人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数11,153名(単体) 45,018名(連結)
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平均年齢41.3歳(単体)
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平均勤続年数17.3年(単体)
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平均年収7,533,357円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 従業員数欄の( )内は、臨時従業員の平均雇用人員で、外数を記載しております。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 従業員数欄の( )内は、臨時従業員の平均雇用人員で、外数を記載しております。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) *1:「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
*2:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
*3:労働者の男女の賃金の差異の要因につきましては、次のとおりであります。
正規雇用労働者につきましては、賃金は性別に関係なく同一の基準を適用しており、同一職位では男女の賃金の差異はありませんが、相対的に上位の職位に男性が多いため、差異が生じております。
2024年度より人事制度を改定し、総合職(主に基幹的業務に従事)と一般職(主に定型的業務に従事)を統合した事技職に変更しております。改定前の一般職は女性が大半を占めておりましたが、改定後は職群の区別による業務範囲の限定が解消され、女性がこれまで以上に上位の職位に就きやすい制度になっております。これにより、これまで以上に本人の能力に見合った昇格・登用が可能になっております。今後も仕事と家庭の両立支援や男性の育児休業取得の促進等によりジェンダーギャップを縮小し、誰もがより能力を発揮しやすい環境づくりを進めてまいります。
② 連結子会社
(注) *:「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、各項目の目標については、達成を保証するものではありません。
(1) 当社のサステナブル経営
当社の事業活動は、株主のほかお客様、仕入先、従業員や地域社会のみなさまといった多くのステークホルダーに支えられております。加えて、当社がこれからも安定して事業活動を展開していくためには、人々が安心して生活できる豊かな地球環境が大前提にあるものと考えております。そこで当社は「技術をつなぎ地球と働くすべての人を笑顔にする」という当社のMission(存在意義)にのっとり、事業活動を通じて当社のステークホルダーが直面する社会課題の解決に取り組むことで、社会とともに持続的な成長を遂げたいと考えております。
また、当社が変化の激しい外部環境の中でも企業として成長を続け、上記のような社会課題の解決に貢献していくためには、その源となる人的資本や知的資本等、非財務資本の増進を図ることが不可欠であります。
当社は、このように社会課題の解決と非財務資本の増進によって企業価値の長期的な向上を目指す、サステナブル経営を推進してまいります。
① サステナビリティ推進体制
当社は、取締役会を頂点とするコーポレート・ガバナンスの体制を構築しておりますが、サステナビリティに関する活動方針の決定、社内取組みの監督と助言については、社外役員を含む取締役会構成員全員に加えて経営役員及びCxO(社内各機能の最高責任者)を委員とするサステナビリティ委員会において主に行っております。
サステナビリティ委員会で議論されたテーマは、関連する業務を行う主管部署において取組みとして具体化され、事業活動に反映されております。これらの事業活動は統合報告書「ジェイテクト・レポート」、コーポレート・ガバナンスに関する報告書、有価証券報告書や当社企業ウェブサイト(https://www.jtekt.co.jp/sustainability/)を通じて情報開示しております。
これらの情報開示の主要なものは、経営管理本部の関係部署を中心として運用される情報開示委員会において、ステークホルダーに適時適切かつ過不足なく伝わるかという観点から、内容や表現の適否について議論した上で社外へと開示されます。開示された情報に対するステークホルダーからのフィードバックはサステナビリティ委員会において報告され、次なる取組みの基盤としております。
② マテリアリティの特定
当社は、2020年度に実施した長中期経営計画の立案プロセスにおいて、マテリアリティを特定いたしました。また当年度にはJTEKT Group 2030 Vision及び第二期中期経営計画の策定を受けて、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、それぞれの社会課題が当社に与える影響と当社がそれぞれの社会課題に関して社会に与える影響の両面から重要性を評価することで当社のマテリアリティを見直し、具体化いたしました。これらマテリアリティは、様々な社会課題の中でも当社が事業活動を通じて優先的に解決に貢献したいと考えるものであります。
