人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数5,478名(単体) 21,305名(連結)
-
平均年齢41.7歳(単体)
-
平均勤続年数19.6年(単体)
-
平均年収7,456,517円(単体)
-
平均年収の
対前年増減率3.0%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
[企業戦略と関連付けた人材戦略]
企業戦略と関連付けた人材戦略については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本」をご参照ください。
[従業員給与等の決定方針]
当社では、持続的な成長を実現するためには、多様な人材の確保・定着及び継続的な育成が不可欠であると考えており、従業員への処遇は重要な人材投資の一つと位置づけています。
労働市場における人材獲得競争や物価動向等を踏まえつつ、従業員が安心して長期的に働き、成長に挑戦できる環境を整える観点から、賃金水準や処遇の在り方を検討しています。
当社の従業員の給与及び賞与等の処遇は、管理職と一般職との役割の違いに応じて、それぞれの特性を踏まえた考え方に基づき決定しています。管理職については、役割責任及び経営成果への貢献をより重視した処遇体系とし、一般職については、長期的な人材育成及び雇用の安定を重視した処遇体系としています。
なお、当社では、ベースアップ及び定期昇給を合わせた賃金改定を2年連続して5%以上実施しております。当事業年度における平均年間給与の対前年比増減率は3.0%となっておりますが、これは主に定年退職者の増加などによる人員構成の変化の影響によるものであり、必ずしも平均年間給与の増減率が賃金改定の実施状況をそのまま示すものではありません。賃金改定の効果はモデル賃金に表れており、30歳のモデル賃金は、2023年度277,700円から、2024年度291,700円、2025年度306,700円へと着実に上昇しております。また、直近の2026年度に妥結した賃金改定後では、321,700円となっております。
管理職の給与等の決定方針
管理職については、2024年度より、ポジションごとの役割の大きさ及び責任に基づく処遇体系としており、年功ではなく担う役割や成果への貢献度をより重視した給与制度を採用しています。基本報酬は、前年の支給額を前提とした年功的な積み上げ方式ではなく、人事考課結果に応じた報酬テーブルに基づき、毎年度の評価を直接反映して決定する仕組みとしています。これにより、成果が報酬に直接反映され、管理職一人ひとりが自らの役割と成果に向き合い、主体的に挑戦することを後押ししています。賞与については、業績指標(連結営業利益率)と連動させる仕組みとしており、会社業績に応じて支給水準が変動する制度としております。あわせて、個人の人事考課結果も反映し、業績等への貢献度と個人の成果の双方を踏まえた決定としております。さらに、連結営業利益率の目標値を上回った場合には、その達成度合いに応じて賞与の支給月数を加算する仕組みとすることで、業績達成に向けた高いコミットメントを促しています。
また、物価動向や当社の経営状況等を踏まえ、毎年度、報酬水準の見直しを行っており、成果を適切に反映するとともに、物価上昇を確実に考慮することで、実質的な賃金水準を意識した報酬水準の決定を行っています。
一般職の給与等の決定方針
一般職の給与は、年齢給及び職能給を組み合わせた基本給を中心に構成しており、年次の経過だけでなく、担う職務や能力の向上を踏まえた処遇としております。人事考課の結果については、賞与及び昇給に反映しております。賞与については、会社業績等を踏まえたうえで、労働組合との協議を経て決定しております。また、ベースアップについても、物価動向や経営環境等を踏まえ、労働組合との協議を経て決定しております。
(2) 【従業員の状況】
① 連結会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2.臨時従業員数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
② 提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2.臨時従業員数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.提出会社の従業員は、全て「日本」セグメントに含まれております。
③ 労働組合の状況
労使関係について特記すべき事項はありません。
④ 管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異
a.提出会社
当社において、男女間で賃金体系及び制度上の違いはありません。ただし、主に次の理由から賃金差異が生じております。
