事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
郵便・物流事業 | 2,088,481 | 16.5 | -32,220 | -3.4 | -1.5 |
郵便局窓口事業 | 1,010,197 | 8.0 | 24,155 | 2.5 | 2.4 |
国際物流事業 | 512,847 | 4.0 | 4,699 | 0.5 | 0.9 |
不動産事業 | 81,670 | 0.6 | 12,366 | 1.3 | 15.1 |
銀行業 | 2,521,896 | 19.9 | 584,377 | 61.1 | 23.2 |
生命保険業 | 6,164,966 | 48.6 | 169,813 | 17.8 | 2.8 |
その他 | 306,595 | 2.4 | 192,713 | 20.2 | 62.9 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) 当社グループの事業の内容
日本郵政グループ(以下「当社グループ」といいます。)は、当社、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」といいます。)、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」といいます。)及び株式会社かんぽ生命保険(以下「かんぽ生命保険」といい、日本郵便及びゆうちょ銀行と併せて「事業子会社」と総称します。)を中心に構成され、「郵便・物流事業」、「郵便局窓口事業」、「国際物流事業」、「不動産事業」、「銀行業」、「生命保険業」等の事業を営んでおります。当該6事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であり、報告セグメントに含まれていない事業を「その他」に区分しております。
また、当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
各事業における事業の内容並びに当社及び関係会社の位置づけは次に記載のとおりであります。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
(注) 1.○は連結子会社、△は持分法適用関連会社であります。
2.当社の子会社である日本郵便は、子会社であるJWT株式会社を通じ、2025年2月27日より、トナミホールディングス株式会社に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)を実施しました。本公開買付けにより、本公開買付けの決済日である2025年4月17日付で、議決権の所有割合は87.24%となり、当社の連結子会社となりました。同社は、5月30日に開催した臨時株主総会において株式併合の実施を決議しており、これによって効力が発生した場合には同社はJWT株式会社の完全子会社となり、JWT株式会社の商号は「JPトナミグループ株式会社」に変更される予定です。
3.2024年5月21日付で、投資運用業務を事業内容とするゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社(議決権の所有割合はゆうちょ銀行100%)を設立しております。
4.2024年4月1日付で、建築物等の調査・企画、設計・工事監理、コンストラクションマネジメント、建築物等の管理及び運営維持に関する支援を事業内容とする日本郵政建築株式会社(議決権の所有割合は当社100%)を設立しております。
なお、2024年7月1日付で、当社の不動産の管理等に関する業務を、日本郵政建築株式会社へ承継させる会社分割(簡易吸収分割)を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」のとおりであります。
① 郵便・物流事業
当事業では、郵便法(昭和22年法律第165号)の規定により行う郵便の業務並びに郵便物の作成及び差出しに関する業務その他の附帯する業務等の郵便事業並びに物流事業等を行っております。
(a) 郵便事業
郵便サービスを全国一律の料金であまねく公平に提供し、国内郵便に加え、万国郵便条約などの条約・国際取り決めに基づく国際郵便(通常・小包・EMS※)を提供しております。
また、お客さまの郵便発送業務一括アウトソーシングのニーズにお応えするため、郵便物などの企画・作成(印刷)から封入・封かん、発送までをワンストップで請け負うトータルサービスを提供しております。
その他、国からの委託による印紙の売りさばき、お年玉付郵便葉書の発行等の業務を行っております。
※ EMS=国際スピード郵便(Express Mail Service)
(b) 物流事業
物流サービスとして、宅配便(ゆうパック等)及びメール便(ゆうメール等)の運送業務を行っており、eコマース市場の成長に伴う多様な顧客ニーズに的確に応えたサービスを提供いたします。一方、多様化・高度化する物流ニーズに対しては、物流ソリューションセンターを中心として、お客さまに最適な物流戦略、物流システムの設計、提案、構築から運用までを行う3PL※サービスの提供を展開しております。
さらに、eコマースを中心とした小口荷物の国際宅配需要を獲得するため、2014年に資本・業務提携した海外物流パートナーである、仏GeoPost S.A.及び香港Lenton Group Limitedとの間で開発した国際宅配便サービスである「ゆうグローバルエクスプレス」により国際郵便で提供できない付加価値サービスに対応いたします。
※ 3PL(サードパーティーロジスティクス)=サード・パーティー(=3PL事業者)が、荷主の物流業務全体又は一部を荷主から包括的に受託するサービスの形態。
(c) その他
(a)及び(b)の業務の他、カタログ等に掲載されている商品若しくは権利の販売又は役務の提供に係る申込みの受付け、商品代金の回収等の業務や、地方公共団体からの委託を受けて空き家調査業務等を行っております。
② 郵便局窓口事業
当事業では、お客さまにサービスを提供するための営業拠点として全国に設置した直営の郵便局(2025年3月31日現在20,133局(うち、営業中は20,017局))及び業務を委託した個人又は法人が運営する簡易郵便局※(2025年3月31日現在4,052局(うち、営業中は3,449局)。ただし、銀行代理業務等に係る委託契約を締結しているのは3,457局(うち、営業中は3,434局)、生命保険募集委託契約を締結しているのは337局(うち、営業中は335局))において郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務等、保険窓口業務等、物販事業を行っている他、提携金融サービスを行っております。
※ 簡易郵便局法(昭和24年法律第213号)第3条に規定する日本郵便が郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務を委託する者が設ける施設であり、日本郵便と受託者との受委託契約により行う業務が異なります。
(a) 郵便・物流事業に係る窓口業務
郵便物の引受・交付、郵便切手類の販売、ゆうパック等物流サービスの引受、印紙の売りさばき等を行っております。
(b) 銀行窓口業務等
ゆうちょ銀行から委託を受け、通常貯金、定額貯金、定期貯金、送金・決済サービスの取扱い、公的年金などの支払い、国債や投資信託の窓口販売などを行っております。
(c) 保険窓口業務等
かんぽ生命保険から委託を受け、生命保険の募集や保険金の支払いなどを行っております。
(d) 物販事業
カタログ等を利用して行う商品又は権利の販売並びに商品の販売又は役務の提供に係る契約の取次ぎ及び当該契約に係る代金回収を行う業務等として、生産地特選品販売、年賀状印刷サービス、フレーム切手販売、文房具等の郵便等関連商品の陳列販売等を行っております。また、社員による販売に加え、インターネット及びDMによる販売を行っております。
(e) 提携金融サービス
かんぽ生命保険以外の生命保険会社や損害保険会社などから委託を受け、変額年金保険、がん保険、引受条件緩和型医療保険、自動車保険、傷害保険等の販売を行っております。
(f) その他の事業
(a)~(e)の業務の他、以下の業務を行っております。
・地方公共団体からの委託を受けて行う戸籍謄本や住民票の写し等の公的証明書の交付事務、ごみ処理券等の販売、バス利用券等の交付事務
・当せん金付証票(宝くじ)の発売等の事務に係る業務
・日本放送協会からの委託を受けて行う放送受信契約の締結・変更に関する業務
・郵便局等の店頭スペース等の活用、窓口ロビーへのパンフレット掲出等の広告業務
・会員向け生活支援サービス業務(郵便局のみまもりサービス) 等
③ 国際物流事業
当事業では、Toll Holdings Pty Limited(以下「トール社」といいます。)、同社傘下の子会社及び関連会社において、アジア太平洋地域に関わる輸出入を中心としたフルラインでの国際的貨物輸送、及び、アジア太平洋地域に関わる輸送・倉庫管理や資源・政府分野物流等のサービスを行っております。
トール社及び同社傘下の子会社は、下表の2部門で構成されており、不特定の顧客や小さな契約ベースの顧客を対象としたフォワーディング事業及び特定顧客のニーズを満たすために構築したロジスティクス事業を提供しております。
④ 不動産事業
当事業では、オフィスビル・商業施設・住宅等の開発による賃貸事業及び分譲事業のほか、賃貸用建物の運営管理等を行っております。グループ保有不動産の開発を中心に、用途やエリアごとのマーケットを見極めたグループ外の収益物件の取得も推進しております。
当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
⑤ 銀行業
当事業では、ゆうちょ銀行が、銀行法に基づき、預入限度額内での預金(貯金)業務、有価証券投資業務、シンジケートローン等の貸出業務、為替業務、国債、投資信託及び保険商品の販売、住宅ローン媒介業務、クレジットカード業務などを営んでおります。また、日本郵便の郵便局ネットワークをメインチャネルに、1.2億人規模のお客さまに生活・資産形成に貢献する金融サービスを提供し、お預かりした貯金を有価証券で運用することを主な事業としております。
また、ゆうちょ銀行及びその関係会社は、銀行業務のほか、金融商品取引業務などを行っております。
(a) 資金運用
ゆうちょ銀行は、2025年3月末日現在、個人貯金が90%超を占める190.4兆円の貯金を、主として有価証券143.5兆円(内、国債40.3兆円、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)87.4兆円)で運用し、資金運用収益を中心に収益を確保しております。
具体的には、想定した市場環境の下、負債の状況等を踏まえて国債等の運用資産・運用期間を適切に管理するとともに、収益源泉の多様化・リスク分散の観点から、国際分散投資の推進、オルタナティブ資産への投資など運用の高度化・多様化を図っているほか、地域経済活性化にも貢献すべく、従来からの地方公共団体向け資金供給の強化に加え、地域金融機関と連携し、地域活性化ファンドへの出資等に取り組んでおります。
こうした金融資産及び金融負債は、市場リスク(金利、為替、株式など様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債(オフ・バランスを含む。)の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク)や信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフ・バランス資産を含む。)の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク)を伴うものであるため、デリバティブ取引等で一定のリスクをヘッジしつつ、収益確保に努めております。
(b) 資金調達、資産・負債総合管理
ゆうちょ銀行は、本支店その他の営業所、日本郵便が展開している郵便局ネットワークを通じて、お客さまから通常貯金、定額・定期貯金などの各種の貯金を預入限度額内でお預かりしております。
また、郵政管理・支援機構が、公社から承継した郵便貯金に相当する預り金を、特別貯金として受け入れております。
さらに、上記(a)の資金運用(資産)と市場取引も含めた資金調達(負債)について、信用・市場リスクや流動性リスク(運用・調達期間の差異や資金流出により、必要な資金調達や通常の金利での資金調達が困難となるリスク)をマネージするため、各商品のリスク特性に合わせた7つのポートフォリオに細分化して管理する枠組みのもとで、資産・負債を総合的に内部管理するALM(Asset Liability Management)を適切に展開し、中期的な収益の確保に努めております。
(c) 手数料ビジネス
ゆうちょ銀行は、本支店その他の営業所(直営店)・日本郵便の郵便局ネットワーク・各種デジタルチャネルを通じて、為替業務、国債・投資信託等の資産運用商品の販売、クレジットカード業務、住宅ローン媒介業務及び各金融機関と連携したATM提携サービスなどを提供し、手数料(役務取引等)収益を確保しております。
⑥ 生命保険業
当事業では、かんぽ生命保険が、保険業法に基づく免許・認可を得て、生命保険の引受け及び有価証券投資、貸付等の資産運用業務を行っております。
また、日本郵便との間で生命保険募集・契約維持管理業務委託契約等を締結し、2025年3月31日現在、20,097局(うち、営業中は19,981局)の郵便局で生命保険募集等を行っております。
(a) 生命保険業
かんぽ生命保険は、生命保険業免許に基づき、次の①~③の保険引受業務及び④~⑫の資産運用業務を行っております。ただし、かんぽ生命保険には、他の生命保険会社にはない、業務を行うに当たっての郵政民営化法による制約があります。詳細は下記「(3) 事業に係る主な法律関連事項 ③(i)~(l)」をご参照ください。
(注) かんぽ生命保険と郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてをかんぽ生命保険が受再しております。
(b) 他の保険会社(外国保険業者を含む。)その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行
