2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,648名(単体) 3,419名(連結)
  • 平均年齢
    42.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.5年(単体)
  • 平均年収
    10,378,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

 

セグメントの名称

従業員数(名)

合計(名)

エンジニアリング事業

3,185(813)

3,419(855)

その他の事業

234(42)

 (注)1 従業員数は、取締役を兼務しない執行役員、理事、フェロー、顧問、参与、及び嘱託含み、会社法上の役員すなわち取締役/監査役を除く就業人員数です。

またグループ外から当社グループへの出向受入者を含み、当社グループからグループ外への出向者を除く就業員数です。

なお複数社との契約を締結している兼務出向者は全て出向先の就業員として取扱っております。

    2 従業員数欄の(  )内は、臨時従業員(当社グループにて就業する派遣社員を含み、当社グループからグループ外への派遣社員を除く人数)の年間平均雇用人員数を、外数で記載しています。

    3 従業員数は前連結会計年度末と比べ77名減の3,419名となりました。

      また臨時従業員数は前連結会計年度末と比べ57名減の855名となりました。

 

 

 

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

エンジニアリング事業

1,648

(666)

42.5

14.5

10,378

 (注)1 従業員数は、嘱託及び他社から当社への出向者を含み、取締役及び当社から他社への出向者を除く就業人員です。

    2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

    3 従業員数欄の(  )内は、臨時従業員(当社にて就業する派遣社員の人数)の年間平均雇用人員数を外数で記載しています。

    4 提出会社において、その他の事業に従事する従業員はおりません。

      5 従業員数は前連結会計年度末と比べ73名減の1,648名となりました。

      また臨時従業員数は前連結会計年度末と比べ107名減の666名となりました。

      人員集計の方法は上記(1)連結会社の状況の(注)1に記載の通りです。

 

(3) 労働組合の状況

 労使関係については、特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

 

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち

正規雇用労働者

うち

パート・有期労働者

4.1

73.8

66.5

66.7

47.0

補足説明

<管理職に占める女性労働者の割合>

女性労働者の管理職への登用は引続き重視しております。

2022年度2.8%、2023年度3.5%、2024年度4.1%と順調に割合が増加しています。

 

 

<男性労働者の育児休業取得率>

労働組合を通じた男性労働者の育児休業取得に向けた啓発活動等を通して、2021年の取得率44.9%から2022年度は75.0%まで大きく向上、2024年度も73.8%を維持しています。

 

<労働者の男女の賃金の差異>

「正規雇用労働者」:

前連結会計年度末と比べ1.3%増の66.7%と改善しました。

同一の社内資格での男女賃金差異は、男性と女性の残業時間の差異によるものが大きく、引き続き男女問わず働きやすい環境を整備していきます。

 

 

「パート・有期労働者」:

提出会社では、非正規雇用の女性社員を5名雇用しております。その内訳は主として産業医と国内現場現地採用者です。昨年度当社に在籍していた産業医が当連結会計年度中に契約満了となったため、前連結会計年度末と比べ26.8%減の47.0%となりました。

(注)1 上記指標の算出に当たり労働者の対象として、5従業員の状況(2) 提出会社の状況に記載の従業員数から、他社から当社への出向受入者を除き、当社から他社への出向者を含んでいます。

   2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第 76 号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第 25 号)第 71 条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

②連結子会社

当事業年度

補足説明

名 称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率

 (%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

  うち

正規雇用労働者

  うち

パート・有期労働者

千代田エクスワンエンジニアリング株式会社

5.3

59.1

71.7

71.7

54.0

 

千代田ユーテック

株式会社

22.9

50.0

81.3

74.5

73.3

(注)3

(注)1 上記指標の算出に当たり労働者の対象として、5「従業員の状況」(1) 連結会社の状況に記載の従業員数から、他社から当該連結子会社への出向受入者を除き、当該連結子会社から他社への出向者及び派遣社員を含んでいます。

   2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第 25 号)第 71 条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

   3 当該期間中に配偶者が子を出生した男性社員数は2名です。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

■サステナビリティへの取組み方針

当社は、1948年に「技術による社会への奉仕」をスローガンに、エンジニアリング会社の草分けとして創設され、以来、エンジニアリングの力で、社会的課題に対して高度な技術力を用いてソリューションを提供し、社会とともに歩みを続けてきました。

