2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 12,115 100.0 1,287 100.0 10.6

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社であるファミリー・ホスピス株式会社で構成されており、「在宅ホスピスの研究と普及」をミッションとして掲げ、「看取り」へ対応するケア(=ターミナルケア)を、末期がん患者と難病患者を対象として提供しております。これは、家で自由に過ごしたいという希望、痛み苦しみを和らげて欲しいという希望の両方を叶えるためのケアサービスです。

 

「看取り」は、超高齢社会における重要課題の一つであり、年々増え続ける日本の死亡者数は、2039年には約167万人に達すると予測され、これは2020年の死亡者数と比較して約30万人も多く、この方々の「最期を迎える場所」が不足していることが大きな課題となっています。

 

[日本の死亡者数の推移と将来推計及び老年人口割合(65歳以上)]

(出典:2021年以前:厚生労働省政策統括官付人口動態・保健社会統計室「人口動態統計」

2022年以降:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2023年推計)」)

 

死亡原因別では悪性新生物(がん)が長年に亘って増加しており、現在年間約37万人ががんによって亡くなっており、今後もこの傾向は変わらないと予測されています(出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 研究予防グループ「がん罹患・死亡・有病数の長期予測」)。末期がん患者にとっては、身体的な痛み、苦しみのコントロールはもちろんですが、精神的、社会的、スピリチュアルな痛みを合わせた4つの痛みをコントロール(緩和ケア)することが大事であると考えております。

また、現在厚生労働省が指定難病としている333疾患の患者は国内に約108万人いるとされており(出典:厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」)、難病患者にとっては療養場所の確保が難しいのが現状です。これらの方々に対するケアニーズが増加しており、早期の体制整備が必要とされております。

 

[主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移]

(出典:厚生労働省・2022年人口動態統計月報年計)

 

一方で、増大する社会保障費の抑制と国民の満足度を上げることを目的に、医療制度改革が推進され、効率的な在宅ケアが行われるよう医療と介護の連携に基づく地域包括ケアが求められています。在宅ケアの主な担い手は、在宅支援診療と訪問看護であり、地域包括ケアの中心を担うのが看護師及び介護士であります。

当社グループは、暮らしの場である「自宅」で療養し最期を迎えるために必要な「在宅ホスピス」を、(1)ホスピス住宅の提供と、(2)在宅ホスピスサービスの提供の形で展開しております。なお、2024年12月期における当社グループ売上高の9割以上をホスピス住宅の提供により得ております。

 

[ 連携で利用者を支えるホスピス住宅 ]

ホスピス住宅の提供は、看護師・リハビリ療法士・介護士がチームを組んで施設ごとにケアサービスを行うことであり、在宅ホスピスサービスの提供は、訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援事業所、訪問介護、通所介護、24時間定期巡回・随時対応型訪問看護介護等を組み合わせる形で行っており、いずれも「地域包括ケアシステム※」の一翼としてケアサービスを行うことであります。

※地域包括ケアシステム

高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービスを提供する体制のこと(出典:厚生労働省ホームページ)

 

[ 人生の仕上げを支えるホスピス住宅 ]

当社グループのターミナルケアは、「死」を意識する状況にあって、人生の仕上げ期をどう過ごすかを一緒に考えるところから関わっております。命を救うことを目的とする病院、介護サービスの提供を目的とする介護施設とは、関わり方や目的が異なり、当社グループでは、「死」は人生のゴールであり、悲しみは伴うものの忌み嫌うべきものではないと考え、各々が各々の人生の最終段階を迎えられるよう、「死」と向き合い、「死」を恐れず、人生の仕上げを実現できる社会の実現に貢献したいと考えております。

 

[ 末期がん・難病患者を取り巻く環境 ]

高度な医療・急性期医療を担う医療機関の多くは、入院患者を在宅生活に復帰誘導する使命を課せられている一方で、病院における入院生活では、患者は少なからず制約を受けるため、自由度の高い自宅へと戻ることは多くの入院患者の望みでもあります。しかしながら、現実には医療機能が脆弱で介護力の無い自宅では家族の負担が大きく、また、痛みや苦しみを和らげてくれる緩和ケアも必要となります。従って、退院後も医療ケアを必要とする多くの患者には、24時間365日対応してくれる訪問看護が不可欠となっております。

