2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    6,429名(単体) 27,287名(連結)
  • 平均年齢
    41.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.3年(単体)
  • 平均年収
    6,412,426円(単体)

従業員の状況

(1)連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

コンポーネント事業

8,811

(372)

センサー・コミュニケーション事業

3,261

(257)

モジュール・システム事業

13,686

(1,302)

その他

1,529

(308)

合計

27,287

(2,239)

 

(注)1.従業員数は、就業人員(当社グループからグループ外部への出向者は除く)です。

   2.従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員を外書しています。

 

(2)提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

6,429

(947)

41.9

17.3

6,412,426

 

 

 総合職相当及び管理職相当(内数)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,824

43.6

16.9

7,643,778

 

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

コンポーネント事業

2,173

(323)

センサー・コミュニケーション事業

1,392

(211)

モジュール・システム事業

2,864

(413)

合計

6,429

(947)

 

(注)1.従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者は除く)です。

   2.従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員を外書しています。

   3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3)労働組合の状況

当社及び連結子会社の多くは労働組合を持たず、従業員による組織にて労使交渉に当たっています。

なお、労使の関係は安定しています。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

2025年3月31日現在

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

4.0

66.2

63.6

62.9

64.8

(注)3

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

   3.「労働者の男女の賃金の差異」について、賃金制度は性別に関係なく同一の基準を適用していますが、全体の人数構成や各区分内における等級別人数構成等の影響で、男女の賃金差が生じています。具体的には正規雇用労働者は管理職相当、総合職相当、一般職相当の3区分に分けることができますが、それぞれの区分内での男女の賃金の差異は86.7%、78.7%、79.5%となっています。しかし、正規雇用労働者でまとめて集計すると賃金の差異は各区分内での差よりも大きくなり、上記表のとおり62.9%となります。
これは賃金水準が相対的に高くなる管理職相当や総合職相当において男性の人数が多いことによります。この是正に向け管理職や総合職相当の女性採用強化の取り組みを継続的に行っています。
また、等級別人数構成の差には、ライフイベントによるキャリア中断や長時間労働が前提にあった過去の働き方における昇格の遅れ等も影響していると考えられます。この是正に向け、女性活躍推進の取り組みやキャリア支援、人事制度の見直し等の具体的な取り組みを行っています。

 

② 連結子会社

2025年3月31日現在

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

 

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

アルパインマニュファクチャリング(株)

0.0

66.7

66.7

(注)2

62.1

61.3

76.3

アルパインマーケティング(株)

5.0

(注)3

61.5

61.6

84.7

(株)アルプスビジネスクリエーション

20.9

28.5

28.5

(注)2

72.4

75.3

65.0

アルプスシステムインテグレーション(株)

8.5

25.0

25.0

(注)2

76.1

75.7

60.0

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

   3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティー全般

当社グループでは、社会や顧客からの要求、法規制への対応に留まらず、将来にわたり持続的に成長し、社会的価値と経済的価値を創出するためサステナビリティー経営は重要な課題であると捉え、サステナビリティー課題を含むマテリアリティーを設定するとともに、全社及び各本部や部門の中期経営計画へ落とし込み、活動を推進することで、企業理念である「人と地球に喜ばれる新たな価値の創造」の実現を目指しています。

 

① ガバナンス

2025年度よりサステナビリティ委員会の位置づけを変更し経営会議の一つとして、サステナビリティー課題の監督は取締役会が行い、各本部における活動の進捗管理・課題に関する議論と取締役会への報告をサステナビリティ委員会が実施することで、経営レベルでの課題検討と意思決定のスピードの向上に取り組むとともに、サステナビリティーに係るマテリアリティーごとに担当役員を新たに明示することでサステナビリティー経営の更なる強化を図っています。

 

 <推進体制>


 

<サステナビリティーに係る会議体>

会議名

役割

構成メンバー

頻度

取締役会

(議長:代表取締役 社長 泉 英男)

▪サステナビリティー課題を含め

 た中期経営計画の決議

▪サステナビリティー課題の監督

取締役

(社外取締役含む)

1回/四半期(定期報告)及び適時課題審議

サステナビリティ委員会

(委員長:代表取締役 専務執行役員 小平 哲)

