2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    767名(単体) 990名(連結)
  • 平均年齢
    40.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.0年(単体)
  • 平均年収
    5,690,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)  連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

767

中国

117

欧州

82

その他

24

合計

990

 

(注) 従業員数は、就業人員であります。

 

(2)  提出会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(万円)

日本

767

40.9

14.0

569

 

(注) 1 従業員数は、就業人員であります。

   2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)  労働組合の状況

当社グループにおいて加藤製作所労働組合が組織されており、JAMに加盟しております。

労働組合との間に特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社の状況

2024年3月31日現在

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注2)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注3)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注2)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

0.9

22

67.3

73.3

74.0

 

(注) 1 上記数値は、当社のみの情報であります。

     2「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

   3「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①サステナビリティ基本方針

当社は「優秀な製品による社会への貢献」を経営理念のもと、長年各種荷役機械、建設機械、産業機械を開発して今日に至っております。

今後もより一層、新しい技術を通じ、環境・社会における課題解決に継続的に取り組み、あらゆるステークホルダーから共感・信頼を得られる企業として、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

②マテリアリティ特定

サステナビリティ経営を重要課題の一つと考え、企業として求められる環境・社会問題への取り組みを推進するため、新たにマテリアリティ特定プロジェクトメンバーを組織し、当社の経営理念およびサステナビリティ基本方針に基づき、ESG観点から当社が取り組むべき5つのマテリアリティを特定いたしました。

今後は、関連する各マテリアリティ項目の目標およびKPIを定め、サステナビリティ活動を推進し、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。

 

<5つのマテリアリティ>


 

③気候変動対応について

当社は「優秀な製品による社会への貢献」を経営理念として創業以来、様々な製品の技術革新に長年取り組んでまいりました。昨今、世界規模で気候変動対策が叫ばれるなか、当社は本件の対応を重要な経営課題の1つと捉え、2020年に「エネルギー管理委員会」を設置し、生産拠点の使用エネルギーの把握と省エネルギー化に向けた取り組みを推進しております。また、2023年には取締役会の下に「サステナビリティ委員会」を新設し、会社全体で事業活動における脱炭素化、技術革新による持続可能な社会への貢献を目指した活動を進めております。

なお、当社は、2023年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同を表明いたしました。以下、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4項目の概要について説明いたします。

 

 

<ガバナンス>

当社は、サステナビリティ活動のさらなる推進を目的として、2023年に取締役会の下に代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を新設いたしました。同委員会は、年2回開催され、その下部組織である「環境分科会」「人事分科会」で気候変動を含むサステナビリティへの対応について、検討・協議・戦略立案・実行計画の策定・目標の設定したものを同委員会にて審議および進捗モニタリングを行い、取締役会に報告し、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っております。

 

■ガバナンス体制図


 

■会議体の説明

会議体

役割

取締役会

サステナビリティ委員会より定期的に報告を受けるとともに管理・監督を行う。

サステナビリティ委員会

「環境分科会」「人事分科会」での検討・協議・戦略立案・実行計画の策定・目標作成したものを審議し、活動の進捗状況を取締役会へ報告をする。

環境分科会

ESG、TCFD、SDGs等の気候変動全般の指標及び目標の立案や課題解決に取り組み、その進捗をモニタリングし、サステナビリティ委員会へ報告をする。

人事分科会

ESG、SDGs等の人材戦略やダイバーシティといった人事関連の課題への対応や取り組み目標の立案ならびに目標に対する進捗モニタリングを行い、サステナビリティ委員会へ報告をする。

 

 

<戦略>

当社の中長期的な成長には、気候変動への対応が不可欠であるとの認識から、今後も継続的なCO2排出量の削減に向け取り組んでまいります。また、当社ではTCFD提言に基づいたシナリオ分析により、2030年における各セクターの事業環境に対する変化とそれに伴う財務面での影響を予測いたしました。なお、シナリオ分析にあたっては、環境問題に関する積極的な政府政策が講じられる場合の1.5/2℃シナリオに加え、政府政策が消極的で、気候変動による物理的な影響が顕著になる4℃シナリオも含めた複数のシナリオを用いております。

 

■使用したシナリオの説明

分類

1.5/2℃シナリオ

4℃シナリオ

概要

21世紀末の平均気温が、産業革命以前と比較して1.5/2℃の上昇に抑制されるシナリオ。各国政府が現在公表している気候関連の公約が達成されるほか、より積極的な政策がとられることが想定されるため、社会的な変化(移行)による影響が大きい。

21世紀末の平均気温が、産業革命以前と比較して4℃上昇するシナリオ。気候変動が進行し、平均気温の上昇や異常気象の頻発化など、物理的な影響が大きい。

考察の対象

移行による影響

・Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)

・Announced Pledges Scenario(APS)

・Stated Policy Scenario(STEPS)

物理的な

影響

・Representative Concentration Pathways(RCP2.6)

・Representative Concentration Pathways(RCP8.5)

 

