひとりの自己啓発(OFF-JT)にあると考えています。OJTでは、仕事の知識やスキルを身に着けるだけでなく、業務を通じた自律的な成長も促しています。OFF-JTでは、通信教育、外国語講座、MBA関連講座、オンライン学習ツール、e-learning、語学検定試験などの自己啓発の機会を提供し、資格取得の際には祝金を支給するなど従業員の自律的な学びを促進しています。今般の「2030年のありたい姿」の改正では、各種自己啓発講座等の延べ受講率(自己啓発制度活用率)をKPIとして設定し、2030年の目標を60%としました。
目標管理制度では、従業員一人ひとりがキャリアについて自律的に考え、やりがいを持って仕事に取り組めるよう、中長期的な取り組みやチャレンジングな姿勢を評価するとともに、自己申告制度を含めたキャリア形成支援を積極的に行っています。また、上司と部下の関係性の質を上げ、一人ひとりの能力を引き出すために、1on1ミーティングを定期的に実施しています。
<全社人材育成体系>
(ii) 社内環境整備
当社では、入社、結婚、出産、育児、介護、治療、そして定年といった様々なライフステージの変化に応じた支援制度を設けており、研修等による情報提供と相談の機会を通じて「安心・安全なワークとライフの提供」に取り組んでいます。
具体的施策の1つとして、当社事業の立地特性を踏まえ、従業員の生活環境を支援するために、社有の社宅・寮もしくは借上げ社宅・寮を提供しています。また、社宅や寮を選択せず、持ち家や借家住まいを選択する社員については、住宅関連手当を支給し、住環境整備の支援を行っています。また、特定地域への転任に対する費用補助や、持ち家取得の際の引っ越し雑費支給や融資制度など、従業員が安心して働けるよう各種施策を実施しています。
・エンゲージメント
当社グループでは、年に一度の従業員意識調査を継続していましたが、2024年度からはエンゲージメントサーベイを導入し、エンゲージメントスコア(会社と従業員の相互理解・相思相愛度合いを数値化し偏差値で表したもの)を測定しています。エンゲージメントが高い状態を「会社・組織と従業員の間において、相互の理解ができており、会社・組織は従業員を大切にし、従業員は会社・組織の発展と活性化に力を注ぐ状態になっていること」と定義しています。2024年度のエンゲージメントスコアは、47.7となりました。
この結果を踏まえ、グループ全体のスコアを持続的に向上させていくために、それぞれの職場が自律的にアクションプランを策定・実践し、スコアの底上げを図る取り組みと、1on1による上司と部下の関係性の質の向上や自律的なキャリア開発の支援などのスコア絶対値の向上を意図した全社的な取り組みを行っています。
エンゲージメントサーベイを通じて、データから従業員の意識や意欲、満足度に関する課題を把握し、エンゲージメント向上の取り組みを通じて職場環境を改善することで、当社は持続可能な成長を達成し、社会に貢献していく企業を目指します。
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
当社グループの持続的な成長には、従業員一人ひとりが持つ視点や考え方は様々であり、多様なメンバーがお互いを認め、信じ、自身の強みを活かしながら、公平な機会のもとで協働する企業風土を築くこと(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I))が必要だと考えています。性別・国籍・年齢といった属性の多様化に加えて、従業員の能力や経験の多様化を進めることで、新しいアイデアを生み出し、柔軟性と競争力を備えた組織を実現し、持続的な成長を目指します。
当社グループは2024年12月にDE&I宣言を行い、DE&Iの目的・意義を経営のトップメッセージとして公表しました。また、2025年4月より、全ての従業員がDE&Iに取り組み、全社で協創することを目的として、DE&I協創室を設置いたしました。今後もより一層、DE&Iを推進し、ジェンダーバランス、障がい者、外国人、性的マイノリティ(LGBTQ+)など、誰もが働きやすい職場環境構築に努めてまいります。
