事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
広告・マーケティング事業 | 29,070 | 95.2 | 1,497 | 52.3 | 5.2 |
投資事業 | 1,475 | 4.8 | 1,367 | 47.7 | 92.7 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、当社、連結子会社37社、非連結子会社2社、関連会社10社、その他の関係会社1社により構成されております。当社グループは、「人に人らしい仕事を。」というミッションのもと、国内外の広告業界において、広告主の広告価値最大化、媒体社の収益最大化を目指し、広告・マーケティング事業、インフルエンサーマーケティング事業、投資事業及びその他事業のそれぞれの事業領域の拡大をしてまいりました。
なお、2023年9月15日付けでUUUM株式会社の株式を一部取得したことにより、同社を連結子会社とし、報告セグメント「インフルエンサーマーケティング事業」を新設しております。
(広告・マーケティング事業)
当社グループの広告・マーケティング事業は主に広告主向けと媒体社向けの事業を日本、北米、さらにアジアで展開しております。
(1)日本事業
当社グループが日本において展開している主要な事業・プロダクトとして以下の①Red、②Scarlet、③Tokyo Prime、④GPがあげられます。
① Red-DSP(注1)
日本における広告主向け事業においては、広告主がもつ自社(広告主)サイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ、購買データなどのビッグデータを当社開発の解析ソフトウェアにより分析するプライベートDMP(注2)「MOTHER」を用いて、インターネット広告におけるリアルタイム広告枠取引を行うDSP「Red」及び「FreakOut」における広告配信効果の最大化を実現しております。
② Scarlet-プレミアム媒体支援事業
また、DSPプロダクトを中心とする従来のサービスで培ってきたノウハウ・経験を活かし、動画・Connected TV等のプレミアム媒体社に向けて、彼ら媒体社独自の広告配信プラットフォームの開発・運用支援を目的としたプロダクト「Scarlet」(従来の「Red for Publishers」をリブランディング)を提供しております。これにより、媒体社は広告配信による収益最大化を本プロダクトに委ね、本来リソースを注ぐべきコンテンツの充実や集客に専念することが可能になります。その上、「Scarlet」を使用したプレミアム媒体社の広告枠を広告主が当社DSP「Red」を通じて買い付けることによって、従来からの目的であった広告価値の最大化のさらなる追求が可能となります。このように、プレミアム媒体社をクライアント獲得することを通じて、より豊富なメニューを広告主に提供できる好循環を生み、広告主と媒体社それぞれに価値提供しております。
③ Tokyo Prime-タクシーサイネージメディア
タクシー車内のデジタルサイネージ媒体「Tokyo Prime」の運営及び広告販売事業を行う株式会社IRISは当社の持分法適用関連会社であり、プレミアム媒体社向けの広告配信による収益最大化といった当社のプロダクト・サービスの応用例でもあります。タクシー車内をラグジュアリーな広告体験を感じられる空間にというコンセプトのもとで、当社は2016年に日本交通グループのJapanTaxi社(現・GO株式会社)と提携し、プレミアム媒体としてタクシーサイネージメディアを開発しました。当合弁会社が継続成長しております。
④ GP-YouTube広告配信
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さらに、5Gネットワークの普及及びConnected TVをはじめとするオンライン視聴デバイスの増加により爆発的な成長が見込まれる動画領域での新たな取り組みとして、広告主向けに次世代型YouTube広告枠買付システム「GP」をリリースしました。「GP」は、高度なブランドセーフティ機能を搭載した動画コンテクスチュアルターゲティングを可能とするプロダクトであり、独自の動画解析技術を用いてYouTubeでの動画広告配信を最適化し、広告主のブランドイメージを守り、広告コンテンツとの関連性の高い動画への配信を行うことで広告効果を最大化します。 |
(2) 北米事業
当社の北米事業は、広告収益最大化支援を行うPlaywireを中心に展開しています。Playwireは、デスクトップやアプリ、OTTなど様々な媒体社向けに、AIや機械学習を活用した独自技術による広告収益の最適化を行っています。加えて、広告主や代理店へプレミアムな枠を代理販売するダイレクトセールス機能をサービスとして提供しており、単価の高い広告案件を広告主・広告代理店から直接獲得することで、プログラマティック広告だけでは実現できない収益の最大化を可能にしています。キッズ・エンタメ・ゲーム領域を中心に、広範なメディアカテゴリーに進出しており、広告販売(ダイレクトセールスを含む)、独自技術による最適化、プレミアムで視認性の高い広告枠の開発等、媒体社の広告収益に関するソリューションをプラットフォームとして一元的に提供することで、プレミアムな媒体社の開拓を進めています。
今後は「GP」をはじめ、日本で開発するプロダクトをグローバル展開する計画も進めております。アドテクの最先端である北米において、当社のユニークなプロダクトを展開しプレゼンスを高めることによって、新たな事業開発の機会とヒントをも獲得していきます。
(3) アジア事業
アジアにおいても、日本発プロダクトのグローバル展開のために拠点開設し、現地でのネットワーク構築、各拠点の収益化を進めてきました。Native から始まり、Video や Rich Media と GP など様々なフォーマットをアジアで展開してきました。今後も引き続きプロダクト投下・事業開拓をしていきます。
このように当社グループは、時代の変化に沿って常に最先端の広告・マーケティング技術とプロダクトを開発・運用し、広告主の広告効果の最大化及び媒体社に対する収益化の向上を実現しており、広告・マーケティング事業が当社の成長を牽引しております。
(インフルエンサーマーケティング事業)
① クリエイター(注5)に対するサポート
(ⅰ)アドセンス