なお、当社は社会の一員として多くの責任を負っているとともに、積極的に社会の発展に貢献したいと考えており、マテリアリティに挙げた以外の社会課題についても主体的に取組み、サステナブル経営を推進してまいります。
以下では、このような当社マテリアリティを中心としたサステナブル経営のテーマを環境、社会、ガバナンスの観点から整理して記載しております。
(2) 環境
当社は「未来の子どもたちのために豊かな地球を守る」ことを経営上の重要なテーマとしており、2016年に策定した「環境チャレンジ2050」では「製品・技術」「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「自然共生・生物多様性」「環境マネジメント」として環境経営に関する行動計画の5つの柱を明記いたしました。本項では、これらの取組みのうちマテリアリティとしている地球温暖化防止(低炭素社会の構築)、循環型経済への貢献に加えてモノづくり企業としての社会的責任である環境負荷物質削減について取り上げております。
① 地球温暖化防止
地球温暖化による気候変動は、氷河の融解や海面水位の変化、洪水や干ばつ等の影響、食料生産や健康等、人間への影響だけでなく陸上や海の生態系にも影響を及ぼしております。当社は、このような気候変動による負の影響を緩和するため、事業における中長期の気候関連リスクと機会を特定して影響を定量的に把握し、事業戦略に反映していくことが持続的に成長できる企業の条件であると考え、マテリアリティの1つである「低炭素社会の構築」に取り組んでおります。
なお、当社は、2018年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同を表明いたしました。以下TCFDの考え方に基づいて開示いたします。
(a) 戦略
当社は、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ反映させる形で活動を推進しております。これら一連の数値目標は中長期的な環境経営の根幹となっております。
当社はTCFD提言に基づき、脱炭素社会への移行による影響が想定される1.5℃(2℃未満)シナリオと、気候変動が進展し、物理的な影響が顕著になる4℃シナリオという複数のシナリオを使用し、分析を行いました。分析にあたっては、CO2排出量を2013年度比60%削減とする目標年の2030年度と、「環境チャレンジ」の目標年である2050年度における事業への影響を予想し、項目別にリスク・機会として特定いたしました。これらのリスクの最小化、機会の最大化を図るため戦略へ反映しております。
■使用したシナリオ
■リスク機会一覧
(注)1 時間軸 短期:現在~2025年 中期:2030年 長期:2050年
2 影響度評価は以下のとおり設定しております。
大: 影響額が100億円超のもの
中: 影響額が10億円~100億円以内のもの
小: 影響額が10億円以内のもの
1.5℃(2℃未満)シナリオにおいて想定される主なリスクとして、炭素税をはじめとする規制の導入・強化を背景とした操業費の増加や、自動車の燃費・排ガス規制の強化による内燃機関車向け製品の売上減少等を特定いたしました。これらのリスクを回避するために、生産プロセスの省エネ化や物流の改善、製品開発の加速等を行う必要があると考えております。一方、内燃機関車からBEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)への移行は、当社事業の機会としても捉えております。当社は現在、電動車向けベアリングや耐水素ベアリング、次世代車と内燃機関車に共通する製品であるステアリングシステムや駆動部品を展開しております。特に、2022年10月にリリースした超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact Bearing®」は軸受の幅寸法を極限までコンパクト化することに成功し、ユニットの小型化、軽量化への貢献が可能となりました。今後はこれらの製品の販売や新製品の研究開発に一層注力し、市場拡大を図ります。
(b) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は、内容に応じて「サステナビリティ委員会」に報告され、監督を受けるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会、取締役会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織には環境専門部会を設置し、省エネ/資源循環/生産技術革新/エネルギーインフラ/物流/技術・研究/バリューチェーン等、スコープ3排出量の削減も含めた気候変動への対応について、各分野における実務的な検討、評価を行っております。工場レベルの体制としては、各工場において工場長を委員長とした「工場環境保全委員会」を組織しており、隔月の委員会においてCO2排出量をモニタリングしております。
その他グループを横断した環境取組みを実現するため、グローバルジェイテクトグループ環境連絡会を設置しており、国内・海外グループ各社の取組みの振り返りや次年度の取組み計画の審議、環境マネジメントに関する意見交換等を行っております。さらに2021年度からは社長直轄の「カーボンニュートラル戦略室」を設置し、事業本部間の意思疎通の円滑化を進めておりましたが、2025年度より「CN・CE戦略室」に組織改正し、サーキュラーエコノミーに関しても戦略立案・推進を行っております。
