2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)電子部品供給網の影響

EMS事業における電子部品の購買・在庫管理は最重要課題の一つであります。半導体や樹脂材料等の供給不足や納期遅延等は概ね解消した一方、一部電子部品において納期が遅延する事態が継続しております。最も基本的な顧客要求であるQCD(品質、コスト、納期)に対応するため、一定の部品在庫を持たざるを得ない状況となり、財政状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後も電子部品メーカーからの納期遅延が続いた場合、当社グループの生産に影響が及ぶ可能性もあります。

(2)特定販売先への高い売上依存度

当社グループは、設立当初よりキヤノングループを主要販売先として業容を拡大してきた結果、当社グループ全体のキヤノングループへの売上依存度は低下傾向にあるものの(2022年度 36%/2023年度 29%)依然高くなっております。このため、キヤノングループの製造計画の縮小・延期・中止、最終製品の販売状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは経営の安定化を図るため、キヤノングループへの売上規模を維持拡大しつつも、新規取引先への販路拡大にも注力しており、その結果としてキヤノングループへの売上依存度を相対的に低下させる考えであります。

(3)海外での事業展開

当社グループでは、主要販売先による生産拠点の海外移転や海外における需要拡大などに対応するため、国内のほか中国等アジア地域に事業拠点を有しており、このため、中国等アジア地域の政治・経済情勢、法規制、税制等が変化した場合、現地での紛争、災害、感染症等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは為替変動リスクを回避するため、社内規程に基づいて為替予約を行っております。しかしながら為替変動を完全に回避することは出来ないため、急激な為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)有利子負債依存度と財務体質

当社グループは、設備資金及び運転資金を主に金融機関からの借入金によって調達しているため、連結ベースの有利子負債残高が連結総資産に占める比率である有利子負債依存度は、2022年12月期末で43.8%、2023年12月期末で43.6%と高く、当社グループの業績は金利変動の影響を受けやすい状況にあります。

また、自己資本比率は2022年12月期末で17.7%、2023年12月期末で20.4%となっております。当社グループは、内部留保に努め自己資本の積上げに注力いたしておりますが、各種原材料やエネルギー価格の高騰に伴う経費の増加や販売先の値下げ要請による収益力の低下等の要因によって期待した利益を得られない場合、財務体質の改善が遅れる可能性があります。

(5)製品の品質管理

当社グループが生産する製品は、車載機器、医療機器、産業機器、オフィス機器、社会生活機器等の最終製品に組み込まれております。当社グループでは、全生産拠点においてISO9001、ISO14001及びISO13485を取得するなど、国際的な品質管理体制を有しておりますが、予期せぬ事象により当社グループ製品の不具合等に起因した最終製品の品質問題、リコール等が発生した場合、多額の費用負担や当社グループの信用低下によって当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、公正且つ高い倫理感をもって業務運営を行う大前提がコンプライアンスであるとの認識に立ち、コンプライアンス・リスク管理委員会が中心となり全てのステークホルダーから信頼されるコンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員・社員への啓蒙活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。

しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避出来ない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用や発生した損害に対する賠償金の支払等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のため必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当社は、「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年8月14日

40,459

6.00

取締役会

2024年3月27日

40,516

6.00

定時株主総会

 

2023年12月期の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり6.00円の配当を2024年3月27日開催の定時株主総会において決議し実施いたしました。なお、中間配当金として1株当たり6.00円をお支払いしておりますので、当事業年度の年間配当金は1株当たり12.00円となります。

自己資本比率を高めるための内部留保金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術・製造開発体制を強化し、さらに、グローバル戦略の展開を図るために有効投資してまいりたいと考えております。