(職種間の人員構成の男女差)
重い製品を扱う製造現場では男性従業員が多く、製造現場で働く従業員に支給する手当※の有無による賃金差異が生じております。手当の有無による違いが生じない、管理職の部長、課長職位では、部長の賃金差異が106.6%、課長の賃金差異が100.8%であります。
※手当:交替勤務や特殊作業など、特定の職務に就く従業員にかかる負荷の対価として支給する手当
(管理職比率、等級別人員構成の男女差)
相対的に賃金が高い管理職及び上位等級者に、女性よりも男性が多いことが、賃金差異につながっております。
当社の人材戦略の柱である「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」を進める上で、製造業務の改善による多様な人材が活躍できる職場造りや、管理職や新規採用者に占める女性従業員比率の向上に取組んでおります。
当事業年度の男性従業員の育児休業取得率は前事業年度の73.0%から着実に増加しております。
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。なお、過年度に配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
3.従業員には、正規雇用従業員及びフルタイムの無期転換した非正規雇用従業員を含んでおります。
4.パートタイマーについては、正規雇用従業員の所定労働時間をもとに人員数の換算を行っております。
5.委託契約など契約形態及び働き方が通常従業員と異なる者は対象から除いております。
6.出向者は出向先の従業員として集計しております。
b.国内連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。なお、過年度に配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
3.従業員には、正規雇用従業員及びフルタイムの無期転換した非正規雇用の従業員を含んでおります。
4.パートタイマーについては、正規雇用従業員の所定労働時間をもとに人員数の換算を行っております。
5.委託契約など契約形態及び働き方が通常従業員と異なる者は対象から除いております。
6.出向者は出向先の従業員として集計しております。
7.「-」は該当者が存在していないことを示しております。
c.連結会社
(注) 「*」は海外連結子会社の指標の定義や集計方法が異なるため、記載を省略していることを示しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
[ガバナンス・リスク管理]
当社グループは、経営の基本方針に掲げる、「なめらかな社会」の実現に向けて、当社グループ並びに役員及び従業員が実践する以下①、②の活動をサステナビリティ活動と定め、その取組みを推進しています。
① 社会課題に向き合い、社会から信頼され必要とされる企業として、環境・社会的価値を創出する活動
② 摩擦を減らすことでエネルギー消費を抑える製品・サービスを提供することにより、企業価値を向上させ、当社グループを持続的に成長させる活動
当社グループは、ESG推進部を担当する執行役(サステナビリティ活動の統括責任者)を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、年2回以上開催しています。当委員会では、主に「なめらかな社会」の実現に向けてのリスクと機会の分析に関する事項やマテリアリティの特定に関する事項など、「なめらかな社会」の実現に向けた課題とその解決に向けた必要なサステナビリティ活動に関する審議を行い、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を構築しています。
サステナビリティに関連するリスクと機会の取組みについては、サステナビリティ委員会で審議を行い、取組みの状況は、リスクと機会に紐づけられたマテリアリティの対応施策として、定期的に確認しています。当事業年度では、世界的な潮流であるカーボンニュートラル、その達成に向けて加速する電動化や労働力不足、人権問題など事業環境ごとにリスクと機会を分析(監視)し、マテリアリティに沿った対応策を講じています。外部環境の激しい変化に対応するため、想定されるリスクと機会の定期的な見直しを進めています。
リスクと機会のうち、リスクについては、リスク管理委員会においてより具体的に対応策を報告・審議する枠組みとしています。リスクの未然防止と危機発生時の被害極小化を図ることを目的として、ESG推進部を担当する執行役(リスク管理統括責任者)を委員長とするリスク管理委員会を設置し、当社グループの事業を取り巻くさまざまなリスクの「特定」、「分析」、「評価」、「対応」を定期的に確認しています。リスクは、外部要因、内部要因からなる20のリスクに分類した上でリスク低減に取組んでおり、リスク管理委員会で報告・審議した内容は、年2回取締役会に報告しています。