アドセンスとは、YouTube上に流れる広告による収益の一部をYouTubeから受領するアドセンス収益を指します。一般的に、YouTube上の動画視聴に付随して発生する広告収益のうち一部がアドセンス収益としてクリエイターに還元されておりますが、UUUMの専属クリエイターがYouTubeに投稿した動画の場合、UUUMがクリエイターのアドセンス収益を一括して受け取り、受領額を収益として計上し、その一部をクリエイターに支払います。UUUMはアドセンス収益の拡大に向けて、新たなクリエイターのスカウト活動や、クリエイターへの各種サポートの充実、クリエイターの新たな活動機会の創出などに努めております。一方で、ネットワーククリエイターや業務提携締結先につきましては、UUUMがYouTubeに関する様々なサポートを提供し、アドセンス収益を代理受領する立場にあるため、サービス手数料部分を売上として計上しております。
(ⅱ)グッズP2C
社内外のクリエイターのファンに向けた様々なオリジナルグッズの販売やクリエイターと共にブランドや商品を企画し、店舗流通を巻き込みながら商品展開するP2C(Person to Consumer)ビジネスを行っております。受注生産型、オンデマンド型、在庫販売型、イベント販売、ライセンス、卸販売など、クリエイターに応じて最適な方法でビジネスを展開しております。主に商品販売や卸販売による売上を収益として計上しております。
(ⅲ)その他
ゲームアプリの広告収益及び課金収益、イベントのチケット販売収益や協賛金売上、YouTube以外のプラットフォームからの収益、音楽販売収益、書籍等の印税収益などを計上しております。
② クリエイターを活用したプロモーションや番組制作・チャンネル運営等
(ⅰ)タイアップ動画
タイアップ動画とは顧客企業の商品やサービスを紹介した動画をクリエイターが制作し、自身のチャンネルで公開するというもので、顧客企業より対価としてプロモーション料を受領し、受領額を当社売上として計上し、その一部を動画制作費としてクリエイターに支払います。UUUMの営業部門が広告主や広告代理店に対して社内外のクリエイターを活用したプロモーションの提案を行い、案件受注後は公開日に向けてクリエイターのタイアップ動画制作をサポートしていきます。また、UUUMはプロモーション効果を最大化させるため、YouTube以外のプラットフォームやテレビなど多様なメディアを活用したソリューションの提案や、UUUM独自の動画広告素材を活用した広告運用などデジタル領域における幅広い広告メニューを展開しております。
(ⅱ)動画制作
タイアップ等の案件を獲得後、自社内で動画をはじめとしたクリエイティブを制作しております。
(投資事業)
当社グループは、グローバル展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための投資事業を行っております。
(その他事業)
国内外のグループにおける経営管理機能等の提供を行っております。新規事業では、インターネット広告市場以外の分野において、当社グループの技術資産であるデータ解析基盤、機械学習エンジンを活用することで、あらゆる領域において当社のミッションである「人に人らしい仕事を。」の実現を目指し、各事業を行っております。
(注)1.DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)
広告主側から見た広告効率の最大化を支援するシステム。RTB(注3)の技術を活用し、広告主や広告代理店がSSP(注4)等を対象に、ユーザーの1視聴毎に、広告枠に対してリアルタイムに最適な自動入札取引・広告配信を行うシステムを提供するプラットフォームル
2.DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)
広告主がもつ自社サイトへのアクセスデータ、広告配信データ、会員データなどのデータを管理及び解析し、メール配信や分析調査などの様々なデータ活用チャネルと連携し利用可能にする、データ統合管理ツール
3.RTB(リアルタイムビッディング)
ウェブサイトに来訪したユーザーの1視聴毎にリアルタイムにインターネット広告の入札が行われる仕組み
4.SSP(サプライサイド・プラットフォーム)
媒体社側から見た広告効果の最大化を支援するシステム。媒体社が広告枠を管理及び販売する際に使用するプラットフォームであり、DSPのリアルタイムな入札に対応する技術をもつ
5.クリエイター
YouTuberをはじめコンテンツを発信している個人を総称してクリエイターと呼んでおります。
[事業系統図]
以上の事項を事業系統図に示すと次のとおりであります。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、第2四半期連結会計期間より、一時的な影響を除外した恒常的な収益力を測定する観点から、業績指標として採用しているEBITDAの計算式に、株式取得・売却関連費用を加えて計算しております。
株式取得・売却関連費用は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載の通り、株式売却に伴う事業税(付加価値割)及び子会社株式取得 付随費用であります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、ミッションである「人に人らしい仕事を。」の実現を目指し、日本、北米、東アジア、及び東南アジアを中心に、グローバルに事業を展開しております。
当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残る中で、ロシア・ウクライナ情勢、米国の景気後退、急速な円安の進行など、非常に先行き不透明な状況が継続しております。
このような状況のもと、当連結会計年度における当社の経営成績は以下のような内容となりました。
まず、広告・マーケティング事業(日本)においては、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献し、株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及びプレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」が順調に推移いたしました。
次に、広告・マーケティング事業(海外)においては、米国の景気後退懸念による広告市場の縮小の影響を受けて、米国法人Playwire,LLCが前年同期比でEBITDA、営業利益が減益となったほか、東アジア・東南アジアもゲーム市場の変化による影響を受けて前年同期比で減益となりました。
また、投資事業においては投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施し、利益貢献いたしました。
