2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 16,678 100.0 809 100.0 4.9

事業内容

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、当社及び子会社7社(国内法人2社、海外法人5社)で構成され、超硬合金を用いた耐摩耗工具及びその素材である超硬合金チップの製造販売を主たる事業としております。

 なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 (1) 当社グループの事業概要並びに生産、営業及び研究開発の体制

①当社グループの事業概要

 当社グループは、創業以来、超硬合金を用いた耐摩耗工具を専門に取り扱い、工具・金型に対する高精度化、長寿命化のニーズに応え、実績を重ねてまいりました。

 超硬合金は、タングステンカーバイドに代表される硬質の金属炭化物と、コバルトなどの鉄系金属を粉末状にして混ぜ合わせ、型に入れて成形し、高温で焼き固める方法(粉末冶金法)によって作られる合金であり、鋼よりも硬く、変形しにくいという特性を有しています。上記の方法で作られる超硬合金は、精密加工が施されて、主に塑性(切屑の出ない)加工に用いられる高精度かつ耐摩耗性に優れた工具・金型(耐摩耗工具)となるほか、一部は中間製品である超硬合金チップとしても販売されます。

 超硬合金を用いた耐摩耗工具は、一般的に用いられる鋼製の工具等よりも摩耗、変形しにくいため、生産工程に効果的に用いることにより、被加工材を加工する速度や精度が向上し、生産性改善が可能となります。

 当社グループの超硬合金を用いた製品は「超硬製工具類」、「超硬製金型類」、「その他の超硬製品」に分類され、輸送用機械、鉄鋼、非鉄金属、飲料缶に代表される金属製品、電機・電子部品、生産・業務用機械等の幅広い分野で使用されております。

 また、当社グループは、超硬合金の精密加工で培った加工技術、検査技術を活用し、超硬合金以外の素材(鋼やセラミックスなど)を用いた耐摩耗工具等の製造販売も行っております。

 

②営業、生産及び研究開発の体制

 顧客の生産工程で用いられる工具・金型は、使用される過程で摩擦・圧力・熱等による摩耗、変形・割れ等によって寿命を迎えますが、その要因やスピードは、工具・金型を使用する環境によって様々です。その結果、耐摩耗工具には、顧客の設計思想や生産プロセスが色濃く反映されることとなるため、耐摩耗工具のほとんどは、顧客ごとのカスタムメイドとなります。そこで当社グループでは、顧客のニーズを的確に捉え、個別受注の多品種少量生産に対応するために、営業、生産及び研究開発に関して、以下のような体制を整備しております。

 

(営業体制)

 国内10箇所、アジア5ヶ国(中国、タイ、インドネシア、マレーシア、インド(休眠中))の営業拠点に約100名の営業担当者を配置しております。これらの営業担当者が、直接顧客を訪問し、緊密なコミュニケーションを図ることによって、顧客ニーズの的確な把握が可能な体制をとっております。

 また、超硬合金に関する専門的な知識を持つ技術サービス員や、工具・金型等の生産を担う生産部門の技術者が営業担当者をサポートし、超硬合金素材や加工方法の選定から、製品の管理に至るまで、高度な提案を行うことができる体制を整備しております。

 

(生産体制)

 当社グループでは、商社を通じて主要原料であるタングステンカーバイド他原材料等を仕入れ、①原料となる粉末の混合(調粉工程)、②混合した粉末の成形・焼結による超硬合金(素材)の生産(冶金工程)、③超硬合金の工具・金型等への加工(加工工程)、④工具・金型等の寸法形状の測定検査(検査工程)という、超硬合金を用いた工具・金型の製造に必要な工程を全てグループ内で完結できる、一貫生産体制を整備しております。

 その結果、顧客の使用条件に最も適合した超硬合金(素材)を選択でき、かつ各工程の有機的な連携によって、ニーズに応じた様々なサイズ・形状の工具・金型を効率的に生産することが可能となっております。

 生産拠点は、国内に7箇所、海外に2箇所(タイ、インドネシア)を設けておりますが、そのほとんどが営業拠点と近接しており、生産部門と営業部門の緊密な連携が可能となっております。

