2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    12,311名(単体) 74,619名(連結)
  • 平均年齢
    42.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.1年(単体)
  • 平均年収
    8,087,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    1.8%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

①人材戦略に関する方針

 エプソンの人材戦略は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」に記載しています。

 

②従業員の給与決定方針

 エプソンは、企業価値の持続的な向上を支える人材を重要な経営資源と位置付け、従業員の給与については、担う役割・責任、能力発揮および成果の状況等を踏まえ、総合的に決定する方針としています。

 具体的には、担う役割や職務の大きさに応じた資格・等級制度を基軸としつつ、目標管理制度に基づく評価結果を通じて、各個人の成果や行動・専門性といった価値発揮の状況を処遇に反映しています。これにより、従業員一人ひとりが役割への期待を理解し、納得性をもって能力を発揮できる制度運用を行っています。

 給与体系は、基本給、賞与および各種手当等により構成されており、基本給については、資格・等級および評価結果に基づき改定を行います。賞与については、個人の成果や会社業績等を踏まえ、成果配分として支給しています。

 また、エプソンは、事業環境や経営状況を踏まえた総額人件費管理の観点を持ちつつ、制度の透明性および公平性の確保に努め、管理職と従業員とのコミュニケーションを通じて、適切な評価・処遇の実現を図っています。

 

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

プリンティングソリューションズ事業

51,926

ビジュアルコミュニケーション事業

8,509

マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業

10,325

報告セグメント計

70,760

その他

486

全社(共通)

3,373

合計

74,619

(注)1.従業員数は、就業人員数です。

2.全社(共通)として記載している従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

②提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

12,311

42.9

18.1

8,087

1.8

 

セグメントの名称

従業員数(人)

プリンティングソリューションズ事業

6,012

ビジュアルコミュニケーション事業

1,396

マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業

2,035

報告セグメント計

9,443

その他

0

全社(共通)

2,868

合計

12,311

(注)1.従業員数は、就業人員数です。

2.平均年齢、平均勤続年数および平均年間給与は、提出会社の正規従業員をもとに計算しております。

3.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)として記載している従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

③労働組合の状況

当社および一部の連結子会社において労働組合が組織されております。

当社および一部の連結子会社における労使関係は良好であり、特に記載すべき事項はありません。

 

④管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

a.提出会社

当事業年度(2025年度)

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業

取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用

労働者

5.9

95.7

78.4

78.5

79.2

賃金制度上、同一資格等級での男女の賃金差異はないが、上位職位・資格等級に占める女性の割合が少ないことが差異の主な理由

(注)1.管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.管理職に占める女性労働者の割合は、セイコーエプソン株式会社組織における女性管理職の割合です。

3.男性労働者の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

4.労働者の男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。

5.男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、セイコーエプソン株式会社元籍社員(グループ他社からの出向者を含まない)の集計値から算出したものです。

6.労働者の男女の賃金の差異において、管理職層における賃金差異は97.8%です。

 

b.連結子会社

エプソンの国内グループ会社のうち、101人以上の常用雇用者を持つ関係会社について、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」で常用雇用者301人以上の会社に求められる3項目を記載しています(2026年3月時点)。なお、提出会社と下記の国内グループ10社の合計従業員数は、国内従業員数の約99%をカバーしています。

当事業年度(2025年度)

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合

(%)

男性労働者の育児休業取得率

(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用労働者

エプソン販売株式会社

10.4

100.0

85.3

80.9

83.3

 

東北エプソン株式会社

6.1

100.0

79.4

79.4

72.4

 

秋田エプソン株式会社

6.7

70.0

84.9

85.7

93.9

 

宮崎エプソン株式会社

0.0

66.7

79.2

78.9

84.8

 

エプソンアヴァシス株式会社

20.6

100.0

79.9

80.4

68.2

 

エプソンアトミックス株式会社

13.0

75.0

87.0

85.9

非正規雇用労働者は男性のみ

エプソンダイレクト株式会社

0.0

77.7

80.2

123.0

男性育休については該当者なし

エプソンロジスティクス

株式会社

0.0

104.2

117.0

95.0

男性育休については該当者なし

エプソンミズベ株式会社

12.5

105.7

103.4

113.4

男性育休については該当者なし

エプソンリペア株式会社

0.0

76.9

77.7

94.9

男性育休については該当者なし

(注)1.管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.管理職に占める女性労働者の割合は、各会社組織における女性管理職の割合です(在籍ベース)。

3.男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

4.労働者の男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。

5.男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、各社元籍従業員(グループ他社からの出向者を含まない)の集計値から算出したものです。

 

c.連結

 

当事業年度(2025年度)

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業

取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用労働者

国内連結

7.0

94.8

77.1

77.4

78.7

国内連結の範囲は、上記 ①提出会社(セイコーエプソン株式会社)および ②連結子会社(国内グループ会社10社)として合計値を記載

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」のもと、事業活動を通じて創出した価値を社会や産業の現場につなげ、社会価値と経済価値の両立を図ることで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを、サステナビリティの基本的な考え方としています。

環境問題や資源制約、人手不足、地政学リスク等の社会課題や事業環境の変化が顕在化するなか、エプソンは、これらを踏まえて特定したマテリアリティに基づき、エネルギー・資源利用の効率化、生産性および信頼性の高度化、ならびに学び・働き・暮らしの質の向上に資する価値の提供に取り組んでいます。

 

(1)サステナビリティ共通

①ガバナンス

エプソンでは、社長直轄の組織としてサステナビリティ・コーポレートコミュニケーション推進室を設置し、サステナビリティ担当役員のもと、グループ全体のサステナビリティ活動を統括しています。また、社長の諮問機関として、本部長、事業部長等の経営層に加え、社外取締役、監査等委員等で構成される「経営戦略会議」では、社会要請や社会動向を踏まえ、サステナビリティに関する中長期戦略を策定するとともに、取り組み状況の確認や重要課題への対応について審議しています。

さらに、経営戦略会議の下部組織として、「サステナビリティ推進会議」を設置し、サステナビリティ活動に関する専門事項について協議・検討を行っています。同推進室はサステナビリティ推進会議の事務局を担当するとともに、これらの内容を取締役会に定期的に報告し、経営監督のもとで各種活動を推進しています。

なお、役員報酬に関しては、より実効的なサステナビリティガバナンスの体制を構築する観点から、サステナビリティの取り組みを譲渡制限付株式報酬と連動させることで、サステナビリティ経営の実効性向上を図っています。役員報酬については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載しています。

 

■ 推進体制図

 

 

②戦略

エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向け、社会課題の解決と企業価値向上の両立を図る重要課題として、七つのマテリアリティを特定しています。

これらのマテリアリティは、「価値創造」と「価値創造を支える基盤」の二層で構造化しています。

第一層の「価値創造」に関わるマテリアリティは、エプソンの事業活動を通じて社会に提供する価値を示すものです。エネルギー・資源効率の向上、テクノロジーの進化、人手不足への対応、学び・働き・暮らしの質の向上といった社会課題に対し、エプソンの技術、製品およびサービスを通じて価値創出を目指します。

第二層は「価値創造を支える基盤」に関わるマテリアリティです。「人的資本」および「知的資本」に関するマテリアリティは、価値創造を支える競争力の源泉と位置付けています。社会課題の複雑化や技術革新の加速に対応するためには、人材の能力向上、多様な知の結集および独創的な技術の創出・社会実装が不可欠であり、これらを通じて中長期的な競争優位の確立を図ります。

また、ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、資本配分等からなる経営基盤に関するマテリアリティは、価値創造および競争力の源泉を最大限に発揮し、持続的な成長を実現するための基盤となるものです。

エプソンは、これら二層のマテリアリティを相互に連関させ、一体的に強化することにより、社会価値と経済価値の同時創出を図るとともに、収益性および資本効率の向上を通じて中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

■ マテリアリティの構造

 

■ マテリアリティ特定プロセス

 エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の策定にあたり、社会環境変化や国際基準などの社会要請がエプソンおよびステークホルダーに与える影響を分析しました。具体的には、脱炭素化、エネルギーや資源の制約、AI・データ社会の進展、人手不足の深刻化、新興国の成長、地政学リスクや規制強化といった社会変化を踏まえ、事業機会とリスクの両面から重要課題を評価しました。その結果、エプソンが持つ技術や事業を通じて価値を創出できる領域として、「エネルギー・資源の効率化」「テクノロジーの進化」「人手不足への対応」「学び・働き・暮らしの向上」の四つを価値創造領域として特定しました。さらに、これらの価値創造を持続的に実現するための競争力の源泉として「人的資本」「知的資本」、そして全体を支える経営基盤として「責任ある経営と実行」を加え、七つのマテリアリティを特定しています。

 

 

