2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,533名(単体) 221,387名(連結)
  • 平均年齢
    45.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.3年(単体)
  • 平均年収
    8,674,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

郵便・物流事業

101,964

[93,832]

郵便局窓口事業

76,681

[30,999]

国際物流事業

9,540

[3,536]

銀行業

11,419

[2,614]

生命保険業

19,092

[2,676]

その他

2,691

[2,562]

合計

221,387

[136,219]

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員等)を含み、派遣社員を除く。)は年間の平均人員を[ ]内に外書きで記載しております。

2.郵便・物流事業の従業員数が前連結会計年度末から3,748名増加し、国際物流事業の従業員数が、前連結会計年度末から4,133名減少しておりますが、主として、2023年4月から、トールエクスプレスジャパン株式会社(現、JPロジスティクス株式会社)及びJPトールロジスティクス株式会社(現、JPロジスティクスグループ株式会社)のセグメントが、国際物流事業から郵便・物流事業へ変更となったことによるものです。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,533

45.3

18.3

8,674

[319]

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は年間の平均人員を[ ]内に外書きで記載しております。

2.当社の従業員はすべてその他に属しております。

3.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、臨時従業員を除いております。

4.平均勤続年数は、郵政省、郵政事業庁、公社等における勤続年数を含んでおります。

5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいては、日本郵政グループ労働組合等の労働組合が組織されております。

また、労使関係については概ね良好であり、特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)等に基づき、当社及び連結子会社が公表している指標は次のとおりであります。なお、管理職に占める女性労働者の割合は2024年4月1日時点、その他の指標は当連結会計年度における実績を記載しております。

 

 ① 提出会社及び主たる子会社

提出会社及び主たる子会社

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

全労働者

うち正規(無期)労働者

うち非正規(有期)労働者

日本郵政(当社)

13.0

100

67.9

67.8

62.0

日本郵便

8.9

98.1

59.2

59.3

59.5

ゆうちょ銀行

18.4

100

66.1

64.7

77.5

かんぽ生命保険

9.8

100

73.4

71.8

80.6

 

(注) 1.管理職に占める女性労働者の割合は、各会社で本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。なお、かんぽ生命保険においては2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う他社からの出向者を含める場合の割合は9.1%です。

2.男性労働者の育児休業取得率は、各会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております(出向契約の締結内容に基づく個別取扱いを除く。)。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。また、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。なお、かんぽ生命保険においては2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う他社からの出向者を含める場合の男性労働者の育児休業取得率は100%であります。

3.労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳に記載がある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、各社において給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。

4. 労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳を基に、その各社において雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。

5.労働者の男女の賃金の差異の補足(差異の要因等)は下記のとおりであります。なお、給与体系は性別に関係なく同一であります。

 

(日本郵政)

< 正規労働者 >

・ 給与が高い管理職における女性割合が低い。

・ 給与が高くなる主要要素の1つである勤続年数について、男性の方が、2024年4月1日時点で平均勤続年数が約5年以上長い(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は除く)。

< 非正規労働者 >

・ 男性のうち約4割を占める専門職採用者の給与が高い。

(日本郵便)

< 正規労働者 >

・ 給与が高い管理職における女性割合が低い。

・ 給与が高くなる主要要素の1つである勤続年数について、男性の方が、2024年4月1日時点で平均勤続年数が約5年長い(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は除く)。

・ 時給制の無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)において、賃金単価の高い郵便物流部門に男性社員が多い。

・ 時給制の無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)の女性は、パートタイム(例:1日4時間)で働く社員が多く総労働時間が短い。

< 非正規労働者 >

・ 賃金単価の高い郵便物流部門に男性社員が多い。

・ 時給制契約社員において、パートタイム(例:1日4時間)で働く女性が多く総労働時間が短い。

 

(ゆうちょ銀行)

< 正規労働者 >

・ 年齢構成の男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低い。

< 非正規労働者 >

非正規労働者のうち、賃金水準の高い高齢再雇用社員では男性社員が約8割と高く、期間雇用社員(有期)では女性社員が約8割と高い。

(かんぽ生命保険)

< 正規労働者 >

・ 年齢構成を踏まえた男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低い。

< 非正規労働者 >

・ 男性のうち約4割を占める専門職採用者の給与が高い。

 

 ② その他の連結子会社

連結子会社

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

全労働者

うち正規(無期)労働者

うち非正規(有期)労働者

日本郵便輸送株式会社

85.7

67.1

73.6

61.4

日本郵便メンテナンス株式会社

66.9

70.1

72.2

JPビズメール株式会社

44.3

50.1

64.0

株式会社郵便局物販サービス

71.9

78.0

59.9

日本郵便オフィスサポート株式会社

8.5

100

49.6

44.1

63.0

日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社

7.9

JPロジスティクス株式会社

7.1

25.0

67.4

73.8

80.2

JPインベストメント株式会社

20.6

100

54.6

54.6

かんぽシステムソリューションズ株式会社

10.7

75.0

75.2

76.1

58.6

日本郵政コーポレートサービス株式会社

21.0

0.0

64.3

62.8

75.5

JPツーウェイコンタクト株式会社

19.5

66.7

66.4

56.7

87.2

 

(注) 1.管理職に占める女性労働者の割合は、各会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。

2.男性労働者の育児休業取得率は、各会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。また、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。

3.労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳に記載がある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、各社において給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。

4. 労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳を基に、その各社において雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。

 

