2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,713名(単体) 83,886名(連結)
  • 平均年齢
    45.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.5年(単体)
  • 平均年収
    7,266,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

プレシジョンテクノロジーズ事業

16,487

(333)

モーター・ライティング&センシング事業

32,085

(735)

セミコンダクタ&エレクトロニクス事業

19,572

(15,210)

アクセスソリューションズ事業

14,152

(3,165)

その他

553

(64)

全社(共通)

1,037

(136)

合計

83,886

(19,643)

(注)1.従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員等を含む。)は、年間の平均人数を( )外数で記載しております。

2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

(2024年3月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

4,713

45.4

16.5

7,266

 

セグメントの名称

従業員数(名)

プレシジョンテクノロジーズ事業

1,108

モーター・ライティング&センシング事業

1,971

セミコンダクタ&エレクトロニクス事業

600

アクセスソリューションズ事業

48

その他

215

全社(共通)

771

合計

4,713

(注)1.従業員数は、就業人員数であります。

      2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

      3.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

 当社の労働組合は事業所単位で組織されており、海外の連結子会社においてはシンガポール及び中国の会社で労働組合が組織されております。また、米国及び欧州においては、一部の会社で労働組合が組織されておりますが、いずれの地域においても労使関係は相互信頼を基調として極めて安定しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

    (注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

    (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち

正規雇用労働者

うちパート・

有期労働者

3.2

53.0

78.8

80.4

114.7

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当連結会計年度

名 称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

   (注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

   (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

 ミツミ電機

株式会社

0.7

39.4

71.1

74.2

63.0

株式会社ユーシン

3.0

56.0

69.4

91.5

83.6

 エイブリック

株式会社

4.7

33.3

87.2

87.5

89.6

ミネベアコネクト

株式会社

5.9

0.0

71.7

74.4

60.9

ミネベア アクセスソリューションズ

株式会社

3.0

26.5

80.1

81.4

93.7

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)考え方、体制

 当社グループでは、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」を経営理念としております。これは、「経営の本質はサステナビリティ(持続可能性)」であるという信念のもと、将来に向けたさらなる当社の成長と地球・社会の持続可能な発展の両立を目指し、経営理念に「持続可能性」の観点を加えた表現の見直しを実施したものであります。

 経営戦略においては、「Eco/Efficiency」を重視する「QCDESSTM」戦略を当社100周年に向けた基礎固めとして新たに掲げております。さらに、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など社会の変化に素早く対応するため、「Carbon Neutral Steering Committee」、「Global Information Security Steering Committee」などの委員会を設置しております。

 また、経営の重要課題である「マテリアリティ」として「地球環境課題解決への貢献」「社会を支える高品質な精密部品の創出」「従業員の力を最大化」を特定しております。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みについては、当社ウェブサイトもご参照ください。

  https://www.minebeamitsumi.com/csr/

 

(2)ガバナンス

 当社グループは、「ミネベアミツミグループのCSR基本方針」及び「ミネベアミツミグループのCSR実践に向けた活動方針」を基にCSR活動を推進するために、代表取締役 会長 CEOを最高責任者に、CSR担当役員を最高責任者補佐とするCSR推進体制を構築しております。

 当社グループが持続可能な社会の発展に貢献すること、監視業務と執行業務を分離しガバナンス体制を強化することを目的に、2019年4月よりサステナビリティ推進部門を設置しております。同部門は合計7部署で構成しており、うち3部署が社内専門委員会の事務局を担っております。コンプライアンス推進室はコンプライアンス委員会の事務局を担当しており、行動規範を含むコンプライアンスの推進を組織しております。グループ環境管理室は環境マネジメント委員会の事務局を担当しており、気候変動関連のリスクと機会への対応を行っております。セキュリティ推進室は情報セキュリティ委員会の事務局を担当し、情報セキュリティ体制の適切検証等を担っております。その他、内部統制推進室、貿易法令遵守管理室、安全保障貿易管理室及びCSR推進室があり、CSR体制のさらなる強化と社内推進活動の発展などを促進する事務局をCSR推進室が担当しております。各担当部署より、各部署・委員会の活動状況等を定期的に又は臨機に応じ取締役会に報告し、監督が適切に図られる体制を整えております。