特に、末期がん又は難病等の患者は頻回なケアを必要としており、広域事業者の連携だけでは退院直後に必要となるケアの量が確保出来ず、また退院後の病状の進行に伴って自宅療養が限界となることが少なくありません。

 

[ 多様なニーズに対応可能なホスピス住宅 ]

当社グループでは、厚生労働省の医療政策を背景として入院日数の短縮を迫られている医療機関、自宅に戻り自由度の高い生活を過ごしたい患者、これら双方のニーズを満たすことを目的として、24時間365日対応が可能な訪問看護、訪問介護及びホスピス住宅を組み合わせて在宅ホスピスを展開しております。また、当社グループの在宅ホスピスは、医療・介護保険、福祉制度に基づいており、具体的には、訪問看護・訪問介護・ホスピス住宅をベースに、地域の状況に応じて居宅介護支援事業所によるケアプランニングやその他の在宅ケアを組み合わせたサービスとなっております。

 

[ 当社グループの収入について ]

当社グループは、在宅ホスピスを提供することにより、医療保険収入、介護保険収入及びホスピス住宅に係る家賃収入等を得ております。医療保険収入は、国民健康保険団体連合会、社会保険診療報酬支払基金より支払われる診療報酬及び利用者からの自己負担金で構成されており、介護保険収入は、国民健康保険団体連合会から支払われる介護保険料と利用者からの自己負担金で構成されております。ホスピス住宅に係る家賃収入は、ホスピス住宅の入居に際して、入居者との間で賃貸借契約を締結しており、これに基づいて毎月の家賃等を収入として得ております。

 

当社グループの提供する「在宅ホスピス」は、(1)ホスピス住宅の提供と、(2)在宅ホスピスサービスの提供の形で展開しておりますが、それぞれについては次のとおりです。

 

(1) ホスピス住宅の提供

当社グループの運営するホスピス住宅は、入居者を末期がん患者や難病患者等に限定した賃貸住宅(=ホスピス住宅)です。具体的には、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム又は介護付き有料老人ホームの指定を受けた住宅であり、訪問看護と訪問介護事業所を併設又は近設し、ケアサービスを提供しております。

ホスピス住宅のメリットは、緩和ケアを行う看護師が24時間365日傍にいてくれることであります。痛みや苦しみの症状をコントロールすることは簡単ではありませんが、看護師が人生観、死生観を伺い、人生の終盤の過ごし方、やりたいこと等を盛り込んで個人ごとに必要なケアをプランニングしていきます。入居者の静かに過ごしたい、音楽を聴きたい、人に会いたい等の個々人の生活をサポートし、お花見、お墓参り、お寿司を食べに行く、孫の結婚式に出る、家族と温泉に行く等の希望を叶えながら、人生の総仕上げのお手伝いをする場所としてサービスを提供しております。

 

① ホスピス住宅

ホスピス住宅は、入居者にとっても、家族にとっても最良であることを願って作ったものであります。末期がん患者や難病患者の人生の最終段階には、痛みや苦しみを取るというケアが必要となります。積極的治療の選択肢がなくなった最終段階では、患者は「おうちに帰り自由に過ごしたい」と願いますが、それを実現するには家族の協力、相当な負担を負うという覚悟が必要となります。この医療面の安心感、おうちで暮らす環境(自由度)の両方の実現を目指し、当社グループではホスピス住宅を提供しております。

ホスピス住宅では、複数の看護師を配置していることから、末期がん患者への緩和ケアサービスの提供が可能であり、入居者が入浴すること、自由に外出することも出来るという特徴があります。また、難病患者も入居する事が可能で、食事を楽しみ、家族が自由に出入りできることで家族との関わりを大事に出来るという特徴があり、そのためにもホスピス住宅には、24時間体制でスタッフが常駐し、相談業務、緊急対応を行う等の生活支援サービスを提供しております。

また、当社グループのホスピス住宅の特徴の一つとしては、食事サービスを提供していることが挙げられます。食べることは栄養を摂ることだけではなく、人の命、人生と深く関わっていると考えており、大好きなものを食べれば元気が出たり、想い出の食事に思いを馳せたりすることもあります。口から食べられる喜びは、たとえ一口でも感じることができ、当社グループではこのことをとても大事な要素と考えております。