■ 「価値創造」に関わるマテリアリティ

<エネルギー・資源の効率化を支える>

 脱炭素化の進展に伴うエネルギー制約の高まりや資源価格の上昇・調達不安定化を、事業環境における重要な課題と認識しており、こうした制約の下で、エネルギー消費や資源使用を抑えながら性能や生産性を両立する技術への需要が拡大すると考えています。エプソンは「省・小・精」の技術・思想を基盤としたインクジェット技術や高機能材料、資源循環技術を通じて、製造プロセスの省エネルギー化・高効率化と資源の有効活用を実現し、顧客の環境負荷低減と経済合理性の両立に貢献します。これらの価値は主にプレシジョンイノベーションセグメントにおいて提供されます。

 

<精密技術でテクノロジーの進化を支える>

 AIやデータセンター、通信・車載分野の拡大に伴い、高精度・低消費電力・高信頼性を兼ね備えたデバイスへの需要が急速に高まっていることを重要な事業機会と捉える一方で、技術進化の加速や競争環境の変化に対応することが競争力維持の前提となっています。エプソンは、精密微細加工、MEMS、水晶・材料技術を融合した精密技術を強みに、物理世界を正確に捉え制御する基盤を提供し、デジタルの価値を実社会で発揮するための技術基盤の高度化に貢献します。これらの価値は主にプレシジョンイノベーションセグメントにおいて提供されます。

 

<生産性と信頼性で人手不足に応える>

 先進国における労働人口の減少や新興国における技能人材不足を背景に、生産現場における人手不足と品質維持の両立が重要な社会課題となっていると認識しており、これは人件費の上昇や技能継承の難しさによる従来のオペレーションの持続性への課題ともなっています。エプソンは、ロボティクスや商業・産業プリンティングにおいて、制御・AI技術を活用した自動化や工程最適化を進め、省人化と品質向上を同時に実現することで、持続可能な生産現場の構築に貢献します。これらの価値は主にインダストリアル&ロボティクスセグメントにおいて提供されます。

 

<学び・働き・暮らしを支える>

 新興国を中心とした人口増加や中間層の拡大に伴い、教育や情報アクセスへの需要が高まる一方で、インフラ整備の遅れや格差が成長の制約となっていることを重要な社会課題と認識しています。また、働き方の変化やデジタル化の進展により、情報の可視化や共有、業務効率の向上に対するニーズが高まっています。

 エプソンは、プリンティングおよびビジュアルコミュニケーションを通じて、情報アクセスと業務効率の向上を支え、学び・働き・暮らしの質の向上に貢献するとともに、新興国の成長と先進国の生産性向上の双方に価値を提供します。これらの価値は主にオフィス・ホームプリンティングセグメント、ビジュアル&ライフスタイルセグメントにおいて提供されます。

 

■ 「価値創造を支える基盤」に関わるマテリアリティ

<イノベーションを支える人的資本の進化>

 不確実性の高い事業環境において、構想力と実行力を兼ね備えた人材の確保・育成が競争力の鍵となると考えています。エプソンは人材を持続的な価値創造の源泉と位置付け、多様性を尊重した組織づくりや、エンジニアリング人材の育成、グローバルでの知の共有を通じて、価値創造を加速する人的資本の強化に取り組みます。

 

<イノベーションを実現する知的資本の創出>

 技術進化の加速に対応し、事業戦略と一体となった知的資本の強化が重要となっています。エプソンは独創的な技術やノウハウを、競争優位の源泉となる知的資本として位置付け、中長期視点の研究開発や共創を通じて技術の高度化と応用領域の拡大を図り、社会実装を通じた新たな価値創出を推進します。

 

<長期価値創造を支える責任ある経営と実行>

 資本コストの上昇やサステナビリティに対する要求の高度化を背景に、経営の質そのものが企業価値を左右する重要な要素となっていると認識しています。加えて、サプライチェーンや人権、環境規制等に起因するリスクへの対応は、事業継続の前提条件となっています。こうした環境下においては、資本効率と持続可能性を両立する経営、変化に対応できる人的・知的基盤、そして透明性と規律を備えたガバナンス体制が、競争優位の源泉となります。長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」では、人的資本・知的資本の強化とESG施策を一体的に推進するとともに、ROICを軸とした資本配分とガバナンスの高度化により、収益基盤改革と成長投資を両立し、環境・社会価値と企業価値を同時に高める持続的な経営を確立します。

 

 

■ マテリアリティごとの機会とリスク、取り組みテーマ

マテリアリティごとの機会とリスクを下記のとおり評価し、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の目標達成に取り組んでいます。なお、取り組みテーマ、指標及び目標(2026年度)については、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」ならびに経営戦略との整合性を重視し、それらを評価・管理するための重要課題に関する指標および目標の設定を検討しています。期末日現在においては、算定方法および対象範囲の精査を行っている段階であり、具体的な目標の設定には至っておりません。一方で、マネジメントが進捗を監督するための指標候補の整理を行っており、今後、重要性評価の結果を踏まえ、順次指標および目標を設定する方針です。

 

「価値創造」に関わる

マテリアリティ

機会(○)

リスク(●)

エネルギー・資源の効率化を支える

○省エネルギー・省資源ニーズ拡大に伴い、高効率製品・ソリューション市場が拡大

○資源循環対応や再資源化関連領域における事業機会が拡大

●エネルギー価格・資源価格の上昇や供給不安定化により、調達・製造コストが増加、供給途絶

●環境規制強化や循環性要求の高まりへの対応遅れにより、競争力低下や取引制約が発生

精密技術でテクノロジーの進化を支える

○高精度・低消費電力・高信頼性技術に対する需要拡大により、高付加価値領域での事業機会が拡大

○AI・データ活用・デジタル機器向け部材・デバイス需要の増加

●AI・半導体・通信分野の開発競争激化により投資負担が増大

●技術要求高度化や開発スピード加速への対応不足により、顧客対応遅延や市場競争力低下が発生

生産性と信頼性で人手不足に応える

○自動化・省人化・工程最適化ニーズ拡大により、生産関連ソリューション市場が拡大

○高品質・高効率化を実現する製造・業務支援領域で需要が増加

●労働人口減少に伴う人材確保難や人件費上昇により、生産体制維持や安定供給が困難化

●熟練技能継承不足により、生産性・品質維持が困難化

学び・働き・暮らしを支える

○環境意識の高まり・エネルギー価格高騰・新興国での電力不安定等での環境負荷低減や、人件費高騰による業務効率化等に資する製品・サービスの需要増

○新興国での経済成長と中間層拡大に伴い、教育・情報アクセスや業務効率化を支える製品・サービスの市場機会が拡大

●教育・業務領域における、デジタル化の進展・代替技術の台頭によって、市場競争力が低下し販売機会を喪失

●働き方変化や顧客ニーズ多様化への対応不足により、顧客接点・市場機会が縮小

 

 

 

「価値創造を支える基盤」

に関わるマテリアリティ

機会(○)

リスク(●)

イノベーションを支える人的資本の進化

○専門人材の育成や雇用・AI/データ活用・リスキリング・グローバルでの最適人材配置により、生産性向上・イノベーション創出が加速し、事業成長とROIC達成に貢献

○多様な人材の活躍推進と適切な評価・処遇を通じた社員エンゲージメントの向上による組織の総合力の最大化

●リスキリングや人材育成遅れ等により生産性・競争力が低下

●経営層・管理層の専門人材不足で戦略遅延・コスト増を招き成長機会を逸失

●労働人口減少に伴う人材確保難や人件費上昇により、専門人材確保や組織能力強化が困難化

イノベーションを実現する知的資本の創出

○技術深化と共創による社会実装を通じた新たな市場創出

●技術開発遅延や差別化不足、知財流出・陳腐化により競争優位性・収益基盤が毀損

長期価値創造を支える責任ある経営と実行

○ROICを軸とした資本配分とESG対応の高度化により、収益改革と成長投資を両立し、企業価値を向上

○サプライチェーン管理やリスクマネジメント強化により、事業の安定性とレジリエンスが向上

●環境・人権・サプライチェーン等ESGに関する規制対応遅延や違反により、信用毀損・事業制約・コスト増加

●地政学リスクや経済安全保障影響等による資源調達制約や価格変動で供給不安定化・収益悪化

●サイバー攻撃や情報漏洩が、事業継続・顧客信頼に影響

 

③リスク管理

サステナビリティに関連するリスクおよび機会を、経営に重要な影響を及ぼす要素として認識しています。

マテリアリティごとにリスクおよび機会を識別・評価し、経営戦略会議および取締役会においてその重要性を審議・管理することで、経営戦略および事業活動に反映させています。

これらのプロセスを通じて、社会環境の変化に柔軟に対応しながら、中長期的な企業価値の維持・向上を図っています。

 