当社グループのミッションである「エネルギーと環境の調和」のもと、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーから信頼され、共感していただける企業グループ経営を目指し、時代の変化を捉えて着実に歩みを進めてきました。

2015年に国連で採択された「パリ協定」では、気候変動の取り組みとして脱炭素社会を目指すという国際社会のコンセンサスが打ち出され、「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals(SDGs)」を世界共通のゴールとして、企業も事業を通じたグローバルな課題解決への取り組みが強く求められています。

「社会の“かなえたい”を共創(エンジニアリング)する」ことをパーパス(存在意義)として掲げている当社グループでは、新しい社会価値の創出に向け、マルチステークホルダーに影響を与える重要な課題をマテリアリティとして再定義しました。

マテリアリティは、当社グループが中長期に取組むべき重要な社会課題であり、広く事業活動を進めていく上で、リスクまたは機会となることから、経営計画2025や、事業計画、および当社グループの事業方針・戦略策定の基軸として、その実現や課題解決を着実に実行していきます。

また、今般再定義したマテリアリティの実現に向け、それぞれの項目ごとに達成を目指す「目標(KPI)」を設定、事業活動を行う本部単位レベルにまで落とし込んで展開することで、サステナビリティに関する意識の深化や事業との連関を社員個々人にまで浸透させるべく進めていきます。

 

■ガバナンス(サステナビリティ推進体制)

 

当社グループにおけるサステナビリティの更なる深化のため、サステナビリティを経営の中枢に据えることで企業価値向上とともに持続可能な成長を目指し、社長がCSO(Chief Sustainability Officer)を兼務します。社長がCSOを兼務することで、サステナビリティ課題を当社グループの経営戦略や経営目標に反映させる責任を負うこととなります。2022年4月に設置したサステナビリティ委員会では、主要なサステナビリティ課題である気候変動対応、人権・サプライチェーンマネジメント、人的資本経営に係る取り組みについて討議しています。当社にとって特に重要な取り組み課題である気候変動についてはサステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ協議会内に気候変動WGを設置し、部署横断的な排出量削減や情報開示などの課題について継続的に検討・議論を行っています。

また、2024年度は同協議会内に人権WGを新たに設置し、各部門が事業活動と人権との関連性を特定・理解した上で、組織横断の対話・協議を通じて、当社グループの事業のリスク・特性・実務を踏まえた実効性のある人権尊重の取組みを進めていきます。サステナビリティ委員会は社長=CSOの諮問機関として、原則年2回開催し、当委員会にて審議した内容を取締役会に報告し、取締役会が都度、上記の報告事項について適切に監督を行うための体制を構築しています。

取締役会は、サステナビリティ委員会から報告を受けたサステナビリティに関するリスクと機会の特定・評価、事業戦略への反映、対応方針の決定を含むすべての意思決定の監督責任を負っています。また、取締役会は、サステナビリティ課題を当社グループの経営戦略や経営目標に反映させる責任を負っています。

取締役会を構成する12名の取締役は、経営、財務会計、法務コンプライアンス、海外、プロジェクト、技術などさまざまな分野で知見、経験および実績を有しており、取締役会は、サステナビリティ課題をさまざまな角度から多角的にとらえて経営方針を定めるとともに、その方針に基づく活動の実効性を監督する役割を担っています。

当社のサステナビリティ課題<千代田グループのマテリアリティ>は、本部ごとに目標(KPI)として設定され、本部長自らが進捗管理を行います。目標(KPI)進捗管理、報告、そして評価・改善のPDCAはサステナビリティ委員会にてモニタリングし、取締役会に報告されます。

 

2024年度主な活動内容:サステナビリティ委員会 2回開催  サステナビリティ協議会 7回開催

取締役会への報告 サステナビリティ委員会開催後の取締役会へ報告(1回)

 

 

 

*1  統合戦略委員会:

各本部の事業計画・要員計画の見直しを定期的に行い、最新の内部環境、外部環境を踏まえたうえで、全社最適の観点から人的、財務的リソース配分案を策定する。

*2  新規分野事業推進委員会:

