リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識し、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場環境
① 需要の変化
当社グループにおける市場を大別すると、電力関連では、送配電網の強靭化とコスト効率化の両立や脱炭素社会への移行など様々な課題を解決するなかで、レベニューキャップ制度による資機材の仕様・調達・流通などの再編の動きは続くものと認識いたします。情報通信関連では、5Gに関連する製品・サービスの領域拡大に加え、IOT、AIなどの技術が、様々なシステムやサービスに取り込まれ、新たなビジネスチャンスが生まれています。防災関連ならびに交通信号関連では、大規模災害への備えやスマートシティー、自動運転などに対する取組みがより活性化しております。
こうした各需要に対し、積極的な事業活動を展開しておりますが、各市場の制度変更、景気変動、ニーズの変化に的確に対応できない場合、中長期的な業績に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、長年培った技術と信頼で幅広い需要における多くの優良な顧客と取引いただいており、特定の需要や顧客に依存しておりませんが、顧客に共通する事業環境の急激な変化が起きた場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
② 資産価値の変化
当社グループは、顧客との連携、情報収集の強化と情報共有化を図り、需要動向に応じた適切な在庫管理および設備投資を行っておりますが、市場環境、競争状況、ニーズの変化、新技術や新製品による既存製品の陳腐化等が生じた場合、棚卸資産の評価損や事業用固定資産の減損損失により、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(2)原材料等の価格・調達
当社グループは、鋼材、亜鉛などの各種市況をモニタリングするとともに、仕入・外注先とは良好な関係を保ち円滑なサプライチェーンを築いておりますが、鋼材を主とした原材料や副資材など生産に必要な資源や外注加工品、物流コストなどが、為替や関税など様々な要因により、想定外に高騰し製造コストの上昇を招き、コストダウンや適切な価格転嫁で補えない場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、複数社による生産補完体制をとり、製品供給網を構築しております。生産拠点のひとつである連結子会社海陽岩淵金属製品有限公司は中国にあることから、不測の政治的、経済的、地政学的事象などが発生した際、製品等の供給が滞らないよう対策を講じております。しかしながら、様々な要因により、生産に必要な国内外の資源や部品、製品、外注加工品の調達が阻害され、あるいはグループ会社、仕入先・協力会社とのサプライチェーンの変更等を余儀なくされた場合、製品の供給が滞るおそれがあり、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(3)製品の供給
当社グループは、ISOマネジメントシステムをツールとした品質管理体制を、協力会社を含めグループ全体に整備しておりますが、設計・製造上の過誤、施工不良などにより製品およびサービスに欠陥があることが判明し、法令の規定または当社グループの判断で、無償修理・交換・返金・回収などの措置を行うこととなった場合、多額の費用の発生とメーカーとしての信頼を失墜するおそれがあり、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、また、日常的ならびに定期的な設備保全を行う一方、効率化も含め老朽化更新を計画的に進めておりますが、突発的な設備故障や事故などで生産活動が一時的に停止し、製品の供給が滞る場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(4)金融市場
① 金融資産
当社グループが保有する金融資産(投資有価証券、確定給付企業年金資産)の価格が著しく下落し、多額の評価損あるいは補填が発生する場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
② 為替変動
当社グループの連結子会社である海陽岩淵金属製品有限公司は、主として、当社製品の生産を担っており、当社との取引はすべて円建てで行っております。そのため、同社は、円建ての預金や売掛金等を有しており、為替レートが想定以上大幅に円安(元高)となった場合、その為替差損が業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(5)災害・事故の発生
① 自然災害
当社グループは、地震、風水害、感染症の蔓延など、近年、激甚化・頻発化している災害に対しては、事業拠点、製造拠点ごとに災害対策を講じておりますが、想定を超える規模の災害が発生し、サプライチェーンの停滞・寸断、設備の損壊、社員の罹患、ライフラインの停止などにより生産販売活動に支障をきたす場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
② 事故
当社グループは、持続可能な社会の実現および企業価値の向上を目指し、ESG経営を推進するなかで、安全衛生および環境保全体制等を整備しておりますが、人為的ミスによる有害物質の漏洩などの突発的な事故により一時的に操業を停止せざるを得ない場合、製品の供給が滞るおそれがあり、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(6)情報セキュリティ