(参考1) 提出会社及び主たる子会社に関するその他の指標

提出会社及び主たる子会社

本社における

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性の育児休業の

平均取得日数(日)

年次有給休暇の

平均取得日数(日)

日本郵政(当社)

10.8

89.0

17.6

日本郵便

14.0

31.1

19.6

ゆうちょ銀行

19.1

62.3

19.3

かんぽ生命保険

15.0

52.2

18.9

 

(注) 1.本社における管理職に占める女性労働者の割合は、2024年4月1日時点における、本社を勤務先とする労働者を母数として算出した、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令(平成27年厚生労働省令第162号)第2条第1項第4号に定める管理的地位にある労働者のうち女性の占める割合であります。

 2.日本郵政グループ中期経営計画「JPビジョン2025」のESG目標の1つとして、上記4社の本社における女性管理者比率を2030年度(2031年4月1日時点)までに30%とする目標を掲げております。当連結会計年度(2024年4月1日時点)の実績は、16.2%であります。なお、本社女性管理者比率は、各社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者は含めておらず、他社への出向者を含めております。

   3.男性の育児休業の平均取得日数は、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を取得した社員の平均取得日数(当連結会計年度に取得を開始した場合の、2024年度以降の見込日数も含む。)を記載しております。なお、各会社で本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。

4.年次有給休暇の平均取得日数は、当連結会計年度に労働者1人当たりが取得した年次有給休暇の平均日数を記載しております。なお、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。加えて、年次有給休暇の平均取得日数は、前々年度及び前年度からの繰越分日数を含んでおります。

 

(参考2) 多様性に関する主な社内制度及び施策

育児に関する支援制度

育児休業3歳迄(法定1歳)

・育児部分休業9歳迄(法定3歳)※子が障がい等の場合12歳迄
男女とも育児休業取得率100%達成に取り組むとともに、2023年度から男性に関しては、3日間の育児休業(有給)の完全取得かつ、4週間以上の取得勧奨実施を義務化

・子の看護休暇

小学校3年終了まで5日(有給)

(法定:小学校就学に達する前まで5日(無給))

介護に関する支援制度

・介護休業186日(法定93日)

・介護部分休業5年(法定3年)

病気に関する支援制度

・正社員に対する不妊治療のための休暇

(チャイルドプラン休暇、無給、1年度30日迄)

・両立支援コーディネーターの養成、両立支援啓発研修、職場復帰支援プログラム策定

性の多様性に関する支援制度

・同性パートナーへの制度適用(社宅、扶養手当、住居手当、介護休業 等)

その他人事措置

・再採用制度

(育児・介護、妊娠、出産、配偶者同行、がん治療、不妊治療及び私傷病休職期間満了を理由として退職した正社員を、育児・介護等の必要が解消した後、再び社員として再採用する制度。)

※ 2024年10月よりカムバック制度に改正予定

(原則、自己都合含むすべての退職者を再び社員として再採用する制度。)

・短時間勤務制度

(「介護等特別な事情があると会社が認めた場合」に短時間勤務職への転換を可能とする制度。勤務形態は、「1日8時間・4週10日勤務」又は「1日4時間・4週20日勤務」。)

・早期役職復帰制度

(再採用社員、短時間勤務職からフルタイム勤務へ復帰した社員及び育児・介護、がん治療、不妊治療を理由として自ら降職した社員について、一定の要件を満たした場合に、元の役割等級を限度として昇格させることができる制度。)

・配偶者同行休職制度

(配偶者の転勤等に同行する社員について、国内外問わず、3年間の範囲内で休職を認める制度。)

各種支援セミナー

・育児・介護との両立やキャリア形成に関する支援セミナー実施

ダイバーシティ強化月間

2022年からダイバーシティ強化月間を設置。男性育休の促進や不妊治療、介護、性の多様性などからテーマを複数設定し、勉強会や理解度テストを通して、職場の理解浸透を促進

 

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

A 全般

(1) ガバナンス

 当社グループは、「日本郵政グループサステナビリティ基本方針」において、当社グループの事業活動を通じてサステナビリティを巡る社会課題の解決に貢献することにより、グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上に努めることを掲げております。

 また、当社グループの「JP ビジョン2025+」において、「日本郵政グループの強みを活かして、各事業戦略を通じたグループとしての成長と、Well-beingの向上及び、GXを含む低環境負荷社会への貢献を通じた、社会とグループの持続可能性の向上を目指す」ことをサステナビリティ経営の目標として設定し、サステナビリティ経営を推進していくこととしております。

 なお、「JP ビジョン2025+」は、経営会議及び取締役会において決議しております。

 サステナビリティ経営の推進に関する方針の策定及び企画調整等は、サステナビリティ推進部において行っております。

 経営会議の諮問機関として設置しているサステナビリティ委員会(委員長はサステナビリティ推進部を担当する執行役、年4回程度開催。代表執行役社長及び副社長も必要に応じて特別委員として参加)においては、サステナビリティに関するリスク及び機会、対応方針、指標及び目標、取組に関する進捗状況を審議し、その審議状況については、経営会議及び取締役会に報告しております。

 以上に加えて、グループ一体となったサステナビリティ経営の推進のため、グループ各社のサステナビリティを担当する役員が参加する日本郵政グループサステナビリティ連絡会を当社サステナビリティ委員会に併せて開催しております。

 

(サステナビリティ推進体制)


 