脱炭素ビジネスの開発・拡張・収益化に向けた戦略の策定、実行を担う。

 

(1) 気候変動の取り組み

■戦略

当社グループにとって、地球環境や人間・企業活動に重大な影響を及ぼす「気候変動」は、リスクであると同時に、新たな事業機会をもたらすものと考えています。「エネルギーと環境の調和」というミッションに沿って、グローバルな課題解決に取り組んできた歴史の中で、気候変動対応は、当社グループのパーパスである「社会の“かなえたい”を共創(エンジニアリング)する」とも密接に繋がっている重要なサステナビリティ課題の一つです。気候変動により平均気温が上昇することはグローバルに事業を行う当社グループにとっては大きな脅威であると同時に、高度なエンジニアリング力を駆使することで、新たな事業創造の機会にも通じるものと認識しています。当社グループは2019年に、企業が気候変動関連の財務情報を開示し対応状況を具体的に開示する取り組みを推奨する国際的な組織である「気候関連財務情報開示タスクフォース:Task force on Climate-related Financial Disclosures(TCFD)」 TCFDに賛同し、グローバル規模での気候変動リスク・機会のシナリオ分析を実施しました。不確実性の高い気候変動について、2040年社会(当時は20年後社会における主なリスクと機会分析を実施)を当社グループが取組む事業の視点から、シナリオ分析し、事業リスク及び機会の獲得に向けての事業の方向性を検討しました。

 

<気候変動による主なリスクと機会>

また、昨今の事業環境の変化のスピードが著しく早いことから、2025年度に検討範囲や前提条件などを見直したシナリオ分析を実施し、その結果を有価証券報告書等にて適宜開示する予定です。

なお、当社グループが2022年4月1日付けにて公表したカーボンニュートラル宣言に基づき、GHG排出量(Scope1及び2)の削減目標達成に向けた取組み、ならびに脱炭素・炭素循環社会に実現にむけ、以下のステップで取り組んでいます。

 

■リスク管理

気候変動や地政学リスクの顕在化、生成AIに代表される技術進化など、私たちを取り巻く環境は劇的に変わっていく中、当社グループが直面するサステナビリティリスクは新たな局面を迎えていると認識しています。

当社グループでは、一段と激しくなる事業環境や経営環境の変化を踏まえ、64ページで記載の通りリスク管理体制を構築しています。サステナビリティ委員会は、全本部と協議の上、気候変動リスク・人権リスク等を含むサステナビリティに関するリスクの洗い出しを行い、事業におけるリスクと機会の分析、並びに課題解決に向けた対応策についての協議等を適宜実施しております。また、そこで特定した重要リスクに関する対応方針については、サステナビリティ委員会や内部統制委員会を通じ、取締役会に報告し、了承を得て、全社的なリスク管理に取り込んでいます。

気候変動と人権に関してはとりわけ重要な事業リスクととらえ、サステナビリティ委員会傘下の協議会にワーキンググループを設けています。気候変動に関しては、TCFDに基づくシナリオ分析を改めて実施することにしており、事業インパクト評価や対応策について、サステナビリティ委員会を通じてサステナビリティ課題に責任を持つ取締役会に報告し、全社的なリスク管理プロセスに統合します。

 

■指標と目標

千代田グループのマテリアリティに関する指標及び目標は「サステナビリティへの取り組み方針」で記載しております〈気候変動を含む重要なサステナビリティ関連課題(マテリアリティ)〉の通りです。エンジニアリング企業としてこれまで培ってきた強みを活かし、事業を通じてその実現や課題解決を着実に実行していきます。

環境への取組みに関する過年度のESG定量データについては、以下のとおりです。

 

※1:CO2排出量は、2020年度よりScopeごとの開示とし、当社グループオフィスには、海外グループ企業も含めて

います。

※2:国内オフィスはみなとみらい本社および子安オフィス・リサーチパーク(東京オフィスを除く)が対象。

 

(2) 人的資本経営

■戦略

 当社グループの最大の財産は人財です。組織風土と人財開発の両面から人的資本経営を推進し、組織と人財のWell-Beingの実現を目指します。組織と人財の可能性を最大限に引き出すことで、社会とステークホルダーへ提供する価値を増幅させ、また、その価値提供が組織と人財のWell-Beingを更に増幅させていくと考えています。

