2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    6,729名(単体) 25,769名(連結)
  • 平均年齢
    40.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.7年(単体)
  • 平均年収
    8,336,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2025年3月31日現在

 

 

インダストリ

アルテープ

オプトロ

ニクス

ヒューマ

ンライフ

その他

全社(共通)

合計

従業員数(名)

8,937

[846]

12,798

[532]

2,956

[153]

293

[32]

785

[277]

25,769

[1,840]

 (注)1 従業員数は就業人員(使用人兼務役員及び当社グループからグループ外への出向者を除く。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 臨時従業員には、パートタイマー及び準社員を含み、派遣社員を除いております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

6,729

[311]

40.9

12.7

8,336

 

 

インダストリ

アルテープ

オプトロニクス

ヒューマンライフ

その他

合計

従業員数(名)

2,129

[24]

3,712

[148]

671

[111]

217

[28]

6,729

[311]

 (注)1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除く。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 臨時従業員には、パートタイマー及び準社員を含み、派遣社員を除いております。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

  労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、(注)4、(注)5

(注)2

(注)3

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

7.0

65.4

90.0

79.9

[91.0]

82.1

[-]

63.5

[-]

 (注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び会社独自の育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4 [ ]内に管理職の男女の賃金の差異を外数で記載しております。

5 「-」は労働者の男女の賃金の差異の対象となる従業員が無いことを示しております。

 

②連結子会社

当事業年度

名 称

管理職に

占める女

性労働者の割合

(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)1、(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期労働者

日昌㈱

10.6

100.0

100.0

66.2

71.0

58.4

㈱ニトムズ

8.3

100.0

100.0

65.8

70.6

63.1

日東シンコー㈱

10.3

75.0

72.7

100.0

62.0

62.6

71.6

日東ビジネス

エキスパート㈱

17.9

0.0

0.0

75.3

81.2

72.9

 (注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、男性労働者の育児休業取得率は、本規定に基づき育児休業等の取得割合を算出したものであります。

2 「-」は男性の育児休業取得の対象となる従業員が無いことを示しております。

 

③連結会社

 管理職に占める女性労働者の割合は、20.5%であります。男性労働者の育児休業取得率並びに労働者の男女の賃金の差異に関しては、集計を実施していないため記載しておりません。


 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会を実現するために、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置き、社会課題の解決と経済価値の創造の両立を目指すESG経営の推進を経営上の重要課題と認識しています。このESG経営を機能させるために、ガバナンス体制の構築に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指しています。

サステナビリティに関する課題を解決するために、取締役社長兼CEOを最高責任者とし、取締役会の指示・監督の下、経営戦略会議を中心としたガバナンス体制を構築し、短中期及び長期的な戦略策定・推進を図っています。

取締役会は、中期経営計画やイニシアチブ賛同など、サステナビリティに関する経営方針や経営指標・目標(未財務目標)などの重要事項について、意思決定しています。また、中期経営計画のサステナビリティに関する目標(未財務目標)及び目標達成に向けた取組み状況について、四半期ごとに定期的な指示・監督を行うとともに、重要な事項が発生した場合は必要に応じて随時議題を追加しています。取締役会は、サステナビリティに関する資質・学識・経験等を持つ取締役によって構成することで、持続的かつより高い監督機能を有しています。

取締役のスキルについては、当社ウェブサイト

https://www.nitto.com/jp/ja/ir/governance/board_policy/)をご参照ください。

そのため取締役報酬は、報酬のうち業績連動型株式報酬(中期的業績向上のインセンティブの追加的報酬)の中にESG項目(重要課題と位置付けた未財務目標)を組み入れました。具体的には、連続する3事業年度を評価期間として連結営業利益、連結ROE、ESG項目(中期経営計画で掲げる未財務目標)に応じて、0~150%としています。

また、経営戦略会議は、取締役社長兼CEOを議長とし、サステナビリティに関する経営方針や経営指標に基づく具体的な取組み方針・施策について討議・意思決定するとともに、リスク・機会の管理や目標達成に向けた取組みの進捗確認(モニタリング)を毎月行っています。討議・意思決定した内容や取組みの進捗結果について、四半期ごとに定期的に取締役会へ報告を行うとともに、重要な事項が発生した場合は必要に応じ随時追加の報告を行っています。