 体制図は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、リスクが顕在化した場合、その対応によっては企業経営の根幹に影響を及ぼす恐れがあるとして、リスク管理は極めて重要な施策であると考えております。

 リスク管理体制や、事前の予防対策、緊急事態発生時の対応などについて定めた「ミネベアミツミグループリスク管理基本規程」を制定し、想定されるさまざまなリスクに備えております。

 当社グループでは、代表取締役 会長 CEOをリスク管理の最高責任者とし、「リスク管理委員会」にてリスク管理における重要な意思決定を行っております。予防的な取り組みとして、事前に具体的なリスクを想定、分類し、継続的に監視しております。

 万が一リスク事案が発生した場合には、「ミネベアミツミグループリスク管理基本規程」に定めた緊急事態の対応区分に応じて緊急対策本部や現地対策本部を設置し、事態への迅速かつ的確な対応を行います。

 また、リスク事案の内容により、当該事案の担当部署として主管部が任命され、リスク予防対策の立案や実施を行う体制を整えております。

 詳細につきましては、「(6)気候変動」及び「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)戦略

 当社グループは、企業成長と持続可能性の具体的方針である経営基本方針に基づき、「経営の本質はサステナビリティ」を信念とし、継続的な成長と持続可能性を追求し、利益の最大化とリスクマネジメントに努めております。

 当社グループでは、2019年にCSR視点で社会的責任を果たすことに重点をおいたマテリアリティ(重要課題)を特定し、近年の環境問題の関心への高まりなど外部環境の変化により、これまでCSRの視点からまとめられていたマテリアリティを、2021年に全社視点で戦略を遂行するための「経営課題」として見直しました。

 

〔重要テーマ・マテリアリティ〕

① 地球環境課題解決への貢献

② 社会を支える高品質な精密部品の創出

③ 従業員の力を最大化

 

 

① 地球環境課題解決の貢献

 当社グループ最大の強みである超精密機械加工技術と相合(そうごう)を活かした「環境貢献型製品による世界の温室効果ガス排出量削減」であり、「事業活動による環境負荷の最小化」と両立させながら取り組みます。

② 社会を支える高品質な精密部品の創出

 環境貢献に資する「社会を支える高品質な精密部品の創出」のために、「超精密部品の大量・安定供給体制の強化」と「責任ある調達の推進」に取り組むとともに、製造を中心とした事業の拠点においては雇用創出、地域住民との協働など「地域社会との共生」に取り組みます。

③ 従業員の力を最大化

 これら価値創造の源泉は当社グループの人材であり、「従業員の力を最大化」を目指して「グローバル規模の人材育成」と「グローバル規模のダイバーシティの推進」をはかるとともに、従業員が「働きやすい職場づくり」と「従業員の安全と健康」を推進します。

 

(5)指標と目標

 当社グループは、「経営の本質はサステナビリティ(持続可能性)」であるという信念のもと、将来に向けさらなる持続可能な発展を目指しております。マテリアリティに掲げた「地球環境課題解決への貢献」として、製品によるCO2排出削減貢献量や自社の温室効果ガス排出量削減等の環境目標を明確化するとともに、「社会を支える高品質な精密部品の創出」のため、大量生産・安定供給体制及び安心・安全な管理体制の構築や、環境・人権問題に配慮した調達の推進、地域社会への共生により力を入れてまいります。これらの取り組みを通して経営目標や環境目標をはじめとする各種目標を達成し、当社グループの成長と地球・社会の持続可能な発展の両立に貢献してまいります。

・経営目標:

2029年3月期 売上高2.5兆円、営業利益2,500億円

・環境目標:

