2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、記載された以外にも重要性が低いと考えられるリスクや想定していないリスクも存在します。
 なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づいて、当社グループが判断したものであります。

 

① 政治・経済情勢に関するリスク

 当社グループは20か国に連結子会社を有し事業を展開しております。各国・地域の政治・経済情勢の変化により、特定の国・地域での生産及び販売に支障が出た場合又は需要の急減等の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、グループ内での情報収集や第三者機関を通じた政治・経済情勢の変化及び政策変更等をモニターすることにより、これらのリスク顕在化の兆候を早期に把握し対応する体制を取っております。また、生産拠点の分散化(中国、シンガポール及びインドネシア)や販売拠点の分散化により、特定の国・地域への依存を回避することで、リスクの逓減に努めております。

 

② 調達に関するリスク

 当社グループの製品には多数の精密電子部品(IC、メモリー、光デバイス等)を使用しており、複数のサプライヤーから調達しております。これらの部品は世界的な需給バランスの影響を強く受ける傾向があり、当社グループが属する産業以外や特定の地域からの需要の増加、災害等による供給の減少、また、特定の国・地域での人件費の高騰による部品価格の高騰等が発生する可能性があります。

 当社グループは、これらの部品の安定的な調達のため、調達先との関係強化、長期購買契約の締結等に加え、調達先の分散化、価格比較による安価な部品の調達、代替品の検討等も進めております。

 しかしながら、想定を超える需給バランスの変化により当社グループの調達に支障が出た場合や部品価格高騰によりコスト競争力が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法規制に関するリスク

 各国・地域の安全基準、環境基準及び輸出関連規制等は様々であり、当社グループは、部品サプライヤーに対する安全基準、環境基準の確認、外部機関による監査を通じ、これらの基準や規制等に適合する製品を提供しております。また、グループ内での情報収集・共有化を図り輸出関連規制の改正による影響を把握し、違法性のモニタリングを通じて必要に応じ取引体制を整備しております。さらに、現地日系企業等との情報交換や専門機関の協力を得て、基準や規制の改正情報を早期に把握するように努めております。

 しかしながら、予期しない基準や規制等の改正により、製品の製造及び販売に支障が出た場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 品質に関するリスク

 当社グループは、開発から製造、販売、サポート・サービスに至る全てのプロセスで、品質確保及びお客様満足度の向上に取り組んでいます。製品調達は、調達先の認証取得や規格準拠の確認、実績やサポート体制等の事前調査を実施し、品質マネジメントシステムに基づく評価により、事前のリスク評価と対策を講じております。開発及び設計段階では、厳格な品質基準を定め、これに基づいて工程管理を行っております。製造段階では、工場の工程内での全数機能検査や出荷前の抜き取り検査等を実施し、不良品の流出防止体制を整えております。販売及びサポート・サービス段階では、お客様との綿密な対話を通じてニーズを的確に分析し、満足度の高い製品及びサポート・サービスの提供に努めるとともに、不具合の早期発見及び対応に努めております。さらに、適切な賠償保険に加入し、万一の事態に備えております。

 しかしながら、これらの対策にもかかわらず、想定を超える問題が生じ、顧客システムの停止等による損害や生命・身体に危険を及ぼすことによる多額の損害賠償責任や事実関係の当否にかかわらず当社グループの社会的信頼の損失などを負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 為替に関するリスク

 当社グループの連結売上高に占める海外の比率はおおよそ30%~50%で推移しております。また、日本における当社グループの部品、製品等の仕入れは主にドル建で決済しており、為替変動の影響を受け易くなっております。さらに、当社グループは国外19か国で事業を行っているため、研究開発費等の海外の費用についても、為替変動の影響を受け易くなっております。これらの影響を軽減するため、市場リスク管理要領を定め、為替変動による損益インパクトの感応度分析を行うとともに、必要に応じて為替予約取引等のヘッジを行っております。

 しかしながら、すべてのリスクを排除することは困難であり、急激な為替相場の変動が起きた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 法令遵守に関するリスク