(2) リスク管理

 サステナビリティに関する各種リスクについては、サステナビリティ委員会が、同委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会における「サステナビリティに関する重要課題」の検討の中で、各課題が及ぼすリスクと機会の識別・評価及び管理方法を審議し、その結果を当社の経営会議及び取締役会に報告しております。

 2023年度は、特に重視する課題及び関連課題が及ぼすリスクと機会の識別・評価について、当社サステナビリティ推進部が主体となり状況を踏まえた更新を行い、対応の進捗を報告し、関係部署やグループ各社が連携して適切な対応を行っております。

 また、グループの重要リスクの観点でも、「サステナビリティ経営に係るリスク」は、取締役等へのアンケートにより、経営陣が特に重視する当社の事業等のリスク(2024年度トップリスク)の一つに選定しており、その評価及び管理に関しては、当社クライシスマネジメント統括部リスク管理室がこのリスクに対応する各担当部署と十分に連携することとしております。

 気候変動に関する温室効果ガス排出量の削減状況など、リスクに対応する取組状況のモニタリング結果については、グループオペレーショナルリスク管理連絡会(グループリスク管理責任者(グループCRO)及び各社リスク管理担当役員で構成)で共有し、経営会議及び取締役会に報告しております。

 

(3) 戦略

①  日本郵政グループの強みを活かした環境・社会課題への対応

 「JP ビジョン2025+」で打ち出した「サステナビリティ経営の推進」を具体化するため、当社グループは、環境・社会課題への対応に向けて、地域のハブとしての郵便局の役割発揮とサプライチェーン全体での対応を、これらを推進するためのイノベーションの社会実装とも連携させて進めます。これらの取組により、モノ・ひと・エネルギー等の地産地消、温室効果ガス排出量削減、サーキュラーエコノミーを推進し、Well-beingの向上と低環境負荷社会の実現を目指します。

 特に、これらの取組の推進においては、全国の郵便局が重要な役割を果たすものと認識しているところであり、関連主体との関係についてのイメージを示すと、以下のとおりです。

 


※ 資源(製品や部品等を含む)を循環利用し続けながら、新たな付加価値を生み出し続けようとする経済社会システム。

 

②  サステナビリティに関する重要課題

 当社グループの企業価値への影響並びにステークホルダーにとっての重要性及び期待への考察を踏まえ、サステナビリティに関する重要課題として、特に重要な課題及びそれに関連する課題を六つの領域にまとめ、取組の方向性を定めております。

<サステナビリティに関する重要課題の特定のプロセス>

 以下のプロセスにより、サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会での議論を経て決定しました。

ステップ1: 課題の抽出

  SDGs、ISO26000、GRIスタンダード等を参考に課題を洗い出し、適宜グルーピングしたものを「サステナビリティ課題リスト」として抽出。

ステップ2: 社内外の視点による評価

  ステップ1で抽出した課題について、当社の執行役、従業員、お客さま、取引先に対してアンケートを行うとともに、機関投資家等の意見、SASB基準において業種別重要トピックとされている事項との関連性、全国の市町村が郵便局に期待している事項、地域における有識者の声、サステナビリティに関する有識者との対話の結果等を参考として、「企業価値への影響」と「ステークホルダーにとっての重要性・期待」の2軸で評価し、特に重要な課題を特定。

ステップ3: 妥当性検証・統合整理

  特に重要な課題と密接に関連する課題をグルーピングした上で、経営理念や中期経営計画との整合性の検証等を踏まえ、六つの領域に整理して、それぞれの取組の方向性を整理。

 

 当社グループのサステナビリティに関する重要課題(六つの領域と取組の方向性)

(a) [地域生活・地域経済]郵政ネットワークの活用により地域課題に応じたソリューションを提供

(b) [高齢社会への対応] 高齢社会を支えるサービスの提供により人生100年時代の一生をサポート

(c) [サービスアクセス] 様々な人々のニーズに対応した使いやすいサービスの提供により豊かな暮らしに貢献

(d) [環境]       事業運営の環境負荷軽減と低環境負荷社会への貢献

(e) [人材・人的資本]  「誇りとやりがい」をもって働ける職場

(f) [経営基盤]     お客さまから信頼され、社会課題解決への貢献を支える経営基盤の確立

 

 

③  重要課題に対応した取組

 サステナビリティに関する重要課題について、リスク及び機会に対処するための具体的な取組の確認と推進管理は、サステナビリティ委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会において行うこととしております。

 上記②で示した六つの領域の重要課題について、以下のような取組を進めております。

 なお、取組の推進に当たっては、上記①で示した考え方も踏まえ、複数の重要課題に横断的に対応し、総合的な解決を図っていくことが重要であると考えております。

 

 (a) 地域生活・地域経済

地域の多様な住民が、健康や経済面の不安なく、自分らしく生き、地域・社会に積極的に関わるとともに、地域における様々な活動が共鳴し、コミュニティとしての重層的な「地域のWell-being」の向上が図られ、「住みやすい地域」が形成されることを支援してまいります。その中で、郵便局等の当社グループの拠点や社員が多様な問題解決に貢献し、住み良い・活力ある地域に欠かせない存在になることを目指してまいります。

各事業においては、以下のような取組を進めております。

・過疎地等を含む物流インフラの維持、地域住民の生活を支えるインフラ機能の維持(共助型買物サービス等)

地域に根ざした生活・経済を支える地産地消物流の推進

地域の各種活動の持続化の推進と地域住民等の交流の活性化

地方公共団体との連携による、地域課題の解決

・投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス(Σビジネス)の推進

・「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重点取組テーマとした、サステナブル

投資の推進(インパクト”K”プロジェクト等)