■ サステナビリティ関連リスク・機会の管理プロセス

1 識別

2 評価

3 管理

・マテリアリティごとのリスクと機会の洗い出し

・経営戦略会議と取締役会を通じて洗い出したリスクと機会を評価

・経営戦略会議と取締役会を通じて、適切に管理

 

 

④指標及び目標(2025年度)

■ マテリアリティとサステナビリティ重要テーマ、KPI

前長期ビジョン「Epson 25 Renewed」では、4つのマテリアリティへの取り組みを実効性のあるものにするため、12のサステナビリティ重要テーマを設定し、取り組み目標(KPI)を定め、活動計画に反映し推進してきました。

 

■ サステナビリティ重要テーマ目標と実績

マテリアリティ:循環型経済の牽引

サステナビリティ

重要テーマ

取り組みテーマ

評価指標(KPI)

2025年度
目標値

2025年度

実績

脱炭素の

取り組み

2050年「カーボンマイナス」に向けた、設備の省エネ、温室効果ガス除去、サプライヤーエンゲージメント、脱炭素ロジスティクス

・スコープ1、2、3 GHG排出量(総量)削減率

・スコープ1、2 GHG排出量(総量)削減率

・2017年度比

34%削減

・2017年度比

80%削減

・2017年度比

35%削減

・2017年度比

82%削減

再生可能エネルギーの活用

再生可能エネルギー導入率

グローバルで

100%を維持

100%

資源循環の取り組み

2050年「地下資源(※1)消費ゼロ」に向けた

・小型軽量化/再生材活用等の資源の有効活用

・生産ロスを極小化する循環型生産システムの構築

サステナブル資源率

(※2)

38%

39%

最終埋立率(※3)

1%以下

0.7%

お客様のもとでの環境負荷低減

環境負荷低減に資する商品・サービスによる削減貢献量の最大化(※4)

商品サービスによる削減貢献量

前年以上

(※5)

環境技術

開発

2050年「カーボンマイナス」「地下資源消費ゼロ」に向けた

・サステナブル資源の高性能化技術開発

・スクラップ金属の高付加価値リサイクル技術確立

・CO2吸収技術開発

開発プロセスの進捗状況/高性能材料の技術開発状況

開発成果の外部公表実施

展示会、シンポジウム講演にて開発成果を外部公表

開発プロセスの進捗状況/金属資源再生設備の稼働状況

精錬工場の稼働開始、グループ資源循環トライアル

・グループ内回収スキーム構築

・自社精錬材料での粉末試作実施

CO2分離膜/DAC装置の開発状況

PoC(※6)向け装置開発

PoC向け装置でのCO2分離濃縮機能を確認

 

 

マテリアリティ:産業構造の革新

サステナビリティ

重要テーマ

取り組みテーマ

評価指標(KPI)

2025年度
目標値

2025年度

実績

デジタル化・自動化による生産性向上

インクジェット技術と多様なソリューション、サービスの拡充により、商業・産業印刷のデジタル化・自動化を主導し、環境負荷低減・生産性向上を実現する

商業・産業向けIJP対前年の平均売上伸長率

10%以上

13.9%

労働環境の改善・教育環境の改善

インクジェット技術とオープンなソリューションにより、環境負荷低減・生産性向上を実現し、社会のニーズに対応した印刷環境を提供する

SOHO・ホーム向け大容量インクジェットプリンター対前年の販売数量伸長率

(消耗品含む、為替影響除く)

4%以上

5%

ロボットを用いた自動化による労働力不足の解消

労働力不足解消数(※7)

27,000人

26,000人

臨場感と情報量を両立し、リアルとリモートを組み合わせた境界のない公平・自然で快適なコミュニケーション環境を提供する

共創・協業案件数

またはパートナー数

共創:継続+事例展開5件

導入企業/パートナー:継続+新規開拓1社以上

共創・協業:継続+事例展開5件

導入企業/パートナー:継続+新規開拓1社以上

大画面コミュニケーションをコンパクトに実現するスマート型の携行型ディスプレイにより均質な学びの機会を創出し、地域や社会情勢の違いによる学びの格差を緩和する

・共創・協業による現地実証プログラム数

・一般教育、社会課題啓発での実証国数

累計60件

累計5カ国

累計60件
累計5カ国

マテリアリティ:生活の質向上

サステナビリティ

重要テーマ

取り組みテーマ

評価指標(KPI)

2025年度
目標値

2025年度

実績

多様なライフスタイルの提案

センシングデバイスを核として、ウエアラブル機器によってお客様から得られるデータを価値に転換し、健康アドバイスや生活の見守りを行い、人々の多様なライフスタイルを彩る

売上に占める支援サービスのデータビジネス比率(※8)収益比率

20%以上

15%

豊かで彩のある暮らしの実現

「省・小・精の技術」と匠の技能で、魅力ある上質な商品を提供し、お客様の多様なライフスタイルを彩る

魅力ある上質な商品の対前年売上伸長率

20%以上

20%以上

 

 

マテリアリティ:社会的責任の遂行

サステナビリティ

重要テーマ

取り組みテーマ

評価指標(KPI)

2025年度
目標値

2025年度

実績

ステークホルダーエンゲージメントの向上

ステークホルダーとの対話強化

によるニーズ・社会要請への対応

社会支援活動支援金額

売上の0.1%以上を目安とする

売上の0.1%

株主・投資家との対話回数ならびに経営への意見反映

株主・投資家との対話200回以上

株主・投資家との対話210回

外部評価機関の評価指数

高評価(※9)を得る

高評価を獲得

責任あるサプライチェーンの実現

サプライチェーンBCM強化

サプライチェーン途絶・停滞によるお客様への影響(2024年度販売影響)

販売影響ゼロ

販売影響ゼロ

責任あるサプライチェーンの実現

・サプライヤーにおけるCSRリスクレベル

・SAQ回収率

・[直接材・間接材]

ハイリスク0%

・SAQ回収率100%

・[直接材・間接材]

SAQの結果 ハイリスク0%

・SAQ回収率100%

責任ある鉱物調達の実現

・製品のコンフリクトフリー(CF)率

・調査回答率

(※10)

・新製品のCF実現

・調査回答率:100%

・新製品のCF実現

・調査回答率:
99.1%

 

 

マテリアリティ:社会的責任の遂行

サステナビリティ

重要テーマ

取り組みテーマ

評価指標(KPI)

2025年度
目標値

2025年度

実績

人権の尊重とダイバーシティの推進

自由闊達で風通しのよい組織風土

づくり

組織風土アセスメント「チームで働く力」スコア

・モチベーションクラウド・エンゲージメントレーティング: A(スコア58.0以上)

・レーティングD職場数:ゼロ

・モチベーションクラウド・エンゲージメントレーティング:B(スコア50.0)

・レーティングD職場数: 46(単位:課)

こころの健康診断「総合健康リスク」ハイリスク職場数(※11)

「総合健康リスク」ハイリスク職場数ゼロ

・10名以上の職場:10職場→12職場に増加

ハラスメント防止施策の実施(教育・研修、事案共有、任用プロセス等)、事案の本社報告の徹底

2024年度施策の

継続

・各種階層別研修におけるハラスメント防止学習の継続

・相談窓口担当者向け研修の定例開催

・外部窓口の認知度向上支援およびスコープ

・ハラスメント真因としてインシビリティ行動抑制の全社e-ラーニングコンテンツへの盛込み

新「人権方針」のグループ内浸透

による人権の尊重

人権尊重のコミットメント、人権デューデリジェンス(DD)・救済メカニズムの定着・改善

2024年度施策の

継続

・海外現地法人各社の人権に係る相談窓口の体制・状況について調査のほか、2024年度施策を継続実施

ダイバーシティを尊重した人材の

活用

・女性管理職比率

(当社)

・管理職女性比率8%

・女性係長級比率10%

・女性執行役員登用1名以上

・女性管理職比率5.9%

・女性係長級比率8.4%

・女性執行役員登用1名

 

 

マテリアリティ:社会的責任の遂行

サステナビリティ

重要テーマ

取り組みテーマ

評価指標(KPI)