(c) リスク管理
当社は、環境リスクを全社レベルのリスクマネジメント体制へ統合し、管理しております。環境リスクについては、「サステナビリティ委員会」が特定・評価・管理のプロセスを担っております。「サステナビリティ委員会」では、「ジェイテクト環境委員会」や顧客からのニーズや社外評価、社会動向等から発生したリスクの識別・評価を行い、影響度、重要性、脆弱性、発生可能性の観点から優先順位付けした上で、回避・軽減等の対策を決定・登録・管理しており、今後の取組みについて全部署へ共有しております。また、重要リスクについては定期的に取締役会に報告しております。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、2035年までに生産(スコープ1+スコープ2)におけるCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を設定しております。また、中期目標の「2030年マイルストーン」としてCO2排出量を60%削減(2013年度比)するとともに、国内外のグループ会社を含め、当社グループ全体でCO2低減活動を進めております。
この中期目標はパリ協定が求める水準と整合しており、科学的な根拠に基づく目標設定が認定されるSBT(Science Based Targets)認定を2024年7月に取得しております。
■中長期目標
■スコープ別CO2排出量 (単位:千t-CO2)
※本年度より、国内グループ17社、海外グループ31社に加えて、その他関連会社を含めて算出しております。
当社は、気候変動への対応に関する取組みが高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる「2024年気候変動」部門の調査において8段階評価中、最上位の評価となるAに2年連続で認定され、リーダーシップレベルの評価を獲得いたしました。
② 循環型社会への貢献
循環経済ビジョン2020(経済産業省)では、従来の「環境活動としての3R(リデュース・リユース・リサイクル)」から、設計や仕組みづくりにアプローチし、廃棄物が出ないようにする「経済活動としての循環経済」への転換を推し進めていくことが求められております。また、欧州では「ELV指令(ELV: End-of-Life Vehicles)」と「型式認証の再使用、再利用、再生の可能性に関する指令(3R指令)」を1つにまとめて規則化したELV規則案が2023年に発表され、自動車は再生材の使用促進や廃棄時の環境負荷低減が求められております。当社では、これまでも環境配慮設計や自社製品のリビルド活動、産業廃棄物のリサイクル化を通じて循環型経済の構築に取り組んでまいりました。今後は、循環性の高いビジネスモデルへの転換は事業活動の持続可能性を高め、中長期的な競争力の確保にもつながると考え、環境活動としての3Rの延長ではなく経済活動としての循環経済につなげる取組みとして、より一層の製品の小型・軽量化、製品原材料の再生材使用率向上、廃棄物のマテリアルリサイクル化の推進等、サーキュラーエコノミーの実現に貢献してまいります。
当社は、このような考え方のもと、「循環型経済への貢献」を低炭素社会の構築に並ぶマテリアリティとしております。
(a) 戦略
当社では、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ反映し、廃棄物及び水使用量の削減活動を推進しております。
世界的な人口増加や経済成長に伴う消費拡大により世界の資源採掘量及び廃棄物量は増加傾向にあり、その枯渇も懸念されております。このような状況において、当社の継続的な事業活動のためには生産に必要な副資材使用量及び廃棄物の削減が不可欠と考え、特に排出量の多い汚泥、廃油を重点品目に指定し、優先的に改善を行うとともに金型の長寿命化の取組みを行い、副資材使用量の削減活動を推進しております。
また、事業を継続する上で必要な良質な淡水は、その利用が制限された場合には当社の生産工程である熱処理、洗浄工程等の稼動に多大な影響を与える可能性があるため水使用量削減に向けた取組みが必要となります。当社は、特に水ストレス地域であるインド・メキシコに対して水使用量の削減目標を設定する等、取組みを進めております。
さらに、こうした従来からの取組みに加えて、より一層の製品の小型・軽量化、製品原材料の再生材使用率向上、廃棄物のマテリアルリサイクル化の推進等の取組みを進めるために、2030年を目標年とする新たな「環境行動計画」の作成を通じて検討を進めております。
(b) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は内容に応じて「サステナビリティ委員会」に報告・審議されるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、廃棄物のマテリアルリサイクル化の推進や水使用量の削減については、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織である環境専門部会の一つである「生産環境改善部会」、より一層の製品の小型・軽量化、製品原材料の再生材使用率向上については、「環境対応製品対策部会」や「バリューチェーン部会」を担当部会とし、経営役員である全社環境総括役員を筆頭として、取組みの進捗確認、議論、審議等を行っております。