かんぽ生命保険は、次の保険会社の商品の受託販売等を行っております。
・アフラック生命保険株式会社
・エヌエヌ生命保険株式会社
・住友生命保険相互会社
・第一生命保険株式会社
・東京海上日動あんしん生命保険株式会社
・日本生命保険相互会社
・ネオファースト生命保険株式会社
・三井住友海上あいおい生命保険株式会社
・明治安田生命保険相互会社
・メットライフ生命保険株式会社
(c) 郵政管理・支援機構から委託された簡易生命保険管理業務
かんぽ生命保険は、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約の管理業務を、郵政管理・支援機構から受託しております。
⑦ その他
上記の各事業のほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するグループシェアード事業、公社から承継した病院及び宿泊施設の運営、成長性の高い企業に出資を行う投資事業等を行っております。
(a) グループシェアード事業
当社グループ各社が個別に実施するよりもグループ内で1か所に集約した方が効率的な実施が見込まれる間接業務(電気通信役務及び情報処理サービスの提供、人事及び経理に関する業務、福利厚生に関する業務、不動産の管理等に関する業務、人材派遣・紹介等の業務、コールセンターに関する業務、人材育成に関する業務及び健康管理業務など)を、事業子会社等から受託して実施することにより、業務を支援するとともに、経営効率の向上を図っております。
(b) 病院事業
当社グループの企業立病院として、東京逓信病院を運営しております。
(注) 逓信病院設置数は2025年3月31日現在、東京逓信病院の1か所であります。
(c) 宿泊事業
「ゆうぽうと世田谷レクセンター」の運営、管理を行っております。
(注) 宿泊事業における施設設置数は2025年3月31日現在、「ゆうぽうと世田谷レクセンター」の1か所であります。
(d) 投資事業
成長性の高い企業に出資を行うことにより、出資先企業と当社グループとの連携及び中長期的なグループ収益の拡大を図っております。
上記のほか、当社は、事業子会社等の経営の基本方針の策定及び実施の確保並びに株主としての権利の行使を行うこととしております。
(2) 当社グループの事業系統図
当社グループの事業系統図は、次のとおりであります。
(注) 1.持分法非適用の非連結子会社及び関連会社は、記載を省略しております。
2.当社の子会社である日本郵便は、子会社であるJWT株式会社を通じ、2025年2月27日より、トナミホールディングス株式会社に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)を実施しました。本公開買付けにより、本公開買付けの決済日である2025年4月17日付で、議決権の所有割合は87.24%となり、当社の連結子会社となりました。同社は、5月30日に開催した臨時株主総会において株式併合の実施を決議しており、これによって効力が発生した場合には同社はJWT株式会社の完全子会社となり、JWT株式会社の商号は「JPトナミグループ株式会社」に変更される予定です。
3.2024年5月21日付で、投資運用業務を事業内容とするゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社(議決権の所有割合はゆうちょ銀行100%)を設立しております。
4.2024年4月1日付で、建築物等の調査・企画、設計・工事監理、コンストラクションマネジメント、建築物等の管理及び運営維持に関する支援を事業内容とする日本郵政建築株式会社(議決権の所有割合は当社100%)を設立しております。
なお、2024年7月1日付で、当社の不動産の管理等に関する業務を、日本郵政建築株式会社へ承継させる会社分割(簡易吸収分割)を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」のとおりであります。
(3) 事業に係る主な法律関連事項
当社グループが行う事業に係る主な法律関連事項は、次のとおりであります。
① 日本郵政株式会社法
(a) 趣旨
当社の目的、業務の範囲等が定められております。当社は、本法により政府の規制を受けるとともに、商号の使用制限等の特例措置が講じられております。
(b) 会社の目的
当社は、日本郵便の発行済株式の総数を保有し、日本郵便の経営管理を行うこと及び日本郵便の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とされております。(法第1条)
(c) 業務の範囲
当社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとされております。(法第4条第1項)
イ. 日本郵便が発行する株式の引受け及び保有
ロ. 日本郵便の経営の基本方針の策定及びその実施の確保
ハ. 日本郵便の株主としての権利の行使等
ニ. イ.からハ.に掲げる業務に附帯する業務
(d) 業務の制限
次に掲げる事項について、総務大臣の認可が必要とされております。
イ. その目的を達成するために法第4条第1項に規定する業務のほかに行う必要な業務(法第4条第2項)
ロ. 募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集、又は株式交換若しくは株式交付に際して行う株式若しくは新株予約権の交付(法第8条)
ハ. 取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議(法第9条)
ニ. 毎事業年度の事業計画(法第10条)
ホ. 定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、会社分割及び解散の決議(法第11条)
(e) ユニバーサルサービスの提供
当社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有することとされております。(法第5条)
(f) 株式の保有
当社は、常時、日本郵便の発行済株式の総数を保有していなければならないこととされております。(法第6条)
(g) 株式の処分
政府は、保有義務のある3分の1超の株式を除き、その保有する当社の株式について、できる限り早期に処分するものとされております。(法附則第3条)
なお、政府は、当社の株式の売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還費用の財源を確保するため、当社の経営の状況、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ処分の在り方を検討し、その結果に基づいて、当社の株式をできる限り早期に処分するものとされております。(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法附則第14条)
② 日本郵便株式会社法
(a) 趣旨
日本郵便の目的、業務の範囲等が定められております。同社は、本法により政府の規制を受けるとともに、商号の使用制限等の特例措置が講じられております。
(b) 会社の目的
日本郵便は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とされております。(法第1条)
(c) 業務の範囲
イ. 日本郵便は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとされております。(法第4条)
ⅰ 郵便法(昭和22年法律第165号)の規定により行う郵便の業務
ⅱ 銀行窓口業務
ⅲ ⅱに掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、銀行窓口業務契約の締結及び当該銀行窓口業務契約に基づいて行う関連銀行に対する権利の行使
ⅳ 保険窓口業務
ⅴ ⅳに掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、保険窓口業務契約の締結及び当該保険窓口業務契約に基づいて行う関連保険会社に対する権利の行使
ⅵ 国の委託を受けて行う印紙の売りさばき
ⅶ ⅰからⅵに掲げる業務に附帯する業務
ロ. 日本郵便は、イ.に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができるものとされております。
ⅰ お年玉付郵便葉書等に関する法律(昭和24年法律第224号)第1条第1項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第5条第1項に規定する寄附金付郵便葉書等の発行
ⅱ 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成13年法律第120号)第3条第5項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第1項第1号に規定する郵便局取扱事務に係る業務
ⅲ ⅱに掲げるもののほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
ⅳ ⅰからⅲに掲げる業務に附帯する業務
ハ. 日本郵便は、イ.及びロ.に規定する業務のほか、イ.及びロ.に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、イ.及びロ.に規定する業務以外の業務を営むことができるものとされております。
ニ. 日本郵便は、ロ.ⅲに掲げる業務及びこれに附帯する業務並びにハ.に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならないものとされております。
※ 金融2社は、現在、日本郵便が金融のユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすために営む銀行代理業又は保険募集等に係る業務委託契約を日本郵便との間でそれぞれ締結しております。これらの契約を締結している銀行又は生命保険会社を、それぞれ関連銀行、関連保険会社といいます。
(d) 業務の制限
次に掲げる事項について、総務大臣の認可が必要とされております。
イ.新株若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集、又は株式交換若しくは株式交付に際して行う株式若しくは新株予約権の交付(法第9条)
ロ. 毎事業年度の事業計画(法第10条)
ハ. 総務省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするとき(法第11条)
ニ. 定款の変更、合併、会社分割及び解散の決議(法第12条)
(e) ユニバーサルサービスの提供
日本郵便は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有することとされております。(法第5条)
③ 郵政民営化法
(a) 趣旨
郵政民営化の基本理念、基本方針等を定めるとともに、公社の解散に伴い、公社の機能を引き継がせる新たな株式会社(以下、本③において「新会社」といいます。)の設立、新会社の株式、新会社に関して講ずる措置、公社の業務等の承継等に関する事項その他郵政民営化の実施に必要となる事項が定められております。
2012年5月8日公布の郵政民営化法等の一部を改正する等の法律の施行に伴い、郵政民営化法が改正され、郵便サービスのみならず、貯金、保険の基本的なサービスを郵便局で一体的に利用できるようにするユニバーサルサービスの確保が義務づけられ、また、当社が保有するゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式については、その株式の全部を処分することを目指し、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の経営状況、郵政事業に係る基本的な役務の確保の責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとされております。
(b) 株式の処分
当社の発行済株式の総数は政府が保有し、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の発行済株式の総数は当社が保有するものとされており、政府が保有する当社の株式がその発行済株式の総数に占める割合は、できる限り早期に減ずるものとされておりますが、その割合は、常時、3分の1を超えているものとされております。
また、当社が保有するゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式について、その株式の全部を処分することを目指し、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の経営状況、郵政事業に係る基本的な役務の確保の責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとされております。(法第5条、第7条及び第62条)
(c) ユニバーサルサービスの提供
当社及び日本郵便は、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持するものとし、郵便局ネットワークの活用その他の郵政事業の実施に当たっては、その公益性及び地域性が十分に発揮されるようにするものとされております。(法第7条の2)
(d) 同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保
当社、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の業務については、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するために必要な制限を加えるとともに、ゆうちょ銀行について銀行法等の特例を適用しないこととする日又はかんぽ生命保険について保険業法等の特例を適用しないこととする日のいずれか遅い日以後の最初の3月31日までの期間中に、郵政民営化に関する状況に応じ、これを緩和するものとされております。