2025年度
目標値

2025年度

実績

ガバナンスの強化

コンプライアンス経営の基盤強化

重大なコンプライアンス違反事案
(※12)の発生件数

0件

0件

グループコンプライアンスレベル

の引き上げ

グループ全社へのコンプライアンス教育(e-ラーニング)実施率

グループ全社での実施率100%

グループ全社での実施率100%

透明・公正かつ迅速・果断な意思

決定を実現するガバナンス体制の

維持・強化

・取締役会の社外取締役比率

・選考/報酬審議会の社外取締役比率

・取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持

・選考/報酬審議会の社外取締役比率80%以上を維持

・取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持

・選考/報酬審議会の社外取締役比率80%以上を維持

情報セキュリティーの強化

重大な情報セキュリティーインシデント発生件数

0件

0件

※1 原油、金属等の枯渇性資源

※2 原材料に対する、投入サステナブル資源量と使用した枯渇性資源を再資源化した量の合計比率。サステナブル

   資源とは、再生可能資源、循環資源、低枯渇性資源を指す

※3 資源投入量に対する生産系埋立量の比率

※4 商品・サービスが社会のGHG排出量の削減に資する量を定量化したもの

※5 2025年度実績は2026年8月上旬頃、下記の当社ウェブサイトで開示予定

   https://corporate.epson/ja/sustainability/initiatives/materiality.html

※6 PoC(Proof of Concept、概念実証)新しい技術等の実現可能性や実際の効果等を検証するプロセス

※7 エプソン社内プロジェクトの効果ベースで換算

※8 データをアルゴリズム変換し価値提供を行うビジネスモデル

※9 Sustainalytics:Low、FTSE:4点以上、東洋経済新報社「CSR企業ランキング」トップ50以上

※10 調査依頼サプライヤーに対する回答提出サプライヤーの率

※11 目標値管理は回答者10名以上の職場を対象

※12 適時開示事由に該当するような違反事案

 

(2)気候変動(TCFD)

気候変動が社会に与える影響は大きく、エプソンとしても重要な環境課題の一つと認識しています。エプソンは、創業以来、「省・小・精」の技術・思想と誠実なものづくり文化を土台として事業活動を展開してきました。これらは、環境負荷低減に貢献する商品・サービスを生み出す源泉となっています。

エプソンは、お客様への価値提供を通じて事業機会の獲得・拡大を進めることで、事業成長と、商品・サービスによる社会全体の環境負荷低減への貢献の両立を目指しています。 また、価値創造を支える経営基盤として、「環境ビジョン2050」のもと、2050年にカーボンマイナスおよび地下資源消費ゼロを達成することを目標に掲げ、脱炭素と資源循環に取り組んでいます。

エプソンは、2019年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明して以降、TCFDフレームワークに基づく情報開示を進めています。これにより、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとのコミュニケーションを強化するとともに、気候変動に関するリスクと機会を経営判断や戦略検討に活用しています。

また、2021年には財務影響度を初めて定量的に開示しました。2022年には、TCFD提言の改訂を踏まえ、GHG排出量削減に向けた具体的な取り組み実績等、開示内容の強化を行いました。さらに、2023年以降は、気候関連のリスク・機会への対応に関するハイライトや具体的成果について、定性・定量情報の充実を図っています。

本開示におけるシナリオ分析および各種指標は、2025年度を最終年度とする長期ビジョン「Epson 25 Renewed」に基づき実施しています。なお、2026年3月に公表した長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」に基づく評価・指標については、今後実施する分析および検討を踏まえ、順次更新していきます。

 

①ガバナンス

気候変動に係る重要事項は、社長の諮問機関である「経営戦略会議」において審議され、定期的に(年1回以上)取締役会へ報告しています。これにより、取締役会による適切な監督体制を構築しています。

また、気候関連問題に関する最高責任者は代表取締役社長とし、サステナビリティ・コーポレートコミュニケーション推進室および生産本部が、気候変動問題への対応を含む全社環境戦略の立案・推進を担っています。なお、サステナビリティ活動全般の推進体制については「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

②戦略

エプソンは、「環境ビジョン2050」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを超えたカーボンマイナスおよび地下資源消費ゼロを目標として掲げ、取り組みを進めています。こうした目標の実現に向け、2030年までの具体的な取り組みを示したものが「中期環境活動計画(※13)」です。エプソンは、本計画に基づき、2050年目標達成に向けた取り組みを推進しています。

また、気候変動に対するレジリエンス強化を図るため、「環境ビジョン2050」の実現に向けた活動を推進しています。2025年度は、以下の取り組みを中心に活動状況をレビューするとともに、各種経営会議体への報告および重要事項の審議を行いました。

※13 中期環境活動計画の詳細は下記参照

      https://corporate.epson/ja/sustainability/environment/vision/#h2_04

<2025年度の取り組み>

● テーマ検討:脱炭素目標(SBT更新)、TNFD開示、資源循環定義・施策

● 各事業における取り組みの進捗と課題共有

● 現状調査・分析(競合他社・社会動向、環境法規制等)

 

■ 気候関連のリスク・機会に関するシナリオ分析(※14)

エプソンは、気候関連のリスク・機会の重要性を評価するため、「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分ごとにシナリオ分析を実施し、7つの評価対象項目を選定しました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)および国際エネルギー機関(IEA)が提示する1.5℃シナリオならびに社内外の各種情報に基づき、事業インパクトおよび財務影響度を評価しました。

※14 シナリオ分析は前長期ビジョン「Epson 25 Renewed」に基づき実施

 

■ 1.5℃シナリオにおける気候関連リスク・機会

シナリオ分析に基づいた気候関連リスク・機会の評価結果は以下のとおりです。

区分

評価項目

顕在時期

事業インパクト

財務影響度

移行リスク

市場の変化・政策・法規制

ペーパー需要

短期

インパクト

・気候変動とペーパー需要の変化に関する強い関連性は見出せないが、印刷・情報用紙の需要は減少傾向にあると想定する。COVID-19によるトレンド変化(分散化によるオフィス印刷の縮小等)によりペーパーレス化がさらに進んだ場合においても、インクジェット技術・紙再生技術に基づく商品・サービスの強化(印刷コスト低減、環境負荷低減、印刷の快適性向上、紙情報の有用性訴求)により財務影響へのインパクトは限定的と予想される

(環境ビジョン2050の取り組み)

・脱炭素

・資源循環

・環境技術開発

短期

インパクト

・世界的に共通した社会課題である「気候変動」と「資源枯渇」に対し、商品・サービスやサプライチェーンの「脱炭素」と「資源循環」における先進的な取り組みが求められる

・飛躍的な環境負荷低減につながる環境技術開発により、科学的かつ具体的なソリューションが求められる

 

リスクへの対応

・脱炭素

●再生可能エネルギー活用 ●設備の省エネ

●温室効果ガス除去    ●サプライヤーエンゲージメント

●脱炭素ロジスティクス

・資源循環

●資源の有効活用    ●生産ロス極小化    ●商品の長期使用

・環境技術開発

●ドライファイバーテクノロジー応用

●天然由来素材(脱プラ)

●原料リサイクル(金属、紙)  ●CO2吸収技術

2030年

までに合計

約1,000億円を投入

物理リスク

急性

洪水による
事業拠点の被災

長期

(21世紀末)

インパクト

・36拠点(国内17、海外19)を対象にリスクを評価した結果、洪水(河川氾濫)、高潮、渇水によるエプソンに将来的な操業リスクの変化は限定的

・サプライチェーンに関する短期気候変動リスクについては、BCP(事業継続計画)で対応

慢性

海面上昇による
事業拠点の被災

渇水による
操業への影響

機会

商品・サービス

(環境ビジョ

2050の取り組み)

・お客様のもとでの環境負荷低減

短期

想定シナリオ

・炭素税導入、電気料金高騰、廃棄物処分コストの上昇、適量生産・資源削減等により、環境に配慮した商品・サービスへのニーズが高まる

 

事業機会

・「Epson 25 Renewed」における成長領域として、①環境負荷低減・生産性向上・印刷コスト低減を実現するインクジェット技術によるオフィスプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販、②環境負荷低減を実現する新生産装置の拡充による生産システムの提供、により売上収益成長CAGR(年平均成長率)15%を見込む

 

2025年度

までに

成長領域CAGR15%

見込

環境ビジネス

短期

想定シナリオ

・地球温暖化対策分野や廃棄物処理・資源有効活用分野の市場成長が見込まれる

・サーキュラーエコノミー(循環型経済)へのシフトにより、再生プラスチック、高機能バイオ素材、バイオプラスチック、金属リサイクルの要求拡大が見込まれる

 

事業機会

・地球温暖化対策やサーキュラーエコノミーへのシフトに対する有効なソリューションとして、紙再生を含むドライファイバーテクノロジー応用、天然由来素材(脱プラ)開発、原料リサイクル(金属再生、紙循環)等の技術確立を通じ、価値変換(高機能化)、脱プラ化(梱包材、成形材)、高付加価値新規素材の創出等により売上収益を獲得

顕在時期  短期:10年未満  中期:10年~50年   長期:50年超

財務影響度  小:10億円未満  中:10億円~100億円 大:100億円超

■ 2025年度の取り組み実績

区分

評価項目

2025年度取り組み実績

2025年度

定量実績

移行リスク

市場の変化・政策・法規制

ペーパー需要

・大容量インクタンクモデルは、新興国や北米での販売が好調に推移、オフィス共有IJPはレーザーからの置き換えが進み、欧米で前年を下回るが、新興国を中心に販売増加しており、エプソンがターゲットとしているマーケットでのペーパー需要変動による財務影響は限定的