(c) リスク管理
「①地球温暖化防止(c)リスク管理」の記載をご参照ください。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、内製生産高当たり廃棄物量/水使用量の原単位削減目標を設定し、2025年までに2018年度比7%削減を目標として取り組んでおります。加えて、これまでサーマルリカバリーが進められてきたプラスチック廃棄物について、更なる環境負荷の低減/資源の有効活用を図るため、2025年までにプラスチック廃棄物のマテリアルリサイクル率を35%とする目標を立てております。
また、5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ反映させる形で、活動を推進しております。
さらに、製品原材料については、当社製品の主原料である鉄を中心に、事業活動の持続可能性や競争力の観点も考慮したうえで、再生材の比率を高めていきたいと考えております。
このような取組みが高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる「2024年水セキュリティ」部門において、上位2番目の評価となるA-に認定されました。
③ 環境負荷物質削減
地球の生態系や人の健康に悪影響をおよぼす環境負荷物質に対しては、その使用・排出規制が強化されており、企業には生産から廃棄に至るまで、全ての段階において徹底した環境負荷物質管理と削減対策、そして各種規制の遵守が求められております。モノづくりの企業である当社にとっての環境負荷物質削減は重要な社会的責務であると考え、精力的に取り組んでおります。
(a) 戦略
当社は製品含有化学物質管理において製品を提供する上での法的・社会的責任を果たすため、各種法令規制や要請を遵守することを企業活動における重要な方針としております。
(b) リスク管理
当社の製品含有化学物質管理が抱える社会・お客様へのリスクは、環境負荷物質の流出による法的責任の発生と、世の中からの信頼失墜が生じることであります。また、社内管理が不十分であると国内外の規制変更や厳格化に対応できず、当社製品の使用が制限されることがあります。これにより製品の供給・販売が困難となり、回収や切り替えコストの発生による価格競争力の低下がリスクとして懸念されます。
上記リスク回避のため、化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、適切な規制遵守、社内外への製品含有化学物質管理の重要性周知等、製品含有化学物質管理の強化と改善を継続いたします。具体的な一例として、製品の研究や設計段階から、原材料や部品の調達時に化学物質の安全性や使用量を確認、成分表示を明確にした上で、必要に応じて顧客へ正確な情報を提供するようにしております。
(c) ガバナンス
当社では、研究開発本部副本部長が委員長を務める「製品環境委員会」を中心とした製品含有化学物質管理体制を構築しております。同委員会は年2回開催され、会社方針に基づいて課題の明確化と目標設定をするほか、方策の妥当性協議及び決定、進捗状況の管理を行っております。
また、同委員会の下部組織には、7つのワーキング・グループを設け、製品含有化学物質管理に関する全社方針の策定、国内外の体制構築、社内外の教育・監査、製品含有化学物質変更の際の設計変更や製品の切り替え推進について、役割分担と責任の所在を明確化した上で、活動を進めております。
図 製品環境委員会の組織と役割
(d) 指標と目標
当社は、2025年度に製品環境委員会のビジョンを改訂いたしました。2023年度までは顧客要求に追随するため、年2回以上の製品含有化学物質管理リストを更新することをはじめ、根幹規程の刷新と社内外への浸透を進めてまいりました。その結果、規格不適合の可能性が生じた際も、円滑な調査対応が可能となり、お客様への影響を最小限に抑えることができるようになりました。さらに、2024年度以降は化学物質の安全性に関する最新の情報収集の強化や、サプライチェーンを含む関係会社の教育活動や支援、監査体制を強化し、社内外における意識の向上と風土の醸成に取り組んでおります。今後2029年度までには、ジェイテクトグループとして「国内外統一の仕組み」「意識・風土の醸成」「システム導入」による盤石な管理体制の構築をすすめ、お客様に選ばれ続ける安心・安全・品質の提供を目指しております。
図 製品環境委員会のビジョン(2025年度改訂)
(3) 社会
当社は、「自己実現できる人づくり」「挑戦を楽しめる職場づくり」をマテリアリティに掲げており、その具体化のための社内環境整備、人財育成及び多様性の確保と尊重に関する様々な取組みを行っております。
社内環境の整備については、従業員の安全を第一としております。機械製造業を主要な事業とする当社においては、工業機械や化学物質の取扱いにあたって従業員の安全・健康への危険が伴います。このような危険から従業員を保護し、安心して働ける環境を維持することは、人づくり、職場づくりの前提として重視しております。また、従業員のモチベーションやパフォーマンス向上にも従業員の健康が欠かせないものと考え、より積極的な健康経営を推進しております。
また人財育成については、個々の能力向上に加えて、取り巻く環境の変化に対応できるよう様々な育成プログラムを提供するとともに、人財の多様性を確保し誰もが活躍できる組織を目指します。
