2025年5月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 6,631 100.0 840 100.0 12.7

事業内容

3【事業の内容】

 当社は「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、「システムインキュベーション事業」を展開しております。
 

 当社のシステムインキュベーション事業とは、主にAI(注1)やビジュアライゼーション(注2)、その他ビッグデータ(注3)を取扱う市場における研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機等のハードウエアの提供といった当社オリジナルソリューションを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスとなります。

 具体的には、当社が認定とトレーニングを受けているグローバルプロセッサメーカー(注4)の最新のテクノロジーと、提携しているグローバルベンダー(注5)の製品を顧客の課題に合わせて適宜組み合わせ、ハードウエア等の企画・設計から構築・運用支援までのサービスをワンストップで提供いたします。企画・設計のフェーズでは顧客の課題をヒアリングし、最新のテクノロジーを組み合わせたオリジナルモデルの設計と提案を行い、そして構築のフェーズでは提案したハードウエアの提供に加えて、ハードウエアを効果的かつ効率的に動作させる環境の構築を行っています。更に運用支援フェーズでは、ハードウエアの保守・メンテナンスに加えて、継続的な開発環境のアップデートサービスを提供しシステムの性能向上を図ります。

また、顧客の課題を解決する際に生み出された解決方法(ハードウエアやソフトウエア、その組み合わせ)をセミオーダー化して他の同様の課題を持っている顧客へソリューションサービスとして提供しております。

 

当社のソリューション提供のフロー

 

(1)当社のサービスの特徴について

当社の事業は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントでありますが、「DXサービス」及び「Service & Support」の2つのサービスを提供しております。

「DXサービス」はソリューション提供のフローのヒアリングから環境設定までを対象としており、主なサービス内容としては顧客の課題解決に適したハードウエア及びソフトウエアの提供と、ハードウエアを効果的かつ効率的に動作させる環境の構築であります。ハードウエアの提供形態についてはオンプレミス(注6)のみならずクラウドやレンタルといった形態で提供するサブスクリプション(注7)サービスを提供しており、多様な顧客ニーズに柔軟に対応することが可能であります。

「Service & Support」は提供したソリューションの運用支援を対象としており、当社の「DXサービス」を提供した顧客に対して、常に最新で安定したシステムをご利用いただくためにハードウエアの保守と、継続的な開発環境のアップデートを組み合わせた運用支援を提供しております。当社の顧客は研究開発を行っている顧客が多く、その後の安定稼働は重要な顧客ニーズとなっており、そのニーズに沿ったソリューションとして、この「Service & Support」を提供しております。

 

サービス区分

主なサービス内容

① DXサービス

AI・ビジュアライズソリューションサービス

その他DXソリューションサービス

サブスクリプションサービス

② Service & Support

ハードウエアの保守

継続的な開発環境のアップデート

 

① DXサービス

 DXサービスとして「a.AI・ビジュアライズソリューションサービス」と、「b.その他DXソリューションサービス」を提供しております。加えて、ソリューションの提供方法もクラウドやレンタルでの導入を可能にする「c.サブスクリプションサービス」も提供しております。

 

a.AI・ビジュアライズソリューションサービス

 AIサービスを開発・運用するための製品やサービスの提供である「AIソリューションサービス」と、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行うための製品やサービスである「ビジュアライズソリューションサービス」の2つで構成されています。

 

AIソリューションサービス

 AIソリューションサービスは、AIサービスを開発・運用する顧客を対象としています。

 AIの開発ではDeeplearning(注8)という手法が一般的に用いられており、当社ではDeeplearningを用いたAIの開発や運用に適した仕様のハードウエアと、Deeplearningで使用するソフトウエア(フレームワーク)、そのフレームワークを使いやすく設定したオリジナルのツールを組み合わせたターンキーシステム(電源を入れたらすぐに使えるシステム)を開発・組立・販売しています。

 AIソリューションサービスの主なモデルは以下のとおりです。

分類

モデル名

概要

当社オリジナル製品

DeeplearningBOXシリーズ

主にAI(Deeplearning)の学習(注9)を行うためのワークステーション(注10)

当社オリジナル製品

InferenceBOX

主にAI(Deeplearning)の推論(注11)を行うためのエッジ端末(注12)

NVIDIA社製品

DGXシリーズ

主に大規模なAI(Deeplearning)の学習を行うためのアプライアンスサーバー(注13)

 