当社グループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置き、経営を推進しています。そのため、一般的なサステナビリティ委員会やESG委員会を設置せず、取締役社長兼CEOを責任者として全ての執行役員を構成員とする経営戦略会議を、ESG経営推進の議論の場としています。これにより、ESGを迅速かつ適正に経営へ組み込むことが可能となり、企業の持続可能性と成長戦略が一体化することでより高い実行性を確保するガバナンスを実現しています。

 

②戦略

当社グループは、社会課題の解決と経済価値創造の両立を実現させるため、サステナビリティ基本方針に基づく具体的な活動として、サステナビリティ重要課題を特定しています。ESGを経営の中心に置き、地球環境や人類・社会、世の中にとって「なくてはならない」存在となり、持続的な成長をさらに加速させるために、2024年にサステナビリティ重要課題を見直しました。マテリアリティは、自社及びステークホルダー(環境・社会)に影響する長期的な課題から重要性が高い項目を抽出・特定しています。取組みにあたっては、それぞれの課題におけるリスクと機会を認識し、事業計画へ反映しています。

マテリアリティ特定プロセスについては、当社ウェブサイト(https://www.nitto.com/jp/ja/sustainability/infocus/materiality/)に公表されている「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」をご参照ください。

 

ありたい姿

マテリアリティ

リスク

機会

実行内容

未来の地球を守る

脱炭素社会の実現

•脱炭素社会への対応遅れに伴う事業活動の継続困難

•環境規制強化による既存製品の販売困難化

•GHG※削減要求に対応した環境配慮型生産ラインへの移行に伴う生産性向上

•低カーボンフットプリント製品提供によるビジネス機会拡大

GHG排出の削減

循環型社会の実現

•原材料価格上昇や調達困難による操業停止

•廃棄物処理のイノベーションや新技術開発の遅れによる競争力低下

•資源・素材を循環利用するための技術・製品へのニーズ拡大

•廃棄物の減量化やリサイクルに伴う資源有効活用やコスト削減

原材料、エネルギー、廃棄物の循環促進

生物多様性の保全

•大気、水、土壌汚染によるステークホルダーの健康被害

•法規制対応のコスト増加や操業許認可の取得困難化

•汚染・有害物質の適正管理による地域社会、顧客からの信頼獲得

•有害物質の分離・除去・浄化などに資する技術・製品へのニーズ拡大

大気、水、土壌の汚染防止

PlanetFlagsTMの創出

•環境ニーズへの対応遅れによる受注量減少

•環境保全に対する社会的要求への対応不足

•低カーボンフットプリントもしくはカーボンネガティブ製品提供によるビジネス機会拡大

•生物多様性配慮技術やノウハウの蓄積及び新市場やビジネスモデルの創出

脱炭素・資源循環ソリューションの提供

ネイチャーポジティブ製品の提供

 

 