特に女性活躍推進については、管理職社員への登用、国内拠点のみならず海外拠点への派遣など、女性の活躍の場を拡大することに取り組んでいます。また、「2030年のありたい姿」では、女性管理職比率・人数をKPIとし、当社単体で女性管理職社員比率を7%、女性管理職社員数を50名以上とすること、当社グループ連結での女性管理職社員比率を18%以上とすることを目標として定めています。これに加え、2030年までに女性役員を4名登用することも目標に設定しました。これらの達成に向けて、定期・キャリア採用における女性採用比率の目標値設定、次世代リーダー育成を目的とした女性社員外部研修への派出、役員と女性管理職社員との懇談会の開催などを実施しています。
・健康経営
当社グループでは、労働安全衛生の観点から、以前より役員・従業員の安全と健康の確保に優先的に取り組んできました。当社グループで働くすべての人がより健康で活き活きと働けるよう、2022年8月に「住友金属鉱山グループ健康経営方針」を制定し、同年10月に中長期的な取り組みと目標を定めた「従業員の健康づくり推進ロードマップ」と単年度ベースでの「健康経営推進計画」を策定しました。これらの計画を踏まえ、住友金属鉱山健康保険組合とも協力し、効果的な心身の健康維持・増進施策を展開しています。
従業員に対しては、生活習慣病発生リスクと肥満リスク、女性の健康などをテーマとした健康セミナや、メンタルヘルス研修(セルフケア・ラインケア)を定期的に開催し、健康管理支援システム(スマートフォンアプリ)を活用したウォーキングイベントも実施しています。各種検診・人間ドック・脳ドックについては、費用の全額や一部を補助しており、人間ドック受診時は健康管理休暇(1年につき最大2日)を取得することもできます。また、禁煙施策として、喫煙所の削減や希望者にオンライン禁煙プログラムを提供しています。
今回の「2030年のありたい姿」の改正として、2024年度からは健康経営度調査による偏差値をKPIとし、定量的に状況を把握し取り組んでいます。2025年度は、専任組織として健康経営推進室を設置し、健康経営トップメッセージの発信、健康経営戦略マップの策定等、各種施策に取り組んでいます。
e)KPI・目標
改正前と改正後のKPI・目標は以下のとおりです。改正にあたっては、幅広い項目にわたっていたKPI・目標を集約し、人材を資本として捉え、多様な人材が集い、成長し活躍できる企業という「2030年のありたい姿」の実現のために必要な取り組みを明確にしました。
<改正前> |
|
<改正後> |
|||
KPI |
目標(2030年度) |
|
KPI |
目標(2030年度) |
|
労働災害の発生防止 |
・重篤災害:ゼロ (国内外、協力会社含む) ・全災害:対前年減少、最終的にゼロを目指す |
|
エンゲージメントスコア(当社+調査対象国内関係会社) |
スコア:55 |
|
業務上疾病の発生防止 |
・健康リスクの高い作業場数:対前年削減 ・業務上疾病の発生:ゼロ |
|
重篤災害件数(協力会社を含めた安全統計対象事業場)) |
0件 |
|
働き方改革の推進とデジタルテクノロジー等を活用した、多様な人材が活躍できる職場づくり |
・従業員意識調査の「経営者・上司のマネジメント」「仕事の魅力」「職場環境」に関する各スコアの向上 ・女性管理職社員数50人 (当社) ・女性従業員比率20%以上 (当社) ・総合職外国人従業員の拡充 ・障害者雇用率3%以上 (当社) ・従業員のライフステージに対応した配置と支援 |
|
健康リスクのある作業場数(国内の安全統計対象事業場) |
0作業場 |
|
健康経営度調査(単体) |
偏差値62 |
||||
自己啓発制度活用率(単体) |
60% |
||||
女性管理職比率・人数(連結・単体) |
連結18%、単体7%(50人) |
||||
男性育児休業取得率(単体) |
100% |
||||
従業員の心身の健康づくりの支援 |
・長期休業者の減少 ・健康診断結果の「有所見者率」50%以下 |
|
|||
従業員ニーズ・業務ニーズを考慮した能力向上、機会の多様化 |
・上司と部下との定期的な対話を通じて、従業員一人ひとりのやる気や可能性を引き出し、部下の成長をさらに促進する「1on1ミーティング」の活用 ・役割に応じた人材育成体系の再構築によって、より良い従業員への能力向上機会の提供 ・個々人のライフプランや従業員ニーズに合わせた自己啓発機会の提供 |
|
|
|
|
従業員への当社グループブランドの浸透 |
従業員意識調査の改善(会社で働くことに誇りを感じる従業員割合の向上) |
|
|
|
重要課題⑤ 地域社会との共存共栄
a)2030年のありたい姿
信頼され続けるパートナーとして、地域とともに成長する企業
b)方針・考え方