 

 

(研究開発体制)

 研究開発においては、粉末冶金技術を基軸とした素材開発、超硬合金素材の加工精度や加工効率を向上させるための加工開発、新たな市場を作り出すための製品開発を行っており、様々な顧客のニーズに柔軟に対応できる体制を整備しております。

 特に、素材開発については、長年にわたる研究開発によって、金属粉末の種類や粒のサイズの組み合わせ、焼き固める条件等に関する知見が蓄積されております。これらの粉末冶金技術を通じて、新しい超硬合金素材の研究開発に注力しつつ、超硬合金以外の素材に対しても超硬合金素材の開発で培った技術を応用することで研究開発を実施しております。

 

 (2) 事業系統図

    


 (注) FUJILLOY INDIA PRIVATE LIMITEDはインド共和国の経済環境、当社顧客の動向を鑑み、2016年8月から事業を
    休眠しております。今後につきましては当社において市場調査、拡販を行い、事業再開を予定しております。

 

 (3) 主要な製品とその主な用途

   当社グループの主要な製品と具体的な用途例は次のとおりであります。

製品区分

主要製品

具体的な用途例

超硬製工具類

ダイス、プラグ

線材、パイプの生産用工具

 

溝付プラグ

熱交換器用パイプの生産用工具

 

熱間圧延ロール

鉄鋼素材の生産用工具

 

冷間フォーミングロール

建材、パイプの生産用工具

 

超高圧発生用工具

人工ダイヤモンド・cBN等の生産用工具

 

混錬工具

樹脂・セラミックス等の生産用工具

 

刃物類

鋼板、フィルム、箔などを切断する刃物

超硬製金型類

自動車部品生産用金型

エンジン・駆動系・操舵系・安全装置部品の
生産用金型

 

製缶金型

飲料缶、食用缶の生産用金型

 

電池関連金型

電池ケース、電池部材の生産用金型、車載電池用金型

 

光学素子成形用金型

ガラスレンズの生産用金型

 

粉末成形用金型

磁石、焼結部品の生産用金型

 

半導体・電子部品用金型

封止材生産用金型

その他の超硬製品

各種部品

各種装置部品

 

超硬合金チップ

各種金型・工具、刃物の素材

超硬以外の製品

鋼製品

飲料缶、エンジン部品等の生産用金型

 

セラミックス製品

機械工具、冶工具

 

FHR製品

耐熱用部材、鋳造用部材

 

KF2製品

樹脂等の生産用工具、冶工具

 

銅タングステン合金

放電加工用電極

 

電着砥石

硬質材料の加工用砥石

 

固体潤滑複合材料(NFメタル)

真空蒸着装置用軸受、特殊環境用軸受

 

引抜鋼管

ベアリング、自転車部品の部材

 

 

 (4) 主要製品の内容

①ダイス、プラグ

 ダイス、プラグは、様々な部品や製品の材料となる線材や棒、パイプを引抜き、あるいは押出し加工することで、寸法(外径、内径、肉厚)や硬さ、強度を決めるために用いられる耐摩耗工具です。外径の寸法を決める工具をダイス、内径を決める工具をプラグといい、この工具は鉄鋼、非鉄金属、自動車、電機・電子部品といった幅広い業界で線材、パイプを生産するために使用されております。

 超硬合金を使用したダイス、プラグは創業当時から現在まで当社グループの主力製品であり、特にダイスは、当社の社名の由来にもなっている製品であります。

 

②自動車部品生産用金型

 自動車部品生産用金型は、安全性のために強度と精度が求められ、かつ大量生産が必要な自動車部品を製造するための金型として用いられる耐摩耗工具です。自動車部品の金型は高精度、高強度及び耐摩耗性を有した超硬合金を使用したものが多く、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ステアリング、安全装置部品、燃料電池車等に組み込まれるクリーンエネルギーシステムなどの部品が耐摩耗工具で製造されており、当社グループの主力製品となっております。

 