ありたい姿

マテリアリティ

リスク

機会

実行内容

人と社会を

豊かにする

安全なモノづくり

•事業活動中の災害発生による人的被害や操業停止

•品質問題によるリコール・訴訟などの発生

•安全で安心な労働環境による生産性向上と顧客からの信頼獲得

•安全で高品質な製品の提供による顧客からの信頼と支持の獲得

労働環境の改善

製品の安全性・品質向上

多様な人財の活躍

•人財不足による安定的な事業活動の困難化

•人財の多様性の欠如による新しいアイデアやイノベーションの停滞

•働き方改革及び人財育成による生産性向上

•多様な人財が活躍できる場の提供による従業員モチベーション向上

チャレンジする人財の獲得・育成

DE&Iの推進

人権の支持と尊重

•人権尊重に関する法規制違反に伴う操業停止・企業価値の毀損

•人権侵害による従業員の健康被害や労働条件悪化に伴う人財流出

•社会的責任や公正さの実践による、企業イメージやブランド価値向上

•人権に関する法規制への適合や先行による社会的信頼度向上

人権デューデリジェンスの推進

サプライチェーンの強靭化

•サプライチェーン上の工場やインフラの損傷に伴う、生産や流通の停止

•関連会社や取引先企業における不正や違法行為に起因する自社ブランドイメージ低下

•サプライチェーンの最適化に基づく製品の供給効率化やコスト削減

•統合的なサプライチェーン管理による取引先及び社会からの信頼獲得

持続可能な調達慣行

HumanFlagsTMの創出

•社会ニーズへの対応不十分による競争優位性や成長性の低下

•代替技術の出現や自社技術のコモディティ化による自社製品の優位性低下

•QOL向上や疾患拡大防止向けの製品・サービス提供によるビジネス機会の拡大

•次世代技術の適合や先行による競争優位性や成長性向上

デジタル社会を推進する製品の提供

快適で安心な生活に繋がる製品の提供

健やかな暮らしを支える製品の提供

 

 

ありたい姿

マテリアリティ

リスク

機会

実行内容

ステーク

ホルダーの

期待と信頼に応える

経営の安全性向上

•不適切な内部統制やワークフローによる業務効率や品質低下

•サイバー攻撃によるシステム停止や機密情報の漏洩

•経営の効率化に伴うコスト削減や利益増加

•情報資産の価値や活用方法の把握を通じた新市場やビジネスモデルの創出

コンプライアンスの遵守

安全・品質文化の構築

情報セキュリティ管理の推進

※GHG(Greenhouse Gas)=温室効果ガス

 

③リスク管理

当社グループは、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識したサステナビリティに関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。

事業活動におけるサステナビリティに関する主要なリスク・機会については、社内外環境変化に伴う自社への影響を把握し、インシデントが発生した場合の事業への「影響度」、実際に発生する「発生可能性」から相対的な重要度評価・特定(選定)を行うとともに、リスク・機会の優先順位を決定しています。サステナビリティに関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を各専門機能部署が負います。モニタリングしたリスク・機会に関する情報は、取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに関係部署に展開され、リスク・機会への対策を速やかに実行し、統制の強化を図ります。実行内容や改善状況は再び経営戦略会議において報告・確認し、グループのマネジメントの実効性を高めています。

リスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)リスクの選定と管理の状況」をご参照ください。

 

④指標及び目標

当社グループは、2030年ありたい姿の実現に向け、サステナビリティ重要課題に対する指標・目標(未財務目標)を設定するとともに、確実に実行するための適正な進捗管理を行っています。

詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載する表をご参照ください。

 

(2)気候変動

①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして「脱炭素社会の実現」を挙げ、気候変動への取組みを強化しています。

気候変動を含む環境課題を解決するために、取締役社長兼CEOを最高責任者とし、取締役会の指示・監督の下、経営戦略会議を中心としたガバナンス体制を構築し、短中期及び長期的な戦略策定・推進を図っています。

また、気候変動を含む環境課題への取組みの実行性を高めるために、気候変動関連課題を推進する担当役員を責任者とするGlobal Green Committeeを設置し、組織横断的な連携を強化するとともに、戦略検討や課題への対応策の実行・推進を行っています。

 

②戦略

当社グループは、2015年パリ協定締結や日本政府のカーボンニュートラル宣言など、社外動向に沿う形で、自社のみならずサプライヤーから顧客までバリューチェーン全体において、気候変動により想定される移行及び物理的なリスク・機会について、シナリオ分析を行いました。このシナリオ分析結果は、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」を含む2030年経営指標や中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」に組み込まれており、脱溶剤化や省エネルギー化、再生可能エネルギーの利用、環境貢献製品の創出などの取組みは、リスクの最小化及び機会の最大化を可能とし、戦略の有用性を確認しました。

気候変動に伴う事業環境変化が、自社の事業や経営に与える影響を予想し、想定される世界観(シナリオ)を作成しています。2050年を見据え、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えることを目標とした「1.5℃シナリオ」、及び世界平均気温が、工業化以前と比べて3.2~5.4℃上昇する可能性の高い「4℃シナリオ」について検討をしています。

各シナリオにて想定される事業環境下での短期(3年未満)、中期(3-6年未満)、長期(6年以上)のリスク・機会を把握しています。短期・中期におけるリスク・機会は、中期経営計画へ反映し、長期におけるリスク・機会は各シナリオが実現した際の事業への影響(財務影響)を把握するために財務的な定量評価を行いました。長期における事業への影響については以下のとおりであります。

