2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 13,301 100.0 954 100.0 7.2

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、主に強力吸引作業車、高圧洗浄車、汚泥脱水機・減容機等の環境整備機器の製造販売を行っております。強力吸引作業車は、道路での側溝清掃、土木建築現場での汚泥吸引、工場での乾粉等各種産業廃棄物の吸引回収に利用されております。高圧洗浄車は、下水道管、側溝、タンク、熱交換器等の洗浄作業に利用されております。また、汚泥脱水機・減容機は、中間処理場での汚泥の脱水、減容化に利用されております。

事業の系統図及び概要は、次のとおりであります。

なお、当社は環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。

 


 

①  当社は、環境整備機器の開発、設計、組立、塗装、検査、販売を行っております。なお、製品の部品製作については、外注先に委託し、その委託管理は当社の調達部が担当しております。

②  特定の外注先には、高圧洗浄車の組立及び製品の塗装を委託しております。高圧洗浄車の組立先及び製品の塗装先は、当社の所有する工場にて作業を行っております。

③  製品のアフターサービスは、全国に配置した支店・営業所と当社指定サービス工場が行い、技術サービス部がその指導・調整・管理に当たり、統括管理を行っております。なお、当社と指定サービス工場は、サービス業務の円滑な運営及び当社製品の販売に関する情報交換等を図る目的で「KCSネットワーク」を組織しております。

④  輸出向け販売は、ODAによるものが主であり、特定のメーカー及び専門商社にて行っております。また、当社の行う輸出販売は海外課が担当しております。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、いくつかの重要な転換点を迎え、日経平均株価はバブル期を超える水準に達し、史上最高値を更新しました。日本銀行の利上げにより17年ぶりに政策金利が0.5%となったことや、公示地価上昇率及び春闘賃上げ率がバブル期以来の伸びを記録する等、インフレ経済への回帰が見られました。これらの動きは、デフレ脱却に向けた大きな転換点となり、経済全体にポジティブな影響を与えました。一方で、物価上昇の継続に伴う個人消費に及ぼす影響や、通商政策等アメリカの政策動向による影響などが、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。

かかる状況下、当事業年度においては、引き続き主力製品の需要は堅調に推移し、大型機種の販売増加、シャシの入庫が安定し期初計画どおりに生産活動が順調に進んだこと及び部材高騰の影響が一巡したこと等により、増収・増益の結果となりました。

また、足元の受注環境は引き続き好調であり、受注残高は、前事業年度を上回る高水準で推移しております。

 

経営成績につきましては、前事業年度に比べ受注高は258百万円増の14,651百万円(前期比1.8%増)、受注残高は1,351百万円増の11,509百万円(前期比13.3%増)となりました。

売上高は896百万円増の13,300百万円(前期比7.2%増)となりました。これは主にその他特殊製品等の売上高が前事業年度に比べ250百万円減の829百万円及び粉粒体吸引・圧送車の売上高が前事業年度に比べ65百万円減の176百万円となりましたが、強力吸引作業車の売上高が前事業年度に比べ743百万円増の9,333百万円及び高圧洗浄車の売上高が前事業年度に比べ476百万円増の1,800百万円となったことによるものであります。

営業利益は145百万円増の954百万円(前期比18.0%増)となりました。売上総利益は371百万円増の3,199百万円(前期比13.1%増)となりましたが、人員増に伴う人件費の増加等により、販売費及び一般管理費が226百万円増の2,245百万円(前期比11.2%増)となったことによるものであります。

経常利益は143百万円増の973百万円(前期比17.4%増)となりました。営業外収益は主に受取賃貸料19百万円によるものであり、営業外費用は主に支払利息9百万円によるものであります。

当期純利益は独立行政法人国際協力機構の補助金収入を計上したこともあり、税引前当期純利益は995百万円(前期比18.8%増)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は294百万円(前期比34.7%増)となりました。この結果、当事業年度における当期純利益は81百万円増の700百万円(前期比13.2%増)となりました。