ビジュアライズソリューションサービス

 ビジュアライズソリューションサービスは、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行う顧客を対象としています。CAD(注14)やCAE(注15)、コンピューターグラフィックスの制作やデジタルサイネージ(注16)で利用するグラフィックワークステーションの組立・販売や、当該事業を行っている顧客に対して、仮想空間上で作業を行い、結果を共有できるNVIDIA社のサービスOmniverse(注17)の環境構築とライセンス提供を行っています。

 ビジュアライズソリューションサービスの主なモデルは以下のとおりです。

分類

モデル名

概要

当社オリジナル製品

GWSシリーズ

CAD、CAE、CGに利用可能なグラフィックワークステーション

BOXX Technology社製品

ワークステーション

CAD、CAE、CGに利用可能なグラフィックワークステーション

NVIDIA社製品

Omniverse

仮想空間で作業と結果を共有できるサービスライセンスの提供とその環境構築

 

b.その他DXソリューションサービス

 その他DXソリューションサービスは、データを大量に保管しておくための記憶装置(高速大容量ストレージ(注18))の組立・販売や、高速にデータを送受信するための広帯域ネットワーク(注19)機器の販売・設定、ハードウエアの利便性を高めるためのソフトウエアの販売・設定、及びそれらを組み合わせたシステムの設計や構築となります。

 

c.サブスクリプションサービス

 当社のソリューションサービスはユーザーが資産として購入し、自社内で利用するオンプレミスによる提供の他に、レンタルやクラウドなどの「サブスクリプションサービス」として提供しております。

 当社のクラウドサービスの特徴は仮想化(注20)しないベアメタルクラウド(注21)であるという点です。従来の仮想化を基盤としたハイパーバイザー(注22)型のクラウドサービスは、低コストやスケーラビリティ(注23)などのメリットがある反面、物理環境の性能劣化が避けられません。一方当社のベアメタルクラウドは、その利用用途がAI、ビジュアライゼーション、HPC(注24)などの分野であることを想定し、従来のクラウドサービスにおける予算内でのフレキシブルな利用などのメリットをある程度享受しつつ、1ユーザー占有のベアメタルを仮想化されていない状態で提供することで、物理環境の性能劣化がなく、オンプレミスと同等の性能を実現することを主眼としています。更に、ベアメタルクラウドでは1ユーザーが1台の機器を占有することができるためセキュリティ面でも大きなメリットがあります。

 また、顧客のご要望に応じてクラウドではなく、レンタル形式で物理サーバーを提供するサービスも行っています。半導体の技術革新は猛烈なスピードで進化しており、18カ月から24カ月で新しいアーキテクチャ(注25)に置き換わります。当社の顧客は先端の研究開発を行っているユーザーが多く、常に最新の開発環境を利用して研究開発のスピードをあげることが重要なニーズとなっており、これに対応するため定額及び定期で当社の扱う先進的な技術を用いたソリューションを利用できるサブスクリプションサービスを提供しております。

 

② Service & Support

 Service & Supportは、当社が提供する全てのソリューション(ハードウエア、ソフトウエア、構築ノウハウ)に対してハードウエアの保守だけではなく継続的な環境のアップデートを通して、常に最新で安定したシステムとして利用いただくためのオプショナル運用支援サービスです。

 具体的には、ハードウエアの保証の他、サポート問い合わせ、メンテナンスパーツストック、オンサイト保守(出張保守)、パフォーマンスベンチマーク(注26)、利用環境アップデート、プライベートレクチャーの提供を行っております。これにより顧客はシステム環境の保守・運用に顧客自身のリソースを割くこと無く、常に最新で安定した状態で稼働できるシステムを利用可能であり、本来の業務に専念していただくことが可能となります。

 当社の顧客は研究開発を行っている顧客が多く、システムの安定稼働とダウンタイム(注27)の短縮は重要な顧客ニーズとなっています。これらのニーズに沿ったソリューションとして、この「Service & Support」を提供しております。

 

(2)当社のビジネスモデルについて

 当社の「①DXサービス」のうち、「a.AI・ビジュアライズソリューションサービス」及び「b.その他DXソリューションサービス」はフロービジネスであり、「①DXサービス」のうち「c.サブスクリプションサービス」及び「②Service & Support」はストックビジネスであります。

 「a.AI・ビジュアライズソリューションサービス」及び「b.その他DXソリューションサービス」を提供している顧客に対して、「②Service & Support」を併せて提供することにより、フロー売上に加えてストック型の売上を計上しております。

