2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスク管理体制

当社グループは、「リスク管理委員会」を設置しており、当該委員会でリスクの抽出、分析、評価、対応が行われ、取締役会に定期的に報告されております。具体的には、リスク管理委員会がリスクを抽出し、発生頻度、業績等への影響度に基づいてリスクの重要性を測定し、対応すべき重要項目を定め、その目標の達成度・進捗状況を点検しリスク軽減に努めています。取締役会は報告事項に対して必要に応じて適宜指示を行う等の監督を行っており、リスク管理の精度を高めております。

なお、リスク管理の更なる強化を目的に、2024年2月1日付でリスク管理委員会の組織体制を見直しており、従来の総務本部長を委員長とし、各部門から任命された委員で構成された組織から、代表取締役社長を委員長とし、執行役員を常任委員とした組織に変更しております。

 

(2) 個別のリスク

リスク項目

(特に重要なリスク)

リスクの説明

リスク対策

事業環境

・当社グループの連結売上高に占めるポンプ事業の比率は、当連結会計年度は93.4%となっておりますが、当該事業の主要な取引先である石油化学・化学業界の設備投資動向が当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。特に脱炭素社会の進展に伴い、石油化学向けの設備投資が大幅に減少した場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、キャンドモータポンプの代替品や模造品の出現、価格競争の激化等があった場合も当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループは、景気の動向に左右され難い強固な企業体質の構築に努めており、顧客志向の研究開発や用途開発、品質向上、生産性向上、ブランド力強化等に取り組んでおります。また、製品の販売とともにメンテナンスにも注力し、顧客の信頼性向上に努めております。

当社グループの主要顧客である石油化学・化学業界は、脱炭素社会の進展に対応して製造工程の合理化や温室効果ガス削減に貢献する製品の開発等を進めており、これらに関連した設備投資は当社グループにとっての機会であると捉えております。当社グループは、この機会を積極的に取り込んでまいります。

法的規制等

・当社グループの事業は、通商、独占禁止、知的財産、製造物責任、貿易及び外国為替管理、環境・リサイクル関連等の法的規制を受けております。また、事業を展開する各国においても各種許認可、関税、輸出入規制等の様々な規制を受けております。これらの規制の変更や新規の規制により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。さらに、これらの規制に違反した場合、当社グループの業績及び財務状況、社会的信用等に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループは、グローバルにビジネスを展開していることから、各国の法的規制等について現地法人や外部団体等を通じて常に最新情報を入手するように努めております。また、特別な対応が必要な場合は、社内にプロジェクトチームを立ち上げる等、迅速な対応に努めております。これらの対応により規制変更等によるリスクの最小化を図っております。

人材確保・育成

・技術集約型企業である当社グループの中長期的な成長は、各従業員の力量に大きく依存しております。従って優秀な人材を計画通りに確保できなかったり、優秀な人材が社外に流出してしまったり、人材育成が思い通りにいかなかった場合は、当社の競争力が減退し、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

・顧客ニーズの高度化、事業のグローバル化が進んでいる中、当社グループは優秀な人材の確保・育成を重点課題と位置付けております。広報・IR活動等による知名度の向上や働き方改革の推進による働きやすい職場づくり、総務部内に配置した教育専任者による若手及び中堅社員の技能育成強化、各人のキャリアデザインを実現するためのキャリアチャレンジ制度の充実、語学習得を目的とする海外への留学制度設計等、優秀な人材を確保・育成していくための取り組みを推進しております。

調達

・当社グループが製造するモータポンプは、主にステンレス鋳物・棒材、銅線、鉄板、ベアリング等の部材で構成されており、これら部材の価格変動や供給体制が当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループでは、部品調達や外注加工等において複数社購買やグローバル調達を推進しており、リスクの低減を図っております。

品質

・当社グループが製造するモータポンプは顧客設備の中核をなす製品であり、品質の維持、向上は最も重要と考えております。製品の品質クレーム・トラブルが発生した場合、顧客からの信用が失墜し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・当社グループは、品質基本方針に基づき、法令・規制要求事項を遵守することはもとより、顧客要求事項を達成して顧客の信頼を得るとともに、品質マネジメントシステムの有効性を改善することによって、社会に認められる製品づくりを行う責務があると認識しております。近年、若手作業者の比率が上昇していることから、総務部内に教育専任者を配置し、技能継承を推進するとともに、公的資格の取得を積極的に推進する等、技能向上・早期育成に努めております。

納期

・当社グループは、ポンプ事業において、顧客の個別ニーズに応じた受注生産をメインに行っております。顧客ニーズの高度化、短納期ニーズの増加等様々な要因により案件難易度は高まっており、個別対応が必要な案件も増加しております。このような状況下で、設計や手配のミス、それらに起因する納期遅延が発生した場合、顧客からの信用が失墜し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループでは、これら問題を回避するために多面的にボトルネックの解消に取り組んでおります。取り組みの一環として、2024年4月1日付で、手配業務のシステム化を推進する業務に人員を配置し、作業効率の向上を図っております。また、若手作業者が増加していることから、総務部内に教育専任者を配置し、技能の継承や向上を図るとともに、生産管理方法の改善、調達先拡充による部材調達、外注加工のスピードアップ、検査設備の増強等改善に努めております。

気候変動

・当社グループの事業活動において、気候変動に伴い温室効果ガス排出に関する規制等、脱炭素経済への「移行に関するリスク」や洪水等の気候変動による「物理的変化に関するリスク」が考えられ、それらが当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

・気候変動に関する「移行リスク」と「物理的リスク」の抽出・分析・評価を適切に行い、対応方針を決定しております。

 一方、脱炭素経済への移行は、当社にとってリスクだけではなく、機会と認識していることから、この機会を確実に捉えるべく事業活動を推進してまいります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、2025年3月期から2027年3月期までの新中期経営計画期間について、設備投資計画や資本効率改善等を勘案し、3ヵ年累計の総還元性向100%(うち配当性向50%を目安)を目標といたします。なお、剰余金の配当は中間配当と期末配当の年2回行っており、それぞれの決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、2023年3月期から2024年3月期までの2期について、総還元性向100%(うち配当性向50%を目安)としていた目標に基づき1株当たり92円(うち中間配当46円)を実施することを決定いたしました。

また、内部留保の資金につきましては、今中期経営計画期間で約55億円を設備投資等に充当してまいりたいと考えております。なお、設備投資の金額については、計画が具体化する中で変更になる可能性があります。資本政策の詳細については、2024年5月29日公開の決算説明資料をご参照ください。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

 1株当たり配当額(円)

2023年11月10日

834

46.0

取締役会決議

2024年6月26日

809

46.0

定時株主総会決議