2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。また、これらは実際に起こり得る全てのリスクを網羅したものではなく、当社グループのリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

(最も重要なリスク)

1 内部統制及びコンプライアンスに関するリスク

リスクの名称

リスクの概要

リスクへの対応

① 2022年10月に公表した再発防止策の実行について

当社は、2022年6月に連結子会社役員が逮捕された事件を契機に、事実関係の調査等を目的として外部有識者からなる独立調査委員会を設置して調査を進め、同年8月に同委員会より答申書を受領しました。当該答申書で指摘された原因解明及び再発防止策の提言を踏まえて、同年10月に再発防止策を決定・公表いたしました。今後、当該再発防止策が適切に実行されないことにより、問題が生じた場合は、当社グループの事業活動、業績及び財務活動に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、次を主な内容とする再発防止策を決定・公表しております。

・属人的事業遂行体制の是正

・当社取締役会における子会社管理に関するリスク評価及び監督機能の強化

・コンプライアンス意識の向上

・ソフィアデジタル株式会社の着信課金サービスの事業からの完全撤退

以上の再発防止策につきましては、公表後速やかに実行に着手いたしておりますが、今後ともこれらの施策を継続的に実行し、内部統制やリスク管理体制の一層の強化を図ってまいります。

② コンプライアンスに関するリスク

当社グループにおいて、法令・社会規範・倫理に反する問題が発生した場合や当社グループの取締役や従業員による不正行為・コンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、多額の課徴金や損害賠償を請求されたりするなど、当社グループの経営成績、財政状態及びレピュテーションに大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、上記①「2022年10月に公表した再発防止策について」に記載のとおり、再発防止策として、当社グループの役職員のコンプライアンス意識の向上に取り組むとともに、子会社のリスク評価と監督機能の強化を図っております。このことにより、事業活動のモニタリングを適切に実施し、不適切な活動を早期に発見し、対応を実施するよう努めております。

③ 協力会社、業務委託先、及び販売代理店等に関するリスク

協力会社、業務委託先、及び販売代理店等(以下「協力会社等」という。)が契約を実行しなかったり、協力会社等が納入した製品やサービスに契約不適合が発生した場合のほか、協力会社等やその役職員等が不正行為や社会的に不適切な行為を起こした場合において、当社グループの経営成績、財政状態及びレピュテーションに大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、取引開始前及び取引開始後においても協力会社等の審査・調査を行うほか、これら協力会社等の業務の遂行状況のモニタリングを強化することなどにより、製品・サービスの品質の低下や不正行為・不適切行為等が発生しないように努めてまいります。

 

 

 

2 経営環境の変化のリスク

リスクの名称

リスクの概要

リスクへの対応

① 薬価や調剤報酬の
改定のリスク
(消費税含む)

調剤売上は厚生労働省により定められた薬価基準に基づく薬剤収入と調剤技術料から成り立っております。今後、薬価基準や調剤報酬の改定が行われた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

厚生労働省が公表している『患者のための薬局ビジョン』の具体化を目指し、かかりつけ薬局・薬剤師として更なる機能の充実化を図るほか、「地域連携薬局」や「専門医療機関連携薬局」の構築や、「オンライン服薬指導」等への取り組みを強化してまいります。

② 情報サービス産業における技術革新・価格競争

ソフトウエア業界の技術革新のスピードは速く、当社が常に技術革新に適合した製品を開発できない可能性があります。当社の予測に違いが生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

ユーザーニーズの変化・拡大に伴うサービスの提供を行うために、積極的な技術開発を行っている他、情報サービスに関する先端技術や基盤技術についての調査研究も進めております。

③ 新規事業・新規サービスに関するリスク

当社グループの事業成長のため、新規事業や新規サービス(以下「新規事業等」という。)の創出・育成が必要であるという認識の下、当社グループでは新規事業等に取り組んでいく予定であります。新規事業等の創出・育成に当たってはコストが先行的に発生する場合だけでなく、その展開が当初の計画どおりに進まない可能性や場合によっては途中で中止を余儀なくされる可能性があります。このような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

新規事業等を開始する場合は、その事業等の見通しや当社グループ企業とのシナジー効果について慎重に検討を行った上で、実行することとしております。また、新規事業等の開始後の事業展開や業績動向について定期的なモニタリングを行うことなどにより、赤字の事業やサービスは早期に黒字化させ、黒字化した事業やサービスは一層の事業拡大に向けた支援を行ってまいります。

 

 

3 投資・M&Aのリスク

リスクの名称

リスクの概要

リスクへの対応

① 投資先の業績不振

当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しております。これらの実施に関しましては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予測できない様々な不確実性が伴っております。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