当社グループ製品によるCO2排出削減貢献量 (2031年3月期)400万t-CO2

ミネベアミツミグリーンプロダクツ売上比率 (2029年3月期)90%以上

自社の温室効果ガス排出量 (2031年3月期)総量:約55万t-CO2

 マテリアリティに掲げた目標は、当社ウェブサイト「マテリアリティ目標と実績」をご参照ください。

  https://www.minebeamitsumi.com/csr/priority/materiality/2022/1203987_17475.html

 気候変動に関する指標は「(6)気候変動」、人的資本に関する指標は「(7)人的資本」をご参照ください。

 

 

(6)気候変動

 2021年、当社グループは設立70周年を機に、今後の方向性を見据えて、経営理念を見直しました。カーボンニュートラルに対応していくことは人類の使命であり、当社グループにとっても非常に重要なテーマであります。こうした戦略の方向性を踏まえ、「QCDS(品質・価格・納期・サービス)」を掲げていた経営戦略に、「Eco(環境)・Efficiency(効率)」などを加え、「QCDESSTM」といたしました。

 パリ協定が求める水準に整合した温室効果ガスの排出削減目標「SBT (Science Based Targets)」(※)を認定する機関SBTiへ昨年コミットメントレターを提出しました。それに伴い、当社グループの温室効果ガス削減について、2031年3月期に、2023年3月期比で42%削減するという目標を立てており、まずこの目標を達成した上で、遅くとも2050年にはカーボンニュートラルを達成するよう取り組みを進めてまいります。

 また、当社グループ製品の省エネ性能を上げることで、それを使用する顧客やその先の顧客の商品の消費電力の削減についても取り組んでおります(MMIビヨンドゼロ)。

 電動車、太陽光発電、グリーンデータセンターなどの気候変動対策に貢献する製品・設備等への部品供給、省エネ・省資源・長寿命な製品開発を重要事業戦略として推進いたします。

 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言で開示が推奨されている4つの柱について、当社グループの取り組み概要は以下のとおりであります。

(※)SBT認定:2015年にWWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによりSBTi(Science Based Targetsイニシアティブ)という共同イニシアティブが設立されました。SBTiは企業に対して科学的知見と整合した温室効果ガス排出削減目標(SBT: Science-based targets)を設定することを支援し、適合していると認められる企業に対しては、SBT認定を与えています。

 

 

① ガバナンス

 当社グループでは、「気候変動関連リスク管理規程」に基づき、気候変動に関するリスクと機会に関する社内管理体制とPDCAサイクルによるリスクと機会の管理プロセスを決定しております。

 気候変動関連のリスクと機会の管理の最高責任者は代表取締役会長 CEOであり、リスク全般に対応するリスク管理委員会と、気候変動関連のリスクと機会を含む環境マネジメントを担当する環境マネジメント委員会を活用して、気候変動関連のリスクと機会の管理を行い、対応状況、目標に関する進捗状況を評価、監督いたします。なお、Carbon Neutral Steering Committeeは、代表取締役会長 CEO直属の委員会としてカーボンニュートラルへの取組方針や基本施策の社内調整や提言を行います。

 代表取締役会長 CEOは、上席執行役員会議において気候変動に関連するガバナンスの有効性を評価し、取締役会は、代表取締役会長 CEOを含む業務執行責任者が気候変動関連のリスクと機会に対して適切な対応を行っていることを監視、監督いたします。

 サステナビリティ担当役員は、サステナビリティ課題の一つとして気候変動関連課題への対応状況を取り扱います。

 

② 戦略

(ⅰ)リスクと機会の抽出

 リスクと機会を以下の分類に従い抽出いたします。

 

 気候変動に関連するリスクと機会の特定を行うにあたっては、以下の短期的・中期的・長期的観点に立って検討いたします。

 

 

(ⅱ)リスクと機会の評価方法

 抽出したリスクと機会を以下の評価方法で定量化いたします。

・影響度:「量的影響」と「質的影響」について、合計を算出(1~30点)