 

 

リスク・機会の種類

事象

想定されるリスク・機会

インパクト算出対象

1.5℃

4℃

2030

2050

2030

2050

移行

リスク

政策及び

法規制

低炭素規制強化

低GHG排出原材料への切替えコスト(原材料コスト)の上昇

サステナブル材料への原材料切替えコスト増加額

再生可能エネルギーの普及による再生可能エネルギー調達費(再エネ調達コスト)の高騰

再エネ調達コスト増加額

再生可能エネルギーの普及による設備投資費(再エネ設備導入コスト)の増加

再エネ設備導入による設備投資コスト増加額

GHG排出価格の上昇

炭素税、炭素賦課金の導入拡大による税制コスト(操業コスト)の上昇

租税賦課の増加による操業コスト増加額

技術

新規技術投資による低炭素製品への移行

エネルギー効率の高い技術の開発や導入による設備投資費(高効率設備導入コスト)の高騰

高効率設備導入による設備投資コスト増加額

業界/市場

原材料価格の高騰

化石燃料の高騰により石油由来原材料調達コストの上昇

石油由来原材料価格高騰による調達コスト増加額

バリューチェーンの上流における炭素税等の課税が原材料に価格転嫁されることによる石油由来原材料コストの上昇

化石燃料の高騰によりエネルギー価格の上昇

化石燃料価格のエネルギーコスト増加額

物理的

リスク

急性的

異常気象や自然災害の発生(急性)

洪水や高潮などによる自社工場の建屋・設備・インフラなどの損傷や工場停止、及び機会の損失(売上減少)

設備やインフラの損傷や停止による資産被害額

洪水や高潮などで主要サプライヤーが被災することによる自社工場の稼働停止、及び機会の損失(売上減少)

設備やインフラの損傷や停止による機会損失額

機会

製品とサービス

低炭素製品の需要増加

(嗜好の変化)

リサイクル製品の需要増加により、環境貢献製品の売上増加

環境貢献製品売上増加額

医療関連製品の需要増加

(感染症への対応)

平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加により、医療関連製品の売上増加

医療関連製品売上増加額

金額影響 小:30億円未満、中:30~100億円未満、大:100億円以上、(-)事業影響は極めて小さいものと想定し評価対象外

 

リスクへの対応策(リスクの最小化)

1.5℃シナリオでは、リスクの最小化を図るために脱溶剤化による製造工程の省エネルギー化を進めるとともに、インフラ・ユーティリティ高効率化の推進に伴う省エネルギー化、100%再生可能エネルギーの利用に取り組みます。さらには、サプライヤーと協働したリサイクル材料開発の推進によりサステナブル材料の効果的な調達や資源の有効利用による原材料使用量の削減を進めます。

4℃シナリオでは、リスクの最小化を図るために資源の有効利用による原材料使用量の削減やNittoグループ拠点の事業継続マネジメント(BCM)推進による未然防止対策などに取り組みます。

 

機会への対応策(機会の最大化)

1.5℃シナリオでは、機会の最大化を図るために環境貢献製品(PlanetFlagsTM認定製品)の拡充に取り組み、リサイクル製品など低炭素製品の需要増加による売上増加を見込んでいます。

4℃シナリオにおいても、人類貢献製品(HumanFlagsTM認定製品)の拡充に取り組み、平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加による医療関連製品の売上増加を見込んでいます。

 

③リスク管理

当社グループは、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識した気候変動に関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。また、事業活動に重要な影響を与えるその他の主要なリスクと統合させることで、グループ全体としても包括的に管理しています。

事業活動における気候変動に関する主要なリスク・機会については、社内外環境変化に伴う自社への影響を把握し、インシデントが発生した場合の事業への「影響度」、実際に発生する「発生可能性」から相対的な重要度評価・選定(特定)を行うとともに、リスク・機会の優先順位を決定しています。

気候変動を含む環境に関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を環境担当部署が負います。モニタリングしたリスク・機会に関する情報は、その他専門機能部署で管理されている情報とともに取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに関係部署に展開され、リスク・機会への対策を速やかに実行し、統制の強化を図ります。実行内容や改善状況は再び経営戦略会議において報告・確認し、グループのマネジメントの実効性を高めています。

