リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社製品について
当社グループの売上高はIC、光学センサー、LED等の集積回路部門が約8割を占めており、その大部分がアセンブリ(組立、測定検査)事業であります。
アセンブリ事業は顧客との委託加工契約に基づいて当社グループがIC等の組立、測定検査を行うものであり、大手系列に属さない独立系のアセンブリ工場として、その供給先は約50社に及んでおりますが、顧客の販売状況等により当社グループの受注が左右される可能性があります。
また、サーマルプリントヘッド、センサー等の機能部品部門の製品の大半は、顧客が販売する搭載機器(最終製品)の企画段階からプロジェクトに参画し、その搭載機器向けに当社グループが開発・設計したカスタム部品を納入するものであり、顧客の販売状況等により当社グループの受注が左右される可能性があります。
(2) 当業界を取り巻く状況
当社グループの属する電子部品業界は、技術革新による製品の陳腐化が激しいため、製品の世代交代が頻繁に発生します。この時期には需要に対して供給が追いつかず、逆にシェア獲得を目指して大型の設備投資が実行された後には供給過剰に陥る、ということが周期的に繰り返されてまいりました。このような半導体市況の変動が当社グループの経営成績に与える影響は顕著であります。
当社グループは、効率的な設備投資・研究開発投資の継続的に実施し、新製品および高付加価値製品の開発により、市場環境の変化、顧客ニーズの多様化に対応してまいります。
(3) 価格競争および為替の変動
当業界は生産拠点の海外進展および国際間競争の影響による価格競争がますます激しくなっており、今後も販売価格の下落傾向は続くものと思われます。また、当社グループの売上高に占める輸出比率は9.4%(2024年3月期)と低いものの、当社グループ製品が搭載されるセット製品の輸出比率が年々増加していることもあり、海外市況および為替相場の変動が当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産設備の内製化等により自動化・省力化による製造原価低減に積極的に取り組んでまいります。
(4) 原材料の価格変動および調達難
原材料価格の変動は全産業に影響を及ぼしておりますが、とりわけ当社グループの属する電子部品業界にあっては、金、銀、銅、すず、ニッケル、パラジウム、ルテニウム他、希少金属を含め金属類の価格上昇による影響が顕著であります。また、市況における急激な需要増加等により、原材料の需給バランスが崩れ調達が困難になる懸念もあります。これら原材料の価格変動や調達難が生産に影響を与え、その結果、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品の設計段階から機能とコストの最適化を追求するとともに複数の材料メーカーから購入することで、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めてまいります。
(5) 品質問題
当社グループは品質マネジメントシステムの国際基準ISOに基づき、「お客様を満足させる品質を提供することで信頼を確保する」という基本方針のもと、品質管理活動に継続的に取り組んでおります。しかしながら、すべての製品において欠陥がなく、将来に製品の欠陥に起因する損害賠償請求等が発生しないという保証はなく、大規模な製品回収や損害賠償請求につながる欠陥の場合には、多額の費用発生や社会的信用の低下により、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権
当社グループは独自技術について、必要に応じて特許を出願しておりますが、出願した技術内容について権利を得られずに保護が受けられない場合があります。また、知的財産権の保護が十分でなく、第三者が類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。一方、新製品の開発にあたっては、第三者特許等の調査を実施しておりますが、当社グループが認識し得ない知的財産権が存在し、権利を侵害しているとして第三者が申し立てをすることが発生しないという保証はなく、当該知的財産権の使用禁止もしくはロイヤリティーの支払発生、訴訟の提起がなされることによる費用負担の発生等により、製品の製造、販売に制約が生じるなど、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材確保
労働力人口の減少や各産業分野における技術革新の進展により、当社グループが必要とする多様な技術領域の人材に対するニーズが産業界全体で増大しており、優秀な人材の獲得は競争状態となっております。当社グループでは、計画的な新卒採用に加え、教育・訓練制度の拡充、適性を重視した配置など社員の定着・育成に努めておりますが、雇用環境の変化などにより当社グループが求める人材の確保やその定着・育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、優秀な人材を確保するため計画的な新卒および中途採用を継続するとともに、従業員が働きやすい職場環境の構築に継続して努めてまいります。
(8) 情報セキュリティ
当社グループでは、ビジネスプロセスにおける機密情報や顧客・その他関係者に関する機密情報などを電子データとして保有しております。これらの電子データの利用に関しては、管理体制の継続的な強化を図り、安全対策に努めているものの想定した防御レベルを超える技術による不正アクセスや予期せぬ不正使用があった場合には、電子データが外部に流出したり検知できないまま改ざんされる恐れがあります。その結果、当社グループの社会的信用失墜や経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様化する情報化社会のなかで情報の重要性を認識し、セキュリティ管理の枠組みを明確に定め、厳格に管理実践することで、当社および顧客の情報を保護し、ビジネスの健全な発展を図ってまいります。
(9) 自然災害および感染症
当社グループの製造拠点や営業拠点が、大規模地震等の自然災害によって甚大な損害を受けたり、感染症のパンデミック発生等により通常の事業活動が困難になった場合、生産活動の停止やサプライチェーンの分断により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが直接的に損害を受けなくても、お客様や取引先が損害を受けることにより生産・物流・販売等が計画どおりに実行できず、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業活動を阻害するリスクを予知・予見し、継続的な予防・軽減策の構築に努めることにより、その顕在化によってもたらされる影響を極小化し、損失を最小限にとどめられるよう努めてまいります。
大規模な自然災害が発生した場合は、グループ内にて代替生産が可能な製造拠点を構築してまいります。また、感染症対策としての社内マニュアルを徹底し、感染の未然防止に努めてまいります。
配当政策
3【配当政策】
企業体質の充実強化と将来の事業展開を見据えた内部留保を確保しつつ、株主のみなさまに対する安定的な利益還元を最重要課題のひとつと考えており、利益の状況、配当性向などを総合的に判断したうえで、安定的な配当の継続に取り組んでまいります。
内部留保金の使途につきましては、当業界が装置集約型産業に属し、技術革新の速さ、製品のライフサイクルの短縮に伴う量産ラインの切り替えの早期化など、利益の再投資により企業全体の利益を拡大していくという基本方針に基づき、長期的な視野に立った新製品への開発投資、生産効率の向上・合理化を目的とする設備の開発・改善などに充当させ、価格競争力の強化に寄与させてまいりたいと考えております。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これら剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月27日 |
299,975 |
25 |
取締役会決議 |
||
2024年6月25日 |
324,771 |
29 |
定時株主総会決議 |