なお、食事サービスは、施設によって委託方式と自社運営方式があり、委託方式の場合には、専門業者に食事サービスを委託しており、自社運営方式の住宅には調理スタッフを配置しておりますが、いずれの場合も末期がん患者や難病患者のニーズに応え食事を提供しております。

当社グループのホスピス住宅の展開に関しては、土地オーナーに対して土地活用の一環としての提案をしておりますが、居室数が平均して30室前後であるために広い土地を必要とせず、建物投資額(土地オーナーの負担)を低く抑える事が出来ると考えております。そのため、立地条件の制約が少なく、ホスピス住宅の候補地をシビアに選ぶ必要がないため、新規施設の展開が比較的容易であるという点が特徴であります。

 

② 訪問看護・介護サービス

ホスピス住宅に併設又は近設する訪問看護及び訪問介護事業所は、24時間必要なケアサービスを提供できる体制を整えております。訪問看護や訪問介護に従事する社員にとって、ホスピス住宅を一つのチームとして、組織として、24時間365日対応の在宅医療を実現することで、安心して働ける職場環境を整えております。特に難病患者の人生の最終段階においては、24時間の介護サービスが必要となることから、介護士にも、深い理解やスキルが要求されます。

 

(2) 在宅ホスピスサービスの提供

住み慣れた自宅での療養生活の継続を目的として、訪問看護を中心に、看護小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援事業所、訪問介護、通所介護、24時間定期巡回・随時対応型訪問看護介護などを組み合せた在宅ホスピスサービスを提供しております。

 

① 訪問看護

訪問看護サービスの対象者は医療的ケアを必要とする方であり、医師から指示書を受け取った看護師は看護計画を作成し、医療保険と介護保険による訪問看護サービスを提供しております。在宅支援診療所の医師と連携しますが、在宅療養のベースを作るのは看護師であり、ホスピス住宅と連携することで、組織的な働き方を可能としております。訪問看護事業所には、看護師の他、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らリハビリ専門スタッフが所属しております。

 

② 看護小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護は、地域包括ケアシステムの中で普及の期待が高いサービスとして、在宅看取り率を上げるために2012年に厚生労働省が新たに創設した「複合型サービス」であり、2015年に「看護小規模多機能型居宅介護」に名称変更された介護保険サービスであります。

当社グループにおける本サービスの利用者の多くは、人生の最終段階や重篤な疾病を抱えている方であり、ホスピス住宅との連携が欠かせません。本サービスは、訪問看護に併設して運営することで医療的ケアに対応し、「通い」「泊り」「訪問」の3つのサービスを組み合せた包括的なケアを特長とするサービスであり、ホスピス住宅との親和性が高いサービスと考えております。また、「泊り」サービスを利用しながらの看取りにも対応しております。

 

③ 居宅介護支援事業所

居宅介護支援事業所ではケアマネージャーを配置しケアプランの作成を行っております。当社グループの利用者は、医療保険サービスと介護保険サービスの併用者が多く、難病患者においては障害者総合支援サービスまで利用している方も多く、非常に複雑なケアプランを作成する必要があります。

当社グループの在宅ホスピスサービスの実現には、ケアマネージャーが医療保険や介護保険、障害者総合支援を深く理解する必要があるため、当社グループではケアマネージャーの育成も行っております。その他、当社グループ外のケアマネージャーにケアプランの作成をお願いすることもあり、地域と連携して事業を行っております。

 

④ その他の介護保険サービス

上記以外の介護保険サービスとして、前述した訪問看護と親和性が高く、利用者に相乗的メリットを提供できる、訪問介護(訪問介護士が利用者宅を訪問し入浴や排せつ、調理、洗濯など日常生活の支援)、通所介護(利用者が介護施設に赴き入浴やリクリエーションなどのサービスの提供)、24時間定期巡回・随時対応型訪問看護介護(介護士と看護師の連携による、通常の定期的な訪問及び24時間の連絡体制のもとで提供する訪問介護及び訪問看護)を提供しております。

当社グループの訪問看護は、医療ニーズの高い利用者、末期がん患者、難病患者等であることから、利用者のニーズを考慮して、訪問介護や通所介護を、訪問看護と併設すること等によって、複数の介護サービスを組み合わせた一つのチームとしてケアサービスを提供しております。

 

また、上記(1)ホスピス住宅の提供と、(2)在宅ホスピスサービスの提供の形で展開する当社グループの在宅ホスピスの特長は次のとおりです。

 