▪各本部におけるサステナビリテ

 ィー施策の進捗管理

▪サステナビリティーに係る課題

 の議論

執行役員

1回/四半期

 

 

 

<2024年度の経営会議における主なサステナビリティー議題>

経営会議名

時期

議題

取締役会

5月

・サステナビリティ委員会報告

 -サステナビリティ委員会体制変更

 -テーマ別2023年度実績と2024年度実行計画

・マテリアリティー(重要課題)の見直し

取締役会

7月

・サステナビリティ委員会報告

 -ESG評価結果

 -テーマ別第1四半期進捗

取締役会

8月

・従業員エンゲージメントサーベイ結果

取締役会

9月

・地域貢献活動に関する今後の取り組み

取締役会

10月

・サステナビリティ委員会報告

 -中期経営計画2027策定プロセス(ESG)

 -スコープ3削減の考え方と進め方

 -コンプライアンス・CSR研修受講状況

 -テーマ別第2四半期進捗

取締役会

11月

・SR(Shareholder Relations)エンゲージメント結果

取締役会

1月

・中期経営計画2027に向けたマテリアリティー(重要課題)改訂

・サステナビリティ委員会報告

 -中期経営計画2024(ESG)振り返り

 -サステナビリティーに関する重要課題の特定

 -テーマ別第3四半期進捗と中期経営計画2027KPI案

中期経営計画会議

3月

・サステナビリティー課題を含む中期経営計画2027審議

 

 

<サステナビリティーに関連するインセンティブ>

 2024年6月支給分より、サステナビリティー課題に対して役員自らがリーダーシップを発揮して活動を推進することを目的として、ESG評価に係る指標を譲渡制限付株式報酬に追加しています。ESG評価機関の評価結果を基にして算出する当社の基準により、その結果を役位別に定める株式報酬額に対して±20%の範囲で加減算しています。詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」を参照ください。

 

② リスク管理

当社グループでは、ビジョン2035の実現及び中期経営目標の達成に向け、サステナビリティー課題を含めたマテリアリティー設定プロセスにおいて、関係部門に対して社内外の環境認識並びに機会とリスクに関する調査及びヒアリングを定期的に実施することでリスクと機会を識別しています。識別したリスクと機会は、経営諸会議で検証・評価し、機会への戦略とリスクへの対応策を検討しています。

 

<マテリアリティー設定プロセス>

STEP 1
ビジョン2035及び中期経営目標を踏まえ、当社事業を取り巻く環境、リスクと機会を整理

STEP 2
機関投資家等のステークホルダーとのエンゲージ結果を加味し、重要課題を抽出

STEP 3
重要課題を当社事業への影響度とステークホルダーの関心度を軸に優先順位付け

・経営戦略室、サステナビリティ推進室、ガバナンス推進室、人事部、事業本部・担当

・経営会議(審議)

・取締役会(審議・決議)

 

 

<リスクと機会の特定>


 

 中期経営計画2027においては、気候変動に伴う自然災害や世界各国の環境関連規制への対応及び環境対応製品の拡充による新規ビジネス獲得等の「環境への対応」と、価値創造に必要となる人財育成及びエンゲージメント向上によるイノベーション促進や生産性の向上等の「人的資本」をサステナビリティー経営における重要なテーマと認識し取り組みを強化しています。

 なお、当社グループでは、ESG担当役員をリスク管理責任者とし、リスクを網羅的に整理し優先順位付けを行ったリスクマップ並びにリスク管理規定を整備しています。また、この規定に基づく危機管理マニュアルに明示したリスク情報一覧表により、想定されるリスク及び影響と対応策を展開し、各責任部門にてリスクへの対応を行っています。サステナビリティー関連リスクの詳細は「3.事業等のリスク」を参照ください。

 