③製缶金型

 アルミ、鉄系の板材から、抜き、絞り、しごき、曲げ加工により容器及び蓋を製造するために用いられる耐摩耗工具です。この工具で作られた製品としては飲料缶、食缶、エアゾール缶、一斗缶などがあります。特にビール等の低アルコール飲料やコーヒー等に使用される飲料缶については、非常に生産量が多く、原材料からの歩留まりや製品精度が重要視され、非常に高い精度及び耐摩耗性が求められることから超硬合金の製缶金型が使用されることが多く、当社グループの主力製品となっております。

 

④超硬合金チップ

 丸棒、板材、ニアネット形状の原料を焼結し、超硬合金とした塑性加工用の工具、金型の素材であります。超硬合金チップは当社グループのうち当社でのみ製造しており、当社グループの製品の中では海外への販売比率が高い製品であります。

 

⑤鋼製品

 当社グループでは、超硬合金の精密加工で培った高い加工技術、検査技術を活かし、超硬合金の耐摩耗工具と重なる使用分野において鋼工具の製品の提供を行っております。顧客の生産ラインの各工程では、使用環境や被加工材、加工方法等によって、耐摩耗性、耐衝撃性、コスト等、求められる工具の性能がそれぞれ異なるのが一般的であり、求められる工具性能に応じて超硬合金と鋼の両方の材料を使い分けることで顧客の多様なニーズに応えております。

 

  <用語解説>

   1.工具:工具とは、部品を加工したり,組立てるときに用いる道具類の総称です。

   2.耐摩耗工具:耐摩耗工具は、生産工程の製造加工装置等に装着され、主として塑性(切屑の出ない)加工に
           用いられる工具の総称です。

   3.金型:金型とは、材料を一定の形にするために用いる金属製の型のことです。
        耐摩耗工具の中には金型も含まれています。

   4.超硬工具:超硬工具には、切削工具、耐摩耗工具、鉱山土木用工具があります。

   5.切削工具:切削工具は、主として、金属切削用として用いられ、加工時に切屑の出る工具の総称です。

   6.ロール:主として金属材料等の素材に圧力をかけて延ばしたり、成形、つや出しなどを行う際に用いる円筒
                  形の工具の総称です。

   7.超高圧発生用工具:人工ダイヤモンドを合成する時などに使用される工具です。合成時に、超高圧をかけ
              ます。超高圧に耐えられる強靭な材料特性と寸法精度が要求されます。

  8.ニアネット形状:ニアネット形状とは、最終製品である工具・金型に近い形状を意味します。
                          ニアネット形状に焼結された超硬合金チップを使用することで、チップを最終製品(工
                          具・金型)に加工する際のコストを削減できます。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和等による経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しているものの、ウクライナ情勢に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、中東での紛争の発生、長引く円安や中国経済の減速等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 こうした状況の中、当社グループは「革新(勇猛果敢)」を年度方針に掲げ、高品質・低コスト・短納期・充実したサービスの向上に努めてまいりました。

 また、「筋肉質な企業体質への転換、中長期の成長基盤の構築」を目指し、2022年3月期から3ヵ年を対象期間とした中期経営計画を策定しており、1.生産性向上・業務効率化、2.次世代自動車への対応・拡販、3.新成長エンジンの創出、4.海外事業の強化、を重点施策に掲げ、最終年度となる2024年3月期も諸施策に取り組んでまいりました。

 また、上記4つの重点施策の実施に加えて、機関投資家・個人投資家向け説明会の実施、各種メディアやホームページを通じた積極的な情報発信、増配を含めた株主還元の充実、当社の課題や今後の取り組みに関する理解促進等を目的とした株主様とのコミュニケーションの強化等に取り組んだ結果、2023年12月末時点において、プライム市場の全ての上場維持基準に適合することができました。

 中期経営計画の4つの重点施策の実施につきましては、具体的には「1.生産性向上・業務効率化」として、原価率低減目標を4.4%(2020年3月期第2四半期比)に設定し、自動搬送装置や自動化ロボットの導入拡大、熊本製造所における冶金棟や岡山製造所におけるCIP装置のリニューアル、各生産拠点における加工条件や設備レイアウトの最適化等を進めてまいりました。