本項では、このような考え方に沿って「労働安全衛生」「健康経営」「人財育成」と「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」に加え、昨今サステナブル経営において重視される「ビジネスと人権」の取組みについて取り上げております。
① 労働安全衛生(社内環境整備①)
当社は「自己実現できる人づくり」「挑戦を楽しめる職場づくり」というマテリアリティの前提として「安全第一・品質第二」を掲げ、価値ある製品を提供するための基盤となる従業員の心身の安全(労働安全衛生)をサステナブル経営上の重要テーマの1つとしております。
(a) 戦略
当社グループでは「全ての災害は必ず防ぐことができる」を安全衛生理念とし、全従業員が一体となって全員参加の安全衛生活動や快適な職場環境づくりに取り組んでおり、安全衛生理念を表したグローバルメッセージ"All for One in Life"のもと、命と健康を中心に置いた活動を通じて災害ゼロ実現を目指しております。
(b) ガバナンス
当社は、健康で安全・安心な働きやすい快適な職場環境づくりを目指して、取締役社長を委員長とし、経営層を含めた各工場・事業所の安全衛生業務事務局メンバーで構成された「全社安全衛生委員会」を設け、国内外のグループ会社を含めた安全・衛生の一元管理体制を構築しております。この「全社安全衛生委員会」は、期央・期末の年2回開催され、安全スコアの振り返りや従業員の声に基づき、安全・衛生・防火に関する方針展開と進捗状況の確認を実施し、その結果は全従業員に展開されております。
また、「全社安全衛生委員会」の活動を補う組織として、「安全衛生推進会議」を毎月開催し、安全に関するトップメッセージ、年度方針の進捗状況のフォローに加え、災害事例の情報共有や再発防止対策の検討や展開も行っております。さらに工場を含む各事業所においては、事業所長を委員長にした各事業所単位での安全衛生委員会を設置し、各種安全衛生活動の実施・確認や、労使の協力による課題の対策を積極的に行っております。
(c) リスク管理
当社は、従業員の労働災害や業務上の疾病による労働損失、職場環境の不安全や管理不足による評価の悪化、さらには従業員のモチベーション低下を重要なリスクと捉えております。このため、労働災害の根絶に重点を置いた取組みを実施しております。
全社的には災害件数や休業度数率を災害の程度に応じて分類・管理し、個別の災害についてはその要因を分析しております。重大な怪我に結び付きやすい災害を重点6災害として分類し、重点的に対策を行っており、中でも「挟まれ・巻き込まれ」による災害は発生頻度が高く、特に対策を進めております。リスクがある設備に対しては、リスクレベルによるランク付けとラベル表示を行い、現地現物でリスクの明確化を推進しております。また、リスクレベルの高い設備については、改善に向けた計画の立案から推進まで全社一丸となって継続的且つ計画的に取り組んでおります。
さらに、労働災害発生時の対応については、展開方法や宛先等の具体的な手順を社内規程で定め全社的に共有することで、報告の漏れを防ぎ、徹底した情報共有を迅速に行っております。
各工場では「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)」の考え方に基づき管理体制を構築し運用するとともに、各現場単位でリスクアセスメントによるリスク管理を行い、労働災害の未然防止に取り組んでおります。
(d) 指標と目標
当社では、前述の「全ての災害は必ず防ぐことができる」という安全衛生理念に基づき、事業活動における重大災害(死亡災害)をはじめとするあらゆる災害の予防を目標としており、重大災害(死亡災害)の件数及び、休業度数率(休業1日以上を計上)を指標として定めております。
② 健康経営(社内環境整備②)
当社では、従業員の健康づくりに投資することが従業員のエンゲージメントやパフォーマンス向上につながり、結果的に企業の持続的成長による企業価値の向上につながると考え、「自己実現できる人づくり」「挑戦を楽しめる職場づくり」という当社のマテリアリティに基づく重要なテーマの1つとして「従業員の心身の健康増進」を設定して健康経営を推進しております。
(a) 戦略
当社は、「健康宣言」に基づき、「従業員の心身の健康増進」を重要な経営戦略の一つに設定し、健康習慣等の実践状況と休職状況等の両面で総合的に評価し、PDCAサイクルを回す取組みを実践しております。
(b) ガバナンス
当社は、取締役社長を責任者とする経営層が中心となり、人事機能部署、ジェイテクト労働組合、健康保険組合で組織する「健康経営推進体制」を中核に、関係者が一体となって健康経営を推進しております。また、取締役社長を委員長とする「全社安全衛生委員会」では健康経営施策の計画・結果等を報告し、各施策について承認を得た上で、各職場や従業員に展開しております。
健康経営推進体制
(c) リスク管理
当社は、従業員の健康問題による労働損失を重要なリスクと捉え、アブセンティーズム(健康問題による欠勤)の低減に重点を置いた取組みを実施しております。具体的には私傷病による休務者数・休務日数で評価を行い、メンタルヘルス不調者対応や生活習慣病の予防・改善、健康意識向上に注力しております。これら各施策を通じて、従業員一人ひとりが健康にいきいきと働ける会社を目指します。
(d) 指標と目標
当社では、健康経営の取組みにあたって様々な管理指標を設定しておりますが、その成果を測る指標としては健康経営度調査の結果を採用しております。健康経営度調査とは経済産業省主催で毎年実施している健康経営の取組み状況に関する調査で、自社の健康経営に対する客観的な評価を確認することができると考えております。