[ 看護師を中核とするホスピスチームによるターミナルケア ]

当社グループの在宅ホスピスは、看護師を中核としたホスピスチームによるケアサービスの提供が特長であり、医療的な症状コントロールは、医師と連携して看護師が中核になり行っております。当社グループのターミナルケアは、「人生の仕上げ支援」を目的としており、症状をコントロールしながら、残された時間をどう生きるのかをサポートしております。

また、訪問看護は24時間365日の対応を行うこと、訪問介護は医療的な処置である喀痰吸引を可能にしていること、ホスピス住宅については、食事サービスを提供したり、極力自立した生活を送れるよう全室トイレを設けたり、容態に応じてベッドの配置が変更できるレイアウトとする等、生活の持続性を高める機能を有していることも、当社グループの在宅ホスピスの特徴となっております。

※ホスピスチームとは、看護師を中核として、介護士、リハビリ療法士、調理師等の専門スタッフで構成されたケアサービスを提供するチームのこと。

 

[ 働きやすい環境の整備と専門看護師等によるケアサービスの提供 ]

訪問看護やホスピスは、看護師にとって働く場所の選択肢の一つでありますが、一人で訪問することへの不安、24時間対応を迫られること等の労働条件が就業への高いハードルとなっております。当社グループでは、ホスピスチームを編成し、それぞれの能力を補完し安心して働けるような組織を作り、福利厚生や教育・研修制度を充実させることで働きやすい環境の整備に努めております。

その結果、当社グループの看護師には、専門看護師や認定看護師等の資格保持者が複数在籍しており、その他にも、緩和ケア病棟などでの勤務実績を有する者や、難病看護師の資格保持者が在籍しており、これらの専門性に基づいたケアの提供を可能にしております。

 

[ 看護師以外の専門スタッフの存在 ]

看護師を中核としたケアサービスを提供するため、看護師の他、介護士、リハビリ療法士、調理師等の専門スタッフによるチームがホスピス住宅ごとに編成されており、看護師以外の専門スタッフが在籍していることも当社グループの特長です。

当社グループの介護士は、末期がんや難病への理解や知識を習得し、各種研修を受講して喀痰吸引や経管栄養を担当する等の業務スキルを求められるため、当社グループではこれらのスキルの習得をサポートしております。介護士は、ホスピス住宅における入居者の生活に看護師と同様又はそれ以上に密接に関わっており、ターミナルケアの提供には欠かせないチームの一員となっております。

 

当社グループが運営するホスピス施設数及び部屋数の推移は次のとおりです。

[当社グループが運営するホスピス施設数の推移(単位:施設)]

会社名

2019年

12月期末

2020年

12月期末

2021年

12月期末

2022年

12月期末

2023年

12月期末

2024年

12月期末

ファミリー・ホスピス株式会社

14

17

23

31

40

48

 

[当社グループのホスピス部屋数の推移(単位:室)]

会社名

2019年

12月期末

2020年

12月期末

2021年

12月期末

2022年

12月期末

2023年

12月期末

2024年

12月期末

ファミリー・ホスピス株式会社

429

524

715

979

1,292

1,609

 

 

[当社グループが運営するホスピス施設(2024年12月31日現在)]

ファミリー・ホスピス株式会社

所在地

施設名

北海道

ノーザリー厚別西、白石ハウス、中島公園ハウス、北海道ボールパーク

東京都

ライブクロス、成瀬ハウス、池上ハウス、二子玉川ハウス、成城ハウス、荒川ハウス

代田橋ハウス、西台ハウス、高井戸ハウス、大泉学園ハウス、片倉ハウス、松庵ハウス

西新井ハウス、国立ハウス、堀之内ハウス

神奈川県

鴨宮ハウス、本郷台ハウス、四之宮ハウス、東林間ハウス、茅ヶ崎ハウス、江田ハウス

大口ハウス、本牧ハウス、二俣川ハウス、港南台ハウス、鵠沼ハウス、センター南ハウス

たまプラーザ、さがみ野ハウス

千葉県

東千葉ハウス、鎌ヶ谷ハウス

愛知県

JAPAN、OASIS、OASIS南、OASIS北、OASIS知立、OASIS志賀公園、OASIS藤が丘、OASIS天白野並

OASIS金山

京都府

京都北山ハウス

大阪府

平野ハウス、豊中ハウス

兵庫県

神戸垂水ハウス

合計

48施設

 

