リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループの組織に関するリスク
①特定人物への依存について
当社の代表取締役社長花矢卓司及び取締役副社長である福村寛敏は、経営ビジョン・方針の提示やそれに基づいた事業戦略の策定、業界内における幅広い人脈を利用した配送キャリアとの関係構築等、当社グループの事業活動上重要な役割を果たしております。
当社グループでは事業拡大に応じて、特定の役員に依存しない組織的な経営体制の構築を進めておりますが、現時点で何らかの事情でこれらの者の業務継続が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②小規模組織であることについて
当社グループの組織体制は、小規模であり、業務執行体制もそれに応じたものになっております。当社グループは、今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制の充実を図っていく方針ですが、人材の確保や能力開発が計画通りに進まない等の場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、今後の事業拡大に対応するためには、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業戦略上のリスク
①国内景気と消費動向について
当社グループは幅広い業種の多くの顧客と取引を行っており、特定の顧客に偏らない事業活動を展開しています。しかしながら、主に日本国内を市場としていることから、日本国内の景気変動により受注量の減少や受注単価の低下などにより当社グループの業績等に影響が生じる可能性があります。
②顧客のプロモーション手法の変化について
当社グループのダイレクトメール事業及びインターネット事業は、いずれも顧客のプロモーションに関するサービスが主な事業の内容となっています。このため、将来において顧客のプロモーション手法が変化し、当社グループが変化に適切に対応できない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③新規事業の収益性について
当社グループは、顧客ニーズに則したサービスの提供を行うためには、新規に事業を立ち上げることも検討してまいります。新たに手掛けた事業を早期に一定の事業規模にまで成長させ、市場における地位を確立するため、事業を推進する手段として必要が認められる場合には、システム開発への投資や第三者が運営するサイト及び企業のM&A、資本業務提携の取り組みなどを行う可能性があります。M&Aを行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について綿密なデューディリジェンスを行うことにより、極力リスクを回避するように努力しています。しかしながら、偶発債務、未認識債務等の発生、事業環境の変化等により、計画通りに事業を展開することができず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。今後も、当社グループは事業の拡大に積極的に取り組んで参りますが、システム投資や買収に伴う資金負担、広告宣伝費等の支出が発生し、収益性が向上しない可能性や、事業を推進する過程において予測とは異なる事態が生じ、投資回収が困難になる可能性があります。このように事業展開が計画通りに進まない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④システム障害について
当社グループは顧客へのサービスの提供及び社内管理においてコンピューターシステムを利用しているため、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合、開発運用ミス、電力提供の停止等の予測不可能な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループのコンピューターシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう取り組んでおりますが、コンピューターウィルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤大規模災害等の及ぼす影響について
当社グループの本社及びメールセンターがある首都圏において大規模地震などが発生し、本社機能及びメールセンター機能が麻痺した場合、当社グループの事業の継続が困難な状態に陥る可能性があります。また、自然災害以外の理由によっても、大規模停電や断水などの社会インフラの停止が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥人材の確保及び育成について
今後、当社グループが事業をさらに拡大し、成長を続けていくためには優秀な人材の確保が重要課題となっております。こうした人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは重要な人材が社外に流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因となる可能性があり、これらの場合当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦特定仕入先に対する依存について
当社グループのダイレクトメール事業においては、配送費の売上原価に占める割合が高く、当該配送費の大半がヤマト運輸株式会社及び日本郵便株式会社との取引により発生しています。このため、ヤマト運輸株式会社及び日本郵便株式会社との間に大幅な値上げ要請が生じた場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ヤマト運輸株式会社及び日本郵便株式会社との間に取引関係の縮小、取引関係の解除等の状況が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
⑧郵便制度変更による影響について
当社グループのダイレクトメール事業における業務は、郵便制度と密接な係わりを持っており、これまでも郵便制度が変更された場合には、それに対応したタイムリーな営業施策により、当社グループの業績にプラスとなるように努めてまいりましたが、制度変更の内容次第では当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨インターネット広告市場の動向及び競争環境について
当社グループが事業を展開するインターネット広告業界は、市場規模が短期間で急速に拡大いたしました。しかしながら、インターネット広告に限らず広告事業は一般的に景気動向の影響を受けやすい傾向があります。今後景気が悪化し、市場規模が想定したほど拡大しなければ、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、依然として激しい競争環境の中で、当社グループは競合優位性を確立し競争力を高めるべく様々な施策を講じております。しかしながら、必ずしもこのような施策が奏功し競合優位性の確立につながるとは限らず、その場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑩インターネット事業の技術革新について
インターネット事業においては、新たな技術やサービスの開発が活発に行われており、常に競合他社よりも有益な価値を提供する必要があります。当社グループでは顧客のニーズに対応するため、常に新たな技術及びサービス等にかかるノウハウの導入を図り、蓄積したノウハウの活用と合わせてサービス機能の強化及び拡充を進めております。しかしながら、技術革新や他社による新たな高付加価値サービスの提供等の理由により、当社グループが保有するサービス及びノウハウ等が陳腐化した場合や、変化に対する対応が困難になった場合、当社グループのサービスの顧客に対する訴求力の低下により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪検索エンジンの評価指標への対応について