・かんぽ生命保険発祥のラジオ体操の普及推進を通じた地域への貢献

・地域社会の発展・活性化に資する不動産事業の推進

 

なお、共助型買物サービス(郵便物等を配達している車両の余積や既存の配達網を活用し、日常的な買物が困難な方の買物を補完するサービス)は、「(d) 環境」にも貢献する取組です。サステナブル投資の推進に向けた取組は、本項目に限らず様々な社会課題への貢献を企図しております。

※ 「インパクト”K”プロジェクト」とは、かんぽ生命保険において実施している、インパクト投資に関わる国内外の基準や考え方に加え、同社として重視する事項を包摂した社内認証制度です。なお、インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。

 

 (b) 高齢社会への対応

人生100年時代において、高齢化の進展によっても本人や周囲が大きな「不安・不便」を感じることなく、生き生きと暮らせる、Quality of Life の高い社会を実現し、高齢期に向けたそれぞれのライフステージにおける健康、経済、キャリアなどの各側面におけるWell-beingの向上を目指してまいります。

各事業においては、以下のような取組を進めております。

独居高齢者等に必要なモノの配送とモビリティ確保(ヒトの移動)の支援

・豊かな老後を迎えるためのサービスの提供、健康・いきがい・社会参画等につながるサービスの提供

幅広い年齢層のお客さまを対象とした資産形成サポート・コンサルティング

リアルチャネルを活用したリモートサービスのご案内

ご高齢のお客さまにやさしいサービスの提供、高齢者専用コールセンターによる対応

バリアフリーな施設の整備、提供

 

  (c) サービスアクセス

全国の郵便局において、当社グループの各種サービスを障がい者等を含めた多様な人々が利用しやすいように提供することはもちろんのこと、あらゆる世代へ基礎的な保障・サービスの提供を進め、すべての人々のWell-beingの実現を目指してまいります。

さらに、技術の進歩や社会の変化が進む中においても、誰もが取り残されず、豊かな暮らしを実感できる、包摂性の高い社会の実現を目指してまいります。

各事業においては、以下のような取組を進めております。

・全国の郵便局における当社グループの各種サービスの提供、並びにあらゆる世代への基礎的な保障・サービスの提供

企業・個人の多様なニーズに対応するサービスの提供

障がい者等多様な人々のサービスアクセスや窓口等コミュニケーションの支援

デジタルとリアル(郵便局の店舗ネットワーク)の接点を活用した使いやすいサービスの提供

多様な事業者との連携によるサービスの提供

・多様なユーザーに配慮し、周辺公共施設等とも連携した施設の整備・提供

 

  (d) 環境

持続可能な未来の基礎となる地球環境の保全のため、温室効果ガス排出量の削減をはじめ、気候変動の緩和、資源循環型社会の実現、生物多様性の維持・改善などに自ら取り組むほか、これを共通の目的として社会のあらゆる主体が協働する社会の実現を目指して、当社グループの持つリソースを有効活用してまいります。

各事業においては、以下のような取組を進めております。

自らの事業における温室効果ガス排出量の削減(EV車両等の導入拡大、水素燃料車両の導入、郵便局等における照明器具等のLED化及び再生可能エネルギー由来の電力への積極的な切替、ペーパーレス化の推進、FSC®認証紙の使用拡大、環境配慮型郵便局の設置等)

サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減(当社の配送サービス提供に当たっての温室効果ガス排出量の見える化とその削減の推進、顧客のサプライチェーンにおける排出量の削減に資するソリューションの提案、消費者等の環境に関する意識と行動の変容を促すサービスの提供を含む)

社会・地域における温室効果ガス排出量の削減やサーキュラーエコノミーの推進

社会全体の温室効果ガス排出量削減の取組を後押しすること等を目的としたテーマ型投融資の拡大

サステナブル投資(ESG投資)、投融資ポートフォリオの脱炭素化の推進

・先進的な環境性能を有する良質な建物仕様の実現

※ FSC®認証は、適切に管理された森林と、そこから生産された林産物、再生資源、そのほかの管理された供給源からの原材料で作られた製品を識別する、国際的な森林認証制度であります。当社のライセンス番号は「FSC®N003846」であります。

 

 (e) 人材・人的資本

後述の「B 人的資本」をご参照ください。

 

 (f) 経営基盤

コンプライアンス態勢について引き続き整備を図るとともに、内部通報制度の拡充、ミスコンダクト事象の把握、サイバーセキュリティ態勢の確保、情報漏えいリスクへの対応、データガバナンス態勢の整備、お客さまの声の分析と活用などにより、お客さまから信頼され、社会課題解決への貢献を支える経営基盤の確立を図ります。

 

④  気候変動に関する取組

 当社グループは、「JP ビジョン2025+」において、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減を主要目標の一つに掲げ、経営戦略の一環として気候変動への対応を推進しております。当社グループにおける気候変動対応は、当社代表執行役社長を最高責任者とし、取締役会が適切に監督しております。

 また、当社グループは、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同表明をしており、これに基づいて、グループの主要事業(グループ連結収益に占める割合が比較的大きい事業)について、気候変動リスク及び機会を特定し、それらが事業ポートフォリオに及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。

 当社グループの主要事業である郵便・物流事業及び郵便局窓口事業に関してシナリオ分析に基づき明らかになったリスクと機会及びそれらの財務への影響評価と今後の対応方針の概要については、以下のとおりです。

