リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの存在を認識した上で、当該リスクの発生を極力回避するための努力を継続してまいります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(特に重要なリスク)
(1) 江蘇三超社との仲裁に関するリスク
中国の江蘇三超社に対するダイヤモンドワイヤ生産設備等の譲渡案件について、当社所有のダイヤモンドワイヤ生産設備の譲渡及びダイヤモンドワイヤ製造に関する技術供与に係る契約に関し、同社より2021年11月17日に当社の契約義務の履行がなされなかったとして、本件契約を解除するとともに損害賠償請求する仲裁申立がシンガポール国際仲裁センター(以下「SIAC」という。)になされました。当社としては、本件契約の義務の履行は完了しており、同社の主張する契約解除事由には該当しないと考えており、仲裁手続きを通じて当社の正当性を主張するとともに、同社に対し本件契約代金の未払い額の請求を行っておりますが、本仲裁において、当社が敗訴となる判決が出た場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 財務維持要件に関するリスク
当社グループが複数の金融機関との間で締結しているシンジケートローン契約において「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係) ※4 財務維持要件」に記載のとおり財務維持要件が付されております。本契約において、2024年3月期は営業損失を計上したため財務維持要件に抵触しており、2025年3月期について借入金利が引き上げられる予定となっております。2025年3月期は営業利益を計上する業績予想となっておりますが、黒字化を達成できない場合、期限の利益を喪失するため、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 新規事業の事業化に関するリスク
当社は、新規事業として、ナノサイズゼオライトの開発に取り組んでおり、2019年7月に国立研究開発法人科学技術振興機構から本開発に対する成功認定を受け、現在、サンプル提供先企業において製品化に向けた開発を進めており、一部の企業においては開発ステージから事業ステージへ移行しており、引き続き量産顧客の獲得に努めてまいります。
しかしながら、サンプル提供先企業における開発に更なる時間が必要であることが見込まれる場合や、将来的に量産顧客の獲得が実現できなかった場合は、当事業における固定費負担が継続することとなるとともに事業化の蓋然性等を考慮しなければならず、その場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(重要なリスク)
(1)海外取引の拡大に関するリスク
当社グループの連結売上高に占める海外販売の比率は、2024年3月期において39.2%と高く、当社グループが扱う製品の市場動向を鑑みると、今後も海外志向は強まっていくものと考えております。そのため、当社グループでは、取引慣行の違いによるトラブルを未然に回避するため各種契約に係る法務チェックを強化するとともに、債権回収の安全を図るため前受金の割合を高める等、与信管理を徹底しております。また、他にも地政学的要因などにより、海外での営業活動や製品の出荷に影響が出る可能性があります。
海外取引においては予期せぬトラブルが発生する可能性があり、これらのトラブルが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 株式希薄化による買収可能性に関するリスク
当社は、財務状態の安定化を目的として、複数回に渡り新株予約権の発行を決議し、その全ての行使が完了しております。発行株式数の増加に伴い、2024年3月末時点の株主は7,887名であり、個人株主比率も81.5%と高い状態にあります。また、2024年3月末時点での当社の株価は338円と低水準となっております。
当社としては、企業価値を高めるべく構造改革を実施し、既存事業での収益力強化や新規事業開発などにも取り組んでおりますが、財務状況の改善が進むにつれ、安定株主不在及び株価低迷に伴う企業買収等の可能性は否定できず、このような場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材の確保に関するリスク
当社グループの運営は、代表取締役社長である井上誠をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。将来、これらの経営陣において、病気やけがによる長期休暇、死亡などの事態が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、当社グループの成長と成功は社員の力によるものであり、これら重要な人材の確保と育成には常に取り組んでおりますが、将来、重要な人材の確保と育成ができなかった場合、当社グループの成長、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料等の調達価格が上昇するリスク
当社グループの事業に関し、販売価格に転嫁することが困難な水準で原材料やエネルギーコストなどが高騰した場合、製造原価の上昇によって利益が減少することにより、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主への還元を第一として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、この配当の決定機関は、株主総会であります。また、当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)を行うことができる旨を定款に定めております。
しかしながら、当期につきましては、配当原資となる利益剰余金がマイナスとなっていることから、誠に遺憾ながら無配とさせていただきます。