事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
-
セグメント別売上構成
-
セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 10,284 | 100.0 | 1,840 | 100.0 | 17.9 |
事業内容
3【事業の内容】
当社は、臨床検査用分析装置及び医療機器の研究開発、製造、販売、輸出及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる業務とし、さらにこれら装置の保守サービス等の事業活動を展開しております。
販売系統としましては、当社が直接国内・海外ユーザーへ製品を販売する場合と、販売業者を経由し国内・海外ユーザーへ製品を販売する場合があります。なお、子会社・関連会社はありません。
当社は医療機器及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる事業とする単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため品目別に事業の内容を記載いたします。当社の製品は3つに分類でき、その内容は下記のとおりであります。
(1)採血管準備装置・システム
採血管準備装置および関連システムとは、採血・採尿検査に関する受付業務から、採血整理券と患者ラベルを貼付した尿カップの発行を行い、かつ採血管準備作業を自動でおこなう一連のシステムであります。採血管準備装置には、採血管準備装置とその周辺機器である採血・採尿自動受付機、採血台表示システム、自動検体仕分け装置、全自動尿分析・分取装置、一般検査前処理装置、RFID検体情報統括管理システム(Radio Frequency Identification)があります。
採血管準備装置および関連システムは、採血患者の待ち時間短縮、採血業務に従事する臨床検査技師、看護師の採血業務支援ならびに、検体の取り違え防止を目的としたシステムであり、採血・採尿自動受付機、採血台表示システム、患者誘導外待ちディスプレイといった各種周辺機器を付加することで、それぞれの医療施設にあった採血管準備のトータルシステムを提供することが可能であります。なお、RFID検体情報統括管理システムは、ICタグの個別情報を無線通信によって読み書きするRFID技術を応用し、採血管や尿検体の患者認証から検体搬送までを効率的に管理するシステムです。
(2)検体検査装置
検体検査装置とは、医療施設において血液等の検体を測定し、値を数値化することにより、患者の傷病を評価するための検査装置であります。当社で販売している検体検査装置は、血液中の酸素分圧や炭酸ガス分圧及び、pH等を測定する血液ガス分析装置・ハンディ型血液ガス分析装置、電解質を分析する専用の電解質分析装置、赤血球の凝縮による血球の沈降度を測定する赤血球沈降速度測定機、DNAの酸化的損傷ストレスマーカーである尿中8-hydroxy-deoxyguanosine(8-OHdG)を測定する尿中酸化ストレスマーカー測定システム、ヘルスケア製品等であります。
(3)消耗品等
消耗品としては、採血管準備装置や検体検査装置で使用するラベル、日常校正イオン電極用常用標準血清、センサーカード、ガストロール、キャリブレーション用パック、ハルンカップ等でありますが、その他に採血管準備装置及び検体検査装置の保守も含めております。
当社事業の系統図は次のとおりであります。
採血管準備装置、検体検査装置等の研究開発・設計は社内でおこない、製造工程を社外協力会社へ委託しております。組立委託先から製品を受入検査基準に従い受入した後、社内での最終調整を経て、出荷検査基準を満たした製品を本社より出荷しております。このような体制を構築することにより、研究開発や販売等に経営資源を集中することが可能となっております。
消耗品等については受注見込量を本社にて調合・調整・包装あるいは製造をおこなっております。これら消耗品の品質検査は製造工程と出荷前の2段階でおこない、製品の品質確保を図っております。万一出荷後の不具合が見つかった場合には、同一製造ロットを全て回収し交換をおこなう体制を整えております。
ヘルスケア製品につきましては、研究開発および生産を社内でおこなっております。個人の方々の健康のセルフモニタリングに役立つ製品を、社内研究開発部門で開発し、本社にて製造工程で品質検査をおこないながら、受注見込量の生産をおこなっております。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナの分類変更と行動制限の緩和により、インバウンド消費の回復や経済活動の正常化が進展しました。これに伴って企業業績や株価も堅調を維持する中で、景気は全体として緩やかな回復基調を維持しました。
一方、円安の進行や物価上昇による消費マインドの変化や、国際情勢の不安定さが経済の先行きに不透明感をもたらしており、原材料価格等の高止まり、国内外の金融政策の影響等についても、引き続き注視が必要な状況となっております。
医療機器業界におきましては、2024年4月より開始する医師の時間外・休日労働の上限規制をはじめとして、公立病院の統廃合、医療機関におけるICT化の推進など、より効率的な医療機関の運営に向けた取り組みが推し進められる中で、業界各社においても、これらの施策を後押しするサービスや製品を提供し続けることが求められております。