なお、執行役の年次インセンティブ(賞与)につきましては、各執行役の重点目標にESG項目も含まれ、報酬委員会で審議の上、個人別の支給額にも反映されています。役員の報酬等の額又はその算定方法等の具体的な内容は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」に記載しております。
推進体制
リスクと機会
[戦略]
当社グループが「なめらかな社会」の実現(SDGsの実現を含む)に向けて優先的な対応を必要とする課題を「マテリアリティ」と定義し、現在13項目のマテリアリティを特定しています。特定されたマテリアリティについては項目ごとに年度での対応施策を策定し、「なめらかな社会」の実現に向けた取組みを推進しています。
(気候変動(気温上昇)対応)
グローバルでのカーボンニュートラルの実現に向けた取組みとして執行役社長を委員長とするカーボンニュートラル推進委員会及び各地区担当執行役を会長とするグローバル各地区のメンバーで構成される地区部会を設置・開催し、好事例や課題の情報共有、グローバルでの横展開・相互啓発を図っています。
カーボンニュートラル推進委員会は半期に1回開催し、その内容を取締役会に報告しています。2024年度に開催したカーボンニュートラル推進委員会では、グローバルのCO2排出量の推移、カーボンニュートラル予算の立案・執行状況・効果確認、カーボンニュートラルロードマップ及び各地区部会の活動状況について報告し、情報共有や課題の解決に向けた施策・支援策等を討議しました。
<シナリオ分析>
2021年5月に「TCFD提言」への賛同を表明し、気候変動が事業にもたらすリスクと機会を把握し、サステナビリティ活動に反映させています。
気候変動(気温上昇)による影響について、21世紀中の気温上昇を「4℃」、「1.5℃未満」としたシナリオ分析結果から想定されるリスクと機会は以下のとおりです。
[指標及び目標]
上記のリスクと機会は、13項目のマテリアリティのうち、「エネルギーロスの低減」及び「気候変動への対応」等に結びついており、それぞれ対応施策を策定しています。
このうち、「気候変動への対応」の長期的目標を「2035年度カーボンニュートラル(サプライチェーンを含めて2050年度)」、2022年度以降のKPI(管理指標)として「2018年度比で、2030年度に事業活動におけるCO2排出量50%削減」を設定し、段階的に脱炭素化する計画(カーボンニュートラルロードマップ)を作成しました。
2023年4月にカーボンニュートラル推進の専任組織であるカーボンニュートラル戦略推進部を設置し、長期的目標達成のために必要な諸施策の推進を強化しています。
■カーボンニュートラルロードマップ
<当社グループのCO2排出量の実績>
当事業年度のCO2排出量は、基準年度である2018年度比で約40.4%※の削減となりました。
生産量減の影響も含まれますが、省エネルギー施策の推進および再生可能エネルギーの導入等による削減効果により、計画に対して順調に進捗しております。
今後も、カーボンニュートラルの達成に向け、各種施策を着実に推進してまいります。
※上記実績は、有価証券報告書提出日までに入手した情報に基づく第三者検証前の見込値を記載しています。
(2) 人的資本
当社グループでは、ESG課題の一つとして「豊かな人づくり」を掲げています。従業員が事業活動を通じて「成長」し、「イキイキと働く」ことができる企業グループであり続けるように企業文化を育み、人事制度や職場環境を整え人的資本の価値を最大限引き出し、成長させることで持続的に企業価値を向上させます。この「人的資本経営」の実践を通じて、様々な社会課題を解決し経済的価値、環境・社会的価値の向上に取組む組織風土を醸成し、働きがいをもって仕事に取組める多様な人材を育成することで「豊かな人づくり」の実現を目指します。
「豊かな人づくり」を実現するための人材戦略として、「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」、「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」、「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」、「安全・健康に働きイノベーティブな発想ができる職場環境の実現」、「人権の尊重」を5つの柱としています。