 

(3)当社の事業の特徴について

① パートナーシップ

 当社は半導体のグローバルコンピューティングカンパニーであるNVIDIA社、Intel社、AMD社からパートナー認定を受けております。

 パートナー認定を受けることにより、以下のメリットがあります。

・各グローバルコンピューティングカンパニーが主催するトレーニングを受講することができるため、最新の技術情報をいち早く取得することが可能となり、それに基づいた企画・設計のご提案を行うことができるようになります。

・各グローバルコンピューティングカンパニーとの共同プロモーションやそれに伴う販促支援金、セールスリベートを受けることができます。

・認定パートナーのみに適用される特価で仕入を行うことができます。

・各グローバルコンピューティングカンパニーから顧客の紹介を受けることができます。

・各グローバルコンピューティングカンパニーのホームページ等に認定パートナーとして当社社名が掲載されることで、集客等の効果を得ることができます。

 なお、商材については各グローバルコンピューティングカンパニーの国内代理店から購入するスキームとなっております。

 

② ストックビジネス化による正のスパイラル創出

 導入支援のみならず、「Service & Support」を通じた運用支援を行うことにより、当社のサービスを顧客に享受頂き、それが満足度の向上となり、次のフロービジネス(DXサービス)の案件創出へとつながります。そして更に新たな「Service & Support」へつながるという、“正のスパイラル”が当社の価値となっております。

 2025年5月期における売上高に占めるService & Support売上高の比率は7.2%となっております。

 

 

用語解説

 本項「3 事業の内容」等において使用しております用語の定義について以下に記します。

用語

用語の定義

(注1)

AI

Artificial Intelligenceの略で、学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピューターシステムのこと

(注2)

ビジュアライゼーション/ビジュアライズ

XRやメタバースも含め視覚化・可視化のための技術の総称のこと

(注3)

ビッグデータ

従来のデータベース管理ツールやデータ処理アプリケーションでは記録や保管、解析が困難な大規模かつ複雑なデータの集合のこと

(注4)

グローバルプロセッサメーカー

NVIDIA社、Intel社、AMD社などの、グローバルに展開している大手の半導体のカンパニーのこと

(注5)

グローバルベンダー

世界各国のハードウエア・ソフトウエアベンダーのこと

(注6)

オンプレミス

コンピューターシステムを利用者側で保有・運用すること

(注7)

サブスクリプション

一定期間利用できるサービスに対して、定期的な対価を支払う仕組みのこと

(注8)

Deeplearning

深層学習とも呼ばれる、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化したAIの手法の一つ

(注9)

学習

沢山のデータを与え法則性を見出しAIモデルを構築する作業のこと

(注10)

ワークステーション

計算用や描画用など利用用途に特化した性能を持つ一般的なパソコンよりも高性能なコンピュータ

(注11)

推論

AI学習で構築したAIモデルを利用し予測や推理を行う作業のこと

 (注12)

エッジ端末

IoTで使用される末端の機器のこと

IoTとは、あらゆるものをインターネットに接続して互いに連動しあうシステムのこと

(注13)

アプライアンスサーバー

特定の用途・役割を担うことに特化したサーバーのこと

(注14)

CAD

Computer Aided Designの略で、コンピュータを用いて設計や製図を行うこと

(注15)

CAE

Computer Aided Engineeringの略で、コンピュータを用いて工業製品の設計やデザインを行うこと

(注16)

デジタルサイネージ

大型の液晶パネルなど電子表示装置を使った広告や広告装置のこと

(注17)

Omniverse

Omniverseはビジネスメタバースとも呼ばれており、設計や計算、そしてデザインなどのクリエイティブな仕事を仮想空間上に複数の人が集まり同時に作業行い、結果を共有できるサービスのこと。2022年から提供が開始され現在様々な利用用途について概念実証作業が始まっている段階

(注18)

高速大容量ストレージ

解析、高速計算、シミュレーションなど高いマシンスペックが要求される作業に利用されるストレージのこと

(注19)

広帯域ネットワーク

通信回線が高速なサービスのこと

(注20)

仮想化

ハードウエアの物理資源を擬似的に分割する技術のこと

(注21)

ベアメタルクラウド

仮想化せずに物理サーバーをクラウド上で使用する仕組みのこと

 (注22)

 ハイパーバイザー

1台の物理コンピュータを論理的に分割し複数のコンピュータとして稼働させるための基本ソフトウエアのこと

(注23)