M&Aの機会があった場合には、投資先の事業展開の見通しや当社グループ企業とのシナジー効果について慎重に検討を行った上で、外部の専門家によるデューデリジェンスを実施します。さらに取締役会において十分な議論を行って最終的に投資を決定しております。

② 有形固定資産やのれん等の減損

当社グループは、有形固定資産やM&Aに伴うのれん等の無形固定資産を有しておりますが、資産の時価が著しく下落した場合、または事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

M&Aの実行にあたっては、損益計画の妥当性や投資回収の実現性を取締役会で審議しているほか、M&A実行後においても、投資先の業績動向について毎月モニタリングを行っており、業績動向に懸念がある投資先については、収益改善に向けた施策や早期の売却の検討・実行を行っております。

③ 借入金の返済・金利の上昇

当社グループはM&A等の必要資金を主に金融機関からの借入により調達しております。そのため、取引銀行と良好な関係を維持し、必要な資金調達に支障をきたさないようにしております。しかしながら、今後の金融市場の悪化、金利の上昇等により当社グループの望ましい条件で資金調達や借換が実行できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

安定した収益の確保を図るとともに、有利子負債の削減を着実に行うことで財務基盤を強化し、自己資本比率の向上に努めております。また、金融機関との良好な関係を維持し、必要な資金調達に支障をきたさないようにしております。

 

 

 

4 人材確保・教育のリスク

リスクの名称

リスクの概要

リスクへの対応

① エンジニアの確保

ICT業界での人材獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保できないリスクがあります。この人材には、システム開発等の知見を持ち開発を実際に行う人材以外に、システム開発受託案件をプロジェクトとしてしっかり運用できるプロジェクトマネージャークラスの人材も含まれます。

継続的に優秀な人材の獲得に取り組むとともに、既存人材の育成や従業員満足度の向上に取り組んでまいります。

② 薬剤師の確保

調剤薬局においては、薬剤師法第19条で原則薬剤師以外による調剤が禁止され、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で、店舗毎に一定数以上の薬剤師の配置等が義務付けられております。

就労形態や処遇形態などにおける働きやすい環境や各種制度づくりをはじめ、外部変化をも把握しつつ常に雇用管理の改善に取り組む運営体制で、人材確保に努めております。

 

 

 

(その他の重要なリスク)

1 品質・オペレーションに関するリスク

リスクの名称

リスクの概要

リスクへの対応

① システム開発案件の失敗

インターネット関連事業・通信事業では、顧客企業のシステムの開発サービスを提供していますが、開発途上において当初定めた仕様の変更を余儀なくされる場合等や開発の難易度を見誤る可能性があり、そのような場合に、作業工数が当初の見積り以上に増加する可能性や納品後の性能改善等により追加費用が発生する可能性があります。このようなコストが発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

受注前の見積りや受注後のプロジェクト管理については、経験や知見のあるマネジャーによって実施するほか、一定規模以上のプロジェクトについては進捗状況をレビューする会議を開催する等、追加のコストの発生を防止するように努めております。

② 機器の故障や
オペレーションミス

インターネット関連事業・通信事業において、当社の利用している機器設備の故障やオペレーションミス等によって障害が発生し、顧客の事業活動に影響を及ぼした場合、顧客からの信用低下や損害賠償請求につながる可能性があります。

当社グループが利用している機器設備の整備や点検を定期的に行うほか、必要なオペレーションのマニュアル化を徹底し、常に更新することにより、提供するサービスの品質の維持や向上に努めております。万一障害が発生した場合の対応についても整備を進めております。

③ 調剤過誤の発生

調剤薬局及びその周辺事業では、調剤過誤の防止に努めておりますが、万一調剤過誤が発生した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起を受けることによる損害賠償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

調剤業務に関する技術や医薬品の知識の向上に取り組み、調剤過誤を防止すべく万全の管理体制のもと、細心の注意を払い調剤業務を行うとともに、調剤過誤防止や効率化のために、監査チェックシステムを設置しております。また、リスク管理のため、全店で「薬剤師賠償責任保険」に加入しております。

④ 法令違反等の発生

調剤薬局及びその周辺事業では、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品機器等法」という。)、健康保険法、薬剤師法、麻薬及び向精神薬取締法をはじめとした許認可、登録、指定、免許、届出等に基づき、厚生労働省及び都道府県の監督の下、調剤薬局の運営を行っています。万一、これらの法令や監督官庁のガイドライン等に違反する行為があり、業務停止命令や許可等の取消し等を受けた場合は、当社グループの経営成績、財政状態及びレピュテーションに大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、調剤薬局店舗において、各種法令及びガイドラインを遵守した業務の運営が行われているかのモニタリングを行うことに注力するとともに、監督官庁の指導の下、管理・運営方法の改善に努めております。また、必要に応じて弁護士等の外部専門家への相談を行っております。