(※15)

脱炭素

・エプソングループ全世界の拠点(※16)での100%再生可能エネルギー化維持

・サプライヤーのGHG排出削減、再エネ電力の導入を支援する「エプソングリーンサプライチェーン」活動において、効率的に各社活動の収集やGHG排出量を可視化し活用するための環境調査システムを導入

43.9億円

(内訳)

・投 資:14.3億円

・費 用:15.6億円

・人件費:14.0億円

 

 

環境ビジョン2050

累積投入費用・投資

合計 246.1億円

資源循環

・再生プラスチック使用製品の拡大、リファービッシュ/リユースによる商品の長期使用の拡大

・不要な金属を、金属粉末製品の原料として資源化する新工場の建屋完成(2025年6月竣工、稼働)(エプソンアトミックス)

環境技術開発

・サステナブル資源の高性能化技術開発成果を外部公表

・スクラップ金属の高付加価値リサイクル技術確立に向けた、グループ内資源回収スキームの構築と自社精錬材料での試作実施

・分離膜を用いたCO2分離・回収、藻類を活用したCO2吸収技術開発推進

物理リスク

急性

洪水による

事業拠点の被災

・36拠点(国内17、海外19)を対象にIPCC第6次評価報告書に基づきリスクを評価(※17)

 -洪水(河川氾濫)、高潮、渇水によるエプソンへの将来的な

操業リスクの変化は限定的であることを確認。豊科事業所

(※18)における低階層の設備浸水リスクに対しBCP施策

(設備更新時の移設)で対応

慢性

海面上昇による

事業拠点の被災

渇水による

操業への影響

機会

商品・サービス

お客様のもとでの

環境負荷軽減

・「Epson 25 Renewed」における成長領域(オフィスプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販、生産システム)への取り組みを推進

2020年度→25年度

売上収益

CAGR +11.9%

環境ビジネス

・ドライファイバーテクノロジーを核技術としたビジネス展開に向け、再生ファブリックのビジネスモデルのPoC(※19)継続実施

※15 財務影響度 小:10億円未満

※16 一部販売拠点等の電力量が特定できない賃借物件、およびCGS発電など燃料による自家発電分は除く

※17 IPCCの気候変動シナリオRCP2.6(2℃)、RCP8.5(4℃)にて評価

※18 国内拠点で長期的洪水リスク(21世紀末)を有する主要拠点

※19 PoC(Proof of Concept、概念実証):新しい技術等の実現可能性や実際の効果等を検証するプロセス

 

■ カーボンプライシングの取り組み

エプソンは、GHG排出量削減を目的とした投資判断において、カーボンプライシングの考え方を反映した投資回収基準およびガイドラインを整備しています。これらは、投資実行前のフィージビリティ・スタディに活用しており、2018年度からの試行導入を経て、2020年度より正式運用しています。

 

③リスク管理

企業を取り巻く環境が複雑化し、不確実性が高まるなか、企業活動に影響を及ぼすリスクへの適切な対応は、持続的な成長に向けて重要であると認識しています。エプソンは、気候関連問題を経営に重要な影響を及ぼすリスクの一つとして位置付け、適切に管理しています。

 

■ 気候関連リスク・機会の管理プロセス

1 調査

2 識別・評価

3 管理

・IPCC第6次評価報告書の変化点を加味して、国内外の主要拠点を対象に、気候変動に起因した自然災害リスクに関する調査を実施

・社会動向を調査

・「長期ビジョン・中期経営計画」「環境ビジョン2050」の方針や施策からリスク・機会を洗い出し

・経営戦略会議と取締役会を通じて、シナリオ分析を評価

・経営戦略会議と取締役会を通じて、適切に管理

 

④指標及び目標

エプソンは、「環境ビジョン2050」の実現に向け、中長期的な温室効果ガス(GHG)排出削減の達成を目指しています。そのため、エプソンの強みである「省・小・精」の技術・思想を基盤に、商品の環境性能向上や再生可能エネルギーの活用、事業活動を含むバリューチェーン全体を通じた環境負荷低減に取り組んでいます。

エプソンは、2018年にSBTを設定し、その後、1.5℃水準に整合した目標へ改定しました。2025年度目標の達成に向けた活動を推進した結果、目標年度を前倒しし、グローバルに展開する全拠点における使用電力の100%を再生可能エネルギーへ転換しました。

また、Science Based Targets initiative(SBTi)のNet-Zero基準に基づくNet-Zero目標およびその過程となる短期・長期目標について、2025年5月にSBTiの承認を取得しました。これにより、環境ビジョン2050で掲げる2030年目標(全スコープを対象とした総量削減目標)が、パリ協定における1.5℃目標と整合した科学的根拠に基づくものであることが確認されました。

 

 

■ GHG排出削減目標と目指す姿

<承認された目標>

いずれも基準年は2017年度

短期目標:2030年にスコープ1、2、3(※20)を総量で55%削減

     2030年にスコープ1、2を総量で90%削減

長期目標:2050年にスコープ1、2、3を総量で90%削減

     2050年にNet-Zero達成

<目指す姿(※21)>

2030年にスコープ1、2排出量実質ゼロ達成

2050年にカーボンマイナス達成

※20 スコープ1:燃料等の使用による直接排出

   スコープ2:購入電力等のエネルギー起源の間接排出

   スコープ3:自社バリューチェーン全体からの間接的な排出(すべてのカテゴリーを目標に組み込んでいる)

※21 SBTiに承認された目標である総排出量90%を削減し、残余排出量に対して吸収・クレジット等による中和を

   行い排出量実質ゼロ、あるいはさらなる脱炭素化を狙うもの

 

■ GHG排出量実績(スコープ1、2/連結ベース)

 

 

2017年度(基準年)

(※22)

2021年度

2022年度

2023年度

(※22)

2024年度

(※22)

2025年度

(※22)

2030年度(SBT)

スコープ1

(千t-CO2e)

130

118

142

126

104

99

-

スコープ2

(千t-CO2e)

439

230

93

15

0.4

(※23)

0.5

(※23)

スコープ1、2

合計(千t-CO2e)

568

348

235

141

104

99

57

(注) 端数処理の関係で合計が合わない項目があります。

※22 SBT最新基準に基づく算定

※23 蒸気に伴う排出量

 

(3)人的資本・多様性

■ 人的資本に関する考え方・取り組み

長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」を実現するための組織・人材戦略は、将来的に単一的な事業部形態からビジネスモデルに応じたグローバルなバリエーション型組織群への転換を想定し、これらの組織群を率い、不確実性の高い環境下でも構想・実行できるリーダー人材の育成・確保とあわせて、技術を起点に、現場主義に基づき考え、磨き上げ、現実の社会に役に立つ形で進化した技術を実装していくエンジニアリング人材の養成・エンジニアリングマインドの醸成をグローバルレベルで進めることが要諦となります。

これまでもエプソンは、多様な人材の確保と、内部人材のキャリア形成・人材育成を進めつつ、これらの人材の成長領域への重点配置と、グローバルな視点での最適なフォーメーションの構築に力を入れてきました。また、多様な人材を生かす組織カルチャーや働く環境づくり、共通の価値観浸透、健康経営等を通じ、社員のエンゲージメントを高め、組織の活性化と総合力の最大化にも取り組んできました。

これらの取り組みをベースとしつつ、中期経営計画のPhase 1においては、以下5点を中心に推進してまいります。

・グループ横断的なアサインメントや地域・事業の枠を超えた人材登用の推進によるグローバル組織・人材基盤

 の活用の高度化

・各ビジネスを牽引するリーダーシップの涵養

・コア技術を理解し横断活用できる内部コア人材育成の仕組み・場づくり

・新規組織能力の鍵となる外部人材の確保と定着

・これらを加速する各種人事制度の改定およびデータプラットフォーム整備

 

①ガバナンス

人材戦略に係る重要事項は、社長がその責任者として人的資本・健康経営本部長(CHRO)を任命し、CHROが全社的な企画立案、管理、推進の責任を担っています。

CHROは、中期経営戦略に基づき、中期人事戦略を立案し、中期戦略審議等における議論・審議を経て、中期経営計画の一部として取締役会に報告しています。CHROは、各事業部・本部と連携し各事業の要員ニーズやさまざまな意見を踏まえつつ、全社観点で要員配分・要員配置を最適化し、人材戦略を推進しています。中期人事戦略において設定した主要な事項の実施にあたっては、都度経営戦略会議において審議・報告を行っています。

CHROは、年1回以上、定例的に取締役会に対し中期人事戦略の進捗状況について報告し、取締役会の監督が適切に図られる体制をとっています。取締役会では、事業側の質的な要員ニーズ明確化の必要性や、エプソンの強みをより一層生かすための人材戦略の在り方等の議論が行われています。また、経営上重要な、経営幹部層の後継計画・育成についても年1回以上、定例的に取締役会に報告を行っています。