当社はシナリオ分析の結果として、1.5/2℃シナリオおよび4℃シナリオにおいて、それぞれ当社事業に重大な影響を及ぼすと考えられるリスクと機会を特定いたしました。まず、1.5/2℃シナリオにおいては、炭素税の導入による操業費の増加、鉄鋼・アルミをはじめとする原材料価格の高騰などが代表的なリスクであると考えており、当社は事業活動全体でその対策を進めております。具体的な事例としては、照明機器のLED化、エアコンの温度設定管理、コンプレッサーの出力調整、夜間及び休日の待機電力削減、ボイラーの稼働時間調節など省エネ設備の導入や管理面の強化により、エネルギー使用量とCO2排出量の削減に取り組んでおります。併せて、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減、製品価格の安定化を目的に各サプライヤーとのコミュニケーションを強化し、CSR調達を推進しております。

一方、当社事業に関わる機会については、環境配慮型製品の需要が拡大することが想定されるため、当社では、引き続き環境に配慮した低燃費製品の開発・販売を進めてまいります。2023年に全旋回式クローラキャリアの新シリーズ第一弾として、クローラキャリア IC70Rの販売を開始いたしました。同機は、EU stage V基準に適合するエンジンを搭載し、2014年排気ガス基準よりPM排出量を半分以下となっており、ジョイスティックレバーの操作量に応じてエンジン回転数とポンプ流量を同時に制御し、最適な走行運転・荷台操作・旋回操作が可能となり、さらには、レバー操作が中立の時はアイドリング状態となり燃料消費を抑えたエコな運転が可能となります。

また、走行やクレーン作業時の動力を電動モーターでアシストする「ハイブリッドラフター」の開発を進めており、さらにCO2排出抑制を目的に外部電源を使用したユニットを追加装備し、量産化に向けた準備を進めております。

4℃シナリオにおいては、異常災害の激甚化による事業活動の停止や労働環境の悪化といった生産面への低下を起因した収益性悪化をリスクとして考えております。これらのリスクに対し、当社は調達網の強化や高効率化を目指した設備投資などを対応策として講じる予定です。一方、機会については、各業界での労働環境の悪化によって、省人化、自動化への需要が高まることを想定しております。当社では2019年にJAXAとの共同研究を株式会社熊谷組とともに締結し、林業機械システムの自動化に向けた取り組みを進めており、今後も本件を含め自動化や遠隔操作技術の研究・開発を積極的に推進してまいります。[1]

[1] https://kato-works.co.jp/profile/news/pdf/20190130_jaxa.pdf

 

 

■リスクと機会一覧

(時間軸)短期:0~3年 中期:4~10年(2030年) 長期:11~20年(2050年)

リスク項目

事業インパクト

大分類

中分類

小分類

時間軸

指標

考察:リスク

考察:機会

移行

政策規制

炭素価格

(炭素税)

中期~長期

支出

・電力使用量やCO2排出量に課税されるため、生産コストが増加する。

・炭素税導入による全般的に仕入れコストの増加、CNスチールへの転換のため、鋼材費が増加する。

省エネ設備の導入により、操業時の購入するエネルギー使用量の低減に寄与し、支出となる炭素税の支払いを抑えられる。

GHG排出規制への対応

短期~長期

支出/売上

・GHG排出量を削減するための設備投資が増加する。

・GHG排出規制に対応する研究開発費が増加する。

・環境配慮性の高い製品の需要が増加し、売上が増加する。

・建設現場のGHG排出量削減のため、総合建設業よりCN製品が工事に指名され、環境配慮性の高い製品の売上が増加する。

市場

エネルギー

コストの変化

短期~長期

支出

・電力やガスといった燃料価格が高騰する。

原材料コストの変化

中期~長期

支出

・鉄鋼、アルミなどの原材料価格が変動した場合に、調達コストが増加する。

・電炉により製造された鋼材等のCN材料、部品を採用することにより調達コストが増加する。

物理

急性

異常気象の激甚化(台風、豪雨、土砂、高潮等)

短期

支出/売上

・事業所が洪水や高潮などの自然災害で被災し、対応コストが発生する。

・サプライチェーンの寸断や遅延によって操業に支障が生じるため、販売機会が喪失する。

・災害発生時、インフラ復旧工事に資する製品の提供により、地域社会に貢献する。

・防災工事の増加により建設機械の需要が高まり、売上が増加する。

慢性

平均気温

の上昇

中期~長期

支出

・平均気温の上昇による労働環境悪化に対応するため、冷房コストが増加する。

・平均気温上昇により製品の冷却能力が必要となり、開発費や購入コストが増加する。

 

(注)CN:カーボンニュートラル

 

<リスク管理>

当社では、気候変動に関連するリスクは事業活動に重大な影響を及ぼすと捉えており、常に全社でリスクの管理・監督ができる管理体制を整備しております。当社は取締役会に加え、すべての執行役員が出席する経営執行会議においても、事業で発生する恐れがあるリスクについての情報共有を行っております。

