リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示を行っています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、その発生の回避及び発生した場合に適切な対応に努める方針ではありますが、当社株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)製品・サプライチェーンに関するリスク
① 新製品の開発について
当社グループは、独自の機能・洗練されたデザインを有する製品の開発を目指していますが、
・期待どおりの機能が得られず、もしくは競合製品の出現等により開発を断念する
・開発の遅延により、製品化が遅れる
・開発費が想定を上回る
・新製品が市場に受け入れられない
などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 原材料の調達について
当社グループは、下記③に記載のとおり、すべての製品を製造委託先から仕入れており、原材料の調達は製造委託先が担うことを基本としています。製造委託先に余裕を持った先行発注を行うことにより安定的な仕入れを行ってきました。しかしながら、急激な需給関係の変化により、予期せぬ原材料価格の高騰、調達性の悪化が生じ、製造の遅れ、製品原価の上昇が避けられなくなる場合があります。設計変更による代替品の活用、当社で調達した部材の製造委託先への支給などの対策を講じても十分な対応ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 製造委託先等取引先への依存について
当社グループは、製造工場を持たず、すべての製品を国内外の製造委託先から仕入れています。製造委託先との関係強化とともに、リスクヘッジのために代替先の確保にも努めていますが、製造委託先との関係が悪化し、代替先の確保が遅れるなどの状況になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、製造委託先を含む取引先の経営悪化や、国内外の政治的・社会的な混乱、新たな法的規制や制限、自然災害、紛争等によりサプライチェーンに支障が生じた場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 海外の販売代理店への依存について
当社グループの海外売上高比率は32.3%(2023年12月期)であり、そのうち韓国の代理店であるLimotech Korea Co., Ltd.向け売上高比率が14.8%(2023年12月期)となっています。同社を含めた海外代理店とは定期的な情報交換を行うなど関係強化に努めていますが、各代理店における販売戦略の変更、取扱いの中止等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、各国の政治的・社会的な混乱、新たな法的規制や制限、自然災害、紛争等が生じた場合にも現地での製品の販売に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤ 在庫管理について
当社グループは、在庫管理と販売予測により、品切れによる販売機会のロス削減と過剰在庫の防止に努めています。しかしながら、機能やデザインで差別化を進めていることから販売価格が高くなる傾向があり、類似製品の販売動向を参考に販売予測を立てることが難しく、また、当社製品と類似した競合製品の出現等による競争の激化、物価上昇やポストコロナへの移行による消費行動の変化も、販売予測を難しくする一因となっています。加えて、特に天候の影響を受けやすい扇風機等の空調家電については、昨今の気候変動の影響もあり、販売予測が難しくなってきています。
販売予測を誤った場合には在庫不足又は過剰在庫となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ 債権回収について
当社グループの販売は、家電量販店や通信販売会社、海外代理店等を経由しており、1社当たりの取引金額が多額となるケースがあります。取引先企業の信用状態の調査を行うとともに、取引開始後も継続的に信用状態の把握を行っていますが、倒産等の理由により回収不能となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦ 製品の不具合発生について
当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、品質管理部門の人員増強、製品開発プロセスの見直し等の施策により、品質と信頼性の維持向上に努めていますが、万一、予期しない製品の不具合等が発生した場合、アフターサービス費用もしくはリコール費用が生じることとなります。対策として、製造物賠償責任保険等に加入していますが、受取保険金で十分な補償が行えない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、社会的な信用の失墜、顧客の離反を惹起し、当社グループのブランド価値が毀損することとなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2)コンプライアンスに関するリスク
① 法的規制について
当社グループは、製造物責任、消費者保護、知的財産権、個人情報保護、製品安全、金融商品取引、適時開示ルール等の各種法令の規制を受けています。これら各種法令の改定、新たな法令の制定等が行われた場合において、対応のための追加的費用の発生、もしくは法規制の違反が生じたときは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループでは、アジア、欧州及び北米向けの輸出を行っており、製品については海外の各種規制に準拠していますが、現地の法的規制の改正、新たな法規制の制定等が行われた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 知的財産権について
当社グループは、新製品の開発に関し、他社の著作権、特許権、商標権等の侵害をしないよう、担当部門を中心として独自の情報収集を行うほか、弁護士や弁理士等専門家のアドバイスを受けています。しかしながら、知的財産をめぐって他社との係争が生じた場合や、他社より知的財産の侵害を受けた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 情報セキュリティについて