 

■ 推進体制

 

 

②戦略

■ 求める人材像

経営戦略の実現および事業遂行に向け、エプソンは、事業の方向性や価値観の共有をベースとしながら、広い視野と専門性を備え、変化の激しい事業環境においても主体的・自律的に行動し、顧客および社会に対する価値創出に取り組むことのできる人材を重視しています。

加えて、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」に掲げる、「省・小・精」の技術と思想を基盤に、テクノロジーとエンジニアリングによって社会や産業の変革を支えるという方向性を踏まえ、技術を起点に現場主義に基づいて考え、磨き上げた技術を社会に役立つ形で実装するとともに、地域や事業、機能の枠を超えて連携し、全体最適の観点から、各ビジネスの成長や変革において構想から実行までを担い、現場でやり切ることのできる人材を必要としています。

エプソンは、前人事中期戦略において、スキルおよび行動特性を軸に人材要件を定義し、経営戦略と連動した人材の「見える化」を目的として、「人材ポートフォリオ」の構築を進めてきました。これを基盤に、量的・質的の両面から人材ギャップをより明確に把握し、グローバルに経営戦略に沿った採用、人材育成、リスキリング、最適配置、後継計画等の施策を展開し、グループ全体で中長期戦略の実現に資する最適人員構造を構築することを目指しています。

 

■ 人材戦略と機会・リスク

経営戦略の実現に向け、人材戦略の機会とリスクを以下のように評価し、5つの人材戦略の遂行に鋭意取り組んでいます。

人材戦略

機会(○)

リスク(●)

グループ横断的なアサインメントや地域・事業の枠を超えて人材の登用の推進によるグローバル組織・人材基盤の活用の高度化

○事業間/地域間連携、クロスソリューションの進展による事業成長、ROIC達成

○グループ横断での人材活用・登用による社員のモチベーション、エンゲージメントの向上

●適当な人材が、量・質において確保できないこと、また配置の仕組みが整わず、適切に配置が行われないことによる事業遂行上の障害の発生

●その結果として、成長機会の逸失と財務的損失

各ビジネスを牽引する

リーダーシップの涵養

○組織的な事業戦略遂行能力の強化による事業目標の達成

○計画的なリーダー育成と配置による組織基盤の安定

●必要な経営層・管理層の人材を確保できないことによる事業遂行上の障害の発生

●その結果として財務的損失

コア技術を理解し横断活用できる内部コア人材育成の仕組み・場づくり

○重要度の高い技術領域における価値創出

○やりがいや成長機会の提供に対し、社員が成長を実感することによるモチベーション、エンゲージメントの向上

●必要な専門性やエンジニアリングマインドを持った人材が確保できないことや、育成できないことによる事業遂行上の障害の発生

●その結果として、成長機会の逸失と財務的損失

新規組織能力の鍵となる

外部人材の確保と定着

○高度な専門性を持つ人材を獲得することによる新規事業の推進や成長領域における事業拡大

●高度な専門性を持つプロフェッショナル人材が獲得できないこと、定着しないことによる事業遂行上の障害の発生

各種人事制度の改定およびデータプラットフォーム

整備

○専門人材等を適切に評価し、処遇することによるモチベ―ション、エンゲージメントの向上、定着

○データプラットフォームを活用した人材の配置や計画的育成による組織基盤の強化

●必要な専門人材等のモチベーション低下や流出による事業遂行上の障害の発生

●人材情報の欠落による人材育成の遅れや人材の最適配置が行われないことによる事業遂行の遅れ、非効率さ

 

■ 人材戦略

人材戦略① グループ横断的なアサインメントや地域・事業の枠を超えて人材の登用の推進によるグローバル組織・人材基盤の活用の高度化

エプソンでは、これまでもお客様に価値ある製品をお届けするため、グローバルに展開しているバリューチェーン全体を効果的・効率的に運営する観点から、世界中に分散しているさまざまな機能について幅広い知識と経験を持ち、全体最適の観点から各機能間の調整を行い、現場で的確・迅速な意思決定ができるグローバル人材の育成に取り組んできました。

長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」においては、グループ全体を俯瞰した戦略的な人材活用の重要性が一段と高まっています。これを受け、グローバル視点で人材を活用できる基盤の整備を進めていきます。具体的には、事業間・地域間をまたいだ連携やクロスソリューションの推進に向けて、テーマ単位で人材をアサインし、責任と役割を明確にするとともに処遇にも紐付ける仕組みの構築に取り組んでいきます。このグローバルアサインメント制度のトライアル導入を通じて、グループ横断での人材活用を段階的に拡大していくことで、グローバルで期待される役割に応じた人材配置と処遇の整合を図り、事業戦略の実行力向上につなげていく考えです。

 

人材戦略② 各ビジネスを牽引するリーダーシップの涵養

エプソンでは年1回、各組織において要員状況を俯瞰するとともに、管理職等の重要ポジションの後継計画を策定しています。また、将来の経営層・管理職層、グローバル人材の候補者をリストアップし、育成計画を策定しています。

一方で、これらは組織単位での人材管理が中心となっており、経営層による全社横断での俯瞰的な人材把握や戦略的な活用を一層進める余地があると認識しています。こうした認識を踏まえ、特にミドルマネジメント層以上を対象に、トップマネジメントを中心として、人材活用に関する主要論点を全社的かつ継続的に議論する体制を構築しています。これにより、組織課題や事業戦略と連動したローテーション、登用、配置、組織見直しといった施策を、より一貫性のある形で検討・実行していくことを目指しています。あわせて、事業部長や本部長等の重要ポジションについては、サクセッションの観点から計画的な人材育成と配置につなげていきます。そのために、候補者へのチャレンジングなアサインメントや経営視点での経験機会を通じた育成を進めるとともに、既存のリーダー育成プログラムについても見直しを行い、より実践的な内容へと高度化していく方針です。

 

人材戦略③ コア技術を理解し横断活用できる内部コア人材育成の仕組み・場づくり

エプソンでは、OJTを中心とした業務を通じた育成に加え、階層別教育や専門教育といった体系的なOFF-JTを組み合わせた人材育成を行っています。こうした取り組みを継続しつつ、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」達成に向けて、人材戦力化の在り方についても検討を進め、必要な人材を継続的に育成・戦力化できる基盤の整備を図っていきます。

これまでもエプソンは、多様な人材の確保と、内部人材のキャリア形成・人材育成を進めてきましたが、今後は、必要な教育を必要な人材に恒常的に提供する仕組みの拡充を進めていきます。あわせて、エンジニアリング人材の専門性強化と活躍領域の拡大を図り、部門や地域を超えて機動的に価値を発揮できる人材配置につなげていきます。これにより、エンジニアを中心とした専門人材が、グローバルで知を共有しながら、価値創出につなげる力を高めることを目指しています。これらの取り組みを通じて、専門性とエンジニアリングマインドを基盤とした変化対応力の高い内部人材基盤を強化していきます。

 

人材戦略④ 新規組織能力の鍵となる外部人材の確保と定着

エプソンでは、事業の高度化・専門化が進むなかで、マネジメント人材に加え、高度な専門性を有するプロフェッショナル人材を外部から適切に確保し、定着させていくことが重要な経営課題となっています。特に、新規事業や成長領域の拡大においては、既存の組織や人材だけでは補いきれない知見や経験を、外部人材の活用によって機動的に取り込むことが競争力強化につながると認識しています。

このため、エプソンでは、従来の新卒一括採用を中心とした枠組みに加え、事業ニーズに応じて高度な専門性を有する外部人材をタイムリーに獲得できる採用の在り方についても戦略的な観点から検討を進めています。あわせて、採用後に速やかに価値を発揮できるよう、オンボーディングの充実を図り、専門人材が組織や事業に円滑に適応できる環境整備に取り組んでいます。

 

人材戦略⑤ 各種人事制度の改定およびデータプラットフォーム整備

エプソンは、専門人材の獲得・定着に加え、社員一人ひとりの専門性発揮を促すためには、市場環境や個々の貢献度を適切に反映できる評価・処遇の仕組みが不可欠であると考えています。これらを踏まえ、専門性や担う役割の価値を明確化し、成果へのコミットを促す評価・処遇体系への転換を進めています。これにより、エンジニアリング人材としての価値発揮を処遇に反映しやすくするとともに、専門人材の獲得・定着力の強化につなげていきます。

また、中長期的な成長実現と経営戦略の実行力強化に向け、人的資本データの活用を重要な基盤と位置付けています。グループ内には、構造化・非構造化を含む多様な人材関連データが存在しており、これらを統合的に活用するために、人材情報を統合データベース化し、社内基盤として活用する取り組みを進めています。