また、各事業部門では、自部門が関与するリスクの特定・評価及び各リスクの詳細な発生確度や影響度合について、適宜必要に応じ経営会議体に付議し、議論を行っております。

なお、当社の気候変動に対するリスクと機会の一覧については、上記<戦略>をご参照ください。

 

<指標及び目標>

気候変動の国際的な枠組みが強化されるなか、事業活動で排出されるCO2を削減することは、現在当社を含めた多くの企業が直面する重大な課題と認識しております。当社は、2018年度を基準年として、2030年度までに事業活動におけるCO2排出量38%削減(国内事業所におけるScope1+2)の目標を設定いたしました。これらの目標を達成するため、当社は事業活動におけるエネルギー利用のモニタリングを行っております。今後はScope3の算定を進めCO2排出量の可視化を進めるとともに同排出量削減を推進してまいります。

■Scope1+2排出量(2018~)

 

2018年度(基準年)

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

Scope1+2(t-CO2

7,615

7,326

6,606

6,803

5,804

2018年度比削減率

-

△3.8%

△13.3%

△10.7%

△23.8%

 

 


 

(注) 上記数値は、当社国内拠点の合計値であります。

 

④人的資本多様性

<戦略>

当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針は以下のとおりであります。

 

人材育成方針

当社は、人材が経営における最重要資源の一つであるという考えのもと、人材の育成とその活用について継続的に取り組んでまいります。当社では「創業以来のパイオニア精神を抱き新たなものを生み出し挑戦し続ける人材」、「社会の要求を的確に捉え機敏に対応し続ける人材」の育成を目指し、社員の個々の意見を尊重するとともに、その能力を伸ばしていく環境整備に努めてまいります。

 

 

人材の登用状況

当社は、持続的な成長を遂げるためには多様な価値観や経験値を持つ人材が重要と考え、性別、国籍、人種、民族、宗教、社会的身分、障害の有無、性的指向にとらわれることのない採用活動を行っております。区分別では中途採用者につきましては、従来よりスキル・経験等を総合的に勘案した積極的な登用を行っており、2024年3月現在の当社管理職のうち約24%が中途採用者となっております。

一方で、女性の管理職登用につきましては、建設機械業界という業種に加え、過去には現状に比べ、女性が担当する業務を限定されていたこともあり管理職・次期管理職候補者の女性比率が相対的に低い状況にあります。現在は、設計をはじめとしたこれまで配属機会が少なかった技術・技能枠での新卒採用、さらに就業環境の改善や出産・子育て支援制度の拡充など就業者数の拡大と離職率低減に繋がる施策を推進し、将来的に中核ポストを担う女性社員の増加に努めております。

2024年4月の新卒採用においては、3名の女性(全体の13.0%)を採用いたしました。外国人につきましては、国内外の拠点にて就業できる当社グループの強みを活かした採用活動を行っており、2024年4月の新卒採用においては、昨年に引き続き、外国人(ミャンマー出身)のエンジニア1名を採用いたしました。また、新入社員については、長きにわたり当社で力を発揮してもらえるよう、性別、国籍等を問わず最長1年間の研修を実施しております。

なお、当社は人財確保はサスティナビリティ経営上、重要な経営課題と認識しており、女性活躍推進に対して豊富な経験・実績を有する社外取締役の協力を仰ぎつつ、目標数値が達成できるよう引き続き改善策を推進してまいります。

 

<指標及び目標>

業種や業務の特性上、当社において採用の中心が男性に偏重していた時期が長く続いたことが、結果として現在の低い女性管理職比率に繋がっております。上記に起因して男女の賃金においての差異も生じており、今後改善に向け、新卒中途問わず女性の採用強化にこれまで以上に努めるとともに、女性が働きやすい職場環境の改善に注力してまいります。
 男性労働者の育児休業取得率につきましては、制度への社会的な理解増進に伴い一定数の取得者は発生しているものの、さらなる取得率向上を目指し、引き続き制度の案内等社内外への周知を徹底してまいります。その他、当社独自の仕事と子育てを両立させるための取り組みとして、有給休暇とは別にチャイルドケア休暇制度を設けており、小学校卒業までの子を養育する社員を対象にこどもの入学式、卒業式、運動会などの学校行事への参加やこどもの育児・看護のために使用できる休暇をこども1人につき最大25日付与しています。今後も男女問わず仕事と子育てを両立出来る環境の維持向上を目指し、各種取り組みを推進してまいります。
 また、当社グループでは上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

なお、当社の人材育成に関する方針および取り組み状況につきましては当社サステナビリティサイトに掲載しております。[2]

[2] https://www.kato-works.co.jp/sustainability/

 

指標

目標

実績(2024年3月31日時点)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年度までに3%

0.9

%

男性労働者の育児休業取得率

2030年度までに35%

22

%

全労働者の男女の賃金の差異

2030年度までに75%

67.3

%

 

 

(注) 上記数値は、当社単体の合計値であります。