また、日本郵便は、日本郵便株式会社法第4条第2項第3号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに同条第3項に規定する業務(以下「届出業務」といいます。)を営むに当たっては、届出業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することのないよう特に配慮しなければならないとされております。(法第8条及び第92条)
(e) ゆうちょ銀行における業務の制限
ゆうちょ銀行は、郵政民営化法により、郵政民営化時に認められていなかった業務(いわゆる新規業務)を行うときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を要するものとされております。(法第110条)
認可を要する業務の概要は、以下イ.からヘ.のとおりであります。
また、内閣総理大臣及び総務大臣は、新規業務の認可や下記(g)(h)の規制に係る認可の申請があった場合、下記(f)の規制に係る政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合は、郵政民営化委員会の意見を聴かなければならないこととされております。
なお、2025年3月の当社によるゆうちょ銀行の株式の売出し及び今後の当社が保有するゆうちょ銀行の株式に係る株式処分信託に対する拠出により、当社のゆうちょ銀行に対する議決権比率は50%を下回る水準となる予定であり、当社はゆうちょ銀行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣へ届出予定です。
当社がゆうちょ銀行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、郵政民営化法第110条に係る認可は要しないものの、ゆうちょ銀行が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うに当たっては、他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。(法第110条の2)
イ.外貨預金の受入れ、譲渡性預金の受入れ
ロ.資金の貸付け又は手形の割引(次のⅰからⅵに掲げる業務を除く)
ⅰ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け
ⅱ 国債証券等を担保とする資金の貸付け
ⅲ 地方公共団体に対する資金の貸付け
ⅳ コール資金の貸付け
ⅴ 当社、日本郵便又はかんぽ生命保険に対する資金の貸付け
ⅵ 郵政管理・支援機構に対する資金の貸付け
ハ.銀行業に付随する業務等のうち、次のⅰからⅻに掲げる業務
ⅰ 債務の保証又は手形の引受け
ⅱ 特定目的会社発行社債の引受け等
ⅲ 有価証券の私募の取扱い
ⅳ 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託
ⅴ 外国銀行の業務の代理又は媒介
ⅵ デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
ⅶ 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
ⅷ 有価証券関連店頭デリバティブ取引
ⅸ 有価証券関連店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
ⅹ 投資助言業務
ⅺ 信託に係る事務に関する業務
ⅻ 地球温暖化防止の観点での算定割当量関連業務
ニ.登録金融機関の業務(金融商品取引法第33条第2項の業務)(次のⅰからⅲに掲げる業務を除く)
ⅰ 投資の目的又は信託契約に基づく有価証券の売買・有価証券関連デリバティブ取引及び書面取次ぎ行為
ⅱ 国債等の募集の取扱い等
ⅲ 証券投資信託の募集の取扱い等
ホ.その他の法律の規定により銀行が営むことができる業務(次のⅰからⅷに掲げる業務を除く)
ⅰ 休眠預金等代替金の支払等
ⅱ 当せん金付証票の売りさばき等
ⅲ 国民年金基金の加入申出受理業務
ⅳ かんぽ生命保険の一部の生命保険の募集
ⅴ 確定拠出年金(個人型)の加入申込受理業務
ⅵ 拠出年金運営管理業(個人型)
ⅶ 公的給付支給等口座の登録申請受付業務等
ⅷ 個人番号の利用による口座管理業務
ヘ.その他内閣府令・総務省令で定める業務
(f) ゆうちょ銀行における預入限度額
ゆうちょ銀行は、郵政民営化法により、当座預金に相当する振替貯金を除き、原則として一の預金者から、受入れをすることができる預金等の額が制限されております。(法第107条、郵政民営化法施行令第2条)
2019年3月13日に公布された郵政民営化法施行令の一部を改正する政令に基づき、同政令の施行日である2019年4月1日からの預入限度額は下記のとおりであります。また、預金保険制度による貯金の保護の範囲については変更ありません。
イ.通常貯金・・・1,300万円
ロ.定期性貯金(定額貯金及び定期貯金等。郵政民営化前に預入した郵便貯金(郵政管理・支援機構に引き継がれたもの)を含み、ハ.を除く。)・・・1,300万円
ハ.財形定額貯金、財形年金定額貯金、財形住宅定額貯金・・・あわせて550万円
(g) ゆうちょ銀行における子会社保有の制限
ゆうちょ銀行は、子会社対象金融機関等を子会社(銀行法第2条第8項に規定する子会社)としようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。(法第111条第1項)
また、銀行(銀行法第16条の2第1項第1号、第2号又は第7号に掲げる会社)を子会社としてはならないものとされております。(法第111条第7項)
(h) ゆうちょ銀行における合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けの認可
ゆうちょ銀行を当事者とする合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております。(法第113条第1項、第3項及び第5項)
ただし、内閣総理大臣及び総務大臣は、金融機関(預金保険法第2条第1項各号に掲げる者)との合併その他一定の合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けについては、上記認可をしてはならないものとされております。(法第113条第2項、第4項及び第6項)
(i) かんぽ生命保険における業務の制限
かんぽ生命保険は、郵政民営化法により、政令で定めるもの以外の保険の種類の保険の引受けを行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。(法第138条第1項)
また、保険業法第97条の規定により行う業務以外の業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないとされております。(法第138条第3項)
なお、保険料として収受した金銭その他の資産を次に掲げる方法以外の方法により運用しようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。(法第138条第2項)
イ.保険契約者に対する資金の貸付け
ロ.地方公共団体に対する資金の貸付け
ハ.コール資金の貸付け
ニ.当社又は日本郵便に対する資金の貸付け
ホ.郵政管理・支援機構に対する資金の貸付け
ヘ.その他内閣府令・総務省令で定める方法
また、内閣総理大臣及び総務大臣は、新規業務の認可や下記(k)(l)の規制に係る認可の申請があった場合、下記(j)の規制に係る政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合は、郵政民営化委員会の意見を聴かなければならないこととされております。
一方、当社がかんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、郵政民営化法第138条に係る認可は要しないものの、かんぽ生命保険が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うに当たっては、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。(法第138条の2)
当社は2021年6月9日付でかんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨の届出を行ったことから、郵政民営化法第138条の2の定めに基づき、新規業務、新商品の開発・販売、新たな方法による資産運用にかかる認可手続きは不要となり、届出制へと移行しております。なお、郵政民営化委員会から2021年10月14日に公表された「株式会社かんぽ生命保険の新規業務に関する届出制の運用に係る郵政民営化委員会の方針(令和3年10月)」において、届出後に必要に応じて郵政民営化委員会による調査審議が実施される場合があり、その場合の調査審議に要する期間はこれまでの認可制に比べて短縮される旨の方針が示されております。
(j) かんぽ生命保険における加入限度額
かんぽ生命保険の保険契約については、郵政民営化法及び関連法令により、被保険者1人について加入できる保険金額などの限度(加入限度額)が定められております。(法第137条、郵政民営化法施行令第6条、第7条及び第8条)
なお、被保険者が郵政民営化前の簡易生命保険契約に加入している場合には、加入限度額は、以下の金額から簡易生命保険契約の保険金額等を差し引いた額となります。
イ. 基本契約の保険金額の加入限度額
ⅰ 被保険者が満15歳以下のとき 700万円
ⅱ 被保険者が満16歳以上のとき 1,000万円(被保険者が満55歳以上の場合の特別養老保険の保険金額は、加入している普通定期保険及び普通定期保険(R04)とあわせて800万円)
ただし、被保険者が満20歳以上55歳以下の場合は、一定の条件(加入後4年以上経過した保険契約がある場合など)のもとに、累計で2,000万円までとなっております。なお、特定養老保険については、年齢にかかわらず、500万円までとなっております。
ロ. 年金額(介護割増年金額を除きます。)の加入限度額
年額90万円(初年度の基本年金額)(夫婦年金保険及び夫婦年金保険付夫婦保険の配偶者である被保険者に係る額を除きます。)
ハ. 特約保険金額の加入限度額
ⅰ 疾病にかかったこと、傷害を受けたこと又は疾病にかかったことを原因とする人の状態、傷害を受けたことを直接の原因とする死亡及びこれらに類するものに対する保障・・・あわせて1,000万円
ⅱ 上記に掲げるものに関し、治療を受けたことに対する保障・・・1,000万円
(注) 上記の法令で定める加入限度額以外にも、基本契約の保険種類等により付加できる特約の保険金額に一定の制限があります。
ニ. 払込保険料総額の加入限度額
財形積立貯蓄保険及び財形住宅貯蓄保険・・・あわせて550万円(財形商品については、他に、関連法令による払込保険料総額等の制限があります。)
(k) かんぽ生命保険における子会社保有の制限
かんぽ生命保険は、子会社対象会社を子会社(保険業法第2条第12項に規定する子会社)としようとするとき(同法第106条第1項第16号に掲げる会社にあっては、かんぽ生命保険又はその子会社が合算してその基準議決権数を超える議決権を取得し、又は保有しようとするとき)は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。(法第139条第1項)
また、保険会社等(保険業法第106条第1項第1号から第2号の2まで又は第8号に掲げる会社)を子会社としてはならないものとされております。(法第139条第7項)
(l) かんぽ生命保険における保険契約の移転、合併、会社分割又は事業の譲渡若しくは譲受けの認可
かんぽ生命保険がする保険契約の移転、かんぽ生命保険を当事者とする合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないものとされております。(法第141条第1項、第3項、第5項及び第7項)
また、内閣総理大臣及び総務大臣は、当社又はかんぽ生命保険の子会社を移転先会社とする保険契約の移転、保険会社(保険業法第2条第2項に規定する保険会社)との合併その他一定の合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けについては、上記認可をしてはならないものとされております。(法第141条第2項、第4項、第6項及び第8項)
(注) 当社がかんぽ生命保険の株式の全部を処分した日又は当社がかんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、かんぽ生命保険と他の生命保険会社との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認める決定があった日のいずれか早い日以後は、上記(i)に記載の同法第138条の2に基づく届出は不要となります。加えて、この場合には、上記(i)から(l)までに記載の郵政民営化法上の制限等は適用されないこととされております。(法第134条)
④ 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法
(a) 趣旨
郵政管理・支援機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めております。
(b) 概要
郵政管理・支援機構の目的は、公社から承継し政府による支払保証が継続された郵便貯金(積立郵便貯金、定額郵便貯金、定期郵便貯金等)及び簡易生命保険を適正かつ確実に管理し、これらに係る債務を確実に履行することにより、郵政民営化に資するとともに、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与することとされております。(法第3条)
郵政管理・支援機構は、郵便貯金管理業務(公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)及び簡易生命保険管理業務(同簡易生命保険契約の管理に関する業務等)をその業務の範囲とし、郵便貯金管理業務の一部をゆうちょ銀行に、簡易生命保険管理業務の一部をかんぽ生命保険に、それぞれ委託しております。(法第13条、第15条及び第18条)
