2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期並びに顕在化した場合における当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容については、合理的な見積もりを行うことが困難であるため記載しておりませんが、企業経営に対する重大なリスクに適切かつ迅速に対応するためにリスク審査委員会を編成し、発生頻度の可能性や経営に与える影響度に応じたリスク情報の収集と分析を行っております。併せて、その予防と緊急時の対応策整備、当社グループ全体のリスクの統括的管理を行い、取締役会において、連結子会社を含めたグループ全体の最新状況を共有し、管理、監督の徹底に努めております。

今後の見通しとしては、世界経済は、中国の成長力の陰りに加え、ロシア・ウクライナ、中東、東アジアの情勢や主要国での選挙など、地政学的リスクの高まりから、景気の下振れが懸念されます。一方、先進国を中心に生産年齢人口の減少を補うための省人化、省力化に向けた取組みや、生産設備の老朽化に伴う買替需要には期待感があります。

このような状況を総合的に勘案した上で、より強靭な事業体を構築し、世の中から必要とされる「優良企業」を目指すべく、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)」に記載の中期経営計画を策定しました。

翌期につきましては、大型受注案件の売上が一巡したことと、日本や中国における射出成形機の受注低迷の影響を受けたことによる受注残高の減少により減収、減益を見込んでおりますが、中期経営計画に定めた諸施策の実行等により、翌々期以降は増収、増益を見込んでおります。

現時点においては、損益及び財政状態に重大な影響を与えるリスクの存在はないと認識しておりますが、万一、当社グループに重大な影響を及ぼす事象が発生した際は、速やかに関係者に対する通知並びに開示等の適切な対応を行います。

 

(1) 特定事業分野への集中リスク

当社グループのコアビジネスはプラスチック製品製造機器事業であり、中でも、自動車関連や電子部品関連業界向けの高機能合理化機器の売上高構成比が高くなっております。当社グループは、今後も継続して新規販売分野の開拓・拡大や、新製品・新技術の開発等に注力してまいりますが、国内外のプラスチック成形加工業界の設備投資額が景気動向等により低下した場合や、当該業界を取り巻く技術革新や事業環境の変化に対応できなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料価格の上昇リスク

当社グループの製品の原材料には、鋼材等、市況変動の影響を受けるものがあります。種々の原価低減策を上回る原材料価格の上昇が生じた場合は、可能な範囲で販売価格へ転嫁するよう努めますが、価格転嫁が十分にできなかった場合は、利益率が低下する可能性があります。

 

(3) 価格競争激化のリスク

当社グループの主力納入先であるプラスチック成形加工業界は、国内外での激烈な技術革新と品質・価格競争の中にあり、設備投資に関する要求水準が厳しくなっております。当社グループでは、高付加価値製品の開発や品質・納期・価格面での競争力強化に努めておりますが、想定を上回る価格競争が生じた場合には、利益率が低下する可能性があります。

 

(4) 海外事業リスク

当社グループは、プラスチック成形加工業界向けの需要や市場の将来性が見込める海外地域に拠点を展開する方針としており、東アジア、東南アジアでの生産拠点、東アジア、東南アジア、北中米での営業・サービス拠点の強化に努めております。2024年3月期において、売上高に占める海外売上高の割合は37.1%となっており、中でも東アジア(中国、台湾等)の重要性が増しております。当該海外地域での政治的混乱、法律の一方的な改訂、経済状況の変化、宗教問題等、予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの生産・営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 為替レートの変動リスク

当社グループは、輸送コストや為替の影響を軽減するため、海外生産を中国、インドネシアで行っておりますが、中国人民元、インドネシアルピアの通貨価値の変動により、各製造子会社の外貨建の販売価格、仕入価格に影響を及ぼす可能性があります。外貨建取引については為替先物予約等によるリスクヘッジに極力努めておりますが、急激な為替レートの変動があった場合は、想定以上の為替差損益が発生する可能性があります。また、各海外子会社における売上、費用、資産及び負債については、連結財務諸表作成時に各現地通貨から円換算を行っているため、換算時のレートの変動により、当社グループの損益や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材の確保と育成のリスク

当社グループの事業の発展と成功は、人材の確保と育成にかかっております。中でも海外子会社においては、実務能力に加えて、現地従業員に対するリーダーシップとコミュニケーション能力にたけた人材を十分に確保・育成する必要があります。人材の確保・育成に成功しなかった場合には、当社グループの中長期的な事業戦略に影響を与える可能性があります。

 

(7) 訴訟リスク

当社グループの事業活動において、知的財産、製造物責任、環境保全、労務問題等に関し訴訟を提起される、または訴訟を提起する場合があり、その動向によっては当社グループの損益及び財政状態、社会的信用等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害、事故災害、重篤な感染症の流行のリスク

地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、重篤な感染症が流行した場合、直接的または間接的に当社グループの生産・営業活動に影響を及ぼし、損益及び財政状態が悪化する可能性があります。

 

(9) 気候変動によるリスク

気候変動がもたらす大規模災害による生産設備への被害や原材料調達等への影響のほか、世界各国における気候変動に対する規制強化や制度の変化により原材料やエネルギー等に係るコストが上昇した場合には、直接的または間接的に当社グループの生産・営業活動に影響を及ぼし、損益及び財政状態が悪化する可能性があります。

配当政策

 

3 【配当政策】

(1) 利益配分の基本方針

当社は安定的な配当維持に加え、業績に連動した株主の皆様への配当(利益還元)を充実させることを経営の重要政策の一つとして位置付けております。また、中長期的には安定した事業成長を図り株主価値を持続的に向上させるため、業績の進展状況等を勘案し、新規事業開発や戦略投資等に内部留保資金を投下してまいります。

当社は中間配当制度を設けており、剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回を基本的な方針としております。これらの配当の決定機関は中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

 

(2) 当期の配当決定に当たっての考え方

上記(1)を基本方針としておりますが、当期の剰余金の配当につきましては、現状の利益水準や経済情勢等を踏まえ、1株当たり年間41円00銭(中間配当20円50銭、期末配当20円50銭)としております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月31日

取締役会決議

145

20.50

2024年6月26日

定時株主総会決議

145

20.50

 

 

(3) 内部留保資金の使途

企業の財務体質の強化、新規事業開発や戦略投資など将来の事業展開への備えとして投下していくこととしております。