企業だけが発展するのではなく、地域コミュニティとともに発展することが重要です。また、特に資源開発の影響を受ける先住民の権利を尊重することが求められています。当社グループは、資源開発・製錬の経験から事業地域のコミュニティへのマイナスインパクトを回避・最小化し、持続的であることは歴史的にも当社事業において戦略的に行われており、今後も継続していきます。そのためすべての事業地域において先住民を含む地域コミュニティとの対話を進め、地域の課題を把握し、その解決に貢献することに取り組みます。
c)KPI・目標
改正前と改正後のKPI・目標は以下のとおりです。改正にあたっては、従業員に関する項目は重要課題④に集約し、本重要課題において先住民の権利、地域社会との共存共栄への取り組みを明確化しました。
<改正前> |
|
<改正後> |
||
KPI |
目標(2030年度) |
KPI |
目標(2030年度) |
|
「世界の非鉄リーダー」レベルの情報発信及び対話の質と量の確保 |
・メディア、投資家との対話機会の拡充 ・統合報告書の外部評価での高評価獲得 |
地域住民・先住民との対話 |
地域の課題解決につながる継続的な対話を実施 |
|
目指している「世界の非鉄リーダー」としての認知・理解の向上及び共感を得ている |
社外機関調査結果の改善 (認知度・理解度など) |
社外ステークホルダーからの相談対応(グリーバンスメカニズム) |
適切な運用 |
|
対話と連携に基づく地域社会への参画 |
地域社会との対話を通じて、地域の課題を正確に把握し、施策を実行 |
地域の社会活動基盤の強化(単体) |
地域貢献プログラムの共同企画と参画 |
|
従業員参加型の地域支援 |
従業員参加プログラムの実施(2023年~) |
地域の次世代育成への貢献(単体) |
奨学金ほか支援プログラムを実施 |
|
現地雇用・現地調達 |
継続実施と実績把握 |
|
||
次世代育成への支援 |
・行政や地域団体・NPOなどと連携した次世代育成プログラムの実施(1回/年以上) ・国内奨学金の設立と給付(既存の海外奨学金維持)(2023年~) |
|
|
|
障害者・高齢者への支援 |
・行政や地域団体・NPOなどと連携した障害者・高齢者支援プログラムの実施(1回/年以上) |
|
|
|
災害時支援 |
大規模災害地域への支援 |
|
|
|
先住民や先住民の伝統と文化の理解 |
社内教育を実施したSMMグループ拠点の割合:2023年度末までに100% |
|
|
|
先住民の伝統と文化の尊重につながる取り組みへの支援 |
・先住民を対象とする奨学金の実施(既存の取り組みの継続実施) ・NGO、学会等が実施する先住民に関連する取り組みへの支援:年1件以上の支援 |
|
|
|
※改正後のKPIについて、対象範囲の記載がないものは連結とする。
重要課題⑥ サプライチェーンマネジメント
a)2030年のありたい姿
持続可能なサプライチェーンを構築している企業
b)方針・考え方
企業グループ内の活動だけでなくサプライチェーンの上流及び下流における社会への影響を把握し、そのリスク及び機会に対応することが求められています。持続可能なサプライチェーンの構築を事業活動全体の持続的成長に繋げる戦略として、当社グループは製造拠点における責任ある調達及び生産に関する国際認証の取得に取り組み、サプライチェーンにおける人権侵害や環境汚染、腐敗等を回避・是正することに取り組みます。また国際規範に則った苦情処理システム(グリーバンスメカニズム)を通じ、ステークホルダーの救済に取り組みます。
c)KPI・目標
改正前と改正後のKPI・目標は以下のとおりです。改正にあたっては、当社グループと協働するパートナーを含む、サプライチェーン全体が共に豊かに持続可能であるために必要なKPI・目標を新たに設定いたしました。
<改正前> |
|
<改正後> |
||
KPI |
目標(2030年度) |
KPI |
目標(2030年度) |
|
サステナビリティ調達、特に責任ある鉱物調達の推進 |
責任ある鉱物調達 ・国際基準に合致した責任ある鉱物調達マネジメントシステムの確立:2021年度末まで ・サプライチェーン上での、児童労働等人権侵害に加担する鉱山及び製錬所ゼロの維持 |
国際認証に適合した当社グループ製錬所の割合 |
100% |
|
サステナビリティ調達 ・「住友金属鉱山 グループサステナビリティ調達方針」を受領し同意した取引先企業:2030年度末までに100% ・国際基準に合致したサステナビリティ調達マネジメントシステムの確立:2024年度末まで ・デュー・ディリジェンスの継続実施 |