 

④指標及び目標

当社グループは、サステナビリティ重要課題の一つとして「脱炭素社会の実現」を掲げており、地球温暖化の原因であるGHG(CO2)排出を削減することは、持続的成長と持続可能な環境・社会の実現に不可欠であり、重要な社会的責務と考えています。そのため、2050年CO2排出量(Scope1+2)実質ゼロを掲げ、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」宣言を行っています。

また、リスクの最小化や機会の最大化を図るべく、対応策を確実に実行し、またその対応状況を定期的に把握・管理するために、2030年指標及び目標を設定しています。「CO2排出量(Scope1+2)」「廃プラスチックリサイクル率」「サステナブル材料使用率」「PlanetFlagsTM・HumanFlagsTMカテゴリ売上収益比率」など主要な指標・目標については、経営指標である未財務目標としても掲げ、Nittoグループ全体での管理を行っています。

2024年度は、2022年5月に設定した2030年目標CO2排出量(Scope1+2)470ktonの前倒し達成が見えてきたことから、2025年目標を470ktonとし、2030年目標を科学的根拠に基づき1.5℃に沿ったより高い目標※1とすべく400ktonへ見直しを行いました。

また、新たに2030年目標CO2排出量(Scope3)1460ktonを掲げ、自社だけではなく、サプライチェーン全体での環境負荷ゼロに向け、脱炭素社会の実現に向けての活動を更に加速します。

※1.2024年8月、CO2排出量(Scope1+2)及び(Scope3)削減目標についてSBT認定を取得しました。

 

CO2排出量(Scope1+2)に関する取組みと実績

2024年度実績は、472ktonとなりました。

順調にCO2排出量の削減が進んでおり、2025年目標達成を見込んでいます。

今後は、新たに掲げた2030年目標「CO2排出量(Scope1+2)400kton」達成に向け、サプライチェーン全体でCO2排出量の削減を推進する計画です。2024年5月、「Renewable Energy 100%(RE100)」にも加盟※2し、社会全体の再生可能エネルギー実装に貢献するとともに、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換することで、NittoグループのCO2排出量削減へとつなげていきます。

※2.2035年までにグローバルでのRE100達成を目指します。

 

廃プラスチックリサイクル率に関する取組みと実績

2024年度実績は、50%となりました。

2030年目標「廃プラスチックリサイクル率60%」達成に向け、①リサイクルしやすいもの、②リサイクルに向けて新たな技術開発が必要なもの、③現時点ではリサイクルが困難なものに分類し、素材特性ごとのリサイクル戦略を構築しています。「①リサイクルしやすいもの」の一例として、テープ製品の製造時に使用するはく離ライナーは、フィルムとして再生させるほか、繊維化により従業員のユニフォームやエコバックとして再利用、樹脂ペレット化によりプラスチックトレーとして再利用するなど着実にリサイクル実績を積み上げています。

今後は、リサイクルの難易度が高い分野での取組みを加速するとともに、リサイクルが困難な廃棄物については、ケミカルリサイクルを検討していきます。

 

サステナブル材料使用率に関する取組みと実績

2024年度実績は、18%となりました。

2025年度目標「サステナブル材料使用率20%」達成に向けて、サプライヤー様のご理解・ご協力を得ながら、今後もサステナブル材料への転換を推進していきます。

 

PlanetFlagsTM/HumanFlagsTMカテゴリ売上収益比率に関する取組みと実績

2024年度実績は、44%となりました。

昨今、気候変動問題への関心が高まる中、環境課題を解決するPlanetFlagsTMの創出が急がれます。そのためには社内外での連携が重要です。技術変革を図ることで脱炭素、資源循環などの取組みを推進するGlobal Green Committeeの場も通じ、事業部とエリア、そして機能部署の3つの軸が有機的に連携し、新たなPlanetFlagsTMを創出していきます。さらに、お客様やサプライヤー様との協力を強化し、スタートアップやベンチャー企業への出資も含め、多様な手段で事業化のスピードアップを図ります。

 