 また「2.次世代自動車への対応」としては、車載用モーターコアの抜き金型向けとして市場投入した新素材(VG48)の販売の拡大や、材料ラインナップを拡充するための新素材開発に注力してまいりました。

「3.新成長エンジンの創出」については、高性能レンズ成型に適した高熱膨張合金「TR05/TR30」の拡販が本格化し、日本機械工具工業会において「技術功績大賞」を受賞、更に、「2023年 第66回十大新製品賞(日刊工業新聞社主催)」において「モノづくり賞」も受賞いたしました。また超硬合金の主原料であるタングステンやコバルトの使用量を大幅に削減した新素材「サステロイ(ST60)」が、「2023年超モノづくり部品大賞(モノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催)」において「奨励賞」を受賞しております。

 「4.海外事業の強化」については、より機動的な施策実施体制を構築するため、2023年7月に海外事業本部を設置するとともに担当役員を擁立し、2024年3月には中国華南エリアの東莞に同国で二つ目の営業拠点を開設いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は16,678百万円(前連結会計年度比2.9%減)となりました。

超硬製工具類では、海外向け溝付きロールや一部の鋼管用引抜工具の販売が好調に推移した結果、売上高は4,788百万円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。

超硬製金型類では、モーターコア用金型の販売が好調に推移したものの、顧客の生産地変更により二次電池向け金型の販売が大幅に減少したほか、自動車部品メーカーの在庫調整の影響を受け、関連する金型の販売が低調に推移した結果、売上高は3,920百万円(前連結会計年度比7.1%減)となりました。

その他の超硬製品では、半導体製造装置向けの需要が堅調に推移したものの、景気低迷が継続している中国市場の影響を受け、中国向け素材販売が低調に推移した結果、売上高は4,004百万円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。

超硬以外の製品では、一部の鋼製自動車部品用工具・金型の販売が堅調に推移したものの、引抜鋼管の売上が低調に推移した結果、売上高は3,964百万円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。

 

また利益につきましては、生産性向上・業務効率化の施策や原材料等の高騰に伴う価格改定等に一定の成果があったものの、売上高の減少や、熊本製造所冶金棟建設に伴う一時的な費用増の影響を受け、営業利益は809百万円(前連結会計年度比29.7%減)、経常利益は882百万円(前連結会計年度比28.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度における固定資産(土地)の譲渡益の反動減により709百万円(前連結会計年度比45.1%減)となりました。

なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 (資産の部)

当連結会計年度末の資産の部は、26,138百万円(前連結会計年度末26,253百万円)となり114百万円減少いたしました。流動資産は15,024百万円(前連結会計年度末15,724百万円)となり、700百万円減少いたしましたこれは主に、現金及び預金が191百万円減少、受取手形が209百万円減少、原材料及び貯蔵品が226百万円減少したことによるものであります。また、固定資産は11,114百万円(前連結会計年度末10,528百万円)となり、585百万円増加いたしました。これは主に、建設仮勘定が1,172百万円減少したものの、建物及び構築物(純額)が1,413百万円増加、機械装置及び運搬具(純額)が198百万円増加したことによるものであります。 

 

 (負債の部)

当連結会計年度末の負債の部は、5,491百万円(前連結会計年度末5,860百万円)となり、369百万円減少いたしました。流動負債は3,871百万円(前連結会計年度末4,197百万円)となり、326百万円減少いたしました。これは主に、未払金が136百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が116百万円減少、その他流動負債が368百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は1,619百万円(前連結会計年度末1,662百万円)となり、42百万円減少いたしました

 

 (純資産の部)

当連結会計年度末の純資産の部は、20,647百万円(前連結会計年度末20,392百万円)となり、254百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が709百万円増加、剰余金の配当により利益剰余金が634百万円減少、為替換算調整勘定が124百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ209百万円減少し6,983百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益995百万円、減価償却費988百万円の計上、売上債権の減少額365百万円などにより2,050百万円の収入(前連結会計年度は775百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得による支出1,718百万円、無形固定資産の取得による支出125百万円、投資有価証券の売却による収入131百万円などにより1,656百万円の支出(前連結会計年度は712百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは394百万円の収入(前連結会計年度は62百万円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払額634百万円などにより651百万円の支出(前連結会計年度は453百万円の支出)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績 