③ 戦略

当社グループは、サステナビリティー経営による社会的責任の遂行は、企業の持続的成長及び価値の最大化に欠かせない重要な経営課題であると捉え取り組みを進めています。また2025年1月に、従来の事業側面に加えてESRS(欧州サステナビリティ報告基準)に基づくダブルマテリアリティー及び人的資本経営の側面も加味したマテリアリティーを改めて特定するとともに、「事業への影響度」と「ステークホルダーの関心度」を軸とするマテリアリティーマップへ落とし込み、それぞれに対応するテーマ/施策及びKPI(中期)を設定しています。なお、各マテリアリティーは提案部門が中期経営計画へ落とし込み、主体的に活動を推進するとともに、サステナビリティ委員会による進捗確認等を行うことで、サステナビリティー活動におけるPDCAサイクルを実行しています。

 

<マテリアリティーマップ>


     ※下線テーマがサステナビリティーに係るマテリアリティー

     ※(E):環境、(S):社会、(G):ガバナンス

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、マテリアリティーごとにテーマ/施策、KPI(中期)をそれぞれ設定し、ESG視点による進捗管理と評価を行っています。また、2024年度の活動実績は2025年9月に発行予定の当社統合報告書にて開示する予定です。

マテリアリティー

テーマ/施策

KPI(2025~2027年度)

担当役員・部署

気候変動への適応と緩和

・GHG排出量の削減(スコープ1、2)

・GHG排出量の削減(スコープ3)

・再エネ導入率

・△70%(2021年度比)

・2030年度△25%(2021年度比)

・85%

生産本部長

技術本部長

資源循環の促進

・環境配慮製品の拡充

・再資源化

・新製品における環境配慮製品の割合※1

・廃棄物リサイクル率:97%※2

生産本部長

技術本部長

環境負荷低減に向けた化学物質管理の強化

・製品含有化学物質管理強化

・事業所関連化学物質のガバナンス強化

・製品含有規制物質の重大事故件数:

 0件

・事業所関連化学物質に起因する重大

 事故件数:0件

品質本部長

人事総務本部長

価値創造人財の育成、個の能力を発揮できる風土

・企業ビジョンの展開及びアルプス

 アルパインの価値観の浸透

・個の活躍と社員エンゲージメント向上への実効的なアプローチ

・グローバル人財活用

・人財育成費:前年度比増(単体)※3

・エンゲージメントサーベイスコア:前年

 度比増(単体)※3

人事総務本部長

労働環境、安全衛生の向上

・安全に働ける職場環境の実現

・心身の健康増進

・サプライチェーン上の労働者の健康と安全、適切な労働環境

・重大労働災害件数:0件

・高ストレス職場改善実施率:100%

・取引先向けCSRアセスメント

 Cランク社数:0件

人事総務本部長

人権の尊重

・Social Responsibility領域の経営

 リスク低減

・サプライチェーン上の人権問題の排除(鉱物調達調査)

・人権デューデリジェンス(DD)実施:

 グローバル人権DD実施

・認証精錬所使用率:94.0%(CMRT※4

人事総務本部長

製品の品質・安全の更なる向上

・品質保証基本教育の実施

・機能安全、製品サイバーセキュリティ

 ー推進

・品質保証基本教育の受講率:100%

・安全要件違反件数(ISO26262):0件

・当社責任のサイバーセキュリティー要件

 違反件数(ISO/SAE21434):0件

品質本部長

サプライチェーン最適化と強靭化

・有事対応の迅速化・強化

・生産地/製品物流のリスクマネジメント

 強化

・BCP訓練(自社内):年1回以上実施

・リスクマネジメントの実施(自社内):

 実施及び結果展開

資材本部長

コーポレート・ガバナンスの更なる改革

・経営会議の実効性向上

・アルプスアルパイングループのガバナンス強化

・取締役会実効性評価スコア:

 前年比改善

・社内規程類体系等の整備:整備完了

ESG・法務本部長

コンプライアンス強化と公正な経営実現に向けた企業風土改革

・コンプライアンス教育の強化

・階層別コンプライアンス教育の導入:

 導入完了

コンプライアンス

・監査室

 

※1 2025年度中に決定

※2 廃棄物における埋立以外の比率

※3 連結指標は活動を開始して間もないため、今後目標設定予定

※4 CMRT(Conflict Minerals Reporting Template):紛争鉱物報告テンプレート

 

(2)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社は、2020年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しています。気候変動関連リスクと機会の分析を行い、その結果を事業戦略につなげることで持続可能な成長及びリスクへの適切な対応を目指していきます。