 

<郵便・物流事業及び郵便局窓口事業におけるリスクと機会>

  シナリオ分析

区分

発生時期

見込み

(注1)

財務への

影響

(注2)

内容

物理的リスク

急性

短期

小~大

・河川の氾濫、高潮等の発生により郵便局舎が被災した場合における復旧・操業コスト等の増加

・郵便局舎の被災や道路等の寸断により事業を継続できない場合におけるユニバーサルサービス提供への支障及び売上の低下

慢性

短期

小~中

・夏場の真夏日や猛暑日の増加に伴い、屋外業務に従事する社員の生産性低下

移行リスク

政策規制

中長期

小~中

・化石燃料の使用量に応じた炭素税の賦課やエネルギーミックスの変化に伴う操業コストの増加

評判

短期~中期

小~大

・気候変動対応に消極的とみなされた場合における株主・投資家からのダイベストメントなど

・環境への配慮が不十分と判断された場合における顧客離れ・売上の低下

機会

 

 

 

・環境に配慮した配送サービス・商品の開発・提供など顧客ニーズに応えることによる売上の増加

・施設設備の改修やEVの導入・拡大等により、炭素税が導入された場合におけるコスト増加の抑制

 

(注) 1.発生時期見込み:短期(~1年程度)・中期(~3年程度)・長期(3年~)で区分しております。

2.財務への影響:現時点では、大(100億円以上)・中(10億円以上100億円未満)・小(10億円未満)を目安としております。

 

 今後の対応方針

区分

区分

対応方針

物理的

リスク

大雨・洪水リスクの可視化とレジリエンス強化

・短期的取組

・施設単位のリスクの可視化

・被災リスクの高い施設のBCP対策、災害発生時の復旧時間短縮や代替機能の構築、社員の安全確保策等

・中長期的取組

・物流ネットワークの再構築、物流施設の集約、移転等

・被災リスクを回避・低減するための拠点の移転・新設時におけるハザードマップの活用 等

屋外作業の

生産性維持

・短期的取組

・既存の事業形態を前提とした緩和策導入計画の策定

・中長期的取組

・サービス内容や業務の提供方法の見直しによる緩和策の検討

移行

リスク

施設・車両の

脱炭素化強化

・省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入による温室効果ガス排出量の削減

・郵便局舎等のZEB化計画の具体化(実現可能性の検討)

・郵便・荷物の配達に使用する車両のEV化

・郵便・荷物の配達に使用する車両のEV化

・EV四輪車両の導入台数…2028年度末までの導入目標:15,000台(累計)

・EV二輪車両の導入台数…2025年度末までの導入目標:30,300台(累計)

・更なるEV拡大計画の策定(Scope3を含む)

・基幹輸送のカーボンニュートラル化

・より低炭素な輸送モードの組み合わせによるカーボンニュートラル化の推進

・技術・コスト等を踏まえながら、より低炭素な車両・燃料への切り替え

FCVの社会実装に向けた検証への参画

機会

脱炭素化社会を見据えた収益

機会創出

・環境品質に関する顧客ニーズについて、営業活動を通じて収集し、社内で共有する仕組みの構築

・顧客ニーズを捉えた環境品質の高い商品サービスの開発・拡充

・気候変動リスク等の問題点と当社の取組について、営業社員が理解し、荷主に説明できる仕組みの構築

マネジメント

脱炭素化経営

マネジメント

・商品サービス別の温室効果ガス排出量のモニタリング

・ICP(インターナルカーボンプライシング)の導入検討

 

 

 銀行業及び生命保険業における気候変動に関する取組については、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の第18期通期有価証券報告書をご参照ください。

 

(4) 指標及び目標

①  「JP ビジョン2025+」で掲げる目標及びその進捗状況

 「JP ビジョン2025+」においては、リスク及び機会に関する評価、管理及び監視のために特に重要であり、グループ全体として取り組む必要性が高いと考える以下の4項目について、グループ目標値を設定しております。この4項目の進捗状況については、サステナビリティ委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会において推進管理を行い、経営会議及び取締役会に報告しております。

 (a) 温室効果ガス排出量:2030年度までに、2019年度比46%削減※1

2050年 カーボンニュートラルの実現を目指す※2

 (b) 女性管理者比率  :2030年度 本社における女性管理者比率 30%※3、4

 (c) 社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア※5:対前年評価点数以上

 (d) 育児との両立支援 :男女ともに育休取得 100% 、男性育休平均日数 1か月以上

 

※1 Scope1(自社が直接排出する排出量)及びScope2(他社から供給された電気等の使用に伴う排出量)が対象であります。また、当社グループ温室効果ガス排出量削減目標の対象は、グループ総排出量の大宗を占める当社、日本郵便、ゆうちょ銀行、 かんぽ生命保険、日本郵便輸送株式会社、トール社、JPロジスティクスグループ株式会社(JPロジスティクス株式会社を含む)及び日本郵政不動産株式会社であります。

Scope3については、中期経営計画での目標設定は行わないが、削減に向けて主要事業に関する以下の取組を推進いたします。

・郵便・物流事業

サプライチェーンでの温室効果ガス排出量削減に向け、日本郵便連結によるSBT認定取得に向けた検討を進めます。

・銀行業

グリーンボンド/グリーンローン等への投融資や、投融資先とのエンゲージメントを通じて、投融資先の脱炭素化に寄与いたします。

・生命保険業

投資先企業等から排出される温室効果ガスの計測・分析を行い、分析結果を考慮した上で、投資先企業等に対するエンゲージメントを実施し対応を促すことで、投資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の削減を目指します。