当社グループは、顧客などの個人情報や機密保持契約に基づく機密情報の管理について、ハード・ソフト両面からセキュリティ対策を実施しておりますが、新種のコンピュータウィルスや高度化するサイバー攻撃(ランサムウェア、標的型攻撃)などにより、保有する情報の漏洩やシステムの利用停止に陥る場合、社会的信用の低下や顧客等からの損害賠償請求などにより、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、クラウドサービスや外部委託先のシステム障害により、当社の業務に支障をきたし顧客要求に対応できない場合、社会的信用の低下や顧客等からの損害賠償請求などにより、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(7)人権・人材
当社グループは、事業活動を行う中で関係するすべての人々の人権を尊重することを重要な課題と認識し、グループ企業行動指針およびコンプライアンス体制を整備し実行しておりますが、職場で起こりうる各種ハラスメントや差別など人権に関わる重大な問題が発生した場合、顧客の信頼、社会的信用の低下を招き、訴訟を提起されるなど、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、働き方改革のもと、人材の多様性や安全で公正公平な働きやすい職場環境の確保といった魅力ある会社作りに取り組んでおりますが、人材の流動化や雇用情勢の変動等により必要な人材が確保できない場合、グループの成長戦略や経営計画の遂行に支障をきたし、中長期的には業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループは、優先的に対処すべき課題として人材育成の強化に取り組み、人的資本への様々な投資を行っておりますが、社員の力量やコミュニケーションの不足、あるいはモチベーション低下といった人的要因により他のリスクを誘発する場合、顧客の信頼、社会的信用の低下を招き、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(8)法令・規則違反
当社グループは、様々な法的要求事項に対し真摯に対応することを基本とし、コンプライアンス体制および内部統制制度を構築し、社員教育においても重要項目としてコンプライアンスの徹底をグループで取り組んでおりますが、事業活動を行う上で様々な法規制の適用を受けており、グループのみならず委託先・協力会社を含めて重大な法令違反が起きた場合、顧客の信頼、社会的信用の低下を招き、訴訟を起こされるなど、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、内部監査ほか種々の仕組みを用いて法規制の新設・改定に対するモニタリングを行い、対応しておりますが、制改定により事業活動が制限され、あるいは対応のため多大な支出が必要になる場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(9)グループ経営
当社グループは、製品供給体制を最適化すべく製造販売活動を行っておりますが、グループの全体最適を考え、事業の見直し再編等を行い、一時的に多額の損失が発生する場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(10)気候変動
当社グループは、ESG経営を念頭に、気候変動に対する世界的な危機意識の高まりや脱炭素へと加速する社会の動きを新たな成長機会と捉えると同時に、気候変動の物理的リスクと脱炭素社会への移行リスクを認識し、CO2排出量の削減などの環境負荷低減に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、近年被害が甚大化する暴風雨等により、生産や出荷の遅延が発生する場合や被災地域での顧客の事業活動が妨げられることなどによる受注の遅れが発生する場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、炭素税の賦課や規制の強化、社会的要求事項の増加により、コストの上昇や事業活動の制約、不十分な対応による社会的信用の低下が発生する場合、業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題と認識しております。企業価値向上と持続的な成長を実現するため、株主の皆様に対する安定的な配当を維持しつつ、これまで以上に業績を反映した利益還元と中長期的な視点での事業領域拡大に向けた投資を、バランスを取りながら実施してまいります。
上記の考えに基づき、配当につきましては、株主の皆様への安定的な利益還元に、今後の連結業績、資金需要等を加え総合的に判断した上、連結配当性向30%以上とし、内部留保につきましては、十分な財務体質のもと、事業領域拡大に向けた研究開発投資、設備投資、人的資本投資への充当等、積極的な事業展開に備えた経営基盤の強化を図る目的で、それぞれ実施していく方針です。
当社の剰余金の配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。なお、当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、期末配当金は1株当たり140円(普通配当110円、上場30周年記念配当30円)、中間配当金は1株当たり110円、年間配当金は1株当たり250円となりました。
当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。