 

 

 

2 法令の変更のリスク

リスクの名称

リスクの概要

リスクへの対応

① 調剤薬局に関する法令及び医薬分業

調剤薬局の運営に当たり、各都道府県等の許可・指定・登録・免許を受けております。関連する法令が改正された場合や、関連する法令に違反した場合等には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また今後、医薬品販売に係る規制緩和等が進んだ場合、異業種参入等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、医薬分業とは、医師が患者に処方箋を交付し、薬局の薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行い、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し国民医療の質的向上を図るため、国の政策として推進されてきました。今後、この動向が変化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、各種法令および法令に基づくガイドラインの改正のモニタリングを行うとともに、改正がある場合には必要に応じて業務の運用方法の変更などの対策を講じているほか、必要に応じて弁護士等の外部専門家への相談を行っております。

② 通信

当社グループの通信事業では、「電気通信事業法」による電気通信事業者として、総務省へ届出および登録を行っております。また、同法に基づく規制を受け、これらの規制事項を遵守しております。将来、これらの規制が変更され、または新たな法令が適用されることにより、事業に対する制約が強化された場合、事業活動が制限され、またはコストの増加につながる可能性があります。それらの事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、各種法令および法令に基づくガイドラインの改正のモニタリングを行うとともに、改正がある場合には必要に応じて業務の運用方法の変更などの対策を講じているほか、必要に応じて弁護士等の外部専門家への相談を行っております。

 

 

3 事業継続のリスク

リスクの概要

リスクへの対応

地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行等により、当社グループにおいて人的被害または物理的被害が生じた場合、または、外部通信インフラ、コンピューターネットワークに障害が生じた場合等の事由によって当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

災害等が発生した場合の事業への影響を最小限に留めるため、テレワーク環境の整備や事業継続計画(BCP)の策定を検討し、有事の際の影響を最小限に留めるよう努めております。

 

 

4 情報セキュリティのリスク

リスクの概要

リスクへの対応

当社グループは、顧客や取引先情報を管理・保有しておりますが、悪意を持った第三者によるサイバー攻撃や情報事故等を含む予期せぬ事象によりこれらの情報の漏洩が発生した場合、顧客等からの損害賠償請求や信用失墜等のほか、当社技術の流出に伴う競合他社に対する競争力の低下等により、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクや昨今の社会情勢も踏まえ、当社グループは情報管理を経営の重要事項と位置付けており、各種法令等や個人情報の管理に係るプライバシーポリシーに沿った情報管理体制の運用・強化及び社員の意識向上を目的とした社内教育・啓発活動を行っております。さらにサイバー攻撃対策、ネットワーク管理、入退館におけるセキュリティシステムの導入等、外部からの侵入・攻撃等にも様々な対策を講じ、運用監視体制を強化した上で、これらの見直しも継続的に行っております。

 

 

 

5 親会社との関係

リスクの概要

リスクへの対応

親会社と当社グループが行う事業に競合関係が生じた場合や親会社の経営方針変更による提携関係解消が起こった場合は当社グループの経営成績や財務状況等に影響を与える可能性があります。また、親会社が自らの利益にとって最善であるが、当社の少数株主の利益とならないかもしれない行動をとった場合に当社グループの経営成績や財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社は、支配株主等との取引に関する手続規程を定め、常設の利益相反取引監視委員会を設置し、親会社との間で取引を行う場合には、金融商品取引法、会社法及び有価証券上場規程に基づき一定の規制が課せられている支配株主等との取引並びに少数株主の利益の確保が求められる親法人等との取引を正しく捕捉し、当社がその遵守すべき法令その他のルールを遵守して当該取引を行うための手続に則り、利益相反取引監視委員会が対象となり得る取引の事前審査をし、その利益相反性を判断するなど監視する体制を敷いております。その上で、親会社との医薬品の仕入れや調剤薬局の運営のノウハウの共有などに関し、連携を強化することで企業価値の向上に努めております。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社では、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けており、会社の収益状況に対応した配当を行うことを基本としながら、財務体質の強化や将来の事業展開に役立てるための内部留保などにも留意して、総合的に勘案し決定する方針を採っております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、取締役会であります。

当事業年度の配当金につきましては、当期業績の内容を鑑み、財務体質の強化を理由とし、期末配当金を0円といたしました。

内部留保金におきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、有効投資を行ってまいりたいと考えております。

当社は、「中間配当の基準日は、毎年9月30日とする。」旨を定款に定めております。

次期以降につきましては、安定的に利益が確保できる体制を確実なものとし、早期の復配を目指す所存であります。