・発生度:「可能性が非常に高い」~「可能性が低い」の範囲を4段階で判断(5~30点)

 

 

 このような定量化を行って、リスクと機会の分布状況を確認いたします。強度が高いところから1から5までのランク付けを行い、3までの枠内を当社グループのリスクと機会として特定いたします。

 

(ⅲ)対応計画の策定、対応実績のとりまとめ

 当社グループは、2024年3月期のリスクと機会への対応計画を策定し、その対応実績を取りまとめました。

事項

リスク

機会

2024年3月期 対応計画

2024年3月期 対応実績

水リスク

対応

洪水、台風、高潮、干ばつ等による工場の操業停止

レジリエンスを高めることによる顧客からの信頼の確保

リスクマップにより抽出されたリスクの高い拠点を最優先に、リスクへの物理的な対応・BCPや防災マニュアルの策定等の対応策を検討し、実施する。

・経営統合した個社のうち、リスクが高いと判断した国内外の拠点に状況を確認し、対応策について検討開始

輸送を含めた生産性・資源エネルギー効率の向上

原材料や電力料金の高騰、炭素税等による収益の悪化

省資源、省エネ、低炭素な生産活動による収益の向上

<生産効率向上>

・製造工程の自動化・生産性改善

・高効率・省エネ設備の導入

・スクラップ削減・再資源化など

<輸送効率向上>

・パレット2段積みによる梱包効率向上

・生産拠点の再編・効率化

・航空便から船便へのモーダルシフト

・多くの事業部において、自動化や工程見直しによる電気使用量削減やスクラップ削減を実施

・梱包形態改善によるコンテナ積載効率改善、使用梱包材削減

・輸送先に近い工場への生産移管

製品性能の向上、新製品の提供

省エネ性能、LCA、カーボンフットプリント等の新指標による市場淘汰

省資源、省エネ、低炭素な製品提供による市場の獲得

<製品性能の向上>

・省エネ、長寿命な各種デバイスの開発

<市場開拓>

・EV/HEV向け各種部品、車載電池

・太陽光発電やデータセンター向けファンモーター

・LED照明

・クリーンブースト(無電源)製品

・高輝度、分割点灯、配光制御など高効率化技術を先行投入

 →直下型バックライト開発

 消費電力63%から58%へ削減

・高効率電源の生産開始

・低消費電力製品の受注拡大

顧客・国からの要求への対応

再エネ導入、カーボンフットプリント削減等の顧客要求の不履行によるビジネス喪失

脱炭素に向けた顧客要求の誠実な履行による受注の確保

・SBT認証取得を目指す

・自家用太陽光発電や自己託送の導入による再エネ導入率の向上

・カーボンニュートラルへのロードマップの作成

要求への対応策の調査、検討を推進中

・SBTへコミットメントレターを提出

・自家用太陽光発電の導入や自己託送、オフサイトPPAによる再エネ導入を推進中

・期毎に継続してロードマップを更新

PFC、SF6の排出抑制

温室効果の強いPFC、SF6の規制導入に伴いガス代替化、除害設備導入による、投資額増大

PFC、SF6使用量削減への積極的な対応により、顧客からの信頼確保

・半導体生産設備の増強等に伴う除害施設の設置、更新

・マグネシウム鋳造成形時のSF6ガスの供給量削減

・新規除害設備の導入

・除害設備の安定稼働、性能維持(設備更新)

・SF6供給時間短縮のための、生産工程の見直し実施

 

 また、2024年3月期に特定したリスクと機会について、シナリオ分析を行い、気候変動による当社財務への影響を推計いたしました。

 

 

(注)4℃シナリオ :産業革命前からの平均気温上昇が4℃上昇するシナリオ

1.5℃シナリオ:産業革命前からの平均気温上昇が1.5℃に抑えられているシナリオ

 

 