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

耐摩耗工具関連事業

12,476

99.8

 

(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。

      2.金額は当期製品製造原価によっております。 

 

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

耐摩耗工具関連事業

16,567

93.8

2,533

95.8

 

(注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。

 

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

超硬製工具類

4,788

104.8

超硬製金型類

3,920

92.9

その他の超硬製品

4,004

94.0

超硬以外の製品

3,964

96.1

合計

16,678

97.1

 

(注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は、売上高は16,678百万円、営業利益は809百万円、経常利益は882百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は709百万円となりました。

当連結会計年度は売上高の目標を前連結会計年度比3.6%増の17,800百万円とし、車載用モーターコアの抜き金型向けとして市場投入した新素材(VG48)の拡販や高性能レンズ成型に適した高熱膨張合金「TR05/TR30」の拡販等に取り組みました。また海外売上高拡大のため海外事業本部の設置や中国華南エリアの東莞で営業拠点の開設をしました。しかしながら中国の経済停滞に伴う需要減、自動車部品関連金型の回復遅れに伴う需要減に加え、二次電池向け金型や引抜鋼管の需要減等により当連結会計年度の売上高は目標比6.3%減の16,678百万円となりました。

当連結会計年度の営業利益は、生産性向上・業務効率化の施策や原材料等の高騰に伴う価格改定等に一定の成果があったものの、売上高の減少による営業利益減少の影響が大きく、営業利益は目標比30.9%減の809百万円となりました。

当連結会計年度の経常利益は、営業利益が対目標で下回ったことから目標比28.3%減の882百万円となり、また親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が対目標で下回ったことから目標比20.3%減の709百万円となりました。

これにより当社グループが重視する経営指標である売上高経常利益率は5.3%(対目標比1.6ポイント減)、ROE(自己資本当期純利益率)は3.5%(対目標比1.1ポイント減)となりました。

当連結会計年度における売上高経常利益率、ROEの目標未達は売上高の未達が主要因であり、今後の課題であると捉えております。

このような状況のもと、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおり、「変化に対応できる企業体質への転換」を中期方針とした2025年3月期からの3年を対象期間とする「中期経営計画2026」を策定しました。この中期方針のもと国内事業は成長の基盤(安定的に成長)とし、成長を牽引するのは海外事業、将来の成長基盤の育成として新事業の実現という方向性を定め、1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新事業の確立を成長戦略として持続的に取り組んでまいります。

なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えております。

当社グループは事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、また、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金についても調達することが可能と考えております。またコミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。

当社におけるコミットメントライン契約の状況につきましては、以下のとおりであります。

コミットメントライン契約 10億円(当連結会計年度末の借入実行残高はありません)

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(a)仕掛品(完成粉末を除く)の評価

仕掛品(完成粉末を除く)の評価に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(b)繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより行っております。

収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し見積っており、また中期経営計画の見積期間を超える期間の課税所得については、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(c)退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率、予想昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等の様々な計算基礎があります。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定は加重平均期間アプローチによる方法により算出しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(d)減損会計における将来キャッシュ・フロー

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。

当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※8 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(0百万円)を計上いたしました。回収可能価額は正味売却価額により算定しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループの事業セグメントは、耐摩耗工具関連事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

当社グループは、単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 売上高

(単位:百万円)

日本

アジア

その他

合計

13,783

2,989

406

17,179

 

     (注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

(単位:百万円)

日本

アジア

合計

8,977

746

9,724

 

 

3 主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

当社グループは、単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 売上高

(単位:百万円)

日本

アジア

その他

合計

13,556

2,578

543

16,678

 

     (注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

(単位:百万円)

日本

アジア

合計

9,416

830

10,246

 

 

3 主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

当社グループは、単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

当社グループは、単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。