リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)コンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたり各国の法的規制の適用を受けております。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による罰則・訴訟・社会的制裁を受ける可能性があります。訴訟及び規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは法令に適合することを確保するための体制として、内部統制委員会を設置しており、定期的に取締役会への報告を行っております。また、コンプライアンスの取り組みを横断的に統括する事務局を設置しており、内部統制アンケートの実施などによるコンプライアンスの状況把握、内部通報制度の強化に取り組んでおります。内部通報窓口の更なる拡充、継続的な教育、研修による啓蒙活動でコンプライアンス遵守を強化していきます。
(2)自動車業界への販売依存度
当社グル-プの製品は主としてエンジン部品、ショックアブソーバー部品等の自動車用部品のため、自動車産業の構造変革及び市場縮小等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの連結売上高に占めるトヨタ自動車及び同社現地子会社の割合は23.5%であります。
当社グループとしては、自動車産業の変革に対応するために、当社の強みである粉末冶金の特性や関連技術を活かし、電動化関連製品の開発を強化する一方、非自動車分野の鉄道車両用部品及び油圧機器製品の開発と拡販の強化、新規分野の開拓を加速すべく、営業・技術が一体となった組織「新規拡販室」を設置し取り組みを進めております。
(3) 海外進出に内在するリスク
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各地域における政治、経済状況の変化等による予期せぬ事象が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、現地の動向は海外拠点スタッフの情報網を積極的に活用する事で適時適切に入手し対応するように努めております。
(4) 業界内外の競争に伴うリスク
当社グループが身を置く業界の競争は非常に厳しく、競合他社は国内外の多岐にわたります。顧客のニーズを満たした製品の開発・製造・販売に努めておりますが、競合他社との競争に打ち勝てない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、デジタル設計から実証加工、電動化製品の開発から量産までそれぞれを担う専任組織と、開発・生産技術・金型部門を統合した「テクニカルセンター」を設けており、開発力の強化と開発から量産化までの加速を進めております。
(5) 原材料の仕入に係る仕入価格の変動及び人権に関わるリスク
当社グループでは、粉末冶金製品の原材料として鉄粉等の金属粉を使用していますが、これらの原料価格が高騰し、製品価格に反映することが困難な場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、供給元の不慮の事故や資源国の政治・経済状況、労務管理面での人権侵害などにより、原材料・部品の不足や当社グループの企業イメージ毀損などが生じる可能性があります。その場合は生産の遅れによる原価上昇、株価低迷や投資家の投資撤退などの可能性があります。
当社グループとしては、製品歩留りの向上による原材料使用量の低減や市況の変動が大きく資源国での人権侵害リスクの高いコバルトの添加不要材料の開発・提案、人権や環境等の社会問題の影響を考慮した鉱物調達活動などを推進し、リスク低減を図っております。
(6) 為替変動によるリスク
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されています。従いまして、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
なお、為替変動による通期連結営業利益への影響は、1円/$あたり約10百万円です。
当社グループとしては、ものづくり改革や自動化等の合理化推進等により、円高進行時でも利益確保できる体質構築に努めております。
(7) 感染症拡大に関するリスク
感染症の拡大に伴う製品需要の低迷、生産の停滞などが継続する場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、感染拡大防止のため、衛生管理の徹底や必要に応じテレワーク等の事業運営を実施するとともに、有事の際、稼働日数調整や開発費以外の固定費削減及び機動的な短期資金調達などの対応で、リスクの最小化に努めてまいります。
(8) 気候変動
気候変動がもたらすリスクは、製品の開発設計から調達・生産・物流・販売まで、企業活動全般にわたって存在しており、異常気象による災害リスクがもたらす生産影響、規制強化によるコスト増等は企業活動を停滞させる恐れがあります。
当社グループとしては、気候変動対応への取り組みとして、2050年度カーボンニュートラルに向けた長期ビジョンを策定し、2025年度までにCO₂を40%、2030年度までに50%削減する目標の達成に向けて、省エネ技術の開発など当社グループ一丸となって推進しております。また、電動車両搭載製品や鉄道車両用製品への売上構成比を高めてまいります。
(9) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率などの数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待収益率に基づいて算出されております。従いまして、割引率の低下や年金資産の減少など実際の結果が前提条件と異なる場合は、将来の期間に認識される費用及び計上される債務に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、年金資産の運用にあたり、分散投資や運用状況の定期的モニター等により、リスクの低減に努めております。
(10) 情報セキュリティ
当社グループは、技術情報などの情報資産のデータ処理を行っていますが、不測の事態によって外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害、サーバ及びネットワーク機器の障害やシステム障害の発生による業務停止や情報の外部漏洩等の事態が発生する可能性があり、それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティリスクの評価・分析と状況の把握を行い、段階的なセキュリティ強化に取り組んでいます。引き続き、人的・組織的対策、技術的対策を講じ、更なるセキュリティのレベルアップ、強化に取り組んでまいります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への長期的利益還元を重要な経営課題の一つと考え、安定配当を行うことを基本としつつ、企業体質の強化及び今後の事業展開を勘案した上で業績に対応した配当を行うこととしております。
内部留保した資金は、将来にわたり株主の利益を確保するために、事業成長のための投資及び財務体質の強化に活用してまいります。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の配当を行うことを基本方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の配当金につきましては、連結業績を鑑み、中間は無配当、期末は20円とさせていただきました。
なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。