当社では2025年度までにこの調査で上位評価である500位以内に入り、「健康経営優良法人 ホワイト500」の認定を取得することを目標に掲げて活動を進めた結果、2024年度に「健康経営優良法人2025 ホワイト500」を取得することができました。
③ 人財育成
当社は、競争環境、労働環境をはじめとした取り巻く環境が急速に変化していく中で、これらの環境変化に対応しつつ組織として成果を出し続けるためには、従業員一人ひとりが自ら学び、主体的に成長することが必要であると考え、人財育成を「自己実現できる人づくり」というマテリアリティに基づく重要なテーマの1つに設定して取組みを行っております。
(a) 戦略
人財育成方針
<事技職従業員の人財育成>
OJT、Off-JT、キャリア開発の3つの柱で構成しており、OJTでは、対話と実践を通じてメンバーの主体性を引き出すための定期的な面談やOJTトレーナー制度を実施しております。Off-JTでは、当社の仕事の基本である「問題解決力」を強化する研修を軸として、職位別、年齢別、テーマ別研修等、体系的に実施するとともに、自発的な学びの促進のため、e-ラーニングによる選択型教育を実施しております。また、JTEKT Group 2030 Visionの実現に向け、2025年4月より事技職新入社員向けのモノ作り研修を導入いたしました。この研修を通して全ての事技系社員がモノ作りの基礎を学ぶことにより、お客様の困りごとに寄り添ったソリューションの提案ができる人財づくりを推進いたします。キャリア開発では、従業員の自己実現のため、キャリア面談やサクセッションプラン、社内公募制度があり、従業員の価値観に応じて自発的なキャリア選択が可能な環境を整備しております。
<技能職従業員の人財育成>
全社教育、職場教育、自己啓発の3つの柱で構成しております。全社教育では、高等学園での教育を基礎とするキャリア開発プログラム(階層別教育)のほか、職場リーダー養成のためのTWIトレーナー(監督者訓練指導員)・リーダー養成講習、新任監督者に向けた研修では、生産調査部と連携しトヨタ生産方式(TPS)の実践訓練を実施する等、理解度向上に力を入れております。また自己啓発では、国家技能検定、QC検定、自主保全士等の取得に挑戦できるよう支援しております。
(b) ガバナンス
人財育成に関する取組みの状況や課題については「サステナビリティ委員会」にて報告をし、社外役員を含めた取締役、監査役及び経営役員らによる監督・助言を受けております。
(c) リスク管理
日本国内における少子化、要求される人財の高度化や雇用の流動化の中で事業活動に必要かつ有用な人財の確保は困難の度を増しており、当社は、人財の育成は事業継続の根本的な課題の一つと認識しております。このような考え方のもと、当社は心身両面での人財の育成に取り組んでまいります。
<高いモチベーション維持と能力向上>
人財育成、評価、処遇の3要素を有機的に結びつけ、入社から退社まで高いモチベーションを維持しながら能力向上を図れるよう、各種人事制度を関係づけて構築しております。
(d) 指標と目標
当社は、環境の変化に対応し、未来志向をもってお客様のニーズに応えるために必要なものとして、従業員一人ひとりの問題解決力を特に重視しております。そのため、Off-JTである問題解決研修を入社以降の複数年と主任(係長級の役職)登用時に対象従業員の全てに受講させることとしており、人財育成の主要な指標・目標として同研修への参加率を掲げております。
④ DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)
当社では、多様な人財の誰もが公平な機会を持ち、組織の中で必要とされていると感じ、それぞれの能力を発揮できることは、倫理的観点だけでなくイノベーション創出や競争力向上等、企業の持続的成長においても欠かせないものであると考え、「挑戦を楽しめる職場づくり」というマテリアリティに基づく重要なテーマの1つとしてダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下DE&I)の取組みを進めております。
(a) 戦略
当社では、従業員の誰もが公平な機会を持ち、組織の中で必要とされていると感じ、その中でそれぞれの能力を最大限に発揮できるようにするため、職場環境や柔軟な働き方の整備に取り組んでおります。
年齢、性別、人種等の表層的な多様性だけでなく、価値観やスキル、経験、文化、性的指向、性自認等の深層的にも多様な人財が働きやすい職場づくりに努めております。
特に両立支援に注力しており、介護や育児等のライフイベントによりキャリアを中断することのないよう仕事と家庭の両立支援制度の充実に取り組んでおります。具体的には、法定以上の育児短時間勤務制度の整備や託児所支援、ベビーシッター補助制度、カムバックサポート制度(配偶者の転勤や介護、不妊治療等で退職した社員の復職制度)等を整備しております。また、両立支援ガイドブックの作成や全従業員に向けた両立支援研修も実施しており、ライフイベントとキャリアを両立しやすい職場風土の醸成にも力を入れております。
具体的な2024年度の活動としては、ジェンダーギャップの改善のために、労使一体となって男性の育児休業取得を推進するための議論、ジェンダーバイアスへの気づきを促す職場対話等を実施しております。柔軟な働き方への対応としては、転勤しなくても働き続けられるようにスーパーリモートワーク制度を導入するなど従業員の生活やキャリア形成に寄り添った制度づくりを進めております。
