リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、財政状態、経営成績およびキャッ
シュ・フロー等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあると認識しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変化
当社グループは、連結売上高の約59%を自動車分野が占めている他、事業撤退を決定しているデータセンター向けHDD用サスペンションを除いても、通信関連及びプリンター関連を含む電子情報分野でも大きな比率となっております。これら最終製品の国際的市場動向の変化や業界再編は当社製品の生産販売量の変動につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、自動車市場におけるEV化の進展や市場動向や情報通信市場の動向などについて慎重な分析を行うとともに、中長期的には精密塑性加工技術を応用した新規事業分野(自動車電動化対応、医療介護、環境エネルギー)拡大への取り組みを加速させてまいります。
(2) 競争の激化
当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には 競合会社による競争力のある新製品の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等がリスクとして考えられます。
対応策として、当社グループは主要製品において材料から製品までの一貫生産を行うことに加え、金型の内製化等による、独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を生かし、競合会社との差別化を図っております。
(3) 為替変動による影響
当社グループは、北米・中国・東南アジアにおいて生産及び販売活動を行っており、連結ベース海外売上高比率は約68%となっております。そのような状況から、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、当社グループの外貨建て取引及び連結財務諸表作成の際における海外子会社財務諸表の外貨から円貨への換算は為替レート変動影響等を受けるリスクが考えられます。
対応策として、リスク管理方針を定め、その範囲内で主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を行うことに加え、海外子会社の資金調達を現地化しております。
(4) 原材料市況の変動
世界的な原油・原材料価格変動の影響による当社の主要材料である特殊鋼市況の大きな変動は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループは材料の市況変動に柔軟に対応するべく、材料調達における複数購買化を推進すると共に、吸収できない市況変動に関しては適切に売価反映を行っていく活動を推進しております。
(5) 人材確保や育成に関するリスク
当社グループは、今後の事業拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。また、当社の経営理念は「技翔創変」であり、当社グループの持つ技術を伝えていく為の適切な人材確保と育成が重要な課題であると認識しております。しかし、少子高齢化や働き方の変化などにより、十分な人材確保や育成ができない可能性があります。
対応策として、当社グループの企業価値を高めていく活動を強化していくとともに、適切な人材確保・育成体制の強化を図ってまいります。
(6) 訴訟に関するリスク
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟等を提起されることがあり、その結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる可能性があります。その額によっては、当社グループの業績と財務状況に影響をおよぼす可能性があります。
対応策として契約審査等を通じて、訴訟その他法的手続きの発生を未然に防止するよう努めるとともに、万が一訴訟その他法的手続きが発生した場合には、外部専門家と連携しながら当社グループへの影響を最小限に抑えることに努めております。
(7) 知的財産権に関するリスク
当社グループは、技術やノウハウの保護に努めておりますが、第三者による当社技術の模倣や類似製品の製造を完全に防止できない可能性があります。また、当社の特許権が無効とされたり、第三者が当社特許を回避して競合製品を市場に投入するリスクや、当社が他社の知的財産権を侵害していると指摘される可能性もあります。
これらのリスクに対応するため、当社は知的財産権の管理とリスク軽減を専門的に担当する部門を設置し、適切な権利取得と管理、法的対応を推進しております。
(8) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社グループ(委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、具体的には当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループはすべての役員、従業員に対し、情報の取扱いに関する管理規程を定めることで、情報のセキュリティを確保することを重要な課題として認識しており、情報管理の徹底に取組んでいます。
(9) 災害等/感染症によるパンデミックのリスク
当社グループは、国内6拠点・海外12拠点で生産活動を行っており、地震等大規模な自然災害や感染症によるパンデミックが発生した場合は、最終製品の需要減、当社グループ・顧客・サプライヤーの生産活動の中断などにより事業に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、 自然災害(地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪、噴火等)
事故(火災、爆発、危険物の漏洩等)
事件・情勢変化(内乱、戦争、テロ、誘拐、脅迫等)
感染症の発生と流行、等が想定されます。
対応策として、当社グループは、非常時の初期対応他災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。
また災害の発生を防ぎ、万が一災害が発生した場合の被害を最小限に抑えるために、防災・危機管理マニュアルを定め、定期的に設備点検、防災訓練等を実施しており、事業に応じたBCP(事業継続計画)を作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。
(10) コンプライアンス等に関するリスク
当社グループの事業活動を行う上で、各国の法令・規制・基準や社会通念が関係しており、
これらの不遵守により社会的に信用が毀損され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、
・人事関連の各種コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)発生
・輸出入関連法違反の発生による輸出停止等の行政制裁による生産・販売への影響
・独占禁止法/競争法の違反発生による課徴金(行政処分)の負担等の影響
・各種環境関連法の違反発生による行政処分、生産影響
等が想定され、また国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定や改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅変更の可能性で、コンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。その場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、経営会議の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、「行動規範書」や「ホットライン通報制度」を策定し法令遵守の徹底を図っております。
配当政策
3【配当政策】
利益配分については、長期的な視野に立った経営体質の強化、事業成長を維持するための設備投資等に活用していくと共に、業績の拡大に応じた配当性向の実現を目指しております。当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行なうことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は2022~2024年度の「中期経営計画GLOBAL GROWTH PLAN2024」(GGP24)を公表しておりますが、当社の配当政策は、業績連動型配当の継続実施であり、ROE9.0%を達成するまでは、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向75%を目処とするとともに、安定的に株主各位に還元するため、1株当たりの年間配当金は20円を下回らないものとすることを基本方針としておりました。しかしながら、当社業績はGGP24から大きく乖離し、純有利子負債も増加していることから、当期配当につきましては、無配とさせていただきます。
また、直近の当社経営環境はHDD用サスペンション事業の事業撤退、負債増加などの状況を勘案し、まずは経営の安定化とキャッシュフローの確保に努め、復配については2025年度期末から行うこととし、年間配当5円(中間配当0円、期末配当5円)を予定しております。