気候変動に関する詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.nitto.com/jp/ja/sustainability/infocus/TCFD/)に公表されている「TCFD提言に基づく情報開示」をご参照ください。

 

(3)人的資本

①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして「多様な人財の活躍」を挙げ、チャレンジする人財の獲得・育成及びDE&Iの推進への取組みを強化しています。

人財に関する課題を解決させるために、取締役社長兼CEOを最高責任者とし、取締役会の指示・監督の下、経営戦略会議を中心としたガバナンス体制を構築し、短中期及び長期的な戦略策定・推進を図っています。

また、人財マネジメントに関する重要な方針・戦略・課題・施策を社内基準に基づき、各会議体で報告・決議しています。そこで意思決定された活動についてグローバルな取組みはコーポレート人財本部が各エリアへ展開、日本エリアについては日本エリア人財・ガバナンス本部が中心となり、各事業部門や各拠点、国内外のグループ会社と密に連携し取組みを進めています。

各会議体と各人事機能の業務執行により、人財戦略に基づく適切な人財マネジメントの管理体制を構築しています。

 

 

②戦略

当社グループは、「人財は最も重要な財産」と位置づけ、The Nitto Wayを実践できるNitto Personをグローバルで育成しています。

そのために、経営理念を人財面で具現化するものとして「人財マネジメント基本方針」を策定し、Nitto Personの目指す姿を明文化し、個別施策の強力な推進に繋げています。

●国籍・性別・年齢・職歴・障がいなどの多様性を理解・尊重し、誠実に行動できる人財を育成・活用します。

●従業員を個人として尊重し、自律的なキャリア形成のため、適材適所による成長機会を提供します。

●多様な働き方の推進とオープンな組織風土の下、働きがいのある安全・安心・健康な職場環境を築きます。

●失敗を恐れずチャレンジした成果をフェアに評価し、従業員がベストを尽くせる公正な処遇を実現します。

●優秀な人財をグローバルで発掘・育成し、変化を先取りし実現力を発揮できるリーダーを養成します。

 

当社グループは、これまで「グローバルニッチトップ戦略」、「三新活動」、「顧客密着」でお客様に驚きと感動をもたらすことを価値とする独自のカルチャーを育んできました。このカルチャーの下、数々のイノベーションが生み出されました。その源流は、ゼロからイチを生み出す技術や、他ではできない技術を磨くことを追求する当社グループのカルチャーと人財力にあります。

私たちは、これら当社グループの強みを維持し、さらに発展させるために、人財戦略として「誰もが活き活きとやりがいをもって活躍できる環境の構築」を掲げており、多様性を尊重し、従業員のエンゲージメントを高め、チャレンジを楽しむ風土を醸成することを目指しています。そしてその達成状況を示すのが「未財務指標」です。

当社グループでは、「未財務指標」のモニタリングによって、あるべき姿と現状のギャップをあぶり出し、個人と組織の双方の活性化を図る施策を推進しています。

今後も、経営・事業戦略と一体となったこの人財戦略をグループ一丸となって実践することで、事業の成長を後押ししてまいります。

 

―女性リーダー育成

グローバルで多岐にわたる事業を展開する当社グループにとって、人財の多様性・公平性・包括性(DE&I)は人財戦略を進めていくベースとなるものです。未財務指標の一つに掲げる「女性リーダー比率」は、単なる「管理職」ではなく、組織やチームをけん引できる人財、すなわち「リーダー」を育成するという点に大きな特徴があります。

当社グループではその実現に向けて、2022年4月から、日本国内の女性リーダー育成のための施策の一つ「Female Leaders Ownership Empowermentプログラム(FLOWERプログラム)」を継続してきました。メンター制度、マネジメント能力育成研修などのプログラム、会社幹部や社外有識者による講演会等により、リーダーに向けてのマインドセットとマネジメントに関するビジネススキルの向上を図っています。多くの受講者が自身のステップアップに対して前向きに変化し、「女性リーダー」の輩出にも繋がっています。

今後も地道な活動の継続により、幅広い視点を持った人財にあふれる、価値創造を加速させる風土の醸成を目指します。

 

