リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業展開上、様々なリスク要因があります。それら想定されるリスクに対し、事前に軽減する、回避する、ヘッジする等、事実上可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除することは不可能であり、想定外の事態、あるいは影響を軽減できない事態が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、これらリスク要因は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
(1) 事業環境の変動
当社グループの主たる事業は、電子部品の製造工程から発生する有価金属を回収する貴金属事業と、エッチング廃液を再生し、銅を回収する環境事業の二つですが、それぞれ主要なお客様が属する業界の需給変動幅が大きいため、その動向により、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。貴金属事業においては電子部品・デバイス業界、その中でも特に水晶振動子業界のお客様、環境事業においてはプリント基板業界のお客様が多く、景気変動や各業界の需給状況等、これら業界の動向に影響を与える事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、貴金属価格の高騰や、リサイクル需要の高まりなどから、業者間競争が激化するとともに、お客様からのコストダウン要求も厳しくなってきております。競争激化に伴うお客様の他社への乗換え、販売価格の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、既存のお客様との取引維持を図るとともに、これまで培ってきた独自の技術力を武器に積極的な営業活動を実施し、新規取引先の獲得に注力することで、主要なお客様に対する依存度を相対的に低減するよう努めております。また、新規事業であるLiB再生事業の早期事業化・収益化により、収益基盤の多角化を図ってまいります。
(2) 金属相場の変動
当社グループの主力製品である貴金属及び銅加工品等は、金属が取引される市場の相場の影響を受けており、その価格は、供給国及び需要国の政治経済動向、為替相場等、世界の様々な要因により変動しております。変動要因の内容によっては貴金属及び銅相場が著しく変動することもあり、その場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、貴金属の仕入を行うタイミングと同時に、販売先と販売価格を約定する「先渡取引」を利用しており、仕入から販売までの価格変動リスクの低減を図っております。
(3) 金利の変動
当社グループの2023年9月末日時点の有利子負債(2,652,296千円)の総資産に対する依存度は31.76%と高い状況にあり、現行の金利水準が大幅に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、長期借入金に関しては原則固定金利での借入とし、変動金利の場合も金利スワップ等のヘッジ取引活用等により金利の固定化を行い、金利変動リスクの低減に努めております。
(4) 法令規制等
当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)に基づく事業者として、産業廃棄物の収集運搬及び処理を行っております。廃棄物処理法上、不法投棄、無許可営業、無許可変更及びマニフェスト虚偽記載等一定の要件に該当する場合には、事業の停止命令及び許可の取消し処分がなされる可能性があります。また、産業廃棄物関連の事業においては、廃棄物処理法に加えて、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、下水道法等法令等の遵守が事業継続の前提となっております。
環境関連法令については、環境問題への社会的関心が高まることにより、法令基準の強化がなされることで当社グループの設備投資等の追加的負担が求められる可能性があります。
責任ある原料調達に関しては、規制の強化、サプライヤーの対応不備等により、原料の調達ができなくなった場合には、製品販売量が減少する可能性があります。
これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、役職員への教育及び研修等の機会を必要に応じて設定し、啓発を行っております。また、紛争鉱物等の不使用に対応した認証を取得するなどし、発生リスクの低減に努めております。
なお、主な許認可等及び遵守すべき法令等は以下のとおりであります。
(主な許認可等)
許可年月 |
許認可等の名称 |
所管官庁等 |
許認可等の内容 |
有効期限 |
法令違反の要件 及び主な許認可 取消事由 |
2022年4月 |
毒物劇物製造業 (本社工場) |
福島県 |
福島県知事登録 第31号 |
2027年4月 |
毒物及び劇物取締法 第19条に規定される 項目に該当する場合 |
2020年10月 |
毒物劇物製造業 (富久山工場) |
福島県 |
福島県知事登録 第44号 |
2025年10月 |
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2023年4月 |
毒物劇物一般販売業 (本社工場) |
福島県 郡山市保健所 |
郡山市保健所 所長登録第134号 |
2029年3月 |
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2018年10月 |
毒物劇物一般販売業 (富久山工場) |
福島県 郡山市保健所 |
郡山市保健所 所長登録第189号 |
2024年10月 |
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2023年9月 |
特別管理産業廃棄物処分業 (廃酸、廃アルカリ、中間処理) |
福島県 郡山市 |
郡山市長登録 第08770004892号 |
2028年9月 |
廃棄物の処理及び 清掃に関する法律 第25条に該当する 場合 |
2020年10月 |
産業廃棄物処分業 (廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、金属くず、中間処理) |
福島県 郡山市 |
郡山市長登録 第08720004892号 |
2025年10月 |
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2021年4月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃酸、廃プラスチック類、金属くず) |
福島県 |
福島県 県中振興局長登録 第00702004892号 |
2026年3月 |
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2021年11月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃酸、廃プラスチック類、金属くず) |
神奈川県 |
神奈川県知事登録 第01403004892号 |
2026年10月 |
