2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業、経営成績、財政状態、株価等に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスク要因につきましては、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断、当社の事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識し、その発生の回避・コントロール、および発生した場合の適切な対応に努めてまいります。

なお、これらのリスクは当社グループに関係するすべてのリスクを網羅するものではありません。また、記載内容のうち、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 信号システム業界の需要動向等による影響

当社グループは主力の鉄道信号システムや道路交通システムについて、国内事業の製品納期あるいは工事竣工時期が顧客の年度予算との兼ね合いから期末に集中する傾向があり、この影響により売上高が下半期に偏重する傾向にあります。また、当社の売上の多くは、顧客からの個別案件であり、顧客の設備投資計画や更新時期によって、年度ごとに経営成績に変動が生じる可能性がありますが、できる限り納期調整等を行い平準化に努めてまいります。

 

② 半導体、FPD業界の需要動向等による影響

 当社グループのパワーエレクトロニクス事業における主力の半導体・FPD製造装置用電源装置について、顧客要求への対応力強化や高付加価値製品の開発等を進めておりますが、各々の業界における短期・中長期的な需給サイクルや技術革新の進捗によって、経営成績に大きな変動が生じる可能性があります。

 

③ 当社製品の特性に起因する影響

当社グループは高品質、安全性、高信頼性に配慮した設計・製造に努めております。特に、鉄道信号・道路交通システム等の製品につきましては、交通インフラを支える公共性の高い製品であり、製品品質についてはデザインレビューの徹底、確実な出荷検査の実施等により万全を期しておりますが、使用部品等の要因により出荷検査段階では発見できない製品不具合を発生させる可能性があります。その場合には、該当する製造ロット部品の全数検査を行う等の同機種対策を迅速に行い、影響の拡大防止を図ります。

 

④ 原材料の調達に起因する影響

当社グループは製品の製造に使用する原材料を複数のサプライヤから調達しています。これらのサプライヤとは取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化により原材料価格や人件費が上昇した場合、製品価格の引き上げや利益率の低下に繋がる可能性があります。また原材料の供給不足が生産工程に影響することがあります。

 

(2) 海外事業展開に関するリスク

当社グループは海外の国・地域に8カ所の拠点等を有し、成長戦略の重要な取り組みの一つとして海外事業展開に注力しております。商社、エンジニアリング会社等との協力関係の下、現地法人を基点とした現地生産や現地企業との協業を深度化する等、積極的に事業のグローバル展開を進めております。そのため、グローバル人財の増強と育成は急務であり、海外拠点要員の早期育成と現地採用をバランスよく実施してまいります。また、現地従業員のための安全マニュアル等の整備を図っておりますが、当該国・地域の社会・政治・経済情勢、衛生環境、為替、税務、知的財産権等を含む現地の政情、法規制や商慣習等による、いわゆるカントリーリスクが国・地域ごとに異なることから、現地専門機関、弁護士事務所等と緊密に連携を図り、リスク回避およびリスク発生時の対応に備えております。

 

(3) 自然災害等に関するリスク

① 自然災害等による操業への影響

当社の生産活動は神奈川県横浜市の本社・工場を拠点としております。本社については免震構造、工場については耐震構造の建屋としており、大規模地震の発生に対しても安全を確保できる構造となっております。さらに地震発生時の電気、水道、ガス等のインフラ停止に備えて、飲料水、食料等の生活必需品の備蓄、自家発電設備を設置しており、併せて、富士山の大規模噴火に備えて降灰対策の計画を策定するなど、復旧までの事業継続体制を整えております。

今後も引き続き事業継続計画の定期的な見直し、改善を図ってまいります。

 

② 大規模な感染症の発生による影響

新型コロナウイルスは5類感染症へ移行されておりますが、今後、大規模な感染症が再び発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは引き続き感染症全般の拡大防止に努めるとともに、感染症による被害を受けた場合においても企業としての供給責任を果たすため、事業継続計画の継続的な見直し、改善を図ってまいります。

