2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    855名(単体) 1,090名(連結)
  • 平均年齢
    44.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    21.8年(単体)
  • 平均年収
    5,572,621円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

耐摩耗工具関連事業

1,090

合計

1,090

 

(注) 1.従業員数は就業人員数(グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、契約社員を含む。)は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.当社グループの事業は、耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

 2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

855

44.7

21.8

5,572,621

 

(注) 1.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、契約社員を含む。)は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業は、耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、労働組合はありません。

なお、労使関係は良好であり、特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注1)

 男性労働者の

 育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

5.2

27.8

68.1

73.1

63.0

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ基本方針について

 ①サステナビリティ基本方針の考え方

 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」、「人間尊重、人間中心の経営」の企業理念のもと、世界中の人々から信頼される品性ある企業グループ並びに企業人となることを目指しております。
 そして、当社グループの基本的な考え方(私たちが大切にする価値観)である「報恩感謝」「和」「創造と革新」「誠実」「質実剛健」を基礎とし、当社製品を提供し続けることで、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に貢献することを基本的な方針としております。

 

②サステナビリティ基本方針
  a.環境
 [自然環境配慮]
  私たちは、事業活動が自然の恩恵を受け成立していることに感謝し、
  ・新たな技術・製品の創造と革新で、人と地球環境を大切にする社会の実現に貢献します。
  ・持続可能な社会の実現にむけて温室効果ガスの削減に努めます。
  ・資源利用と環境影響の削減を両立させるため、資源を大切に使います。

 

b.社会
 [人権]
  私たちは、企業理念である人間尊重と私たちが大切にする価値観である和の考えのもと、
  ・企業活動で関わる全ての人々の人権を尊重し、直接的間接的にも人権侵害に加担しません。
  ・あらゆる形態の強制労働や児童労働の排除、また雇用と職業における差別をしません。

 

 [労働環境]
  私たちは企業理念である人間中心の経営を実践すべく、
  ・生産性・働きがい向上に繋がる柔軟な働き方、職場環境を築きます。
  ・多様性を尊重し、国籍・性別・年齢などの区別なく活躍できる企業を目指します。
  ・結社の自由を含め、従業員の権利を最大限尊重します。

 

c.ガバナンス
 [ガバナンス強化]
  私たちは、コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方に沿って、
  ・ステークホルダーとの充実したコミュニケーションを通じて経営の透明性を確保し、信頼度を高めます。

 

 [腐敗防止]
  私たちは、誠実な企業グループ・企業人としての責任を果たし
  ・強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止に取り組みます。

 

③サステナビリティ全般に関するガバナンス

 サステナビリティに関する基本方針等の大きな枠組みについては、取締役会での議論を経て決定されております。また、サステナビリティに関する活動を強化する目的で、サステナビリティに関する施策の立案や推進を専門に行う「サステナビリティ推進室」を設置しております。さらに、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進するため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。

 

④サステナビリティ全般に関する戦略

当社は、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に向けて、サステナビリティ基本方針に基づいた取り組むべき10項目の優先課題(マテリアリティ)を特定しました。その達成に向けて社内外に周知し、取り組みを進めてまいります。

 


 

 

⑤サステナビリティ全般に関するリスク管理

 当社は、リスクマネジメント基本規程にてリスク管理方法を定めております。また、リスクマネジメントについて、効果的かつ円滑な運営及び適切な指導を行うために、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。本委員会は定期的に開催され、重要リスクの特定・評価を行っております。
 重要リスクは、影響度と発生可能性の2軸から、リスクマップを作成し、決定しております。決定した重要リスクは、取締役会にて承認された後、その対応のために、所管部署によって必要に応じて事業所及び子会社へ指示を出しております。サステナビリティに関するリスクについても、このような全社的なリスク管理方法に統合され、管理しております。

 

(2)気候変動に関する取組について

①ガバナンス

 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」ことを掲げ、より良い社会の形成と企業の持続可能な発展のため、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に対する活動を積極的に進めております。また、サステナビリティに関する施策の立案や推進を専門に行う「サステナビリティ推進室」を設置し、サステナビリティに関する課題を経営層と共有し、その解決のための検討及び有効性評価の場として、「サステナビリティ委員会」を年4回(4月、7月、10月、1月)開催しています。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、社内取締役、各部門の担当者で構成され、別途、取締役会にて実効的な監督を行う体制を整備しております。

 今後、当社グループのサステナビリティに関する取り組みの更なる強化、推進を図ってまいります。

 


                   図1 ガバナンス体制 

 

 

②戦略

 a.気候変動による事業への影響の分析

 気候変動による事業への影響を明らかにするために、2つのシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオを採用いたしました。

 各シナリオにて、分析のために参考にしたシナリオは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオになります。RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響(物理リスク)の分析のために参考にし、IEAのシナリオは脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)の分析のために参考にいたしました(表1)。また、分析における時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するために重要な時点とされている2030年を設定いたしました。