 

① ガバナンス

「気候変動への適応と緩和」をマテリアリティーの項目として設定し、気候変動課題に対する基本方針や対応策等の重要事項を取締役会で審議・決議しています。社長は気候変動対応を含むサステナビリティー課題に対する最高責任と権限を有しており、社長から任命された取締役がサステナビリティ委員会の委員長として、全てのサステナビリティー施策を監督する責任を負っています。2024年度のサステナビリティ委員会は、執行役員が参加する経営レベルの会議として実施しました。これにより、経営層による意思決定と役員間の連携をより密にし、重要課題に迅速かつ的確に対応できる体制としました。また、サステナビリティーに係る課題に対して役員自らがリーダーシップを発揮して活動を推進することを目的とし、2024年6月よりESG評価に係る指標を役員報酬である譲渡制限付株式報酬の評価指標に追加しています。

サステナビリティ委員会は、各施策の進捗状況を定期的に確認するだけでなく、気候変動や資源循環等の重要課題について議論を行い、必要に応じて全社方針の決定を行っています。具体的には、スコープ3におけるGHG排出量について、当社1次サプライヤーのスコープ3のGHG排出量が占める割合は約6割であるという調査結果を共有した上で、スコープ3のGHG排出量削減の重要戦略として「製品設計段階での排出量削減」を設定しました。また、気候変動の機会について、EUタクソノミー適合性評価結果を共有し、サステナビリティー推進部門と技術本部が協力して、環境価値の創出に向けた活動を推進していくことを決定しました。なお、従前のマテリアリティーである「脱炭素社会の実現」では、気候変動の緩和を最重要課題としていましたが、今後は一定程度の気候変動による異常気象を肯定し、気候変動に対して適応する取り組みも必要であると考え、新しいマテリアリティーでは「気候変動の適応と緩和」と改めています。

なお、サステナビリティ委員会で審議された環境に関連する施策・KPIは、取締役会に報告しています。

 

② 戦略

当社は、気候変動に関するシナリオ分析を実施し、その結果を基にリスクと機会を特定しました。これにより、当社の事業に与えるインパクトを内部的な基準に基づいて定量的に評価しました。

 

1)シナリオ分析方法

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)及びIEA(International Energy Agency)の情報を基に、物理シナリオ(RCP8.5、RCP2.6)及び移行シナリオ(STEPS、NZE)を選定し、4℃と1.5℃のシナリオ世界観における分析を行いました。2030年時点の4℃シナリオと1.5℃シナリオには気温上昇に大きな差異が見られないこと、事業視点で2050年時点の移行リスク・機会を予測することは困難であるため次の組み合わせに対して評価を行いました。

 

 

2030年

2050年

移行リスク

2℃/1.5℃シナリオ

物理リスク

4℃シナリオ

機会

2℃/1.5℃シナリオ

 

 

2)シナリオ分析結果

シナリオ分析の結果、4℃シナリオの場合、異常気象に伴う災害の激甚化に対して国内外の拠点への対策のみならず、サプライチェーン全体に範囲を広げたリスク対策の重要性を認識しています。一方、1.5℃シナリオの場合は、移行リスクを低減するために、脱炭素化に対する取り組みを継続的に推進するとともに、気候変動に適応する製品・サービス・市場における機会への積極的な対応が必要であると再確認しました。

 

3)リスクと機会の評価

リスクは、移行リスク(政策と法規制、技術、市場、評判)と物理リスク(急性、慢性)の側面から評価しました。

 

リスク種類

気候変動に

関する分類

リスク

時間軸※1

財務

影響度※2

対応策

移行

 

新たな規制

炭素価格設定

メカニズム

2023年に欧州で試験導入が始まったCBAM※3は、現在、CO2排出量が多い材料に限定されているが、今後、対象部材の拡大や各国への政策拡大が予想される。低CO2部材を適用しない場合、追徴税の支払いが増加する。また、低CO2部材を適用した場合は、原価率が悪化し収益に影響するリスクがある