なお、当社グループの事業は、「在宅ホスピス事業」の単一セグメントとなっております。

 

[事業系統図]

当社グループの事業系統図を示すと以下のとおりとなります。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財務状況及び経営成績の状況

1.市場環境

当社グループの事業が関わる医療・看護・介護の環境につきましては、高齢者の増加と共に市場が拡大し需要が増加する一方で、社会保障費の抑制を目的として、病院を中心とした施設から在宅を中心とした医療へのシフトが進み、医療と介護の連携や地域単位でのケア体制の整備等が促進されると予想しております。

 

2.2024年におけるホスピス施設の状況

このような状況の中、当社グループは「すべては笑顔のために」というコーポレートスローガンを掲げ、在宅での看取りを前提とした在宅ホスピスの事業を推進し、当連結会計年度においては、以下のホスピス施設を新たに開設しました。

名称

所在地

居室数

開設年月

ファミリー・ホスピスたまプラーザハウス

横浜市青葉区

34室

2024年3月

ファミリー・ホスピス西新井ハウス

東京都足立区

49室

2024年4月

ファミリー・ホスピス国立ハウス

東京都国立市

34室

2024年5月

ファミリー・ホスピス北海道ボールパーク

北海道北広島市

37室

2024年11月

ファミリー・ホスピス東千葉ハウス

千葉市中央区

38室

2024年11月

ファミリー・ホスピスさがみ野ハウス

神奈川県海老名市

36室

2024年12月

ファミリー・ホスピス鎌ヶ谷ハウス

千葉県鎌ケ谷市

38室

2024年12月

ファミリー・ホスピス堀之内ハウス

東京都八王子市

51室

2024年12月

合計

8施設

317室

 

 

これら8施設の新規開設により、当社グループの運営するホスピス住宅は、全48施設1,609室となり、前期末より317室増加(前期比24.5%増)しました。

 

3.前期比較

既存の安定稼働施設は高い水準の稼働率を維持し、前期に立ち上げ過程にあった施設の稼働率が上昇した一方で、ユニット制及び本部サポート制への組織改革で人員数が増加し、一時的に売上高人件費率が上昇しました。また、2024年に開設した施設8施設のうち5施設が第4四半期に開設されたことで、第4四半期に多額の開設コスト負担が生じたことに加え、2024年に開設した施設の殆どは単月黒字化に至る前のコストが先行するステージにあったため、前期に比べ、増収減益となりました。

 

4.当社グループの施設損益

当社グループの運営する施設は、開設に先立って看護師等の従業員を採用することでホスピスチームを作り、ホスピスチームが確立した事を確認して施設を開設し、開設した後に順次入居者を受け入れる形で運営を行っていることから、一定の稼働率に至るまでは売上に対して人件費等の費用が先行して発生することになります。また、施設の居室数が30室前後の場合は施設開設から約1年をかけて、40室前後の場合は施設開設から約1年半をかけて、当社グループが満室の目安とする85%の稼働率に至る計画で展開しております。

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,150,244千円増加し、18,310,551千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,396,043千円増加し、14,863,927千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ754,200千円増加し、3,446,624千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高12,115,287千円(前年同期比22.7%増)、営業利益1,286,885千円(前年同期比0.2%増)、経常利益は1,007,973千円(前年同期比2.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は639,580千円(前年同期比6.2%減)となりました。

なお、当社グループは、在宅ホスピス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて357,714千円減少し、1,526,291千円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、835,741千円(前連結会計年度は1,130,463千円の収入)となりました。これは主に、売掛金の増加額341,802千円があった一方で、税金等調整前当期純利益1,007,973千円、減価償却費470,226千円、未払費用の増加額122,324千円等が生じたことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、2,791,650千円(前連結会計年度は1,011,935千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,083,753千円(純増減1,002,300千円)、差入保証金の差入れによる支出128,963千円があった一方で、有形固定資産の売却による収入380,528千円が生じたことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、1,598,193千円(前連結会計年度は256,454千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の借入による収入2,472,300千円、長期借入金の借入れによる収入1,000,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入99,022千円があった一方で、長期借入金の返済による支出332,330千円が生じたことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

当社グループは、在宅ホスピス事業の単一セグメントであるため、地域別の販売実績を記載しております。

地域別

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

北海道地区(千円)