 

製品の品目別の業績については、次のとおりであります。なお、当社は、環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。

(ア)強力吸引作業車

販売台数の減少はありましたが、大型機種の販売比率の増加及びインフラ整備事業などの需要は好調であり、前事業年度を上回る売上高及び受注残高となりました。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は682百万円減の9,791百万円(前期比6.5%減)、売上高は743百万円増の9,333百万円(前期比8.7%増)、受注残高は457百万円増の8,800百万円(前期比5.5%増)となりました。

(イ)高圧洗浄車

下水道関係のインフラ整備事業の更新・増車の需要は引き続き増加しており、高水準を維持し、前事業年度を上回る売上高及び受注残高となりました

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は492百万円増の2,185百万円(前期比29.1%増)、売上高は476百万円増の1,800百万円(前期比36.0%増)、受注残高は384百万円増の1,652百万円(前期比30.4%増)となりました。

 

(ウ)粉粒体吸引・圧送車

前事業年度は5台、当事業年度は3台の売上となりました。工場関係向けの需要は、製品原料の輸送や作業環境維持といった目的で継続しております。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は61百万円増の282百万円(前期比27.9%増)、売上高は65百万円減の176百万円(前期比27.0%減)、受注残高は106百万円増の282百万円(前期比60.6%増)となりました。

(エ)部品売上

部品は高水準で堅調に販売されましたが、受注高・売上高ともに前事業年度に比べ7百万円減の1,160百万円(前期比0.7%減)となりました。

(オ)その他

その他は上記に属さない製品、中古品の販売及び修理改造等であります。当事業年度は、製鉄所構内で使用される「路面清掃車」、「定置式吸引機」及び柑橘類果皮から精油抽出等の「マイクロ波抽出装置」等特殊製品の売上を計上しております。

業績につきましては、前事業年度に比べ受注高は393百万円増の1,231百万円(前期比46.9%増)、売上高は250百万円減の829百万円(前期比23.2%減)、受注残高は401百万円増の774百万円(前期比107.9%増)となりました。

 

財政状態につきましては、総資産は、前事業年度末に比べ1,303百万円減少し、12,079百万円となりました。これは主に、繰延税金資産の増加100百万円及び現金及び預金の増加81百万円はありましたが、売上債権の減少591百万円、棚卸資産の減少496百万円、有形固定資産の減少254百万円、無形固定資産の減少78百万円、前払費用の減少30百万円、未収還付法人税等の減少18百万円及び未収入金の減少11百万円によるものであります。

負債は、前事業年度末に比べ1,802百万円減少し、4,938百万円となりました。これは主に、未払法人税等の増加292百万円、引当金の増加190百万円、未払消費税等の増加151百万円及び未払費用の増加16百万円はありましたが、取引先への支払サイト短縮による仕入債務の減少1,932百万円、借入金の減少349百万円、契約負債の減少133百万円及び預り金の減少39百万円によるものであります。

純資産は、前事業年度末に比べ498百万円増加し、7,140百万円となりました。これは主に、剰余金の配当214百万円はありましたが、当期純利益の計上700百万円及び自己株式の処分10百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度に比べ81百万円増加し、1,174百万円(前期比7.5%増)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、733百万円(前事業年度は使用した資金111百万円)となりました。これは主に、仕入債務の減少1,917百万円及び法人税等の支払額113百万円はありましたが、税引前当期純利益の計上995百万円、売上債権の減少591百万円、棚卸資産の減少496百万円、減価償却費の計上408百万円、引当金の増加190百万円及び未払消費税等の増加151百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、前事業年度に比べ67百万円減少し、83百万円(前期比44.6%減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出85百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、前事業年度に比べ47百万円減少し、568百万円(前期比7.7%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出349百万円及び配当金の支払額216百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、環境整備機器関連事業並びにこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとに記載しておりません。

当事業年度における生産実績、受注実績及び販売実績を製品の品目ごとに示すと、次のとおりであります。

 