長期

製品群ごとのホットスポット分析を行い、影響が大きい部材から順にCO2排出量低減を推進

需要の変化

顧客行動の変化

企業レベルのGHG排出量調査から製品カーボンフットプリント調査に変化しつつあり、算定工数が増加するリスクがある

中期

製品カーボンフットプリント算定業務を組織的な活動とするための体制強化

自動車業界を中心に生産時のCO2排出量削減が加速。低CO2排出材への切り替えや設計が進まず、競争力が低下するリスクがある

中期

製品群ごとのホットスポット分析を行い、影響が大きい部材から順にCO2排出量低減を推進

物理

急性

サイクロンや洪水等の異常気象の重大度と頻度の増加

昨今の異常気象により、どの地域においても大型ハリケーンが直撃するリスクがある。大型ハリケーンが直撃した際のリスクは、河川氾濫による洪水リスクであり、当社生産工場だけでなく、サプライヤー生産工場も同様にリスクがある

中期

自社工場及び主要サプライヤー工場の洪水リスクマップの作成

慢性

平均気温の上昇

平均気温の上昇により、特に夏場において猛暑日が増え、疲労による生産性の低下や空調稼働率増加によりエネルギーコストが上昇するリスクがある

長期

空調設備のエネルギー消費量増加に伴う電力コスト増加を抑制するため、効率的な省エネ施策と、ポートフォリオ視点での再エネ調達戦略を実現するため、インターナルカーボンプライシング制度を導入

 

※1 短期:1年以内、中期:3年以内、長期:3年超(現在は2030年まで)

※2 大:売上~10%、中:売上3%程度、小:売上0.5%~

※3 CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism):EUが導入した炭素国境調整措置

 

機会は、資源効率性、エネルギー源、製品とサービス、市場、レジリエンスの側面から評価しています。

機会の

種類

気候変動に関する分類

機会

時間軸※1

財務

影響度※2

製品/

サービス

研究開発と技術革新による

新製品又はサービスの開発

・気候変動に起因する異常気象が頻繁に発生するようになり、気候変動へ適応した経済活動にシフトしている。気候変動へ適応するには影響と効果を定量的に測定できなければならない。当社は各種センサー技術・製品を有しており、様々な市場に潜在的なニーズがあると予測できる

中期

・気候変動に起因する異常気象は河川洪水による災害リスクや降水量の減少による水ストレス地域の拡大等、水リスクが重要課題になる。当社は漏水センサーや水位センサー等水関連製品・技術を保有しており、これらの需要が増加することが予測できる

短期

低排出材及びサービスの

開発・拡張

・環境負荷が高いメッキや塗装等に変わる新しい加飾技術(光加飾等)を用いた製品の提供によりビジネスが拡大

中期

資源の

効率性

より効率的な生産及び流通プロセスの利用

・物流トラッカーの市場導入により効率的な流通に貢献

・アナログメーターの市場導入により工場のIoT化に貢献

中期

 

※1 短期:1年以内、中期:3年以内、長期:3年超(現在は2030年まで)

※2 大:売上~10%、中:売上3%程度、小:売上0.5%~

 

 

4)リスクマネジメント

企業の持続的成長と企業価値向上を実現するためには、事業を取り巻く様々なリスク項目について、事業への影響度と重要度を見極めた上で、中長期で施策を立案、対応していくことが重要であると認識しています。当社は、リスクに対する備えを検討するためのフレームワークとしてリスクマップを作成しており、気候変動関連リスクは経営上のリスクとしてリスクマップに含まれています。具体的な活動としては、年に1回、担当部門がリスク調査を行い、洗い出されたリスクはサステナビリティ委員会で評価・管理しています。また、財務影響度の大きいリスクは取締役会に報告し審議されています。

 

③ 指標及び目標

当社は、2050年度にバリューチェーン全体のGHG排出ゼロを目指し活動を推進しています。中期目標として2030年度にGHG排出量(スコープ1、2)を2021年度比90%削減することを目指しており、2024年4月にSBT(Science Based Targets)認定を取得しました。また、「RE100」に加盟し、2030年度に再エネ導入率100%達成を宣言しています。

当社は、徹底した省エネ活動や積極的な再エネ利活用を推進することで、GHG排出量削減に貢献していきます。

 

2050年目標

バリューチェーン全体のGHG排出ゼロ

2030年目標

GHGスコープ1、2:90%削減(2021年度比)