これらの人材データ基盤の高度化と人材ポートフォリオ構築を通じて、人的資本マネジメントの再現性と実効性を高め、変化する事業環境においても持続的な企業価値創出を図っていく考えです。

 

■ 社内環境整備

エプソンは、社員一人ひとりの内外環境変化への対応力強化、多様性確保、社員が働きやすい環境と組織カルチャーづくり、健康経営、労働安全衛生等の取り組みを通じて、社員のエンゲージメントを高め、組織の総合力を最大化することを目指しています。

 

<ダイバーシティ>

エプソンは、変化の激しい時代のなかで、多様なお客様を理解し、その人々に驚きや感動を与える新たな価値を創出していきます。そのために、多様な個性や能力・スキルを持った人材が世界中のエプソンに集まり、社会の一員として責任を持ち、会社とともに成長し、そして挑戦することによって、イノベーションを起こし、価値を生み出し続けることを目指しています。

エプソンは、まず日本国内におけるジェンダー平等を喫緊の課題と認識し、管理職層や経営層の女性比率が全社員の女性比率と同じになる状態を早期に実現することを目指し、将来の女性管理職候補層を増やすためのキャリアアップ応援強化施策や女性若年層向け施策等に取り組んでいます。また、インクルーシブな障がい者活躍、すなわち「障がいの有無に関わらず、個々の役割に応じたステップで挑戦し成長し続けることで、成果創出に貢献している状態」を目指します。そのために、グループ全体で障がい者採用に積極的に取り組むとともに、特例子会社の新規事業開拓等を進めています。また、障がい者との接点づくりや障がい者活躍に関するワークショップ、イベント等を通じて障がい者活躍の風土醸成に取り組んでいます。

これらの活動の基盤として、社員の意識変革を促すため、経営トップからのメッセージ発信や、社内向けダイバーシティフェアを開催しています。また、属性に制限されない活躍を支援するため、相談窓口によるサポート、男性の育休取得推進等にも取り組んでいます。さらに、多様な人材それぞれのキャリア形成をサポートし、活躍を促進するため、各種キャリア支援プログラムや、自発的な学びなおしの機会を提供する教育体系の整備を進めています。

 

<組織カルチャー>

2022年度より外部ツールを活用して実施してきたエンゲージメントサーベイを通じ、組織の状態や課題の可視化を継続的に行い、改善に向けた取り組みを推進してきました。2025年度のサーベイ結果は、全社総合レーティングスコアが前年度のBBランクからBランクへと1段階低下、総合レーティングスコアについても52.2から50.0へと低下しました。この背景には、経営体制の変更に伴い、会社や事業の方向性に対する社員の期待は高まった一方で、具体的な事業内容や施策に関する理解や実感が十分に浸透しきらず、期待度と満足度のギャップが拡大したことが影響していると考えています。また、サーベイ結果から、職場における信頼関係のベースは一定程度維持されているものの、一人ひとりが主体的に動き、自分たちで組織の弱みを改善していく自立(自律)自走型組織の実現に向けては課題が多いことが明らかになりました。これまでのサーベイは組織課題の大枠の把握には寄与してきた一方、課題の具体化や施策への接続には改善の余地がありました。今後はサーベイの見直しを進めながら、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向け、持続的成長を支える人的資本強化の重要な項目について、現状把握から施策展開まで一貫した取り組みを行ってまいります。

自ら考え、自ら行動する自律した多様な人材が組織として挑戦を続けることで、環境変化へ高いレベルで対応し、より大きな成果創出につなげることができると考えています。そのために、価値を生み出す人材の活躍推進や、失敗をおそれず前向きに挑戦し続ける組織カルチャーの浸透と定着を図る取り組みを、今まで以上に強化してまいります。

 

<働きやすい環境づくり>

エプソンでは、社員がやりがいを持ち、さまざまなライフステージ等の変化に適応しながら、いきいきと、心身ともに健康で安全に働けることを土台に、成果創出に向け挑戦し続けることができる環境づくりを目指しています。特に、フレックスタイム制度や在宅勤務等、働く時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を進め、育児・介護・療養・不妊治療等と仕事を両立しながら能力を最大限発揮できる環境を整えています。

長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向けては、多様な人材がそれぞれの能力を発揮し、継続的に活躍できる環境づくりが重要であると考えています。そのため、ライフステージや価値観の違いに応じた柔軟な働き方の推進や、個々のキャリア形成を支援する取り組みを通じて、引き続き多様な人材の活躍を支える基盤の整備を進めていきます。

 

<健康経営>

会社にとってグループすべての働く人の健康が最重要と考え、パーパス、エプソンウェイ、エプソングループ労働安全衛生基本方針およびエプソングループ健康経営宣言に基づき、働く人の健康状態の向上を基盤に、グローバルベースで仕事にやりがいを感じ、いきいきと働いている状態の実現を目指しています。エプソンは2026年4月に、新たな中期健康管理計画「健康Action 2030」を制定しました。こころとからだが健康でいきいきと働き続けられるために、自律的健康管理ができるよう「ヘルスリテラシーの向上」「健康的な生活習慣行動の増加」「ストレス対応力の向上」の三つを重点分野として取り組みます。またこの活動を通して、一人ひとりの活力が、会社を動かす力になり、企業価値向上に貢献するものと考えます。

エプソンの中期健康管理施策は2001年度から始まり、これまでの長年の活動が評価され、2026年3月に「健康経営優良法人(ホワイト500)」に10年連続で認定されています。

 

<労働安全衛生>

エプソンは2000年度に、国際労働機関(ILO)の指針に準拠した労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)をベースに方針・プログラムを策定し、労働安全衛生活動を推進してきました。

2022年度にはこれらの取り組みを、国際規格であるISO 45001に基づく活動へと発展させ、さらには労働災害の継続的な減少と安全衛生活動のさらなる深化・浸透を図るため、2026年度から2030年度を対象とする5ヵ年の中期総合施策を策定しました。

これにより、グループすべての働く人が安心・安全・健康でいきいきと働ける職場環境の実現を目指しています。

 

③リスク管理

企業を取り巻く環境が複雑かつ不確実性を増すなか、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに的確に対処することが、経営戦略や事業目的を遂行していくうえでは不可欠です。エプソンは、人的資本・多様性に関わる課題を経営上の重大な影響を及ぼすリスクとして位置付け、適切に管理しています。

 

■ 人的資本・多様性関連リスク・機会の管理プロセス

1 調査

2 識別・評価

3 管理

・人的資本・健康経営本部を中心に、国内外の主要拠点を対象に、人的資本・多様性に起因したリスク・機会を調査

・長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 35」、および中期人事戦略の方針や戦略からリスク・機会を洗い出し

・人材ポートフォリオの策定・活用プロセスにおいて、現状とあるべき姿のギャップを把握

・経営戦略会議と取締役会を通じて、適切に管理

 

 

④指標及び目標

2025年度までは前長期ビジョン「Epson 25 Renewed」のもと、人材戦略の三つの柱「強化領域への人材重点配置」「人材育成強化」「組織活性化」にそれぞれKPIを設定し、主要な施策について目標を明確にするとともに、その目標に対する進捗状況を管理していました。

なお、エプソンはグローバルにビジネスを展開しており、海外を含む全グループ会社を含めた視座で人材戦略を策定・推進していますが、各社の置かれた社会的な環境や状況等がそれぞれ異なる点を考慮し、2025年度までの指標および目標の設定にあたっては、労働安全衛生の指標を除き、優先順位の高いセイコーエプソン株式会社単体を対象としています。

2026年度以降の人材戦略に関する指標および目標については、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」およびこれに基づく経営戦略の見直しを踏まえ、進捗を管理するための指標候補の整理を進めるとともに、指標体系の見直し・精査を行っております。このため、期末日現在において、具体的な目標の設定には至っておりません。なお、今後、順次指標および目標を設定していく方針です。

 

■ 2025年度までの取り組み実績および目標

戦略

指標

実績

目標

(2025年度)

2023年度

2024年度

2025年度

強化領域への

重点配置

採用人数

新卒 344人

中途 204人

新卒 373人

中途 70人

新卒 265人

中途 29人

毎年度(※24)

350人以上を継続

人材育成

ローテーション率

10.1%

10.1%

10.0%

毎年度 15%以上

ダイバーシティ

管理職女性比率

4.7%

5.3%

5.9%

2025年度 8%

係長級女性比率

7.7%

8.1%

8.5%

同 10%

女性執行役員数

(取り組み状況を

( )で記載)

(京都大学リーダー研修に2名、マッキンゼープログラムに1名派遣)

1名選任

(2025年4月1日付就任)

1名選任

2025年度までに

1名以上

障がい者雇用率

(※25)

2.65%

2.58%

2.76%

2030年度 3.0%

労働者の男女の

賃金の差異

(※26)