 経営計画2025では、収益の安定化と多様化に向けた自己変革を成し遂げるために、事業をリードする中核人財の輩出に注力していきます。

 

■推進体制

当社では、最高人事責任者(CHRO:Chief Human Resources Officer、現在はCDO:Chief Digital Officerが兼任)の下、人財育成責任者(HRO:Human Resources Officers)を職種ごとに任命し、事業と連動した全社一体の人的資本経営を推進しています。

 2022年4月に、経営諮問会議の下部機関としてCHROを委員長、全本部長を委員とする人財マネジメント委員会を設立し、統合事業戦略に接合する人財開発と人員配置を推進してきました。2023年4月からは、機能を分割し、人財育成や人財登用戦略については人財開発委員会において、事業戦略に応じたリソース配分については統合戦略委員会の下部組織である人財マネジメントワーキンググループにおいて議論する体制とし、実行力を更に高めています。

 また、これらの体制を通じて、人的資本に関する主なリスク及び機会を継続的に把握・評価し、各委員会において対応方針を協議・実行することで、リスクの最小化と人的資本の持続的な強化を図っています。

 

■重点項目

① 相互に尊重し、挑戦し続ける自由闊達な組織風土

当社の強みは、エンジニアリングを通じて培ってきた多様な個性を活かす自由闊達な組織風土です。この強み

を伸ばし、社会課題に応じてしなやかに変容することで、社会とステークホルダーへ価値を提供し続けます。

 

 a. 組織風土の変革に向けた取り組み

組織風土の変革を着実に推進していくために、組織課題・風土の可視化とその改善を目的とした組織風土調査を

導入しています。組織経営者を中心に、資格や役職を問わず全社員が組織風土の変革に取り組む土壌を整えています。

 

  <組織風土調査の活用>

2023年度より、当社及び主たる国内グループ企業では、組織風土調査を年に1回実施しています。調査結果は当社における人的資本経営の重要KPIとして位置付け、進捗状況をモニタリングしています。

2024年度より、各本部の運営計画の策定や個人の目標設定等の既存のPDCAサイクルに、調査結果を用いた対話を通して現状を深掘りするプロセスを組み込み、自律的な組織風土変革の取り組みを促しています。

 

  <組織経営者の育成>

2024年度には、組織経営者が備えるべき要素(スキル・マインドセット)を定義し、組織経営者育成のための教育体系を構築しました。リスク管理に必要不可欠な知識の習得に加え、個人や組織の力を高めるためのスキルを獲得する教育を、資格や役職に応じて実施していきます。

組織経営者として個人や組織の力を高めるための実践の場として、対話の機会を重視しています。個人の目標設定は本人のキャリア志向を踏まえて上司・部下間での対話を通して行います。また、期中においても、本部全体で部下一人ひとりの状況について対話をします。これらの対話を通して、一人ひとりのキャリアを多面的に確認することで、部下の適切な育成につなげると同時に組織経営者自身の組織経営力の向上に寄与しています。

 

<組織経営者の世代交代の実践>

管理職への昇格は年齢を問わず、登用は本部の垣根を越えて、HROを含む広く多面的な視点で検討し、決定しています。持続的に新たな組織経営者を輩出し、組織の活性化を図っています。

2022年度より、同一ポジションへの滞留年数に上限を設け、異動を含む交代を促進しています。2023年度からは、部長以上の全ポジションの後継計画を策定し、候補者を特定する取り組みを開始しています。長期滞留の管理職は計画どおり交代が進捗しており(2022年度は19名、2023年度は8名、2024年度は1名)、引き続き長期滞留とならないよう計画的な交代を推進していきます。

 

 b. ダイバーシティ&インクルージョン

多様な個性を尊重し、社員一人ひとりが活き活きと能力を発揮できる組織風土を実現し、ダイバーシティ&インクルージョンを浸透させていくことはパーパスの実現に不可欠です。社員一人ひとりが、その属性によらず、多様な意見を発信し、能力を発揮できる環境を整えるための第一歩として、2023年10月にダイバーシティ&インクルージョンポリシーを制定しました。ダイバーシティ&インクルージョンの風土・意識の改善を進めていくために、ダイバーシティ&インクルージョンをテーマとした研修を管理職に実施しています。