GHGスコープ3  :25%削減(2021年度比)

※排出量に占める割合が大きいカテゴリ1(購入した製品及びサービス)、カテゴリ4(上流輸送・配送)、

カテゴリ11(販売した製品の使用)を対象

RE100コミットメント:使用する電力の再生可能エネルギー比率100%

 

 

(3)人的資本

当社グループは、創業以来「人に賭ける」の考え方を継承し、個人の能力開発・発揮及び組織としての成果最大化を基盤とした人的資本に関する取り組みを実施しています。2025年4月より3ヵ年の中期経営計画2027の開始に当たり、企業理念や事業戦略を踏まえ、「多様で自律した社員が企業理念に共感し、互いに信頼・連携しながら主体的に行動することにより、個人の成長、組織成果の最大化と会社の持続的成長を実現」を目指す姿として定義しました。また、目指す姿(To be)の達成に向けて①人財ポートフォリオの充実、②価値創造人財の確保と育成、③個の能力を発揮できる風土醸成の3つを人的資本経営の重点テーマとして整理し、これらの課題を解決することを通じて、人的資本の拡充・活用と目指す姿の実現及び企業価値の向上を目指します。

 


 

① ガバナンス

当社グループでは、人的資本経営を担う責任者として人事総務本部長を設置し、取締役及び執行役員と連携して人と組織に関する課題のリスク把握と適切なリスクマネジメントを行っています。

人的資本に関する方針・計画等に関しては、その重要性に応じた議論を経て、取締役会及び執行役員の出席する人的資本会議に対して付議・報告しています。また、サステナビリティ委員会へは、人的資本に関する各取り組みの進捗状況を定期的に報告・討議することで、サステナビリティー経営全般としての統制を図っています。

 

<人的資本に関連する付議・報告の状況>

会議体

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

サステナビリティ

委員会

 

 

 

 

 

 

 

 

人的資本会議

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② 戦略

1)人財ポートフォリオの充実

事業戦略を実行するための組織編制を機動的に実施できるように、人財ポートフォリオの解像度をグローバルで高める取り組みを行っています。海外現地法人における管理職の育成状況を把握するなど、グローバルで人財に関する情報の更新を定期的に行い、国や地域を越えて人財を活用することで事業環境の変化に追従し、組織目標の達成に貢献していくことを目指しています。また、事業を創出する人財育成の充実・強化が急務となっており、当社の企業理念及びビジョン2035の実践には、社会的な課題等を起点とした新たな価値や事業を創出できる人財の育成が重要と考え、事業構想に関する国内外学習の機会を提供するなどの取り組みを積極的に進めています。

 

2)価値創造人財の確保と育成

自身の強みを活かし、組織に貢献できる人財を「価値創造人財」と定義し、多様な価値を生み出す人財の確保・最適配置・育成を目指します。採用場面では、採用市場への情報発信を増強させるとともに多様な採用経路を確保し、当社企業理念への共感や相互理解などを通じたマッチング性を重視した取り組みを進めています。また、新入社員のみならず全ての社員は、自身が希望する研修を受講できるなど能力開発に係る機会の創出に加え、社内公募制度や本部等をまたいだ異動を積極的に促進させることで最適配置を行っています。

 

3)個の能力を発揮できる風土醸成

当社の企業理念やビジョン2035など上位方針の実現に向けて、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる心理的安全性の高い風土醸成を更に進め、多様な社員がポテンシャルを存分に発揮できる環境整備に取り組んでいます。特に、DE&Iの観点では、女性活躍推進やシニア向けのキャリア支援、外国籍社員向けのサポートの拡充等に取り組むとともに、様々な立場から物事を多面的に捉える機会を管理職をはじめ幅広い社員に提供しています。これにより、評価や登用においても成果や役割貢献等を基にする考え方が浸透したことで、男性社員の育児休暇取得率等が上昇するなど具体的な成果へとつながっています。

 

<個の能力を発揮できる風土醸成に係る活動概要>

項目

内容

女性活躍推進

・社外交流会

・女性リーダー育成外部研修

シニア向けキャリア支援

・雇用に関する社内規定の改定

・対話活動の実施

外国籍社員向けサポート充実

・やさしい日本語ワークショップ

 

