2026年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの存在を認識した上で、当該リスクの発生を極力回避するための努力を継続してまいります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(特に重要なリスク)

(1)  江蘇三超社との仲裁に関するリスク

中国の江蘇三超社に対するダイヤモンドワイヤ生産設備等の譲渡案件について、当社所有のダイヤモンドワイヤ生産設備の譲渡及びダイヤモンドワイヤ製造に関する技術供与に係る契約に関し、同社より2021年11月17日に当社の契約義務の履行がなされなかったとして、本件契約を解除するとともに損害賠償請求する仲裁申立がシンガポール国際仲裁センター(以下「SIAC」という。)になされました。

本仲裁においては2025年5月20日付にて仲裁判断(中間判断)が下され、本件契約については当社に債務不履行があったと判断され、2021年9月17日付で当社の債務不履行を理由に解除が認められましたが、江蘇三超社が要求していた支払済契約対価(9.9億円)の返還請求については棄却されました。

また、当社に対し江蘇三超社が被った直接損害額及び利息の支払いが命じられましたが、当社が江蘇三超社に支払うべき金額については、現在進行中の仲裁手続きにおいて別途検討・決定されることとなっております。当社に対し、多額の支払いが命じられた場合は、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、本仲裁費用のうち、現時点までに生じた各当事者の代理人費用等については各自負担とすることが命じられたとともに、江蘇三超社に対し、当社へ未払いの輸送費約583万円及び利息の支払いが命じられました。これら以外の請求及び反訴は棄却されました。

 

(2) 新規事業の事業化に関するリスク

当社は、ナノサイズゼオライトを主力商材とした新規事業の立ち上げに取り組んでおります。ナノサイズゼオライトは、2019年7月に国立研究開発法人科学技術振興機構から本開発に対する成功認定を受け、現在、サンプル提供先企業において製品化に向けた開発を進めており、一部の用途分野において量産採用されております。また、複数の企業においては開発ステージから事業ステージへ移行しており、さらなる量産顧客の獲得に努めてまいります。

しかしながら、サンプル評価中の企業における開発に更なる時間が必要であることが見込まれる場合や、将来的に量産顧客の獲得が実現できなかった場合は、当事業における固定費負担が継続することとなるとともに事業化の蓋然性等を考慮しなければならず、その場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

(1) 米国による通商政策変動に関するリスク

米国による相互関税や自動車等の特定製品に対する追加関税については、日本経済全体に与える影響が大きく、日本から米国に対する輸出の減少や見合わせ、これに伴う国内製造業の稼働率低下等が引き起こされることが予想されます。この影響により当社製品の受注・販売が減少する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料等の調達価格が上昇するリスク

米国によるイラン攻撃をはじめ、中東地域における緊張が高まりを見せており、原油供給能力の低下や海上輸送の停滞による原油価格上昇への懸念が生じております。またロシア、ウクライナ紛争も長期化しているとともに、不安定な国際情勢や円安の影響により、資源価格や物流コストが高止まりしております。当社グループの事業に関し、販売価格に転嫁することが困難な水準で原材料やエネルギーコストなどが高騰した場合、製造原価の上昇によって利益が減少することにより、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人材の確保に関するリスク

当社グループの運営は、代表取締役会長である井上誠をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。将来、これらの経営陣において、病気やけがによる長期休暇、死亡などの事態が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、当社グループの成長と成功は社員の力によるものであり、これら重要な人材の確保と育成には常に取り組んでおりますが、将来、重要な人材の確保と育成ができなかった場合は当社グループの成長、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 株式希薄化による買収可能性に関するリスク

当社は、財務状態の安定化を目的として、複数回に渡り新株予約権の発行を決議し、その全ての行使が完了しております。発行株式数の増加に伴い、2026年3月末時点の株主は15,094名であり、個人株主比率も98.7%と非常に高い状態にあります。また、2026年3月末時点での当社の株価は775円となっております。

当社としては、企業価値を高めるべく、マテリアルサイエンス事業の早期立ち上げと既存事業での収益力強化などに取り組んでおりますが、財務状況の改善が進むにつれ、安定株主不在及び株価低迷に伴う企業買収等の可能性は否定できず、このような場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 海外取引に関するリスク

当社グループの連結売上高に占める海外販売の比率は、2026年3月期において49.7%となっております。海外販売比率が高かった化学繊維用紡糸ノズル事業が当社グループから分離したため、海外取引は一時的に大きく減少いたしますが、今後はD-Next事業において海外向けダイヤモンドワイヤ販売量を増加させる計画であるため、海外取引に関するリスクへの対処は引き続き必要となります。当社グループでは、取引慣行の違いによるトラブルを未然に回避するため各種契約に係る法務チェックを強化するとともに、債権回収の安全を図るため前受金の割合を高める等、与信管理を徹底しております。また、他にも地政学リスクの高まりや急激な為替変動などにより、海外での営業活動や国際物流に影響が出る可能性があります。

海外取引においては予期せぬトラブルが発生する可能性があり、これらのトラブルが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主への還元を第一として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、この配当の決定機関は、株主総会であります。また、当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)を行うことができる旨を定款に定めております。

当事業年度の期末配当につきましては、経営改革の推進および収益構造の見直しに取り組み、このたび、事業構造改革に目途がついたことや、当期の業績及び財政状況等を総合的に勘案した結果、1株当たり5円の記念配当を実施することを決定いたしました。

内部留保資金の使途につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく研究開発活動及び設備投資に活用していく方針であります。

なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

2026年6月26日

定時株主総会決議

55,104

5.00