※2 目標達成のためには国内における再生可能エネルギーの普及などカーボンニュートラル化が相当程度進むことが必要になります。当社グループも、国内外のカーボンニュートラル化を後押しします。

※3 グループ主要4社の本社における女性管理者比率。2030年度までの取組の結果である2031年4月1日における比率であります。

※4 本社以外においても、女性管理者増加に向けて、管理者・役職者を目指す社員を増やすための環境整備・人材育成に取り組みます。

※5 社員エンゲージメントスコアとは、社員の「誇りとやりがい」に関するスコアであり、当社グループにおいては、グループES調査結果を活用しております。

 

 上記の目標に対してのこれまでの進捗は、以下のとおりであります。

(a) 温室効果ガス排出量実績

                                                                     (単位:万t-CO2、%)

 

2019年度

(基準年)

2020年度

(実績)

2021年度

(実績)

2022年度

(実績)

総排出量

125

117

115

109

累計削減量(対2019年度)

△8

△10

△15

累計削減率(対2019年度)

6.5

8.2

△12.7

 

(注) 1.当社グループ温室効果ガス排出量削減目標の対象は、グループ総排出量の大宗を占める当社、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵便輸送株式会社、トール社、JPロジスティクスグループ株式会社(JPロジスティクス株式会社を含む)及び日本郵政不動産株式会社であります。

2.事業を売却した宿泊事業及びトール社エクスプレス事業の温室効果ガス排出量は除外しております。

3.2023年度実績は、当社ウェブサイトにて公表する予定であります。

  https://www.japanpost.jp/sustainability/library/data/#emissions

 

(b) 女性管理者比率(グループ主要4社の本社)の実績

後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ② 「異なる互いを認め合う」」を参照ください。

 

(c) 社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア

後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ① 「誇りとやりがい」」を参照ください。

 

(d) 育児との両立支援

後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ② 「異なる互いを認め合う」」を参照ください。

 

②  重要課題に関する具体的な指標と目標(①に掲げるものを除く)

 上記「(3) 戦略 ②  サステナビリティに関する重要課題」及び「(3) 戦略 ③ 重要課題に対応した取組」で掲げた重要課題領域における主な取組に関しては、以下のように適切な指標を設定するとともに、必要に応じて具体的な目標を設定しており、サステナビリティ委員会及びグループサステナビリティ連絡会において進捗の把握を行うこととしております。

なお、各種施策のうち、試行段階の施策で今後の展開方針が未定のもの、委託元や協業相手の要請・意向・状況に応じた対応が必要である等の理由で目標設定が困難なもの、望ましくない事象の抑制を目指す取組であって目標を設定することによって問題の顕在化を妨げるおそれのあるもの等については、定量的な目標設定は行わず、各施策を実施する会社及び部署において適宜の評価を行っております。

また、投融資先の温室効果ガス排出量の削減目標など当社の努力のみでは達成を確約することができない目標も含まれている点にご留意ください。

 

重要課題

指標及び目標

2023年度末実績
(特に年度の記載のない場合数字は累計値)

(a)

地域生活地域経済

 

 各施策の取組数や投融資残高等を指標として進捗管理を行います。特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。

 

・共助型買物サービス…2024年度末までの実施目標:6地域

(この目標は「(b) 高齢社会への対応」にも関連)

 

GP業務関連残高(投資確約額ベース)…2025年度末時点で4,000億円程度

ラジオ体操実施率…25%(注1)

サステナブル投資の推進…インパクト“K”プロジェクト認証ファンド(注2)

…2025年度末までに累計15件、500億円

(この目標は本項目に限らず様々な社会課題に関連)

 

 

 

 

・共助型買物サービス

…1地域

 (奈良市東部地域)

GP業務関連残高

…489億円

ラジオ体操実施率…24%

・インパクト”K”プロジェクト認証ファンド

…累計6件、225.5億円

(b)

高齢社会

への対応

 「(a)地域生活・地域経済に記載する関連指標のほか、各サービスの利用者数等を指標として進捗管理を行います。

 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例としては、以下があります。

・NISA口座数…2025年度末時点で94万口座

 

 

 

 

・NISA口座数…73万口座

(c)

サービス

アクセス

 

 各サービスの利用可能状況等を指標として進捗管理を行います。

 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。

・郵便局アプリ登録数…2025年度末までに、500万ダウンロード

・ゆうちょ銀行通帳アプリ登録口座数…2025年度末時点で1,600万口座

 

 

 

 

・郵便局アプリ登録数

…約170万ダウンロード

・ゆうちょ銀行通帳アプリ

 登録口座数

 …1,040万口座

 

(注) 1.ラジオ体操実施率は、かんぽ生命保険が定期的に実施している オンライン調査(対象は20歳~69歳の男女2,400名)において、ラジオ体操を知っていると回答した方のうち、1年に1回以上ラジオ体操を実施すると回答した方の割合です。

2.インパクト“K”プロジェクト認証ファンドの目標及び実績は、2022年度の認証開始からの累計案件数及びかんぽ生命保険による投資額(ファンドの形態により投資額もしくはコミットメント額を計上)です(この実績は本項目に限らず様々な社会課題に関連した実績です)。

 

重要課題

指標及び目標

2023年度末実績
(特に年度の記載のない場合数字は累計値)