具体的な施策として、中期経営計画の基本方針である「事業構造の変革の加速」及びその変革を支える取組みを実行し、当社グループとして目指す姿を実現するため、「人材獲得と育成」と「組織風土醸成」の両面から人材戦略を策定し、「経営戦略実現のために求められる専門能力の向上」、「グループ経営をリードする経営人材の育成」、「自律的成長とキャリア自律の実現」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」、「挑戦し、やりきる職場風土への変革」、「NTNスピリットに基づくマインド変革」を重点に、それぞれの取組みを推進しています。
[戦略]
人材戦略の5つの柱のもと、中期経営計画達成に向けて重点とする取組みは次のとおりです。
「経営戦略実現のために求められる専門能力の向上」
事業構造を変革(事業ポートフォリオの変革)するには、ビジネスの構造を変えるような抜本的かつ主体的な行動や新領域へのチャレンジが必須であり、戦略実現に求められる組織能力や人材も変化しています。中期経営計画の基本方針である事業構造の変革や、それを支える戦略を達成するためには、それぞれに必要となる組織能力を獲得することが重要です。人材育成や適所への人材配置、採用の仕組みの強化、多角化による外部人材の獲得を組み合わせることで、組織能力の獲得を推進しています。
具体的な取組みとして、年齢・性別を問わず多様な人材、また、専門性・独自性を活かして事業に貢献する人材の活躍を推進するために、2024年4月より、管理職層の人事制度を人の能力を基準とした制度から仕事を基準とした制度へ変更するとともに、多様な人材の活躍推進と高い専門性を持つ人材の確保、育成を図ることを目的に、組織運営を担うマネジメント人材(組織の長)と特定分野・領域の専門性を磨く人材がそれぞれ活躍できるよう、各々のコースを設定しました。導入以降、エキスパートコースの人数は、2023年度の6名から2025年度には12名へと増加しており、専門性を軸としたキャリア形成に対する理解や関心が社内において徐々に広がりつつあります。また、若年層の段階から専門性を意識したキャリア形成を支援する取組みとして、初期配属職種確約型採用を推進しています。2025年度には20名を新たに採用しており、入社時点から自身の専門領域を見据えてキャリアをスタートできる環境を整えています。
今後は、若年層から専門性を意識したキャリア形成が可能な人事制度や仕組みの確立等に取組むことで、従業員の高度な専門性獲得に向けた主体的な行動や新領域へのチャレンジを引き出し、組織能力の獲得を推進します。
[具体的な取組み(実績)]
・専門系コース(エキスパート)の手挙げによる主体的行動の引き出し
・新卒採用における初期配属職種確約型採用 2025年度20人採用(IT企画職、研究開発職など7職種、累計39人採用)
・技術系スペシャリスト人材育成制度を通じた基盤技術の強化(3領域、11人実施)
「グループ経営をリードする経営人材の育成」
不確実な時代に経営戦略を実現するためには、当社グループをリードできる経営者を計画的に育成していくことが重要と考えています。成果を上げている人材を経営人材候補として人材プールを形成し、経営トップ層と人事部門が一体となった育成を行うほか、若手層を含む管理職を対象に経営者育成プログラムを実施し、中長期的な観点から経営者の育成を図っています。
具体的な取組みとして、若手管理職を選抜し、経営に必要な思考・知識を体系的に学習するカリキュラム「NTN Next Leader Program」を実施するなど、経営人材を安定的に輩出できるようサクセッションプランに基づく候補者の選抜と育成に取組んでいます。サクセッションプラン候補者数については、2026年度の目標人数30名に対し、2025年度時点で29名を確保しており、計画に沿った育成が進捗しています。また、候補者の年齢構成についても、継続的な選抜と育成を通じて若返りが進んできており、中長期的な視点で経営人材を育成していくための基盤が整いつつあります。
今後は、最適な候補者プール構築に向け、経営層に必要なスキルの定義や、早期の選抜や継続的な育成に計画的に取組んでまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・執行役候補者の選抜によるサクセッションプランの定着
・早期育成を目的とした選抜型研修(NTN Next Leader Program)を通じた経営層候補者の拡大
2025年度28人修了(累計166人修了)
・担うべき役割と職務の価値・報酬をリンクさせた管理職人事制度の浸透
「自律的成長とキャリア自律の実現」
自律的なキャリア展望やキャリア開発に基づく成長と、キャリア展望を実現できるように支援することで、従業員と組織の持続的成長を実現します。