 シナリオ分析の結果によると、気候変動に伴う激甚な気象災害が水害リスクとして当社の財務に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されております。当社は、2011年にタイの中部で発生した洪水により、当時タイに所有していた5工場のうち2工場が操業停止した経験を有しており、それ以来、水害リスクに対して、BCPの策定、防水堤や工場敷地のかさ上げ等の物理的対策を講じております。現在では、水害リスクのある工場では、リスクの程度に応じた適切な対策が講じられていると評価しておりますが、引き続き、水害リスクが具体化しないよう、対策状況のフォローアップ、改善向上に努めてまいります。

 このシナリオ分析結果を踏まえ、2025年3月期のリスクと機会への対応計画を策定いたしました。

事項

リスク

機会

2025年3月期対応計画

水リスク

対応

洪水、台風、高潮、干ばつ等による工場の操業停止

レジリエンスを高めることによる顧客からの信頼の確保

・共通の帳票でのリスク管理を検討

・リスクサーベイの継続実施

・好対策事例のヨコテン、対策レベル平準化

輸送を含めた生産性・資源エネルギー効率の向上

原材料や電力料金の高騰、炭素税等による収益の悪化

省資源、省エネ、低炭素な生産活動による収益の向上

・スクラップの削減

・生産地の見直しによる輸送短縮化

・航空便から、船便への変更

・パレット2段積みによる積載量増

・自動機導入による生産効率向上

製品性能の向上、新製品の提供

省エネ性能、LCA、カーボンフットプリント等の新指標による市場淘汰

省資源、省エネ、低炭素な製品提供による市場の獲得

・省電力、高効率製品の開発

・小型、軽量化による原材料の削減

・リサイクル樹脂材の使用

・新市場開拓:HEV/EV向け、自動運転技術、データセンター、スマートシティ、ヘルス・介護、電動自転車、住宅分野、空調等

顧客・国からの要求への対応

再エネ導入、カーボンフットプリント削減等の顧客要求の不履行によるビジネス喪失

脱炭素に向けた顧客要求の誠実な履行による受注の確保

・太陽光設備の導入

・再エネの調達(自己託送、PPA等)

・再生材の使用

・第三者格付け調査への回答対応

PFC、SF6の排出抑制

温室効果の強いPFC、SF6の規制導入に伴いガス代替化、除害設備導入による、投資額増大

PFC、SF6使用量削減への積極的な対応により、顧客からの信頼確保

・除害設備の新規導入、安定稼働

・SF6使用設備の計画停止(ガス供給停止)

 

③ リスク管理

 当社グループにおける気候変動関連のリスクと機会の管理プロセスは下図のとおりであり、このPDCAサイクルを毎年度全社的に実施いたします。

 

 リスク評価の際には、当社グループの直接操業だけでなく、原材料調達や物流、顧客やエンドユーザーなどバリューチェーンの上流や下流を考慮に入れて評価いたします。

 管理プロセスの過程で、各部門責任者からなる環境マネジメント委員会において審議を行い、その審議結果を上席執行役員会議、取締役会がチェックいたします。具体的には、日常的な情報収集活動(監視体制)を通じ、可能な限りリスクを事前に予知し、危機発生時の被害の大きさを想定(被害想定)し、その発生を未然に防止(防止策・軽減策)するとともに、万が一、危機が発生した場合には、損失を最小限にくい止めるため、リスク管理委員会が主導する緊急事態対応に移行いたします。

 

④ 指標と目標

(ⅰ)目標

・温室効果ガス排出量(Scope1、2)(注1)

-中期目標 2020年3月期比、2026年3月期までに売上高原単位で10%削減

-長期目標 2023年3月期比、2031年3月期までに42%削減

-最終目標 遅くとも2050年までに実質ゼロを達成

・温室効果ガス排出量(Scope3)

2023年3月期比、2031年3月期までに25%削減

・当社グループ製品によるCO2排出削減貢献量

-2023年3月期比、2031年3月期までに50%増、約400万t-CO2

(ⅱ)指標(2024年3月期実績)

