2024年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1)外部要因の業績への影響(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は、主にAIやビジュアライゼーション、その他ビッグデータを取扱う市場における研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いた当社オリジナルソリューションを提供しており、顧客である企業や研究者の設備投資需要に大きく影響を受けます。また、過年度においては、2019年の消費税増税前の駆け込み需要や、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大初期における企業の設備投資需要の減退などが当社の業績に影響を及ぼしました。今後も当社ではコントロールができない外部要因が当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)市場の動向(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社が属するAI市場を含むITインフラ市場については今後も世界的に成長していく市場と認識しております。しかしながらITインフラについては顧客の研究開発投資需要等に影響を受けます。そのため、経済情勢の変化に伴い顧客の事業環境が悪化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社では日々の営業活動やパートナーミーティング、ITベンダーとのミーティングから得られた情報をもとに市場分析を行い、経営戦略に反映させております。

 

(3)技術革新への対応(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は主として最先端の研究を行っている顧客に対して導入支援、ハードウエアの提供、運用支援といったソリューションを提供しております。当該ソリューションについては全世界において技術革新が進んでおり、技術革新のスピードが極めて速いという特徴があります。当社では認定パートナーとしての立場を生かした技術革新情報へのキャッチアップやセミナーへの参加などにより、猛烈なスピードの技術革新に対応すべく努めており、その対応により当社の競争優位性がもたらされていると認識しております。

 しかしながら、当社が急速な技術革新に十分な対応をすることができない場合には、当社の競争力が損なわれることになり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)半導体の調達(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社ではソリューションを提供するために半導体の調達を行っています。顧客へ最適なソリューションを提供するためには十分な品質の半導体の必要数を安定的にタイムリーに入手することが必要なため、当社では複数の調達先の確保、在庫の確保などを行っています。

 しかしながら、急激な価格上昇や供給先の問題により必要数を確保できないことが発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)在庫について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社の主要取扱品に組み込まれている半導体は、需給がひっ迫する環境にあるため、顧客の希望する納期に間に合わない可能性があります。そのため顧客の希望する納期に応える観点から、一部の商品について在庫を保有する運用を行っております。現時点において、在庫保有商品の販売に支障は発生しておりません。

 しかしながら、顧客ニーズや、景気動向の変化、競合他社の動向等によって、在庫保有商品の販売が不調となった場合、在庫が滞留し、在庫評価損の計上により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)業績の季節変動性について(発生可能性:低、発生時期:毎年、影響度:小)

 当社の主要顧客は、大学官公庁又は高度なAI学習や推論を必要とするような大企業であり、年度末の1月から3月に受注が急増し、売上高及び売上総利益が集中する傾向にあるなど、季節変動が発生する場合があります。

 なお、2024年5月期の当社の売上高及び売上総利益の四半期会計期間毎の推移は、以下のとおりとなります。

単位:千円

2024年5月期

第1四半期

2024年5月期

第2四半期

2024年5月期

第3四半期

2024年5月期

第4四半期

売上高

718,839

1,167,309

1,372,827

1,162,664

売上総利益

195,240

229,733

288,347

316,799

 

 当該リスクへの対応策として、Service&Support及びサブスクリプションサービスといったリカーリングレベニューを増やすことにより、収益の平準化を図ってまいります。

 

(7)パートナーシップ戦略(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社は「第1 企業の概況 3事業の内容(3)当社の事業の特徴について ①パートナーシップ」に記載のとおり複数のグローバルコンピューティングカンパニーからパートナー認定を受けております。認定パートナーとして迅速な技術革新への対応、複数メーカーの商品を組み合わせたDeepLearning BOXシリーズ等のオリジナルソリューションの提供など、認定パートナーの強みを生かしたソリューションの提供を行うことにより、当社の競争優位性がもたらされていると認識しております。特にGPUをはじめとするNVIDIA社製品の取扱高が多く、またNVIDIA社のパートナー認定制度NPN (NVIDIA Partner Network)において、「第1 企業の概況 3事業の内容(3)当社の事業の特徴について ①パートナーシップ」に記載のとおり複数の分野において当社又はLLPが複数の分野でEliteレベルのパートナー認定を受けていることが、当社の競争優位性を高める要因となっていると認識しております。

