2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらのリスクをむしろチャンスとして活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 互助会事業に関わる規制について

①当社グループの互助会事業

当社グループは、株式会社サン・ライフサービスが所管する婚礼・宴会を中心とするホテル事業(ホテル・ブライダル事業)、並びに、株式会社サン・ライフが所管する葬儀を中心とする式典事業(葬祭・法要事業)と、株式会社サン・ライフメンバーズ他1社(以下、「同社等」という)が所管する冠婚葬祭互助会事業が相互に連携することにより、運営しております

冠婚葬祭互助会事業者(以下、「互助会事業者」という。)による互助会加入者への役務提供は、割賦販売法(以下、「割販法」という)が定める「前払式特定取引」に該当します。

「割販法」は、「前払式特定取引」を利用した営業を経済産業大臣の許可制としております。

本許可に基づき、「同社等」は互助会加入への募集活動を行い、互助会の加入者(以下、「互助会加入者」という)と、互助会契約を締結し、毎月一定の月掛金の払込みを受けております。原則として掛金全納後、互助会加入者は冠婚葬祭の施行請求の権利を得て、「同社等」は互助会加入者からの施行の申し込みにより、冠婚葬祭の施行義務を負い、役務提供する仕組みになっております

②「割販法」上の各種規制について

冠婚葬祭互助会事業は「割販法」によって次の規制を受けております

イ.前払式特定取引前受金の保全義務

毎年3月末、9月末の互助会会員より徴収した掛金(前払式特定取引前受金)残高の2分の1に相当する金額について保全措置の義務があり、法務局への供託(現金及び国債等)又は保証会社等と前受業務保証金供託委託契約を結ぶことにより保全措置を講じることとなっております

ロ.冠婚葬祭事業者に対する財産・収支に関する規制

経済産業大臣は、互助会事業者に対し、営業所ごとに届出と営業保証金の供託を求めています。また、事業の健全な推進と消費者保護の立場から、互助会事業者に対して財産及び収支に関する報告書の提出も求めています。この報告の中で、経済産業大臣は、経常収支率、流動比率、純資産比率が、同法施行規制の定める基準値を下回る場合、事業者に対して前払式特定取引の契約締結の禁止命令及び必要な改善命令を出すことができることとなっております

現時点において、「同社等」は、「割販法」上の改善命令等、法的処分を受けた事実はありませんが、仮に現在の法的規制及びその運用が変更され、それによって収支率等の改善を図る必要が生じた場合、何らかの理由により「同社等」の事業の許可が停止、または、取り消される可能性があります。また、当該法規制が改正・強化され、その対応のために新たな費用負担が発生する等があった場合には、当社グループの事業展開、業績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。加えて、「割販法」上の法的規制の運用は所轄官庁である経済産業省により行われ、諸般の事情により随時変更、または撤廃される可能性があります。

当社グループは、今後とも「割販法」を始めとした法的規制を遵守していくとともに、各種規制の変更や法改正の動向を常に注視のうえ、必要な対応を実施してまいります。

 

 

(2) 食品衛生法に関する規制について

当社グループは飲食業を営む関係上、食品衛生法の規制を受けております。食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止、並びに公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としており、食品等事業者は、食品衛生責任者を置き、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を受ける必要があります。また、食中毒を起こした場合等、食品衛生法の規定に抵触した場合、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等の処分を命じられることがあります。万一、何らかの衛生管理上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、当社グループでは、日々の衛生管理チェックに加え、細菌等の測定検査を実施し、衛生管理の強化に取り組んでおり、内部監査においても衛生管理状況を確認するなど、食中毒等の重大事故の未然防止に努めております。

 

(3) 人口動態による業績への影響

2023年(1月~12月)の出生数は約75万人に対し、死亡数は約159万人と自然減が続き「内閣府2023年版高齢社会白書(全体版)」によると、2070年にはわが国の人口は約8,700万人、75歳以上の人口比率が約25.1%と予測されております。

総人口の減少及び一層の少子高齢化の進展、想定を超える急速な減少によるターゲット層の大幅な減少、人口動態の変化による伝統的な価値観の変容、社会構造の大変革は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

起こりうる変化に対して、ビジネスモデル再構築の遅れ、ライフスタイル・ニーズの変化、多様性への対応の遅れによる成長機会の逸失は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、グループ全体の事業ポートフォリオの機動的な見直しを実施し、経営環境の変化に応じた迅速かつ果断な経営判断を通じて、グループ全体の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります

 

(4) 競合他社について

当社グループの行う事業、領域において、従来から競合関係にあった企業のみならず、昨今ではネット事業者や周辺事業者からの参入も見受けられます。

今後、競争の激化による当社グループの市場シェアや価格競争による販売価格の下落によって当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります

上記リスクに対し、葬祭ホールの戦略的かつ機動的な新規出店を継続しつつ、その他セグメントにおいても、お客様が当社グループに求める多様化したニーズにお応えすべく、他社との提供サービスとの差別化を図り、顧客満足度の高い当社独自のサービスを提供してまいります

 

(5) 顧客情報の管理について

当社グループは、冠婚葬祭及び互助会事業等、その事業特性上、多くの顧客情報を取り扱っております。

当社グループは引続き顧客情報の管理に努めていきますが、万一何らかの顧客情報管理上の問題が発生した場合には、その後の事業展開、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、当社の子会社2社が、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の定める「プライバシーマーク制度」の認定事業者となるなど顧客情報の管理には十分留意しております。加えて、当社グループでは、eラーニング、サイバー攻撃対応訓練等を活用したセキュリティ関連教育を行い、顧客情報の管理に留意しております。

 

(6) 顧客のライフスタイル・顧客ニーズの変化について

当社グループの主たる事業であるホテル事業及び式典事業は、顧客のライフスタイル・ニーズの変化の影響を強く受けます。これら顧客のライフスタイル・ニーズの変化にうまく対応できず、適時に的確な企画立案、提案、施行等ができなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

上記リスクに対し、当社グループでは、式典事業においては、お客様が当社グループに求めるご葬儀の多様化するニーズに対し、「想いを大切にしたご葬儀」の根幹は堅持しつつ、規模・価格帯に応じたブランド戦略を推進してまいります

ホテル(婚礼)事業においては、多様な婚礼スタイルに対応した各種挙式プランの開発、他社にないソフトサービスの構築等、お客様への提案力を強化してご婚礼の獲得に努めてまいります

介護事業においても、サービス品質の向上に努め、ご利用者様に寄り添った事業を推進してまいります。

 

(7) 自然災害について

地震、台風、大雨等の自然災害が発生した場合、当社グループが所有する事業用施設の損壊等により、事業活動が停止し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、当社グループでは、リスクマネジメント委員会の定期開催を通じ、BCP計画の策定と運用確認等の対策を講じ、役職員へ周知しております。

 

(8) 感染症等について

新型コロナウイルス感染症等による感染症の流行・拡大によって、事業活動の短縮や臨時休業の実施、外出自粛等による顧客数の減少、個人消費の低迷や原材料等の供給遅延等が想定され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、当社グループでは、感染症等が発生した場合、社長直轄の対策本部を立ち上げ、日々変化する状況に応じて、顧客、ビジネスパートナー、社員及びその家族の安全確保・感染予防・感染拡大防止を最優先とする方針のもと、「安心・安全」を最重要課題と認識し、事業継続に向けた対策を随時実施してまいります。

 

(9) 固定資産の減損について

当社グループが保有する事業用固定資産に対し、経営環境や事情の状況の変化等により収益性が低下し、将来見通しにより固定資産の回収が困難と判断される場合には、当該固定資産を減損損失として認識する場合があります。また、土地等の時価が著しく下落した場合におきましても、当該固定資産の回収可能性を判断した上で減損損失を認識する可能性があり、この場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、当社グループでは、事業の成長に必要な設備投資については、その投資効果・採算性の検証を綿密に行い、また、設備の稼働後も、予実管理を継続的に実施しており、極力減損リスクを回避するように努めています。

 

(10) 人材確保及び育成について

「働き手」の減少は、当社グループの今後のビジネスモデルに対しても大きな懸念材料と捉えており、当社グループが安定的な成長を達成していくためには、優秀な人材の確保が必要不可欠と考えております。当社グループの基本理念を理解し、賛同した人材の確保と育成は、当社グループの最重要課題の一つであり、積極的な採用活動を行うとともに、採用後の人材教育により早期の戦力化を図ってまいります。しかしながら、採用環境の変化等により、十分な人材の確保及び育成が困難となった場合は、当社グループの事業展開に影響が生じること等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクに対し、当社グループは、更なる業務の効率化と、専門性の高い人材の採用や登用を円滑に実施するため、2022年4月にジョブ型志向を組み込んだ人事制度を導入しております。新人事制度の運用とともに、教育研修制度を整備するなど、人材育成に注力しております。また、サステナビリティの基本方針及び取り組みとして、「従業員の幸福と成長支援」を掲げ、従業員が安心して働ける職場環境を整備し、人材の確保、育成に努めてまいります

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主各位に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして認識しており、厳しい経済状況の中で、収益力の向上、財務体質の改善など経営基盤の強化に努め、安定的な配当を行うことを基本方針といたしております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当及び期末配当ともに取締役会であります。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、継続的な安定配当の基本方針のもと、普通株式1株につき33円(中間配当金16円、期末配当金17円)といたしました。内部留保資金につきましては、将来の事業展開及び経営基盤のより一層の強化のため有効に活用してまいる所存であります。

なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定めております。

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月9日

取締役会決議

97,970

16

2024年5月9日

取締役会決議

104,093

17