郵政管理・支援機構は、ゆうちょ銀行との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための預金に係る契約を、かんぽ生命保険との間で簡易生命保険契約の再保険の契約を、それぞれ締結しております。(法第15条及び第16条)
また、郵便局ネットワークの維持の支援に要する費用に充てるため、郵政管理・支援機構が関連銀行(ゆうちょ銀行)及び関連保険会社(かんぽ生命保険)から拠出金を徴収し、日本郵便に対し郵便局ネットワークの維持に要する費用の一部に充てるための交付金を交付することとされております。(法第18条の2及び第18条の3)
⑤ 郵便法
(a) 郵便の実施
郵便の業務については、日本郵便が行うことが郵便法に定められております。(法第2条)
また、日本郵便以外の何人も、郵便の業務を業とし、また、日本郵便が行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならないとされております。(法第4条)
(b) ユニバーサルサービスの提供
郵便法の目的が、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することと規定されているとおり(法第1条)、日本郵便は郵便のユニバーサルサービスを提供することが義務付けられております。
(c) 業務の制限
イ.郵便約款
日本郵便は、郵便の役務に関する提供条件について郵便約款を定め、総務大臣の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも同様とされております。(法第68条)
ロ.郵便業務管理規程
日本郵便は、業務開始の際、郵便の業務の管理に関する規程を定め、総務大臣の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも同様とされております。(法第70条)
ハ.業務の委託
日本郵便は、郵便の業務の一部を委託しようとするときは、他の法律に別段の定めがある場合を除き、総務大臣の認可を受けなければならないとされております。(法第72条)
ニ.料金
日本郵便は、郵便に関する料金を定め、あらかじめ総務大臣に届け出なければならず、これを変更するときも同様とされております。また、第三種郵便物及び第四種郵便物については、日本郵便が料金を定め、総務大臣の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも同様とされております。(法第67条)
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況及び分析・検討
当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比1,539,496百万円減の297,149,653百万円となりました。
主な要因は、現金預け金7,614,772百万円の増、銀行業等におけるその他資産505,038百万円の増、銀行業におけるコールローン115,000百万円の増の一方、銀行業等における貸出金4,545,660百万円の減、銀行業等における有価証券3,805,677百万円の減、銀行業及び生命保険業における買現先勘定1,721,362百万円の減によるものであります。
負債の部合計は、前連結会計年度末比1,090,506百万円減の281,860,113百万円となりました。
主な要因は、銀行業及び生命保険業における売現先勘定3,554,335百万円の増、銀行業等における借用金679,425百万円の増、保険業等における社債124,300百万円の増の一方、銀行業における貯金2,735,472百万円の減、生命保険業における責任準備金1,747,260百万円の減、銀行業等におけるその他負債449,264百万円の減によるものであります。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比448,990百万円減の15,289,540百万円となりました。
主な要因は、非支配株主持分727,145百万円の増、銀行業等における繰延ヘッジ損益206,158百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金776,705百万円の減、自己株式49,995百万円の減によるものであります。
各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比3,963百万円減※の1,923,736百万円となりました。
主な要因は、その他資産が187,949百万円増加※した一方、現金預け金が192,076百万円、無形固定資産が1,698百万円減少※したことによるものであります。
※当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、前連結会計年度末比は、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
② 郵便局窓口事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比96,019百万円増※の1,882,026百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が66,058百万円、無形固定資産が1,036百万円減少※した一方、その他資産が159,437百万円増加※したことによるものであります。
※当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、前連結会計年度末比は、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
③ 国際物流事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比9,062百万円増の384,000百万円となりました。
主な要因は、有価証券が11,793百万円、その他資産が4,043百万円減少した一方、有形固定資産が22,307百万円、無形固定資産が1,502百万円増加したことによるものであります。
④ 不動産事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比52,606百万円増※の1,146,582百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が43,797百万円減少※した一方、その他資産が93,109百万円増加※したことによるものであります。
※当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、前連結会計年度末比は、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
⑤ 銀行業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比306,476百万円減の233,599,787百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が6,914,609百万円増加した一方、貸出金が3,717,798百万円、有価証券が2,902,802百万円減少したことによるものであります。
⑥ 生命保険業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,300,666百万円減の59,555,233百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が818,761百万円増加した一方、有価証券が1,165,478百万円、貸出金が751,262百万円、買現先勘定が442,278百万円減少したことによるものであります。
(2) 経営成績の状況及び分析・検討
当連結会計年度、当社グループは、2024年5月に発表した中期経営計画「JP ビジョン2025+」(2024年度~2025年度)で掲げたお客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現を目指し、収益力の強化、人材への投資によるEX※1(従業員体験価値)向上、DX※2の推進等によるUX※3(ユーザー体験価値)向上へ重点的に取り組んでまいりました。
2025年4月には、トナミホールディングス株式会社の創業家代表・経営陣及び日本郵便の共同コンソーシアムによるトナミホールディングス株式会社の株式に対する公開買付けが成立し、同社は日本郵便の連結子会社となりました。 日本郵便は、幹線輸送※4に強みを持つトナミホールディングス株式会社との協業による更なる付加価値向上を目指しております 。
グループ一体でのDXの推進については、2024年5月には、グループプラットフォームアプリ「郵便局アプリ」に郵便局の主要サービスである金融機能を新たに追加したほか、同年11月には、グループ独自のポイントサービス「ゆうゆうポイント」を開始し、郵便局ならではの限定商品との交換や抽せんへの応募にご利用いただけるようにいたしました。
また、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を受け、グループガバナンス及びコンプライアンスの強化並びに営業推進態勢の見直し等の再発防止策を講じ、適切な業務運営への取組みに努めてまいりました。
そのような中、当年度は郵便局において、お客さまから事前に同意をいただかないまま非公開金融情報※5を保険募集や投資信託等の販売を目的とした来局のご案内に不適切に利用した事案(以下「非公開金融情報の不適切利用事案」といいます。)を確認しました。非公開金融情報の不適切利用事案については、保険募集を目的とした来局のご案内に利用した事案の確認を2024年9月に、その後判明した調査結果及び再発防止策を同年10月にそれぞれ公表しました。また、本事案の実態をより正確に把握するため、調査対象を投資信託等への利用にも拡大して追加調査を行い、原因を分析した上で、再発防止策を策定するとともに、事案全体を踏まえた関係者の責任を明確化し、2025年3月に公表しました。なお、本事案は、法令で定める非公開金融情報の保護措置等に不備があったものであり、当社グループではこの責任を重く受け止め、関係役員の報酬の減額を行いました。
再発防止策として、非公開金融情報等の取扱いに係るルールの明確化及び社員研修の充実、郵便局へのモニタリングの強化等を行ったほか、グループの幅広いお客さま接点で非公開金融情報等の利用に係る同意をいただく取組みを促進するとともに、郵便局等でその情報を参照・検索等に利用できるようなシステム環境の整備に向け、当社を中心とした、グループ横断的なプロジェクトを設置しました。
また、2024年1月に販売を開始した一時払終身保険に関して、販売に係る保険業法上の認可を取得する前にお客さまへ勧誘を行っていた事案(以下「認可取得前勧誘事案」といいます。)を確認し、同年3月に公表するとともに、本件以外の事案を含む実態を把握するための調査を開始しました。
再発防止策として、法令等遵守の徹底及び業務品質の確保に向けた取組みを行うほか、それらの再発防止策の実効性確保のため、モニタリング・フォローアップの強化や2線による1線へのけん制機能の発揮など、リスク認識力の強化に向けた取組みやガバナンス強化に向けた取組みを行ってまいります。
加えて、法令に定められた点呼業務を実施しないまま配達業務を行った事案を確認し、2025年3月に公表するとともに、全国の郵便局における点呼業務執行状況の調査を開始し、同年4月に調査結果及び再発防止策を公表したほか、総務省から、再発防止策及びユニバーサルサービスの確保等に関して、報告徴求命令を受けました。あわせて、国土交通省から、貨物自動車運送事業法に基づく特別監査を受け、2025年6月5日、日本郵便は、一般貨物自動車運送事業の許可取消処分の聴聞の通知を受領しました。その後、同6月17日に行政処分を受け入れる旨国土交通省に報告しました。有価証券報告書提出日時点において、行政処分執行後は、一般貨物自動車運送事業の許可が取り消されることにより、使用している1t以上の車両の使用ができなくなる見込みとなっております。今後は、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する軽四車両等を使用することにより、行政処分執行後においても、郵便物及び荷物(ゆうパックなど)のサービスについては、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることのないよう、引き続き確実かつ適切に対応してまいります。また、今回の事態に至った責任を重く受け止め、責任の所在及び度合いを勘案して責任を明確化しました。
なお、軽貨物営業所となる郵便局に対する特別監査は、現時点においても継続しており、今後、監査結果を受けて、軽四輪自動車の使用停止処分が下される可能性があります。また、代替手段の実施に伴い、委託費等の費用が増加するなど、業績に影響が生じる見込みです。
さらに、協力会社との集配関係委託契約においては、一部の郵便局で価格協議や違約金に係る不適切な交渉が認められたことを受け、違約金の対象事案や金額等を統一するとともに、協力会社の皆さまとのコミュニケーションを重視する運用への変更等に向けた対応を行ってまいりました。
これらの事案について、同様の事案が発生することがないよう、当社グループは再発防止策を徹底し、お客さま本位のサービス提供に全力で取り組んでまいります。
当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等を着実に推進するとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保、郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ運営に取り組みました。
また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況、各社の内部監査態勢・監査状況の把握に努めたほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するとともに、病院事業の経営改善に取り組みました。
さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、持続可能な社会の実現・未来の創造に貢献するため、サステナビリティ経営の推進に関する取組みや災害復興支援に、グループ全体で取り組んでおります。
加えて、「JP ビジョン2025+」で示した方針を踏まえ、2025年3月に、ゆうちょ銀行普通株式の売出しを実施いたしました。本売出しにより、当社のゆうちょ銀行に対する議決権の保有割合は50.0%となっており、さらに今後当社が設定するゆうちょ銀行普通株式に係る株式処分信託に当該株式を拠出することにより、当社のゆうちょ銀行に対する議決権の保有割合は49.9%程度となる予定です。2023年の売出し及び本売出しによって得た資金については、物流領域の能力増強や郵便局等の施設の高度化・DX化等の成長投資に充当するとともに、自己株式取得にも活用することで、当社グループの企業価値の向上を図っていきます。
このような取組を行った結果、当連結会計年度における連結経常収益は11,468,368百万円(前期比513,784百万円減)、連結経常利益は814,596百万円(前期比146,280百万円増)、連結経常利益に、特別損益や契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、370,564百万円(前期比101,878百万円増)となりました。
※1 EX(Employee Experience:従業員体験価値)とは、社員が会社で働くことを通じて得られる体験価値のことです。
※2 DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、ビジネスや生活を変革する取組みのことです。
※3 UX(User Experience:ユーザー体験価値)とは、システムやサービスを利用するユーザー(お客さまや社員)が、その利用を通じて得られる体験価値のことです。
※4 幹線輸送とは、お客さまから荷物をお預かりする集荷側の拠点から配達側の拠点への長距離輸送のことです。
※5 非公開金融情報とは、お客さま対応等の中で知った、お客さまの金融取引や資産に関する、通常、本人しか知りえない情報(口座残高や引落情報、保有ファンドの状況等)のことです。
各事業セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
郵便・物流事業につきましては、差出・受取利便性の向上、営業体制・営業力の強化、楽天グループ株式会社をはじめとする他企業との連携強化等を通じた荷物分野の収益拡大に加え、DXの推進や商品・サービスの見直し等を通じたオペレーションの効率化に取り組んでまいりました。
また、いわゆる物流の「2024年問題」を踏まえ、中継輸送※1の導入等、輸送オペレーションを見直したほか、2024年5月にはセイノーグループと業務提携契約を締結し、幹線輸送の共同運行等による輸送効率の向上に取り組んでまいりました。
ヤマトホールディングス株式会社及びヤマト運輸株式会社との協業については、2024年10月にヤマト運輸株式会社から、小型薄物荷物について運送委託を停止する旨の申し入れがあり、合意に基づく義務の存在自体を争う状況となったことから、同年12月、日本郵便はヤマト運輸株式会社を相手方として損害賠償等請求訴訟を提起しました。
このほか2025年4月、トナミホールディングス株式会社の創業家代表・経営陣及び日本郵便の共同コンソーシアムによるトナミホールディングス株式会社の株式に対する公開買付けが成立し、同社は日本郵便の連結子会社となりました。日本郵便は、幹線輸送に強みを持つトナミホールディングス株式会社との協業による更なる付加価値向上を目指しております。
郵便事業においては、2024年10月に郵便料金の見直しを実施しました。
なお、法令に定められた点呼業務を実施しないまま配達業務を行った事例を確認し、2025年3月に公表するとともに、全国の郵便局における点呼業務執行状況の調査を開始し、同年4月に調査結果及び再発防止策を公表したほか、総務省から、再発防止策及びユニバーサルサービスの確保等に関して、報告徴求命令を受けました。あわせて、国土交通省から、貨物自動車運送事業法に基づく特別監査を受け、2025年6月5日、日本郵便は、一般貨物自動車運送事業の許可取消処分の聴聞の通知を受領しました。その後、同6月17日に行政処分を受け入れる旨国土交通省に報告しました。有価証券報告書提出日時点において、行政処分執行後は、一般貨物自動車運送事業の許可が取り消されることにより、使用している1t以上の車両の使用ができなくなる見込みとなっております。今後は、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する軽四車両等を使用することにより、行政処分執行後においても、郵便物及び荷物(ゆうパックなど)のサービスについては、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることのないよう、引き続き確実かつ適切に対応してまいります。また、今回の事態に至った責任を重く受け止め、責任の所在及び度合いを勘案して責任を明確化しました。
なお、軽貨物営業所となる郵便局に対する特別監査は、現時点においても継続しており、今後、監査結果を受けて、軽四輪自動車の使用停止処分が下される可能性があります。また、代替手段の実施に伴い、委託費等の費用が増加するなど、業績に影響が生じる見込みです。
さらに、協力会社との集配関係委託契約においては、一部の郵便局で価格協議や違約金に係る不適切な交渉が認められたことを受け、違約金の対象事案や金額等を統一するとともに、協力会社の皆さまとのコミュニケーションを重視する運用への変更等に向けた対応を行ってまいりました。
その結果、当年度の総取扱物数は、郵便物が125億6,607万通(前期比7.5%減)、ゆうパックが5億5,844万個(前期比2.1%増)、ゆうパケットが5億3,722万個(前期比16.1%増)、 ゆうメールが32億4,114万個(前期比12.8%増)となりました。
このような取組を行った結果、当連結会計年度の郵便・物流事業におきましては、ゆうパック、ゆうパケット、ゆうメールの取扱数量が増加した一方、郵便が減少したものの、料金改定による郵便収入の増加もあり、経常収益は2,088,481百万円(前期比107,972百万円増※2)、経常費用は引き続きコストコントロールの取組等を進めたものの、人件費や集配運送委託費等が増加し、経常損失は32,220百万円(前期は65,184百万円の経常損失※2)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は2,080,881百万円(前期比105,310百万円増※2)、営業損失は38,377百万円(前期は68,838百万円の営業損失※2)となりました。
※1 中継輸送とは、トラックの長距離運行を複数のトラックドライバーで分担する輸送形態のことです。
※2 当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、前連結会計年度末比は、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
引受郵便物等の状況
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12月15日~12月28日)及び12月29日~1月7日に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。
3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
6.ゆうパケットは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。小型の荷物をお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
7.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている1kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
② 郵便局窓口事業
郵便局窓口事業につきましては、お客さまに選んでいただける事業への成長に向けて、収益力、郵便局の価値・魅力、サービス品質の向上に取り組んでまいりました。
具体的には、地域の特性に応じた窓口営業時間の弾力的な運用の一環として、昼時間帯の窓口業務の休止を試行する郵便局を約1,400局拡大したほか、お客さまとの良好な信頼関係を構築できる人材を育成するため、窓口社員の営業支援・育成の役割を担う「コンサルティングパートナー」を郵便局へ配置しました。
また、地方公共団体事務受託の推進、地域金融機関等との連携強化、郵便局窓口と駅窓口の一体運営等に取り組みました。
加えて、各種手続きのペーパーレス化等によるお客さまの利便性の向上や働き方の変革を目的として新たなタブレット型PCの配備を開始したほか、かんぽ生命保険商品の新規申込みや保全・支払等をペーパーレスで処理可能なシステムを順次導入する等、窓口オペレーション改革の取組みを推進しました。
また、当年度に確認した非公開金融情報の不適切利用事案の再発防止策として、非公開金融情報等の取扱いに係るルールの明確化及び社員研修の充実、郵便局へのモニタリングの強化等を行ったほか、グループの幅広いお客さま接点で非公開金融情報等の利用に係る同意をいただく取組みを促進するとともに、郵便局等でその情報を参照・検索等に利用できるようなシステム環境の整備に向け、当社を中心とした、グループ横断的なプロジェクトを設置しました。
このほか、2024年1月に販売を開始した一時払終身保険に関して、認可取得前勧誘事案を確認し、2025年3月に公表しました。
一方、業績面では、送金決済件数や保有保険契約件数の減少等に伴う銀行及び保険受託手数料の減少に加え、諸物価や人件費の上昇に伴うコストの増加等が継続しました。
このような取組を行った結果、当連結会計年度の郵便局窓口事業におきましては、銀行手数料、保険手数料の減少が続き、経常収益は1,010,197百万円(前期比17,695百万円減※)、経常費用は人件費が減少したものの経費が増加したことにより増加し、経常利益は24,155百万円(前期比24,913百万円減※)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における郵便局窓口事業の営業収益は1,008,728百万円(前期比18,193百万円減※)、営業利益は23,194百万円(前期比25,359百万円減※)となりました。
※当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、前連結会計年度末比は、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
郵便局数
③ 国際物流事業
国際物流事業につきましては、日本郵便の子会社であるToll Holdings Pty Limitedによる豪州での収益性向上等の施策を推進するとともに、アジア域内では特に成長が見込まれる国や業種を重視した事業展開による収益拡大に取り組んだほか、コスト削減等に継続して取り組んでまいりました。
このような取組を行った結果、当連結会計年度の国際物流事業におきましては、フォワーディング事業の取扱量の増加等により、経常収益は512,847百万円(前期比62,824百万円増)、経常費用はフォワーディング事業の増収見合いの費用が増加したものの、経常利益は4,699百万円(前期比2,985百万円増)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業の営業収益は511,729百万円(前期比62,915百万円増)、営業利益(EBIT)は13,365百万円(前期比3,783百万円増)となりました。
④ 不動産事業
不動産事業につきましては、JPタワー(商業施設名:KITTE)をはじめとするオフィスビル、商業施設、賃貸・分譲住宅、高齢者施設等のグループ保有不動産の開発を中心に推進しており、新たに、2024年7月に「JPタワー大阪」内の商業施設「KITTE大阪」がグランドオープンし、賃貸住宅及び高齢者施設が竣工するなど、事業の強化・拡充に取り組みました。
グループ外収益物件については、2026年3月竣工に向けて開発中の建物名称を「ザ・ランドマーク名古屋栄」に決定したほか、用途やエリアごとのマーケットを見極めて賃貸住宅の取得を行いました。
このような取組みを行った結果、当連結会計年度の不動産事業におきましては、賃貸物件の稼働率向上や分譲収益の計上等により、経常収益は81,670百万円(前期比19,204百万円減※)、経常利益は12,366百万円(前期比8,660百万円減※)となり、営業収益は81,429百万円(前期比19,403百万円減※)、営業利益は13,931百万円(前期比8,067百万円減※)となりました。
※当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、前連結会計年度末比は、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
不動産事業における主なプロジェクト(賃貸事業)の概要は以下のとおりであります。
(注) 1. 2025年3月31日時点
2.JPタワー
延床面積は、持分換算面積を表示するとともに、( )内に事業全体面積を表示しております。
3.JPタワー名古屋及びJPタワー大阪
土地面積は、持分面積を表示するとともに、( )内に事業全体面積(借地を含む)を表示しております。
延床面積は、持分換算面積を表示するとともに、( )内に事業全体面積を表示しております。
4. 麻布台ヒルズ森JPタワー
土地面積及び延床面積は、持分換算面積を表示するとともに、( )内に事業全体面積を表示しております。
⑤ 銀行業