 当社はグローバルコンピューティングカンパニー各社より販売実績が評価されており、直ちにパートナー認定が取り消されるリスクは低いと判断しております。また万が一、パートナー認定が取り消された場合でも、他のパートナー認定を受けている会社から商材の仕入を行うことで、現在と同様の事業を継続することは可能ではあります。しかしながら、何らかの事情でパートナー認定が取り消された場合、またはグローバルコンピューティングカンパニーのパートナー制度の方針や戦略が変更になった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(8)NVIDIA社製品への依存(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社のシステムインキュベーション事業は、NVIDIA社製品を中心とした製品販売及びサービス提供であります。2024年5月期における仕入高に対するNVIDIA社製品の占める割合は約7割となっており、NVIDIA社製品の仕入依存度が高くなっております。

こうした現状を踏まえ、Intel社やAMD社等の他のグローバルコンピューティングカンパニー製品の取扱いの拡大に努めておりますが、NVIDIA社製品の市場規模が減少するような場合や経営戦略に変更があるような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)特定仕入先への依存(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社はNVIDIA社のGPU等の商材について、複数の仕入先を確保しており、取引毎の発注先を選定する際には価格や納期などの合理的な判断基準で決定しておりますが、結果的に特定の仕入先からの仕入割合が5割を超えることがあります。

 特定の仕入先上位とは良好な関係を構築しており、今後も安定的な取引が継続できるものと考えております。また複数の仕入先を確保していることから特定の仕入先との取引が何らかの事情で継続できなくなったとしても、代替仕入先を複数確保しており、調達先を分散させることで特定仕入先への依存のリスクを低減しております。

 しかしながら、特定の仕入先との取引が何らかの事情により継続できなくなった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)為替変動(発生可能性:大、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社では、一部の国内仕入先と外貨建てで取引を行うとともに、顧客ニーズに対応すべく競争力のあるDXサービスを提供するため、ハードウエアのパーツの一部を海外調達しております。当社では販売価格への転嫁や複数の仕入ルート確保、実需ベースでの外貨調達を行うことにより、為替相場の変動に対応しております。

 しかしながら、急激な為替変動が起きた場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)過年度の業績(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

 「第1 企業の概況」に記載のとおり、当社は2016年1月にトーワ電機㈱の子会社として設立され、2020年4月1日にトーワ電機㈱の情報通信部門を吸収分割により取得し、現在に至っております。分割により事業構造に変化が生じているため、2020年5月期以前の過去の実績については、財政状態及び経営成績を現在と比較することが困難な状況となっております。また、分割してから4年程度しか経過していないことから、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報を得られず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断するための情報提供としては不十分な可能性があります。

 

(12)小規模組織であること(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についても規模に応じた体制となっております。また当社の事業活動は、現在の経営陣や各部門で重要な役割を担う従業員に依存するところがあります。当社では、今後の業務拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の補強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図っていく方針であります。

 しかしながら、これらの施策が適切に行われない場合、また現在の経営陣や各部門で重要な役割を担う従業員が退任又は退職した場合は、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)特定人物への依存(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社代表取締役社長である飯野匡道は、創業以来当社の最高経営責任者として当社の経営方針及び事業戦略を決定するとともに、新規ビジネスの開拓及びビジネスモデルの構築から事業化に至るまでの過程において重要な役割を果たしております。当社は、権限の委譲や人材の育成、取締役会において役員の情報共有を図ることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。

 しかしながら、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)優秀な人材の確保(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社の差別化の要因として、猛烈なスピードの技術革新への迅速な対応がありますが、それを可能にするには高い技術力や専門性を有する人材の確保と育成が必要であります。これに対応するため、様々な採用活動を通じて、優秀なスキルをもった人材の確保に加え、OJTを中心とした社内教育による能力向上を図っております。また当社はストック・オプション制度を導入するなどし、役職員の士気や意欲を高めることにより、人材の確保を図っております。

 しかしながら、人材確保が想定通りに進まず、優秀な人材が流出してしまった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(15)日本GPUコンピューティング有限責任事業組合について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