(d)環境

 温室効果ガス排出量については、(4)(a)のとおり削減目標を設定してその達成状況を把握するほか、(3)④で掲げた対応方針の進捗に関する指標を設定して進捗管理を行います。また、各種環境負荷に係る資源の使用量等の中で重要なものについて指標を設定しております。

 さらに、低環境負荷社会の実現に向けた貢献については、「(a)地域生活・地域経済」に記載する関連目標のほか、取組状況や投資額等を指標として進捗管理を行います。

 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。

・EV四輪車両の導入台数…2028年度末までの導入目標:15,000台

・EV二輪車両の導入台数…2025年度末までの導入目標:30,300台

・高効率空調への更改…2025年3月末までの実施目標:新たに70

・郵便局でのLED電球使用…2025年3月末までの実施目標:新たに364局

・環境配慮型郵便局の設置に係る目標…2024年度「+エコ郵便局」新たに3局開局予定

 

・「+エコ郵便局」の建設及び太陽光発電設備の設置等により、24年度の温室効果ガス排出量の削減を、23年度環境配慮型郵便局の設置による削減量に加え、更に0.01万t-CO2/年削減。

 

 

・郵便はがきのFSC®認証紙の使用

 

 

 

 

・ESGテーマ型投融資残高(ゆうちょ銀行)…2025年度末時点で7兆円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・EV四輪車両の導入台数

…約5,000台

・EV二輪車両の導入台数

…約16,300台

・高効率空調への更改

…196局

・郵便局でのLED電球使用

…16,452局

・環境配慮型郵便局の設置数

「+エコ郵便局」14局開局

「+エコ郵便局」の建設及び太陽光発電設備の設置等による、温室効果ガス削減量

0.013万t-CO2/年

 (2023年度実績)

・郵便はがきのFSC®認証紙の使用

現在調達しているすべての郵便はがきでFSC®認証紙を使用

・ESGテーマ型投融資残高

  …4.6兆円

(e)

人材・

人的資本

後述の「B 人的資本」をご参照ください。

(f)

経営基盤

「(3) 戦略 ③ 重要課題に対応した取組 (f) 経営基盤」で掲げた各取組のうち、新たに導入した制度に係るものについては、その利用状況等を指標として進捗管理を行います。

 

 

 

B 人的資本

(1) グループ人事方針の位置づけと策定プロセス

当社グループは経営戦略と人事戦略を実現するための基本的な方向性を位置づけるものとして「グループ人事方針」を策定しています。

本方針を通じて、お客さま、地域及び社会への貢献の拡大と、企業価値の向上につなげてまいります。

策定に当たっては、フロントライン社員の存在を特に意識し、当社グループの注力すべき項目として、目指す姿としての「誇りとやりがい」、その達成のための3つの軸、「異なる互いを認め合う」、「能力を高める」、「強みを発揮する」という4要素を抽出し、それぞれの要素に関する具体的な指標及び目標の整理を行いました。

 

<策定に当たって、特に意識した事項>
・フロントライン社員の「誇りとやりがい」の向上を最重要課題とし、その実現に必要な施策を体系化すること
・挑戦をより高く評価する人事評価制度見直しなど、社員の意識・変化をもたらす人事制度見直しを意識すること
・フロントライン社員に伝わりやすい内容であること

 

なお、ガバナンスとリスク管理は上記「A 全般」をご参照ください。

 

(2) 戦略

 

グループ人事方針

日本郵政グループは、社員全員が「誇りとやりがい」をもって働ける会社を目指します。

そのために、「異なる互いを認め合う」、「能力を高める」、「強みを発揮する」を軸に、社員の成長と挑戦を支援する人材育成と環境整備に取り組みます。

こうした人的資本経営の実践を通して、持続的な企業価値の向上を図り、お客さまの幸せと地域の発展に貢献します。

 

社員の仕事への前向きな姿勢・行動が、お客さま、地域・社会への貢献を拡大し、広い意味での企業価値を向上させます。そこで、当社グループは、日々、お客さまのために「縁の下の力持ち」 として尽力している社員全員が、誇りとやりがいを感じ、仕事に前向きに取り組める職場を提供します。

※ 郵便事業の創業者、前島密の信条:縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ。

 

社員が誇りとやりがいを感じつつ仕事に取り組めるよう、社員が互いの違いを認め合う職場という基盤(=「異なる互いを認め合う」)及び能力や意欲を高める自発的取組を支援する環境(=「能力を高める」・「強みを発揮する」)を会社は提供します。

・「異なる互いを認め合う」については、心身の健康増進と、ハラスメントがなく、性別・年齢などに関係なく多様な生き方や個々の社員の事情を尊重しあう、相互承認、安心感の得られる職場を提供します。

・「能力を高める」については、事業環境変化に伴うサービスの内容・提供方法の変化に対応できるよう、また、働き方を自律的に選択できるよう、能力・知識・技術獲得の機会を提供します。

・「強みを発揮する」については、挑戦の機会を提供し、また挑戦を評価する仕組みを強化し、自身の強みや創造性を発揮してお客さまのため新たな取組に挑戦する組織や風土を構築します。

・こうした取組で「異なる互いを認め合うこと、能力を高めること、強みを発揮すること」ができる人材の育成を進めます。


社員の能力発揮・意欲向上が事業の発展をもたらすとの認識の上で、人事施策を企画・実施し、社員と共に事業の発展を推進してまいります。

 

 