 

 

女性活躍の推進は、ダイバーシティ&インクルージョンポリシーの実現に重要なテーマの一つです。女性社員の更なる定着とリーダーとしての活躍を目指し、数値目標として総合職に占める女性の割合15%を掲げ、女性のキャリア継続のための施策及び採用強化に重点的に取り組んでいます。2024年度の総合職に占める女性の割合は14%でした。

また、2024年度の男性育児休業の取得実績は73.8%でした。数値目標に75%以上を掲げ、性別にかかわらず仕事と家庭の両立支援を強化することで、働きやすい環境の整備を推進しています。

 

 c. 健康経営

2020年4月に健康経営宣言を発表後、社員が心身ともに健康的に働ける職場づくりに取り組んでいます。2022年4月にCWO(Chief Wellness Officer、現在は副社長が兼任)を議長とする健康経営推進会議を設置しました。人事部内には健康経営とダイバーシティを推進する専任組織を設け、健康経営を強力に推進しています。健康に関する各種データの分析、ストレスチェックの集団分析結果を組織へフィードバックし、職場改善活動につなげる等、実効性の高い施策を実施しました。また、2024年度の当社の総合健康リスクは78(※100を超える場合は全国平均と比べて休職者が発生する可能性が高い)と全国平均を下回る数値となっています。上記取り組みにより、2025年3月には健康経営優良法人に5年連続(5回目)で選定されました。

 

 d. 健全な労使関係

社会情勢や当社グループの事業の変化に対応する人事制度や採用競争力の強化を労使間での重要課題と位置付けてきました。人財の多様化を受け、離職対策を含む組織風土にかかわる課題についても積極的に協議しています。

 

② 誇りと情熱を持って社会課題に挑戦を続ける人財

人財開発基本方針に定める、専門領域における業務遂行力と組織経営力の伸長をベースに、多様化・複雑化する社会課題に対し、マインドをしなやかに変容させ、事業の変革に挑戦しています。グローバルなフィールドでの多様な経験と各種教育を組み合わせた育成戦略を展開することで、一人ひとりのキャリア形成を支援しています。

 

<人財開発におけるHROの役割>

当社では4つの職種(Ex:エンジニアリングプロフェッショナル職、Bx:ビジネスインキュベーション職、Px:プロジェクトマネジメント職、Cx:コーポレートプロフェッショナル職)と専任職(多岐に渡る当社組織の円滑なオペレーションを主体的に支える)を定義しており、職種ごとにHROを任命しています。

HROは社員本人との対話を通してキャリア志向に伴走し、並行して上司、本部長とも対話をします。個人のキャリア志向と事業戦略を結びつけた異動、アサイン、評価・昇格、登用を主導する当社の人財開発の要です。

 

a. 事業の中核人財の拡充

中核人財とは、「自ら社会課題を特定、社内外との共創をリードし、より高い付加価値と収益獲得を実現できる人財」を指します。経営計画2025で掲げる収益の安定化と多様化のための自己変革を達成するためには、事業の中核人財を拡充していく必要があります。顧客の多様化するニーズに応えるため、EPCの中核人財を更に拡充し、併せて事業共創の拡充に向けたNon-EPCの中核人財の育成を進めていきます。

 

 b. 業務遂行力伸長のための取り組み

専門領域における業務遂行力の強化を通じて、当社の競争力を維持・向上する人財を育成しています。2022年4月に卓越した専門能力を持つ人財をフェローとして登用する制度を設けました。フェローは、当社の事業戦略を

リードするだけではなく、ロールモデルとしての役割を果たしています。今後のフェロー人財の育成と拡充を目指し、候補となる人財群を23名選抜しています。

また、各本部の育成戦略を体系化し、全社の育成戦略とすることで、より多くの社員に必要な教育機会を提供していきます。専門教育を含む教育基盤についても定期異動等で得る職務経験との接合を確認しながら再整備し、人財開発を一層高い次元で進捗させていきます。