また、現在は「D&I方針」に基づいて活動を進めておりますが、「DE&I方針」として方針内容の見直しを進めております。これまでも公平性を意識して取り組んでまいりましたが、方針として「Equity(公平性)」を明示することで当社の姿勢をより明確に示し、公平で柔軟な職場づくりを一層推進することを目的としております。
D&I方針
(b) ガバナンス
DE&Iに関する状況や課題については、「サステナビリティ委員会」にて報告し、その監督・助言を受け、取組み状況の進捗については経営管理本部長に適宜報告をしております。また、女性管理職人数、男性の育児休業取得率等の重要指標については適切に対外公表を行っております。
(c) リスク管理
グローバルに多様な製品を展開する当社において、同質性の高い組織や偏った視点による意思決定はイノベーション創出や競争力において影響を及ぼすだけでなく、いわゆるグループシンク(集団浅慮)を招き品質への影響や市場機会の見逃しといった経営リスクに繋がる可能性があります。DE&I推進は、このようなリスクを回避し、組織の健全性を高める経営リスク管理の一環と位置付けております。そのため、心理的安全性が高く、多様な意見を尊重する風土の醸成やハラスメント防止の取組み、柔軟な働き方の整備等、リスク発現の予防にも継続的に取り組んでおります。
(d) 指標と目標
当社は、上記のとおり様々な観点からDE&Iに関する取組みを行っておりますが、特に仕事と家庭の両立支援を重視する立場から、ジェンダーに関わらず活躍できる環境整備を進めております。そのため、女性管理職人数と男性の育児休業取得率をDE&Iの主要な指標と定め、2026年度時点での目標を掲げております。
⑤ ビジネスと人権
人権の尊重はサステナブル経営に不可欠であり、また従業員エンゲージメント等にも直結する重要な要素と考えております。そのため「自己実現できる人づくり」「挑戦を楽しめる職場づくり」「持続可能なバリューチェーンの維持」といったマテリアリティの要としてビジネスと人権の課題に取り組んでまいります。
(a) 戦略
当社では、「ジェイテクトグループ人権方針」に基づき、人権教育や啓発活動、サプライヤーとの連携、人権デュー・デリジェンス体制の構築を進めております。この方針の策定にあたって人権インパクト・アセスメントを実施した結果、「強制労働・奴隷的拘束」「児童労働」「差別」「ハラスメント」の4つを当社グループにとって最優先で対応すべき人権リスクとして特定し「重点取組み課題」としております。
具体的な活動としては、社内、連結子会社のほか国内の主要仕入先に対して人権リスク調査とそのフィードバックを実施しており、人権リスクの調査を行っております。
また、2024年度には国内全従業員に対し「おたがいを尊重しよう月間」と題して、全ての職場で「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」について対話する研修を実施いたしました。これはアンコンシャス・バイアスが「重点取組み課題」に挙げられた人権リスクである「差別」「ハラスメント」に繋がりかねないことを理解し、日常業務の中で人権について配慮した判断や行動ができる企業風土の醸成を狙ったものであります。
(b) ガバナンス
当社の人権の尊重に関する取組みについては、「サステナビリティ委員会」にて報告・審議をしており、取組み状況の進捗については経営管理本部及び調達本部の本部長に適宜報告をしております。
(c) リスク管理
あらゆる人権リスクにおいて、対応が不十分な場合にはレピュテーションリスクや調達取引への負の影響、各国の法務リスクや人財の確保・定着へ悪影響が生じることを認識しております。またグローバルに事業を展開する当社においては、地域や業種によって異なる人権リスクが存在することも把握しております。そのため、人権方針に基づき人権デュー・デリジェンスを適切に実施し、人権リスクの把握、予防、是正に努めております。
人権取組みの全体図
(d) 指標と目標
当社は、人権デュー・デリジェンス等により人権侵害の発見と予防に取り組んでおり、当社事業活動に関連する重大な人権侵害の発生を指標として、これを発生させないことを目標としております。
(4) ガバナンス
当社は、非財務資本を適切に増進し、ステークホルダーの抱える社会課題の解決に貢献するサステナブル経営にあたって経営戦略に基づく事業プロセスが正常に機能し、不正を起こさないことが大前提と考えて「ステークホルダーに誠実な企業文化」をマテリアリティとしております。この観点から、経営基盤としてリスク管理とコンプライアンス(法令及び社内規程等の事業活動に関わるルールの遵守)を重視しております。
また、複雑化する社会において適切に自社の状況を把握し、効率的に経営にフィードバックするとともに業務の改善につなげるためには事業のデジタル化が不可欠と考えております。デジタル化に伴い今後さらにリスクとして注視が必要になる情報セキュリティについても重視しており、「デジタル化と情報セキュリティ」をマテリアリティに掲げております。
① コンプライアンス
当社は、コンプライアンスが企業価値を支える前提・基礎であり、「JTEKT Group 2030 Vision」を実現するために不可欠なものであると位置づけ、「ステークホルダーに誠実な企業文化」というマテリアリティに基づく重要なテーマに位置付けております。
