リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループにおいては、全社的なコーポレートリスクマネジメント体制として、リスク管理委員会を設置し、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、リスク・危機の洗い出し及び評価の上、重要なリスクを特定し、モニタリング、運用状況の把握、是正指示を行っております。また、特定された重要リスクの対応策と進捗状況については、定期的に取締役会に報告をしております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(リスク管理委員会で特定された重要なリスク)
① 大規模自然災害等
地震や台風等の大規模な自然災害、その他の事象により、製造ラインの稼働停止等の事業遂行に直接的又は間接的な混乱が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、そのような災害等の有事に備え、被害を最小限に抑え、事業の継続を図るべく、事業継続マネジメント(BCM)・事業継続計画(BCP)の整備及びその対応に努めております。
② 技術革新による既存技術の陳腐化
EVの普及、アンテナ一体型無線装置普及によるアンテナ需要の縮小、次世代通信規格等の通信技術革新、高速大容量通信実現のため、より高い周波数への移行により、保有設備の陳腐化や更新対応のためのコスト増や業務の制限などにより事業活動や業績に悪影響が生じ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、市場における技術動向や技術革新に対応するため関連部門と連携し、迅速な情報共有に努めております。
③ 情報セキュリティ
当社グループにおきましては、事業の遂行に必要な顧客や取引先情報を多数管理しているほか、技術・営業・その他事業に関する秘密情報を保有しており、コンピューターウィルスの感染や外部からの不正アクセス、関係者を騙る標的型詐欺メール、サイバー攻撃、あるいはSNS等を用いた従業員による不適切な情報発信などの不測の事態により、システム障害、秘密情報の漏えい、サイバー詐欺被害、重要な事業情報の滅失等が発生して、当社グループのレピュテーションが悪化するなど業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、定期的な教育や標的型メールを想定した訓練等の情報セキュリティマネジメントを徹底し、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めております。
④ 方針の不徹底、重要情報の伝達漏れ
会社方針の周知不足や不徹底、重要情報の伝達漏れなどによって、業務におけるコンプライアンスの確保ができないほか、非効率な業務による高コスト体質となり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、グループウェアを活用し経営者の掲げる経営方針等の情報伝達を行っております。
⑤ 人財確保
特に技術部門において、十分な知識と技術を有する人財を十分確保できなかった場合、あるいは、従業員の会社に対する不信感や処遇不満からモチベーションが低下するなどの事象が生じた場合、競争優位性や企業価値の向上が期待できなくなり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、従業員が離職した場合その理由の分析やモチベーション向上のためのアンケート結果を分析して、人財流出防止とモチベーション向上に努め、必要な人財の確保を図っております。
⑥ M&A
当社グループにおきましては、戦略の一つにM&Aを掲げておりますが、M&A実施後に事業が計画どおりに進捗せず、想定した業績を達成できない、あるいは、投資額に見合うリターンを得られない場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、M&A実施前にデューデリジェンスを適切に行い、投資委員会にて十分審議し投資判断を行うこととしております。
(上記リスク以外のリスク)
① 海外事業展開に潜在するリスク
海外での事業展開におきましては、予期せぬ法規制の変更、政治経済情勢の悪化、自然災害、疫病、紛争、テロ、ストライキ等の社会的混乱が生じた場合に、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクに対する取り組みとして、進出国の税制、法規制動向、政治経済情勢など、情報収集に努めております。
また、その子会社の財務諸表上の資産・負債・収益・費用等の現地通貨建ての項目は連結財務諸表を作成する上で、円建てに換算されております。外貨建てによる輸出入取引につきましては、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受けることとなります。当社グループでは、為替予約等を通じてリスクの最小化に努めております。
② 工事契約及び設備据付工事等における収益認識
当社グループにおきましては、工事契約及び設備据付工事等の一部について、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。案件ごとに継続的に見積原価総額や予定期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合には、当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このリスクに対応するため、原価総額の見積りの精度向上を図り、適宜決算に反映するように努めております。
③ 固定資産の減損会計
「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しており、有形固定資産・のれんを含む無形固定資産について、時価及び事業環境の変動により減損損失を認識するに至った場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、投資計画時に想定されるリスクと対応策を検討した上で、採算性を分析し、投資判断を行っております。
④ 市場動向による株価の影響
企業価値を向上させるための中長期的な視点に立ち、取引金融機関、関係会社、重要取引先の株式を中心に長期保有目的の有価証券を保有しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があり、所有株式について個別銘柄毎に取引状況を検証し、市場動向を常に注視するなど、リスクの最小化に努めております。なお、当社は、政策保有株式の縮減方針に従い、保有する上場株式を2027年度末(2028年3月末)までに全て売却することとしております。
⑤ 退職給付債務
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。従いまして、前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