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2021年11月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃酸、廃プラスチック類、金属くず) |
栃木県 |
栃木県知事登録 第00900004892号 |
2026年12月 |
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2019年3月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃プラスチック類、金属くず) |
静岡県 |
静岡県知事登録 第02201004892号 |
2024年3月 |
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2019年5月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃プラスチック類、金属くず) |
大阪府 |
大阪府知事登録 第02700004892号 |
2024年5月 |
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2021年2月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃酸、廃プラスチック類、金属くず) |
埼玉県 |
埼玉県知事登録 第01105004892号 |
2026年2月 |
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2021年6月 |
産業廃棄物収集運搬業 (廃酸、廃プラスチック類) |
東京都 |
東京都知事登録 第13-00-004892号 |
2026年5月 |
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2008年11月 |
古物商 |
福島県 公安委員会 |
第251080003700号 |
― |
古物営業法第6条に 規定される項目に 該当する場合 |
1993年11月 |
計量証明事業登録 (質量) |
福島県 |
福島県知事登録 第83号 |
― |
計量法第116条に 規定される項目に 該当する場合 |
2022年4月 |
Responsible Minerals Assurance Process (金) |
Responsible Minerals Initiative |
Smelter ID CID000090 |
2025年4月 |
Responsible Minerals Initiativeが 不適合であると 判断した場合 |
2011年3月 |
品質マネジメントシステム |
BSIグループ ジャパン 株式会社 |
ISO 9001:2015 FM 571395 |
2026年3月 |
認証要求事項に 対し、常態化した 不適合又は重大な 不適合がある場合 |
2011年4月 |
環境マネジメントシステム |
BSIグループ ジャパン 株式会社 |
ISO 14001:2015 EMS 572901 |
2025年3月 |
(遵守すべき法令等)
規 制 法 |
目 的 及 び 内 容 |
監 督 官 庁 |
化学物質排出把握管理促進法 |
事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的としています。 |
経済産業省 |
水質汚濁防止法 |
水質汚濁防止を図るため、工場及び事業場からの公共用水域への排出及び地下水への浸透を規制することを目的としています。 |
環境省 |
騒音規制法 |
工場及び事業場における事業活動に伴って発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行うことを目的としています。 |
環境省 |
振動規制法 |
工場及び事業場における事業活動に伴って発生する相当範囲にわたる振動について必要な規制を行うことを目的としています。 |
環境省 |
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律 |
公害防止統括者等の制度を設けることにより、特定工場における公害防止組織の整備を図り、もって公害の防止に資することを目的としています。 |
経済産業省 |
消防法及び危険物の規制に関する規則 |
火災の予防・警戒・鎮圧により、火災から保護するとともに火災・地震等の災害に因る被害を軽減し、安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的としています。 |
総務省消防庁 |
工場立地法 |
工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行われるようにするため、工場立地に関する調査を実施し、及び工場立地に関する準則等を公表し、並びにこれらに基づき勧告、命令等を行うことを目的としています。 |
経済産業省 |
大気汚染防止法 |
工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制することを目的としています。 |
環境省 |
悪臭防止法 |
規制地域内の工場及び事業場の事業活動に伴って発生する悪臭について規制を行うことを目的としています。 |
環境省 |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 |
廃棄物の定義や処理責任の所在、処理方法・処理施設・処理業の基準などが定められております。 |
環境省 |
毒物及び劇物取締法 |
毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締りを行うことを目的としています。 |
厚生労働省 |
高圧ガス保安法 |
高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動、消費等を規制することを目的としています。 |
経済産業省 |
計量法 |
計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的としています。 |
経済産業省 |
古物営業法 |
古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もって窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的としています。 |
国家公安委員会 |
製造物責任法 |
製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定められております。 |
経済産業省 |
知的財産基本法 |
新たな知的財産の創造及びその効果的な活用による付加価値の創出を基軸とする活力ある経済社会を実現することを目的としています。 |
内閣官房 |
不正競争防止法 |
企業の営業秘密の保護をより実効あるものとし、公正な競争環境を確保することを目的としています。 |
経済産業省 |
下請代金支払遅延等防止法 |
下請代金の支払遅延等を防止することによって、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もって国民経済の健全な発達に寄与することを目的としています。 |
公正取引委員会 |
犯罪による収益の移転防止に関する法律 |
犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的としています。 |