1,053,404

246.4

関東地区(千円)

6,895,572

122.4

東海地区(千円)

3,150,608

107.0

関西地区(千円)

1,015,702

117.0

合計(千円)

12,115,287

122.7

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

神奈川県国民健康保険団体連合会

2,443,681

24.8

2,666,966

22.0

愛知県国民健康保険団体連合会

2,402,839

24.3

2,441,105

20.1

東京都国民健康保険団体連合会

2,150,366

21.8

2,143,127

17.7

 

(2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行ってまいりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  経営成績等

1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、3,787,112千円(前連結会計年度末3,602,309千円)となり、前連結会計年度末に比べて184,803千円増加しました。その主な要因は、売上規模の拡大に伴って売掛金が増加したことによるものであります。

当連結会計年度末における固定資産は、14,523,438千円(前連結会計年度末11,557,997千円)となり、前連結会計年度末に比べて2,965,441千円増加しました。その主な要因は、新規施設開設に伴う固定資産の購入及びリース資産が増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、2,989,415千円(前連結会計年度末1,885,445千円)となり、前連結会計年度末に比べて1,103,969千円増加しました。その主な要因は、短期借入金が増加したことによるものであります。

当連結会計年度末における固定負債は、11,874,511千円(前連結会計年度末10,582,437千円)となり、前連結会計年度末に比べて1,292,074千円の増加となりました。その主な要因は、ホスピス施設の新規施設開設に伴って長期借入金が増加したことや、建物施設の賃借が開始されたことによりリース債務が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、3,446,624千円(前連結会計年度末2,692,423千円)となり、前連結会計年度末に比べて754,200千円の増加となりました。その主な要因は、ストック・オプション行使及び譲渡制限付株式の発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ58,131千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益639,580千円を計上したことによるものであります。

この結果自己資本比率は、18.8%(前連結会計年度は17.7%)となりました。

 

2) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高の合計は、12,115,287千円(前連結会計年度は9,871,866千円)となりました。その主な要因は、前連結会計年度に立ち上げた施設の稼働率が向上したこと及び、当連結会計年度において、新たなホスピス施設を8施設オープンしたことにより当社グループのホスピス施設における提供可能室数が317室増加したことによるものであります。

 

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価の合計は、10,003,141千円(前連結会計年度は7,948,356千円)となりました。その主な要因は、新規開設したホスピス施設に伴って開設準備費用や運営費用が増加したこと、看護師・介護士を新規採用したことにより労務費が増加したことによるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費の合計は、825,261千円(前連結会計年度は639,815千円)となりました。また売上高に対する割合は6.8%(前連結会計年度は6.5%)となりました。その主な要因は、会社規模の拡大に伴う管理部門の強化によるものであります。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、155,679千円(前連結会計年度は96,634千円)となりました。その主な要因は、助成金収入によるものであります。

当連結会計年度における営業外費用は、434,592千円(前連結会計年度は351,996千円)となりました。その主な要因は、支払利息によるものであります。

この結果、当連結会計年度における経常利益は1,007,973千円(前連結会計年度は1,028,334千円)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、1,007,973千円(前連結会計年度は1,028,334千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等の合計は、368,392千円(前連結会計年度は346,453千円)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、639,580千円(前連結会計年度は681,880千円)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、在宅ホスピス事業を展開するにあたり、組織体制の強化及び質の高いケアサービスを提供することで、医療機関等をはじめとした地域医療との連携を図っていく方針でありますが、必要とする看護師及び介護士の採用及び十分な人数の確保ができない場合又は十分な研修等を実施できない場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。

また、従業員の人為的なミス又は不測の事態の発生等による訴訟が生じた場合、個人情報の流出等により当社の信用が著しく低下した場合に、経営成績に重要な影響を与えると考えております。

この対応策として、看護師及び介護士の積極的な採用を行い、研修等を通じて経営理念を浸透させるとともに、質の高いホスピスサービスを提供するよう従業員に対する指導、教育体制の充実を図っております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与及び手当、ホスピス施設の賃借料のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入やリースによる調達を基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高(リース債務を含む)は13,188,214千円、有利子負債依存度(リース債務を含む)は72.0%と依然として高い水準にありますが、事業運営上、必要な資金を安定的に確保していると認識しております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,526,291千円となっており、事業運営上、必要な流動性を確保していると認識しております。