スケーラビリティ

システムの規模の変化に柔軟に対応できる度合いのこと

(注24)

HPC

High Performance Computer 又は High Performance Computing の略で、一般にスーパーコンピュータ又はスパコンと呼ばれる超高速演算用コンピュータによる計算処理環境(計算処理技術)のこと

(注25)

アーキテクチャ

コンピューターシステムの設計方法、設計思想、構築されたシステムの構造などのこと

(注26)

パフォーマンスベンチマーク

コンピュータやシステムの性能がどのくらいかを測る作業のこと

(注27)

ダウンタイム

機器やサービスが止まっている時間のこと

 

本項「3 事業の内容」等において記載しているグローバルプロセッサメーカー別のパートナーシップ制度の内容としては、以下のとおりであります。

 

NVIDIA社

 事業内容であるパートナータイプと製品を取扱える能力であるコンピテンシーの組み合わせとなり、その組み合わせに対して「Elite」「Preferred」「Registered」の3つのパートナーレベルが設定されています。

パートナーレベルの認定条件は販売実績やトレーニングの受講単位に応じて認定され、当社は一つの組み合わせで「Elite」、一つの組み合わせで「Preferred」と、計2つの認定を受けております。LLPとしては、2つの組み合わせで「Elite」、3つの組み合わせで「Preferred」と、計5つの認定を受けております。当社及びLLPとして計7つの認定を受けております。

 

Intel社

 Intel Partner Alliance Programに参加登録した企業を対象に、販売実績やトレーニングの受講単位に応じて「チタン」「ゴールド」「メンバー」の3つのパートナーレベルが設定されています。当社は「ゴールド」の認定を受けております。

 

AMD社

 AMDパートナープログラム参加の企業を対象に、販売実績や活動状況に応じて「ExecutiveElite」「Elite」「Select」の3つのパートナーレベルが設定されています。当社は「Elite」の認定を受けております。

 

[事業系統図]

 以上述べた内容を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

 

※1 日本GPUコンピューティング有限責任事業組合を指します。当組合はNVIDIA社の認定パートナーであり、NVIDIA社からリベートを受け取り、各組合員に配賦しております。

※2 当社は、主にグローバルプロセッサメーカーからパートナー認定を受けた国内代理店から、商材の一部の仕入を行っております。

※3 組立作業の一部について外注を使用しております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産合計は4,391,214千円となり、前事業年度末に比べて171,777千円増加いたしました。これは主として売掛金が回収により275,134千円減少したものの、現金及び預金が327,984千円、商品が116,632千円増加したことによるものです。

 また、固定資産合計は217,374千円となり、前事業年度末に比べて102,081千円増加いたしました。これは主として償却による減少はあったものの、検証用サーバー機などの取得により工具、器具及び備品が59,453千円、基幹システム構築に伴いソフトウエア仮勘定が25,080千円、繰延税金資産が15,008千円増加したことによるものです。

 その結果、資産合計は4,608,588千円となり、前事業年度末に比べて273,858千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債合計は1,027,257千円となり、前事業年度末に比べて243,874千円減少いたしました。これは主として課税所得の増加により未払法人税等が85,944千円、未払消費税等の発生により流動負債「その他」が47,861千円増加したものの、決済により買掛金が96,023千円、収益化により前受金が292,992千円減少したことによるものです。

 また、固定負債合計は729,414千円となり、前事業年度末に比べて56,408千円増加いたしました。これは長期前受金が56,408千円増加したことによるものです。

 その結果、負債合計は1,756,672千円となり、前事業年度末に比べて187,465千円減少いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は2,851,916千円となり、前事業年度末に比べて461,324千円増加いたしました。これは主として剰余金の配当により89,670千円減少したものの、当期純利益536,804千円を計上したことによるものです。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などがあったものの、物価上昇に対し実質賃金の上昇が伴っていないこともあり、全体として緩やかな回復の動きが続きました。一方で、原材料価格の高止まりや地政学リスク、為替の急激な変動、直近の米国による関税政策動向等により先行きについては不透明な状態が続いております。

 このような経済環境の中、国内企業のIT関連への設備投資の需要は高く、生産性向上、競争力強化や省人化のためのデジタル化に向けたIT投資需要は底堅く推移しました。特に生成AIの実用化が加速し、高性能なGPUサーバー及びそれを活用したAIインフラ構築需要が拡大いたしました。