(3) 指標及び目標

グループ人事方針は、社員の「誇りとやりがい」の向上を追求することとし、そのための3つの軸、「異なる互いを認め合う」、「能力を高め合う」、「強みを発揮する」を設定しております。以下で、各要素の目指す姿、関連人事施策並びに指標及び目標を示します。人事施策並びに指標及び目標については、毎年評価・反省を実施し、必要な見直しを行います。

 

①  「誇りとやりがい」

<目指す姿と人事施策>

社員の誇りとやりがい(エンゲージメント)を高めることで、社員の幸せと生産性向上を実現します。

誇りとやりがいを高めるには、「異なる互いを認め合う」環境を基盤として整備すること、個々の社員の「能力を高める」こと、そして、個々の社員が「強みを発揮する」ことが必要と考え、下記のとおり、各要素についての具体的な施策、指標及び目標を設定し、その実現に努めます。

並行して、社員が誇りとやりがいをどの程度感じているかを定期的に把握し、結果の分析や社員との共有を図り、課題の抽出・対策につなげます。

 

<指標・目標>

対象組織

施策、指標及び目標

実績

当社及び

事業子会社

社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア

  対前年度評価点以上

・社員と調査結果の共有及び継続的な改善策の実行

3.31pt
 (2023年度)

 

※ 2023年度からグループES調査結果を活用

 

② 「異なる互いを認め合う」

<目指す姿と人事施策>

社員が健康のうえ、個々の違いや能力、多様な働き方を認め合い、尊重することで、安心感やイノベーションの創出を促し、社員の誇りとやりがいを高めます。そのために、次のような施策を実施します。

 

・「真の多様性」の実現への意識啓発・行動改革

・女性活躍・高齢者の就業・障がい者雇用・性の多様性への対応の推進

・健康経営の推進、柔軟で多様な勤務・休暇制度の整備・定着及びライフイベントと仕事との両立支援の推進

・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント等の根絶など、適切な労務管理

 

<指標・目標>

対象組織

指標及び目標

実績

当社及び

事業子会社

・健康経営KPI 達成 (2024年度)

要医療1・2の社員割合 1%以内

特定保健指導脱出率 23%以上

・男女ともに育休取得 100%

・男性育休平均日数 1か月 以上

・ハラスメント認定件数  対前年度以下

・障がい者雇用率  3.0% (2025年度)

・要医療1・2の社員割合 1.17% 特定保健指導脱出率 24.3%

 (2023年度)

・女性100% 男性98.3%(2023年度)

・平均35.0日(2023年度)

124(2023年度)

・2.56%(2023年6月)

当社及び

事業子会社

の本社

・本社女性管理者比率 30% (2030年度)

16.2%(2023年度)

 

要医療1・2…医療上の措置を緊急又は早急に必要とする者

 

 

③  「能力を高める」

<目指す姿と人事施策>

挑戦や成長意欲を重視し、自律的なキャリア形成やDX推進等に必要なスキル習得などで、努力が報われる実感を伴いながら、社員の誇りとやりがいを高めます。そのために、次のような施策を実施します。

 

・挑戦と能力向上を促す自律的なキャリア形成支援

・「職務が評価された」、「努力が報われた」と実感できる人事諸制度の実現

・DX推進等による業務効率化や新たな業務へのスキル習得支援

・コンサルティングやマネジメント、経営課題解決に必要な能力等、専門性強化

 

<指標・目標>

対象組織

指標及び目標

実績

当社及び

事業子会社

・キャリア形成の支援策実施
 (シニア層向け等のリスキリング施策実施)

・グループ内社内公募人数 対前年度以上

 ・キャリア研修の実施
 

 ・-

当社及び

事業子会社

の本社

・本社、支社等対象者数 DX研修受講率100%(2025年度)

・受講率94%

(受講者数10,200名(2023年度末時点))

 

グループ内社内公募…2022年度から本社組織間では実施中。

2024年度からフロント組織も含めて全社的に実施するもの。

 

④  「強みを発揮する」

<目指す姿と人事施策>

適所適材の実感を持って働くことや風通しのよい組織への変革により、自身の強みや創造性の発揮を促し、社員の誇りとやりがいを高めます。そのため、次のような施策を実施します。

 

・お客さま本位の姿勢で、強みや創造性を発揮できる人材の採用・育成・配置及び職場環境の整備

・新たなチャレンジや組織風土の変革に取り組む社員を高く評価する仕組みの導入

・柔軟な要員配置・働き方によるグループ内の人材流動化

・グループ内外の人事交流の促進及び外部専門人材等の積極的な採用や副業の受入れ

※ 専門人材のほか、多様な人材確保の視点から、特定技能(今後、国において創設予定の「育成就労制度」を通して外国人の人材確保・育成を図り、「特定技能1号」に転換していくことで、長期間事業を支える人材の確保を行うもの。)の導入検討を含む採用手法・採用対象の多様化により必要な人材を確保していきます。

 

<指標・目標>

対象組織

指標及び目標

実績

当社及び

事業子会社

・適所適材スコア※ 対前年度評価点数以上

・年休取得平均日数 18日以上

・グループ内外の人事交流人数 2021年度水準の維持

グループ4社間の交流人数 約1,500人

2.70pt (2023年度)

・平均19.5日 (2023年度)

・2023年度達成

当社及び

事業子会社

の本社

・戦略的副業の取組人数 対前年度以上

・経験者採用の推進

45 (2023年度)

52 (2023年度)

 

※ 2023年度からグループES調査結果を活用