経済産業省 金融庁 |
(5) 廃棄物等の管理について
当社グループは、毒物や劇物を使用しておりますが、酸廃液及びアルカリ廃液を中和するなど、環境に配慮した適切な処理をしております。しかしながら、工場及び運搬車両の事故等により、これらの管理に何らかの問題が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、内部統制システムの構築と維持に努めており、役職員への教育及び研修等の機会を定期的に設定し、啓発を行うことで、不測の事態の発生を防ぐ取り組みを行っております。
(6) 災害の発生について
当社グループは、生産拠点が福島県郡山市に集中しているため、地震、台風、洪水などの自然災害や、予期せぬ事故等による災害などにより、事業運営を継続することが困難な状況が発生する可能性があります。また、建物等において老朽化が進んでいるものもあるため、特に地震などの自然災害により事業運営に支障をきたす事態が発生する可能性があります。災害による被害を完全に回避することは不可能であり、被害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、設備の定期点検や老朽化した建物等に対する修繕、防災訓練の実施を通じて、災害防止や被害を最小限に抑える、被災時の速やかな事業復旧が行えるよう備えており、事業継続力強化計画認定制度において、経済産業大臣の認定を取得しております。
(7) 新規事業投資について
当社グループは、中長期的に持続的な成長を果たすため、事業ポートフォリオの再構成に取り組んでおり、新規事業の立ち上げに対して積極的に経営資源を投入しております。新規事業には不確定な要因が多く、研究開発において目標を達成できない場合や、事業計画を予定通り達成できない場合には、先行投資分を回収できず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、計画構想段階より経営企画部を中心として関連部門間の情報交換を活発に行っており、綿密な戦略策定、効率的なスケジュール管理、専門学習の継続により、成功確率の向上に努めております。
(8) システム障害について
当社グループの業務は、ITシステムに大きく依存しております。何らかの事由によりシステムが利用不可能となった場合には、業務に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、ファイアウォールの設置、ウイルス対策、予備機器の準備、定期的なデータのバックアップ等の対策を講じ、発生リスクの低減に努めております。
(9) 固定資産の評価について
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当該会計基準では、それぞれの固定資産について回収可能額を測定し、回収可能額が帳簿価額を下回る場合、その差額を減損損失として認識することとされており、資産価値が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、毎月の月次検討会において、事業毎の収益性を把握し、収益力の維持向上を図るとともに、業績悪化の兆候が見られる場合には、適時適切な対策が打てるような体制を構築しております。
(10) 特定の取引先への依存について
当社グループは、貴金属事業に係る仕入について、特定の取引先からの仕入の割合が高く、当該取引先と何らかの要因により取引が継続できない事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、既存のお客様からの集荷量ボリュームアップ、独自技術を武器とした新規取引先の開拓、新規事業であるLiB再生事業の早期事業化・収益化により、主要なお客様の依存度を相対的に低減するよう努めております。
(11) 財務制限条項について
当社グループの借入金の一部に財務制限条項が付されており、純資産及び経常利益が一定金額以上であることを求められております。万一、当社の業績が悪化し、当該財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、一括返済を求められることとなり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、財務制限条項に抵触する可能性がある場合には、早期に財務状況の改善を図るとともに、当該借入金について金融機関と即座に協議を行うことができるよう、良好な関係を維持しております。
(12) 人材の確保について
当社グループの持続的な成長のためには、優秀な人材の確保が必要不可欠であると考えております。雇用環境が急速に変化していく中で、優秀な人材の確保ができない場合には、長期的な視点では当社グループの成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対処するため、当社グループでは、新卒者に限らず、経験者の採用を積極的に展開し、優秀な人材を獲得するとともに、教育研修制度の充実や、OJTを通じた経験学習を効果的に循環させる等、人材の育成に注力しております。また、従業員意識調査を定期的に実施し、職場環境の課題抽出及び改善を継続して行っていくことで、離職率の低減を図っております。
(13)感染症の拡大による影響について
当社グループは、新型コロナウイルスをはじめとした感染症の感染拡大に伴い、サプライチェーンの分断や取引先の生産活動の自粛等のマイナス影響を受ける可能性があります。また、当社グループにおける感染者の発生等により、生産活動の停止や遅延が生じた場合には、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、感染症の影響による複数のシナリオに対応できるよう、経営基盤の強化に努めるとともに、グループ内の感染予防策として、従業員の健康状態の把握やwebツールの有効活用等、当社グループにおける感染症拡大のリスクを低減するよう努めております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、安定配当を継続的に行うとともに、当社が属する業界の中での競争に勝ち残るための企業体質の強化と今後の事業展開等に備えるための内部留保の充実等を勘案しながら、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本としております。
当社は年1回の期末配当により、剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、取締役会であります。
当期の配当につきましては、上記方針のもと1株当たり8円の配当を実施することとしました。
内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、借入金の圧縮や今まで以上にコスト競争力の強化、顧客のニーズに応える技術の向上、製品開発体制の強化を図るとともに環境投資の強化や業容拡大に繋げるよう有効投資してまいりたいと考えております。
なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会決議によって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たりの配当額(円) |
2023年11月14日 |
40,057 |
8 |
取締役会 |