・Scope1、2の温室効果ガス排出量 89万t-CO2(対前年1%増)

・Scope1、2の温室効果ガス排出量の売上高原単位 0.64t-CO2/百万円(対前年7%減)

・電力使用由来温室効果ガス排出量 79万t-CO2(対前年2%増)

全電力消費量 1,626GWh(対前年5%増)、再エネ電力導入量 49GWh(対前年233%増)

・燃料消費起因温室効果ガス排出量 3.9万t-CO2(対前年18%増)

・PFC及びSF6等排出量(CO2換算) 6.0万t-CO2(対前年21%減)

・当社グループ製品によるCO2排出削減貢献量 209万t-CO2(対前年22%減)

(注1)Scope1、2:事業活動に伴う温室効果ガスの直接排出量、使用した熱・エネルギーの製造段階における温室効果ガスの間接排出量

(注2)Scope1、2の温室効果ガス排出量の2024年3月期の実績は、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社の限定的保証業務による第三者保証を受け、確定後に当社ウェブサイトに掲載する予定であります。

 

(7)人的資本

(当社の人的資本に対する考え方)

 創業以来培ってきた製造ノウハウ並びにM&Aなどで増強してきた技術力や営業力などが、当社の人的資本の強みであります。このような人的資本(能力)に対して、①計画的に効果的な投資を行うことで社員を育成し(能力を高める)、②あらゆる世代の多様性のある社員が思う存分にその能力を発揮できる環境を整備する(能力の発揮度を高める)ことが、当社の価値創造に繋がるキーファクターとの考えに基づき、効果的な人事施策を実行しております。

 

(経営戦略と連動した人材戦略)

 当社の「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念のもとで明確に定義された8本槍戦略と社会的課題解決に向けた戦略を実現するためには、あらゆる世代の人材を持続的に惹きつけ、当社の経営戦略に強くコミットする社員を増やしていく必要があります。経営戦略の実現のための人材集団へ変革するための人材戦略について、以下に記載のとおり、実行してまいります。

 

① 従業員エンゲージメント

 当社の持続的成長と従業員エンゲージメントの維持、向上の好循環を実現するため、2023年度に従業員エンゲージメントサーベイを実施しております。これにより、当社の人材、組織課題に関する現状を把握し、その分析結果に基づき、実効性のある改善計画を策定、実行しております。

 2024年度より従業員エンゲージメントの向上を経営の重要課題として位置付け、「会社全体」、「各事業部(職場)」、「それを支援する事業本部」の3層の取り組みにより改善活動を強力に進めております。

 具体的には、会社全体の取り組みとして、社長が各拠点を訪問し、社員と直接対話をするタウンホール・ミーティングを、年度を通じて計画的に実施し、経営からのメッセージを継続的に発信してまいります。また、社員が自走する強い組織づくりのための「対話型マネジメント研修」について、管理職層(部長、次長)を対象に開始しております。これらの取り組みと連動する形で、各事業部(職場)で、それぞれの職場の現状分析を踏まえた改善取り組みを、事業本部のサポートを得ながら、推進しております。

 

② 新たな企業文化の醸成(情熱に突き動かされる挑戦、「相合」活動の促進)

 当社の基本戦略は、多様な技術や製品の「相合」でDifference(差別化)を追求することであります。そのドライバーとなるのは、8つのコアビジネス、10のコアテクノロジー、そして9万人の社員の「情熱」に突き動かされる挑戦であります。

 2019年度より、社員の「情熱」に基づくボトムアップによるチーム活動の浸透と、ベストプラクティスのグループ内横展開の促進により、「相合」活動の基盤となるチームビルディング活動を国内外で推進しております。また、2023年3月より稼働した東京クロステックガーデンという場を活用して、「事業」、「技術」、「人」の相合をさらに加速させるために、X(クロス)チーム活動によるコミュニケーション促進活動に取り組んでおります。