具体的な取組みとして、2024年4月より、課長や部長といったポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を実施しております。この制度は、従業員が希望するキャリアや働く場所を自ら選択できる機会を提供し、従業員のモチベーションを高め、組織の活性化を促すことを目的としています。当該制度を利用して異動した件数自体は決して多くありませんが、応募の有無にかかわらず、「次にどんな仕事に挑戦したいのか」「自分の強みはどこにあるのか」といった対話が、従業員の間で生まれ始めています。これまで表に出にくかったキャリアや志向について言語化される場面が増えてきたこと自体が、制度導入の一つの成果だと受け止めています。一方で、こうした手挙げの機会については、まだ限定的であるという課題認識を持っており、今後は、より多くの従業員が主体的に手を挙げやすくなるよう、機会創出や制度運用の工夫を進めていく必要があると考えています。また、若年層から中高年層まで幅広い年代層を対象に、自身のキャリアを考えるキャリア研修を実施しています。さらに、上司向けのキャリア支援教育も実施し、キャリアを考える機会と支援体制を充実させております。
今後は、これらの手挙げ式施策の拡充に加え、キャリアコンサルティング体制の確立など、従業員がキャリアを考える機会と自ら望むキャリアを実現するための制度を充実させ、従業員と組織の成長に繋げてまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・ポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を通じたキャリア自律の促進
・社外への転進を支援する「ネクストライフ支援制度」の継続
・年代別キャリア研修(20歳台から50歳台)と上司向けキャリア支援教育の継続実施
・従業員が自ら学ぶことが出来る人材育成プログラム(AI等に関するWeb研修)の充実
・部下の職務能力の育成を目的とした考課者訓練の充実(毎年実施)
「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」
多様な専門性と経験を持つ人材で組織を構成し、その違いを力に変え、多様な視点や仮説を通じてイノベーションや日常的な価値創造を実現するために、個々人の能力を最大限発揮できる「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」に取組んでいます。
具体的な取組みとして、多様な専門性と経験を持つ人材の獲得を目的に、中途採用の拡大に継続的に取組んでいます。あわせて、中途入社社員が早期に活躍し、定着できるようにするため、中途入社社員向けの研修を導入するなど、フォロー体制の強化を進めています。また、女性管理職比率を増やす施策として、育児期の従業員が管理職昇格を目指しやすい環境づくりに取組んでいます。具体的には、柔軟な勤務時間や短時間勤務、在宅勤務、勤務地の限定といった働き方の選択を継続したまま昇格できる人事制度を運用し、育児や介護等と両立しながら管理職として活躍できる環境づくりを進めてきました。こうした取組みを通じて、女性管理職比率についても、2025年度は4.9%(前期比0.7%増)と着実に上昇しています。
今後は、更なる中途採用の拡大や、多様な人材を国内外の拠点の責任あるポジションに積極的に登用できる環境や制度を整備し、個々の属性や価値観の違いを認め合い尊重し、一人ひとりが挑戦することができ、能力を十分に発揮できる環境づくりを推進します。
[具体的な取組み(実績)]
・中途採用の拡大による様々なキャリアバックグラウンドを持つ人材確保の強化(アルムナイ、リファラルなどの採用手法の充実化検討)
・LGBTQガイドブックの発行、LGBTQに関するeラーニング講座開催
・従業員のライフスタイルの変化や個々の価値観に応じた選択ができる人事制度の充実
・従業員の介護リテラシー向上に向けたセミナーの継続開催、個別相談会の実施
「挑戦し、やりきる職場風土への変革」
厳しい環境のもとで競合優位性を維持・向上させ、持続的に成長するには、これまで以上に独創的な価値の創出が必要となり、過去の成功や前例にとらわれることなく、常に新しい発想で挑戦する姿勢とそれを可能にする職場風土が重要と考えています。
具体的な取組みとして、管理職層の目標管理制度において、基本目標の設定に加え、チャレンジ目標を設定することで、より高い目標への挑戦を促しています。あわせて、目標設定時の面談や期中の適時フォロー、期末のフォロー面談など、上司と部下の対話の機会を制度として組み込むことで、目標や進捗に関する認識のすり合わせを行いながら、目標達成に向けてやり切ることを促す仕組みを取り入れています。また、2025年度には、新しい評価制度の定着において中核的な役割を担う部門長層を対象に、考課者研修を新たに実施し、対象者の約半数にあたる85人に対して研修を行い、制度理解と運用力の向上を図っています。なお、残る対象者についても、2026年度に同様の研修を実施する予定としています。