 

当社グループでは、これまで対話型マネジメントの浸透に向けた取り組みを通じて、挑戦と成長を生む企業風土の実現に取り組んできました。これにより、自らの働きがいや成長した姿を見出し、主体的に行動する社員が増加しつつありますが、それに伴いマネジメントとしてやるべきことも年々増大し、課題が高難度化する状況の中で中間管理職層が部下と向き合う時間が十分に取れないことが課題となってきています。そのため、社員のキャリア自律支援を継続的に行うとともに、中間管理職層がマネジメント業務に集中できる環境づくりも進めていきます。

 

なお、当社グループでは、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定しており、女性が活躍できる社内環境の整備を計画的に実施しています。

 


 

また、2024年度より全社員を対象にエンゲージメントサーベイを定期的に実施することとしました。こうした多様な人財が社内で活躍できる風土醸成を通じて、エンゲージメントが高まり、更なる成果発揮へつながることを期待しています。

 

4)労働環境・安全衛生

当社グループでは、重点テーマを遂行するに当たり、その基盤となる労働環境及び安全衛生の維持・向上は欠かせない事項であると捉え「安全衛生方針」を策定し、従業員一人ひとりが安全に、そして心身ともに健康に働ける職場環境づくりに努めています。

 


 

また、2021年4月に「健康経営宣言」を制定しており、従業員の健康管理を重要な経営課題と捉え、健康診断やストレスチェックの定期的な実施、特定保健指導の実施率向上をはじめとする様々な「健康経営」の実践に積極的に取り組むとともに、2022年度より健康経営ワーキンググループを発足させ、取り組みを推進しています。

 


 

③ 指標及び目標

当社における、2022~2024年度における指標/目標及び活動実績は次のとおりです。

なお、当社グループは、各社それぞれ独自に人事制度を整備・管理していること、特に海外現地法人においては各国の法規制や慣習、外部環境や社内での課題認識等も異なることから、日本の国内法令に基づく集計を除き、人的資本管理関連指標の取りまとめを行っていません

 

テーマ/施策

KPI(2022~2024年度

2024年度実績

人財の確保と育成

採用計画充足率100%(単体)※1

116%(単体)

人財育成費:前年度比増(単体)※1

前年比+4.63%(単体)

働きがいの醸成

エンゲージメント指標及び測定方法の確立※2

64.5pt(単体)

ダイバーシティー&

インクルージョン

新卒女性採用比率15.0%(単体)※3

10.8%(単体)

女性管理職比率6.0%(単体)

4.0%(単体)/17.3%(連結)

障がい者雇用率2.6%(国内連結)※4

2.66%(単体)/2.64%(国内連結)

男性育児休業取得率45.0%(国内連結)※4

66.2%(単体)/59.6%(国内連結)

 

※1 提出会社の人財の確保と育成を目的としており、国内・海外連結子会社は含まず

※2 提出会社を対象として実施しており、国内・海外連結子会社は含まず

※3 提出会社の女性社員比率向上を目的としており、国内・海外連結子会社は含まず

※4 本取り組みは国内法を基本としたものであり、海外連結子会社は対象に含まず

 

なお、これまで当社グループは日本国内の従業員に関するデータを中心に人的資本に関する取り組みを進めていましたが、中期経営計画2027においては、グローバルでの人的資本に関するデータ整備と一体的なマネジメント体制の構築に向けて、以下の指標/目標を設定し取り組みを進めていきます。

 

テーマ

指標

目標(2025~2027年度

2024年度実績

人財ポートフォリオの充実

付加価値創出率

130%超(連結)

129.9%(連結)

価値創造人財の確保と育成

人財育成費

単体:前年度比増

連結:活動を開始して間もないため、今後目標を定めます

24,199円/人(単体)

個の能力を発揮できる風土醸成

エンゲージメントサーベイスコア

単体:72pt

連結:活動を開始して間もないため、今後目標を定めます

64.5pt(単体)

 

※国内外の動向等を踏まえ今後も労務費上昇が見込まれることから、付加価値創出額も同様に上昇させていくことを想定し、2024年度と同程度の目標設定としています