このような経営環境の中で当社は、主力製品である採血管準備装置および関連システムにおいては、新たに効率的なソリューションを提供する等、ラインアップの拡充を図ってまいりました。また、検体検査装置においては、コンパクトで高性能の新型装置の販売拡大を図り、消耗品等については、原材料費の高騰による影響が続く中で、引き続き安定供給に取り組んでまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は10,283,851千円(前期比9.8%増加)となりました。主に国内市場における採血管準備装置・システムの販売案件が引き続き順調に推移したことに加えて、検体検査装置や消耗品の販売も伸長しました。なお、総売上高に対する海外売上高の占める割合は、前期比2.4ポイント減少し9.3%となりました。
利益面に関しては、売上高の増加に伴い、売上総利益が5,152,371千円(前期比11.3%増加)となりました。販売費及び一般管理費は、採血管準備装置・システムに係る研究開発費の増加や、賃上げ対応等による人件費の増加などにより3,312,135千円(前期比11.1%増加)となり、営業利益は1,840,235千円(前期比11.6%増加)、経常利益は1,870,610千円(前期比12.1%増加)、当期純利益は1,348,130千円(前期比17.2%増加)となりました。
<採血管準備装置・システム>
当事業年度における採血管準備装置・システムの売上高は4,299,244千円(前期比20.3%増加)となりました。
特に大型機や、大規模施設向けシステムなどの販売案件が、採血支援システムのオプション機能の強化・クラウドの活用による利便性の向上等により大幅な伸びとなり、国内市場における売上高は4,143,454千円(前期比25.9%増加)となりました。海外市場においては、中国・韓国向け案件の延期や、各国での競合他社との競争激化などにより前年度の売上を大幅に下回り、売上高は155,790千円(前期比44.6%減少)となりました。
<検体検査装置>
当事業年度における検体検査装置の売上高は598,996千円(前期比1.4%増加)となりました。
国内市場では、主力の血液ガス分析装置についてデスクトップ型、ハンディ型のいずれも売上が伸長し、404,333千円(前期比16.6%増加)となりました。海外市場における売上高は、新型コロナ対応による需要増も収束しつつある中で、前年度に比べて販売が伸びず、194,663千円(前期比20.3%減少)となりました。
<消耗品等>
当事業年度における消耗品等の売上高は5,385,610千円(前期比3.5%増加)となりました。
国内・海外市場ともに安定した需要が続き、国内市場での売上高は4,780,810千円(前期比3.3%増加)、海外市場での売上高は604,800千円(前期比5.4%増加)となりました。
②キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、8,586,360千円(前期比3,163,929千円減少)となりました。なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動により得られた資金は1,142,703千円(前期比255,462千円増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,860,619千円、その他の負債の増加額が563,080千円であった一方、売上債権の増加額が723,335千円、法人税等の支払額が495,385千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動により支出した資金は100,716千円(前期比54,653千円減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が64,041千円、有形固定資産の取得による支出が38,184千円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動により支出した資金は4,205,916千円(前期比3,700,828千円増加)となりました。これは、自己株式の取得による支出3,697,501千円、配当金の支払額508,414千円があったことによるものであります。
③生産実績
当事業年度の生産実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比増減率(%) |
採血管準備装置・システム(千円) |
4,983,007 |
6.2 |
検体検査装置(千円) |
399,027 |
△41.8 |
消耗品等(千円) |
5,520,366 |
6.6 |
合計(千円) |
10,902,402 |
3.3 |
(注)金額は販売価格によっております。
④受注実績
見込生産をおこなっておりますので、該当事項はありません。
⑤販売実績
当事業年度の販売実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比増減率(%) |
採血管準備装置・システム(千円) |
4,299,244 |
20.3 |
検体検査装置(千円) |
598,996 |
1.4 |
消耗品等(千円) |
5,385,610 |
3.5 |
合計(千円) |
10,283,851 |
9.8 |
⑥財政状態
(資産の部)