最後に、持分法適用会社では、タクシー内のデジタルサイネージを提供するIRIS社が、順調に利益貢献いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高30,604百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益1,610百万円(前年同期比21.1%増)、経常利益2,338百万円(前年同期比13.7%減)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益+株式報酬費用+株式取得・売却関連費用)3,452百万円(前年同期比43.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,870百万円(前年同期比476.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(広告・マーケティング事業)
広告・マーケティング事業では、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」(DSP)、プレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」、ネイティブアドプラットフォームなどの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組みました。
当連結会計年度においては、プレミアム媒体支援事業が順調に成長し、株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及び「Scarlet」についても順調に推移しております。
また、海外子会社の事業は、米国の景気後退懸念による広告市場の縮小と東アジアにおけるゲーム市場の変化による影響を受けて、米国法人Playwire,LLC、アジア(東アジア・東南アジア)が前年同期比で減益となりました。
この結果、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は29,041百万円(前年同期比0.6%増)、セグメント利益は1,497百万円(前年同期比33.8%減)、EBITDAは2,766百万円(前年同期比16.4%減)となりました。
(投資事業)
投資事業では、Global展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための事業を行っております。
当連結会計年度においては、投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施いたしました。
この結果、投資事業の外部顧客への売上高は1,474百万円(前年同期は1百万円)、セグメント利益は1,367百万円(前年同期はセグメント損失325百万円)、EBITDAは1,329百万円(前年同期は△350百万円)となりました。
(その他事業)
その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供をしております。
当連結会計年度においては、M&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、子会社・関連会社からの配当金受領等を実施いたしました。
この結果、その他事業の外部顧客への売上高は88百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は818百万円(前年同期比161.4%増)、EBITDAは1,429百万円(前年同期比541.4%増)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は43,362百万円となり、前連結会計年度末と比べ18,627百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が12,107百万円、売掛金が2,055百万円、のれんが4,724百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は24,029百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,338百万円増加しました。これは主に、買掛金が1,597百万円、短期借入金が3,419百万円、未払法人税等が3,112百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は19,332百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,289百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が7,870百万円、非支配株主持分が1,179百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より12,107百万円増加し、19,394百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、2,461百万円の資金流入(前年同期は877百万円の資金流入)となりました。これは主に投資有価証券売却益の計上11,686百万円による流出があったものの、税金等調整前当期純利益の計上11,259百万円や減損損失の計上2,100百万円による流入があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、10,248百万円の資金流入(前年同期は572百万円の資金流出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,983百万円による流出があったものの、投資有価証券の売却による収入15,377百万円による流入があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、848百万円の資金流出(前年同期は325百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,943百万円による資金流入があったものの、社債の償還による支出360百万円や長期借入金の返済による支出2,049百万円による資金流出があったためであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
広告・マーケティング事業 |
29,041 |
100.6 |
投資事業 |
1,474 |
- |
その他事業 |
88 |
100.4 |
合計 |
30,604 |
105.7 |
(注)1.セグメント間の取引は相殺消去しております。