今後は、挑戦をサポートする施策のより一層の充実や、新しい目標管理制度や評価制度及び会社業績と個人の業績評価を連動させる仕組みを定着させることで、挑戦意欲のある人材が働きがいを感じながら挑戦し続けられる組織へ変革してまいります。
[具体的な取組み(実績)]
・新人事制度における考課者研修の実施(2025年度85人)
・個人の業績と会社業績を連動させた報酬(賞与)制度の実施
「NTNスピリットに基づくマインド変革」
長期戦略の実現には、優秀な人材を惹きつけることが不可欠であり、そのためにはエンゲージメントの高い企業風土を醸成することが重要です。目指すべき意識・行動を明文化した「NTNスピリット」を従業員全員で共有し、自社がどのように在りたいか、何のために存在するか、一人ひとりが働く意義を見出すことで、自ら考え自ら行動する従業員を増やし、変革への本気の挑戦を生み出すことが、企業価値向上に繋がることはもちろん、従業員の成長や組織の一体感、そしてエンゲージメントの向上に繋がると考えています。
具体的な取組みとして、当社では、従業員エンゲージメントを人的資本経営における重要な指標の一つとして位置づけ、2021年度より隔年で従業員エンゲージメント調査を実施しています。
●従業員エンゲージメント調査の概要
本調査では、「従業員エンゲージメント」及び「社員を活かす環境」を軸とし、これらに影響を与える要因として、「戦略・方向性」「リーダーシップ」「成長の機会」「心理的安全性」など、複数の観点から組織の状態を把握しています。なお、2023年度の回答率は94%、2025年度は93%と、いずれも高い水準を維持しております。
調査結果は、経営層及び各部門へフィードバックしており、その内容をもとに、全社的な施策や人事制度への反映についても検討を行っています。また、エンゲージメント向上施策として、調査結果を基に各職場が主体的に取組む活動である「より良い職場づくり活動」を推進しています。本活動では、各職場において調査結果を踏まえた対話を行い、そこから抽出された課題や強みを具体的な職場改善につなげています。本活動を通じて、職場の状況について共通認識を形成するとともに、従業員一人ひとりが改善に向けた行動を自ら考え、実行することを重視しています。
●調査結果の考察
<当社の強み>
調査結果からは、「個人の尊重」「教育・研修」「心理的安全性」などの項目において、肯定的回答率が高く、個々人が尊重され、学びやすい環境や、上司との信頼関係を基盤とした職場運営が行われている点は、当社の強みであると認識しています。
<当社の伸びしろ>
一方で、「戦略・方向性」や「リーダーシップ」、「業務プロセス・組織体制」といった項目では、肯定的回答率が相対的に低い結果も確認されており、会社の方針や将来像が現場に十分に伝わっていないことや、部門を超えた連携、スピード感に課題が残っていると受け止めています。特に、経営層が描く方向性と、現場での実感との間に認識のギャップが存在している点は、今後重点的に改善に取組むべき課題であると考えています。
これらの課題を踏まえ、当社では、経営層と従業員との相互理解を深める取組みとして、タウンホールミーティングを継続的に実施しており、経営が何を考え、どこに向かおうとしているのかを直接伝える機会を設けています。2025年度は、国内(32拠点)、海外(27拠点)で合わせて4,000人を超える従業員が参加し、社長や執行役が会社の目指す姿や何に注力していくかを説明し、コミュニケーションを深めました。
さらに、組織課題を表層的な対応にとどめることなく、構造的に把握していくための取組みも進めており、調査結果を起点とした分析を通じて、制度や施策の改善につなげていくことを目指しています。今後も、エンゲージメント調査を組織の「健康診断」として活用し、継続的な改善と対話を通じて、エンゲージメントの向上と組織風土の変革を進めていきます。
[具体的な取組み(実績)]
・社長や執行役が各拠点を訪問し従業員との対話を深めるタウンホールミーティングの継続実施
・従業員エンゲージメント調査を活用した「より良い職場づくり活動」の推進
また、これらの中期経営計画実現に向けて重点とする取組みを推進していくためには、従業員の心身の安全と健康が確保されていることが不可欠です。当社グループで働くすべての人の安全と健康の確保は、経営の基盤としてあらゆる事業活動に優先する最も大切な価値であり、この基本姿勢のもと、「安全・健康に働きイノベーティブな発想ができる職場環境の実現」を目指しています。
一方で、当年度においては、当社で7件の休業災害が発生しており、当社として重く受け止めています。この事実を踏まえ、従来から取組んできた再発防止を中心とした安全活動にとどまらず、重傷災害の未然防止をより明確な重点課題として位置付け、一層力を入れた取組みを進めています。