当事業年度末の総資産の残高は17,433,874千円となり、前事業年度末比2,009,297千円減少しました。これは主に、現金及び預金が3,163,929千円減少した一方、商品及び製品が400,874千円増加、売掛金が383,697千円増加、電子記録債権が324,239千円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末の負債の残高は3,615,285千円となり、前事業年度末比558,969千円増加しました。これは主に、買掛金が84,059千円減少した一方、前受金が248,759千円増加、未払金が166,705千円増加、未払消費税等が128,576千円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産の残高は13,818,588千円となり、前事業年度末比2,568,266千円減少しました。これは、配当金の支払いが508,409千円、自己株式の増加3,442,884千円があったほか、当期純利益が1,348,130千円であったこと等によるものであります。なお、自己資本比率は79.3%となり、前事業年度末比5.0ポイント減少しました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①経営成績等
当事業年度の経営成績は、売上高10,283,851千円(前期比9.8%増加)、営業利益1,840,235千円(前期比11.6%増加)、経常利益1,870,610千円(前期比12.1%増加)、当期純利益1,348,130千円(前期比17.2%増加)となりました。主に国内市場における採血管準備装置・システムの販売案件が引き続き順調に推移したことに加えて、検体検査装置や消耗品の販売も伸長しました。
売上高に関しては、採血管準備装置・システム関連では、国内市場における販売が好調であったことにより、前期比20.3%の増加となりました。検体検査装置関連では、国内市場での血液ガス分析装置の売上が伸長し、前期比1.4%の増加となりました。消耗品等では、国内外ともに安定的な需要が続き、前期比3.5%の増加となりました。
売上総利益及び営業利益につきましては、売上高の増加に伴い、売上総利益は5,152,371千円(前期比11.3%増加)となり、販売費及び一般管理費は3,312,135千円(前期比11.1%増加)となった結果、営業利益は1,840,235千円(前期比11.6%増加)となりました。
②財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度における我が国経済は、社会経済活動の正常化が進展したものの、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続きました。医療機器業界においても、徐々に従来の診療体制を取り戻しつつあるものの、新型コロナにより浮き彫りとなった医療現場の各種課題への対処が求められております。
このような経営環境の中で当社は引き続き、医療機器メーカーとして医療現場に価値を提供し続けるための製品開発、販売、製造活動に取り組んで参りました。
また当社は、2023年度(2024年3月期)からの新3ヶ年中期経営計画を新たに策定いたしました。本中期経営計画は、①財務戦略・投資計画・資本政策 ②人材戦略 ③営業戦略 ④生産技術戦略 ⑤研究開発戦略 の各戦略を着実に実行することにより、当社の事業構造の転換を図ると共に、持続的成長を目指し「2030長期ビジョン」へとつなげていくことを目指しています。2024年3月期は、2023中期経営計画の経営目標を達成しました。引き続き各戦略を遂行して参ります。
経営指標 |
2024年3月期 計画 |
2024年3月期 実績 |
2024年3月期 計画比 |
売上高 |
98.0億円 |
102.8億円 |
104.9% |
営業利益 |
13.0億円 |
18.4億円 |
141.6% |
売上高営業利益率 |
13.3% |
17.9% |
134.9% |
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローにつきましては、(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローに記載のとおりであります。なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
自己資本比率(%) |
84.56 |
84.28 |
79.26 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
71.02 |
82.59 |
70.19 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
- |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
- |
(注)1. 各指標の算式は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4. 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当社の主な資金需要は、研究開発型企業として発展し続けるための研究開発資金や、生産活動に必要な運転資金、生産設備や研究設備を増設するための設備投資資金等であり、これらは主に自己資金によって賄っております。
④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。