当社グループのインターネット事業において提供するSEO及びバーティカルメディアサービスは、顧客または当社グループが運営するWebサイトが検索エンジンにおいて適切な順位にあることが、当該サービスに係る収益発生の重要な要素となっております。検索エンジンのアルゴリズムにおける表示順位の判定要素は定期的に更新が行われ、かつその判定要素は対外的に公開されていないため、更新への対応が適切でなかった場合、あるいは競合他社の技術力が向上し当社グループの優位性が低下した場合には、顧客または当社グループが運営するWebサイトの表示順位が当社グループの予期する水準まで上昇しない状況が発生します。このような状況が発生した場合には、追加的なSEO施策費用等の発生や当社グループが運営するWebサイトへの集客数が減少することで、当社グループの期待する利益が確保できなくなるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫検索エンジンの寡占状態について
当社グループのSEOは、主に「Yahoo!JAPAN」または「Google」における検索結果の上位表示を目的としており、両検索エンジンを対象とするサービスが大半を占めております。これは両検索エンジンが寡占状態にあることに起因するものです。しかし、今後はこれらに代わる新たな検索サイトがユーザーを獲得することなども考えられ、そうした場合に適切な対応が行えなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬輸入仕入商品の物価の上昇について
当社グループのアパレル事業においては、当社の子会社である㈱ビアトランスポーツが海外より衣料品を輸入し、国内の得意先へ販売しております。「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ④輸入仕入商品の物価の上昇」に記載のとおり、世界情勢の影響を受けた円安傾向や原料高、輸送コストの上昇等の要因により、海外からの輸入商品の価格が上昇することにより、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(3)コンプライアンスに関するリスク
①個人情報の管理について
当社グループはダイレクトメールの発送代行業を主力事業としているため、顧客から多数の個人情報の預託を受けております。当社グループでは個人情報の取扱と管理には細心の注意を払い、規程による手続きの明確化・徹底化を図っております。また、当社においては一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の発行するプライバシーマークを取得し、個人情報の管理には十分留意しております。
しかしながら、今後個人情報漏洩や不正利用等の問題が発生した場合には、当社グループへの損害賠償や信用低下により、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
②知的財産権について
当社グループは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っておりますが、現在のインターネット関連分野における技術の進歩の早期化、グローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であります。本書提出日までのところ、当社グループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後当社グループの調査・確認漏れ、不測の事態が生じる等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③訴訟の可能性について
当社グループはシステムの障害や重大な人為的ミス等の予期せぬトラブルが発生した場合、また、取引先との関係に何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があります。損害賠償の金額、訴訟の内容及びその結果によっては、当社グループの業績及び財政状態や社会的信用に影響を与える恐れがあります。
④法的規制について
当社グループのダイレクトメール事業においては、個人情報保護法、倉庫業法、下請代金支払遅延等防止法及び郵便関連法規等の法的規制を受けます。インターネット事業においては、消費者契約法、不当景品類及び不当表示防止法、電気通信事業法及び特定商取引法等の規制を受けます。また、アパレル事業においては、関税法、特定商取引法、家庭用品品質表示法、製造物責任法及び有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律等の規制を受けます。これらの法規制等の導入・強化・改正等に対して当社グループが適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、今後の各種法令の新設・改正への対応に際し費用負担が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、コンプライアンス経営を最重要課題として認識し、当社グループ一丸となって法令遵守体制を推進しており、本書提出日現在におきましては、各種免許の取消事由は発生しておりませんが、将来、各種法令に違反した事実が認められた場合、事業の停止、許認可の取り消し等の罰則を受ける場合があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
主要事業の許認可などの概要
許認可等の名称 |
法律名 |
監督省庁 |
有効期限 |
登録番号等 |
取消事由 |
貨物利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
期限の定めなし |
関自貨第899号 |
貨物利用運送若しくはこの法律に基づく処分又は登録若しくは認可に付した条件に違反したとき。 |
倉庫業 |
倉庫業法 |
国土交通省 |
期限の定めなし |
関交環物第320号 |
倉庫業法、倉庫業法に基づく処分又は登録、認可若しくは認可に付した条件に違反したとき。 |
古物商 |
古物営業法 |
警察庁 |
期限の定めなし |
第308921307147号 |
古物営業法、この法律に基づく命令又は処分に違反したとき。 |
電気通信事業 |
電気通信事業法 |
総務省 |
期限の定めなし |
届出制 |
― |
(4)財務上のリスク
①売上債権の回収について
当社グループは、与信管理に十分留意しておりますが、売上債権の貸倒による損失に備えるために、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。しかし、経済環境の悪化または、その他予期せざる事由により、実際の回収不能額が当該見積りを大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることもありえます。そのような場合には、貸倒損失の増加から当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
②配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財政状態を勘案し、剰余金の配当を安定的かつ継続的に実施していくことを基本方針としております。しかしながら、経営環境の変化等に伴い業績や財政状態が悪化した場合には、当該基本方針どおりに配当を実施することができなくなる可能性があります。
③資金調達の使途について
公募増資等による資金調達の使途につきましては、設備投資及び関連費用等のための資金として充当する方針であります。
しかしながら、急速に変化する経営環境に対応するため、現時点における計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても想定通りの投資効果を上げられない可能性もあります。
④新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在でこれらの新株予約権による潜在株式数は232,200株であり、発行済株式総数2,836,000株の8.2%に相当しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財政状態を勘案し、剰余金の配当を安定的かつ継続的に実施していくことを基本方針としております。
配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり12円の期末配当を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の連結配当性向は8.3%となりました。
内部留保資金につきましては、財務体質の強化を図りつつ、今後の事業の成長のために有効に活用していく方針であります。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 |
1株当たり配当額 |
2024年6月26日 |
33,548 |
12 |