具体的には、職場の生産設備や作業に内在するリスクに着目し、作業手順の作成・見直しを通じて危険源を事前に特定・低減するとともに、その内容を教育・周知することで、現場における安全行動の確実な定着に取組んでいます。加えて、これらの取組みを各事業場に横展開することで、重傷災害を未然に防止する仕組みづくりを推進しています。
安全の確保は一過性の対応ではなく、日々の取組みの積み重ねが何よりも重要であるとの認識のもと、各職場において対策を着実に実行し定着させるとともに、その実践と見直しを継続的に繰り返していくことで実効性のある安全管理の強化と持続的な改善につなげていきます。
[具体的な取組み(実績)]
・安全を支える仕組みづくりとしての労働安全衛生マネジメントシステムの有効な運用による安全性の強化
・リスクアセスメント研修、危険予知研修による安全に強い人づくりの継続実施
・労働災害防止のため、現場の安全管理状態を確認指導する安全監査の継続実施
・従業員の健康増進と疾病予防や活力ある職場環境の実現に向けた、若年層メタボ対策、禁煙施策、ストレスチェック等の継続実施
・職場の健康レポートを活用した部下の健康管理と意識改革の推進
・健康経営の普及に向けた取引先との健康経営セミナー及び意見交換会の共同実施
これらの取組みの結果、「健康経営優良法人大規模法人部門」の上位500法人に与えられる「ホワイト500」に2021年度から6年連続で認定されております。
[ガバナンス]
当社グループの人的資本経営の実行体制として、重要な人事事項・人事施策は、取締役会や、経営層が参加する社内重要会議、人事委員会などの場で定期的に報告し議論しています。また、重要な人事施策に関しては経営会議の審議を経て、決裁しています。また、従業員エンゲージメント調査等を活用して職場の状況をモニタリングする体制を整え、持続的な企業価値向上の推進力を高めていきます。
[リスク管理]
日本国内における、少子高齢化による労働力人口の不足に加え、変化が激しく不確実性の高い時代背景から、多様な人材の確保が年々困難の度を増しており、当社では事業継続におけるリスクと認識しております。こういったリスクに対応するために、多様な働き方やワークライフバランスを実現するための「働きやすさ」と「やりがい」を高める施策を充実させてきました。今後は、従業員一人ひとりが今まで以上に「働きがい」をもって仕事に取組むための施策を充実させることで、多様な人材の獲得と定着に繋げてまいります。
また、当社の人員構成は年齢別にみると逆ピラミッド型、男女別にみると男性中心の人員構成となっており、これらの人員構成の偏りも事業継続におけるリスクとして認識しております。これらのリスクに対応するため、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの各種施策を推し進め、多様な人材が「イキイキと働く」ことができるような環境構築を進めてまいります。
人権については、当社グループの事業活動が影響を及ぼし得る当社グループ内及びサプライチェーン上のどの国、地域においても人権尊重に努めるべく、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に掲げられた「尊重」と「救済」の2つの観点に基づき、「従業員における人権リスク対応」、「サプライチェーンにおける人権リスク対応」、「救済へのアクセスの構築」に優先的に取組んでいます。具体的な取組みとして、当社グループの事業活動における人権リスクを特定するため、当社の海外関係会社を対象に定期的な調査を実施しております。また、法令や業務行動規準、社内規程に違反する行為に関する相談を広く受け付ける相談窓口を社内・社外に設置し、運用しています。今後も計画的に人権デューデリジェンスや人権啓発活動に取組んでまいります。
[指標及び目標]
中期経営計画実現に向けて重点とする取組みに関する指標及び目標は次のとおりです。
いずれの指標も目標に対して概ね計画通りに進捗していると認識しております。計画に対して未達となっている指標についてはその要因を検討のうえ必要な対策を講じ、「豊かな人づくり」に向けて取組みを進めてまいります。
(注) 1.上記指標の対象は、特に指定の無い限り当社及び連結子会社であります。
2.人数はエキスパートコースとして認定され、就任を予定する人数であります。
3.従業員エンゲージメント調査は隔年で実施しているため、2024年度には調査を実施しておりません。また、2023年度及び2025年度に実施した従業員エンゲージメント調査は、一部の従業員を対象としたものであります。
4.労働災害(休業)発生件数について、2025年度は2024年12月16日から2025年12月15日を同事業年度に係る集計対象期間としており、2024年度以前の事業年度に係る集計対象期間もそれに準じております。