 

d.主要な経営指標等の状況

当社グループは、経常利益率並びにホスピス施設における提供可能室数及び平均入居率(延べ入居室数÷(提供可能室数×稼働日数))を経営成績に影響を与える主要な経営指標として捉えております。それぞれの状況については次のとおりです。

 

1)経常利益率

2024年12月期における当社グループの経常利益率は、8.3%(前年は10.4%)となりました。既存の安定稼働施設は高い水準の稼働率を維持し、前連結会計年度に立ち上げ過程にあった施設の稼働率が上昇した一方で、ユニット制及び本部サポート制への組織改革で人員数が増加し、一時的に売上高人件費率が上昇しました。また、2024年に開設した施設8施設のうち5施設が当期第4四半期に開設されたことで、当期第4四半期に多額の開設コスト負担が生じたことに加え、2024年に開設した施設の殆どは単月黒字化に至る前のコストが先行するステージにあったため、経常利益率が下落しました。

当社グループとして、経常利益率を重要な経営指標として捉えており、経常利益率の安定と向上を目指してまいりますが、一方で当社グループは成長途上にあると考えており、今後の新規ホスピス施設の開設数及び開設時期によっては、一時的に経常利益率が変動する可能性があります。

 

2)提供可能室数及び平均入居率

当連結会計年度において8施設(317室)を開設した結果、2024年12月末日時点において、当社グループのホスピス施設における提供可能室数は、1,609室(2023年12月末日時点は1,292室)となりました。

当社グループでは、安定稼働に至ったのちのホスピス施設における目標平均入居率を85.0%に設定しておりますが、2024年12月期において開設後1年(12か月)超経過した施設(以下、既存施設)の年平均入居率(年間延べ入居室数 ÷ (提供可能室数 × 年間日数)は79.2%となりました。

従来は、各施設が地域需要に応じてそれぞれ施設運営を行っていましたが、施設のドミナント展開が進んだことにより、複数施設を一つのユニットとみなし、特にご利用者の入居と採用に関してはユニット単位で柔軟な判断をすることによるメリット(スタッフの移動による機会損失の削減、業務効率向上等)が多いと考え、ユニット制及び本部サポート体制を構築しました。このユニット制及び本部サポート体制により入居及び採用業務の効率化及び機会損失の削減を図り、平均入居率の向上に努めます。

また、新規開設のホスピス施設を含む、開設後1年(12か月)以内の施設(以下、新規施設)の年平均入居率は43.1%となりました。これは、当社グループのホスピス施設は、開設後に順次利用者を受け入れていく運営方法を採用しており、新規施設の居室数が30室前後の場合は施設開設から約1年、40室前後の場合は施設開設から約1年半をかけているためであります。

それぞれの経営指標の具体的な推移は次のとおりです。

(施設数及び提供可能室数の推移)

 

2022年12月期

2023年12月期

2024年12月期

施設数(施設)

31

40

48

提供可能室(室)

979

1,292

1,609

(注)施設数及び提供可能室数は各期末日時点における数値を記載しております。

 

(年平均入居率の推移)

(単位:%)

 

2022年12月期

2023年12月期

2024年12月期

既存施設

(開設後1年(12か月)超経過した施設)

82.0

79.7

79.2

新規施設

(開設後1年(12か月)以内の施設)

41.2

37.3

43.1

(注)1.年平均入居率は下記の方法により算出しております。

年平均入居率(%) = 延べ入居室数 ÷ (提供可能室数 × 稼働日数) × 100

2.新規施設の入居率について、年度ごとの数値に差が生じているのは、主に各年度における開設数や開設月が異なることによるものです。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは、在宅ホスピス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、連結損益計算書の売上高の90%を超えているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

 

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

 

顧客の名称又は氏名

売上高

愛知県国民健康保険団体連合会

2,402,839

神奈川県国民健康保険団体連合会

2,443,681

東京都国民健康保険団体連合会

2,150,366

 

(注)当社グループは、在宅ホスピス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、連結損益計算書の売上高の90%を超えているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

 

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

 

顧客の名称又は氏名

売上高

神奈川県国民健康保険団体連合会

2,666,966

愛知県国民健康保険団体連合会

2,441,105

東京都国民健康保険団体連合会

2,143,127

 

(注)当社グループは、在宅ホスピス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。