2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、2024年3月末日現在で当グループが判断したものであります。

 

(1) 工作機械の主要消費地域の経済状況について

 工作機械の需要は、主要消費地域(日本、米州、欧州、中国を含むアジア)の経済状況と同地域における設備投資需要の変動に左右されます。特に、当グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度において69.2%、前連結会計年度においても66.7%といずれも高い比率となっており、海外消費地域の経済状況の悪化により需要が低下した場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(2) カントリーリスクについて

 当グループは、中国及び台湾の子会社にて工作機械を製造しており、米州、欧州及びアジア・パシフィック地域の子会社を通じて製品の販売及びアフターサービスの提供をしておりますが、これらの国または地域において、政情の悪化、予期せぬ法律・規制の変更等があった場合は、当グループの業績への影響が懸念されます。

 また、グループ会社間の取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。さらに政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合は、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 為替、金利及び株価の変動リスクについて

 当グループはグローバルに販売及び生産活動を展開しているため、外貨建て商取引及び投資活動等は為替変動の影響を受けます。また、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当グループは、為替変動及び金利の変動リスクを回避すべく、輸出地域の分散、社内管理規程に従ったヘッジ取引等を実施しておりますが、その影響を完全に回避できるとは限りません。また、当社は、取引先企業や金融機関等の株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合は投資有価証券評価損が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 固定資産の減損について

 当グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形の固定資産を計上しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。事業環境の大幅な変動が生じた場合や土地等の固定資産価格が下落した場合には減損損失が発生し、当グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 原材料費・海上運賃等の大幅な変動について

 工作機械の主要原材料として使われる鋳物・鋼材などは、原油価格の動向、国際的な需給の状況などにより価格が変動し、コストアップ要因となる場合があります。また、海上運賃の高騰は工作機械の輸送費として、コストアップ要因となります。このコストアップに対しては、コストダウン推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針でありますが、さらなる価格の高騰が続いた場合には、当グループの業績への影響が懸念されます。

 

(6) 自然災害及びテロ等のリスクについて

 当グループは製造、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、疫病の蔓延、コンピュータウイルス、テロといった多くの事象によって引き起こされる災害に影響を受ける可能性があります。

  特に、当グループの本社機能及び主要な製造拠点があります愛知・岐阜両県は、東海大地震の防災強化地域であり、ひとたび大きな地震が発生した場合には、大きな損害が発生し、当グループの業績への甚大な影響が懸念されます。当グループといたしましては、建物等の耐震工事、防災訓練の実施及び従業員への啓蒙などの地震対策を逐次実施しており、リスクの極小化に努めております。疫病については、感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤・テレワーク等の効率的な事業運営を実施しております。また、政府や地方自治体による要請や声明等の趣旨を鑑みて、主要な製造拠点の操業休止や一時帰休の実施等を行う可能性があります。

 

(7) 資材の調達リスクについて

 自然災害、疫病の蔓延等によって調達先の生産が滞ることや、製造業の繁忙に伴い、工作機械の構成部品やユニットの調達難が生じ、安定した生産が阻害される可能性があります。調達部品の確保のために、調達難の要因となる事象の監視と対応、代替手段の確保等により、リスクの極小化に努めております。

 

(8) 電力不足のリスクについて

 発電所の停止等により電力供給不足に陥った場合、節電対応により、安定した生産が阻害される可能性があります。

 

(9) 情報システム・情報セキュリティのリスクについて

 当グループの事業活動において、情報システムの利用は不可欠となっており、コンピュータウイルス、システム障害等により情報システムの機能に支障が生じた場合、当グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また電子取引等、業務のデジタル化の拡大は情報漏洩等、情報セキュリティに係るリスクを伴います。

 このようなリスクへの対応として、当グループは、サイバーセキュリティ対策を継続的に講じており、また情報システムの運用手順、機密情報の管理規則を厳格に定め、システム障害や情報漏洩等の防止を図っております。

 

配当政策

3 【配当政策】

当グループは、安定配当を基本とし、企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保の充実などを総合的に勘案して、株主の皆様への利益還元を決定する方針を採用しております。
 当グループは、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
 上記の基本方針に基づき、当事業年度の配当につきましては、当社を取り巻く経営環境や業績等を総合的に勘案し、1株当たり配当額200.00円(中間配当額100.00円と期末配当額100.00円)と決定いたしました。

内部留保資金の使途としては、財務体質の強化及び研究開発、設備投資、海外展開、情報システムの高度化など将来の成長につながる戦略投資に充当したいと考えております。

当グループは、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当(会社法第454条第5項の規定による金銭の分配)をすることができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度における剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年10月31日

取締役会決議

3,081

100

2024年6月21日

定時株主総会決議

3,041

100