 当社グループは、企業倫理規程等のコンプライアンス体制に係る規程を制定し、全役職員が法令、定款及び社会規範を遵守した行動を取るための行動規範として教育等を実施するとともに、各国・地域の特性に応じ、拠点ごとの社内研修等を実施しております。また、コンプライアンス体制の運用評価及び整備・強化・有効性の維持・向上のために必要な諸施策の提言など、組織横断的なリスク状況の監視及び全社的対応を行う統合コンプライアンス委員会を設置するほか、法令上疑義ある行為等について使用人が直接に情報提供を行う手段としてコンプライアンス・ホットラインを設置し、法令遵守の徹底を図っております。

 しかしながら、これらの対策を講じても、役職員の故意又は過失により重大な法令違反等が発生し、社会的信用の失墜や損害賠償責任などを負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループはシステム構築やサポート・サービスにおいて、お客様や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがありますが、これらの情報管理において、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊・紛失・漏洩等が発生する可能性があります。

  これらのリスクを回避するため、情報セキュリティ基本方針や個人情報保護方針等の社内ルールの制定、プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 27001の認証取得により、役職員の情報セキュリティに関する意識向上を図る教育・啓発活動を実施しております。また、業務データの暗号化やPCのシンクライアント化、外部からの不正アクセスに対する情報システムの構築等の対策を講じております。さらに、適切な賠償保険に加入し、万一の事態に備えております。

 しかしながら、予測できないサイバー攻撃やコンピュータウイルスの侵入等により、個人情報あるいは機密情報等が漏洩したことにより、多額の損害賠償責任や事実関係の当否にかかわらず当社グループの社会的信頼の損失などを負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 知的財産権に関するリスク

 製品開発において、当社グループが第三者の知的財産権を侵害するリスク又は当社グループの知的財産権が第三者に侵害されるリスクが存在します。

  これらのリスクを回避するため、第三者の知的財産権に関しては、知的財産権の取得方針と責任者を定め、組織的に管理運用する体制を整備しております。製品の開発段階、出荷前、サービス提供等の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、第三者の知的財産権の侵害を回避しております。なお、万一見解の相違等により第三者から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、知的財産の専門人材を配置するとともに、弁護士・弁理士等と連携し適切に対応する体制を整えております。また、当社グループは、製品開発の中で多くの技術やノウハウを蓄積し、それらの保護を目的に知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の国・地域においては、知的財産権の保護制度が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造・販売する可能性があります。これらに対応するため、グループ各社で常に情報収集を行い、必要に応じて弁護士・弁理士等と連携し適切に対応する体制を整えております。

 しかしながら、リスクに十分に対応できなかった場合や当社グループが認識していない知的財産権が存在し、製品の製造・販売に支障が出た場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 災害等に関するリスク

当社グループが事業展開する国・地域等において地震等の自然災害やテロ等が発生した場合には、各拠点の設備等が壊滅的な被害を被り操業が中断するだけでなく、修復や代替設備等に関する巨額の費用が発生する可能性があります。

 これらの影響を最小限に抑えるため、販売・生産拠点の分散化、耐震工事の実施、適正在庫の保持並びに損害保険加入等の施策を講じておりますが、想定を超える災害等が突発的に発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3 【配当政策】

  当社は、安定的かつ継続的な株主への利益還元を経営課題として考えるとともに、社会のニーズや技術の進歩・動向などを見据えた研究開発を成長のための必要不可欠な投資と位置づけた上で、 経営基盤の強化と財務体質の健全性の保持に努めております。その上で業績に応じた株主への利益還元を実施することを基本方針としています。

上記の基本方針に基づき、当期の期末配当は、1株当たり1円としております。

 

なお、次期の配当につきましては、配当可能額の状況に加え、基本方針のとおり、健全な財務体質の保持及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実などの様々な要素及び状況を勘案しつつ判断することとしているため、現時点で未定とさせていただきます。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年2月14日 取締役会決議

109,731

1.00