2.投資事業の前連結会計年度の販売高は1百万円であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りは合理的な基準に基づいて行っておりますが、実際の結果は不確実性を伴うため、見積りと異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
イ のれんの評価
のれんは買収時点における将来の事業の成長見込みに基づいた超過収益力や顧客基盤の価値等を反映しております。このため、これらののれんを含む資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっていない場合であっても、買収時点で見込んでいた将来の事業の成長が達成されない場合や事業計画の前提となった経営環境に著しい悪化が認められた場合、あるいはそのような見込みがある場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度末時点で残高のあるのれんについては、将来の事業計画に基づき、減損の兆候はないと判断しておりますが、将来の事業計画は経済環境、市場における競合状況といった主要な仮定が用いられております。このため、これらの仮定に変化が生じた場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表におけるのれんの金額に重要な影響を与える可能性があります。
ロ 営業投資有価証券(流動資産「その他」)、投資有価証券の評価
当社グループは、非上場企業に対して投資先企業の将来成長による超過収益力を見込んで、1株当たりの純資産額を基礎とした金額に比べ相当程度高い価額で投資を行っております。このうち、非上場株式の評価にあたっては、当該株式の投資時の超過収益力を反映した実質価額が著しく下落した時に、投資時における投資先企業の事業計画の達成状況等を総合的に勘案して検討しております。
投資先の事業進捗の見通し等と実績に乖離が生じ超過収益力の毀損が認められた場合には、減損処理の実施により翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2.事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高は、30,604百万円(前年同期比5.7%増)、売上原価は、21,300百万円(前年同期比0.8%増)となりました。前連結会計年度からの変動の主な要因は、広告・マーケティング事業(国内)が堅調に推移しつつも、広告・マーケティング事業(海外)においては業績不振があった一方で、投資事業において投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施し利益貢献したためであります。販売費及び一般管理費は、7,692百万円(前年同期比18.1%増)となりました。増加の主な要因は、株式取得・売却関連費用が増加しているなどによるものであります。この結果、営業利益は1,610百万円(前年同期比21.1%増)となりました。
営業外収益は872百万円(前年同期比46.1%減)、営業外費用は144百万円(前年同期比39.7%減)となりました。営業外収益の主な内容は、持分法による投資利益を計上したことによるものであります。また、営業外費用の主な内容は、資金調達費用及び支払利息によるものであります。この結果、経常利益は2,338百万円(前年同期比13.7%減)となりました。
EBITDAは3,452百万円(前年同期比43.4%増)となりました。主な要因は、投資事業において投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施したことによる営業利益の増加によるものであります。
特別利益は11,686百万円(前年同期は57百万円)、特別損失は2,765百万円(前年同期比659.6%増)となりました。特別利益の主な内容は、投資有価証券売却益の計上によるものであります。特別損失の主な内容は、減損損失及び投資有価証券評価損の計上によるものであります。
税金等調整前当期純利益は11,259百万円(前年同期比368.5%増)となりました。法人税等は、3,553百万円(前年同期比512.9%増)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益△164百万円(前年同期は458百万円)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,870百万円(前年同期比476.7%増)となりました。
なお、セグメント別には、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は29,041百万円(前年同期比0.6%増)、EBITDAは2,766百万円(前年同期比16.4%減)、投資事業の外部顧客への売上高は1,474百万円(前年同期は1百万円)、EBITDAは1,329百万円(前年同期は△350百万円)、その他事業の外部顧客への売上高は88百万円(前年同期比0.4%増)、EBITDAは1,429百万円(前年同期比541.4%増)となりました。
この要因については以下のとおりです。まず広告・マーケティング事業において、マクロ環境では新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残る中、ロシア・ウクライナ情勢などの影響が生じた一方で、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献し、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及びプレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」は順調に推移したことと、海外子会社の事業は米国の景気後退懸念やゲーム市場の変化を受けて、減益したことによるものであります。
次に、投資事業においては、投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施し、利益貢献いたしました。
最後に、その他事業においてはM&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2.事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源に関する情報
キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、EBITDA水準が当連結会計年度から減少する見込みであること、法人税等の納付が発生することから、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度と比較して減少する見込みであります。また、投資活動により得られるキャッシュ・フローについては、特段の有価証券の売却等を予定していないことから、当連結会計年度と比較して大きく減少する見込みであります。一方で、財務活動によるキャッシュ・フローについては、金融機関からの借入による資金調達を行い、借入金の返済に充当する等を見込んでおります。
以上の結果として、翌連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高については、当連結会計年度末と比較して増加する見込みです。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
(1)報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
(2)各報告セグメントに属する製品及びサービス
「広告・マーケティング事業」では、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」、プレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」及びネイティブアドプラットフォーム「Poets」の提供を行っております。
「投資事業」では、グローバル展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための事業を行っております。
2023年9月15日付けでUUUM株式会社の株式を一部取得したことにより、同社を連結子会社とし、報告セグメント「インフルエンサーマーケティング事業」を新設しております。
「インフルエンサーマーケティング事業」では、クリエイターの様々な活動のサポート、クリエイターを活用したプロモーション、および番組制作・チャンネル運営等を行っております。
「その他事業」では、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供を行っております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法です。
報告セグメントの利益又は損失(△)は、営業利益ベースの数値であります。
セグメント間の内部売上高及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
調整額 (注1) |
連結財務 諸表計上額 (注2) |
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広告・マーケティング事業 |
投資事業 |
その他事業 |
計 |
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売上高 |
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外部顧客への売上高 |
28,876,310 |
1,003 |
87,750 |
28,965,063 |
- |
28,965,063 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
53,581 |
- |
1,468,446 |
1,522,027 |
△1,522,027 |
- |
計 |
28,929,891 |
1,003 |
1,556,196 |
30,487,091 |
△1,522,027 |
28,965,063 |
セグメント利益又は損失(△) |
2,261,003 |
△325,132 |
313,276 |
2,249,148 |
△918,539 |
1,330,608 |
セグメント資産 |
17,127,128 |
1,381,418 |
8,575,381 |
27,083,928 |
△2,349,267 |
24,734,660 |
その他の項目 |
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減価償却費 |
331,725 |
- |
11,099 |
342,825 |
- |
342,825 |
減損損失 |
- |
- |
7,749 |
7,749 |
- |
7,749 |
のれんの償却額 |
102,563 |
- |
- |
102,563 |
- |
102,563 |
持分法適用会社への投資額 |
1,215,263 |
165,134 |
533,876 |
1,914,274 |
- |
1,914,274 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
392,067 |
- |
8,443 |
400,511 |
- |
400,511 |
(注)1.調整額は、以下のとおりであります。
(1)セグメント利益又は損失(△)の調整額はセグメント間取引の消去であります。
(2)セグメント資産の調整額はセグメント間取引の消去であります。
2.セグメント利益又は損失(△)は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
調整額 (注1) |
連結財務 諸表計上額 (注2) |
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広告・マーケティング事業 |
投資事業 |
インフルエンサーマーケティング事業 |
その他事業 |
計 |
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売上高 |
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外部顧客への売上高 |
29,041,648 |
1,474,603 |
- |
88,118 |
30,604,370 |
- |
30,604,370 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
28,074 |
- |
- |
2,596,908 |
2,624,983 |
△2,624,983 |
- |
計 |
29,069,722 |
1,474,603 |
- |
2,685,027 |
33,229,353 |
△2,624,983 |
30,604,370 |
セグメント利益 |
1,497,195 |
1,367,304 |
- |
818,949 |
3,683,448 |
△2,072,651 |
1,610,796 |
セグメント資産 |