 このような状況下で、当社はミッションである「Advance with you 世界を前進させよう」のもと、収益拡大に取り組んでまいりました。

 この結果、当事業年度においては、生成AI関連の設備投資需要増を背景として、売上高6,630,931千円(前期比50.0%増)、営業利益839,910千円(同26.7%増)、経常利益796,087千円(同22.0%増)、当期純利益536,804千円(同24.2%増)となりました。

 なお、当社はシステムインキュベーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,334,112千円となり、前事業年度末と比べ327,984千円の増加となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は596,336千円となりました。(前事業年度は757,572千円の獲得)。これは主として、棚卸資産の増加123,404千円、仕入債務の減少98,407千円、その他の負債の減少188,353千円、法人税等の支払185,494千円といった支出要因があった一方で、税引前当期純利益796,087千円、減価償却費55,047千円、為替差損62,808千円の計上、売上債権の減少275,134千円といった収入要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は126,872千円となりました(前事業年度は94,493千円の使用)。これは主として、有形固定資産100,922千円、無形固定資産23,795千円を取得したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は78,671千円となりました(前事業年度は435,580千円の獲得)。これは主として、新株予約権行使に伴う株式の発行による収入11,509千円があったものの、配当金の支払89,464千円があったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績は次のとおりであります。なお、当社はシステムインキュベーション事業の単一セグメントとしておりますが、受注実績をサービス区分ごとに示すと次のとおりであります。なお「DXサービス」のうちサブスクリプションサービス及び「Service & Support」は受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

DXサービス

5,271,520

95.7

1,297,716

61.6

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社はシステムインキュベーション事業の単一セグメントとしておりますが、販売実績をサービス区分ごとに示すと次のとおりであります。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

DXサービス

6,154,049

151.5

Service & Suppport

476,882

132.7

合計

6,630,931

150.0

(注)1.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、DXサービスにおいて、サーバー等の受注が増加したことによるものであります。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年6月1日

  至 2024年5月31日)

当事業年度

(自 2024年6月1日

  至 2025年5月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

CBC株式会社

142,779

3.2

1,462,983

22.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及びキャッシュ・フローの分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.経営成績の状況の分析

(売上高)

 売上高は生成AI関連の設備投資需要増を背景として6,630,931千円となり、前事業年度と比べて2,209,290千円増加(前期比50.0%増)いたしました。

 サービス別としては、「DXサービス」が6,154,049千円(同51.5%増)、「Service & Suppport」が476,882千円(同32.7%増)となりました。

 「DXサービス」は大型案件の影響により増収、「Service & Suppport」は件数を着実に伸長していることから増収といった結果となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は売上の増加及び主として大型案件、為替の影響による原価率悪化に伴い5,293,358千円となり、前事業年度と比べて1,901,838千円増加(前期比56.1%増)いたしました。また原価率は主として大型案件及び為替の影響により79.8%となり、前事業年度と比べて3.1ポイント上昇しております。

 この結果、売上総利益は1,337,572千円となり、前事業年度と比べて307,451千円増加(前期比29.8%増)いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は497,662千円となり、前事業年度と比べて130,394千円増加(前期比35.5%増)いたしました。これは主として設備投資に伴う減価償却費の増加、人員数の増加及び採用関連費用の発生によるものであります。この結果、営業利益は839,910千円となり、前事業年度と比べて177,057円増加(前期比26.7%増)いたしました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は大型案件決済のためのドル保有による受取利息の発生等により18,953千円、営業外費用は為替差損の発生により62,776千円となり、この結果、経常利益は796,087千円(前期比22.0%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

 特別利益及び特別損失の計上はありません。この結果、税引前当期純利益は796,087千円(前期比22.0%増)となりました。また、法人税等を259,283千円計上した結果、当期純利益は536,804千円(前期比24.2%増)となりました。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は安定的な成長を図るために付加価値の創出が経営上必要であると認識しており、営業利益率を重要な指標とし、目標として営業利益率10%を掲げております。2025年5月期においては営業利益率の実績が12.7%となり、目標を達成しております。

指標

2025年5月期(計画)

2025年5月期(実績)

営業利益率

12.1%

12.7%

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。事業上必要な流動性については、自己資金で確保できていると考えておりますが、一時的な資金需要に対応するため、取引先の金融機関3社と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は2,300,000千円であり、当事業年度末における本契約に基づく当座貸越枠の残高は2,300,000千円となっております。