 日本GPUコンピューティング有限責任事業組合(以下、「LLP」という。)は、当社の他、複数の協業先との共同出資により設立された有限責任事業組合であります。LLPは「第1 企業の概況 3事業の内容(3)当社の事業の特徴について ①パートナーシップ」に記載のとおりNVIDIA社のパートナー認定制度において、複数の分野でEliteレベルに認定されており、当社はLLPへの出資組合員として、当該パートナー認定をもとに顧客にNVIDIA社のAIアプライアンスサーバーであるDGXシリーズを提供して、事業運営上重要な役割を果たしております。2024年5月期において、当該パートナー認定に関連した仕入が占める割合は約4割であります。

当社とLLPの取引は「第1 企業の概況 3事業の内容[事業系統図]」に記載のとおりであります。

 組合員各社とは円滑な関係を維持しておりますが、状況の変化により、当該組合が解散されるに至った場合またはLLPがパートナー認定を取り消された場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(16)第三者による類似した商号との誤認について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社の取引先である「GDEPソリューションズ㈱(以下、「同社」という。)」は、LLPの一員であり、GPUの販売会社として、当社と同時期にプロメテック・ソフトウェア㈱により設立されました。現在、同社は一部当社製品の販売先でもありますが、同社は当社のグループ企業ではありません。当社と同社の商号は類似していることから、当社とLLPのホームページ上において、当社と同社は別会社である旨を表示し、当社と同社との関係について周知していることから、取引先が誤認して各ホームページから流入する可能性は低いと考えており、当社が表見責任等の法的責任を負う可能性は低いと判断しております。

 しかしながら、同社による不祥事等が発生した場合、商号が類似していること等に起因し一般投資家等が同社を当社と誤認する可能性や当社への法的責任を問う声は否定できず、その場合、当社のレピュテーションの低下等により当社の株価等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、同社による不祥事等が発生した場合、当社としては迅速にプレスリリース及びホームページに掲載するなどの対応を取ることにより、風評被害等の可能性を最小限に抑える方針であります。

 

(17)情報セキュリティ(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社では顧客の情報や従業員の個人情報などを保持しております。当社では役職員に向けた情報セキュリティ研修を実施するとともにISO27001を取得し、社内からの情報漏洩防止や社外からの不正アクセス防止等の措置を講じております。

 しかしながら、各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入によりシステム障害が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(18)自然災害、感染症等(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社では、自然災害等からの早期復旧を目的として事業継続計画(BCP)を策定するとともに、拠点を仙台と東京の2箇所とすること、リモート環境での勤務体制の構築などの対応を行っております。

 しかしながら、大規模災害や感染症、伝染病の流行等による不測の事態が発生した場合には、当社の事業活動が停滞し、業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先からの商品供給不足や仕入価格の高騰、特定商品の欠品による機会損失が発生し、売上高及び利益が減少する等、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(19)法的規制(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社の業務については、「下請法」、「関税法」、「電気用品安全法」等の法的規制がありますが、当社の事業の継続を困難にさせるような法的規制は存在していないと認識しております。

 しかしながら、今後法制度の改正により当社の事業分野に関連する何らかの規制がなされた場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(20)訴訟 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社ではこれまでに訴訟は発生しておりません。

 しかしながら、将来において、当社の販売する商品の品質に関する何らかの瑕疵が顕在化し、顧客等にそれに付随した損害を与えるような場合や、当社の役職員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬクレームやトラブルが生じる可能性は否定できず、これらに起因する損害賠償を請求される又は訴訟を提起される可能性があります。これらの損害賠償額や訴訟内容、その進展及び結果により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)地政学リスク(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社が販売する半導体は、近年経済安全保障上重要な製品と認識されておりますが、米中貿易摩擦、ロシアによるウクライナ侵攻、中国と台湾との間で武力衝突等の地政学リスクの顕在化により、各国が輸出管理規制、関税や制裁措置等を発動・強化した場合、当社は一部のパーツについて台湾から仕入を行っていることから、サプライチェーンの寸断や遅延が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は複数の仕入先を確保しており、調達先を分散させることでリスクを低減しております。しかしながら、これらの地域における地政学リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、成長に応じた株主の皆様への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付けており、配当性向20%を目安とし、業績の見通し等を総合的に勘案し利益配分を決定しております。

 当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としております。当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めている他、中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

 内部留保資金につきましては、財務体質を強化するとともに、今後の事業拡大のための投資等に充当していく方針であります。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年7月12日

89,670

67

取締役会決議