全労働者

 76.5%

正規

 76.8%

非正規
 79.3%

全労働者

 77.2%

正規

 77.5%

非正規
 75.8%

全労働者

 78.4%

正規

 78.5%

非正規
 79.2%

女性管理職を増やす等の取り組みにより差異を縮小させていく(賃金制度上、同一資格等級での男女の賃金差異はないが、上位職位・資格等級に占める女性の割合が少ないことが差異の主な理由であるため)

(参考)

管理職層

 97.9%

(参考)

管理職層

 98.2%

(参考)

管理職層

 97.8%

社員エン

ゲージメント

社員エンゲージメント総合レーティング

レーティング

BB

(スコア52.9)

レーティング

BB

(スコア52.2)

レーティング

B

(スコア50.0)

2025年度までに

①全職場レーティングA(58以上)

②レーティングD職場ゼロ

働きやすい
環境づくり

男性育休取得率

85.2%

91.6%

95.7%

毎年度 100%

ハラスメント防止

e-ラーニング受講率

97.6%

97.7%

95.8%

受講率毎年度 100%

ハラスメント重要事案の本社報告徹底

報告漏れ
0件

報告漏れ
0件

報告漏れ
0件

各組織・関係会社窓口との連携継続強化

年間総実労働時間

1,866時間

1,847時間

1,872時間

2025年度 1,845時間

健康経営

こころの健康診断

「総合健康リスク」

ハイリスク職場数

1.7%

(10人以上の職場でカウント)

1.4%

(10人以上の職場でカウント)

1.7%

(10人以上の職場でカウント)

2025年度 ゼロ

労働安全衛生

重大労働災害・
事故件数(※27)

0件

0件

0件

毎年度 ゼロ

※24 各年度4月1日入社の新卒社員数と各年度の中途入社者数の合計

※25 各年度6月1日時点

※26 労働者の男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合

※27 海外を含むグループ会社全体。他の指標はセイコーエプソン株式会社単体

 

(4)知的財産

エプソンの長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」は、「省・小・精」の技術・思想を基盤に、精密技術と現場で培った知見を掛け合わせた最適解を産業と社会に実装していくことを通じて、社会価値と企業価値の向上を目指しています。

その考えのもと、知的財産に関し「エプソンの多様な『知』を見極め、つなぎ、融合することで、イノベーションの連鎖を生み出す知的基盤を築き、あらゆる知的資産を活用して持続的な成長を支え続ける」ことが重要であると考えています。これは狭義の知的財産、すなわち特許権、商標権、意匠権、著作権といった知的財産権に加え、ブランド、ビジネスモデル、データ、ノウハウ等、エプソンが保有するあらゆる知的資産を組み合わせ、最適解としての知的資産を活用することで、価値を社会実装し、持続可能な成長を支え続けることを意味しています。

例えば、エプソンの競争優位の源泉の一つに創業以来培ってきた超微細精密加工技術があります。この超微細精密加工技術は多くのノウハウが含まれていますが、特に重要なノウハウについては秘匿管理しています。エプソンのインクジェットソリューションズ事業、商業・産業プリンティング事業およびオフィス・ホームIJP事業を支えるプリントヘッドは、この超微細精密加工技術によって磨き上げられただけでなく、強力な特許ポートフォリオによる保護のもとで進化してきました。エプソンブランドの商業・産業プリンター、ホーム・オフィスプリンターに加え、プリントヘッドの外販ビジネスを展開することで、さまざまな分野にエプソンのプリントヘッドのユーザー層が広がっています。これは、安定した品質のプリントヘッドの量産製造技術があって実現できることで、この量産製造技術もエプソンの重要な知的資産の一つです。

また、スタートアップへの出資やオープンイノベーションによる第三者との共創による、ポテンシャルの高い新規市場の開拓も加速しています。これはエプソンがパートナー企業から選ばれるに値する価値ある知的資産があるからこそ実現できることです。

このように、エプソンの多様な知的資産をつなぎ、融合することで、価値が社会実装され、研究開発へのさらなる投資によってイノベーション連鎖を生み出すことで、プリントヘッドをはじめとするエプソンの製品や技術は格段の進化を遂げて、エプソンの持続的な成長を支え続けることができるのです。

 

■ 知的財産による成長戦略ストーリー(例:プリンティング分野/超微細精密加工技術)

 

 もちろん、エプソンの多様な知的資産はプリンティング分野にとどまりません。例えば、プレシジョンイノベーションセグメントとして成長が期待されるエプソンアトミックスの金属粉末事業は、独自の「S.W.A.P.®法」(※28)により、アモルファス合金粉末の量産化に世界で初めて成功し、高品質な金属粉末を安定して供給することができています。この「S.W.A.P.®法」も重要な製造ノウハウとして秘匿管理しています。また、「S.W.A.P.®法」で製造されるアモルファス軟磁性合金粉末に関する発明は、令和6年度東北地方発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、地方発明の最高賞である「文部科学大臣賞」を受賞し、エプソンアトミックスの金属粉末事業はノウハウに加え、価値ある特許権により保護されており、今後の成長を支える知的資産が構築されていることが分かります。

※28 S.W.A.P.®(Spinning Water Atomization Process)法は、アモルファス合金の量産を実現するエプソンアトミックス独自の合金粉末製造法で、エプソンアトミックス株式会社の登録商標。高周波炉で溶解させた合金をガス分断し、高速回転する水流で毎秒数十万℃もの超急速冷却をすることで、アモルファス(非晶質)状態の合金粉末を製造

 

①ガバナンス

  エプソンでは、独自のコア技術を守るための開発戦略や事業戦略と連動した知的財産戦略を策定するために、事業ごとの「事業部長/開発本部長、知的財産本部長による2者懇談会」を開催し、必要に応じて「社長、事業部長/開発センター長、知的財産本部長による3者懇談会」も開催しています。また、知的財産戦略については定期的に取締役会で報告・議論し、戦略に反映しています。

 

■ 推進体制

 

②戦略

エプソンの知的財産戦略は、下図に示す知的財産活動の価値階層に沿って、下位レベルの活動を基盤として、上位レベルの活動に展開し、階層レベルを一歩一歩着実に上がってきました。

現在、エプソンの知的財産活動は、レベル4以下の各々の活動を進化・発展させながら、それを基盤として、最上位のレベル5の実現を目指しています。レベル5の階層はレベル1からレベル4の階層の延長線上にあるものではなく、知財活動としても大きな飛躍が必要と考えています。

 

■ 知的財産戦略(概観図)

 

※29 Clarivate社が提供するDerwent Innovationを使用して分析した例。エプソンと他社それぞれの強みを可視化することで、戦略立案に活用。詳細は下記参照

https://corporate.epson/ja/technology/intellectual-property/research.html

※30 知的財産ポートフォリオの活用戦略において、自社と競合他社の実施状況を2軸で表した4象限の図で考え方を整理(Cカーブ)し、Cカーブをベースに知的財産ポートフォリオの活用戦略を策定。詳細は下記参照

https://corporate.epson/ja/technology/intellectual-property/strategy.html

 

■ 長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」で再編した事業セグメントの位置付けに応じた知的財産活動(レベル

   4)

③リスク管理

エプソンでは、知的財産に関連するリスクを経営上の重大な影響を及ぼすリスクとして位置付け、適宜2者(3者)懇談会、取締役会で状況を共有することで、適切に管理しています。

 

■ 知的財産関連リスクの管理プロセス

1 調査

2 識別・評価

3 管理

・知的財産本部で事業ごとにリスクを洗い出し

・2者(3者)懇談会と取締役会を通じて洗い出したリスクを評価

・知的財産本部で、評価されたリスクを適切に管理し、適宜2者(3者)懇談会、取締役会で状況を共有

 

④指標及び目標

②戦略にて説明したとおり、エプソンでは知的財産活動の価値階層に沿って知的財産活動を遂行してきました。そして、現在のエプソンの知的財産活動はレベル4(事業戦略と結合)に到達し、試行錯誤しながらレベル5(イノベーションを促進し未来を創り、ブランドイメージが向上)に向かって挑戦しているステージにあります。

レベル5に到達することでIPランドスケープを活用した新規ビジネス創出活動の取り組みにチャレンジすることになるため、レベル5に到達したかを測る指標として「IPランドスケープ報告数」と「共創契約審査数」を設定しています。これらの指標をエプソンの知的財産活動の取り組みへ反映することで、知的財産活動を着実に推進していきます。

 

価値階層

指標

指標の説明

レベル5

IPランドスケープ報告数

IPランドスケープを経営層(取締役、事業部長、副事業部長、本部長、副本部長等)に報告、共有した回数。この指標により、日常的に経営と密接に知的財産活動が行われ、イノベーションの促進に知的財産部門が貢献できているかを測る。

共創契約審査数

共同開発、共同研究、実証実験等の契約を審査した数。この指標により、オープンイノベーションが活発に行われているかを測る。