 当社では、違いを積極的に受け入れることで新たな価値を創造する企業文化が「相合」活動の土台となると考え、DEI(Diversity, Equity and Inclusion)を推進しております。人材においては対等の精神を掲げ、優秀な人材を出身会社問わず登用し、同時に女性活躍推進の取り組みを推進しております。また、国籍の多様性については、海外グループ会社のマネジメントから選抜したグループ執行役員制度を採り入れるなど、外国籍の役員が活躍する土壌が確立されております。

 今後は、「情熱に基づく挑戦」「違いを積極的に受け入れること」「現地現物」などの社員全員に持ち続けてもらいたいミネベアミツミらしい人材の強さや価値観を、目指す人材像として定義し、採用、配置、育成、評価、処遇の各種人事施策と連動させることにより、経営戦略を実現するための企業文化を醸成してまいります。

 

③ 計画的な人材投資、育成

 当社のさらなる成長には、人的資本を最大化するための計画的な投資、育成が重要であると考えております。当社では、(i)コア人材(将来のグループ経営を担う候補人材)の発掘、育成、強化、(ii)製造、営業、技術のプロフェッショナル育成の2つの領域を中心に人材投資、育成に取り組んでおります。

 

 

(ⅰ)コア人材(将来のグループ経営を担う候補人材)の発掘、育成、強化

 グループの重要ポストである本部長及び事業部長の後継候補者(Next Leader 及び Future Leader)、並びにポテンシャルのある若手人材(Hi-potential Leader)の3つのコア人材プールを整備し、これらのコア人材に対して各区分の人材要件を満たすための効果的な育成(配置や研修)を実施しております。目的は、これらの重要ポストに座る人材を計画的に強くすることにより、グループの持続可能性を高めることであります。

 各人材プールの要件から、育成に効果的と思われる3つの選抜型研修(NLP:Next Leaders Program, FLP:Future Leaders Program, HLP:Hi-potential Leaders Program)を2024年度より開始しました。目指すリーダー像として、「大局を見据え、豊かな構想力と執行力を持って事業を強化、進化させるリーダー」を掲げ、当該研修では、①必要な覚悟、視座、スキル、知識の習得、②グローバル・リーダーとしての大局観、構想力、執行力の習得、③トップタレント同士の交流(「相合」活動)、④自分の情熱(MYパッション)の源の再発見を目的としております。また、コア人材の育成に関しては、研修機会の提供だけではなく、一定期間経営陣のシャドウイングをおこない、最前線の経験をさせることで経営トップとしての判断力を磨いております。同時に、強力なリーダーシップで事業群を進化させるトップマネジメント人材を社外から積極的に採用することも実施しております。

 

(ii)製造、営業、技術のプロフェッショナル育成

 当社の強みである、創業以来培ってきた製造ノウハウ並びにM&Aなどで増強してきた技術力や営業力をさらに強化すべく、ノウハウを継承するしくみの盤石化に引き続き取り組んでおります。

 昨年度より、人材開発部と各事業本部のジョイントプロジェクトである「サムライ」プロジェクトを開始しました。製造、営業、技術のそれぞれの分野における経験が豊富なマネージャー(主に海外工場経験者)からなるプロジェクトチームを組成し、現場の実情を深く理解するメンバーが、より実効性のあるマネージャー育成のための研修プログラムの企画、開発、運営や海外工場での現場指導に取り組んでおります。

 

(指標と目標)

 当社グループのマテリアリティの重要テーマにも掲げている「従業員の力を最大化」を目指して設定しているダイバーシティの推進や働きやすい職場づくりのための中期目標並びに2023年度実績は以下のとおりであります。

非財務指標「従業員」

2025年度目標

2023年度実績

女性管理職比率 (注)1

3.5%

3.2%

正社員採用に占める女性比率 (注)2

18.5%

16.0%

男性育児休業取得率 (注)1

100.0%

53.0%

(注)1.提出会社の従業員数を基礎として算出しております。

2.提出会社及び国内関係会社の従業員数を基礎として算出しております。