 

(4)環境規制・気候変動に関するリスク

当社グループは、地球温暖化防止、水質汚濁、大気汚染、騒音、土壌汚染、廃棄物処理、使用する有害化学物質などにおいて、国内外の環境法令の遵守に努めております。また、気候変動対応については、2022年度から気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)のフレームワークをもとに、様々なリスクと機会の把握に努めると共に、「脱炭素社会貢献」をマテリアリティ(経営重要課題)として位置付け、適切な情報開示、対応を進めております。将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、環境対応に関する費用の増加や事業活動停止などの可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「新しい価値を創造し、人々の安全・安心・快適な暮らしと社会の持続的発展に貢献します」との企業理念のもと、事業活動を通じ、地球規模の課題である気候変動の緩和のための取り組みを推進しリスクの低減を図るとともに、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

 

(5) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは社会の公共性、公益性、安全性に深くかかわる企業として、情報セキュリティ基本方針において情報セキュリティに関するリスクは重大な問題と捉え、情報セキュリティマネジメントシステムを確立し、サイバー攻撃対策、不正アクセス対策、コンピューターウイルス対策等を講じております。事業のグローバル展開が進展し、また、テレワークの定着等により情報関連のインシデントリスクが増しており、インシデント発生時には顧客への損害補償や営業機会の損失、社会的信用の失墜等のため企業の存続が危ぶまれる事態を招く可能性もあります。

当社グループは、情報セキュリティ基本方針に基づき情報システム部門の強化やIT環境の整備等に努めるとともに、システム上のセキュリティ強化や当社グループの情報を扱うすべての従業員、関係者を対象とした教育の徹底によって、情報セキュリティリスクの低減に努めております。

 

(6) その他のリスク

当社グループは、常に新しい会計基準等に基づき会計処理を行い決算に反映させておりますが、誤った会計処理によって決算の内容に影響を与えるリスクがあると認識しており、関係者による事例を用いた説明、会計処理のダブルチェック等によりこれらのリスクを排除するべく対応しております。

 

当社グループは、安全対策とセキュリティを一段と強化し、重要な財産である人的資源と大切な資産を各種の災害から保全するとともに、事業遂行上のリスク管理を目的とするリスク管理委員会体制の下、グループリスク管理体制およびグループコンプライアンス体制を強化し推進しております。また、内部監査室による内部監査結果を社長、取締役会、監査役会へ報告し、グループ内でリスク情報を共有することで再発防止に繋げております。

当社グループは、引き続きコンプライアンスの徹底とガバナンスの強化に努めてまいります。

配当政策

 

3 【配当政策】

 

当社グループは以下の株主還元方針を掲げています。

 

・当社グループは、「鉄道や道路交通の信号システム事業」をはじめとして社会性・公共性の高い事業を営んでおり、高品質製品を安定的に供給する責務があると考えていることから、堅実な経営基盤の長期的・継続的な確立と株主資本の充実に引き続き努めてまいります。

・当社グループは2025年4月を起点とする3カ年の中期経営計画“KYOSAN Next Step 2028”を策定し、その基本方針である「世界が認めるKYOSANブランドを確立」し、「新しい価値の創造」につなげるべく、4つのマテリアリティの解決に向けて課題に取り組みます。

・これらに取り組むための各分野への必要な投資と中長期的な利益水準に応じた安定的な株主還元にバランスよく配分することを基本とし、剰余金の配当はDOE2%台半ばを目安として実施してまいります。

 

このような方針のもと、当事業年度末の配当金につきましては、2025年6月25日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「剰余金の処分の件」を上程しており、同議案が承認可決されますと1株当たり18円の普通配当となります。

なお、当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を予定しております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2024年11月13日

取締役会決議

313

5.0

2025年6月25日

定時株主総会決議(予定)

1,129

18.0