今後におきましても、退職金制度の変更、金利情勢の変化による割引率の変更、運用利回りの悪化により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクに対する取り組みとして、一部で確定拠出年金を導入することにより追加拠出リスクを低減する他、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っております。
⑥ 業界の動向について
適正価格による受注及びコスト低減による利益の確保に努めておりますが、市場の価格競争の激化、技術革新及び原材料となる鋼材等の仕入価格の上昇など、関連する業界の需給環境の動向によっては、所期の売上及び利益目標を達成できず、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、業界他社動向を常に注視しつつ、技術革新にも適時的確に対応していくことに加え、業務の効率化及び原価低減活動による利益の拡大に取り組み、業績向上に努めております。
⑦ 製品の欠陥、工事の災害事故
当社グループにおきましては、品質管理及び安全の徹底を図っております。しかしながら、全ての製品・工事施工について欠陥、事故等が発生しないという保証はなく、各種製品の欠陥及び工事の災害事故等が発生した場合、当社グループの社会的評価ばかりでなく、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、一部の事業所及び子会社を除き、品質管理基準(ISO9001)に基づき、各種製品の製造及び工事の施工を行っております。また、請負工事・製造物の責任保障については損害保険に加入するなどの対策を行っております。
⑧ 重要な訴訟事件の発生等
当連結会計年度において、将来の業績に重大な影響を及ぼす訴訟事案を受けた事実はございませんでしたが、今後、事業展開を進めて行くなかで、製品の不具合、工事施工時の事故、その他様々な事由で当社グループに対し提訴その他の請求が起こされた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、訴訟リスクに対応するため、品質及び安全確保の徹底、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を行っております。
⑨ 知的財産権
当社グループが保有する知的財産権について、訴訟やクレーム等の問題が発生した場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業活動に関連する有用な知的財産権の取得並びに保護に努めております。
⑩ 法的規制について
当社グループが事業を行うにあたり、建設業法、製造物責任法など様々な各種法規制の適用を受けております。法令解釈の相違等により、結果的に法令に抵触すると判断された場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、内部統制の徹底、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を行っております。
⑪ 資金調達環境について
当社グループは、金融機関からの借入れにより資金調達を行っておりますが、借入金の一部に財務制限条項の付されているものがあります。今後、事業計画どおりに業績改善を図ることができず、期限の利益喪失請求が行われた場合には、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 特定の取引先の依存に係るもの
電気通信関連事業におきましては移動通信関連事業者及び放送事業者、高周波関連事業におきましては自動車メーカー各社をはじめとした自動車関連業界に対する受注・売上高の依存割合が高く、各事業者の設備投資需要の動向によっては当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。仕入に関しても、特定の取引先への過度な依存により起因する問題が発生し、各事業者の要求を満たさなくなった場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、今後もこれまでの取引関係を維持発展させていく一方、事業領域の拡大に向けて、ビジネススタイルの変革や顧客層の拡大、差別化を追求し、これまでの事業とは異なる新たな収益の源泉を創出し、その供給体制についても各取引先の生産状況、材料調達の状況などを把握するとともに、必要に応じて代替の取引先の構築にも努めております。
⑬ 不正及び不法行為等によるリスク
役員や従業員等の不正及び不法行為等の防止に万全を期しているものの、万が一不正及び不法行為等が発生した場合には、その内容や規模の大きさによっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。不正及び不法行為等によるリスク回避に向け、当社は、コンプライアンス・プログラムを定め、その充実・強化を図るとともに、監査及びコンプライアンス教育を通じてこれらのリスクの回避及び影響の最小化に努めております。
配当政策
3【配当政策】
当社の配当政策の考え方は、株主資本の効率化と株主様への利益還元を重要な経営事項として受け止め、堅実な経営を通じて株主の皆様に対して配当を継続的に実施することを基本としております。配当政策については、株主還元強化に向けた施策として、連結配当性向40%を目途に当該期の業績に連動させ、かつ連結株主資本配当率(DOE)1.5%を下限値の目途とする方針を掲げております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。なお、当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当等を取締役会の決議により行うことができる旨を定款に定めておりますが、会社法第460条(株主の権利の制限)第1項に基づく定款の定めは設けず、剰余金の配当等についての株主総会決議を排除するものではございません。将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた株主の皆様への利益還元を継続的に行うことを基本方針として、当社は今後も、剰余金の配当を株主総会の決議で行う方針です。
上記の基本方針に則り、当期につきましては、1株当たり中間配当30円、期末配当金30円の年間配当金60円といたしました。
内部留保金につきましては、既存事業の活性化や事業領域の拡大へ向けた投資及び将来にわたっての企業体質強
化のために必要な原資として有効活用する所存であります。
また、株主還元策及び資本効率の改善策として、自己株式の取得及び消却を実施しておりますが、今後においても、取得する自己株式につきましては、事業領域の拡大・技術の獲得に向けた活用の検討を継続した上で、必要以上の自己株式は消却するという方針のもと、株主様への還元強化に向けて取り組んでまいります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
|
2023年11月10日 |
取締役会決議 |
301 |
30 |
2024年6月27日 |
定時株主総会決議 |
292 |
30 |