リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1) 各事業領域におけるリスク
① 工作機械関連について
(ア)工作機械:主な需要先は自動車及び自動車部品業界であり、当社グループの主力製品は、自動車部品の専用加工ラインであるため、自動車のモデルチェンジ等に伴うラインの更新時期に需要が集中し、売上高は年度によりかなりの幅で変動します。このため、需要の少ない時期には当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)の進展による自動車業界の構造変化が当社の想定を超えて急速に進んだ場合や、自動車業界自体が次世代車の方向性の見極め等により投資を控えるなど、需要が縮小した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)海外向け:アジアを中心とする海外向けにつきましては、各々の地域における政治的・経済的要因、戦争・暴動・テロ・伝染病・ストライキその他の社会的混乱により現地における事業活動が影響を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、中国では、ローカルメーカーにおける自動車EV化の鈍化に伴う投資の減退、及び日系メーカーの現地生産からの縮小・撤退の流れが進んでいます。一方インドや米国では従来のICE車の継続生産に向け、日系自動車メーカーによる現地工場での設備投資も行われており、当面はEVとICEのマルチパスウェイで進むことが想定されます。従いまして、日系メーカーの海外工場への依存度が高い当社においては、国内同様、次世代車の方向性が定まるまで顧客需要にアンバランスが生じ、売上確保が出来ない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 火器について
(ア)防衛省向け小火器:防衛省の装備品調達予算は、向こう5年間は順当に維持させるものと予想しています。その中で生産体制の未整備などが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)民間向けスポーツライフル:米国市場への依存度が高いため、同市場の需要が停滞する場合には、売上高が減少するおそれがあります。また、米ドル建の取引であるため、地政学リスク等による急激な円高/ドル安に向かえば、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、同製品の事故による製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、賠償額を保険により十分にカバーできる保証はなく、重大な事故が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 特装車両について
路面清掃車については、自動車の国際基準調和と認証の相互承認推進のため保安基準が変更され、その影響を受けるため、遵法性の確保のための様々な研究開発・投資コストを負担しております。今後規制の強化により想定を上回る負担が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、路面清掃車の国内市場におけるEV化等の脱炭素化の流れが当社の想定を超えて急速に進んだ場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 建材について
防衛省向け防音サッシへの依存度が高いため、防衛省の予算の増減によっては、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの各事業部門におけるリスクへの対応のため、当社では中期経営計画に基づき、スピード感と戦略性のある経営の意思決定により、各事業における成長領域の見極めと継続的な投資を行い、企業価値の向上に取り組みます。特に、事業ポートフォリオ戦略の考え方に基づき、強弱をつけた経営資源の投入による経営効率の最適化を進めることは、収益体質を強化し、リスク耐久力を高めていく上で最も重視すべき施策であると認識しております。
(2)その他経営全般に係るリスク
① 固定資産の減損について
当社グループにおいては、2022年度よりスタートした第5期中期経営計画におきまして、これまでの安定路線から成長路線に切り替え、スピード感と戦略性のある経営によりステークホルダーの皆様に認めて頂ける「企業価値の向上」の実現に取り組んでおりますが、現段階では収益性の低い事業を抱えており、取り組みによる強化・改善が想定通りに進捗しない場合、各資産グループにおいて収益性の低下等を要因とする固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 棚卸資産の評価について
当社グループは、事業セグメントごとに様々な製品群を有しており、それぞれのセグメントで製品別に将来の受注予測を立てた上で最適な生産体制を構築し、製造コストの低減を図っておりますが、需給バランスの急激な悪化等の外部環境の変化に対し対応の遅れが生じた場合、適正水準以上の在庫が積み上がることによって棚卸資産の評価損が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料等の価格上昇について
原材料等の価格上昇によるコストアップを社内でのコストダウンでカバーできない場合、もしくは製品価格に十分に転嫁できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 退職給付費用及び退職給付債務について
当社グループの年金資産の時価が下落した場合、当社グループの年金資産の運用利回りが予定を下回った場合、又は退職給付債務を計算する前提となる割引率等に変更があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、年金制度の変更があった場合には、未認識の過去勤務費用が一時に発生する可能性があります。
⑤ 繰延税金資産について
繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 有価証券について
当社グループは、金融資産として市場価格のある株式を多く保有しております。このため、株価の下落は保有有価証券の資産価値を減少させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 自然災害による影響について
当社グループの製造は、ほとんどが愛知県の本社工場に集中しているため、同地域に大規模な地震・水害等の自然災害が発生した場合には、復旧するまでは操業停止状態となり、生産能力が著しく低下し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 土壌汚染による影響について
当社グループが保有する土地につき、環境基準を超える有害物質による土壌汚染がある場合には、汚染拡散防止等に要する環境安全対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 財務制限条項について
当社グループの借入金の一部に純資産及び経常損益に関する財務制限条項が付されております。万一、当社の業績が悪化し、当該財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの経営全般に係るリスクへの対応のため、当社では取締役から構成される経営会議がリスク管理委員会を兼ねる体制とし、当会議体においてこれらのリスクを検証し、リスク対応方針を決定する仕組みを構築しております。また決定事項については、代表取締役から執行役員会・内部監査委員会等を通じて業務執行方針・内部統制方針を浸透させ、迅速かつ適切にリスクに対処できる体制としております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、工作機械を中心に受注生産を行っており、国内外の景気変動などによる設備投資動向に受注が左右され、業績は年によってかなりの幅で変動するため、中長期的な観点から安定的、継続的な配当の維持を基本方針としております。
当社は、期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。剰余金の配当の決定機関は、株主総会であります。
当期の配当については、当期の業績、当社グループを取り巻く経営環境、将来の事業展開に備えた内部留保、安定配当の継続等を総合的に勘案し、1株当たり20円の配当を実施することを決定いたしました。
内部留保については、財務基盤の強化並びに今後の事業展開に役立てる予定であります。
なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月26日 |
240 |
20 |
定時株主総会決議 |
また、2023年3月期から始まった新中期経営計画では、引き続き安定的、継続的な配当の維持を基本方針としつつ、新たに、キャッシュ・アロケーション戦略に基づく成長投資と株主還元の配分を行う中で、利益増に応じた株主還元の充実を図ることとしております。これにより、2023年3月期からは、1株当たり配当額20円の実績配当を維持しつつ、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当性向の目安としております。