ゆうちょ銀行では、2024年5月に公表した見直し後の中期経営計画「JP ビジョン2025+」(2024年度~2025年度)で示したとおり、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σ(シグマ)ビジネス(投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス)」というゆうちょ銀行独自の強みを活かした3つのビジネス戦略を推進するとともに、それらを支える経営基盤の強化に取り組みました。
「リテールビジネス」では、日本国内における金融経済環境の変化等に応じお客さま基盤を深耕・強化すべく、リアルとデジタルの相互補完を通じたお客さま本位のビジネス展開を加速し、伝統的な銀行業務を超えた新しいリテールビジネスへの変革に向けた取組みを推進しました。
デジタルサービスでは、スマートフォン上で基本的な銀行取引が行える通帳アプリの利便性向上を図るとともに、更なる利用拡大に向けて、ポイントプログラム拡充等の各種キャンペーン等を通じたプロモーションに加え、窓口での積極的なご案内等を推進し、登録口座数は1,300万口座を突破しました。
また、ゆうちょ銀行の直営店で口座開設等の各種取引をお客さまご自身で行えるセルフ型営業店端末「Madotab」やスマートフォン上で口座開設等が行える「ゆうちょ手続きアプリ」の機能改善を図る等、DXを通じたお客さまの利便性向上及び業務効率化を推進しました。
資産形成サポートビジネスでは、投資信託商品のラインアップ拡充やデジタルチャネルの利便性向上を図ったほか、ゆうちょ銀行の直営店、郵便局と専門コンサルタントが配属されているリモートセンターとをタブレットで接続し、各種ご案内を実施するリモートチャネルの整備・拡充を進めました。また、投資信託の基準価額や市場動向等の情報をメールでお届けする「ますますわかる投資信託アフターフォローサービス」の提供を開始する等、リアルチャネルとデジタルチャネルを融合させ、お客さまの資産形成ニーズにシームレスにお応えする取組みを進めました。
これら各種取組みに加え、TVコマーシャルやSNS広告による積極的なプロモーションを通じ、お客さまによるゆうちょ銀行口座・サービスのご利用を促進しました。
「マーケットビジネス」では、日本銀行の金融政策変更を受けた国内金利上昇局面を捉え、預け金等から日本国債への投資シフトを推進しました。
また、米欧中央銀行の政策金利引き下げや、米新政権による経済政策等の不透明感が残存する中、リスク対比リターンを意識しつつ国際分散投資を推進しました。投資適格領域の外国社債等を中心にリスク性資産残高を拡大するとともに、リスク性資産のうち、プライベートエクイティファンド等の戦略投資領域※については、優良案件への選別的な投資に努め、残高を積み上げました。
一方で、ポートフォリオ運営を支えるモニタリング態勢の充実等、リスク管理の深化を図り、十分な財務健全性を確保しております。
投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネスと位置づける「Σビジネス」においては、地域の事業者への資本性資金の供給(投資業務)、新たなビジネスの原石となる投資先候補企業の発掘(ソーシング業務)及び投資先企業等の商品・サービスの紹介・媒介(マーケティング支援業務)の推進に努めました。
特に、2024年5月には投資業務の中核を担うゆうちょ銀行100%出資子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社」を設立し、Σビジネスの本格始動に向けた態勢を整備しました。この他、投資業務の推進に向けて、ゆうちょ銀行は株式会社ジェイ・ウィル・コーポレーション、また三井物産株式会社の子会社とそれぞれ共同ファンドを設立しました。
前述に加え、経営基盤の強化として、内部管理態勢の強化や組織風土改革に取り組みました。
内部管理態勢については、システム基盤整備、サイバーセキュリティやマネー・ローンダリング対応態勢の強化に加え、取締役会を中心としたガバナンス高度化等、多角的な観点から強化を図りました。
また、ゆうちょ銀行代表執行役社長を委員長とする「サービス向上委員会」を再編し、「みんなの声委員会 -ECHO-」に改め、お客さまの声を活かした商品・サービスの提案・改善や、社員の声をもとにした職場改善等を役職員一丸となって推進し、お客さま本位の業務運営及び組織風土改革に邁進しました。
更に、当年度に確認した非公開金融情報の不適切利用事案を踏まえ、ゆうちょ銀行では、委託元として、日本郵便に対する管理・監督体制強化に取り組んでまいります。
このような取組を行った結果、当連結会計年度の銀行業におきましては、外債投資信託からの収益や国債利息・日銀預け金利息の増加等により資金利益が増加した一方、プライベートエクイティファンド等からの収益が増加したものの、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の減少により臨時損益は減少し、経常収益は2,521,896百万円(前期比129,790百万円減)、経常費用は人件費の減少や各種コストの削減による経費の減少等により減少し、経常利益は584,377百万円(前期比88,338百万円増)となりました。
※ 戦略投資領域とは、プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域のことです。
ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。
(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
(a) 損益の概要
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比3,143億円増加の1兆432億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託からの収益や国債利息・日銀預け金利息の増加等により、前事業年度比2,412億円の増加となりました。役務取引等利益は、前事業年度比33億円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益及び国債等債券損益の増加を主因に、前事業年度比697億円の増加となりました。
経費は、前事業年度比137億円減少の9,125億円となりました。
業務純益は、前事業年度比3,280億円増加の1,307億円となりました。
臨時損益は、プライベートエクイティファンド等からの収益が増加した一方、株式のリスク調整オペレーションに伴う売却益の減少を主因に、前事業年度比2,493億円減少の4,427億円となりました。
経常利益は、前事業年度比786億円増加の5,735億円となりました。
この結果、当期純利益は4,105億円、前事業年度比562億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
(b) 国内・国際別の資金利益等
ゆうちょ銀行は、海外店や海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は3,774億円、役務取引等利益は1,558億円、その他業務利益は△2億円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は5,793億円、役務取引等利益は△9億円、その他業務利益は△681億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は9,568億円、役務取引等利益は1,548億円、その他業務利益は△684億円となりました。
イ.国内業務部門
ロ.国際業務部門
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度16,945百万円、当事業年度19,785百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借に係る利息)等は下表のとおりであります。
(c) 国内・国際別資金運用/調達の状況
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は229兆7,716億円、利回りは0.76%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は219兆6,408億円、利回りは0.36%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は220兆6,735億円、利回りは0.24%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は214兆8,353億円、利回りは0.07%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は87兆2,054億円、利回りは1.43%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は82兆9,128億円、利回りは0.81%となりました。
イ.国内業務部門
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,340,262百万円、当事業年度2,131,496百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,340,262百万円、当事業年度2,131,496百万円)及び利息(前事業年度△7,722百万円、当事業年度△7,313百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ハ.合計」においても同様であります。
ロ.国際業務部門
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外連結子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,926,795百万円、当事業年度3,345,371百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,926,795百万円、当事業年度3,345,371百万円)及び利息(前事業年度24,667百万円、当事業年度27,098百万円)を控除しております。
ハ.合計
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度5,267,058百万円、当事業年度5,476,867百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度5,267,058百万円、当事業年度5,476,867百万円)及び利息(前事業年度16,945百万円、当事業年度19,785百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借の平均残高及び資金貸借に係る利息)は下表のとおりであります。
(d) 役務取引等利益の状況
当事業年度の役務取引等利益は、前事業年度比33億円増加の1,548億円となりました。
(参考) 投資信託・ゆうちょファンドラップの取扱状況
(e) 預金残高の状況
当事業年度末の貯金残高は前事業年度末比2兆3,379億円減少の190兆4,650億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は郵政管理・支援機構からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が日本郵政公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
4. 上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 事業に係る主な法律関連事項 ③ 郵政民営化法 (f) ゆうちょ銀行における預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。
(f) 資産運用の状況(末残・構成比)
当事業年度末の運用資産のうち、国債は40.3兆円、その他の証券は87.4兆円となりました。
(注) 「預け金等」は日銀預け金、買入金銭債権であります。
(g) 評価損益の状況(末残)
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、国内金利の上昇等に伴い、ヘッジ考慮後で、前事業年度末から1兆2,103億円悪化し、△1兆879億円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、買入金銭債権を含んでおります。
(h) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外連結子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末118,384百万円、当事業年度末34,618百万円であります。
(参考2) 自己資本比率の状況
ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用の上、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法、マーケット・リスク相当額の算出においては標準的方式を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(参考3) 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(a) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
(b) 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
(c) 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
(d) 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(a)から(c)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
⑥ 生命保険業