14,200,126 |
287,898 |
16,423,779 |
13,457,995 |
44,369,800 |
△1,007,706 |
43,362,094 |
その他の項目 |
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減価償却費 |
460,120 |
- |
- |
8,202 |
468,322 |
- |
468,322 |
減損損失 |
2,095,752 |
- |
- |
4,637 |
2,100,390 |
- |
2,100,390 |
のれんの償却額 |
107,447 |
- |
- |
- |
107,447 |
- |
107,447 |
持分法適用会社への投資額 |
1,190,890 |
171,872 |
85,788 |
569,993 |
2,018,544 |
- |
2,018,544 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
479,166 |
- |
6,731,872 |
9,762 |
7,220,800 |
- |
7,220,800 |
(注)1.調整額は、以下のとおりであります。
(1)セグメント利益の調整額はセグメント間取引の消去であります。
(2)セグメント資産の調整額はセグメント間取引の消去であります。
2.セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
3.当社は2023年9月にUUUM株式会社を子会社化しておりますが、同社のみなし取得日を当連結会計年度末としているため、当連結会計年度は貸借対照表のみを連結しております。したがって、UUUM株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い報告セグメントに新設した「インフルエンサーマーケティング事業」において、売上高、セグメント利益及びその他の項目のうち、減価償却費、減損損失、のれんの償却額については記載しておりません。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
1 製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1)売上高
(単位:千円) |
日本 |
北米 |
アジア |
合計 |
7,932,007 |
15,666,240 |
5,366,814 |
28,965,063 |
(2)有形固定資産
(単位:千円)
日本 |
北米 |
アジア |
合計 |
128,420 |
20,868 |
31,700 |
180,989 |
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手がないため、記載はありません。
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
1 製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1)売上高
(単位:千円) |
日本 |
北米 |
アジア |
合計 |
8,833,636 |
16,474,549 |
5,296,185 |
30,604,370 |
(表示方法の変更)
当連結会計年度より、地域の区分を変更しております。当該変更を反映させるため、前連結会計年度の組替えを行っております。この結果、前連結会計年度において、「アメリカ」15,666,240千円は「北米」として、「台湾」3,989,705千円及び「その他」1,377,109千円は「アジア」として組み替えております。
(2)有形固定資産
(単位:千円)
日本 |
北米 |
アジア |
合計 |
402,018 |
15,770 |
45,613 |
463,402 |
(表示方法の変更)
当連結会計年度より、地域の区分を変更しております。当該変更を反映させるため、前連結会計年度の組替えを行っております。この結果、前連結会計年度において、「アメリカ」20,868千円は「北米」として、「台湾」23,523千円及び「その他」8,176千円は「アジア」として組み替えております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
セグメント情報に同様の情報を開示しているため記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
セグメント情報に同様の情報を開示しているため記載を省略しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
全社・消去 |
合計 |
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広告・マーケティング事業 |
投資事業 |
その他事業 |
計 |
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当期末残高 |
1,151,380 |
- |
- |
1,151,380 |
- |
1,151,380 |
(注) のれん償却額に関しては、セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
全社・消去 |
合計 |
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広告・マーケティング事業 |
投資事業 |
インフルエンサーマーケティング事業 |
その他事業 |
計 |
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当期末残高 |
- |
- |
5,875,994 |
- |
5,875,994 |
- |
5,875,994 |
(注) のれん償却額に関しては、セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
なお「広告・マーケティング事業」において、のれんの減損を行ったことにより、のれんの未償却残高に重要な変動が生じております。当該事象によるのれんの減少額は当連結会計年度において1,002,674千円であります。
また、「インフルエンサーマーケティング事業」におけるのれんの未償却残高には、当連結会計年度末の取得による企業結合において発生した、取得原価の配分が完了していない、暫定的に算定されたのれんの金額が含まれております。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
該当事項はありません。