 

c. シニア層の更なる活躍の推進

国内の労働人口の減少や、建設業の人手不足は重要な課題であり、高度な専門知見を持つシニア層の活躍は当社の最重要テーマの一つです。定年後も事業の最前線で重責を担うシニア層のモチベーションを維持・向上できるよう、2024年10月に職務型の人事制度を導入し、新たに会社業績賞与の支給対象としました。また、環境変化を捉え、自発的にキャリア形成に取り組むマインドを醸成するためのキャリア研修を2022年度から重点的に実施しており、今後も継続していきます。

 

d. デジタル人財の育成

デジタルトランスフォーメーション(DX)の原動力としてデジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成を進めています。当社では、CDO(現在はCHROが兼任)、各本部から選出されたDO(Digital Officer)、デジタル変革エバンジェリストで組織するCDO室を2021年7月に開設し、以降CDO室を中心として全社の業務変革を加速しています。

業務課題を特定し、課題解決の道筋を想定して変革の戦略を立てる人財群をデジタルコア人財と定義し、全社DXを推進しています。2023年度より、育成プログラムを開始、拡充しており、2024年度には、経営陣が変革をリードするべく、会長、社長をはじめとする社員(18名)にDXトレーニングを行いました。また、全社員のリテラシー向上とDXマインド醸成に向けて、日々の業務に生かせるデジタル技術の習得として、e-learningを112名(注)に提供し、生成AI活用に向けた研修を271名(注)に実施しました。さらに、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が創設・運営するAI人財の育成を目的とした資格であるE資格の取得を奨励しており、2024年度は2名(累計20名)が取得しています。

(注)継続雇用制度に基づき当社に勤務するシニア社員等を含む

 

■指標及び目標(単体)

 

 組織風土調査結果を当社における人的資本経営の重要KPIとして位置付けています。同調査では肯定的回答率65%以上が強みとして認識されています。

 

施策区分

指標(組織風土調査結果)

2025年度目標値

2024年度実績(注)

① 相互に尊重し、挑戦し続ける

  自由闊達な組織風土

社員を活かす環境度数

肯定的回答率

65%以上

68%

② 誇りと情熱を持って社会課題に

  挑戦を続ける人財

社員エンゲージメント度数

62%

(注)継続雇用制度に基づき当社に勤務するシニア社員等を含む

 

 

(3)人権尊重の取組み

■人権尊重への対応に関する考え方及び取組み

当社グループは、人権の尊重は全ての事業活動の基盤となる重要な要素であると位置付けています。今般再定義したマテリアリティの取組みの1つに「すべての人々の人権を尊重」を掲げ、また「当社グループ行動規範」において人権の尊重とその侵害行為の防止、国際的な人権規範の尊重を定めています。

当社グループは、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする人権に関する国際規範や法令の遵守、人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施、当社グループにおける人権に関する重点課題などを記載した「人権基本方針」を制定し、公表しています。

https://www.chiyodacorp.com/jp/about/policy/

「人権基本方針」は、当社グループの事業活動および取引関係を通じて影響を受ける可能性のあるあらゆる個人・グループを対象としています。また、当社グループ全ての役員と従業員に適用するとともに、当社グループの事業活動に関係する全ての取引関係者・ビジネスパートナーやその他関係者にも、「人権基本方針」を理解・支持し、人権の尊重に努めて頂くよう継続して働きかけていきます。

 

■戦略

当社グループは、「人権基本方針」等に基づき、ステークホルダーとの対話や外部専門家との連携を行いながら、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを行っています。人権デュー・ディリジェンスの取り組みは、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って進めています。

 

2024年度までの主な取組み

従前より、当社グループ役職員へのハラスメント防止教育、労働者の安全・労働環境の整備などの取組みは実施していましたが、「ビジネスと人権」への取組みとしては以下のとおり2018年度から開始しました。

 

 

 

当社は総合エンジニアリング会社として「人権に配慮した事業運営」を、当社が中長期的に取組むべき重要な課題である「マテリアリティ」の目標のひとつに定めており、経営計画2025や、事業計画および当社の事業方針・戦略策定の基軸としております。国内・海外を問わず当社のサプライチェーン全体において人権侵害を可能な限り排除することを目指し、2025年度は、人権デュー・デリジェンスプログラムの策定及び人権デュー・デリジェンスの実施体制の構築に取り組みます。また、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」が求める要件に照らし、昨年度に引き続き被害者が効果的な救済を受けるための実効性のあるプロセスの構築や相談・通報制度の改善に努めていきます。