 

表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ

 

政策により気温上昇が抑えられる世界

気温上昇・気候変動が進む世界

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

概要

2100年の気温上昇が19世紀後半から1.5℃に抑えられるシナリオ。炭素税など脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。

2100年の気温上昇が19世紀後半から4℃上昇するシナリオ。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。

参考シナリオ

移行

IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)
IEA Sustainable Development Scenario(SDS)

IEA Stated Polices Scenario(STEPS)

物理

IPCC RCP 2.6

IPCC RCP 8.5

 

 ※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用

 

b.分析結果と対応

 〈1.5℃シナリオ〉

 1.5℃シナリオでは、炭素税など気候変動に対する政策・法規制の推進など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されております。当社事業へのリスクとしては、炭素税の導入やレアメタル価格の上昇による調達コストの増加が挙げられました。そのため、再生可能エネルギー導入や設備の省エネルギー化などGHG排出量削減のための取り組み、および製品設計による省資源化や新規合金の開発など資源価格高騰への対応を進めております。一方で、機会としては、次世代自動車関連製品の売上増加が挙げられました。現在、中期経営計画における重点施策の1つとして、脱炭素・循環型社会への貢献を掲げており、次世代自動車用の製品の販売計画や、国内循環型の超硬粉末のリサイクルの取り組みを策定しております。

 

〈4℃シナリオ〉

 4℃シナリオでは、異常気象の激甚化などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されております。当社のリスクとしても、異常気象がもたらす災害発生時における製造所の被災による製品販売の停止や、サプライヤーと顧客の被災による影響が挙げられました。現状、当社としては、海岸付近の製造所における防潮堤の設置や、BCP対応の強化を進めており、異常気象による事業へのリスク低減を進めております。

 

 

表2:シナリオ分析結果

気候関連問題による影響
(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

自社の対応

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

脱炭素

社会への移行に伴う影響

リスク

炭素価格の

導入

・炭素税や排出量取引など、炭素価格の導入
 により、GHG排出量に応じて、課税や排
 出枠購入などのコストが発生する。

・再生可能エネルギーの導入
・空調の省エネタイプへの更新
・LED照明の導入

・工場外壁での断熱材の利用
室外機への遮熱塗料の塗布

・生産効率向上による電力消費の削減
・生産条件の見直し(積層造形による生産)
インターナルカーボンプライシングの導入
・カーボンオフセットの活用

再エネ・
省エネ政策の
導入

・再エネ調達に係る費用が増加する。
・省エネ政策の強化に伴い、設備の高効率化
 が必要となった場合、設備の更新などによ
 って支出が増加する。

情報開示義務

・自動車や電池関連の製品について、製品あ
 たりのCO₂排出量の算定(CFP)が要
 請され、対応費用が発生する。
・CFP算定要請未対応の場合に商品選好か
 ら除外され売上が減少する。

・サステナビリティ推進室の設置

・効率的なデータ取集体制の確立

省エネ・
低炭素技術の
拡大

・内燃機関自動車の需要低下により売上が減
 少する。

・次世代自動車用製品の拡販

次世代技術の
進展

・製造工程を大幅短縮し省エネに資する3D
 プリンタ技術の進展により、部品製造にお
 ける金型の需要が低下し、売上が減少す
 る。

・新規事業の探索

原材料コスト
の変化

・脱炭素製品の需要増加に伴う資源価格の高
 騰により、超硬合金の原材料コストが高騰
 する。

・脱タングステン合金など新規材料の開発
・省レアメタルに資する製品設計の検討
・金属屑やスクラップの回収

調達先からの
評判変化

・環境への取組が消極的な場合に、調達先が
 取引へ消極的な態度をとることが想定さ
 れ、原材料の調達が難航する可能性が発生
 する。

・CDPなどのESG評価結果の開示に

 よる自社取り組みの公開

機会

低炭素技術の
進展

・EVの普及により、EV関連製品の売上が
 増加する。

・次世代自動車用の製品の販売計画の策定

次世代技術の
進展

・3Dプリンタ技術の活用による金型製作時
 の省資源化が進むことで、収益率が向上す
 る。

・3Dプリンタ導入の検討

原材料コスト
の変化

・脱タングステン合金など新規材料の開発を
 実現した場合、資源価格高騰に対するレジ
 リエンス性を発揮することができる。

・原料に対するリサイクルへの取り組み

顧客・投資家
の評判変化

・環境への取組が積極的な場合、新規顧客の
 増加や投融資機会の増加につながる。

・CDPなどのESG評価結果の開示に

 よる自社取り組みの公開

 

気候変動による物理的な影響

リスク

異常気象の
激甚化
海面上昇

・台風や洪水など自然災害の増加により、自
 社設備が被災する可能性が増加する。
・調達先の被災により、納期の遅延や代替品
 確保などの対応が発生する。
・顧客の被災による購買力の低下により、売
 上が減少する。