当社グループは、顧客、取引先、従業員等の個人情報や機密情報等を保有しています。情報管理に細心の注意を払い情報セキュリティ体制を構築・運用しています。しかしながら、万一、情報が流出した場合は、信用低下や対策のための費用負担が生じることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、受発注等の業務管理や会計処理等はシステムによる業務処理を実施しており、不測の事態により重要データの改ざん、漏えい、破壊やシステム停止等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(3)事業体制に関するリスク
① 有能な人材の確保・育成について
当社グループは、今後の新製品開発等事業拡大のために機構設計、電気設計、ソフトウエア設計、デザイン等の製品開発・量産技術に関する豊富な経験を有する能力の高い優秀な人材の確保及びその育成が急務となっています。
当社グループは、優秀な人材の確保に努めるとともに、教育研修制度の充実を図り、管理者の育成に注力しています。しかしながら、人材の確保及び育成が不十分である場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 代表者への依存について
当社の代表取締役社長である寺尾玄は創業者であり、製品開発を主導するなど当社グループの経営及び事業運営において、極めて重要な役割を果たしています。
当社グループでは、取締役会等で情報共有を進めるとともに、権限委譲により、同氏へ過度に依存しない体制を構築してきました。また、社内の人材育成が成果をあげつつあること、さらに、外部からの人材登用等の方策により、経営層の厚みが増しています。しかしながら、何らかの要因で同氏が当社グループの経営に関与できなくなる事態が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 大株主について
当社の代表取締役社長である寺尾玄が、当連結会計年度末現在で発行済株式総数の68.5%を所有しており、引続き大株主となる見込みです。
同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しています。
同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役社長であるため、当社としても安定株主であると認識していますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を経営上の重要施策であると認識しています。一方で、持続的な成長のための研究開発や収益性の向上も重要な経営課題であると考えています。
当社グループは、これまで、成長につながる内部留保を優先し、配当を行っておらず、今後も当面の間、内部留保の充実を進める方針です。将来的には、各期の業績、財務体質を勘案しつつ利益還元を検討していく方針ですが、現時点においては、配当の可能性及びその時期については未定です。
⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において、記録的な円安ドル高等の厳しい外部環境の影響により、多額の営業損失を計上したこと、また、一部の当座貸越枠については財務制限条項に抵触したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しています。このような状況を解消すべく、取引金融機関と協議を行った結果、財務制限条項に係る期限の利益喪失を請求できる権利について、当該金融機関が放棄することの合意が得られています。加えて、現状の経営環境や売上水準でも利益を創出できるよう、売上総利益率の改善(製造コスト低減・価格改定による利幅の改善)、固定費の圧縮(売上規模に対応した組織・人員体制の再構築)及び家電カテゴリー製品の積極的な展開(国内外における製品ラインナップの拡大)を経営戦略として掲げ、各施策について既に着手しています。
以上のことから、当社グループにおいては、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
(4)事業環境に関するリスク
① 為替変動の影響について
当社グループは、製品の輸出入を行っており、通常、決済は外貨で行っています。当社グループは、大半の製品を中国や台湾等、海外の製造委託先から仕入れており、販売の67.7%(2023年12月期)は国内向けであることから、総じて円高は仕入れコストの低下につながることで業績にプラスに作用し、円安はマイナスに作用します。為替の変動に対するリスクヘッジ策を推進していますが、急激な為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 自然災害等について
地震、台風、津波等の自然災害、火災、国際紛争、世界的な感染症の流行等が発生した場合、当社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、リスク対応策の検討と準備を推進していますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は会社設立以来、企業体質の強化及び継続的な製品開発に備えた資金の確保を優先し、当事業年度を含め株主に対する配当を実施していません。今後も当面の間、内部留保の充実を進める方針です。しかし、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には、各期の業績、財務体質を勘案しつつ利益還元を検討していく方針ですが、現時点においては、配当の可能性及びその時期については未定です。
内部留保金の使途については、今後の事業展開への備えと研究開発費用として利用していく予定です。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は取締役会です。また、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当を実施することができる旨を定款に定めています。