 

■リスク管理

前述2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の「リスク管理」に記載のとおりです。

当社グループは、自社の役職員のみならず、取引先の役職員、事業活動が行われる地域の住民など、当社グループの事業に関わる全ての人権を尊重します。外部専門家の評価も得て、「人権基本方針」において以下の7項目を「当社グループが優先的に対応すべき人権に関する重点課題」と定めております。なお、2024年度の人権WGの活動を通じ、これらの重点課題に変更がないことの確認、及び優先的に取り組むべき重点課題の特定を行いました。(以下人権リスクマップの通り)

 

人権に関するリスクに適切に対応せず、委託先や調達先等のサプライチェーンを含む当社グループの事業活動のすべての過程において人権を侵害する行為や人権に関する法令の違反が発生した場合、当社グループにおいても行政罰、顧客との取引停止、社会的信頼の喪失・企業価値の毀損などにつながり、ひいては経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの事業に関わる人権リスクへ確実に対応するため、人権デュー・ディリジェンスの実施によってリスクを把握・特定し、予防・軽減を図っていきます。特に、国際的な調達の際、そのサプライチェーンで働く労働者の人権リスクが高いとの認識から、サプライヤーとの取引前に、質問状や書面調査により、人権尊重の取り組みの状況を確認・評価し、懸念事項が確認された場合には、サプライヤーとコミュニケーションを取り、防止・軽減に努めるよう促しています。サプライヤーと締結する契約には、サプライチェーンにおいて人権尊重の取り組みを担保するための条項を規定しています。また、サプライチェーン全体で取り組んでいただきたい事項を取りまとめた「取引先の皆様へのお願い」を周知のうえ、サプライチェーン全体での人権尊重の取り組みを進めていきます。

サステナビリティ委員会の枠組みのもと、関連組織が連携して人権デュー・ディリジェンスの実施や救済メカニズムの整備などの人権尊重の取り組みを推進するとともに、継続的な研修機会の実施や情報の開示等を通じ、当社グループの社員一人ひとりの人権尊重へ向けた意識向上を図っていきます。

 

■指標及び目標

当社グループの事業に関連する人権リスク及び機会の実績を評価・管理するべく、外部専門家のサポートを得て、当社グループの事業に関連する人権リスクや重点課題を踏まえた「指標」及び「目標」を設定しました。2025年度以降は、これらの「指標」及び「目標」を踏まえた人権の取り組みを推進していきます。

 

 

(注) 1. 当社グループ全従業員向けに、ハラスメント・ビジネスと人権・贈収賄禁止などを含むコンプライ

アンスEラーニングを毎年実施し、人権の尊重を定めている「当社グループ行動規範」遵守の宣誓を取得しています。2025年3月31日時点の、当社グループの国内外グループ会社の全役職員(派遣社員を含む)の人数で計算しています。

2. 「人権監査」として会社が計画的に実施したもののみを対象としています(個別のプロジェクト等が独自で実施したものは除いています)。

3. 千代田グループの役職員向けに実施している匿名アンケートにおいて、「職場でコンプライアンス違反(又はそのおそれ)が生じたときに、当社のコンプライアンス相談窓口を信頼して相談・通報すると思う。」という設問に対する回答として、非常にそう思う・そう思う・どちらとも言えない・そう思わない・全くそう思わないの5つの選択肢のうち、「肯定的回答(非常にそう思う・そう思う)」の回答者の割合で計算しています。

4. 当該年度中に工事が開始される海外プロジェクトを対象とします。

5. 人権に対する負の影響の重大性・負の影響の及ぶ範囲・救済困難度の観点から、深刻度が高いと判断さ

れるものの当社グループ及び当社グループの取引先(当社事業に関連するものに限定)における件数です。

6. グループ共通・相談窓口及びグループ各社が設置している相談・通報窓口で受領した相談・苦情件数で

す。