(a) 戦略
当社では、「JTEKTグローバル・コンダクト・ガイドライン」を役職員の行動指針として、継続的なコンプライアンス・プログラムを実施しております。このコンプライアンス・プログラムにおいては、毎年の実施計画に基づき、全ての役職員に対し、時々の事例をもとにしたコンプライアンス教育、啓発活動を行うとともに、各階層及び役割に応じた教育を実施しております。また、社内各部署及び国内外のグループ会社におけるコンプライアンスの体制整備、運用、各施策の実施等の状況を定期的にモニタリングしております。さらに、社内各部署の従業員に対し、継続的に品質不正やハラスメント等のコンプライアンス違反に関するアンケートを実施し、一つ一つの声に対し丁寧に対応することで、早期対策と未然防止に努めております。
当社は、これらの成果をもとに次年度の実施計画を立案するというプロセスを繰り返すことで、コンプライアンス違反のない事業活動を目指しております。
(b) リスク管理
当社の多岐にわたる事業活動においては各種法令による規制を受けるほか、社会の一員として要求される社会規範のレベルは高いものであり、これらに違反する事態の発生は大きなリスクであると理解しております。その中でも、主力製品の性質及び多くの国と地域に顧客をはじめとするステークホルダーを有することに鑑み、公正な取引慣行の遵守が強く求められているとの考えから、当社は、カルテル行為と腐敗行為(贈収賄や横領等)の防止及び下請取引を含む取引適正化に特に重点を置いております。
当社は、これらリスクの顕在化を未然に防止し、早期に発見するため、前述のコンプライアンス・プログラムの実施に加え、当社グループの誰もが利用できるグローバル内部通報制度を整えるとともに、社外ステークホルダーからの苦情等を受け付ける各種窓口を設置することで、日々リスク管理に努めております。
(c) ガバナンス
以上のコンプライアンスに関する取組みの状況及び課題については、内部監査部門及び監査役による監査を受けるとともに、取締役をはじめとする経営層が出席する経営会議において報告され、確認を受けております。
(d) 指標と目標
当社は、継続的な施策の実施によって違反行為の発生リスクを低減し、独自に設定する重要法令違反(カルテル行為、腐敗行為等を含む当社が独自に設定する事項)を発生させないことを目標としております。
② 情報セキュリティ
当社は、会社情報、お客様情報の取扱いに対し、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しております。また、グループ製品には、モビリティの運転支援機能や各種サービスに貢献する様々な情報技術システムが利用されております。今後、当社の長期的な成長には経営と事業のデジタル化が不可欠であるとの認識のもと、その裏返しともいえる、これらの情報技術ネットワークやシステムに対するサイバー攻撃に対処し、当社やお客様、バリューチェーンの安全と事業継続を確保するため、情報セキュリティを重視しております。
(a) 戦略
当社は、情報セキュリティの継続的な対策強化に取り組むとともに、安心安全なITデジタル基盤の醸成を目指し、「ジェイテクトグループ 情報セキュリティに関する方針(ポリシー)」を策定しております。当該方針に基づき、グループを含めたセキュリティガバナンスの強化、グローバル標準への対応、セキュリティ人財育成により、情報セキュリティ体制の維持・構築とセキュリティレベルの向上を推進しております。
(b) ガバナンス
当社は、CISO(最高情報セキュリティ責任者)を任命し、IT・デジタル本部内に情報セキュリティ推進部を設置しております。このCISOと情報セキュリティ推進部が中心となり、経営管理本部や各事業本部、生産技術本部等の社内機能と連携して様々な情報技術システムの利用や、製品に搭載される情報技術システムに対する安全性確認、及びその脅威に対する情報収集・展開をグループ全体で実施し、早期検知及び対応できる体制の構築に努めております。
(c) リスク管理
企業に対するサイバー攻撃による情報リスクへの脅威は増加しており、いくら安全対策が施されていても、情報システムの障害発生や機密情報が外部流出するリスクは排除できません。さらには、バリューチェーンを含めた事業活動が一時的に中断するリスクも存在いたします。このような事態となった場合には、グループの事業活動の停滞や社会的信用低下により、グループの財務状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、情報技術ネットワークやシステム利用においては、必要な防御策を施した上で、攻撃による侵入や不正通信を監視し、万が一の場合に対応できる体制を整備するとともに、最新の脅威に柔軟に対応するため、脅威インテリジェンスの導入や業界組織及び官民連携組織からの情報入手に努めております。また、当社製品の開発においてもサイバー攻撃等のリスクを考慮した設計、開発を行なっており、脆弱性等のリスクが発見された場合に対応できる体制も整備しております。
なお、バリューチェーンも含めたリスクに対しては、2022年より仕入先との対話を通じた対策強化の取組みを継続して実施しております。
(d) 指標と目標
事業継続・生産計画への影響、損害額、社会に対するインパクト等を勘案した独自の基準に基づく「重要インシデント」を指標として設定し、これを発生させないことを目標としております。
(5) サステナビリティに関する指標と目標