(1) 生産実績

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

強力吸引作業車

9,303,739

+3.0

高圧洗浄車

1,839,349

+25.0

粉粒体吸引・圧送車

225,236

+2.6

部品売上

1,160,665

△0.7

その他

872,370

△6.5

合計

13,401,361

+4.5

 

(注) 1  生産高は、販売価格によるとともに、消費税等は含まれておりません。

2  その他は、上記品目に属さない製品、デモ車の生産等が主なものであります。

 

(2) 受注実績

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

強力吸引作業車

9,791,333

△6.5

8,800,130

+5.5

高圧洗浄車

2,185,221

+29.1

1,652,431

+30.4

粉粒体吸引・圧送車

282,900

+27.9

282,900

+60.6

部品売上

1,160,665

△0.7

その他

1,231,810

+46.9

774,287

+107.9

合計

14,651,930

+1.8

11,509,748

+13.3

 

(注) 1  受注高及び受注残高は、販売価格によるとともに、消費税等は含まれておりません。

2  その他は、上記品目に属さない製品、デモ車・中古車及び修理改造等の受注が主なものであります。

3 受注残高には、翌事業年度以降の納入予定金額が含まれております。

 

(3) 販売実績

品目

販売高(千円)

前年同期比(%)

強力吸引作業車

9,333,615

+8.7

高圧洗浄車

1,800,312

+36.0

粉粒体吸引・圧送車

176,200

△27.0

部品売上

1,160,665

△0.7

その他

829,966

△23.2

合計

13,300,759

+7.2

 

(注) 1  販売高には、消費税等は含まれておりません。

2  その他は、上記品目に属さない製品、デモ車・中古車の販売及び修理改造等が主なものであります。

3  主な輸出先及び輸出高並びにその割合等は、輸出高が総販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。

4  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれも総販売実績の10%未満であるため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の財政状態及び経営成績の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (1)から(9)」に記載のとおりであります。

 

当社の主力製品である強力吸引作業車、高圧洗浄車の主なユーザー市場である、産業廃棄物処理・一般廃棄物処理業界は、その市場規模が今後大きく拡大することは考えづらく、一方で相当の市場シェアを持つ当社にとっては、新製品開発と新市場開拓による売上増を図るとともに更なる効率化の推進による安定利益の確保が経営の課題であります。

新分野としてマイクロ波抽出装置を利用した「バイオマス再資源化装置」の本格的な拡販に努めてまいります。マイクロ波抽出装置では、高機能化評価実験を経て、バイオマス全般分野等様々な用途に向けての市場開拓を進めてまいります。

海外市場においては、引き続き重慶耐徳山花特種車有限責任公司(中国)との強力吸引作業車・高圧洗浄車の技術移転を通じ、中国における新市場の開拓を継続してまいります。また、独立行政法人国際協力機構の委託事業に採択された、インドネシア共和国での下水道維持管理に向けた案件化調査は当事業年度にて完了いたしました。次のフェーズであるビジネス化実証事業につきましては、当事業年度に採択され、翌事業年度以降取り組みを進めてまいります。

 

当事業年度においては、全国的なインフラ整備需要は底堅く、目標とする経営指標につきましては、売上高経常利益率は7.3%、自己資本当期純利益率(ROE)は10.2%となりました。また、配当性向は34.9%を予定しております。

 

翌事業年度は、中期経営計画ビジョン「100年、その先へと続く企業をめざし、伝統の継承、変化への適応、革新への挑戦により、“必要とされる企業”へと常に前進する。」のもと、事業基盤の強化・ワークライフバランスの充実・価値の提供の視点から各種施策に取り組んでまいります。

また、工場「テクノベース」において、生産性の向上と品質の維持のための設備投資を推進するとともに、南海トラフ地震に備えてのBCPの実践を進めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の主な資金需要は、生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費であり、これらについては現在手許資金で賄える状況であります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資本のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。また、金融・資本市場の混乱や緊急で資金が必要となる場合に備え、複数の金融機関と当座借越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。