責任ある鉱物調達におけるデュー・ディリジェンスによる適切な調達先の割合 |
100% |
||
|
|
|
サプライチェーン全体におけるESGデュー・ディリジェンスの実施 |
調達におけるデュー・ディリジェンス実施・結果開示:2026年度末 |
※改正後のKPIについて、対象範囲の記載がないものは連結とする。
(4)指標と目標、及び実績
下表は、改正後の重要課題と「2030年のありたい姿」に基づいて設定されたKPI・目標に対する2024年度の実績です。
①非鉄金属の安定供給とサーキュラーエコノミーへの貢献
KPI |
目標(2030年度) |
2024年度実績 |
ニッケル生産量 |
10万トン/年(ニッケル量) |
9.4万トン/年(ニッケル量) |
銅権益生産量(SMMグループが権益を保有する銅鉱山) |
30万トン/年(銅量) |
23.2万トン/年 |
リチウムイオン電池リサイクル処理量 |
1万トン/年 |
0万トン/年 |
銅リサイクル処理量 |
14万トン/年(銅量) |
10.4万トン/年(銅量) |
製鋼煙灰リサイクル処理量(国内グループ会社) |
12万トン/年 |
8.0万トン/年 |
②カーボンニュートラル社会への貢献
KPI |
目標(2030年度) |
2024年度実績 |
GHG排出量 |
《スコープ1,2》2015年度比38%削減(内訳:国内50%、海外24%) 《スコープ3》現状の把握と目標設定:2025年度末 |
《スコープ1,2》 GHG排出量:236万t-CO2e(2015年度比27%削減)※合理的な算定方法による概算値 《スコープ3》 ― |
低炭素製錬技術の開発 |
・ニッケル酸化鉱の水素還元製錬技術の開発 ・リチウム直接回収技術の開発 |
― |
低炭素貢献製品供給によるGHG削減貢献量 |
110万t-CO2 |
― |
低炭素貢献製品の開発と供給 |
・水素製造触媒材料の開発 ・全固体電池用正極材料の開発 |
― |
③地球環境保全
KPI |
目標(2030年度) |
2024年度実績 |
自然関連リスクと機会の特定・対応・開示 |
2026年度末:当社グループ事業の優先地域への対応 2030年度末:重要なバリューチェーンへの対応 |
・外部コンサル活用による自然関連情報の整理 ・「SMMG自然に関する方針」制定 |
重大環境事故防止 |
重大環境事故件数0件 |
重大環境事故件数0件 |
尾鉱ダム管理国際産業規格への適合状態の維持 |
尾鉱ダム管理国際産業規格への適合状態の維持 |
④人的資本経営
KPI |
目標(2030年度) |
2024年度実績 |
エンゲージサーベイのエンゲージメントスコア(当社+調査対象国内関係会社) |
スコア(偏差値):55 |
スコア(偏差値):47.7 |
重篤災害件数(協力会社を含めた安全統計対象事業場) |
0件 |
3件 |
健康リスクのある作業場数 (国内の安全統計対象事業場) |
0作業場 |
2作業場 |
健康経営度調査(単体) |
偏差値:62 |
偏差値:57.8 |
自己啓発制度活用率(単体) |
60% |
― |
女性管理職比率・人数(連結・単体) |
連結18%、単体7%(50人) |
単体3.3%(28人)※ |
男性育児休業取得率(単体) |
100% |
100% |
※連結は現時点で未算定。
⑤地域社会との共存共栄
KPI |
目標(2030年度) |
2024年度実績 |
地域住民・先住民との対話 |
地域の課題解決につながる継続的な対話を実施 |
― |
社外ステークホルダーからの相談対応 (グリーバンスメカニズム) |
適切な運用 |
― |
地域の社会活動基盤の強化(単体) |
地域貢献プログラムの共同企画と参画 |
地域貢献プログラムの協働企画と参画に関する取り組みの研究 |
地域の次世代育成への貢献(単体) |
奨学金他支援プログラムを実施 |
・奨学金制度 実運営 ・放課後児童学習支援プログラム 検討 |
⑥サプライチェーンマネジメント
KPI |
目標(2030年度) |
2024年度実績 |
国際認証に適合した当社グループ製錬所の割合 |
100% |
43% |
責任ある鉱物調達におけるデュー・ディリジェンスによる適切な調達先の割合 |
100% |
― |
サプライチェーン全体におけるESGデュー・ディリジェンスの実施 |
調達におけるデュー・ディリジェンス実施・結果開示(2026年度末) |
― |