・自社のBCP対応
・防潮堤の設置
・分散型調達

平均気温の
上昇

・気温上昇により、夏季における空調費が増
 加する。

・工場外壁での断熱材の利用

室外機への遮熱塗料の塗布

 

 

※重要度評価に関しては、現時点における財務的影響額を基にした評価となっています。当社では1.5℃シナリオ、4℃シナリオの両方に対応できるよう包括的な施策を検討しており、持続可能な企業を目指していきます。

 

 

③リスク管理

 当社は、リスクマネジメント基本規程にてリスク管理方法を定めており、「(1)サステナビリティ基本方針について ⑤サステナビリティ全般に関するリスク管理」に記載の方法でリスク管理を行っております。

 

④指標と目標

 当社は、サステナビリティの観点を踏まえた経営の進捗や、気候変動に対する政策等の影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2018年度比で38%以上削減することを目標として掲げております。今後は、目標達成にむけて、自社設備の省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。

 

表3:GHG(温室効果ガス)排出量(t-CO2)

 

 

2018年度

2023年度

2024年度

自社の活動によるGHG排出(Scope1+Scope2)

18,838

15,739

14,229

(内訳)

Scope1(燃料の使用による直接排出)

2,031

1,716

1,579

Scope2(電力の使用による間接排出)

16,807

14,023

12,650

 

対象範囲:冨士ダイスグループ

 

※2024年度の排出量に関しては、2025年5月時点の排出係数を使用しております。

 今後、排出係数は更新される可能性があります。

 

(3)人的資本に関する取組について

 ①人的資本に関する戦略(人財確保、人財育成、社内環境整備)

 当社グループは人の成長が企業の成長の源泉であるという考えのもと、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」「人間尊重、人間中心の経営」を企業理念として掲げ、広く産業とくらしを支え、社会に貢献できる人、そして、自分を必要としてくれる社会に対して感謝の気持ちを持つことができる人財を育てることを目指しております。

 加えて、中長期で持続的な成長を遂げられる人財の確保・育成・制度の整備を行い、経営戦略に連動した人財戦略を目指します。

 

[人財確保の方針]

a.採用

 当社グループでは、性別・経歴・国籍・文化的背景等を区別せず、知識・資質・業績・経験等を総合的に勘案し、経験者や外国人等の人財を登用しており、当社グループ内の多様性の確保を図ることとしております。また、新卒採用においては、これまで実施していなかった、学生に直接オファーするダイレクトリクルーティング等の採用方法を取り入れております。さらに、即戦力人財獲得のためのキャリア採用は通年で実施し、これまで以上に積極的に推進しております。

 加えて、アルムナイ採用といわれる当社を退職し他社に転じた人財の再雇用も実績があります。

 今後も様々な採用手法を駆使しつつ、人財確保を進めてまいります。

 

b.高年齢者の雇用

 豊富な知識や経験を有する高齢者が定年後も働けるよう、再雇用制度を整備するとともにキャリア開発の支援を行います。

 

c.待遇

 社員がいきいきと働けるように就業環境の整備を行います。

 

 

[人財育成の方針]

a.教育・研修

 不確実なビジネス環境において当事者意識を持ち、環境の変化に対応できる人財を継続的に輩出するために自立型人財の育成を目指しております。これらの人財育成を達成するため、適切な教育・研修の機会を提供します。

 

b.配置・異動・昇進

 従業員の多様なスキルの向上を目的とし、積極的にジョブローテーションを行います。

また、すべての従業員に平等に昇進の機会があり、従業員が昇進に対して前向きに捉えられるように研修を行っております。

 

c.目標管理・評価

 自立型人財(やることを決める、決めたことをやる、チームとして働く)の育成を目的とし、年度ごとに目標を設定、評価します。また、従業員の自主性とチャレンジ精神を大切にし、評価するため、処遇面における公正性・透明性を確保します。

 

[社内環境整備の方針]

a.就業環境の整備

 従業員が安心して働ける快適な職場を作り、健康維持やモチベーション向上を促進します。

 

b.人事制度の見直し

 中長期の戦略に沿った適正な評価・報酬体系を整備し、従業員のエンゲージメント向上と組織の競争力強化を図ります。

 

c.ガバナンスの強化

 従業員の安全と健康を確保し、働きがいのある職場づくりを重視します。また職場における良好なコミュニケーションを確保し、従業員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進に取り組みます。

 

②指標と目標

 当社グループでは、上記人的資本に関する取り組みについて、次の指標を用い、その目標は次のとおりであります。

 なお、これらの指標について、当社においては関連するデータの管理を行うとともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループによる記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標は、提出会社のものを記載しております。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

企業理念研修(集合研修)の実施

年80回

85回

管理職に占める女性労働者の割合

3.6%

5.2%

スキルアップ研修の実施

延べ335人

延べ1,823人

自立型人財育成研修の実施

延べ72人

延べ80人

ストレスチェック高受検率維持

90.0%

99.7%

労働災害発生件数

0件

11件