かんぽ生命保険では、「お客さまから信頼され、選ばれ続けることで、お客さまの人生を保険の力でお守りする」という社会的使命を果たすべく、ライフステージ/世代を超えたつながりによるお客さまの維持・拡大と、持続的な「強い会社」へ向けた取組みを進めております。
ライフステージ/世代を超えたつながりによるお客さまの維持・拡大については、長期にわたってお客さまへのサービス向上を図れるよう、営業社員の育成強化と積極採用によって、質と量の双方の観点から体制強化に取り組み、営業社員のスキルや採用数を前年度より向上しております。また、一時払終身保険について、2024年10月に特約の中途付加や引受基準緩和型特約の付加ができるよう改善することで、さらに魅力を向上しております。加えて、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう、全社一体となりお客さまの利便性向上のための請求手続きのデジタル化や、リアルとデジタルを織り交ぜたアフターフォロー等に取り組み、お客さま満足度※は連年向上しております。
持続的な「強い会社」へ向けた取組みについては、「資産運用の深化・進化」として、保険金等の確実なお支払いのためALMを基本としつつ、安定的な順ざやの確保を目指し、リスク許容度の範囲で、収益追求資産への投資を継続しているほか、大和証券グループや三井物産株式会社との提携を通じ、資産運用分野の態勢・人材ポートフォリオの高度化に取り組んでまいりました。また、「収益源の多様化/新たな成長機会の創出」として、世界有数の資産運用会社であるKKR及びその子会社のGlobal Atlanticとの戦略的提携契約を活用し、海外保険市場からの収益獲得に取り組んでまいりました。加えて、「事業運営の効率化」として、既存のバックオフィス業務について業務量を削減するとともに、その業務を行っていた人材へのリスキルを行い、お客さまサポート業務やデジタル化のさらなる推進等の強化領域へ要員をシフトしてまいりました。
なお、当年度に確認した非公開金融情報の不適切利用事案及び認可取得前勧誘事案を踏まえ、かんぽ生命保険では2025年4月、代理店の監督を一元的に行う部署の新設や業務執行部門とは独立したコンプライアンス部門の権限強化等を行うことで委託元としてのガバナンス態勢を強化しております。
このような取組を行った結果、当連結会計年度の生命保険業におきましては、2024年1月から一時払終身保険の販売を開始したこと等により、保険料等収入は増加したものの、責任準備金戻入額が減少したこと等により、経常収益は6,164,966百万円(前期比579,260百万円減)となりました。一方で、保有契約が減少したこと等に伴い保険金等支払金が減少したこと等により、経常利益は169,813百万円(前期比8,898百万円増)となりました。
※ お客さま満足度とは、お客さまが満足している度合を5段階評価として、上位2段階に相当する「満足」又は「やや満足」を回答いただいた合計割合です。
かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。
(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況
(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(a) 保険引受及び資産運用の状況
イ.保有契約高明細表
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
ロ.新契約高明細表
(注) 1.件数は、新契約件数に転換後契約件数を加えた数値であります。なお、転換後契約とは、既契約の転換によって成立した契約であります。
2.個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
ハ.保有契約年換算保険料明細表
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
ニ.新契約年換算保険料明細表
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
3.新契約年換算保険料は、新契約に係る年換算保険料に、既契約の転換による転換前後の年換算保険料の純増加分を加えた数値であります。
(参考)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(a) 保有契約高
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(b) 保有契約年換算保険料
(注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
ホ.一般勘定資産の構成
(注)1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
ヘ.一般勘定資産の資産別運用利回り
(注)1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
(b) 基礎利益
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、2,421億円となりました。
(経常利益等の明細(基礎利益))
(参考) その他項目の内訳
(単位:百万円)
(c) かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は903.2%と高い健全性を維持しております。
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
(d) かんぽ生命保険のEV
イ.EVの概要
ⅰ EVについて
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
ⅱ EEVについて
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
ⅲ EEVの計算手法
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
ロ.簡易生命保険契約について
かんぽ生命保険は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、かんぽ生命保険が受再しております。
かんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
ハ.EEVの計算結果
かんぽ生命保険のEEVは以下のとおりであります。
ⅰ 修正純資産
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。純利益による増加を主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から増加しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加え、当事業年度末については2025年3月31日に取得(約定)した自己株式330億円を控除しております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(注) 1.かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加え、2025年3月31日に取得(約定)した自己株式330億円を控除しております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
ⅱ 保有契約価値
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。「ニ.前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から減少しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
ⅲ 新契約価値
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(更新特則による加入契約を含む。条件付解約による加入契約及び転換契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。
当事業年度の新契約価値は前事業年度から増加しております。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
ニ.前事業年度末EEVからの変動要因
ⅰ 前事業年度末EEVの調整
かんぽ生命保険は当事業年度において379億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分減少しております。また、2025年3月31日に330億円の自己株式の取得(約定)を行っており、修正純資産がその分減少しております。
ⅱ 当事業年度新契約価値
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。
ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(0.054%)分に相当する収益が発生しております。
ⅳ 期待収益(超過収益分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。
ⅴ 保有契約価値からの移管
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支等が変化することによる影響であります。
ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。国内株価下落による国内株式の含み益の減少等により、EEVは3,295億円減少しました。
ホ.感応度(センシティビティ)
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。
(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
新契約価値の感応度
ⅰ 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。金利の変動により時価が変動する債券・貸付金等を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅱ 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、50bp低下によりリスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅲ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅳ 感応度4:株式・不動産価値10%下落
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
ⅴ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
ⅵ 感応度6:解約失効率10%減少
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅶ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅷ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅸ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
ⅹ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ⅺ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ヘ.注意事項
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
⑦ その他
各報告セグメントにおける事業のほか、グループシェアード事業については、業務集約による効率化効果が大きいと考えられる業務をグループ横断的に集約し、一括してBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)やDXを行い、効率化・生産性向上を図る取組を進めております。昨年度に引き続きグループ横断的にシェアードを進めており、2024年8月には当社の子会社である日本郵政コーポレートサービス株式会社がかんぽ生命保険の支店の旅費精算業務を受託したほか、2024年10月にはこれまで日本郵便から順次受託していた共通事務集約センターの業務を全業務受託するなど対象業務を順次拡大しているところです。
病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、業務の効率化等による経費削減等、病院の経営改善を進めているところであります。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等の経営改善に取り組みます。
投資事業については、当社の子会社である日本郵政キャピタル株式会社において、中長期的なグループ収益の拡大を念頭に、将来の事業資源や新規事業の獲得、グループ事業に対するシナジーの創出といった戦略リターンの獲得に向け、同社が運営する「日本郵政キャピタル1号投資事業有限責任組合(1号ファンド)」を介して、国内外のスタートアップ企業へ出資※し、出資先企業と当社グループとの連携を進めました。今後も引き続き、日本郵政グループの事業アセットを活用したスタートアップ企業の成長支援に取り組みます。
※当連結会計年度(1号ファンドからの出資)11件約33億円、1号ファンドからの出資及び直接出資の累計90社総額約424億円
(3) キャッシュ・フローの状況及び分析・検討
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は当期首から7,695,252百万円増加し、67,199,263百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動においては、銀行業における資金の運用や調達、生命保険業における保険料の収入や保険金の支払等の結果、2,794,869百万円の収入(前期は2,359,045百万円の支出)となりました。