―従業員エンゲージメント向上活動

当社グループでは未財務指標に「エンゲージメントスコア」を掲げ、2年に1度エンゲージメントサーベイを行っています。2023年度はグローバルで実施しスコアは81と、前回よりも7ポイント上昇しました。一方で、今後さらなる従業員エンゲージメント向上を目指すためには、各職場単位での自律的な活動が一層重要となります。

2024年度は、本社主導で、職場の様々な先行的な取組みを「好事例集」として社内展開するなど、啓発活動に注力してまいりました。今後は、各職場自らが、課題を特定しアクションに繋げていくための支援活動を強化していきます。またこれまで以上に、サーベイデータの分析・活用にも取り組んでいきます。

 

―チャレンジを楽しむ風土づくり

「チャレンジを楽しむ文化」の醸成のため、2023年度より、「会社の価値創造に貢献するテーマ」をチャレンジした人をカウントし「チャレンジ比率」として未財務指標に掲げています。

2024年度は、グローバル共通施策である、小集団活動や新規事業創出大会等に加え、各地域や事業部門が独自で企画運営する「チャレンジプログラム」への参加者が大きく拡大しました。今後は、各施策の主幹部署との連携強化により、各人のチャレンジを後押しし、チャレンジを楽しむ文化の醸成につながるよう各種施策を積極的に展開してまいります。

 

 

―健康経営

当社グループでは従業員の健康に対する投資を行うことが、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や企業としての価値向上に繋がると考え、グループ全社で健康増進活動に取り組んでいます。

当社グループの健康経営推進体制は代表取締役社長の下、人事担当役員を責任者に置いた運営体制を組織しており、健康増進事務局と、各事業所の人事総務部門や産業保健スタッフ、健康保険組合、労働組合等が連携を取りながら活動を行っています。各事業所においては、安全衛生委員会等の会議体を通して、人事総務部門と産業保健スタッフ、労働組合が定期的に議論を重ね、全社の健康課題のみならず、事業所個別の健康課題に対しても取組みを行っています。

なお、当社グループでは、喫煙対策・メンタルヘルス疾患予防・生活習慣病予防の3点を重点課題と捉えて、禁煙希望者への卒煙サポート費用の会社補助、メンタルヘルスセミナー実施による従業員のヘルスリテラシー向上、若年肥満者面談の実施等、さまざまな取組みを実施し従業員の意識改善・行動変容を促しています。

 

③リスク管理

当社グループは、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識した人財に関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。また、事業活動に重要な影響を与えるその他の主要なリスクと統合させることで、グループ全体としても包括的に管理しています。

人財に関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を人財担当部署が負います。モニタリングしたリスク・機会に関する情報は、その他専門機能部署で管理されている情報とともに取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに関係部署に展開され、リスク・機会への対策を速やかに実行し、統制の強化を図ります。実行内容や改善状況は再び経営戦略会議において報告・確認し、グループのマネジメントの実効性を高めています。

 

④指標及び目標

当社グループでは、人財戦略「誰もが活き活きとやりがいをもって活躍できる環境の構築」と連動した、下記の指標を設定し、2030年に向けた目標を掲げています。

 

・女性リーダー比率(2030年 30%)

2024年度の女性リーダー比率は、前年度から全体で2ポイント上昇し、22%となりました。地域別では、東南アジア・オセアニアエリアが2ポイント上昇したほか、日本エリアでも、女性リーダー育成プログラム「FLOWERプログラム」が効果をあげ始めており、1ポイント上昇の8%となりました。

 

・エンゲージメントスコア(2030年 85)

エンゲージメントサーベイは2年に1度実施しており、前回2023年度の時点で81と、2025年度の中間目標78を前倒しで達成しています。2024年度は、2030年目標達成に向けた土台づくりとして、当社グループ内の先行的な取組みを社内へ共有し横展開を促すなど、各職場に対する支援・啓発活動に注力しました。

 

・チャレンジ比率(2030年 85%)

2024年度のチャレンジ比率は、前年度の37%からは4ポイント上昇し41%となりました。コーポレート人財本部と、各事業部門や各エリアの人事・企画部門との連携により、本指標に対する当社グループ内での理解が深まったことで、本指標の集計対象である「チャレンジプログラム」への参加者が拡大したことが上昇要因として挙げられます。

 

詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載する表をご参照ください。