主な要因として、貸出金の純減3,793,439百万円、貯金の純減2,735,472百万円、責任準備金の減少1,747,260百万円があげられます。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動においては、銀行業及び生命保険業における有価証券の売却、償還による収入等及び有価証券の取得による支出等の結果、4,684,413百万円の収入(前期は7,718,612百万円の支出)となりました。
主な要因として、有価証券の償還による収入29,091,381百万円、有価証券の売却による収入4,920,288百万円や有価証券の取得による支出30,968,329百万円があげられます。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動においては、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入等の結果、215,896百万円の収入(前期は606,258百万円の支出)となりました。
主な要因として、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入587,842百万円や自己株式の取得による支出350,000百万円、配当金の支払による減少157,628百万円があげられます。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
中期経営計画において実現を目指すこととしている、成長ステージへの「転換」に向けた取組の中で、グループの成長に資する投資として、物流分野の能力増強投資や、賃貸事業等への不動産投資等を計画しております。
上記の他に、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも実施いたします。なお、それらの実行にあたっては、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施することとしております。
また、株主還元については、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続して安定的に行うことを基本方針としており、中期経営計画においては、引き続き1株当たり年間配当を安定的に実施することとしております。加えて、相当規模の自己株式取得の継続により、更なる株主還元の充実と資本効率の向上を図ります。
それらの財源は、営業活動で得られたキャッシュ・フローのほか、金融2社株式を売却した場合の売却手取金及び銀行借入・社債発行等による有利子負債調達を想定しております。また、当社及び一部の連結子会社においてキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入することにより、各社の余剰資金を一元管理することで、資金効率の向上を図っております。なお、当社は株式会社日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、当連結会計年度末現在における長期発行体格付はAA+(安定的)となっております。
資本コストに関しては、ゆうちょ銀行株式の持分割合減少により低下したROEを回復させ、早期に株主資本コストを上回るROEを達成し、中長期的に更なる向上を目指します。
なお、現在予定している設備の新設計画としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備等の新設等」の記載をご参照ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。
当社グループは、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に以下の重要な会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
① 金融商品の時価評価
当社グループの有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、公表された相場価格に基づいて算定しておりますが、公表された相場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積額は変動する可能性があります。
金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)に、金融商品のうち有価証券の時価評価に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 有価証券の減損
当社グループの金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、原則として内部管理上独立した業績報告が行われる単位を基礎として、資産のグルーピングを行っております。減損の兆候の判定に当たっては、過去あるいは当期以降見込まれる営業損益や営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなる場合等を勘案し判断しております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としております。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。なお、日本郵便株式会社の郵便・物流事業に使用している固定資産の減損における会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。
保険子会社における課税所得の見積りにおいては、当連結会計年度に作成した経営計画を基礎としており、今後、当該計画における取組方針の下、一定の新契約水準に到達する前提で作成しております。
当連結会計年度における新契約の実績は、一時払終身保険の販売が増加し経営計画の水準を達成しているものの、今後の新契約水準は将来の経営環境や営業施策の効果発現による影響を受けることから、保険子会社において計上した繰延税金資産の回収可能性については、当該経営計画を基礎とした前提の下、複数のストレスシナリオを考慮して判断しております。以上のとおり、繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社グループを取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
⑤ 責任準備金の積立方法
当社グループは、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。
責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
⑥ 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。
このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に、退職給付債務の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(5) 連結自己資本比率の状況
銀行持株会社としての当社の連結自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(6) 目標とする経営指標の達成状況
当社グループにおいては、主要な経営目標として1株当たり当期純利益を採用しており、2025年3月期においては当初業績予想87.36円に対し1株当たり当期純利益119.30円となりました。2025年3月期の経営成績の状況及び分析・検討については、上記「(2) 経営成績の状況及び分析・検討」に示しております。
(7) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、不動産事業、銀行業及び生命保険業を中心とした広範囲な事業を営んでおり、生産、受注といった区分による表示が困難であることから、「生産、受注及び販売の状況」については、上記「(2) 経営成績の状況及び分析・検討」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものを一定の基準に従い集約したものであります。
当社グループは、業績の評価等を主として連結子会社別(日本郵便株式会社は郵便・物流事業セグメント、郵便局窓口事業セグメント、不動産事業セグメントに分類)に行っているため、これらを事業セグメントの識別単位とし、このうち各事業セグメントの経済的特徴、製品及びサービスを販売する市場及び顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、報告セグメントを決定しております。
各報告セグメントは、「郵便・物流事業」、「郵便局窓口事業」、「国際物流事業」、「不動産事業」、「銀行業」、「生命保険業」であります。
(報告セグメントの区分方法の変更)
当社グループ内の業績管理区分の一部変更に伴い、当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しており、日本郵便株式会社の営む事業の区分を従来の「郵便・物流事業」「郵便局窓口事業」から、「郵便・物流事業」「郵便局窓口事業」「不動産事業」に変更するとともに、日本郵政不動産株式会社、JPビルマネジメント株式会社及びJPプロパティーズ株式会社の営む事業の区分を「その他」から「不動産事業」に変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。
2.報告セグメントごとの経常収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と同一であります。
セグメント間の内部経常収益は、市場価格又は総原価を基準に決定した価格に基づいております。
3.報告セグメントごとの経常収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.一般企業の売上高に代えて、経常収益を記載しております。
2.「その他」の区分には、報告セグメントに含まれていない病院事業等が含まれております。また、「その他」の区分のセグメント利益には当社が計上した関係会社受取配当金(149,270百万円)が含まれております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1.一般企業の売上高に代えて、経常収益を記載しております。
2.「その他」の区分には、報告セグメントに含まれていない病院事業等が含まれております。また、「その他」の区分のセグメント利益には関係会社受取配当金(132,373百万円)及び持分法投資利益(65,917百万円)が含まれております。
4.報告セグメントの合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)
(1) 報告セグメントの経常収益の合計額と連結損益計算書の経常収益計上額
(注) 1.一般企業の売上高に代えて、経常収益を記載しております。
2.「調整額」は、国際物流事業セグメントの経常収益の算出方法と連結損益計算書の経常収益の算出方法の差異等によるものであります。
(2) 報告セグメントの利益又は損失の合計額と連結損益計算書の経常利益計上額
(注) 「調整額」は、国際物流事業セグメントのセグメント利益の算出方法と連結損益計算書の経常利益の算出方法の差異等によるものであります。
(3) 報告セグメントの資産の合計額と連結貸借対照表の資産計上額
(4) 報告セグメントのその他の項目の合計額と当該項目に相当する科目の連結財務諸表計上額
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1.サービスごとの情報
報告セグメントに係る情報と類似しているため本情報の記載は省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 経常収益
本邦の外部顧客に対する経常収益に区分した金額が連結損益計算書の経常収益の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
特定の顧客に対する経常収益で連結損益計算書の経常収益の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1.サービスごとの情報
報告セグメントに係る情報と類似しているため本情報の記載は省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 経常収益
本邦の外部顧客に対する経常収益に区分した金額が連結損益計算書の経常収益の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
特定の顧客に対する経常収益で連結損益計算書の経常収益の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
「セグメント情報 3.報告セグメントごとの経常収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報」に記載のとおりです。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
「セグメント情報 3.報告セグメントごとの経常収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報」に記載のとおりです。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当ありません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
国際物流事業セグメントにおいて、トール社傘下の連結子会社による航空機医療事業の取得により、負ののれん発生益を計上しております。
なお、当該事象による負ののれん発生益の計上額は、481百万円であります。